説明

壁面緑化パネルと、その壁面緑化パネルを用いた壁面の緑化工法

【課題】建築,構築物の壁面の表面側に設置することによって、その壁面の表面側を緑化する壁面緑化パネルと、そのような壁面緑化パネルを用いて壁面の緑化を行う工法に関し、蔓性植物を所望の方向へ登攀させることができ、それによって建築物等において良好な景観を得ることができ、且つその壁面緑化の施工も非常に容易且つ短期間に行うことのできる壁面緑化パネルを提供する。
【解決手段】蔓性植物の付着根が付着しうる素材で構成されて該蔓性植物の登攀を誘導しうる登攀誘導路2がパネル本体1に設けられ、且つ該登攀誘導路2における登攀を補助的に促進する登攀補助部3が前記パネル本体1の登攀誘導路2以外の部分に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築,構築物の壁面の表面側に設置することによって、その壁面の表面側を緑化する壁面緑化パネルと、そのような壁面緑化パネルを用いて壁面の緑化を行う工法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然木の少ない都市部においては建築,構築物等の壁面の緑化を行うことが盛んに試みられており、その緑化の工法として種々の方法がある。しかし、いずれの方法も実用化が十分にはなされていないのが現状である。これは、施工が大掛かりとなること、及び都市部の建築物、構築物等の壁面で植物を生育させることは現実には困難であること等の理由による。
【0003】
そこで、建築物、構築物等の壁面において登攀させ易い蔓性植物を用いて壁面緑化を行うことも試みられており、そのような技術を開示するものとして、たとえば下記特許文献1、2のような特許出願もなされている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−38040号公報
【特許文献2】特開2005−83041号公報
【0005】
しかしながら、このような特許文献1や特許文献2に開示された技術は、網状物や格子状物を蔓性植物の登攀助材として用いるものであり、そのような網状物等の登攀助材を用いる場合、蔓性植物が網状物や壁面において無作為に伸長するために、蔓性植物が生育し登攀して緑化がなされる箇所の形状を調整することが難しく、結果的には良好でない景観が現出されることとなっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、蔓性植物を所望の方向へ登攀させることができ、それによって建築物等において良好な景観を得ることができ、且つその壁面緑化の施工も非常に容易且つ短期間に行うことのできる壁面緑化パネルを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、壁面緑化パネルに係る請求項1記載の発明は、蔓性植物の付着根が付着しうる素材で構成されて該蔓性植物の登攀を誘導しうる登攀誘導路がパネル本体に設けられ、且つ該登攀誘導路における登攀を補助的に促進する登攀補助部が前記パネル本体の登攀誘導路以外の部分に設けられていることを特徴とする。
【0008】
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の壁面緑化パネルにおいて、登攀補助部が、蔓性植物の付着根が付着し難い素材で構成されていることを特徴とする。さらに請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の壁面緑化パネルにおいて、登攀補助部を凸状に形成することにより、登攀誘導路が凹状に形成されていることを特徴とする。
【0009】
さらに請求項4記載の発明は、請求項3記載の壁面緑化パネルにおいて、凹状に形成された登攀誘導路の幅が、5〜30cmであることを特徴とする。さらに請求項5記載の発明は、請求項3又は4記載の壁面緑化パネルにおいて、凸状に形成された登攀補助部の突出部分の寸法が、5〜20cmであることを特徴とする。さらに請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の壁面緑化パネルにおいて、登攀誘導路が縦方向に形成されていることを特徴とする。
【0010】
さらに請求項7記載の発明は、請求項6記載の壁面緑化パネルにおいて、複数のパネル本体を縦横に連続的に壁面に配置した際に、相互に隣接するパネル本体の登攀誘導路が縦方向に連続するように、登攀誘導路がパネル本体上に配設されていることを特徴とする。さらに請求項8記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の壁面緑化パネルにおいて、登攀誘導路、パネル本体の面積の20%以上の面積を占有して配設されていることを特徴とする。
【0011】
さらに壁面の緑化工法に係る請求項9記載の発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の壁面緑化パネルを壁面の縦横に多数個配置して施工することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の壁面緑化パネルは、上述のように、蔓性植物の付着根が付着しうる素材で構成されて該蔓性植物の登攀を誘導しうる登攀誘導路がパネル本体に設けられ、且つ該登攀誘導路における登攀を補助的に促進する登攀補助部が前記パネル本体の登攀誘導路以外の部分に設けられているものであるため、このような壁面緑化パネルを多数壁面に設置し、蔓性植物を生育させると、蔓性植物の付着根は登攀誘導路の部分に付着し、その登攀誘導路に沿って生育しながら登攀することとなる。
【0013】
この場合において、蔓性植物は登攀誘導路以外の部分に設けられた登攀補助部によって補助的に登攀を促進されつつ、登攀誘導路のみに沿って登攀していくので、従来の網状物や格子状物を蔓性植物の登攀助材として用いる場合のように、蔓性植物が壁面において無作為に伸長するようなことがなく、登攀誘導路に沿って蔓性植物を生育させることができるので、予め登攀誘導路をパネル本体上の所望の箇所に配置しておくことで、壁面において緑化がなされる箇所の形状を所望の形状とすることができ、
その結果、建築物等における壁面の景観を良好な状態に現出させることができるという効果がある。
【0014】
また、蔓性植物はパネル本体上の登攀誘導路に沿って生育、登攀していくので、壁面全体を緑化する期間も短期間に行うことのできるという効果がある。
【0015】
また登攀補助部を、蔓性植物の付着根が付着し難い素材で構成した場合には、蔓性植物の根は登攀補助部に付着する可能性が少ないので、より確実に登攀誘導路に沿って蔓性植物を生育、登攀させることができ、所望箇所への緑化をより確実に行うことができ、また壁面全体を緑化する期間もさらに短縮することが可能となる。
【0016】
さらに登攀補助部を凸状に形成することにより、登攀誘導路が凹状に形成されることとなるので、蔓性植物は登攀補助部で案内されながら登攀誘導路に沿って登攀することとなり、さらに登攀誘導路に沿って登攀し易い状態となり、その分、所望箇所への緑化を一層確実に行うことができ、また緑化の施工期間をさらに短縮することができる。
【0017】
この場合、凹状に形成された登攀誘導路の幅を5〜30cmとした場合には、その
凹状に形成された登攀誘導路の両側の登攀補助部に案内されつつ、蔓性植物が登攀誘導路に沿って確実に登攀することとなる。また凸状に形成された登攀補助部の突出部分の寸法を5〜20cmとした場合には、登攀する蔓性植物が凹状に形成された登攀誘導路から極端にはみ出ることもなく、また登攀補助部によって蔓性植物の生育が阻害されることもない。
【0018】
また登攀補助部を縦方向に形成することによって、壁面などにおいて下側から上側
に向かって縦方向に登攀するという蔓性植物の特性を活かすことができる。
【0019】
さらに複数のパネル本体を縦横に連続的に壁面に配置した際に、相互に隣接するパネル本体の登攀補助部が縦方向に連続するように、登攀補助部がパネル本体上に配設されている場合には、壁面全体において蔓性植物の縦方向への登攀を確実に促進させることができ、所望箇所への緑化をさらに確実に行うことができるとともに緑化の施工期間を一層短縮することができる。
【0020】
さらに登攀補助部がパネル本体の面積の20%以上の面積を占有して配設されている場合には、壁面全体における緑化部分の面積が制限されることもなく、その結果、建築物等における景観が損なわれることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面に従って説明する。
【0022】
本実施形態の緑化用パネルのパネル本体1は、図1乃至図4に示すように、蔓性植物の登攀を誘導しうる登攀誘導路2と、該登攀誘導路2における登攀を補助的に促進する登攀補助部3とを具備して構成されている。
【0023】
登攀誘導路2は、複数の登攀用マットをパネル本体1上に配設することによって構成されている。より具体的には、この登攀用マットとしては、短い登攀用マット2aと、長い登攀用マット2bとの2種類の登攀用マットが用いられる。そして、図1に示すように、4個の短い登攀用マット2aが、パネル本体1上の中央の上下2箇所及び右側の上下2箇所で縦方向に配設されており、2個の長い登攀用マット2bが、パネル本体1上の中央及び下側で横方向に配設されている。
【0024】
このような登攀用マット2a、2bは、吸着性の蔓性植物の付着根が付着しうる素材で構成されている。そのような素材としては、たとえば天然繊維マット、化学繊維マット、多孔質の粒子を吹き付けた板、繊維を吹きつけた板、木板、合板、レンガ仕上げ板、珪藻土板、シラスブロック板、ポーラスコンクリート板、化学繊維の不織布、植物繊維の不織布、ヤシ繊維のシート、発泡樹脂シート、コルクボード、木毛セメント板、発泡コンクリート板等、吸着性の蔓性植物の付着根が侵入して付着しうるような多孔質の素材のもの或いは表面が粗面であるような素材のものを使用することが可能である。
【0025】
また登攀補助部3は、吸着性の蔓性植物の付着根が付着し難い素材で構成されたマスクシート4と、前記登攀誘導路2の両側に配置されることで該登攀誘導路2を凹状に形成するための凸状体5とからなる。凸状体5は、図2及び図3に示すように、金属製の棒状体を縦横に配置して構成されている。
【0026】
マスクシート4は、図5に示すように略正方形状のものであり、たとえばポリプロピレン板、FRP(繊維強化プラスチック)板、アクリル板、ポリ塩化ビニル樹脂板、その他の合成樹脂板、鉄板、アルミニウム板、タイル板、ガラス板、又はこれらの板に塗装を施したもの等の、表面が比較的平滑な面であるような素材のものによって構成されている。
【0027】
パネル本体1の背面側には、図2に示すように、金属製の棒状体を縦横に配置して構成されたベースプレート6が具備されている。そして、このベースプレート6の表面側の所定位置に、前記登攀用マット2a、2bとマスクシート4とが配置されている。
【0028】
上記金属製の棒状体で構成される凸状体5は、正面側に井桁状に配置された金属製の棒状体であるフロントフレーム8aと、側面側に配置されたサイドフレーム8bと、
4角のコーナー部において斜めに配置されたマスクシート保持フレーム8cと、背面側に設けられたバックフレーム8dとで構成されている。
【0029】
さらに、ベースプレート6の4角のコーナー部には、固定部7が設けられている。
この固定部7は、ベースプレート6を壁面等に固定するためのものである。
【0030】
そして、このような構成からなる緑化パネルを使用する場合には、多数の同じものが準備され、その多数の緑化パネルを壁面の縦横に配置される。
【0031】
その際、先ずベースプレート6が固定部7で壁面に取り付けられ、次にそのベースプレート6の表面側の所定位置に4個の登攀用マット2aと、2個の登攀用マット2bとを取り付ける。この場合の取付手段は問うものではないが、たとえば接着剤を用いて接着する等の手段によってベースプレート6の表面側に取り付けられる。
【0032】
次に、図6に示すようにマスクシート4を凸状体5内に差し込み、同図のようにそのマスクシート4が差し込まれた凸状体5の下端側を、予めベースプレート6の横方向に配置された登攀用マット2bの上縁側に当接させ、その状態で凸状体5を回動させるようにしてベースプレート6に取り付ける。尚、マスクシート4を凸状体5内に差し込む際、そのマスクシート4は、凸状体5の4角のコーナー部に配置されたマスクシート保持フレーム8cで保持させる。より詳しくは、マスクシート4は、4角のコーナー部において、マスクシート保持フレーム8cとバックフレーム8dとで挟持された状態となる。
【0033】
このようにして、緑化パネルが壁面に取り付けられこととなり、このような操作を多数の緑化パネルについて同様に行い、その多数の緑化パネルが縦横に隣接するような状態になるように配置することで、壁面緑化の施工が完成する。
【0034】
この場合において、相互に隣接する緑化パネルのパネル本体1の登攀用マット2a、2bは、縦横に連続した状態となる。すなわち、パネル本体1に縦方向に配設された
登攀用マット2aは、多数の緑化パネルにおいて縦方向にすべて連続した状態となり、またパネル本体1に横方向に配設された登攀用マット2bは、多数の緑化パネルにおいて横方向にすべて連続した状態となる。
【0035】
このように多数の緑化パネルが壁面に取り付けられた状態で、蔓性植物による緑化の施工が行われる。この場合、図示しないが、先ず壁面の最下部において、プランター等に土壌を収容し、そのプランター内の土壌には蔓性植物の種子や苗を予め含有させておく。このプランターは、壁面の最下部に配置された上記のような緑化パネルの近傍若しくは直下に設置される。また、このようなプランターを用いることなく、壁面の最下部の自然地盤の土壌に蔓性植物の種子や苗を予め含有させておくことも可能である。
【0036】
そして、プランター内の土壌中又は自然地盤の土壌中に含有された蔓性植物の種子や苗が生育すると、その蔓性植物の付着根は先ず最下部に配置された緑化パネルのパネル本体1における登攀用マット2a、2bに付着し、その登攀用マット2a、2bで構成される登攀誘導路2に沿って生育しつつ登攀する。
【0037】
この場合において、相互に隣接する緑化パネルのパネル本体1の登攀用マット2a、2bは、縦横に連続した状態となっているので、蔓性植物は、壁面上で縦横に連続した状態に配置された登攀用マット2a、2bで構成される登攀誘導路2に沿って登攀し、最終的には、壁面上に配置されたすべての緑化パネルの登攀誘導路2内に侵入することとなる。
【0038】
また、この場合において、パネル本体1の登攀誘導路2以外の部分に設けられた
登攀補助部3の一構成部材であるマスクシート4は、蔓性植物の根が付着し難い素材で構成されているので、蔓性植物はマスクシート4が設けられた登攀補助部3側へ侵入する可能性が少なく、従って、そのことによって蔓性植物は一層登攀誘導路2に沿って登攀し易くなり、壁面全体における所望箇所への緑化をより確実に行うことができ、また壁面全体を緑化する期間もさらに短縮することが可能となる。
【0039】
さらに、そのマスクシート4を保持している凸状体5が、パネル本体1上の4箇所に設けられ、その4箇所の凸状体5間が登攀誘導路2として形成されているので、その登攀誘導路2が設けられた部分は凹状となり、従って、登攀誘導路2に沿って登攀する蔓性植物は、両側の凸状体5に案内されながら、登攀誘導路2に沿って確実に登攀することとなる。また、登攀誘導路2の両側に凸状体5が設けられていることによって、登攀誘導路2を登攀する蔓性植物の風による振れや揺れ等が好適に防止されることとなる。
【0040】
以上のようにして、多数の緑化用パネルが配置されて壁面全体の縦横に配設された
登攀誘導路2に蔓性植物が登攀し、その結果、蔓性植物が壁面全体の縦横に存在した状態となっているので、緑化される箇所が縦横の所望の位置になされ、壁面全体の景観が非常に良好となる。
【0041】
尚、上記実施形態で用いられた吸着性の蔓性植物の種類は問うものではなく、たとえばヘデラヘリックス、ヘデラカナリエンシス、ナツヅタ、オオイタビカズラ、キヅタ等が用いられる。
【0042】
また上記実施形態では、吸着性の蔓性植物のみを用い、その吸着性の蔓性植物を登攀誘導路2で登攀させることで壁面緑化を行ったが、このような吸着性の蔓性植物とは別に、巻きつる植物を、上記登攀補助部3の凸状体5を構成する金属製の棒状体に
巻きつかせることによって、吸着性の蔓性植物と巻きつる植物との2種類の蔓性植物によって、登攀誘導路2のみならず登攀補助部3においても緑化がなされることとなる。尚、蔓性植物には、このような吸着性の蔓性植物や巻きつる植物があるが、本発明において単に「蔓性植物」という場合には、特に断らない限り、吸着性の蔓性植物をいうものとする。
【0043】
さらに、上記実施形態では、金属製の棒状体で構成される凸状体5を、正面側に井桁状に配置された金属製の棒状体であるフロントフレーム8aと、側面側に配置されたサイドフレーム8bと、4角のコーナー部において斜めに配置されたマスクシート保持フレーム8cと、背面側に設けられたバックフレーム8dとで構成したが、凸状体5の構成は該実施形態に限定されるものではない。
【0044】
また、このような金属製の棒状体を縦横に配置することで凸状体5を構成することも本発明に必須の条件ではなく、たとえば合成樹脂等の成形品によって凸状体5を構成することも可能である。
【0045】
これらの各種凸状体5間で凹状に形成された登攀誘導路2の幅も特に限定されるものではないが、5〜30cmとされることが望ましい。30cm以下としたのは、複数種の吸着性の蔓性植物は、その茎部両側に突出する葉部全体の幅がおおむね30cm以下であり、30cmを超えると登攀誘導路で登攀する蔓性植物の振れや揺れが生じるおそれがあるからである。また5cm以上としたのは、5cm未満になると、凹状の登攀誘導路の幅が狭すぎて、蔓性植物が圧迫されてその生育が阻害されるおそれがあるからである。
【0046】
さらに、凸状体5の突出部分(厚み)の寸法は、5〜20cmであることが望ましい。5cm未満になると、蔓性植物が凹状部分の登攀誘導路2からはみ出し、登攀誘導路2に沿って登攀されないおそれがあるからであり、また20cmを超えると、凹状部分が深すぎて、蔓性植物が表面に現出されないおそれが生じ、壁面緑化の本来の意義が喪失されるおそれがあるからである。
【0047】
さらに、上記実施形態では、4個の短い登攀用マット2aをパネル本体1上の中央の上下2箇所及び右側の上下2箇所で縦方向に配設し、2個の長い登攀用マット2bをパネル本体1上の中央及び下側で横方向に配設することによって登攀誘導路2をパネル本体1上に構成したが、登攀誘導路2を構成する登攀用マット2a、2bの個数や配置態様も該実施形態に限定されるものではない。
【0048】
また該実施形態のように短い登攀用マット2aと長い登攀用マット2bとを使い分けることも本発明に必須の条件ではなく、長さが同じ1種類の登攀用マットで登攀誘導路2を構成することも可能である。
【0049】
いずれにしても、緑化すべき箇所に合わせてパネル本体1上における登攀誘導路2の配置態様を選定すべく、登攀用マットが組み合わせて用いられればよいのである。
【0050】
また、上記実施形態では、登攀用マットによって登攀誘導路2が構成されていたが、
登攀誘導路2を構成する手段も該実施形態の登攀用マットによる手段に限定されない 。
【0051】
さらに、登攀用マット等の登攀誘導路2を構成する素材も上記実施形態に列挙された以外のものを使用することが可能である。要は、蔓性植物の根を付着させうるような素材で登攀誘導路2が構成されていればよい。
【0052】
またマスクシート4を構成する素材も上記実施形態に限定されるものではなく、要は、蔓性植物の付着根を付着し難い素材でマスクシート4が構成されていればよい。
尚、マスクシート4は、劣化、デザインの変更等に伴い、緑化パネルを壁面に設置した後も取り替えることができる。
【0053】
さらに、上記実施形態では、マスクシート4及び凸状体5で登攀補助部3が構成されていたが、いずれか一方のみで登攀補助部3が構成することも可能である。またこのようなマスクシート4や凸状体5以外のもので登攀補助部3を構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】一実施形態の緑化用パネルの概略正面図。
【図2】同緑化用パネルの概略背面図。
【図3】図1のA−A線一部断面側面図。
【図4】図3のB部拡大一部断面側面図。
【図5】マスクシートの斜視図。
【図6】緑化用パネルの施工時の一例を示す一部断面側面図。
【符号の説明】
【0055】
1…パネル本体 2…登攀誘導路
2a、2b…登攀用マット 3…登攀補助部
4…マスクシート 5…凸状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蔓性植物の付着根が付着しうる素材で構成されて該蔓性植物の登攀を誘導しうる登攀誘導路(2)がパネル本体(1)に設けられ、且つ該登攀誘導路(2)における登攀を補助的に促進する登攀補助部(3)が前記パネル本体(1)の登攀誘導路(2)以外の部分に設けられていることを特徴とする壁面緑化パネル。
【請求項2】
登攀補助部(3)が、蔓性植物の付着根が付着し難い素材で構成されている請求項1記載の壁面緑化パネル。
【請求項3】
登攀補助部(3)を凸状に形成することにより、登攀誘導路(2)が凹状に形成されている請求項1又は2記載の壁面緑化パネル。
【請求項4】
凹状に形成された登攀誘導路(2)の幅が、5〜30cmである請求項3記載の壁面緑化パネル。
【請求項5】
凸状に形成された登攀補助部(3)の突出部分の寸法が、5〜20cmである請求項3又は4記載の壁面緑化パネル。
【請求項6】
登攀誘導路(2)が縦方向に形成されている請求項1乃至5のいずれかに記載の壁面緑化パネル。
【請求項7】
複数のパネル本体(1)を縦横に連続的に壁面に配置した際に、相互に隣接するパネル本体(1)の登攀誘導路(2)が縦方向に連続するように、登攀誘導路(2)がパネル本体(1)上に配設されている請求項6記載の壁面緑化パネル。
【請求項8】
登攀誘導路(2)が、パネル本体(1)の面積の20%以上の面積を占有して配設されている請求項1乃至7のいずれかに記載の壁面緑化パネル。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の壁面緑化パネルを壁面の縦横に多数個配置して施工することを特徴とする壁面の緑化工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−306862(P2007−306862A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−140024(P2006−140024)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【出願人】(000221775)東邦レオ株式会社 (35)
【Fターム(参考)】