説明

変位センサシステム及び変位センサ

【課題】高精度な距離測定を安価に提供する。
【解決手段】平面状コイル1と、平面状コイル1と電気的に接続された発振回路と、平面状コイル1に近接する測定対象物WKと平面状コイル1との距離に応じて、発振回路の発振周波数が変化する様子を検出可能な周波数検出手段22と、周波数検出手段22で検出された発振周波数をデジタル信号として出力可能なデジタル出力手段24と、周波数検出手段22で発振周波数を検出する検出動作時間を制御可能な時間制御手段23と、時間制御手段23に対して、検出動作時間を指示する制御信号を送出可能な動作時間指示手段31を有するコントローラ30とを備える。周波数検出手段22で検出された発振周波数に基づいて測定対象物WKと平面状コイル1との距離変化を演算し、該演算結果をデジタル出力手段24によりデジタル値として出力可能とし、距離測定の測定精度及び距離測定結果を得るまでの応答時間に応じて、検出動作時間を可変とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物に対する距離や位置を検出する距離測定のセンサシステム及び該システムに用いる変位センサに関する。
【背景技術】
【0002】
金属等の導電性を備える測定対象物に対する距離を非接触で測定するための距離測定方式としては、大別して2つの方法が知られている。すなわち、(1)発振回路における渦電流損による電気的な微弱な損失を検出して、変位を検出する方式;(2)LC発振回路におけるL又はCの変化を検出することにより、変位を微少な電圧又は電流の変化として演算する方式、が提案されている。この内、(2)の方式を利用した変位センサの概要を図1に示す。この渦電流式変位センサは、センサヘッド10に内蔵された3次元状の巻線(コイル)に高周波電流を流して、高周波磁界を発生させる。この磁界内に配置された測定対象物に対して、電磁誘導作用によって対象物表面に磁束の通過と垂直方向の渦電流が流れて、センサコイルのインピーダンスが変化する。このインピーダンスの変化により図2に示すような発振波形が得られる。測定対象物とセンサヘッド10の距離が近づくにつれてて渦電流が大きくなり、発振振幅は図2に示すように小さくなる。この発振振幅を整流して直流電圧の変化とする。このように渦電流式変位センサは、発振状態の変化を振幅で検出して、距離を測定する。
【0003】
しかしながら、この方式では距離測定の精度は、発振波形を整流した整流波形の振幅の検出精度に依存することになる。このため、振幅波形が微少になるほど、変化量の検出が困難となり、測定精度の向上が難しいという問題があった。現状では、発振周波数として数百KHz〜数MHzが利用されており、高性能化を図るには、微少な振幅変化を拡大させるためのアンプ機能として、小さな変化を大きくする方法、又は微少な振幅変化をより細かく分解する機能として、微少変化を細かく分解する方法、の2つが考えられる。前者の方法では、振幅を増幅するためにS/N比の低い高性能なアンプが必要となる。また後者の方法では、同じくS/N比の低い高分解能なA/Dコンバータが必要となる。このようなS/N比の低い高性能なアナログ機器は非常に高価であり、一般に数十万円〜数百万円程度が必要となって、その実現は容易でなかった。特に近年は高速、高精度化が求められる一方で、より簡素で安価な変位センサが求められており、これらの要求に応えることのできる変位センサが強く望まれている。
【特許文献1】特許第3352619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来のこのような問題点を解決するためになされたものである。本発明の主な目的は、極めて高精度な距離測定を安価に実現可能な変位センサシステム及び変位センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の変位センサシステムによれば、測定対象物との間の距離を非接触で測定可能な変位センサシステムであって、平面状コイルと、前記平面状コイルと電気的に接続された発振回路と、前記平面状コイルに近接する測定対象物と前記平面状コイルとの距離に応じて、前記発振回路の発振周波数が変化する様子を検出可能な周波数検出手段と、前記周波数検出手段で検出された発振周波数をデジタル信号として出力可能なデジタル出力手段と、前記周波数検出手段で発振周波数を検出する検出動作時間を制御可能な時間制御手段と、時間制御手段に対して、検出動作時間を指示する制御信号を送出可能な動作時間指示手段を有するコントローラと、を備え、前記周波数検出手段で検出された発振周波数に基づいて測定対象物と前記平面状コイルとの距離変化を演算し、該演算結果を前記デジタル出力手段によりデジタル値として出力可能とした周波数方式の変位センサシステムであって、距離測定の測定精度及び距離測定結果を得るまでの応答時間に応じて、検出動作時間を可変とすることができる。これにより、変位センサの外部から制御信号によって積算時間等の検出動作時間を可変とすることができ、測定の精度と測定結果の応答速度とを所望の値に調整することが可能となる。
【0006】
また第2の変位センサシステムによれば、前記周波数検出手段が、発振周波数を計数して積算可能な周波数カウンタで構成されてなり、前記動作時間指示手段で前記周波数カウンタの積算時間を制御可能に構成できる。これにより、距離測定動作を繰り返して発振周波数の積算値を求めることが可能となり、連続的に複数回の周波数計数を行った上で距離測定結果を演算できるため、1回のみの瞬間的な測定と比べノイズや誤差の影響を低減した極めて高精度な距離測定を実現できる。
【0007】
さらに第3の変位センサシステムによれば、前記周波数カウンタは、前記動作時間指示手段から入力される矩形波で積算時間を制御されてなり、矩形波の立ち上がりで周波数カウンタがリセットされ、立ち下がりでカウント動作がホールドされて、その時点までに積算されたカウント値がシリアルデータとして出力できる。これにより、ダイナミックに測定レンジを切り替えることができる。
【0008】
さらにまた第4の変位センサシステムによれば、前記発振回路の発振周波数を、30MHz以上とできる。このように高周波数帯域を使用することで距離測定の分解能を格段に向上でき、また平面状コイルのインダクタンスを低く抑えることができるのでコイルを3次元化する必要もなく、薄型化、小型化を図ることができ、省スペースでも設置可能なコンパクトな変位センサシステムを実現できる。
【0009】
さらにまた第5の変位センサシステムによれば、前記平面状コイルを、丸形又は角形のスパイラルコイルとできる。
【0010】
さらにまた第6の変位センサシステムによれば、前記発振回路と周波数検出手段とデジタル出力手段が同一の基板上に実装されてセンサ本体を構成しており、前記平面状コイルは、センサ本体から突出するセンサヘッドを構成できる。これにより、センサ本体のみを変更することにより検出動作時間を制御可能とすることができ、平面状コイルを共通とできるので、既存の平面状コイルを利用して測定精度や応答時間を調整することが可能となる。
【0011】
さらにまた第7の変位センサシステムによれば、前記周波数カウンタ及びデジタル出力手段をパッケージ化されたICとできる。これにより、小型化されたICとして、狭い場所にも配置可能な薄型化を図ることができる。
【0012】
さらにまた他の変位センサによれば、測定対象物との間の距離を非接触で測定可能な変位センサにおいて、平面状コイルと、前記平面状コイルと電気的に接続された発振回路と、前記平面状コイルに近接する測定対象物と前記平面状コイルとの距離に応じて、前記発振回路の発振周波数の変化を、30MHz以上の発振周波数を計数して積算することで検出し、積算値をデジタル値で出力可能な周波数カウンタと、前記周波数カウンタで検出された発振周波数をデジタル信号として出力可能なデジタル出力手段と、前記周波数カウンタで発振周波数を検出する積算時間を制御可能な時間制御手段と、を備え、前記周波数カウンタで検出された発振周波数に基づいて測定対象物と前記平面状コイルとの距離変化を演算し、該演算結果を前記デジタル出力手段によりデジタル値として出力可能とできる。これにより、変位センサの外部から制御信号によって積算時間を可変とすることができ、測定の精度と測定結果の応答速度とを所望の値に調整することが可能となる。特に距離測定動作を繰り返して発振周波数の積算値を求めることが可能となり、連続的に複数回の周波数計数を行った上で距離測定結果を演算できるため、1回のみの瞬間的な測定と比べノイズや誤差の影響を低減した極めて高精度な距離測定を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための変位センサシステム及び変位センサを例示するものであって、本発明は変位センサシステム及び変位センサを以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
【0014】
本発明の実施の形態に係る変位センサシステム100の構成を図3のブロック図に示す。この図に示す変位センサ100は、センサヘッド10とセンサ本体20で構成される。センサヘッド10は発振回路を構成し、発振回路の発振周波数が測定対象物WKとの距離に応じて変化する様子を検出する周波数検出手段22と、周波数検出手段22で検出された発振周波数をデジタル信号として出力可能なデジタル出力手段24とを備える。また周波数検出手段22は、発振周波数を検出する検出動作時間を制御するための時間制御手段23を有しており、コントローラ30によって検出動作時間が制御される。このためコントローラ30には、時間制御手段23に対して検出動作時間を指示する制御信号を送出するための動作時間指示手段31が備えられる。
【0015】
また発振回路は、平面状コイル1を接続している。平面状コイル1は、センサヘッド10の表面に設けられ、平面状コイル1が測定対象物WKと対向する姿勢となるようにセンサヘッド10が固定される。この変位センサシステム100は、測定対象物WKとの間の距離を、発振回路のLCで決定される発振周波数の変化から演算して、非接触で測定する。例えば平面状コイル1を突出基板の裏面側に設け、突出基板の表面側に発振回路を配置する。また周波数カウンタなどの部材を専用ICとして基板上に実装することで、センサヘッド10を小型化できる。なおセンサヘッドは、後述するように基板上に平面状コイルを設けると共に、裏面に専用ICを配置することで、単体で変位センサとして利用できる。
【0016】
この構成の変位センサは、従来のように電流や電圧の発振波形の振幅の大小から、コイルと測定対象物との距離を演算するのでなく、発振周波数の変化に基づいて平面状コイル1と測定対象物との距離を演算する。このような周波数方式は、従来の振幅方式に比較してノイズ耐性に優れ、高精度化を図りやすいという利点を有する。すなわち単純な電圧変化を捕らえる方式よりも周波数を計数する方がより正確な測定が可能で、S/N比、信頼性の面で優れる。また整流回路を不要とできる一方で、周波数カウンタなどの周波数検出手段22で容易に発振周波数を検出でき、デジタル処理にも適しているため、高分解能のA/Dコンバータなどの部材も不要とできる。
【0017】
さらに発振周波数を高くすることでコイルのインダクタンスを小さくすることができ、コイル自体の小型化を図ることができる。特にコイルを3次元状に巻回せずとも2次元状コイルで利用でき、平面状コイル1として薄型化に有利となる。発振周波数は、好ましくは30MHz以上、例えば100MHz〜1THz、より好ましくは100MHz〜500MHzとする。
【0018】
比較例として、従来の300kHzにて周波数積算方式を実施した場合と、本実施の形態に係る300MHz(300000kHz)で実施した場合を比較すると、測定時間を200μsとした場合、周波数カウンタの積算カウント値(CNT)は、従来例で60CNT、本実施の形態では60000となり、単純に同じ時間測定した場合の分解能は1000倍に向上できる。また、従来例で同じ分解能を実現しようとすれば、測定時間は200msとなり、1000倍の時間が必要となる。
【0019】
加えて、この周波数検出手段22は、発振周波数を積算して求めることができる。このため、発振周波数を連続的に複数回検出した上で平均値などとして発振周波数を演算できる。このことは、発振周波数を高くできることと相俟って、検出精度を極めて高精度にできる。すなわち、発振周波数が高いため一回当たりの周波数検出動作に要する時間を短くできる結果、連続的な発振周波数検出動作が可能となり、その平均値からノイズ等の突発的な影響を低減した、極めて高精度で信頼性の高い距離測定が実現できる。
【0020】
例えば、従来の変位センサで300kHzの発振周波数にて周波数積算方式を200μs実施した場合に積算カウント値が60であったとすれば、本実施例に係る300MHzで同じく200μsの測定を実施すれば、積算カウント値を60000とでき、分解能を1000倍に向上できる。同様の分解能を従来の300kHzの発振周波数にて実現しようとすれば、200μsの1000倍の時間、200msが必要となる。このように、同じ時間測定する場合は発振周波数を高くする程精度を高めることができる。
【0021】
さらに一方では、同程度の精度で測定を得ようとすれば、発振周波数が高いほど短時間で処理を終えることができる。このため、精度よりも応答速度を重視する用途においても本実施の形態は好適となる。従来の変位センサでは、測定精度及び応答速度は固定されていたため、用途や仕様に応じてセンサを設計し直す必要があった。特に近年の変位センサの分野においては、一層の高速化と高分解能化が求められているが、限られた製造コストやリードタイムの制限内では、これらの要求に応えることは容易でない。これに対して本実施の形態では、検出精度や応答速度を極めて容易に変更できるという優れた特長を備える。また検出精度と応答速度はトレードオフの関係にあるため、ユーザは用途に応じて適切な検出精度と応答速度に設定できる。これを実現するために本実施の形態では、図3に示すように発振周波数検出動作を制御する時間制御手段23を設けている。時間制御手段23にON信号が入力されると発振周波数検出動作が実行され、OFF信号が入力されると検出動作が停止される。したがって所望の検出動作時間となるように制御信号を変化させることで、距離測定結果を得るために必要な演算時間すなわち応答速度を規定できる。また、演算時間を長くすることで、より高精度な距離測定が可能となる。特に本実施の形態では周波数カウンタで積算することで発振周波数を演算しているため、繰り返し距離測定を行いその平均値を演算することにより、信頼性の高い高精度な距離測定が実現される。このように、本実施の形態に係る変位センサは、所望の精度及び応答速度に容易に調整できる。
【0022】
発振回路76と接続された平面状コイル1は、これに対向するよう近接する測定対象物WKである導電性部材(対向金属等の導電体)があると、発振回路76で発振周波数を測定することにより、平面状コイル1と導電性部材との間の距離、あるいは距離変化を演算できる。ここで、静電結合に基づく変位検出について説明する。静電結合分布インダクタンス型変位検出では、距離を測定するインダクタと導電体を静電的に結合する。静電結合を最大にするために、距離を測定するためのインダクタを2次元状の構造にする。2次元状に分布する平面状インダクタに導電体を接近させると、静電結合が最大になるので、距離を測定する平面状インダクタの感度が増加し、消費電力が最小になる。2次元状に分布する平面状インダクタと導電体が静電的に結合すると、2次元状に分布する平面状インダクタの導体部と導電体は等価的にキャパシタとなる。すなわち、2次元状に分布する平面状インダクタの導体部は分布キャパシタの一方の電極となり、他方の電極は導電体になる。一般的に、回路に流れる電流の周波数が高くなると、キャパシタに流れる電流は増加するが、平面状インダクタに流れる電流は減少する。2次元状に分布する平面状インダクタと導電体の距離が短くなると、分布キャパシタの容量は増加するので、2次元状に分布する平面状インダクタのインダクタンスが等価的に減少する。すなわち、インダクタンスが減少するので、発振回路76に流れる電流の周波数は増加する。したがって、周波数の変化を検出すれば、2次元状に分布する平面状インダクタと導電体の距離の変化を測定することが可能になる。
【0023】
変位センサの回路図を図4に示す。この変位センサは、発振回路が発振コイルL1とキャパシタC1が直列に接続されたLC発振回路で構成され、CMOSインバータ(発振用)72及び(バッファ用)73が接続されている。発振回路を高周波で発振させ、発振コイルL1から発される磁界によって、導電体の表面に電磁誘導による誘導電流が発生し、電磁エネルギーとして消費する。導電体が移動して発振コイルL1に接近すると、発振回路に発振周波数の変化が生じる。なお図4の例では、CMOSインバータ(発振用)72の入力側に回路自体の抵抗成分R1が存在しているが、別途抵抗を付加することもできる。また、入力側に接続するキャパシタC1は、固定式とする他、他のキャパシタと交換可能とすることもできる。特に、キャパシタC1を可変コンデンサとすることで、LC発振回路の発振周波数を調整可能とし、装置毎の素子の特性ばらつき等に起因する発振周波数の不一致を解消することもできる。さらにCMOSインバータ(発振用)72の出力側をフィードバックすることで、フィードバック制御による出力安定化を図ることもできる。
【0024】
次に、変位センサで変位量を検出する検出システムのブロック図を図5に示す。このブロック図は、発振回路76、周波数カウンタ77、バッファ回路78及び制御回路79を備える。これらは専用ICにより構成できる。検出対象に圧力が加えられて検出対象面が移動すると、変位センサに内蔵される発振回路76の周波数fが変化する。周波数カウンタ77を用いて、周波数fを測定し、測定データをバッファ回路78に格納する。周波数カウンタ77とバッファ回路78は制御回路79によって制御される。バッファ回路78に格納されているデータを読み出すことにより、変位を測定することが可能となる。また必要に応じて駆動電力を安定化させる安定化電源回路80を付加することもできる。また図5の回路例では、周波数カウンタの出力を変調する変調回路を設けず、周波数カウンタの結果を直接出力することで回路の簡素化と処理の軽減を図っている。ただ、変調回路等を設けて変調して伝送することも可能である。
【0025】
この変位センサの動作原理を、図1のブロック図に基づいて説明する。この図は、変位の測定対象物WKである導電体と、変位センサを構成するセンサIC95と、測定結果を表示するための表示部98とを示している。変位センサは、導電体に対してセンサIC95を対向させて、分布インダクタンスとの間で分布キャパシタンスを生じさせ、これによってLC発振回路を構成し、発振周波数をセンサIC95の周波数カウンタによって計測する。センサIC95は周波数カウンタのカウント値をデジタル信号として表示部98に出力し、表示部98は長さの単位に変換して表示する。周波数カウンタでカウントするデジタル回路は、簡単な構成で実現できる。従来のようなアンプは不要とできる。特に、アナログ系のセンサでは、測定値の瞬間的な測定となるため、瞬間的に得られたデータを高精度で検出しようとすれば分解能の高い高性能なアンプが必要となり、コストが高くなる。これに対して、カウンタは安価であり、しかも累積的な計数で処理されるため、サンプリング時間を長くすることで分解能を向上できる。この結果、極めて安価な回路を使用して高精度な測定が実現される。またアナログ回路で問題となり得るドリフト等の問題もなく、2万回転以上の回転数にも対応可能な高性能な変位センサが実現できる。さらにデジタル信号による処理が行えるため、A/D変換器等も不要で、直接コンピュータ等に出力が可能となる。センサIC95にはチップサイズパッケージ等、小型化したタイプが好適に使用できる。図2に示すように、対向する金属等の導電体とセンサIC95との距離に応じて、発振回路76の発振周波数は変化する。特に、図2においてAで示すように、0mm〜1mmの範囲で発振周波数の変化が大きいため、この領域を使用すれば極めて高分解能で精度の高い測定が可能となる。この方式は渦電流方式と似ているが、高周波帯域を使用して分解能を格段に向上できる。特に発振周波数が数十MHz〜数百MHzといった高いオーダで使用できるため、対向する導電性部材の厚みによる影響を殆ど受けることなく、変位を高精度で測定できる。さらに回路の小型化も実現でき、低消費電力での駆動が可能となる。
【0026】
以上の静電結合分布インダクタンス型変位センサは、空間分解能が高くμm〜nmオーダでも瞬時に測定できリアルタイム処理に適しており、またデジタル出力が得られるためA/D変換が不要である等の利点が得られる。なお上記の実施例では、変位センサとして静電結合分布インダクタンス型変位センサを使用した。このような変位センサは、本出願人が先に開発した距離測定用ICが利用できる。この距離測定用ICの詳細は、特許文献2に記載されるので、詳細説明を割愛する。ただ、他の方式を利用した変位センサとして、例えばレーザ光変位センサや静電容量型変位センサ、渦電流型変位センサ等を利用することも可能である。このようにセンサICにカウンタ基板を一体に組み込むことで、変位センサの更なる小型化、低消費電力化を図ることができる。
(平面状コイル1)
【0027】
平面状コイル1は、好ましくはセンサヘッド10から表出するように配置される。例えばセンサヘッド10を、基板上にICなどの部品を実装して構成する場合は、基板の実装面の裏面側に平面状コイル1を設ける。また、平面状コイル1の表面は外部からの汚れや酸化防止等のために保護膜で被覆することが好ましい。この意味で、表出するとは、必ずしも平面状コイル1が露出されていることを意味するものでなく、センサヘッド10の表面近傍に配置される例も含む。
【0028】
上記の例では、平面状コイル1として角形のスパイラルコイルを使用した。図6(a)に、角形スパイラルコイル2の平面図を、図6(b)に、角形スパイラルコイル2の断面図を示す。角形スパイラルコイル2は、矩形状の領域に高密度で配置することが容易であリ、実装密度が高いという利点を有する。ただ、角形コイルに限られず、図7(a)に示すように丸形のスパイラルコイル4を使用することも可能である。図7(b)に、丸形のスパイラルコイル4の断面図を示す。丸形スパイラルコイル4は位置検出を高精度に行うことができるという特長がある。これらの平面状コイル1は構成が簡単で、極めて小型化することができる利点が得られる。
【0029】
分解能を高めるため、限られた面積に有効にコイルを配置するよう、コイルの小型化と巻線数の増加が望まれている。ただ、コイルの小型化を目指すと、コイルの線幅が細くなると共に巻数が少なくなり、製造が複雑化し、精度も低下する傾向にある。そこで、コイルの小型化を測りつつ、巻数を確保するために、本実施の形態では図8及び図9に示すように、コイルを多層化する構成を採用することもできる。図8(a)は、角形スパイラルコイル3を2層構造とし、図8(b)に示すように上下の層でコイルをオフセット状に配置している。これにより、コイルの線幅を維持しつつ、実質的に巻数を増やすことができる。コイルの線幅(パターン幅)が広いほど、コイルの抵抗を小さくして発振を安定化させることができ、より高精度な検出が可能となる。図9(a)、(b)の丸形スパイラルコイル5の2層構造も、同様の利点が得られる。
【0030】
このような2層構造は、コイルのパターンを形成する基板を両面基板や積層基板などの多層基板とすることで、容易に実現できる。上下層のコイルは、スルーホール等を介して接続できる。平面状コイル1は厚さが極めて薄いため、両面基板としても実質的な厚さを大きくすることなく、巻数を増やすことが可能となる。このように、コイルの小型化と巻数増加による高性能化を測ることができる。
(コントローラ30)
【0031】
上述の通り、検出動作時間は時間制御手段23に入力される制御信号より制御される。コントローラ30側には、制御信号を送出するための動作時間指示手段31が備えられている。またコントローラ30に、周波数カウンタで計数された発振周波数に基づいて距離を演算する機能を持たせてもよい。
(センサヘッド10)
【0032】
図10に、変位センサシステム100の外観斜視図を示す。この図に示す変位センサシステム100は、センサヘッド10とセンサ本体20で構成される。センサヘッド10は、平面状コイル1を備える突出基板であり、センサ本体20の端面から、リード12を介して直交する姿勢に突出された姿勢に固定される。センサヘッド10はセンサ本体20と半田付け等により、電気的、機械的に固定される。よって、測定対象物WKの大きさ等に応じた、適切な大きさ、形状の平面状コイル1を備えるセンサヘッド10を製造時に選択することで、目的や用途に応じた最適な変位センサシステムが実現できる。またセンサヘッドをセンサ本体20と着脱式としてもよい。
【0033】
センサヘッド10は、対向する測定対象物WKとの平行性を高めることで、より安定した測定が可能となる。したがって、変位センサシステムを設置する際は、測定対象物WKとセンサヘッド10の平行が維持されるように精密な位置決めを行う。またこれに関連して、センサヘッド10自体、あるいは対向する測定対象物WK(対向金属)の面精度を上げることで安定した測定が可能となる。
【0034】
LC発振回路のL(インダクタ)成分の変化量は、変位センサの性能に大きく寄与する。平面状コイル1であるスパイラルコイルのL成分に対向する、測定対象物WKである導電体が近づくことにより、図1に示すように分布インダクタの容量が小さくなる。このときの発振周波数fは、f=1/2π√LCで表現できる。ここでLの変化量を大きくするために、平面状コイル1はより導電性の高いものを使用することが好ましい。コイルの材質としては、Agが最も好ましく、またCuや金等も好適に利用できる。これによってセンサの高性能化が実現できる。さらに対向金属の材質も、平面状コイル1と同様に導電性が高い程Lの変化量が大きくなり、高分解能な測定が可能となる。また対向金属がセンサヘッド10よりも大きければ最大限の変化が得られる。逆にセンサヘッド10より対向金属が小さいと大きさに比例して分解能又は応答性が犠牲となる。よって、測定対象物WKの大きさに応じて、適切なサイズ、形状のセンサヘッド10を選択することが好ましい。
(センサ本体20)
【0035】
センサ本体20は、周波数カウンタとデジタル出力手段24を一体にしたセンサIC95を基板に実装している。さらに発振回路も同一のICに統合してもよい。この構成の変位センサシステムは、センサヘッド部分を共通として、既存の平面状コイルを利用してセンサ本体のみを変更することにより検出動作時間を制御可能とすることができ、利便性に優れる。
【0036】
なお、図10のようにセンサヘッド10とセンサ本体20とを別体とする構成の他、図11に示すように、基板14の一面に平面状コイル1を、反対の裏面側にICを実装した一枚の基板14に変位センサを纏めることもできる。これにより、平面状コイル1を一体化した薄型の変位センサとして、狭い場所にも配置可能な高性能の小型変位センサが実現できる。
【0037】
センサIC95は、0.5μmのCMOSプロセスの他、より高速な応答性を実現するために0.35μmのCMOSプロセスを使用することが好ましい。またCMOS内の配線を自動配線から手動配線にすれば、最も応答性が要求されるLC発振回路接続部分を最短化することができる。このようにして動作周波数を300MHzから570MHzに向上でき、高速応答性が実現される。
【0038】
一方で、LC発振回路の寄生成分であるC(キャパシタ)をより小さくするために、発振回路で使用するインバータの出力電流値を抑えることが好ましい。このようにしてC成分を低減することで、より高速応答性に寄与する。
【0039】
さらにセンサIC95の積算回路は、高ビット数とする程高性能となる。例えば17ビットの場合は、217で131071段階の表現が可能であるところ、32ビットとすることで、232となって4294967295段階の表現が可能となり、17ビットの場合の32768倍の分解能に向上できる。
【0040】
比較例として、従来の17ビットのセンサIC95を使用した場合、測定時間0.4msで測定上限は200μm、最小分解能は9nm/CNT、最大分解能は3nm/CNTであるところ、本実施の形態では測定時間10msで測定上限1000μm、最小分解能5nm/CNT、最大分解能は0.11nm/CNTとできる。すなわち、本実施の形態によれば、10msの測定を実施すれば10μm以下の最接近の測定では水素原子サイズである約0.1nmの分解能での超高精度測定が実現できる。さらに測定時間を長くすれば、分解能はこれに比例してより微細に検出可能となる。例えば測定時間を1秒とすれば、分解能は1.1×10-3nmとなり、17分まで延長すれば分解能は1fmとなり、電子や中性子と同等レベルまでの測定も実現できる。
【0041】
センサヘッド10やセンサ本体20を構成する基板材料は、一般的なガラスエポキシ基板の他、好ましくはセラミック基板とする。セラミック基板は膨張係数がガラスエポキシ基板よりも小さいため、センシング部分の平板状コイルへの影響が軽減される結果、センサの安定化が図られより信頼性の高い測定が可能となる。
【0042】
さらに上記の構成では、アナログ信号のやりとりは平面状コイル1とセンサIC95との間のみとなり、外部とはデジタル信号でのやりとりとなる。よってアナログ信号系がセンサ内部で閉じているため、外部からのノイズにも強い高S/Nが実現でき、この点においても信頼性の高い高性能変位センサが実現できる。
【0043】
このように、従来の平面状コイルを使用した変位センサで測定精度を高めようとすれば、高精度の高価なA/Dコンバータやアンプを用いる必要があったが、本実施の形態では、そのような部材を不要としつつ、センサIC95やコイルを実装した基板のみで、高精度の測定結果をデジタル信号で得ることができるという極めて優れた特長を備える。
(実施例)
【0044】
次に、変位センサの具体的な構成例として、図12にセンサIC95のブロック図、図13にタイミングチャートを示す。図12に示すセンサIC95は、周波数カウンタを構成するカウンタ回路22Aと、デジタル出力手段24を構成するパラレル出力回路24A及びシリアル出力回路24Bを備える。このようなデジタル出力手段24を備えることで、アンプやA/Dコンバータを別途用意することなく、そのままPLCやPC等に接続できる。
【0045】
またこのセンサIC95は、複数の外部端子を備えており、OUT11とIN11にセンサヘッド10の接続端子を構成する。またこのセンサIC95は発振回路を2組備えており、2系統の入力を可能としている。ここではOUT12とIN12にもセンサヘッド10を接続できる。これらの出力側端子OUT11、12はバッファ、入力側端子IN11、12はバッファとインバータを介してカウンタ回路22Aと接続される。
【0046】
さらにセンサIC95には時間制御手段23を構成する制御端子としてIN2が設けられ、カウンタ回路22Aと接続される。この制御端子IN2に、コントローラ30の動作時間指示手段31から制御信号が入力されて、検出動作時間を制御できる。すなわち、図13のタイミングチャートに示すように、制御端子IN2の端子がHIGHのとき測定を行い、LOWのとき測定を終了する。すなわち制御端子IN2でカウンタ回路22Aのホールド、リセットを行う。ここでは制御端子IN2に矩形波を入力し、立ち上がりでカウンタ回路22Aをリセットし、立ち下がりでホールドされて、積算された数値データがカウンタ回路22Aからシリアルで出力される。また測定途中でも測定周期を動的に変更可能としている。これにより、測定精度、応答速度をダイナミックに変更可能とできる。
【0047】
このように本実施の形態では、ハードウェア的な制約を受ける測定の精度自体は変わらないものの、発振周波数を積算して平均値で距離を演算するため、積算時間を長くすることでより高分解能の測定が可能となる。すなわち同じ分解能の測定を連続的に行うことで、トータルの分解能を向上できる。また、外部機器からの積算時間すなわち測定精度及び速度のコントロールが可能となる。
【0048】
カウンタ回路22Aは32ビットの出力0〜31を備えており、各々がパラレル出力回路24A、シリアル出力回路24Bに接続されている。パラレル出力回路24Aは、カウンタ回路22Aから出力されるシリアル信号をパラレル信号に変換して出力する。各出力は8ビットのパラレル出力端子POUT0〜7より出力される。一方、シリアル出力回路24Bはカウンタ回路22Aから出力されるシリアル信号を、外部のクロック端子CLKから入力されるクロックにしたがって、シリアル出力端子SOUTから出力する。このように、センサIC95はパラレル、シリアルの2系統の出力端子を有しており、計数された発振周波数を所望の形式のデジタル信号値として得ることができる。これらの出力値を、コントローラ30等で受けてセンサヘッド10と測定対象物WKとの距離変化を演算する。
【0049】
以上の変位センサは、平面状のコイルと内部キャパシタンスによってセンサ自体が高周波で発振し、センサに内蔵したカウンタによりデジタル出力を得ることができる。特に200〜300MHzの高周波帯域を利用することで、高分解能を実現できる。また、測定対象物の厚みに左右されないという利点も有する。このように、センサヘッド10に対向する導電性物質等の測定対象物の位置変化をナノミクロン乃至サブミクロンのオーダーといった高い分解能で検出することができる。また従来の変位センサでは得られた電圧、電流波形を精々整流するのみで、積算という思想はなく、発振周波数はハードウェア的に固定されていた。これに対し、本実施の形態では外部から変位センサを制御し、積算時間を変化することで距離測定性能を変化できる。具体的には積算時間を減らすことで応答性を上げられ、また積算時間を長くすることで精度を上げられる。
【0050】
なお測定対象物である導電性物質は、主として金属であるが、金属でない導電性物質、例えば導電性の液体等の接近距離を測定することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の変位センサシステム及び変位センサは、家電、計測機器、医療・福祉機器、生産ライン機器、セキュリティ機器、運動器具、ゲーム機など、幅広い領域での変位測定・振動・物体運動の検知に利用できる。特に高精度の測定が要求される紙幣の真贋分析や、燃料電池の液面の検出等に好適に利用できる。また薄型化、小型化に適しているので、狭いスペースへの設置も容易となる。さらに非接触での距離測定のみならず、面状の距離測定領域に接触された測定対象物との距離を検出することも可能であり、タブレットやタッチパネル、指紋センサ等にも好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】渦電流式変位センサの動作原理を示すブロック図である。
【図2】導電体とセンサICとの距離に応じて、発振回路の発振周波数が変化する様子を示すグラフである。
【図3】本発明の実施の形態に係る変位センサシステムの構成を示すブロック図である。
【図4】変位センサの発振回路を示す回路図である。
【図5】変位センサの構成を示すブロック図である。
【図6】角形スパイラルコイルを示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図をそれぞれ示す。
【図7】丸形スパイラルコイルを示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図をそれぞれ示す。
【図8】2層構造とした角形スパイラルコイルを示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図をそれぞれ示す。
【図9】2層構造とした丸形スパイラルコイルを示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図をそれぞれ示す。
【図10】変位センサシステムの外観斜視図である。
【図11】他の変位センサシステムを示す外観斜視図である。
【図12】センサICのブロック図である。
【図13】図12のセンサICの動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0053】
100…変位センサシステム
1…平面状コイル
2、3…角形スパイラルコイル;4、5…丸形スパイラルコイル
10…センサヘッド;12…リード;14…基板
20…センサ本体;22…周波数検出手段;22A…カウンタ回路
24…デジタル出力手段;24A…パラレル出力回路;24B…シリアル出力回路
30…コントローラ;31…動作時間指示手段
72…CMOSインバータ(発振用);73…CMOSインバータ(バッファ用)
76…発振回路;77…周波数カウンタ;78…バッファ回路;79…制御回路
80…安定化回路;95…センサIC;98…表示部
C1…キャパシタ;L1…発振コイル;R1…抵抗成分;WK…測定対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物との間の距離を非接触で測定可能な変位センサシステムであって、
平面状コイルと、
前記平面状コイルと電気的に接続された発振回路と、
前記平面状コイルに近接する測定対象物と前記平面状コイルとの距離に応じて、前記発振回路の発振周波数が変化する様子を検出可能な周波数検出手段と、
前記周波数検出手段で検出された発振周波数をデジタル信号として出力可能なデジタル出力手段と、
前記周波数検出手段で発振周波数を検出する検出動作時間を制御可能な時間制御手段と、
前記時間制御手段に対して、検出動作時間を指示する制御信号を送出可能な動作時間指示手段を有するコントローラと、
を備え、
前記周波数検出手段で検出された発振周波数に基づいて測定対象物と前記平面状コイルとの距離変化を演算し、該演算結果を前記デジタル出力手段によりデジタル値として出力可能とした周波数方式の変位センサシステムであって、
距離測定の測定精度及び距離測定結果を得るまでの応答時間に応じて、検出動作時間を可変としてなることを特徴とする変位センサシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の変位センサシステムにおいて、
前記周波数検出手段が、発振周波数を計数して積算可能な周波数カウンタで構成されてなり、
前記動作時間指示手段で前記周波数カウンタの積算時間を制御可能に構成してなることを特徴とする変位センサシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の変位センサシステムにおいて、
前記周波数カウンタは、前記動作時間指示手段から入力される矩形波で積算時間を制御されてなり、
矩形波の立ち上がりで周波数カウンタがリセットされ、立ち下がりでカウント動作がホールドされて、その時点までに積算されたカウント値が前記デジタル出力手段によりシリアルデータとして出力されてなることを特徴とする変位センサシステム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一に記載の変位センサシステムにおいて、
前記発振回路の発振周波数が、30MHz以上であることを特徴とする変位センサシステム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一に記載の変位センサシステムであって、
前記平面状コイルが、丸形又は角形のスパイラルコイルであることを特徴とする変位センサシステム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一に記載の変位センサシステムにおいて、
前記発振回路と周波数検出手段とデジタル出力手段が同一の基板上に実装されてセンサ本体を構成しており、
前記平面状コイルは、センサ本体から突出するセンサヘッドを構成してなることを特徴とする距離測定用センサシステム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一に記載の変位センサシステムにおいて、
周波数カウンタ及びデジタル出力手段が、パッケージ化されたICで構成されてなることを特徴とする変位センサシステム。
【請求項8】
測定対象物との間の距離を非接触で測定可能な変位センサにおいて、
平面状コイルと、
前記平面状コイルと電気的に接続された発振回路と、
前記平面状コイルに近接する測定対象物と前記平面状コイルとの距離に応じて、前記発振回路の発振周波数の変化を、30MHz以上の発振周波数を計数して積算することで検出し、積算値をデジタル値で出力可能な周波数カウンタと、
前記周波数カウンタで検出された発振周波数をデジタル信号として出力可能なデジタル出力手段と、
前記周波数カウンタで発振周波数を検出する積算時間を制御可能な時間制御手段と、
を備え、
前記周波数カウンタで検出された発振周波数に基づいて測定対象物と前記平面状コイルとの距離変化を演算し、該演算結果を前記デジタル出力手段によりデジタル値として出力可能としたことを特徴とする変位センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−192385(P2009−192385A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−33780(P2008−33780)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(595145887)日本システム開発株式会社 (4)
【Fターム(参考)】