説明

変調器およびそれを用いる増幅器

【課題】寄生振幅変調を自動的に除去し、LINC変調器の出力端子で変調器に入力される信号を再構成する変調器を提供する。
【解決手段】非線形コンポーネントを有するLINC変調器は、ソース信号から複数の定数包絡信号を生成する分離器と、前記複数の定数包絡信号が通過する複数のアームであって、入力信号の第一の周波数部分を含む第一の信号を生成するフィルタと、前記第一の信号の前記第一の周波数部分とは異なる周波数である、前記入力信号の第二の周波数部分を含む第二の信号を生成し、前記第一の信号と前記第二の信号を用いて定義される、前記第二の信号の周波数信号ディストーションを実行し歪んだ信号を生成するプロセッサと、前記第一の信号と前記歪んだ信号を掛け合わせて前記定数包絡信号を再構成する直交変調器と、を含む複数のアームを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変調器およびそれを用いる高電力増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信において通信標準の第三世代(3G)および来たる第四世代に適する(4G)高線形性および高効率の電力増幅器を開発することに大きな興味が存在する。これらの新しい標準はより多くのそしてより良いデータサービスを提供するポテンシャルを有している。しかしながら、制限された周波数帯の中で高線形性および高効率電力増幅器を確立するために、高いピーク対平均電力比(たとえば、広帯域符号分割多重アクセス(WCDMA)〜10dB)を有する信号を用いることが要求され、送信増幅器の高い線形性を必要とする。よって、一般に、電力増幅器はピーク電力条件を鑑みて設計されるが、多くの場合、十分に低い電力レベル(電力ピークオフ)で動作する。結果として、これらの信号で動作する電力増幅器は、ピーク効率は高いが、平均増幅効率は比較的低く機能することがある。
【0003】
この理由のため、たとえば、ドハティ電力増幅器(DPA)、非線形コンポーネント(NLNC)を用いる線形増幅、ベロープ・トラッキング(ET)等の高効率電力増幅器に改めて興味が持たれている。増幅器のこれらのタイプは、現在のおよび上述の次期の通信標準に適する可能性のある候補として現在、研究されている。このような無線周波数(RF)増幅器は、一般的なRF増幅器よりも高効率と高線形性を要求する。特に、改善された効率、低い複雑さ、および低コストにより、2ウェイDPAが既に市場に出回っている。DPAは、全般的に、一般的な平衡増幅器より高い効率である。一般的な設計では、増幅歪み及び位相歪みのみ焦点が当てられるが、記憶効果および線形性は最近、非常に重要な因子となっている。そのようなDPAの一般的な構造は、3次および5次の混変調歪み(IMD)のような高い歪みを導く弱点を有している。たとえば、そのような歪みは信号同期点でのインピーダンスの突然の変化によって引き起こされる。DPAの構造によって歪みを減らすために、複素補償器が必要である。記憶効果は、電気的記憶効果および電熱的記憶効果を含む。電気的記憶効果は、ベースおよび高調波帯でのバイアスおよびマッチング回路インピーダンス変化によって引き起こされる。電熱的記憶効果は、デバイス温度によるFET電力増幅利得変化である。電熱的記憶効果は、不可避の因子である。
【0004】
したがって、効率および出力電力を増やすために、複合高電力増幅器(C−HPA)のような適切な補償器構造が導入されている。そのようなC―HPAは幾つかの独立の高電力増幅器(HPA)を含む。最も一般的な構成は、非線形コンポーネントを用いる線形増幅(LINC)として知られる、2つのHPAを有するC−HPAである。
【0005】
LINC技術は、最初、マイクロ波周波数で線形増幅を実現する方法として1974年に提案された。増幅器に対するLINCの基本スキームは、高効率および高非線形性であると仮定される2つのRF HPAを有する。RFソース信号x(t)は、2つの定数包絡位相変調信号x(t)、x(t)に、信号分離または生成過程の機能を有する信号成分分離器(SCS)により分離され、各々は、それぞれ自身が有する非線形RF電力増幅器に送られる。HPAは、出力信号y(t)、y(t)が最結合のための加算分岐器に送られる前に、出力信号y(t)、y(t)を生成するために、各信号の電力を別々に増幅する。加算分岐器からの結果の出力信号はよって、もし、HPAを構成する全てのコンポーネントが理想的なものであれば、いかなる歪みも含まない元々の入力信号が増幅されたものである。
【0006】
多くの事例において、デジタル−アナログ変換器(DAC)出力における帯域幅は無制限であると仮定されている。しかしながら、多くの場合、そのような仮定は適用可能ではない。通常、DACは、その出力においてローパスフィルタ(LPF)を有する。そのようなLPFは、寄生振幅変調(AM)をDAC出力信号に導入する。そのような寄生AMおよび非線形HPAを用いると、全送信信号再構成は可能ではない。よって、帯域外スペクトル成分がHPA出力信号スペクトルに生じている。
【0007】
元々の信号x(t)は狭いスペクトルを有するにも関わらず、信号成分分離(SCS)動作は、C−HPAアームで信号x(t)、x(t)に対して十分に大きなスペクトル拡大を引き起こす。たとえば、上で引用された特許文献1および非特許文献1−4で開示されている従来技術は、広帯域信号x(t)、x(t)をいかなる歪みもなく通過し、HPA(以下、HPAおよびHPAとして引用することがある)に入力し得る無制限の帯域(すなわち、超広帯域理想的DAC)を有する理想的アームが仮定される。アームで最も重要な素子は、DACであり得るが、それはその帯域幅が動作クロックによって制限されるからである。動作クロックは、典型的には、入手可能な低エンド/ミドルエンド市販集積回路(LSI)に対しては100〜150MHzである。一方、ワールドワイド・インターオペラビリティ・フォー・マイクロウェーブ・アクセス(WiMAX)、ロング・ターム・エボリューション(LTE)、広帯域符号分割多重アクセス(W−CDMA)などのようなブロードバンド応用に対するDACは、信号x(t)、x(t)中の歪みを避ける目的で、非常に高度な広帯域を提供しなくてはならず(数百MHzのオーダーの高いクロック周波数で動作させなくてはならず)、同時に、例えば800MHzで14ビット分解能のような、高レベルのビット分解能(量子化)を提供しなくてはならない。そのような高速かつ高分解能ハイエンドDACのコストは高い。
【0008】
DAC入力(またはDAC出力)におけるLPFのような高周波回路のコンポーネントによって引き起こされる周波数制限は、信号x(t)、x(t)に対するHPAおよびHPA入力において寄生AMをもたらす。LPFは、信号x(t)、x(t)の高周波数部分をカットする。LPFによってカットされた高周波数成分は、LPF出力において信号に望ましくない寄生AM変調を引き起こす。そのような寄生AMは、信号y、yの結合後、帯域外スペクトル成分の増大をもたらす。一般に、LPFを通過した信号の結合後の完全信号再構成は難しくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−172352号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】J.H. Qurehi et al, “90-W Peak Power GaN Outphasing Amplifier With Optimum Input Signal Conditioning”, IEEE Trans On Microwave Theory And Techniques, Vol. 57,No. 8, pp.1925-1935, 2009
【非特許文献2】Ilkka Hakala et al, “A 2.14-GHz Chireix Outphasing Transmitter”, IEEE Trans On Microwave Theory And Techniques, Vol. 53, No.6, pp. 2129-2138, 2005
【非特許文献3】W. C. Edmund et al, ”A Mixed Signal Approach Towards Linear And Efficient N-Way Doherty Amplifiers”, IEEE Trans On Microwave Theory And Techniques, Vol. 55, No. 5, pp. 866-879, 2007.
【非特許文献4】Paloma Garcia, Jesus de Mingo, Antonio Valdovinos and Alfonso Ortega, “Adaptive digital correction of gain and phase imbalances in LINC transmitters”, Vehicular Technology Conference, 2004. VTC 2004-Spring. 2004 IEEE 59th, Vol. 3, pp. 2137-2141
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
RF信号が2つ以上の独立アームを有するC−HPAであって、アームのそれぞれが帯域幅制限を有する高電力増幅器(HPA)を有するC−HPAで増幅されるときに問題が生じる。そのような周波数制限は、LPFの周波数特性、低速DAC、および/または狭帯域直交変調器に原因が帰せられ得る。
【0012】
本発明の目的の一つは、変調器であって、寄生振幅変調を自動的に除去し、LINC変調器の出力端子で変調器に入力される信号を再構成する変調器を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、増幅器であって、自動的に寄生振幅変調を除去し、LINC変調器の出力端子で変調器に入力される信号を再構成する増幅器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
非線形コンポーネントを有する線形増幅(LINC)変調器が提供される。LINC変調器は、ソース信号から複数の定数包絡信号を生成する分離器と、前記複数の定数包絡信号が通過する複数のアームであって、前記定数包絡信号の成分の周波数をスレッショルド周波数と比較し、所定の周波数より低い周波数から構成される、前記入力信号の第一の周波数部分を含む第一の信号を生成するフィルタと、前記第一の信号の前記第一の周波数部分とは異なる周波数である、前記入力信号の第二の周波数部分を含む第二の信号を生成し、前記第一の信号と前記第二の信号を用いて定義される、前記第二の信号の周波数信号ディストーションを実行し歪んだ信号を生成するプロセッサと、前記第一の信号と前記歪んだ信号を掛け合わせて前記定数包絡信号を再構成する直交変調器と、を含む複数のアームを含む。
【発明の効果】
【0015】
LINC変調器は複合高増幅器アーム中の狭帯域回路、たとえば、自動的に寄生振幅変調を除去し、LINC変調器の出力端子で変調器に入力される信号を再構成するデジタル−アナログ変換器(DAC)を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】C−HPA中の周波数制限と個々のHPAからの出力信号が結合された出力信号y(t)を有するC−HPAの例を示す機能図である。
【図2】C−HPAの入力信号x(t)のスペクトルを示す図である。
【図3】信号補償分離器(SCS)後のC−HPAアーム中の信号(xおよびx)のスペクトルを示す図である。
【図4】LPF出力でのC−HPAアーム中の信号に対するスペクトルを示す図である。
【図5】通過帯20MHz、40MHz、および60MHzのアームのLPFに対するC−HPA出力信号スペクトル(信号yに対するスペクトル)を示す図である。
【図6】非線形コンポーネント(LINC)変調器を用いる線形増幅のための信号アームを示す機能図である。
【図7】本発明の実施形態の狭帯域線形LINC変調器を示す機能図である。
【図8】本発明の実施形態の狭帯域線形LINC変調器に対するデジタル信号プロセッサ(DSP)ブロック内部構成を示す機能図である。
【図9】通過帯域20MHz、40MHz、および60MHzのアームのLPFの狭帯域線形LINC変調器に対するC−HPA出力信号スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照して、本発明の詳細な記載を提供する。図面では、類似の符号は異なる図面の類似のコンポーネントを記載し得る。異なる下付き文字を有する類似の符号は類似のコンポーネントの異なる瞬間を表すことがあり得る。図面は、一般に、例示であるが、限定ではない仕方で、本明細書中で議論される幾つかの実施形態を示す。
(比較例)
【0018】
最初に、複合高電力増幅器(C−HPA)の比較例を説明し、本発明の好適な実施形態の技術的特徴の理解を容易にしよう。
【0019】
図1は、複合高電力増幅器(C−HPA)100の例を示す機能図である。C−HPA100は、C−HPAアームの各々で周波数の限定を受け、個々の高電力増幅器(HPA)からの信号が結合される方法で得られる出力信号y(t)を生成し得る。
【0020】
図1に示されているC−HPA100は、高周波回路の幾つかのコンポーネントを含む。コンポーネントは、単一の成分分離器(SCS)102、2つのローパスフィルタ(LPF)(時として単にフィルタとして参照される)104aおよび104b、2つのデジタル−アナログ変換器(DAC)106aおよび106b、2つの第一の直交変調器(または時として簡単のため、2つの直交変調器として参照される)108aおよび108b、局部発振器110、第一の高電力増幅器(HPA)112a、第二の高電力増幅器(HPA)112b、および結合器114を含む。SCS102、LPF104a、104b、DAC106a、106b、第一直交変調器108a、108b、および結合器114は、非線形コンポーネントを用いる線形増幅(LINC)変調器150を構成する。
【0021】
SCS102は、2つの定数包絡信号、すなわち第一の定数包絡信号x(t)と第二定数包絡信号x(t)を、ソース信号x(t)、すなわちベースバンドソース信号x(t)を用いて生成する。別の言葉では、ソース信号x(t)は、SCS102によって、2つの定数包絡信号x(t)とx(t)に分離される。もしソース信号x(t)が
【数1】

のように書けるならば、2つの2つの定数包絡信号x(t)とx(t)は、
【数2】

のように計算される。ここで、
【数3】

であり、e(t)は、ソース信号x(t)に直交する信号
【数4】

である。
【0022】
よって、x(t)=x(t)+x(t)かつ|x(t)|=|x(t)|であり、ここで|x|はxの絶対値を表す。ソース信号x(t)は時間に依存する振幅であるが、x(t)およびx(t)は時間に依存しない定数振幅であることに注意しよう。
【0023】
図2は、式(1)中のソース信号x(t)のスペクトルを示している。ソース信号x(t)は狭いスペクトルを有することが分かろう。しかしながら、信号成分分離動作は、図3に示されているように、信号x(t)、x(t)に対して大きなスペクトル拡大を引き起こす。
【0024】
LPF104aおよび104bはそれぞれ、SCS102からの出力信号x(t)およびx(t)から、所定のサンプリング周波数より高い周波数成分およびノイズ成分を除去する。別の言葉では、LPF104aおよび104bは、所定のサンプリング周波数より低い周波数成分のみを通過させる。
【0025】
LPF出力(またはHPA112aとHPA112bの入力と同じこと)における信号のスペクトルが図4に示されており、LPF104aおよび104bはSCS102からの出力信号x(t)およびx(t)から10MHzより高い周波数成分を除去し得ることが示されている。LPFによってカットされた高い周波数線分は、LPF104aおよび104bの出力端子において信号に望ましくない寄生AMを引き起こす。
【0026】
DAC106aおよび106bはそれぞれ、LPF104aおよび104bからの出力信号をデジタルからアナログに変換する。
【0027】
局部発振器110は、位相ロックループ(PLL)によって制御され得る電圧制御振動器を用いる周波数結合器等のような振動回路である。局部発振器110は、局部発振信号を第一の直交変調器108aおよび108bに出力する。
【0028】
第一の直交変調器108aは、周波数を周波数変換(アップコンバート)し、DAC106aを局部発振器110からの局部発振信号と混合するためのミキサを含む。よって、第一の直交変調器108aは、出力信号を生成するために入力信号を定数倍させる乗算器として機能する。混合後、第一の直交変調器108aは、DAC106aからの出力信号を所定の周波数にアップコンバートする。理想的には、第一の直交変調器108aは、定数包絡信号x(t)を生成および出力する。
【0029】
第一の直交変調器108bは、第一の直交変調器108aと類似の構成および機能を有する。理想的には、第一の直交変調器108bは、定数包絡信号x(t)を生成および出力する。
【0030】
第一の高電力増幅器(HPA)112aは、第一の直交変調器108aからの出力信号を増幅し、増幅信号を結合器114に出力する。同様に、第二の高電力増幅器(HPA)112bは、第一の直交変調器108bからの出力信号を増幅し、増幅信号を結合器114に出力する。
【0031】
各アームの第一の直交変調器108a、108bは、レベル依存の複素利得Gによって特徴付けされ得る。よって、出力信号y(t)、y(t)は、
【数5】

で与えられ得る。
【0032】
結合器114は、結合器114への入力信号、今の場合はHPA112aとHPA112bからの信号を結合し、増幅器100からの出力信号y(t)を生成する。今の場合、出力信号y(t)は、
【数6】

となる。(7)の第二項は、利得と位相のマッチングが完全ではないとき、すなわち、不完全な相殺が生じるとき、望ましくない残留信号が存在することを意味している。この項は、隣接アームでの電力の干渉によるスペクトル効率の制限をもたらす。
【0033】
寄生振幅変調(AM)は、信号yとyの結合後、帯域外スペクトル成分の増大をもたらす。図5は、10MHz直交周波数分割多重(OFDM)信号x(t)に対するLINC HPA出力信号のスペクトルを示している。図5から見出せるだろうように、結合後のLINC C−HPA信号は元々の信号x(t)に比べて高いレベルの帯域外スペクトル成分を有する。
【0034】
(基本動作)
好適な実施形態を記載する前に、狭帯域線形LINC変調器の基本動作を以下で説明する。
【0035】
本実施形態にしたがう教示の目的の一つは、式(7)の右辺の望ましくない因子
【数7】

を減少させることである。
【0036】
図6は、非線形コンポーネントを用いる線形増幅(LINC)変調器200に対する一つのアームを示している。図1に示されているコンポーネントのものと同一または類似の機能を有するコンポーネントは、同一または類似の参照符号を有し、それらの詳細な説明は省略する。
【0037】
図6に示されているLINC変調器の一つのアームは、高電力増幅器(HPA)を有するLINC増幅器で用いられ得る。ここで、図1に示されているようにソース信号S(t)が進g脳成分分離器(SCS)で2つ以上の定数包絡信号に分離されるとき、複数アームコンポーネント高電力増幅器、つまりLINC増幅器の最も単純な場合を考える。これらの定数包絡信号は、共通の負荷を有するHPAの個々のアームによって増幅され、これら増幅信号は結合器で結合されるであろう。第一の直交変調器108の出力端子でソース信号S(t)を再構成するためには、C−HPAアームの回路は定数包絡信号になんら周波数歪みを導入してはならない。
【0038】
LINC変調器200は、アーム中の回路に対する帯域幅要求を減らすように設計されている。また、デジタル−アナログ変換機(DAC)回路の要求も緩和されよう。よって、LINC変調器200のアーム中のDACに対する変換速度(クロック)および分解能要求(ビット分解能)は、結果として減少されるであろう。したがって、コストが高いグレードのLSIに代わって、ローコストDACがLINC C−HPAに実装され得る。同時に、結合後のC−HPA出力における帯域外スペクトルのレベルは低いままに維持される。よって、本実施形態は、アーム中で周波数を制限する場合、C−HPA出力で完全な再構成信号を提供し得る。
【0039】
図6に示されているように、LINC変調器200の一つのアームは、LPF104、第一のデジタル−アナログ変換器(DAC)206、第一の直交変調器(または時として簡単のため、直交変調器として参照される)108、引算器202、プロセッサ204、第二のDAC208、第二の直交変調器210、および局部発振器212を含む。
【0040】
図6から分かるように、図1に示されている場合では、第一の定数包絡信号x(t)または第二の定数包絡信号x(t)を表し得るソース信号S(t)はさらに、2つの部分、すなわち定数包絡信号の高周波数成分を含まない低周波数部分と、周波数成分がソース信号S(t)がLPF104を通過した後に低周波数部分の周波数とは異なる周波数成分である高周波数部分に分離される。LPF104からの出力信号は、スレッショルド周波数より低い周波数成分を有することに注意しよう。これらの成分は、実質的に連続スペクトルを有すると考えられよう。周波数制限による信号歪みは、高周波数部分(高周波数成分)だけに影響を及ぼす。高周波数を含む信号である歪んだ信号は、望ましくない寄生AMの原因であり得る。図6に示されているアームに対する高周波数部分ΔS(t)は、アームの元々の信号S(t)とLPF出力での周波数制限を有する信号LPF{S}
【数8】

の間の差(エラー)として生成される。
【0041】
つまり、高周波数部分ΔS(t)は、ソース信号Sから線形に分離される。図6に示されているように、ソース信号S(t)の低周波数部分LPF{S}は、直接的にDAC206を通過する。その低周波数的性質ゆえに、低周波数かつ高分解能(たとえば、14ビット)DACをDAC206として実装することが可能である。
【0042】
結合後に完全に信号S(t)を再構成するために、アームに対する信号歪み(高周波数部分)ΔS(t)はまた処理されなくてはならない。
【0043】
信号歪み(高周波数部分)ΔS(t)は信号ΔS’
【数9】

を生成するために用いられる。
【0044】
もし、フィルタされた信号LPF{S}と歪んだ信号ΔS’が適切に結合されるならば、LPF{S}とΔS’の乗算はS(t)=LPF{S}+ΔS(t)となるため、ソース信号S(t)を完全に再構成することが可能であろう。
【0045】
一般に、信号歪みΔSは、図4に示されているようにLPF出力における主信号LPF{S}に関して−35dBより小さい振幅レベルを有する。したがって低い量子化レベル(ビット分解能)を有するDAC208が、そのような低レベル信号の生成のために使用され得る。信号レベル35dBは、6ビット分可能に相当している。よって、たった8ビット(14−6=8ビット)を有するDAC208が、信号歪みΔS=S−LPF{S}を生成することが可能であることがある。
【0046】
ここで、図6を参照しながら、C−HPAに対する一つのアームの基本動作を説明する。
【0047】
第一のDAC206は、低速で高分解能(たとえば、14ビット)DACであり得るが、第二のDAC208は高速で低分解能(たとえば、8ビット)DACであり得る。
【0048】
第一の直交変調器108は、周波数を周波数変換(アップコンバート)し、DAC206からの出力信号を第二の直交変調器210からの出力信号を混合する。第一の直交変調器108は、第一の直交変調器108a、108bと同一または類似の構成および機能を有し得る。
【0049】
第一および第二の直交変調器108および210は、たとえばベース帯域入力端子として参照されるある入力端子の信号と、たとえばLO入力端子として参照される別の入力端子のRF信号を掛け合わせる。
【0050】
引算器202は、2つの信号、すなわちソース信号SとLPF104からの出力信号LPF{S}を受け、ソース信号SからLPF104からの出力信号LPF{S}を引き、結果の信号ΔS=S−LPF{S}を出力し得る。引算器202からの出力信号は、プロセッサ204に入力され得る。
【0051】
プロセッサ204は、引算器202からの出力信号に加え、LPF104からの出力信号LPF{S}を受ける。プロセッサ204は、上式(9)で定義される信号ΔS’を生成し出力するための計算を行い得る。式(9)は、以下で導出される。ここでは、信号ΔS’は、信号歪みΔSの変形版であることを認識すべきであろう。プロセッサ204からの出力信号ΔS’は、処理されて、DAC208でデジタルからアナログ信号に変換され得る。DAC208からの出力信号は、第二の直交変調器210に入力される。第二の直交変調器210では、DAC208からの出力信号の周波数はアップコンバートされ、局部発振器212からの信号からの出力と混合され、結果の信号を生成し、結果の信号は第一の直交変調器108に入力される。つまり、C−HPAアーム直交変調器に適用される前に、局部発振器(LO)信号は信号ΔS’によって変調される。
【0052】
ここで、式(9)の導出を説明する。
ソース信号Sは、LPF104を用いて2つの部分に分割され得る。
【数10】

【0053】
式(10)は単に、LPF104を通過した後、ソース信号Sは通過部分LPF{S}とカットオフ部分ΔSに分割されるだろうことを意味している。通過部分LPF{S}はLPF104でカットオフされる高周波数成分を含まないが、カットオフ部分ΔSは高周波数成分を含む。図6に従うと、ソース信号Sの別の表現が存在する。第一の直交変調器108は、DAC206からの出力信号と第二の直交変調器210からの出力信号ΔS’からソース信号Sを再構成しないといけない。この事実から以下の式が導かれる。
【0054】
【数11】

ここで、ΔS’は導出される未知の因子である。式(10)および(11)に基くと、ΔS’はソース信号S、LPF104からの出力信号、およびソース信号SとLPF104からの出力信号の差分信号ΔSを用いて、以下のように表現され得る。
【数12】

【0055】
この式(12)は、式(9)に他ならない。したがって、HPA1およびHPA2にはいかなる寄生AMも存在せず、完全に結合した後では元々の信号Sを再構成することが可能であり得る。さらに、通過部分LPF{S}は元々の信号Sより狭いスペクトルを有し得る。よって、通過部分LPF{S}はDAC206のような高周波数回路のコンポーネントを通過するとき、寄生振幅変調が生じることを防ぐことが可能である。
【0056】
(図示された実施形態の詳細な記述)
図7〜9を参照しながら、LINC変調器350を含む複合高電力増幅器(C−HPA)の例300を説明する。
【0057】
図7は、LINC変調器350を含むLINC変調器350を含む増幅器300を示す機能図である。LINC変調器350は、狭帯域信号のみがLINC変調器350の各アームを通過し得るので、望ましくない寄生振幅変調を引き起こすことを防ぎ得る。
【0058】
本実施形態では、比較例を参照して議論したように、SCS102は2つの定数包絡信号、すなわち、第一の定数包絡信号x(t)と第二の定数包絡信号x(t)を、ソース信号x(t)を用いて生成する、第一および第二の定数包絡信号x(t)およびx(t)はそれぞれ、互いに異なる経路を伝播し、高電力増幅器112a(HPA)および112b(HPA)に入る。
【0059】
図7に示されているように、LINC変調器350を有する増幅器300は、増幅器300のLINC変調器350に対する2つのアームを有するように構成される。信号成分分離器(SCS)102、LPF104a、DAC106a、第一の直交変調器(または時として簡単のため直交変調器として参照される)108a、DSP400a、第二の直交変調器210a、および局部発振器110は、C−HPA300のLINC変調器350のアームの一つを構成する。LPF104a、DAC106a、第一の直交変調器(または時として簡単のため直交変調器として参照される)108a、第二の直交変調器210aは、図6に示されているLPF104、DAC106、第一の直交変調器108、第二の直交変調器210と類似のまたは同一の機能を有する。同様に、SCS102、LPF104b、DAC106b、第一の直交変調器(または時として簡単のため直交変調器として参照される)108b、DSP400b、第二の直交変調器210b、および局部発振器110は、C−HPA300のLINC変調器350の別のアーム、つまりC−HPA300の第二のアームを構成する。第一および第二のアームは同一の構成および/または機能を有することが望ましい。
【0060】
C−HPA300は、LINC変調器350、高電力増幅器112a(HPA)および112b(HPA)、および結合器114で構成される。
【0061】
ソース信号x(t)は、信号成分分離器(SCS)102において2つの部分、第一の定数包絡信号x(t)と第二の定数包絡信号x(t)に分離される。これら2つの定数包絡信号x(t)とx(t)の各々はさらに、2つの部分、すなわち低周波数部分LPF{x}とLPF{x}、および高周波数部分ΔS、ΔSに分離される。低周波数部分LPF{x}はDAC106aおよびDSP400aに入力される。同様に、低周波数部分LPF{x}はDAC106bおよびDSP400bに入力される。DAC106aの出力信号は直交変調ユニット108aに入力される一方、DSP400aの出力信号は、直交変調ユニット210aであり、DSP400bの出力」信号と局部発振器110の出力信号が結合される直交変調ユニット210aを通過した後、直交変調ユニット108aに入力される。
【0062】
個々のアームに対する高周波数部分ΔSおよびΔSは、アームにおける元々の信号SとLPF104aおよび104b、引算器202aおよび202b、DSP400aおよび400bでの周波数限定を受けた信号との差異(エラー)として生成される。
【数13】

ここで、LPF{x}およびLPF{x}はそれぞれ、LPF104aおよびLPF104bを通過した周波数成分を表す。
【0063】
図8は、本発明の実施形態の狭帯域線形LINC変調器300のデジタル信号プロセッサ(DSP)ブロック内部構造を示す機能図である。図8に示されている構造は、DSP400aおよび400bの両方に適用される。DSP400aおよび400bは、上の機能を処理する専用回路として構成され得るし、または図示されていないメモリデバイス中に記憶されるソフトウェアプログラムに含まれるコマンドおよび/または命令を処理し得る汎用プロセッサであり得る。DSP400aは、引算器202a、プロセッサ204a、およびDAC208aを含む。DSP400bは、引算器202b、プロセッサ204b、およびDAC208bを含む。DSP400aは、SCS102およびLPF104aの出力信号を受け、信号ΔS’:
【数14】

を出力する。
【0064】
上述のように、信号ΔS’はDAC108aでアナログ信号に変換された後、アナログ信号ΔS’は直交変調器210aに入力される。信号歪みの高周波数的性質ゆえに、そのような信号に対しDAC208aは、広い帯域を提供しなくてはならない、すなわちクロックは十分に高くなくてはならない。しかしながら、DAC208aに対する低いビット分解能要求ゆえに、重大な問題は起こらないかも知れない。よって、ローコスト高速かつ低分解能DAC208aがそのような目的に使用され得る。
【0065】
第二の直交変調器210aは、図1の第一の直交変調器108a、108bと類似のまたは同一の機能を有し得る。第二の直交変調器210a、201bのそれぞれは、周波数をアップコンバートし、DAC206からの出力信号を局部発振器110からの局部発振信号と混合するためにミキサを含む。混合後、第二の直交変調器210a、210bはDACからの出力信号を所定の周波数にアップコンバートし、結果の信号を第一の直交変調器108に向けて出力する。第一の直交変調器108a、108bにおいては、式(11)が有効なので、ソース信号S(t)は完全に再構成され得る。
【0066】
DAC400bは、DAC400aに類似のまたは同一の機能を有し、図6を参照して説明した完全再構成機構はまた、LINC変調器350を有する増幅器300の第二のアームで機能する。
【0067】
DPA400aの詳細な構成は図面には示されていないが、信号ΔS’:
【数15】

が、SCS102およびLPF104bの出力信号に基いてDSP400bで生成される。信号ΔS’はDAC208bでアナログ信号に変換された後、アナログ信号ΔS’は、第二の直交変調器210bに入力される。
【0068】
第一の直交変調器108aおよび108bからの出力信号はそれぞれ、高電力増幅器112aおよび112b(HPAおよびHPA)により増幅され、増幅されたアーム信号y(t)およびy(t)を生成する。これら2つの信号y(t)およびy(t)は次に、加算器114で結合され増幅された信号y(t)を生成する。
【0069】
C−HPA300のLINC変調器350のそのような構成ゆえ、HPAおよびHPAへの入力信号が再構成され、第一の定数包絡信号x(t)および第二の定数包絡信号x(t)となる。狭帯域線形LINC変調器300は自動的にHPA112aおよびHPA112bの入力端子で寄生振幅変調(AM)を除去する。よって、C−HPAアーム中で狭帯域回路、すなわち低クロック周波数を有するDAC208a、208bを用いることが許容される。したがって、HPA出力信号スペクトルに混変調歪みが存在しない。加えて、用いている理論は厳密解であるので、送られた信号の完全な再構成を得ることができる。よって、式(7)の右辺の望ましくない因子:
【数16】

は確実に減少し、LPFを通過した信号を結合した後、完全な信号再構成を得ることが可能となる。
【0070】
さらに、LINC変調器350を有する増幅器300のそのような構成に従うと、ソース信号を増幅する方法が機能し得る。ソース信号x(t)を増幅する方法は:ソース信号x(t)を分離して複数の定数包絡信号(x(t)、x(t))をSCS102によって生成することと;複数の定数包絡信号(x(t)、x(t)=S(t))の成分の周波数をスレッショルド周波数と比較し、入力信号の所定の周波数より低い周波数からなる第一の周波数部分を含む第一の信号(LPF{x}、LPF{x})と、入力信号の第一の信号(LPF{x}、LPF{x})の第一の周波数部分とは異なる周波数である第二の周波数部分を含む第二の信号(ΔS、ΔS)をLPF104aおよびLPF104bを用いて生成すること;第二の信号(ΔS、ΔS)の周波数信号ディストーション(歪み)を実行し、歪んだ信号(1+ΔS/LPF{x}、1+ΔS/LPF{x})であって、第一の信号(LPF{x}、LPF{x})と第二の信号を(ΔS、ΔS)用いDSP400a、400bを利用して生成することと;第一の信号(LPF{x}、LPF{x})と歪んだ信号(1+ΔS/LPF{x}、1+ΔS/LPF{x})を掛け合わせて定数包絡信号(x(t)、x(t))を再構成することと;定数包絡信号(x(t)、x(t))を増幅して増幅されたアーム信号(y(t)、y(t))を高電力増幅器112a(HPA),112b(HPA)を用いて生成することと;加算器114により増幅された信号の全てを加え合わせて、増幅された信号(y(t))を生成することを含む。この方法は入力信号をLPFのような限られた帯域を有するデバイスを通過させた後にHPAに再構成する方法を含むことに注意すべきである。
【0071】
したがって、第一の信号(LPF{x}、LPF{x})は高周波数回路、たとえば、LPF104a、LPF104b、DSP400a、400bを通過している一方で、寄生振幅変調が生じないであろう。さらに、定数包絡信号(x(t)、x(t))は、変調器の出力端子で再構成され得る。
【0072】
図9は、通過帯域20MHz、40MHz、および60MHzのアームのLPFの狭帯域線形LINC変調器に対するC−HPA出力信号y(t)のスペクトルを示す図である。
【0073】
図9から見て取ることができるだろうように、提案のアプローチは100%の帯域外スペクトル抑制を提供する。C−HPA出力における信号スペクトルは、(図9中にNO HPA LPFとプロットされている)送られた信号xのスペクトルと同一である。よって、提案された狭帯域線形LINC HPAの帯域外スペクトルのレベルは、−90dBより小さい。
【0074】
したがって、変調器、例えばLINC変調器を得ることができる。変調器は混成式高増幅器アーム中で狭帯域回路、例えば低クロック周波数を有するデジタル−アナログ変換器(DAC)を用い、寄生振幅変調を自動的に取り除き、LINC変調器の出力端子で変調器に入力された信号を再構成することができる。
【0075】
2つのアームを有する混成式高電力増幅器のみを記載したが、当業者は明細書中の例を複数のアームにそのまま一般化し得ることは記しておくべきであろう。
(付記)
【0076】
上述の実施形態に関して幾つかの付記を追加する。
(付記1)
ソース信号から複数の定数包絡信号を生成する分離器と、
前記複数の定数包絡信号が通過する複数のアームであって、
前記定数包絡信号の成分の周波数をスレッショルド周波数と比較し、所定の周波数より低い周波数から構成される、前記入力信号の第一の周波数部分を含む第一の信号を生成するフィルタと、
前記第一の信号の前記第一の周波数部分とは異なる周波数である、前記入力信号の第二の周波数部分を含む第二の信号を生成し、前記第一の信号と前記第二の信号を用いて定義される、前記第二の信号の周波数信号ディストーションを実行し歪んだ信号を生成するプロセッサと、
前記第一の信号と前記歪んだ信号を掛け合わせて前記定数包絡信号を再構成する直交変調器と、を含む複数のアーム
を含む非線形コンポーネントを有する線形増幅(LINC)変調器。
(付記2)
前記プロセッサは前記定数包絡信号の帯域より狭い帯域を有する、付記1のLINC変調器。
(付記3)
前記周波数ディストーションは、xを入力信号、LPF{x}を前記第一の信号、ΔSをx−LPF{x}で定義される差分として、式1+{ΔS/LPF{x}}で与えられる付記1または2のLINC変調器。
(付記4)
前記定数包絡信号はローパスフィルタを通過し、前記第一の信号を生成する、付記1乃至3のいずれか一項のLINC変調器。
(付記5)
前記各アームはさらに、
前記第一の信号が前記分離器を通過した後でかつ前記第一の直交変調器に入力する前に通過する第一のデジタル−アナログ変換器であって、第一の特性動作速度および第一の分解能特性を有する第一のデジタル−アナログ変換器と、
前記歪んだ信号が前記分離器を通過した後でかつ前記第一の直交変調器に入力する前に通過する第二のデジタル−アナログ変換器であって、前記第一の特性動作速度より速い第二の特性動作速度および前記第一の分解能特性より低い第二の分解能特性を有する第二のデジタル−アナログ変換器と、
を含む付記1乃至4のいずれか一項のLINC変調器。
(付記6)
ソース信号から複数の定数包絡信号を生成する分離器と、
前記複数の定数包絡信号が通過する複数のアームであって、前記複数のアームの各々は前記複数の定数包絡信号の対応する一つが通過して複数の入力信号の対応する一つを出力し、前記複数のアームの各々は、
前記定数包絡信号の成分の周波数をスレッショルド周波数と比較し、所定の周波数以上の周波数から構成される前記入力信号の第一の周波数部分と、前記第一の信号の前記第一の周波数部分とは異なる周波数である前記入力信号の第二の周波数部分を含む第二の信号を生成するフィルタと、
前記第一の信号と前記第二の信号を用いて定義される、前記第二の信号の周波数信号ディストーションを実行し歪んだ信号を生成するプロセッサと、
前記第一の信号と前記歪んだ信号を掛け合わせて前記定数包絡信号を再構成する直交変調器と、
複数の電力増幅器であって、前記複数の電力増幅器は前記定数包絡信号の対応する一つを増幅し増幅されたアーム信号を生成する複数の電力増幅器と、
前記増幅された信号の全てを増幅された信号を生成する加算器と、
を含む増幅器。
(付記7)
前記プロセッサは前記定数包絡信号の帯域より狭い帯域を有する、付記6の増幅器。
(付記8)
前記周波数ディストーションは、Sを入力信号、LPF{S}を前記第一の信号、ΔSをS−LPF{S}で定義される差分として、式1+{ΔS/LPF{S}}で与えられる付記7または8の増幅器。
(付記9)
前記定数包絡信号はローパスフィルタを通過し、前記第一の信号を生成する、付記6乃至8のいずれか一項の増幅器。
(付記10)
前記第一の信号が前記分離器を通過した後でかつ前記第一の直交変調器に入力する前に通過する第一のデジタル−アナログ変換器であって、第一の特性動作速度および第一の分解能特性を有する第一のデジタル−アナログ変換器と、
前記歪んだ信号が前記分離器を通過した後でかつ前記第一の直交変調器に入力する前に通過する第二のデジタル−アナログ変換器であって、前記第一の特性動作速度より速い第二の特性動作速度および前記第一の分解能特性より低い第二の分解能特性を有する第二のデジタル−アナログ変換器と、
を含む付記6乃至9のいずれか一項の増幅器。
(付記11)
ソース信号を増複する方法であって、
前記ソース信号x(t)を分離し複数の定数包絡信号を生成することと、
前記定数包絡信号の成分の周波数をスレッショルド周波数と比較し、所定の周波数以上の周波数から構成される前記入力信号の第一の周波数部分と、前記第一の信号の前記第一の周波数部分とは異なる周波数である前記入力信号の第二の周波数部分を含む第二の信号を生成することと、
前記第一の信号と前記第二の信号を用いて定義される、前記第二の信号の周波数信号ディストーションを実行し歪んだ信号を生成することと、
前記第一の信号と前記歪んだ信号を掛け合わせて前記定数包絡信号を再構成することと、
前記複数の電力増幅器は前記定数包絡信号の対応する一つを増幅し増幅されたアーム信号を再構成することと、
前記増幅された信号の全てを増幅された信号を生成することと、
を含む方法。
(付記12)
前記プロセッサは前記定数包絡信号の帯域より狭い帯域を有する、付記11の方法。
(付記13)
前記周波数ディストーションは、Sを入力信号、LPF{S}を前記第一の信号、ΔSをS−LPF{S}で定義される差分として、式1+{ΔS/LPF{S}}で与えられる付記11または12の方法。
(付記14)
前記定数包絡信号はローパスフィルタを通過し、前記第一の信号を生成する、付記11乃至13のいずれか一項の方法。
(付記15)
前記第一の信号が前記分離器を通過した後でかつ前記第一の直交変調器に入力する前に、第一の特性動作速度および第一の分解能特性を有する第一のデジタル−アナログ変換器によって前記第一の信号をデジタルからアナログ信号に変換することと、
前記歪んだ信号が前記分離器を通過した後でかつ前記第一の直交変調器に入力する前に、前記第一の特性動作速度より速い第二の特性動作速度および前記第一の分解能特性より低い第二の分解能特性を有する第二のデジタル−アナログ変換器によって前記第二の信号をデジタルからアナログ信号に変換することと、
を含む付記11乃至14のいずれか一項の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース信号から複数の定数包絡信号を生成する分離器と、
前記複数の定数包絡信号が通過する複数のアームであって、
前記定数包絡信号の成分の周波数をスレッショルド周波数と比較し、所定の周波数より低い周波数から構成される、前記入力信号の第一の周波数部分を含む第一の信号を生成するフィルタと、
前記第一の信号の前記第一の周波数部分とは異なる周波数である、前記入力信号の第二の周波数部分を含む第二の信号を生成し、前記第一の信号と前記第二の信号を用いて定義される、前記第二の信号の周波数信号ディストーションを実行し歪んだ信号を生成するプロセッサと、
前記第一の信号と前記歪んだ信号を掛け合わせて前記定数包絡信号を再構成する直交変調器と、を含む複数のアーム
を含む非線形コンポーネントを有する線形増幅(LINC)変調器。
【請求項2】
前記プロセッサは前記定数包絡信号の帯域より狭い帯域を有する、付記1のLINC変調器。
【請求項3】
前記周波数ディストーションは、xを入力信号、LPF{x}を前記第一の信号、ΔSをx−LPF{x}で定義される差分として、式1+{ΔS/LPF{x}}で与えられる付記1または2のLINC変調器。
【請求項4】
前記定数包絡信号はローパスフィルタを通過し、前記第一の信号を生成する、付記1乃至3のいずれか一項のLINC変調器。
【請求項5】
前記各アームはさらに、
前記第一の信号が前記分離器を通過した後でかつ前記第一の直交変調器に入力する前に通過する第一のデジタル−アナログ変換器であって、第一の特性動作速度および第一の分解能特性を有する第一のデジタル−アナログ変換器と、
前記歪んだ信号が前記分離器を通過した後でかつ前記第一の直交変調器に入力する前に通過する第二のデジタル−アナログ変換器であって、前記第一の特性動作速度より速い第二の特性動作速度および前記第一の分解能特性より低い第二の分解能特性を有する第二のデジタル−アナログ変換器と、
を含む付記1乃至4のいずれか一項のLINC変調器。
【請求項6】
ソース信号から複数の定数包絡信号を生成する分離器と、
前記複数の定数包絡信号が通過する複数のアームであって、前記複数のアームの各々は前記複数の定数包絡信号の対応する一つが通過して複数の入力信号の対応する一つを出力し、前記複数のアームの各々は、
前記定数包絡信号の成分の周波数をスレッショルド周波数と比較し、所定の周波数以上の周波数から構成される前記入力信号の第一の周波数部分と、前記第一の信号の前記第一の周波数部分とは異なる周波数である前記入力信号の第二の周波数部分を含む第二の信号を生成するフィルタと、
前記第一の信号と前記第二の信号を用いて定義される、前記第二の信号の周波数信号ディストーションを実行し歪んだ信号を生成するプロセッサと、
前記第一の信号と前記歪んだ信号を掛け合わせて前記定数包絡信号を再構成する直交変調器と、
複数の電力増幅器であって、前記複数の電力増幅器は前記定数包絡信号の対応する一つを増幅し増幅されたアーム信号を生成する複数の電力増幅器と、
前記増幅された信号の全てを増幅された信号を生成する加算器と
を含む増幅器。
【請求項7】
ソース信号を増複する方法であって、
前記ソース信号x(t)を分離し複数の定数包絡信号を生成することと、
前記定数包絡信号の成分の周波数をスレッショルド周波数と比較し、所定の周波数以上の周波数から構成される前記入力信号の第一の周波数部分と、前記第一の信号の前記第一の周波数部分とは異なる周波数である前記入力信号の第二の周波数部分を含む第二の信号を生成することと、
前記第一の信号と前記第二の信号を用いて定義される、前記第二の信号の周波数信号ディストーションを実行し歪んだ信号を生成することと、
前記第一の信号と前記歪んだ信号を掛け合わせて前記定数包絡信号を再構成することと、
前記複数の電力増幅器は前記定数包絡信号の対応する一つを増幅し増幅されたアーム信号を再構成することと、
前記増幅された信号の全てを増幅された信号を生成することと、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−51456(P2013−51456A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−184918(P2011−184918)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】