説明

変速機シフト位置の検出装置

本発明は、シフト装置の変速機シフト位置を検出するセンサ(5,6,7)、及びセンサ(5,6,7)の評価信号を変速機操作器の電子制御装置へ伝送するためのインタフェース(2)を持つ機関変速機の変速機操作器に接続する装置に関し、センサ(5,6,7)とインタフェースとの間隔がインタフェース(2)と検出すべきシフト装置との間隔より小さいように、これらのセンサが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速機シフト位置の検出装置特に変速機操作器用センサ信号を供給するセンサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の電子制御される変速機は、電子制御信号を受信して機械的操作位置に変換する変速機操作器により操作される。その際多数の操作器、通常は空気圧で駆動される操作ピストンが、変速段、セレクト、分岐及びレンジのために使用される。前記の機能のうち1つのために使用される操作ピストンの行程位置を求めるために、位置センサ又は行程センサが使用されて、ピストンの現在の位置を電子制御装置に表示する。こうして制御ループが形成されて、特定の変速機位置を目標値として受信し、入力信号に応じて変速機を操作する。
【0003】
この目的のため典型的に使用されるセンサはいわゆるPLCD行程センサ(永久磁石−直線−無接触−変位センサ)である。これらの公知のセンサは、大体においてコイルにより包囲される軟磁性磁心から成っている。センサに接近せしめられる永久磁石は磁心の仮想分割を行う。一次コイルに適当な交流電流を流すと、永久磁石の位置に関係する電圧が評価コイルに誘起する。センサへの適当な交流電流の供給、処理、評価及び信号の変換は、特別にこのために設けられる電子装置によって行われる。
【0004】
変速機を操作する公知の装置の欠点は、費用のかかる空間的構成、及び電子評価装置及びセンサを電子制御装置に接続するための接続技術である。長い導線及びセンサの空間分布は、高まる故障し易さを伴う。更に組立てに費用がかかり高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、簡単な組立てを可能にしかつ故障し易くない、最初にあげた種類の装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によればこの課題は、機関変速機の変速機操作器に接続する装置が、シフト装置の変速機シフト位置を検出するセンサ、及びセンサの評価信号を変速機操作器の電子制御装置へ伝送するためのインタフェースを含んでいることによって解決される。本発明のこの有利な局面によれば、センサとインタフェースとの間隔がインタフェースと検出すべきシフト装置との間隔より小さいように、これらのセンサが設けられている。操作装置は、有利に変速機又は変速機操作装置であり、特に変速機操作装置の操作ピストンを含むことができる。この構成によれば、センサはもはや分布されず、変速機又は変速機操作装置の操作ピストンにできるだけ密接して設けられて、そこで行程位置を検出する。その代わりに本発明は、例えば変速機操作装置の操作ピストンのような検出すべき物体の間、又は評価信号を伝送するため変速機とインタフェースとの間に、できるだけこじんまり設けることを提案する。本発明によれば、例えば装置が変速機操作装置の操作ピストンのために又は変速機の変速機シフト位置の検出のため、変速機に直接設けられている。インタフェースは、すべてのセンサに対して共通なただ1つのインタフェースとして構成されている。それにより、センサとインタフェースを空間的にこじんまりした配置で互いに密接して位置させることができる。従ってセンサの評価信号は、本発明による装置の共通な従ってただ1つのインタフェースを介して直接に、変速機操作装置又は機関用の別の電子制御装置に伝送することができる。これは本発明による装置の非常にこじんまりした簡単な構造を可能にする。それにより長くて故障し易い接続ケーブルをセンサと別の電子装置との間に設けなくてもよい。その代わりに、インタフェースとセンサとの間の非常に短い接続が可能である。本発明による装置の組立て及び交換は、センサの本発明による配置のため、更に装置がこじんまりしたモジュール装置として構成されていることによって、簡単化される。それにより本発明による装置は、変速機操作装置の位置に僅かな取っ手を持つセンサモジュールの形で設けることができる。この局面は、共通なインタフェースが、例えば規格化された標準インタフェースのように、複数の金属接続片により空間的に有利に形成されると、更に改善される。この標準インタフェースに、本発明によりプラグ又は別のモジュールが接続されて、センサの評価信号を変速機の制御のために使用することができる。
【0007】
本発明の別の有利な局面によれば、センサが変速機の変速段位置、セレクト位置及び分岐位置を検出するために設けられる。その際変速機操作装置のこれら3つの操作課題により、従来の解決策では、センサが変速機操作装置又は変速機にわたって広範囲に分布されている。今や本発明によれば、その代わりに、変速段、セレクト及び分岐のような3つの異なる操作位置のために1つのこじんまりしたモジュール装置を設けることが提案され、この装置にすべての操作ピストン用のセンサが存在する。これは、こじんまりしたモジュール構造が得られるように、信号発生器を考慮して、センサが巧みに操作ピストンに設けられる時にのみ、成功する。信号発生器は例えば小さい永久磁石でもよいが、コイル又は位置の変化のため本発明による装置のセンサにより検出される電界、磁界等の変化を生じる他の素子であってもよい。従って本発明の有利な局面によれば、センサを持つ装置の本発明によるこじんまりした構造が可能になるように、センサ用の信号発生器が変速機操作装置の操作ピストン又は変速機に設けられる。
【0008】
本発明の別の有利な局面によれば、センサによりそれぞれ行程位置を検出される操作ピストンを考慮して、センサがほぼ同じ間隔をとる。それにより、すべて3つのセンサを設けることができる最適な範囲があるようにすることができる。これが考慮されると、センサがこじんまりしたハウジングに収容されるので、本発明による装置のモジュール構造が可能になる。
【0009】
本発明の別の有利な局面によれば、センサの縦軸線が対をなして互いに実質的に直角になるように、これらのセンサが設けられる。それにより複数の利点が得られる。本発明によればセンサが比較的密に隣接して設けられているので、操作ピストンの信号が互いに影響し合って、それぞれ他の操作ピストンのセンサも、このセンサに関係しない操作ピストンの信号を例えば弱められた形で受ける、という危険がある。本発明のこの局面は、操作ピストンの行程信号が、誘導結合又は容量結合の方法で電磁波を用いてセンサにより検出される、という考えに基いている。一般にセンサにあるコイルが使用されて、内部又は外部磁界の変化を検出する。センサが密に設けられていると、これにより前記の干渉が生じる。センサができるだけ対をなしてすべて互いに直角に設けられていることによって、このような干渉又は妨害が減少又は除去される。センサの間隔が充分大きく選ばれていると、望ましくない相互の影響のある程度の減少は行われるが、変速機又は変速機操作装置において空間的に狭い状態にある非常にこじんまりした構造では、これが必ずしも充分な程度に保証されない。
【0010】
しかし本発明によれば、まさにこじんまりした構造が望まれる。従ってセンサをそれぞれ対をなして互いに直角に設けることが提案される。これは、相互の影響を少なくして共通なハウジング内に特にこじんまり配置するのを可能にする。
【0011】
本発明の別の有利な構成によれば、センサ用の電子評価装置が、ハウジングまたは変速機操作装置の操作ピストンとセンサの共通なインタフェースとの間に設けられる。別の有利な構成によれば、電子評価装置がそれぞれのセンサとインタフェースとの間にあってもよい。これによっても本発明による装置をモジュールとして非常に有効にかつこじんまり構成することが可能になる。その際電子評価装置が複数のセンサ用のこじんまりした装置として又はそれぞれセンサのこじんまりした装置として構成されるようにすることができる。それによりセンサと電子評価装置との間の接続導線が非常に短くされ、それが故障し易さを減少する。
【0012】
更に本発明によれば、センサがPLCDセンサとして有利に構成されている。それにより同様に、本発明による装置内における空間的に小さくこじんまりした配置が保証される。特にPLCDセンサに関して、対をなして互いに直角な配置が有利である。なぜならば、これらのセンサは、信号発生器(永久磁石)による変速機の変速機シフト位置又は操作ピストン行程位置の検出に基いているからである。センサと信号発生器との結合は、大抵の電磁結合におけるように、方向に束縛されかつ空間的に限定されている。センサと信号発生器との空間的接近及びその相互方向づけが重要である。互いに直角に設けられるセンサは、密に設けられるセンサの不利な相互影響を少なくする。
【0013】
本発明の別の局面によれば、センサが操作ピストンと共通なインタフェースとの間に対を成して互いに直角に設けられるように、それぞれのセンサ用の信号発生器が操作ピストン上に設けられている。それにより信号発生器の相互作用が、それぞれ付属するセンサの間では最大にされ、他のセンサの間では最小にされるようにすることができる。
【0014】
更に共通なインタフェースが標準化されたインタフェース特に規格IP5K9Kによる接続部として構成されていると有利である。このインタフェースは汚物、水等の侵入に対して保護されている。標準化されたインタフェースは一般に利用可能であり、異なる構成の変速機操作器に接続可能である。更にこれらのインタフェースは、空間的にこじんまりしており、簡単な取扱いにより変速機操作器の結合すべき素子又は他の電子装置に接続される。
【0015】
本発明の実施例が以下の図により説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】 本発明によるセンサモジュールを斜視図で示す。
【図2】 図1による実施例を半透明な斜視図で示す。
【図3】 図1及び2による実施例を強調された部品を持つ別の斜視図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明によるセンサモジュールの実施例を示す。本発明によるセンサモジュール1は、閉じたハウジング4により包囲されている。ハウジングから第1のインタフェース2及び第2のインタフェース3が際立って見える。第1のインタフェース2は内部の金属接触子列13を持っている。これらの接触子は、センサモジュール1に収容されているセンサ(図示せず)から信号を導き、第2のインタフェース3の信号を電子制御装置(ECU、図示せず)へ導く。第2のインタフェース3も同様に1列の接触子を持っている。第4のインタフェース2は、IP6L9K規格によるプラグ形コネクタとして有利に構成することができる。しかしインタフェースが変速機操作器の電子制御装置に接続可能である限り、他の構成も同様に考えられる。従って変速機操作器用電子制御装置は、第1のインタフェース2に対応するインタフェースを持っていなければならない。有利な構成では、別の制御信号が、図1には示されてない変速機操作器用の電子制御装置から、同様に第1のインタフェース2を通して受信され、センサモジュール1の内部を通して別の(第2の)インタフェース3へ導かれる。これらの付加的な信号を更に処理するため、センサモジュール1に電子装置を設けることができる。しかし有利な構成では、信号は引続く処理なしに第2の内部インタフェース3へ通される。これらの信号は、変速機操作器用電磁石を始動する信号であってもよい。外部に対してただ1つの外部インタフェース2のみを形成するため、第2の内部インタフェース3のための付加的な導線又は信号は、外部インタフェース2を通して内部へ導かれる。本発明による装置のハウジングは、変速機操作器又は変速機にある限られた空間に最適にかつ場所を節約して挿入されるように構成されている。
【0018】
図2は、図1によるセンサモジュールの実施例を半透明な図で示し、閉じたハウジングは破線で示されている。この図により、センサモジュールに設けられる部品が見える。例えば変速機のシリンダ又は操作ピストン(図示せず)の変速機シフト位置を検出するセンサ5,6,7は、変速機操作器の操作手段を、直接操作ピストンにおいて又は変速機において検出する。図2に示す実施例では、各センサ5,6,7のために電子評価装置9,14,8が設けられている。しかし電子評価装置を3つの個々の部品に分割することは必ずしも必要ではない。すべてのセンサ5,6,7に対してただ1つの電子評価装置を設けることもできる。電子評価装置から信号が接続導線を経てインタフェース2へ達する。センサ5,6,7は、種々の接続導線を経て電子評価装置に接続されている。電子評価装置9,14,8の部品は、インタフェース2に接続されている。外部の第1のインタフェース2により受信される信号を供給する第2のインタフェース3は、例えば空気圧セレクト、変速段及び分岐ピストンを制御する磁石を始動するため、1列の別の電気接触子を提供する。センサ5,6,7は、特別な配置の第1センサ5、第2センサ6及び第3センサ7として構成されている。センサ5,6,7はPLCDセンサであってもよい。これらのセンサは、変速機操作器のそれぞれ1つの操作ピストンの位置を検出するために設けられている。これは例えば誘導結合によって行われる。PLCDセンサとして構成する場合、検出すべき各部材例えば操作ピストン変速機における適当な位置に、信号発生器として磁石が設けられ、その運動がPLCDセンサに適当な信号を生じる。この信号は電子評価装置9,14,8により適当に変換されて、第1のインタフェース2を経て変速機操作器の電子制御装置へ伝送される。有利な構成では、特別なバス系統と交信するため、外部インタフェースが構成される。
【0019】
図3は本発明の1つの局面による実施例の別の図であり、本発明によるセンサモジュールへの更に深い洞察を可能にする。この場合電子評価装置8及び第1のインタフェース2も透明であり、従って破線で示され、閉じたハウジングは完全に除去されている。これにより、センサ5及び6と同じようにセンサモジュールの1つの方向に延びるセンサ7が見える。接続導線10,11,12はセンサ5,6,7とその電子評価装置9,14,8とを接続する。電子評価装置8,9,14は、評価された信号を、接続導線15,16,17及びインタフェースを経て伝送する。接続導線10,11,12を経て、センサの評価信号が電子評価装置9,14,8へ引渡される。
【0020】
図3において、センサが対をなして互いに直角に設けられていることも同様に明らかである。この配置は、信号発生器をどのように変速機、又は変速機操作器の操作ピストンあるいは操作シリンダに設けねばならないかを予め示す。このような配置の利点は、操作ピストン上または変速機内の信号発生器の信号が、互いにあまり影響をし合わないことである。しかし対をなす直角な配置は、複数の可能性の1つにすぎない。信号発生器又はセンサ信号の相互干渉の制限は、センサと信号発生器との充分な間隔によっても行われる。電子評価装置を3つの個々の部品9,14及び8に分割することも同様に示されているが、必ずしも必要ではない。重要なことは、電子装置9,14,8とセンサ5,6,7が操作ピストン又は変速機とインタフェース2との間にあることである。それにより非常にこじんまりした構造が得られる。従って前述した実施例によれば、本発明によるセンサモジュールは、変速機操作器の作動に必要な操作器とセンサ5,6,7との間の万能のインタフェースである。大部分の制御信号及びセンサ信号は、第1のインタフェース2を通って有利に導かれる。これにより従来技術に比較してプラグの費用が減少する。少数のプラグコネクタは、汚物及び他の望ましくない有害な影響の侵入する危険を減少する。全体としてシステムの故障し易さは、外部インタフェースの減少によって低下する。組立ての費用も同様に減少する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機関変速機の変速機操作器に接続する装置において、装置が、シフト装置の変速機シフト位置を検出するセンサ(5,6,7)、及びセンサ(5,6,7)の評価信号を変速機操作器の電子制御装置へ伝送するためのインタフェース(2)を含み、センサ(5,6,7)とインタフェースとの間隔がインタフェース(2)と検出すべきシフト装置との間隔より小さいように、これらのセンサが設けられていることを特徴とする装置。
【請求項2】
検出されるシフト装置が変速機操作器の操作ピストンであることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
検出されるシフト装置が、変速機シフト位置を検出される変速機を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
センサ(5,6,7)が変速段位置、セレクト位置及び分岐位置を検出するために設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
センサ(5,6,7)と変速機操作器の検出すべき操作ピストンとの間隔が実質的に同じ大きさであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項6】
センサ(5,6,7)の縦軸線が互いに実質的に直交するように、これらのセンサが設けられていることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の装置。
【請求項7】
センサ用の電子評価装置(8,9,14)が、操作ピストンとセンサの共通なインタフェースとの間にこじんまりした構造で設けられていることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の装置。
【請求項8】
センサ(5,6,7)がPLCDセンサであることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の装置。
【請求項9】
インタフェースがIP6K9K規格によるプラグ形コネクタであることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の装置。
【請求項10】
外部の第1のインタフェース(2)により受信される信号を供給する第2のインタフェース(3)が設けられていることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−507769(P2010−507769A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536611(P2009−536611)
【出願日】平成19年8月4日(2007.8.4)
【国際出願番号】PCT/EP2007/006905
【国際公開番号】WO2008/049474
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(596055475)ヴアブコ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (47)
【氏名又は名称原語表記】WABCO GmbH
【Fターム(参考)】