説明

変速装置

出力源からの出力を受けて回転するメイン入力シャフト有する出力源を用いた変速機。補助シャフトが、メインシャフトに対して可変速度で補助シャフトを回転させるリンクを介して、メイン入力シャフトによって回転する。メインシャフトとともに回転するリングギヤが、リングギヤに噛合するスパーギヤを有する。補助シャフトとともに回転するギヤホイールがベアリングを介してスパーギヤに結合し、リングギヤと平行に回転する。出力シャフトがリングギヤとスパーギヤとの間の相対回転に従って回転するように、出力シャフトがスパーギヤに結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、新規且つ有用な変速機構に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用の変速機を使用して、出力源からホイール又は他の動力手段にエネルギ又は出力を伝達する。基本的に、変速機は、回転運動の1つの速度を車両のホイールに結合された出力シャフトの様々な出力速度に変換する。また一般的に、多くのギヤを使用して出力シャフトの速度を決め、様々な地形をうまく走行するのに必要な様々な速度を車両が得ることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来から多くの可変速度変速機システムが提案されている。例えば、米国特許第5,269,734号及び第6,129,061号が、入力シャフトに沿って複数のギヤを組み込んで遊星ギヤ配列を介して出力シャフトに機械的回転を伝達する減速歯車装置を表している。
【0004】
米国特許第3,133,455号及び第4,063,467号は、駆動シャフトと少なくとも1の出力シャフトとの間の変速機を提供するためにプーリを用いた変速装置を表している。
【0005】
米国特許第6,010,423号は、管路を通して流体を送り込むための回転可能な入力部材及びポンプを有する可逆可変速度変速機を記載している。ギヤ列がポンプの入力部材に動作可能に結合されており、順方向又は逆方向のいずれかに出力シャフトを運動させる。
【0006】
米国特許第4,824,419号は、フラットベルト式の無段変速機を記載しており、らせん型のガイドウェイディスクがベルトを支持してプーリ対の有効直径を維持する。遊星歯車システムは、星形歯車に噛合して出力シャフトの回転を変える。
【0007】
日本特許第62209260号及び第63038757号の英文抄録が、入力シャフトに取り付けられたサンギヤを用いてシャフトの出力速度を変えるための可変プーリ駆動装置を記載している。また、リングギヤが同心円状にサンギヤの外側に配置されており、サンギヤの軸方向の運動が可能である。
【0008】
効率的に出力シャフトの速度及び方向を変え得る出力源を用いた変速機構は、自動車の技術において著しい進歩となろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、出力源を用いて出力シャフトの速度及び方向を変える新規且つ有用な変速機の発明が本書に記載されている。
【0010】
本発明の機構は、自動車のエンジン、及び電気モータ、蒸気エンジン等といった出力源から出力を受けることによって回転するメイン入力シャフトを利用する。いずれのケースにおいても、メイン入力シャフトの回転が、本発明の変速機の残りの部品についての力のモードとして作用する。メイン入力シャフトから第1のリンクに、メイン入力シャフトから補助シャフトの回転運動に回転運動を伝達する出力伝達装置の形式で供給される。このようなリンクにより、メインシャフトに対する補助シャフトの可変速度の回転が可能となる。この点で、第1のリンクは、当技術分野で既知の又はこれに相当する他の装置といった可変速プーリの形式を取ってもよい。
【0011】
また、メインシャフトは、リングギヤに噛合する少なくとも1のスパーギヤを有するリングギヤを回転させる。リングギヤは、一般に、第1のリンクの向こう側に設置されており、メイン入力シャフトと同軸に直接的に結合された中間シャフトを有している。リングギヤに噛合する各スパーギヤは、リングギヤから外側に向かって延びるシャフトを有しているが、この目的は以下で論じることとする。
【0012】
ホイール、又は遊星シャフトキャリアが、ギヤホイールの形式を取っており、補助シャフトとともに回転するよう結合されている。このような結合は、チェーン及びスプロケット機構を有してよいが、当然ながらこのような構成に限定されない。さらに、リングギヤに噛合する各スパーギヤシャフトの外側への突出部分により、リングギヤに対するスパーギヤの回転を生じさせる。このような結合は、スパーギヤシャフトとギヤホイールとの間の相対運動が可能なギヤホイールを通して延びるベアリングの形式を取ってもよく、ギヤホイールがこのようなベアリングに接触する。
【0013】
出力シャフトが入力シャフトから離れて設置されており、入力シャフトに対して同軸であるが離れて配置されている。第2のリンクが、出力シャフトがリングギヤ及びスパーギヤの相対回転に従って回転するように、出力シャフトに少なくとも1のスパーギヤを回転可能に結合させる。当然ながら、このような回転は、前述のリンクを通る補助歯車の回転速度から最終的に得る。第2のリンクは、ギヤホイールを通って延びるスパーギヤシャフトに結合された別のギヤに噛合する出力シャフトに結合されたギヤの形式を取ってもよい。好適には、出力シャフトに結合されたギヤがサンギヤを具えており、一方スパーギヤシャフトに結合されこのようなサンギヤに噛合する各ギヤは遊星歯車と考えられる。当然ながら、複数のスパーギヤを使用してリングギヤに噛合させる場合、複数の遊星歯車を出力シャフトの軸周りにサンギヤに噛合させる。
【0014】
このため、補助シャフトの回転速度を変えることにより、上述の機構を介して、出力シャフトが、入力シャフトと同じ速度及び方向で、又は入力シャフトに対してニュートラルの速度及び方向で、又は入力シャフトとは逆方向にある速度で回転する。
【0015】
新規で有用な変速機構が上記のように説明されていることが明らかである。
【0016】
このため、本発明の目的は、回転する入力シャフトを利用し様々な速度及び方向により出力シャフトを駆動できる変速機構を提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、出力源を利用して入力シャフトを回転させるエネルギ効率の良い変速機構を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、入力シャフトを回転させる出力源を利用して、入力シャフトと出力シャフトとの間の大きなギア比の拡がりを有する変速機構を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、出力源を利用して入力シャフトを回転させ出力シャフトの逆回転から出力シャフトの増速回転まで出力が連続可変の変速機構を提供することである。
【0020】
本発明のさらなる目的は、入力シャフトへの出力源を利用してクラッチ及びトルクコンバータの使用を必要とせず、又は少なくともこれらの要素を予備の状態におく変速機構を提供することである。
【0021】
本発明のさらなる目的は、出力源を利用して入力シャフトを回転させて入力シャフトが所望のエンジン回転速度において所望の速度で出力シャフトを回転させ、入力シャフトへの出力源として使用される変速機構を提供することである。
【0022】
本発明のさらなる目的は、出力源を利用して手動制御又はコンピュータを介して制御される変速機構を提供することである。
【0023】
本発明のさらに別の目的は、出力源を利用した比較的少数の可動部品を有する変速機構を提供することである。
【0024】
本発明は、本書を読み進めるにしたがって明らかとなるであろう特にその特定の特性及び性質に関する他の目的及び利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明のさらなる理解のために、下記の図面を参照して好適な実施例に係る以下の詳細な説明について記載する。
【0026】
本発明の様々な態様が、下記の図面とともに好適な実施例の以下の詳細な説明から発展するであろう。
【0027】
本発明の好適な実施例を全体として符号10で図示する。変速機構10が、その要素の1つとして、自動車のエンジン、電気モータ、蒸気エンジン等といった動力源(図示せず)からの出力を受け取るメイン入力シャフト12を有する。いずれの場合でも、動力源が矢印13の方向に従って入力シャフト12を回転させる。入力シャフトがベース部材14、特にブラケット18を介してステップ16に取り付けられている。ベアリング20及びスペーサ22が所定の位置に入力シャフト12を保持する。
【0028】
補助シャフト24は全体として入力軸12と平行である。補助シャフト24が可変速プーリを形成する第1のリンク26から延びている。駆動プーリ28が入力シャフト12によって駆動される一方で、従動プーリが補助シャフト24を回転させる。ベルト32が従動プーリ30に駆動プーリ28を結合させる。調整機構34が従動プーリ30の回転速度を決めることで、補助シャフト24の回転速度を決める。可変速プーリ24が従来技術の市販の製品であることに留意されたい。また、第1のリンクが、入力シャフト12と補助シャフト24との間の電気的又は油圧式要素といった他の形態を取って、これらのシャフト間の相対的な回転速度を決めてもよいことに留意されたい。入力シャフト12と同軸に補助シャフト24を設けてもよいことが分かる。補助シャフトが、ボルト締結されたブラケット37及び39によってそれぞれステップ36及び38に保持されている。
【0029】
ここで図3を参照すると、リングギヤ40がハブ42を介して回転するよう入力軸12に結合されている。リングギヤ40は、スパーギヤ46,48,及び50に噛合する環状の歯付面44を有している。スパーギヤ46,48,50は、リングギヤ40から外側に向けて可変速プーリ26から離れるよう延びるシャフト52,54及び56をそれぞれ有していることに留意されたい。
【0030】
図4を参照すると、歯付ホイール又は歯車又はスプロケット58に固定された補助シャフト24が見られ、これらスプロケット58等はチェーン62によってスプロケット又は歯車又はスプロケット60に結合されている。当然ながら、ホイール60をプーリ等といった他の手段によってスプロケット又はホイール58に結合させてもよい。最も重要であることに、スパーギヤシャフト46,48及び50がホイール60を通って延びており、これにより、これらが補助シャフト24及びスプロケット58の回転に応じてホイールとともに回転する。各スパーギヤ46,48及び50は、図1のベアリング64,66及び68でそれぞれ示すようなベアリングを通って延びている。同様に、ホイール60が図1及び図3に示すようなベアリング70の周りを回転する。言うまでもなく、ベアリング64,66,68及び70により、ホイール60及びスパーギヤ46,48及び50のリングギヤ40に対する回転が、入力シャフト12及びリングギヤ40の運動から独立して可能である。しかしながら、ホイール60は、補助シャフト24の回転に応じてリングギヤ40の歯付面44に噛合した状態で、スパーギヤ46,48及び50を運動させることができる。
【0031】
また、出力シャフト72が本発明の機構10に見られる。出力シャフト72は、ボルト締結したブラケット74によってステップ38に、さらにボルト締結したブラケット78によってベース部材14のステップ76に保持されており、入力シャフト12から離れて位置する。シャフトがスペーサ84及び86とともにベアリング80及び82によってこのような位置で支持されている。
【0032】
リンク88は、出力シャフト72にスパーギヤ46,48及び50を回転可能に結合している。このようなリンクは、ホイール60を貫通してベアリング64,66及び68に対してそれぞれ回転し得るスパーギヤシャフト52,54及び56を介して形成される。図4を参照すると、リンク88が、出力シャフト72とともに回転するよう固定されたサンギヤ90と、サンギヤ90に噛合してスパーギヤシャフト52,54,56とともに回転するよう固定された遊星ギヤ92,94及び96との形態を取ることが分かる。このように、サンギヤ90及び遊星ギヤ92,94及び96が、出力シャフト72とスパーギヤシャフト52,54,及び56との間の連結具として機能する。
【0033】
動作時に、入力シャフト12が出力源(図示せず)からの回転運動を受ける。駆動プーリ28を回転させることによって、入力シャフトが可変速プーリを動作させる。ベルト32が、調整機構34のパーツである従動プーリ30にこのような運動を伝達して、従動プーリ30に可変速度を与える。従動プーリ30は補助シャフト24に結合されている。補助シャフト24は、スプロケット58に固定されており、スプロケット58自身はチェーン62を介してホイール又はスプロケット60に結合されている。入力シャフト12に固定されたリングギヤ40が、スパーギヤ46,48及び50に噛合する歯付面44を有しており回転する。スパーギヤ46,48及び50のシャフト52,54及び58が、それぞれホイール60を通して延びているが、ベアリング64,66,68を介してホイール60に対して自由回転できる。スパーギヤ46,48及び50のシャフト52,54及び56は、それぞれ遊星ギヤ92,94及び96にそれぞれ結合されている。遊星ギヤ92,94及び96は、図1の矢印98方向に従って出力シャフト72を回転させるサンギヤ90に係合する。図1から図5に示す実施例10では、入力シャフト12と補助シャフト24との間の12.5%の制御変動により、50%の逆回転から100%(1:2のギヤ比)の増速駆動(overdrive)までの範囲、250%のギヤ比の拡がりを有する、出力シャフト72の運動を発生させる。補助シャフト24よりも7.5%速くリングギヤ40及び入力シャフト12を駆動させることにより、出力シャフト72の50%の逆回転を生じる。補助シャフト24よりも5%速くメイン入力シャフト12及びリングギヤ40を駆動させることにより、出力シャフト72のゼロ出力、すなわち、中立状態(neutral)を発生する。同じ速度で可変速プーリ26を介して入力シャフト12及び補助シャフト24を回転させることで、第1のリンクが出力シャフト72の1対1の運動を発生させる。このようなモードでは、スパーギヤ46,48及び50とリングギヤ40との間に相対運動が生じる。また、この時点で、ゼロ噛合速度が、遊星ギヤ92,94,及び96とサンギヤ90との間に有る。出力シャフト12よりも5%速く補助シャフト24を運動させることで、100%の増速駆動を発生させる。言うまでもなく、入力シャフト12と補助シャフト24との間の運動の大きなバリエーションにより、入力シャフト12及び補助シャフト24の非常に多くのほぼ千差万別の組み合わせを具えた可変伝達機構10をもたらす。当然ながら、機構10の要素のギヤ比を変えて、上記とは異なる効果を発生させてもよい。
【0034】
上記のように、本発明の完全な開示を行うことを目的として、本発明の実施例についてかなり詳細に説明したが、本発明の精神及び原理から逸脱することなしに、このような詳細に多くの変更を行ってもよいことは当業者にとって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本発明に係る変速機の平面図である。
【図2】図2は、図1のライン2−2に沿った断面図である。
【図3】図3は、図1のライン3−3に沿った断面図である。
【図4】図4は、図1のライン4−4に沿った断面図である。
【図5】図5は、図1のライン5−5に沿った断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力源を用いた変速機構であって、
a.前記出力源から出力を受けることによって回転するメイン入力シャフトと、
b.補助シャフトと、
c.前記メイン入力シャフトから前記補助シャフトに出力を伝達し、前記メインシャフトに対して可変速度で前記補助シャフトを回転させる第1のリンクと、
d.前記メインシャフトの回転とともに回転し、前記リングギヤに噛合する少なくとも1のスパーギヤ(spur gear)を有するリングギヤと、
e.前記補助シャフトとともに回転するよう結合され、前記リングギヤと平行に回転するよう前記スパーギヤに結合されたホイールと、
f.出力シャフトと、
g.前記出力シャフトが前記リングギヤと前記スパーギヤとの相対回転に従って回転するように、前記出力シャフトに前記スパーギヤを回転可能に結合した第2のリンクと、
を具えることを特徴とする変速機構。
【請求項2】
前記第1のリンクが可変速プーリを具えることを特徴とする請求項1に記載の機構。
【請求項3】
前記スパーギヤが、前記ギヤホイールを通して延びて前記出力シャフトを回転させるための連結具を終端とするスパーギヤシャフトを有していることを特徴とする請求項1に記載の機構。
【請求項4】
前記第2のリンクが、前記スパーギヤシャフトに結合された第1のギヤと、前記出力シャフトに結合された第2のギヤと、を具えており、
前記第1のギヤが前記第2のギヤに噛合していることを特徴とする請求項3に記載の機構。
【請求項5】
前記補助シャフトとともに回転するよう結合された前記ホイールが、さらに、前記ギヤホイールに係合するチェーン及び前記補助シャフトに固定されたスプロケットを有することを特徴とする請求項1に記載の機構。
【請求項6】
前記スパーギヤが、前記ギヤホイールを通して延びるスパーギヤシャフトと、前記スパーギヤシャフトと前記ギヤホイールとの間に配置されたベアリングと、を有していることを特徴とする請求項1に記載の機構。
【請求項7】
前記出力シャフトが前記メイン入力シャフトに対して同軸に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の機構。
【請求項8】
前記第1のリンクが可変速プーリを具えることを特徴とする請求項7に記載の機構。
【請求項9】
前記スパーギヤが、前記ギヤホイールを通して延びて前記出力シャフトを回転させるための連結具を終端とするスパーギヤシャフトを有していることを特徴とする請求項7に記載の機構。
【請求項10】
前記第2のリンクが、前記スパーギヤシャフトに結合された第1のギヤと、前記出力シャフトに結合された第2のギヤとを具えており、前記第1のギヤが前記第2のギヤに噛合していることを特徴とする請求項9に記載の機構。
【請求項11】
前記補助シャフトとともに回転するよう結合された前記ギヤホイールが、さらに、前記ギヤホイールに係合するチェーン及び前記補助シャフトに固定されたスプロケットを有することを特徴とする請求項7に記載の機構。
【請求項12】
前記スパーギヤが、前記ギヤホイール通して延びるスパーギヤシャフトと、前記スパーギヤシャフトと前記ギヤホイールとの間に配置されたベアリングと、を有していることを特徴とする請求項7に記載の機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−523964(P2009−523964A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547531(P2008−547531)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/048728
【国際公開番号】WO2007/073491
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(508181571)
【Fターム(参考)】