説明

外壁パネル取付構造

【課題】 建物開口部3の側方に配置される幅の狭い外壁パネル2であっても、簡単に取り付け、取外しすることが可能な外壁パネル取付構造1を提供する。
【解決手段】 外壁パネル取付構造1は、軸柱6と建物開口部3との間に設置される幅狭の外壁パネル2を軸柱6に取付けるものであって、一端が前記外壁パネル2の取付溝7に固定され、他端が外壁パネル2の軸柱6側の周端よりも張り出して設けられた延出部11を形成するパネル側取付片12と、一端が軸柱6に固定され、他端が延出部11に当接する軸柱側取付片17と、延出部11を軸柱側取付片17との間に挟持する固定片18と、により構成される外壁パネル取付具4と、一端が軸柱6に固定されるとともに、他端に取付溝7の建物開口部側のリップ部20が挿入される挟持部19を形成する外壁パネル取付補助具5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、住宅等の建物における外壁パネルの取付構造に関し、特に、窓や玄関などの建物の開口部と軸組との間に設置される幅の狭い外壁パネルを建物の軸柱に取り付ける外壁パネル取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建物の構造躯体に外壁パネルを取り付ける構造として、図8に示すように、建物の構造躯体を構成する軸組100に所定間隔で軸組側取付部101を固定するとともに、外壁パネル102の屋内側に軸組側取付部101と同間隔でパネル側取付片103を固定し、この軸組側取付部101とパネル側取付片103とを連結することで、外壁パネル102を軸組100に固定する外壁パネルの取付構造がある。この構造においては、特に、軸組側取付部101とパネル側取付片103とを外壁パネル間の縦目地104の屋内側で、目地の屋外側から締緩自在なネジ105で連結することで、外壁パネル102のメンテナンスの時などに、屋外側から簡単に外壁パネル102を取り外すことができるように構成されたものも提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−207030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の外壁パネルの取付構造は、外壁パネル102の両端側に設けられた軸組100のにそれぞれ軸組側取付部101を設けて、パネル側取付片103を固定することで、外壁パネル102が屋外側に離反することを防ぐものであるが、例えば窓や玄関などの建物開口部の側方に配置される外壁パネルのように、幅の狭い外壁パネルを取り付ける場合には、上述のような外壁パネル取付構造を外壁パネルの両端側から取り付けるスペースを確保することは困難であり、また、軸組側取付部101を固定する軸組100を確保することも困難である。
【0005】
そこで、本発明は建物開口部の側方に配置される幅の狭い外壁パネルであっても、簡単に取り付け、取外しすることが可能な外壁パネル取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の外壁パネル取付構造は、建物躯体を構成する軸柱と建物開口部との間に設置される幅狭の外壁パネルを前記軸柱に取付ける外壁パネル取付構造であって、一端が前記外壁パネルの屋内側面に高さ方向に延びて設けられたリップ付き溝型鋼からなる取付溝に固定されるとともに、他端が前記外壁パネルの軸柱側の周端よりも張り出して設けられた延出部を形成するパネル側取付片と、一端が前記軸柱に固定されるとともに、他端が前記延出部に当接する軸柱側取付片と、屋外側より操作されるネジ部材により前記軸柱側取付片の他端に接近離反可能に固定されており、前記延出部を前記軸柱側取付片との間に挟持する固定片と、により構成される外壁パネル取付具と、一端が前記軸柱に固定されるとともに、他端が前記取付溝を保持するように狭い間隔で二股に分かれており、その間に前記取付溝の建物開口部側のリップ部が挿入される挟持部を形成する外壁パネル取付補助具と、を備えることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の外壁パネル取付構造は、前記取付溝の前記建物開口部側のリップ部は、前記外壁パネルの幅方向において、前記建物開口部寄りに設けられたことを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の外壁パネル取付構造は、前記パネル側取付片は、前記取付溝の内部に収められた外壁側プレートと、当該パネル側取付片と、により、前記取付溝のリップ部を挟持して固定されることを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載の外壁パネル取付構造は、前記パネル側取付け片は、その上部又はその下部のいずれか一方が前記固定片と前記軸柱側取付片により挟持されるとともに、上部又は下部のいずれか他方が前記取付溝に固定されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の外壁パネル取付構造によると、パネル側取付片の延出部を固定片と軸柱側取付片とで挟持して固定する外壁パネル取付片と、取付溝を保持するように、外壁パネルのリップ付き溝型鋼からなる取付溝の建物開口部側のリップ部が挿入される挟持部を他端に形成する外壁パネル取付補助具と、を備えているので、屋外方向への荷重に対して外壁パネルを軸柱に確実に固定することができるとともに、外壁パネルが側方向にずれて外壁パネル取付具又は外壁パネル取付補助具から脱落する虞も無い。また外壁パネル取付補助具の挟持部にはリップ部が挿入されているだけであるので、外壁パネルの目地の屋外側から軸柱側取付片と固定片とを固定しているネジ部材を緩めて、パネル側取付片の延出部を取り外した後、外壁パネルを開口部側に引き出すだけで、簡単に外壁パネルを取り外すことができる。
【0011】
請求項2に記載の外壁パネル取付構造は、外壁パネル取付補助具の挟持部に挿入される外壁パネルの取付溝の建物開口部側のリップ部が、建物開口部寄りに設けられているので、外壁パネルの建物開口部側の端部に屋外側に荷重がかかるような場合にも外壁パネルを軸柱に確実に固定することができる。
【0012】
請求項3に記載の外壁パネル取付構造は、取付溝の内部に収められた外壁側プレートとパネル側取付片とにより、前記取付溝のリップ部を挟持することにより、外壁パネル取付補助具が固定されるので、外壁パネルのリップ付き溝型鋼からなる取付溝により、外壁パネル取付具及び外壁パネル取付補助具の2種類の治具を1つの取付溝に取り付けることができる。
【0013】
請求項4に記載の外壁パネル取付構造は、外壁パネル取付具のパネル側取付け片の上部又はその下部のいずれか一方が固定片及び軸柱側取付片により挟持されるとともに、上部又は下部のいずれか他方が取付溝に固定される。すなわち、固定片及び軸柱側取付片により挟持される部分と、取付溝に固定される部分とを上下に分けることで、パネル側取付片の幅を狭くすることができ、取り付けるべき外壁パネルの幅が狭い場合にも取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】外壁パネル取付具を用いて外壁パネルを軸柱に取付けた状態を説明する図。
【図2】(A)は外壁パネル取付具の構成を示す上面図であり、(B)は外壁パネル取付具の構成を示す正面図。
【図3】外壁パネル取付補助具を用いて外壁パネルを軸柱に取り付けた状態を説明する図。
【図4】(A)は外壁パネル取付補助具の構成を示す上面図であり、(B)は外壁パネル取付補助具の構成を示す正面図。
【図5】外壁パネル取付具及び外壁パネル取付補助具を用いて外壁パネルを軸柱に取り付けた状態を説明する図。
【図6】外壁パネル取付具による外壁パネルと軸柱との固定を解除する状態を説明する図。
【図7】外壁パネル取付補助具の挟持部に挿入された外壁パネルの取付溝のリップ部を引き外して、外壁パネルと軸柱との固定を解除する状態を説明する図。
【図8】従来の外壁パネルの取付構造を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明における外壁パネル取付構造1について、各図を参照しつつ説明する。複数枚の外壁パネル2を軸組に固定して外壁を仕上る住宅などの建物において、窓などの開口部3の側方には、開口部3の設置位置に合わせた幅の狭い外壁パネル2が設置される。本発明の外壁パネル取付構造1は、このような幅の狭い外壁パネル2を外壁パネル取付具4及び外壁パネル取付補助具5を用いて建物の軸柱6に取り付ける構造である。なお、外壁パネル2には、縦向きにリップ付き溝型鋼からなる取付溝7が埋設などの方法で固定されている。
【0016】
外壁パネル取付具4は、図1及び図2に示すように、外壁パネル2の屋内側に設けられた取付溝7の内部に収納されてその中央にボルト8が貫通された外壁側プレート9と、一端が取付溝7の屋内側に当接して外壁側プレート9を貫通したボルト8に外挿し、ナット10により取付溝7に固定されるとともに、他端が外壁パネル2の軸柱6側の周端方向に延びる延出部11を形成するパネル側取付片12と、一端が軸柱6を形成するC型鋼の開口6aに固定用ボルト13及び軸柱プレート14により押さえつけて固定されるとともにL字状に折曲されて他端が外壁パネル2間の縦目地15の屋内側に配置されて、パネル側取付片12の延出部11に当接する軸柱側取付片17と、外壁パネル2間の縦目地15を挟んで屋外側より操作されるネジ部材16により軸柱側取付片17の他端に接近離反可能に固定されており、延出部11を軸柱側取付片17との間に挟持する固定片18と、により構成されている。
【0017】
したがって、外壁パネル2に固定されているパネル側取付片12と軸柱6に固定されている軸柱側取付片17とが外壁パネル2間の縦目地15の屋内側で連結することにより、外壁パネル2と軸柱6とが固定されている。なお、延出部11と軸柱側取付片17とを固定しているネジ部材16は、縦目地15の屋外側から操作することができるので、このパネル側取付片12と軸柱側取付片17との連結も屋外側から簡単に外すことができる。
【0018】
外壁パネル取付補助具5は、図3及び図4に示すように、一端が軸柱6を構成するC型鋼の開口6aに固定されるとともにL字状に折曲されて、他端が狭い間隔で二股に分かれた挟持部19を形成しており、外壁パネル2の屋内側に形成された取付溝7の建物開口部3側のリップ部20がこの挟持部19に挿入されることによって、取付溝7が外壁パネル取付補助具5に保持されるものである。
【0019】
このように外壁パネル取付補助具5は取付溝7のリップ部20を挟持することで、外壁パネル2の屋外側への荷重を受けることができる。そして、外壁パネル2の取付溝7の建物開口部3側のリップ部20は、外壁パネル2の幅方向において、中心よりも建物開口部3寄りに設けられている。したがって、外壁パネル取付補助具5は、外壁パネル2の建物開口部3側の端部に屋外側へ掛かる荷重に対して外壁パネル2を効果的に固定することができる。
【0020】
そして、図5に示すように、外壁パネル2の高さ方向に沿って外壁パネル取付具4と外壁パネル取付補助具5とはそれぞれ適宜位置に複数設置され、外壁パネル2を軸柱6に固定している。このように外壁パネル2の取り付けに、外壁パネル取付具4と外壁パネル取付補助具5とを組み合わせて用いることにより、屋外方向への荷重に対して外壁パネル2を軸柱6に確実に固定することができるとともに、外壁パネル2が建物の横方向にずれて外壁パネル取付具4又は外壁パネル取付補助具5から脱落することも抑制することができる。
【0021】
以上のように構成される外壁パネル取付構造1において、メンテナンスなどの必要性から外壁パネル2を軸柱6から取り外す際には、図6に示すように、外壁パネル2間の縦目地15に収納されている目地シーリング材21を屋外側に引き剥がす。そして、縦目地15の屋外側からドライバーなどを操作して、縦目地15の屋内側に位置するネジ部材16を緩めて固定片18を回転させることにより、固定片18と軸柱側取付片17とに挟持されているパネル側取付片12の延出部11の固定を解除する。その後、屋外側から外壁パネル2を建物開口部3側に引き付けるように取り外す。このとき、図7に示すように外壁パネル取付補助具5は、外壁パネル2の屋内側に設けられた取付溝7の建物開口部3側のリップ部20が挟持部19に挿入されているだけであるので、外壁パネル2を建物開口部3側に引き付けるように取り外すことで、そのままリップ部20が挟持部19から抜けるので、外壁パネル2を取りはずすことができる。
【0022】
このように本実施形態の外壁パネル取付構造1は、極めて簡単に屋外側から外壁パネル2を取り外すことができるものであり、経年劣化などによる外壁パネル2の交換を極めて容易に行うことができる。そして、本実施形態のように幅の狭い外壁パネル2の一端側にのみ軸柱6が配置されている場合においても、この一端側に配置された軸柱6に確実に外壁パネル2を固定することができ、外壁パネル2の屋外側への荷重を受けることができる。
【0023】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明に係る外壁パネル取付構造1は、例えば住宅などにおいて、軸柱6と建物開口部3との間に設置される幅の狭い外壁パネル2を軸柱6に固定する外壁パネル取付構造1として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0025】
1 外壁パネル取付構造
2 外壁パネル
3 開口部
4 外壁パネル取付具
5 外壁パネル取付補助具
6 軸柱
7 取付溝
9 外壁側プレート
11 延出部
12 パネル側取付片
16 ネジ部材
17 軸組側取付片
18 固定片
19 挟持部
20 リップ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体を構成する軸柱と建物開口部との間に設置される幅狭の外壁パネルを前記軸柱に取付ける外壁パネル取付構造であって、
一端が前記外壁パネルの屋内側面に高さ方向に延びて設けられたリップ付き溝型鋼からなる取付溝に固定されるとともに、他端が前記外壁パネルの軸柱側の周端方向に延びる延出部を形成するパネル側取付片と、一端が前記軸柱に固定されるとともに、他端が前記延出部に当接する軸柱側取付片と、屋外側より操作されるネジ部材により前記軸柱側取付片の他端に接近離反可能に固定されており、前記延出部を前記軸柱側取付片との間に挟持する固定片と、により構成される外壁パネル取付具と、
一端が前記軸柱に固定されるとともに、他端が前記取付溝を保持するように狭い間隔で二股に分かれており、その間に前記取付溝の建物開口部側のリップ部が挿入される挟持部を形成する外壁パネル取付補助具と、を備えることを特徴とする外壁パネル取付構造。
【請求項2】
前記取付溝の前記建物開口部側のリップ部は、前記外壁パネルの幅方向の中心よりも、前記建物開口部寄りに設けられたことを特徴とする請求項1に記載の外壁パネル取付構造。
【請求項3】
前記外壁パネル側取付片は、前記取付溝の内部に収められた外壁側プレートと、当該外壁パネル側取付片と、により、前記取付溝のリップ部を挟持して固定されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の外壁パネル取付構造。
【請求項4】
前記パネル側取付け片は、その上部又はその下部のいずれか一方が前記固定片と前記軸柱側取付片により挟持されるとともに、上部又は下部のいずれか他方が前記取付溝に固定されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の外壁パネル取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−209639(P2010−209639A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59418(P2009−59418)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】