外壁目地の2重防水構造及び外壁目地の2重防水構造施工方法。
【課題】 屋外側から外壁パネル2間の縦目地に取り付けることができ、外壁パネル2の厚さを変更したような場合にも使いまわしが良く、取付け作業が比較的容易な外壁目地の2重防水構造1及びその施工方法を提供する。
【解決手段】 外壁目地の2重防水構造1は、外壁パネル2間の縦目地に圧入され、当該縦目地の全高に渡って配置される弾性を有する長手形状の一次シール部材5と、該一次シール部材5の屋内側に形成された凸条53に間隔を開けて嵌着する断面略U字形状の複数のクリップ部材6と、該クリップ部材6に外嵌して固定される断面略U字形状の収納部71と、中央に前記収納部71が固定されるとともに、両端が広がって前記外壁パネル2の屋内側端縁に水密的に圧接するヒレ74を形成する本体部72とを有し、前記縦目地の全高に渡って配置される二次防水部材7と、を備える。
【解決手段】 外壁目地の2重防水構造1は、外壁パネル2間の縦目地に圧入され、当該縦目地の全高に渡って配置される弾性を有する長手形状の一次シール部材5と、該一次シール部材5の屋内側に形成された凸条53に間隔を開けて嵌着する断面略U字形状の複数のクリップ部材6と、該クリップ部材6に外嵌して固定される断面略U字形状の収納部71と、中央に前記収納部71が固定されるとともに、両端が広がって前記外壁パネル2の屋内側端縁に水密的に圧接するヒレ74を形成する本体部72とを有し、前記縦目地の全高に渡って配置される二次防水部材7と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁パネル間の縦目地から屋内側に水が侵入することを抑止する外壁目地の2重防水構造、及びこの外壁目地の2重防水構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の互いに隣接する外壁パネル間に形成される目地から建物内部に風雨などが侵入することを防ぎ、且つ、建物の外観を良好に保つために、乾式の外壁目地ガスケットが用いられる。外壁目地ガスケットは、例えばポリ塩化ビニル等の水密性及び弾性を有する材料で形成され、目地の幅よりもやや幅広の長手形状であって、屋外側から目地に圧入して固定するものである。
【0003】
このような外壁目地ガスケットにおいては、防水性をさらに高めるために、例えば図12(A)に示すように、対向する垂直板を底板部に立設して嵌着溝を形成してなるベース目地材101と、該ベース目地材101の嵌着溝106に嵌入する凸条103を筒形中空状のシール部104に垂設すると共に、シール部104のシール面にシリコン系被覆層を形成し、かつ、シール部104の下端部を目地幅に合わせて肉厚に形成してなるトップ目地材102とからなる外壁目地ガスケット100が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
このように構成することで外壁目地ガスケット100は、図12(B)に示すように、シール部104の防水性による一次防水に加えて、ベース目地材101が外壁パネル105の裏面105aに当接密着することによって、二次防水を行うことができ、より防水効果を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−74130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述のような外壁目地ガスケット100においては、ベース目地材101が建物の屋内側から取り付けるものであるので、外壁パネル105の屋内側に配置される下地材や外壁パネル取付用金具等が邪魔になって、ベース目地材101を取り付ける作業が困難となる場合も多く、また、外壁をリフォームする場合などのように内装材が固定されているためにベース目地材101を取り付けることが不可能となる場合もあった。
【0007】
また、ベース目地材101の嵌着溝106及びトップ目地材102の凸条103が縦目地の全高に渡って形成されているので、凸条103を嵌着溝106に嵌入させる作業も縦目地の全高に渡って行う必要があり、作業に手間が掛かった。
【0008】
また、外壁目地ガスケットは、ベース目地材101とトップ目地材102の2つの部材から形成されるものであるので、外壁パネル105の厚さを変更した場合にはこれら2つの部材を設計変更する必要があり、より使いまわしし易い部材が求められていた。
【0009】
そこで、本発明は、屋外側から外壁パネル間の縦目地に取り付けることができ、外壁パネルの厚さを変更したような場合にも使いまわしが良く、取付け作業が比較的容易な外壁目地の2重防水構造及びその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の外壁目地の2重防水構造は、外壁パネル間の縦目地のほぼ全高に渡って圧入して配置される弾性を有する長手形状の一次シール部材と、該一次シール部材の屋内側に形成されている縦方向に長尺な凸条に上下方向に間隔を開けて嵌着する断面略U字形状の複数のクリップ部材と、該クリップ部材に外嵌して固定される断面略U字形状の収納部がその中央に固定されるとともに、その両端に前記外壁パネルの屋内側端縁に水密的に圧接するヒレを有する弾性体からなる本体部とを有する、前記縦目地の全高に渡って配置される二次防水部材と、を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の外壁目地の2重防水構造は、前記収納部が前記本体部と比較して高剛性であることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の外壁目地の2重防水構造は、前記ヒレの先端が分岐して形成されており、前記先端の一方が前記外壁パネルの小口面に当接するとともに、前記先端の他方が前記外壁パネルの屋内側面に当接することを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の外壁目地の2重防水構造施工方法は、断面略U字形状の収納部と、その中央に収納部をその開口側を屋外側に向けて固定するとともに両端が広がってヒレを形成する本体部とを有する二次防水部材を、屋外側から外壁パネル間の縦目地にその全高に渡って挿入して、前記縦目地の屋内側に保持し、次に、前記縦目地よりもやや幅広の弾性を有する長手形状の一次シール部材に形成された凸条に断面略U字形状のクリップ部材を所定間隔で複数嵌着した状態で、屋外側から前記縦目地に前記一次シール部材を当該縦目地の全高にわたって圧入し、前記凸条に嵌着したクリップ部材を前記収納部に挿入して固定することを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載の外壁目地の2重防水構造施工方法は、外壁パネル間の縦目地よりもやや幅広の弾性を有する長手形状の一次シール部材に形成された凸条に断面略U字形状のクリップ部材を所定間隔で複数嵌着し、次に、断面略U字形状の収納部と、中央に前記収納部が固定されるとともに両端が広がってヒレを形成する本体部とを有する二次防水部材の前記収納部を前記クリップ部材に外嵌して固定して、2重の防水部材を形成し、屋外側から前記縦目地にその全高にわたって前記2重の防水部材を前記二次防水部材側から順に挿入して、前記二次防水部材を前記縦目地の屋内側に保持するとともに、前記一次シール部材部材を前記縦目地に圧入することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の外壁目地の二次防水部材によると、一次シール部材は弾性を有し、二次防水部材の本体部は弾性体からなるため、一次シール部材及び二次防水部材を弾性変形させて屋外側から外壁パネル間の縦目地に取り付けることができる。また、一次シール部材と二次防水部材とをクリップ部材を介して固定するので、外壁パネルの厚さを変更する場合などのように、外壁のバリエーションの変更に、一次シール部材、二次防水部材、及びクリップ部材のうち一部の部材を仕様変更することで対応することができ、種々のバリエーションの外壁に使い回ししやすい。
【0016】
また、一次シール部材と二次防水部材とはそれぞれ縦目地の全高に渡って配置されるとともに、クリップ部材は必要な箇所に複数配置されているので、2重防水構造による確実な防水性が確保できるとともに、施工の際はクリップ部材が配置されている箇所のみ一次シール部材及び二次防水部材を連結すればよいので、縦目地の全高に渡って連結する場合に比べて施工が容易となる。
【0017】
請求項2に記載の外壁目地の二次防水部材によると、二次防水部材の本体部は弾性体により形成されており、収納部はこの本体部よりも高剛性であるので、本体部の両端に広がるヒレが外壁パネルの屋内側端縁に圧接して2次防水機能を発揮するとともに、高剛性の収納部によりクリップ部材を介して確実に一次シール部材に連結することができる。また、収納部が高剛性であることにより、断面略U字形状の収納部の立ち上がり部分がリブの役割を果たし、二次防水部材を補強することができる。
【0018】
請求項3に記載の外壁目地の二次防水部材によると、二次防水部材の本体部に形成されたヒレの先端が分岐して形成されており、一方が外壁パネルの小口面に当接するとともに、他方が外壁パネルの屋内側面に当接するので、二次防水部材の外壁パネルと接する部分がさらに、外部からの水の侵入を2重に防止することになり、より確実に防水することができる。また、このように外壁パネルの小口面と外壁パネルの屋内側面とに当接することで、外壁目地幅が施工精度の範囲内で若干変化しても、確実に防水することができる。
【0019】
請求項4に記載の外壁目地の2重防水構造施工方法によると、外壁パネル間の縦目地にまず二次防水部材を挿入して縦目地の屋内側に保持してから、クリップ部材が嵌着された一次シール部材を縦目地に圧入するものであるので、二次防水部材を挿入した際に、2次防水性が確保できているか目視で確認することができるので、より確実に防水性を確保できる。
【0020】
請求項5に記載の外壁目地の2重防水構造施工方法によると、一次シール部材と二次防水部材とをクリップ部材を介して2重の防水部材を形成してから、縦目地にその全高にわたってこの2重の防水部材を挿入するものであるので、予め2重の防水部材を形成しておけば、その後は、外壁の縦目地に2重の防水部材を挿入する1工程だけで、外壁目地の2重防水構造を施工することができ、施工が極めて容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】外壁パネルの2重防水構造の全体構成を説明する省略断面図、及びその一部省略拡大図。
【図2】一次シール部材の構成を説明する断面図及び省略斜視図。
【図3】クリップ部材の構成を説明する側面図及び斜視図。
【図4】二次防水部材の構成を説明する断面図及び省略斜視図。
【図5】軸組に外壁パネルを固定する工程を示す省略断面図。
【図6】二次防水部材を縦目地に挿入する状態を説明する省略断面図。
【図7】一次シール部材の凸条にクリップ部材を外嵌させる状態を説明する断面図。
【図8】凸条にクリップ部材を外嵌した状態の一次シール部材を縦目地に挿入する状態を説明する省略断面図。
【図9】外壁パネルを厚く形成した場合の外壁パネルの2重防水構造の全体構成を説明する省略断面図、及びその1部省略斜視図。
【図10】一次シール部材、クリップ部材、及び二次防水部材を連結して2重の防水部材を形成する状態を説明する断面図。
【図11】2重の防水部材を縦目地に挿入する状態を説明する一部省略断面図。
【図12】従来の縦目地防水に用いられる外壁目地ガスケットの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、外壁目地の2重防水構造1及びその施工方法の最良の実施形態について、各図を参照しつつ説明する。外壁目地の2重防水構造1が用いられる外壁は、図1に示すように、複数の外壁パネル2を建物の構造躯体を構成する軸組3に外壁パネル取付用金具4を用いて固定して形成される。外壁パネル2は、矩形平板状に形成された例えば樹脂系、セメント系、セラミック系、又は金属系のサイディング材である。この外壁パネル2の周縁の屋内側にはこの外壁パネル2を建物の梁や柱に固定するために断面C型の金属枠21が目地方向に開口して取り付けられている。
【0023】
この外壁パネル2を軸組3に固定する外壁パネル取付用金具4は、軸組3に固定され、軸組3から屋外方向に突出する基部41と、基部41を軸として回転可能に固定されており、外壁パネル2の金属枠21を軸組3との間に挟持するパネル固定部42と、このパネル固定部42を回転動作させる操作部43とを備える。外壁パネル2を固定する際には、軸組3に外壁パネル2の金属枠21を押し当てて、外壁パネル取付用金具4の操作部43を操作してパネル固定部42を回転させ、パネル固定部42と軸組3とで外壁パネル2の金属枠21を挟持して固定する。このとき、操作部43は、外壁パネル2間の縦目地の奥に位置するように構成されている。したがって、屋外側から目地内にドライバーなどの工具を挿入しつつ操作することにより、外壁パネル2を屋外側から取り付けることができ、また、リフォームなどの際にも外壁パネル2を屋外側から取り外すことができる。
【0024】
外壁目地の2重防水構造1は、このような外壁パネル2間の縦目地に配置されるものであって、外壁パネル2間の縦目地を通過して建物の屋内側に雨水等が侵入することを防止するものである。この外壁目地の2重防水構造1は、図1に示すように、外壁パネル2間の縦目地に圧入される一次シール部材5と、この一次シール部材5に形成された凸条53に嵌着する複数のクリップ部材6と、このクリップ部材6に外嵌しつつ縦目地の屋内側に配置される二次防水部材7と、により構成されている。
【0025】
一次シール部材5は、例えばポリプロピレンとゴムを混合したポリオレフィン系の弾性樹脂により形成されており、図2に示すように、縦目地に圧入したときに屋外側となる蓋部51と、この蓋部51から屋内側に向かって縦目地の目地幅よりもやや幅広に形成されるシール部52と、シール部52の中央から屋内側に突出して、膨らんで形成されている凸条53と、を具備している。シール部52は、側方に向かって複数の襞54が形成されるとともに、内部に複数の空洞55が管状に設けられており、一次シール部材5を外壁パネル2間の縦目地に圧入したときに弾性変形しつつ外壁パネル2の小口面に密着して、縦目地をシールできるように構成されている。またシール部52の中央の内部には、金属板状の形状保持部56が収納されており、一次シール部材5の形状を保持して確実に縦目地をシールできるようにしている。
【0026】
クリップ部材6は、一枚の金属板を折り曲げて加工して形成した金具であって、一次シール部材5の凸条53を内側に収納できる大きさに側部がそれぞれ屈曲して立上がって断面略U字形状に形成されている。図3に示すように、両側の立上がった部分は、それぞれ3つに分離して構成されており、その中央が外側にやや広がるように傾斜した係止片61を形成している。そしてこの係止片61の両側には先端が内側に屈曲した鉤部62が形成されている。このクリップ部材6が一次シール部材5の凸条53に外嵌したときに鉤部62が凸条53に引っ掛かるように形成されており、クリップ部材6が一次シール部材5から脱落することを防止している。
【0027】
二次防水部材7は、クリップ部材6に外嵌可能な大きさに形成された断面略U字形状の収納部71と、中央にこの収納部71が接着などにより固定された扁平な本体部72と、を有する。収納部71はポリプロピレンにタルクを混入するなどして剛性を高めた樹脂により形成されており、その先端には内側にやや突出する爪部73が形成されている。このように収納部71が比較的高い剛性の樹脂で形成されており、U字形状に立ち上がっていることで、この立ち上がった部分がリブの役割を果たし二次防水部材7を補強することができる。収納部71にクリップ部材6を収納した時には、クリップ部材6のやや外側に広がった係止片61がこの収納部71の爪部73に引っ掛かることでクリップ部材6を固定することができる。本体部72は、ポリプロピレン又はポリプロピレンとゴムを混合した樹脂などの弾性を有する樹脂により形成されている。この本体部72は、中央が収納部71が接着される平らな板状に形成されるとともに、両側の端部がやや折れ曲がってヒレ74を形成している。そしてこのヒレ74は、屋内側と屋外側とに分岐して形成されている。二次防水部材7を外壁パネル2間の縦目地の屋内側に保持したときには、分岐したヒレ74のうち屋外側のヒレ74aが外壁パネル2の小口面に水密的に圧接するとともに、屋内側のヒレ74bが外壁パネル2の屋内側面に水密的に圧接して、防水機能を発揮している。
【0028】
このように構成される2重防水構造を施工する際には、まず、図5に示すように、外壁パネル2を建物の軸組3に固定する。具体的には、軸組3に外壁パネル取付用金具4を取り付け、外壁パネル2の金属枠21の屋内側面を軸組3に当接させる。そして、外壁パネル取付用金具4の操作部43を操作してパネル固定部42を回転させ、このパネル固定部42を金属枠21の屋外側面に当接させ、このパネル固定部42と軸組3とで金属枠21を挟持して固定する。
【0029】
そして、次に、図6に示すように二次防水部材7を屋外側から縦目地を通して、この縦目地の全高に渡ってその屋内側に収納する。二次防水部材7は、縦目地の屋内側に外壁パネル取付用金具4があるため、屋内側に脱落することなく、縦目地の屋内側に配置される。また、二次防水部材7は縦目地の目地幅よりもやや幅広であるが、この二次防水部材7の本体部72を弾性変形させることにより縦目地内に挿入させることができ、またこの本体部72の復元力により、二次防水部材7を縦目地の屋内側に保持した状態で、屋外側のヒレ74aが外壁パネル2の小口面に水密的に圧接するとともに、屋内側のヒレ74bが外壁パネル2の屋内側面に水密的に圧接することができる。このように、先に二次防水部材7のみを縦目地の屋内側に挿入することで、施工作業者が屋外側から二次防水部材7の施工状況を確認することができ、二次防水部材7のヒレ74が外壁パネル2に密着して確実に防水できていることを確認することができる。
【0030】
次に、図7に示すように、一次シール部材5の凸条53に所定間隔でクリップ部材6を外嵌させる。そして、図8に示すように、凸条53にクリップ部材6を外嵌させた状態の一次シール部材5を屋外側から縦目地の全高に渡って圧入する。このとき一次シール部材5のシール部52は弾性変形して縦目地の中間位置で固定される。また、このとき先に縦目地の屋内側に保持されている二次防水部材7の収納部71にクリップ部材6を外嵌した一次シール部材5の凸条53を挿入して固定する。クリップ部材6の立ち上がった係止片61は外側にやや広がっており、収納部71の先端に内側にやや突出して形成された爪部73に引っ掛かることで収納部71にクリップ部材6が収納された状態で固定されることになる。これにより、一次シール部材5と二次防水部材7とが互いに連結されるので、一次シール部材5の脱落を防止することができるとともに、二次防水部材7の位置がずれて防水性が落ちることを防ぐことができる。
【0031】
このように、施工した外壁目地の2重防水構造1は、一次シール部材5による1次防水と、二次防水部材7による2次防水との2重の防水を行うことができるので、屋外側からの雨水の侵入を防止することができる。この一次シール部材5及び二次防水部材7は外壁パネル2間の縦目地の全高にわたって配置されているので確実に防水できるとともに、クリップ部材6は所定間隔で固定する必要がある位置に複数設置されるものであるので、縦目地の全高に渡って固定する場合に比べて施工が容易となる。また、一次シール部材5のシール部52や二次防水部材7の本体部72は弾性を有する樹脂により形成されているため、一次シール部材5及び二次防水部材7を弾性変形させて屋外側から外壁パネル2間の縦目地に取り付けることができる。
【0032】
また、二次防水部材7の本体部72に形成されたヒレ74が分岐して外壁パネル2の小口面と屋内側面にそれぞれ当接するので、二次防水部材7の外壁パネル2と接する部分がさらに、外部からの水の侵入を2重に防止することになるとともに、外壁目地幅が施工精度の範囲内で若干変化しても、確実に防水することができる。
【0033】
またこのように一次シール部材5、クリップ部材6、及び二次防水部材7の3つの部材で構成することで、例えば図9に示すように、外壁パネル2が厚くなった場合には、クリップ部材6の立ち上がり部の鉤部62を長く形成するだけで他の一次シール部材5及び二次防水部材7の形状を変更することなく用いることができる。また、外壁パネル2が薄くなった場合には、例えば二次防水部材7の形状を薄くするだけで他の部材の形状を変更することなく用いることができる。このように3つの部材に分けていることで、外壁パネル2のバリエーションを変更する場合に、一次シール部材5、二次防水部材7、及びクリップ部材6のうち一部の部材を仕様変更することで対応することができ、種々のバリエーションの外壁に使い回ししやすい。
【0034】
次に、外壁目地の2重防水構造1の別の施工方法について説明する。この別の施工方法では、まず、図10に示すように、一次シール部材5、クリップ部材6、及び二次防水部材7を縦目地に挿入する前に予め連結させて、2重の防水部材8を形成しておく。すなわち、一次シール部材5の凸条53に所定間隔でクリップ部材6を外嵌させるとともに、このクリップ部材6を外嵌させた凸条53を、二次防水部材7の収納部71に収納して、これら一次シール部材5、クリップ部材6、及び二次防水部材7を連結する。このとき、クリップ部材6に形成された鉤部62が一次シール部材5の凸条53に引っ掛かって確実に固定されるとともに、クリップ部材6のやや外側に広がる係止片61が、二次防水部材7の収納部71に形成された爪部73に引っ掛かって確実に固定される。
【0035】
そして、次に、図11に示すように、軸組3に外壁パネル2を固定して形成した外壁パネル2間の縦目地に屋外側から、上述のようにして連結した2重の防水部材8を二次防水部材7側から挿入する。このとき、縦目地よりも幅広に形成された二次防水部材7の本体部72及び一次シール部材5のシール部52が弾性変形して、縦目地内に侵入する。そして二次防水部材7の本体部72に形成されたヒレ74は、本体部72の復元力により、二次防水部材7を縦目地の屋内側に保持した状態で、屋外側のヒレ74aが外壁パネル2の小口面に水密的に圧接するとともに、屋内側のヒレ74bが外壁パネル2の屋内側面に水密的に圧接する。
【0036】
このように施工すると、外壁の縦目地に2重の防水部材8を挿入する1工程だけで、外壁目地の2重防水構造1を施工することができ、施工が極めて容易になる。なお、このように施工する場合は、予め例えば住宅建材を製造する工場などで、一次シール部材5、クリップ部材6、及び二次防水部材7を一体形成しても良く、また、一次シール部材5及びクリップ部材6を一体形成してもよい。
【0037】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る外壁目地の2重防水構造1、及び外壁目地の2重防水構造施工方法は、外壁の縦目地をより確実に防水することができる外壁目地の2重防水構造1、及び外壁目地の2重防水構造施工方法として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 外壁目地の2重防水構造
2 外壁パネル
5 一次シール部材
6 クリップ部材
7 二次防水部材
8 2重の防水部材
53 凸条
71 収納部
72 本体部
74 ヒレ
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁パネル間の縦目地から屋内側に水が侵入することを抑止する外壁目地の2重防水構造、及びこの外壁目地の2重防水構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の互いに隣接する外壁パネル間に形成される目地から建物内部に風雨などが侵入することを防ぎ、且つ、建物の外観を良好に保つために、乾式の外壁目地ガスケットが用いられる。外壁目地ガスケットは、例えばポリ塩化ビニル等の水密性及び弾性を有する材料で形成され、目地の幅よりもやや幅広の長手形状であって、屋外側から目地に圧入して固定するものである。
【0003】
このような外壁目地ガスケットにおいては、防水性をさらに高めるために、例えば図12(A)に示すように、対向する垂直板を底板部に立設して嵌着溝を形成してなるベース目地材101と、該ベース目地材101の嵌着溝106に嵌入する凸条103を筒形中空状のシール部104に垂設すると共に、シール部104のシール面にシリコン系被覆層を形成し、かつ、シール部104の下端部を目地幅に合わせて肉厚に形成してなるトップ目地材102とからなる外壁目地ガスケット100が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
このように構成することで外壁目地ガスケット100は、図12(B)に示すように、シール部104の防水性による一次防水に加えて、ベース目地材101が外壁パネル105の裏面105aに当接密着することによって、二次防水を行うことができ、より防水効果を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−74130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述のような外壁目地ガスケット100においては、ベース目地材101が建物の屋内側から取り付けるものであるので、外壁パネル105の屋内側に配置される下地材や外壁パネル取付用金具等が邪魔になって、ベース目地材101を取り付ける作業が困難となる場合も多く、また、外壁をリフォームする場合などのように内装材が固定されているためにベース目地材101を取り付けることが不可能となる場合もあった。
【0007】
また、ベース目地材101の嵌着溝106及びトップ目地材102の凸条103が縦目地の全高に渡って形成されているので、凸条103を嵌着溝106に嵌入させる作業も縦目地の全高に渡って行う必要があり、作業に手間が掛かった。
【0008】
また、外壁目地ガスケットは、ベース目地材101とトップ目地材102の2つの部材から形成されるものであるので、外壁パネル105の厚さを変更した場合にはこれら2つの部材を設計変更する必要があり、より使いまわしし易い部材が求められていた。
【0009】
そこで、本発明は、屋外側から外壁パネル間の縦目地に取り付けることができ、外壁パネルの厚さを変更したような場合にも使いまわしが良く、取付け作業が比較的容易な外壁目地の2重防水構造及びその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の外壁目地の2重防水構造は、外壁パネル間の縦目地のほぼ全高に渡って圧入して配置される弾性を有する長手形状の一次シール部材と、該一次シール部材の屋内側に形成されている縦方向に長尺な凸条に上下方向に間隔を開けて嵌着する断面略U字形状の複数のクリップ部材と、該クリップ部材に外嵌して固定される断面略U字形状の収納部がその中央に固定されるとともに、その両端に前記外壁パネルの屋内側端縁に水密的に圧接するヒレを有する弾性体からなる本体部とを有する、前記縦目地の全高に渡って配置される二次防水部材と、を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の外壁目地の2重防水構造は、前記収納部が前記本体部と比較して高剛性であることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の外壁目地の2重防水構造は、前記ヒレの先端が分岐して形成されており、前記先端の一方が前記外壁パネルの小口面に当接するとともに、前記先端の他方が前記外壁パネルの屋内側面に当接することを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の外壁目地の2重防水構造施工方法は、断面略U字形状の収納部と、その中央に収納部をその開口側を屋外側に向けて固定するとともに両端が広がってヒレを形成する本体部とを有する二次防水部材を、屋外側から外壁パネル間の縦目地にその全高に渡って挿入して、前記縦目地の屋内側に保持し、次に、前記縦目地よりもやや幅広の弾性を有する長手形状の一次シール部材に形成された凸条に断面略U字形状のクリップ部材を所定間隔で複数嵌着した状態で、屋外側から前記縦目地に前記一次シール部材を当該縦目地の全高にわたって圧入し、前記凸条に嵌着したクリップ部材を前記収納部に挿入して固定することを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載の外壁目地の2重防水構造施工方法は、外壁パネル間の縦目地よりもやや幅広の弾性を有する長手形状の一次シール部材に形成された凸条に断面略U字形状のクリップ部材を所定間隔で複数嵌着し、次に、断面略U字形状の収納部と、中央に前記収納部が固定されるとともに両端が広がってヒレを形成する本体部とを有する二次防水部材の前記収納部を前記クリップ部材に外嵌して固定して、2重の防水部材を形成し、屋外側から前記縦目地にその全高にわたって前記2重の防水部材を前記二次防水部材側から順に挿入して、前記二次防水部材を前記縦目地の屋内側に保持するとともに、前記一次シール部材部材を前記縦目地に圧入することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の外壁目地の二次防水部材によると、一次シール部材は弾性を有し、二次防水部材の本体部は弾性体からなるため、一次シール部材及び二次防水部材を弾性変形させて屋外側から外壁パネル間の縦目地に取り付けることができる。また、一次シール部材と二次防水部材とをクリップ部材を介して固定するので、外壁パネルの厚さを変更する場合などのように、外壁のバリエーションの変更に、一次シール部材、二次防水部材、及びクリップ部材のうち一部の部材を仕様変更することで対応することができ、種々のバリエーションの外壁に使い回ししやすい。
【0016】
また、一次シール部材と二次防水部材とはそれぞれ縦目地の全高に渡って配置されるとともに、クリップ部材は必要な箇所に複数配置されているので、2重防水構造による確実な防水性が確保できるとともに、施工の際はクリップ部材が配置されている箇所のみ一次シール部材及び二次防水部材を連結すればよいので、縦目地の全高に渡って連結する場合に比べて施工が容易となる。
【0017】
請求項2に記載の外壁目地の二次防水部材によると、二次防水部材の本体部は弾性体により形成されており、収納部はこの本体部よりも高剛性であるので、本体部の両端に広がるヒレが外壁パネルの屋内側端縁に圧接して2次防水機能を発揮するとともに、高剛性の収納部によりクリップ部材を介して確実に一次シール部材に連結することができる。また、収納部が高剛性であることにより、断面略U字形状の収納部の立ち上がり部分がリブの役割を果たし、二次防水部材を補強することができる。
【0018】
請求項3に記載の外壁目地の二次防水部材によると、二次防水部材の本体部に形成されたヒレの先端が分岐して形成されており、一方が外壁パネルの小口面に当接するとともに、他方が外壁パネルの屋内側面に当接するので、二次防水部材の外壁パネルと接する部分がさらに、外部からの水の侵入を2重に防止することになり、より確実に防水することができる。また、このように外壁パネルの小口面と外壁パネルの屋内側面とに当接することで、外壁目地幅が施工精度の範囲内で若干変化しても、確実に防水することができる。
【0019】
請求項4に記載の外壁目地の2重防水構造施工方法によると、外壁パネル間の縦目地にまず二次防水部材を挿入して縦目地の屋内側に保持してから、クリップ部材が嵌着された一次シール部材を縦目地に圧入するものであるので、二次防水部材を挿入した際に、2次防水性が確保できているか目視で確認することができるので、より確実に防水性を確保できる。
【0020】
請求項5に記載の外壁目地の2重防水構造施工方法によると、一次シール部材と二次防水部材とをクリップ部材を介して2重の防水部材を形成してから、縦目地にその全高にわたってこの2重の防水部材を挿入するものであるので、予め2重の防水部材を形成しておけば、その後は、外壁の縦目地に2重の防水部材を挿入する1工程だけで、外壁目地の2重防水構造を施工することができ、施工が極めて容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】外壁パネルの2重防水構造の全体構成を説明する省略断面図、及びその一部省略拡大図。
【図2】一次シール部材の構成を説明する断面図及び省略斜視図。
【図3】クリップ部材の構成を説明する側面図及び斜視図。
【図4】二次防水部材の構成を説明する断面図及び省略斜視図。
【図5】軸組に外壁パネルを固定する工程を示す省略断面図。
【図6】二次防水部材を縦目地に挿入する状態を説明する省略断面図。
【図7】一次シール部材の凸条にクリップ部材を外嵌させる状態を説明する断面図。
【図8】凸条にクリップ部材を外嵌した状態の一次シール部材を縦目地に挿入する状態を説明する省略断面図。
【図9】外壁パネルを厚く形成した場合の外壁パネルの2重防水構造の全体構成を説明する省略断面図、及びその1部省略斜視図。
【図10】一次シール部材、クリップ部材、及び二次防水部材を連結して2重の防水部材を形成する状態を説明する断面図。
【図11】2重の防水部材を縦目地に挿入する状態を説明する一部省略断面図。
【図12】従来の縦目地防水に用いられる外壁目地ガスケットの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、外壁目地の2重防水構造1及びその施工方法の最良の実施形態について、各図を参照しつつ説明する。外壁目地の2重防水構造1が用いられる外壁は、図1に示すように、複数の外壁パネル2を建物の構造躯体を構成する軸組3に外壁パネル取付用金具4を用いて固定して形成される。外壁パネル2は、矩形平板状に形成された例えば樹脂系、セメント系、セラミック系、又は金属系のサイディング材である。この外壁パネル2の周縁の屋内側にはこの外壁パネル2を建物の梁や柱に固定するために断面C型の金属枠21が目地方向に開口して取り付けられている。
【0023】
この外壁パネル2を軸組3に固定する外壁パネル取付用金具4は、軸組3に固定され、軸組3から屋外方向に突出する基部41と、基部41を軸として回転可能に固定されており、外壁パネル2の金属枠21を軸組3との間に挟持するパネル固定部42と、このパネル固定部42を回転動作させる操作部43とを備える。外壁パネル2を固定する際には、軸組3に外壁パネル2の金属枠21を押し当てて、外壁パネル取付用金具4の操作部43を操作してパネル固定部42を回転させ、パネル固定部42と軸組3とで外壁パネル2の金属枠21を挟持して固定する。このとき、操作部43は、外壁パネル2間の縦目地の奥に位置するように構成されている。したがって、屋外側から目地内にドライバーなどの工具を挿入しつつ操作することにより、外壁パネル2を屋外側から取り付けることができ、また、リフォームなどの際にも外壁パネル2を屋外側から取り外すことができる。
【0024】
外壁目地の2重防水構造1は、このような外壁パネル2間の縦目地に配置されるものであって、外壁パネル2間の縦目地を通過して建物の屋内側に雨水等が侵入することを防止するものである。この外壁目地の2重防水構造1は、図1に示すように、外壁パネル2間の縦目地に圧入される一次シール部材5と、この一次シール部材5に形成された凸条53に嵌着する複数のクリップ部材6と、このクリップ部材6に外嵌しつつ縦目地の屋内側に配置される二次防水部材7と、により構成されている。
【0025】
一次シール部材5は、例えばポリプロピレンとゴムを混合したポリオレフィン系の弾性樹脂により形成されており、図2に示すように、縦目地に圧入したときに屋外側となる蓋部51と、この蓋部51から屋内側に向かって縦目地の目地幅よりもやや幅広に形成されるシール部52と、シール部52の中央から屋内側に突出して、膨らんで形成されている凸条53と、を具備している。シール部52は、側方に向かって複数の襞54が形成されるとともに、内部に複数の空洞55が管状に設けられており、一次シール部材5を外壁パネル2間の縦目地に圧入したときに弾性変形しつつ外壁パネル2の小口面に密着して、縦目地をシールできるように構成されている。またシール部52の中央の内部には、金属板状の形状保持部56が収納されており、一次シール部材5の形状を保持して確実に縦目地をシールできるようにしている。
【0026】
クリップ部材6は、一枚の金属板を折り曲げて加工して形成した金具であって、一次シール部材5の凸条53を内側に収納できる大きさに側部がそれぞれ屈曲して立上がって断面略U字形状に形成されている。図3に示すように、両側の立上がった部分は、それぞれ3つに分離して構成されており、その中央が外側にやや広がるように傾斜した係止片61を形成している。そしてこの係止片61の両側には先端が内側に屈曲した鉤部62が形成されている。このクリップ部材6が一次シール部材5の凸条53に外嵌したときに鉤部62が凸条53に引っ掛かるように形成されており、クリップ部材6が一次シール部材5から脱落することを防止している。
【0027】
二次防水部材7は、クリップ部材6に外嵌可能な大きさに形成された断面略U字形状の収納部71と、中央にこの収納部71が接着などにより固定された扁平な本体部72と、を有する。収納部71はポリプロピレンにタルクを混入するなどして剛性を高めた樹脂により形成されており、その先端には内側にやや突出する爪部73が形成されている。このように収納部71が比較的高い剛性の樹脂で形成されており、U字形状に立ち上がっていることで、この立ち上がった部分がリブの役割を果たし二次防水部材7を補強することができる。収納部71にクリップ部材6を収納した時には、クリップ部材6のやや外側に広がった係止片61がこの収納部71の爪部73に引っ掛かることでクリップ部材6を固定することができる。本体部72は、ポリプロピレン又はポリプロピレンとゴムを混合した樹脂などの弾性を有する樹脂により形成されている。この本体部72は、中央が収納部71が接着される平らな板状に形成されるとともに、両側の端部がやや折れ曲がってヒレ74を形成している。そしてこのヒレ74は、屋内側と屋外側とに分岐して形成されている。二次防水部材7を外壁パネル2間の縦目地の屋内側に保持したときには、分岐したヒレ74のうち屋外側のヒレ74aが外壁パネル2の小口面に水密的に圧接するとともに、屋内側のヒレ74bが外壁パネル2の屋内側面に水密的に圧接して、防水機能を発揮している。
【0028】
このように構成される2重防水構造を施工する際には、まず、図5に示すように、外壁パネル2を建物の軸組3に固定する。具体的には、軸組3に外壁パネル取付用金具4を取り付け、外壁パネル2の金属枠21の屋内側面を軸組3に当接させる。そして、外壁パネル取付用金具4の操作部43を操作してパネル固定部42を回転させ、このパネル固定部42を金属枠21の屋外側面に当接させ、このパネル固定部42と軸組3とで金属枠21を挟持して固定する。
【0029】
そして、次に、図6に示すように二次防水部材7を屋外側から縦目地を通して、この縦目地の全高に渡ってその屋内側に収納する。二次防水部材7は、縦目地の屋内側に外壁パネル取付用金具4があるため、屋内側に脱落することなく、縦目地の屋内側に配置される。また、二次防水部材7は縦目地の目地幅よりもやや幅広であるが、この二次防水部材7の本体部72を弾性変形させることにより縦目地内に挿入させることができ、またこの本体部72の復元力により、二次防水部材7を縦目地の屋内側に保持した状態で、屋外側のヒレ74aが外壁パネル2の小口面に水密的に圧接するとともに、屋内側のヒレ74bが外壁パネル2の屋内側面に水密的に圧接することができる。このように、先に二次防水部材7のみを縦目地の屋内側に挿入することで、施工作業者が屋外側から二次防水部材7の施工状況を確認することができ、二次防水部材7のヒレ74が外壁パネル2に密着して確実に防水できていることを確認することができる。
【0030】
次に、図7に示すように、一次シール部材5の凸条53に所定間隔でクリップ部材6を外嵌させる。そして、図8に示すように、凸条53にクリップ部材6を外嵌させた状態の一次シール部材5を屋外側から縦目地の全高に渡って圧入する。このとき一次シール部材5のシール部52は弾性変形して縦目地の中間位置で固定される。また、このとき先に縦目地の屋内側に保持されている二次防水部材7の収納部71にクリップ部材6を外嵌した一次シール部材5の凸条53を挿入して固定する。クリップ部材6の立ち上がった係止片61は外側にやや広がっており、収納部71の先端に内側にやや突出して形成された爪部73に引っ掛かることで収納部71にクリップ部材6が収納された状態で固定されることになる。これにより、一次シール部材5と二次防水部材7とが互いに連結されるので、一次シール部材5の脱落を防止することができるとともに、二次防水部材7の位置がずれて防水性が落ちることを防ぐことができる。
【0031】
このように、施工した外壁目地の2重防水構造1は、一次シール部材5による1次防水と、二次防水部材7による2次防水との2重の防水を行うことができるので、屋外側からの雨水の侵入を防止することができる。この一次シール部材5及び二次防水部材7は外壁パネル2間の縦目地の全高にわたって配置されているので確実に防水できるとともに、クリップ部材6は所定間隔で固定する必要がある位置に複数設置されるものであるので、縦目地の全高に渡って固定する場合に比べて施工が容易となる。また、一次シール部材5のシール部52や二次防水部材7の本体部72は弾性を有する樹脂により形成されているため、一次シール部材5及び二次防水部材7を弾性変形させて屋外側から外壁パネル2間の縦目地に取り付けることができる。
【0032】
また、二次防水部材7の本体部72に形成されたヒレ74が分岐して外壁パネル2の小口面と屋内側面にそれぞれ当接するので、二次防水部材7の外壁パネル2と接する部分がさらに、外部からの水の侵入を2重に防止することになるとともに、外壁目地幅が施工精度の範囲内で若干変化しても、確実に防水することができる。
【0033】
またこのように一次シール部材5、クリップ部材6、及び二次防水部材7の3つの部材で構成することで、例えば図9に示すように、外壁パネル2が厚くなった場合には、クリップ部材6の立ち上がり部の鉤部62を長く形成するだけで他の一次シール部材5及び二次防水部材7の形状を変更することなく用いることができる。また、外壁パネル2が薄くなった場合には、例えば二次防水部材7の形状を薄くするだけで他の部材の形状を変更することなく用いることができる。このように3つの部材に分けていることで、外壁パネル2のバリエーションを変更する場合に、一次シール部材5、二次防水部材7、及びクリップ部材6のうち一部の部材を仕様変更することで対応することができ、種々のバリエーションの外壁に使い回ししやすい。
【0034】
次に、外壁目地の2重防水構造1の別の施工方法について説明する。この別の施工方法では、まず、図10に示すように、一次シール部材5、クリップ部材6、及び二次防水部材7を縦目地に挿入する前に予め連結させて、2重の防水部材8を形成しておく。すなわち、一次シール部材5の凸条53に所定間隔でクリップ部材6を外嵌させるとともに、このクリップ部材6を外嵌させた凸条53を、二次防水部材7の収納部71に収納して、これら一次シール部材5、クリップ部材6、及び二次防水部材7を連結する。このとき、クリップ部材6に形成された鉤部62が一次シール部材5の凸条53に引っ掛かって確実に固定されるとともに、クリップ部材6のやや外側に広がる係止片61が、二次防水部材7の収納部71に形成された爪部73に引っ掛かって確実に固定される。
【0035】
そして、次に、図11に示すように、軸組3に外壁パネル2を固定して形成した外壁パネル2間の縦目地に屋外側から、上述のようにして連結した2重の防水部材8を二次防水部材7側から挿入する。このとき、縦目地よりも幅広に形成された二次防水部材7の本体部72及び一次シール部材5のシール部52が弾性変形して、縦目地内に侵入する。そして二次防水部材7の本体部72に形成されたヒレ74は、本体部72の復元力により、二次防水部材7を縦目地の屋内側に保持した状態で、屋外側のヒレ74aが外壁パネル2の小口面に水密的に圧接するとともに、屋内側のヒレ74bが外壁パネル2の屋内側面に水密的に圧接する。
【0036】
このように施工すると、外壁の縦目地に2重の防水部材8を挿入する1工程だけで、外壁目地の2重防水構造1を施工することができ、施工が極めて容易になる。なお、このように施工する場合は、予め例えば住宅建材を製造する工場などで、一次シール部材5、クリップ部材6、及び二次防水部材7を一体形成しても良く、また、一次シール部材5及びクリップ部材6を一体形成してもよい。
【0037】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る外壁目地の2重防水構造1、及び外壁目地の2重防水構造施工方法は、外壁の縦目地をより確実に防水することができる外壁目地の2重防水構造1、及び外壁目地の2重防水構造施工方法として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 外壁目地の2重防水構造
2 外壁パネル
5 一次シール部材
6 クリップ部材
7 二次防水部材
8 2重の防水部材
53 凸条
71 収納部
72 本体部
74 ヒレ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁パネル間の縦目地のほぼ全高に渡って圧入して配置される弾性を有する長手形状の一次シール部材と、
該一次シール部材の屋内側に形成されている縦方向に長尺な凸条に上下方向に間隔を開けて嵌着する断面略U字形状の複数のクリップ部材と、
該クリップ部材に外嵌して固定される断面略U字形状の収納部がその中央に固定されるとともに、その両端に前記外壁パネルの屋内側端縁に水密的に圧接するヒレを有する弾性体からなる本体部とを有する、前記縦目地の全高に渡って配置される二次防水部材と、
を備えることを特徴とする外壁目地の2重防水構造。
【請求項2】
前記収納部が前記本体部と比較して高剛性であることを特徴とする請求項1に記載の外壁目地の2重防水構造。
【請求項3】
前記ヒレの先端が分岐して形成されており、前記先端の一方が前記外壁パネルの小口面に当接するとともに、前記先端の他方が前記外壁パネルの屋内側面に当接することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の外壁目地の2重防水構造。
【請求項4】
断面略U字形状の収納部と、その中央に収納部をその開口側を屋外側に向けて固定するとともに両端が広がってヒレを形成する本体部とを有する二次防水部材を、屋外側から外壁パネル間の縦目地にその全高に渡って挿入して、前記縦目地の屋内側に保持し、
次に、前記縦目地よりもやや幅広の弾性を有する長手形状の一次シール部材に形成された凸条に断面略U字形状のクリップ部材を所定間隔で複数嵌着した状態で、屋外側から前記縦目地に前記一次シール部材を当該縦目地の全高にわたって圧入し、前記凸条に嵌着したクリップ部材を前記収納部に挿入して固定することを特徴とする外壁目地の2重防水構造施工方法。
【請求項5】
外壁パネル間の縦目地よりもやや幅広の弾性を有する長手形状の一次シール部材に形成された凸条に断面略U字形状のクリップ部材を所定間隔で複数嵌着し、
次に、断面略U字形状の収納部と、中央に前記収納部が固定されるとともに両端が広がってヒレを形成する本体部とを有する二次防水部材の前記収納部を前記クリップ部材に外嵌して固定して、2重の防水部材を形成し、
屋外側から前記縦目地にその全高にわたって前記2重の防水部材を前記二次防水部材側から順に挿入して、前記二次防水部材を前記縦目地の屋内側に保持するとともに、前記一次シール部材を前記縦目地に圧入することを特徴とする外壁目地の2重防水構造施工方法。
【請求項1】
外壁パネル間の縦目地のほぼ全高に渡って圧入して配置される弾性を有する長手形状の一次シール部材と、
該一次シール部材の屋内側に形成されている縦方向に長尺な凸条に上下方向に間隔を開けて嵌着する断面略U字形状の複数のクリップ部材と、
該クリップ部材に外嵌して固定される断面略U字形状の収納部がその中央に固定されるとともに、その両端に前記外壁パネルの屋内側端縁に水密的に圧接するヒレを有する弾性体からなる本体部とを有する、前記縦目地の全高に渡って配置される二次防水部材と、
を備えることを特徴とする外壁目地の2重防水構造。
【請求項2】
前記収納部が前記本体部と比較して高剛性であることを特徴とする請求項1に記載の外壁目地の2重防水構造。
【請求項3】
前記ヒレの先端が分岐して形成されており、前記先端の一方が前記外壁パネルの小口面に当接するとともに、前記先端の他方が前記外壁パネルの屋内側面に当接することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の外壁目地の2重防水構造。
【請求項4】
断面略U字形状の収納部と、その中央に収納部をその開口側を屋外側に向けて固定するとともに両端が広がってヒレを形成する本体部とを有する二次防水部材を、屋外側から外壁パネル間の縦目地にその全高に渡って挿入して、前記縦目地の屋内側に保持し、
次に、前記縦目地よりもやや幅広の弾性を有する長手形状の一次シール部材に形成された凸条に断面略U字形状のクリップ部材を所定間隔で複数嵌着した状態で、屋外側から前記縦目地に前記一次シール部材を当該縦目地の全高にわたって圧入し、前記凸条に嵌着したクリップ部材を前記収納部に挿入して固定することを特徴とする外壁目地の2重防水構造施工方法。
【請求項5】
外壁パネル間の縦目地よりもやや幅広の弾性を有する長手形状の一次シール部材に形成された凸条に断面略U字形状のクリップ部材を所定間隔で複数嵌着し、
次に、断面略U字形状の収納部と、中央に前記収納部が固定されるとともに両端が広がってヒレを形成する本体部とを有する二次防水部材の前記収納部を前記クリップ部材に外嵌して固定して、2重の防水部材を形成し、
屋外側から前記縦目地にその全高にわたって前記2重の防水部材を前記二次防水部材側から順に挿入して、前記二次防水部材を前記縦目地の屋内側に保持するとともに、前記一次シール部材を前記縦目地に圧入することを特徴とする外壁目地の2重防水構造施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−157707(P2011−157707A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19126(P2010−19126)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【出願人】(000219705)東海興業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【出願人】(000219705)東海興業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】
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