外観検査装置及び外観検査方法
【課題】円筒体の検査において、目視検査により近い条件にて検査を行うことを可能とする外観検査装置を提供する。
【解決手段】円筒体外観検査装置において、回転部6は、円筒体被検査試料1を回転させる。照明部7は、円筒体被検査試料1の円筒面正常部をカメラ5により撮像した撮像画像に円筒体軸に平行となる縞模様が写るように配置される。カメラ5は、円筒体軸と光軸とが直角になるように配置され、縞模様を含む円筒面の領域を予め定められる周方向の分解能に応じた速度で撮像して画像データを出力する。画像処理装置は、カメラ5からの複数の画像データから複数の展開画像データを再構成する画素ラインの中で予め定められる画素ラインの画素を再構成して円筒面に対応する展開画像データを生成し、生成した展開画像データから円筒体被検査試料の円筒面の異常部を検出し検査する。
【解決手段】円筒体外観検査装置において、回転部6は、円筒体被検査試料1を回転させる。照明部7は、円筒体被検査試料1の円筒面正常部をカメラ5により撮像した撮像画像に円筒体軸に平行となる縞模様が写るように配置される。カメラ5は、円筒体軸と光軸とが直角になるように配置され、縞模様を含む円筒面の領域を予め定められる周方向の分解能に応じた速度で撮像して画像データを出力する。画像処理装置は、カメラ5からの複数の画像データから複数の展開画像データを再構成する画素ラインの中で予め定められる画素ラインの画素を再構成して円筒面に対応する展開画像データを生成し、生成した展開画像データから円筒体被検査試料の円筒面の異常部を検出し検査する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は円筒体の外周面の外観検査を行う外観検査装置及び外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子燃料の技術分野において、端栓、棒材、管材、燃料棒、ペレット等の円筒体の品質を維持するために、円筒体の外観検査が行われている。一般産業にも金属面等の光が反射しやすい円筒体は使われる。これらの円筒体の品質を維持するために一般に検査が要求される欠陥としては、(1)割れ、欠け、(2)凹み、変形、ピット、ボイド、(3)バリ、すりきず、シワ、引っかき、当たりマーク、ダイマーク、(4)未研削、異常仕上げ面、(5)変色、色むら、表面荒れ、肌荒れ、ミミズシミ、油焼け、(6)異物巻き込み、固着物、(7)糸くず、ほこり、(8)付着物、指紋、汚れ、シミ、油、(9)コーテング異常、被覆割れ、(10)光沢ムラ、腐食、錆びなどがある。
【0003】
従来、端栓、棒材、管材、燃料棒等の円筒体外観は、目視により検査する目視外観検査及び自動検査装置を用いた検査が実施されている。目視外観検査では、手でハンドリングしたり、定盤上で転がす等により検査員による目視検査が行われる。また、自動検査装置を用いる検査では、円筒体を回転しながら、落射照明等で撮像検査部を均一に照明し、ラインセンサにて回転中の円筒体を撮像し、異常部を検出することにより検査を行っている。
【0004】
自動検査装置を用いる一般的な円筒体外観検査としては、ドラムや金属棒材等の円筒面検査が知られており、原子燃料の分野では、棒材外観検査、被覆管などの管の外観検査、ペレット外周外観検査などが知られている。
【0005】
ところで、従来の目視外観検査では、人により多くの検査が行われるため安定せず、また、作業者の経験に依存するところが多い。また、高年齢化等により作業者への負担が大きくなってきているという問題や、高コストであるという問題がある。
【0006】
また、従来の自動検査装置における外観検査では、特定の欠陥に対して自動化できるが、各種各様の欠陥に対してはS/N(Signal to Noise Ratio)が悪化し、目視外観検査に代わるレベルまでにするには、数々の条件で多数のカメラを配置し、多くの画像装置を駆使して大掛かりなシステムにしてやらなければならないという問題がある。目視外観検査に代われるレベルの検査では、経済的なコストと空間で賄える自動装置化は困難となっている。
【0007】
これまでに、自動検査装置による円筒体の外観検査には、以下のような技術が提案されている。まず、非特許文献1では、レ−ザ回転操作方式による棒材の表面の傷を検出する技術が提案されている。この技術では、円柱状の棒状物品の軸方向一定角度から照射するレーザ光のスペックルの一定位置での光量の変化をもって外観の検査が行われる。
【0008】
また、特許文献1では、回転するペレットの正反射光をリニアイメージセンサーで検出し、映像信号を複数の閾値の二値化回路を通し、欠陥を抽出する技術が提案されている。この技術では、照明とリニアイメージセンサーは、直角方向と同方向垂直方向に配置される撮像配置となり、照明とリニアイメージセンサーが異なったポジションの状態にて検査が行われる。
【0009】
また、特許文献2では、円筒体を回転移動させ、撮像した画像の被写体中央の一次元画像信号を読み出し、展開画像を得る円筒体外観検査装置が提案されている。この技術では、複数のペレットを順送りして連続して検査が行われる。
【0010】
また、特許文献3では、円筒状表面の傷検査用撮影装置の技術が提案されている。この技術は、ゴムローラを回転させ、照明の直角方向からラインセンサカメラ(一次元撮像手段)で撮像し、中間の明るさレベルの二次元展開画像で外観検査が行われる。
【0011】
また、特許文献4では、自転する円筒面に対して直行する照明を配し、照明を挟んで複数台のラインセンサカメラを千鳥上に配した外観検査装置の技術が提案されている。この技術では、それぞれ正反射光を千鳥上の複数のラインセンサカメラで受光でき、長い円筒物も高分解能でカバーした状態にて検査が行われる。
【0012】
また、特許文献5では、円筒状ワークの外観検査装置の技術が提案されている。この技術では、転働する円筒を二次元撮像手段により一定間隔で一定枚数撮像し、検査領域が重複する間隔(6分割)で、全周の画像情報を取得して重複部分を確認することにより外観の良否を判定が行われる。
【0013】
また、特許文献6では、棒状物品照明装置に関する技術が提案されている。この技術では、円柱状の棒状物品の表面を均一に照明することにより検査が行われる。
【0014】
特許文献1、3および4に示す技術は、ライン状の照明が用いられ、ラインセンサにて撮影が行われている。一方、特許文献5及び6に示す技術では、表面を均一に照明する技術により、二次元撮像手段で周を数分割して撮像して外観検査が行われている。
【特許文献1】特開昭56−160645号公報
【特許文献2】特開昭62−039746号公報
【特許文献3】特開平9−014942号公報
【特許文献4】特開平9−304287号公報
【特許文献5】特開2002−350358号公報
【特許文献6】特開2005−069695号公報
【非特許文献1】“最新目視検査の自動化”,三菱電機技報56,P69,1986.8.28
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、非特許文献1及び特許文献1〜6にて開示された技術では、ある特定の欠陥を検出できるように調整して使うことができるが、目視外観検査に比して、種々の自然欠陥検出のS/Nを確保できるだけの現実的外観検査にはなっていないという問題がある。
【0016】
円筒体の曲面の目視外観検査では、対象物を持ったり転がしたりして検査しているため、対象物と目と照明の位置関係がある程度フレキシブルで、円筒面の曲面はいろんな方向および角度からの照明と視線により検査されている。すなわち、ラインセンサでの自動検査画像のように、対象物の検査位置とラインセンサ光学系と照明の位置関係が単一条件でなく、照明の正反射あるいは一定角度の画像だけを見ているのではなく、曲面のいろんな反射角度の像が目に入り、目の位置もある範囲内で様々に変わりながら検査が行われている。
【0017】
これに対し、従来のラインセンサを使った自動検査装置における対象物と目に相当するカメラと照明の位置関係は、対象物とラインセンサと照明の位置関係を固定した上で、一定反射角の情報を捕らえ、欠陥を識別しようとするものとなっていた。そして、その位置関係の条件は、多くの技術において1条件であり、多くても2台のラインセンサを使って独立な2条件に留まっており、目視外観検査のようにフレキシブルな変化に対応できていないという問題がある。
【0018】
また、特許文献5や6の、均一照明下で周面を二次元画像で分割撮像して検査する装置に、拡散光で曲面をできるだけリアルな画像として撮像して検査しようとするものである。拡散光照明のリアルな画像での検査だけに正常表面のテクスチャーが強調されやすく、種々の自然欠陥レベルでは欠陥部位と正常面の分離ロジックの自動化は大変に難しいものとなり、拡散光照明のリアルな画像でS/Nが高い欠陥以外の検査では、目視外観検査のように検査員のような欠陥識別能力に対応できていないという問題がある。
【0019】
そのため、従来の円筒体外観検査装置では、特定の欠陥検出には機能するが、目視検査に代えられるような種々の欠陥での検出性能が得られず、安定した実用的な自動外観検査をすることは困難であるという問題がある。
【0020】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、円筒体の検査において、目視検査により近い多数の条件にて多様な検査をシンプルな装置で行うことを可能とする外観検査装置及び外観検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記問題を解決するために、本発明は、円筒体円筒面を検査する外観検査装置であって、
前記円筒体軸と光軸とが直角になるように配置され、回転する前記円筒体の円筒面を連続撮像するカメラと、前記カメラにより撮影された複数画像の画像データの必要な画角のライン画素データから再構成して展開画像データを生成する画像処理部と、前記画像処理部が生成した展開画像データから前記円筒体被検査試料の円筒面の異常部を検出評価して合否判定する異常検査部と、を備えたことを特徴とする外観検査装置である。
【0022】
本発明は、円筒体円筒面を検査する外観検査装置であって、前記円筒体軸と光軸とが直角になるように配置され、前記円筒体の回転する円筒面を連続撮像するカメラと、前記円筒体軸に平行となる縞模様が前記カメラの撮像子に写るように前記円筒体を照明する照明部と、前記カメラにより撮影された複数画像の画像データから検査条件に基づいて展開画像データを生成する画像処理部と、前記画像処理部が生成した展開画像データから前記円筒体被検査試料の円筒面の異常部を検出評価して被検査試料の合否判定する異常検査部と、を備えたことを特徴とする外観検査装置である。
【0023】
本発明は、円筒体被検査試料の円筒面を検査する外観検査装置であって、前記円筒体被検査試料を回転させる回転部と、前記円筒体被検査試料の円筒面に前記円筒体軸に平行となる縞模様が映るように配置される照明部と、前記円筒体軸と光軸とが直角になるように配置され、前記縞模様を含む前記円筒面の領域を予め定められる周方向の分解能に応じた速度で撮像して画像データを出力するカメラと、前記カメラから出力される複数画像の画像データから予め定められるライン画素データを抽出し、抽出したライン画素データを再構成して展開画像データを生成する画像処理部と、前記画像処理部が生成した展開画像データに基づいて、前記円筒体被検査試料の円筒面の異常部を検出し、検出した異常部により円筒体被検査試料の円筒面の異常を評価して被検査試料の合否判定する異常検査部と、を備えたことを特徴とする外観検査装置である。
【0024】
本発明は、上記に記載の発明において、前記画像処理部は、前記展開画像データを、前記ライン画素データごとに複数生成し、生成した複数の展開画像データに対して前記円筒面の位置に対応するように抽出元の画素データのラインに応じた画素位置の補正を行い、前記異常検査部は、前記画像処理部により補正された複数の展開画像データの同じ位置をマッチングさせて前記複数の展開画像データから異常部抽出フィルタで異常部の検出を行うことを特徴とする。
【0025】
本発明は、上記に記載の発明において、前記照明部は、前記円筒体被検査試料の円筒体軸と平行に前記縞模様が前記カメラの前記円筒面の撮像画像に写るように前記カメラの中央軸を挟んで左と右に配置する複数の試料軸平行照明を備えることを特徴とする。
【0026】
本発明は、光を照射する照明装置と、撮像した画像の画像データを出力するカメラと、画像データを処理する画像処理装置とを用いて円筒体被検査試料の円筒面を検査する外観検査方法であって、前記円筒体被検査試料を回転させる第1の工程と、前記円筒体被検査試料の円筒面に前記円筒体軸に平行となる縞模様が映るように前記円筒面を照明する第2の工程と、前記円筒体軸と光軸とが直角になるように配置されるカメラが、前記縞模様を含む前記円筒面の領域を予め定められる周方向の分解能に応じた速度で撮像して画像データを出力する第3の工程と、前記画像処理装置が、前記カメラから出力される複数画像の画像データから予め定められるライン画素データを抽出し、抽出したライン画素データを再構成して展開画像データを生成する第4の工程と、前記画像処理装置が、生成した展開画像データに基づいて、前記円筒体被検査試料の円筒面の異常部を検出し、検出した異常部により円筒体被検査試料の円筒面の異常を評価して被検査試料の合否判定する第5の工程と、を含むことを特徴とする円筒体外観検査方法である。
【0027】
本発明は、上記に記載の発明において、前記第4の工程は、前記円筒面に対応する展開画像データを、前記ライン画素データごとに複数生成し、生成した複数の展開画像データに対して前記円筒面の位置に対応するように抽出元の画素データのラインに応じた画素位置の補正を行う工程を含み、前記第5の工程は、補正された複数の展開画像データの同じ位置をマッチングさせて前記複数の展開画像データから異常部抽出フィルタで異常部の検出を行う工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、外観検査装置は、円筒体軸と光軸とが直角になるように配置され、回転する前記円筒体の円筒面を連続撮像するカメラと、カメラにより撮影された複数画像の画像データの必要な画角のライン画素データから再構成して展開画像データを生成する画像処理部と、画像処理部が生成した展開画像データから前記円筒体被検査試料の円筒面の異常部を検出評価して合否判定する異常検査部とを備える構成とした。これにより、カメラにより撮影された撮影画像の画像データのラインごとの画素データを抽出して複数の展開画像データを生成することができる。これら展開画像データは撮像角の異なった条件の展開画像データとなるため、異なった複数の条件の展開画像データから検査要求に合わせた種々な最適異常部抽出フィルタで異常部を検出し、最適異常部判定フィルタで判定することで、目視検査により近い条件にて、円筒面の自動外観検査を行うことが可能となる。また、これらを電子計算機的に行うので、目視検査のような検査ばらつきが少なく、再現性の良い自動外観検査になる。
【0029】
また、本発明によれば、外観検査装置であって、円筒体軸と光軸とが直角になるように配置され、前記円筒体の回転する円筒面を連続撮像するカメラと、円筒体軸に平行となる縞模様がカメラの撮像子に写るように前記円筒体を照明する照明部と、カメラにより撮影された複数画像の画像データから検査条件に基づいて展開画像データを生成する画像処理部と、画像処理部が生成した展開画像データから前記円筒体被検査試料の円筒面の異常部を検出評価して被検査試料の合否判定する異常検査部とを備える構成とした。これにより、縞模様のある明るさの撮像角の展開画像データを生成することができる。この展開画像データは、縞模様により明視野から暗視野までの明るさと撮像角の多条件を含む画像データとなるため、複数の条件の展開画像データから検査要求に合わせた種々な最適異常部抽出フィルタで異常部を検出し、最適異常部判定フィルタで判定することで、目視検査により近い条件にて、円筒面の自動外観検査を行うことが可能となる。また、これらを電子計算機的に行うので、目視検査のような検査ばらつきが少なく、再現性の良い自動外観検査になる。
【0030】
また、本発明によれば、外観検査装置は、円筒体被検査試料を回転させる回転部と、円筒体被検査試料の円筒面に円筒体軸に平行となる縞模様が映るように配置される照明部と、円筒体軸と光軸とが直角になるように配置され、縞模様を含む円筒面の領域を予め定められる周方向の分解能に応じた速度で撮像して画像データを出力するカメラと、カメラから出力される複数画像の画像データから予め定められるライン画素データを抽出し、抽出したライン画素データを再構成して展開画像データを生成する画像処理部と、画像処理部が生成した展開画像データに基づいて、円筒体被検査試料の円筒面の異常部を検出し、検出した異常部により円筒体被検査試料の円筒面の異常を評価して被検査試料の合否判定する異常検査部とを備える構成とした。これにより、円筒体被検査試料の広範囲の照明角および撮像角の展開画像データを、円筒体被検査試料を1回転させるだけで得ることができる。この展開画像データは、明視野から暗視野までの多条件を含む画像データとなるため、複数の条件の展開画像データから検査要求に合わせた種々な最適異常部抽出フィルタで異常部を検出し、最適異常部判定フィルタで判定することで、目視検査により近い条件にて、円筒面の自動外観検査を行うことが可能となる。また、これらを電子計算機的に行うので、目視検査のような検査ばらつきが少なく、再現性の良い自動外観検査になる。
【0031】
また、本発明によれば、外観検査装置に係る画像処理部は、展開画像データを、ライン画素データごとに複数生成し、生成した複数の展開画像データに対して円筒面の位置に対応するように抽出元の画素データのラインに応じた画素位置の補正を行い、異常検査部は、
画像処理部により補正された複数の展開画像データの同じ位置をマッチングさせて複数の展開画像データから異常部抽出フィルタで異常部の検出を行う構成とした。これにより、異なった照明角や撮像角の展開画像データを用いなければ異常部全体の検出ができないような異常部を、円筒体被検査試料を1回転させることで生成される展開画像データから相互に補完することにより検出することが可能となる。また、これにより、マッチングの容易な照明条件や撮像角の違った複数の展開画像データを用いることで異常部のS/Nをより向上させることも可能となる。
【0032】
また、本発明によれば、外観検査装置に係る照明部は、円筒体被検査試料の円筒体軸と平行に縞模様がカメラの円筒面の撮像画像に写るようにカメラの中央軸を挟んで左と右に配置する複数の試料軸平行照明を備える構成とした。これにより、円筒体被検査試料の円筒面に縞模様を映しだすことが可能となり、様々な撮像角及び明視野から暗視野までの複数の照明角の展開画像データで異常部抽出させる場合に、様々な検出条件を設定することが可能となる点で有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1から図4は、本実施形態による円筒体外観検査装置10を示す図である。図1は、円筒体外観検査装置10の正面図及び全体構成図である。図2は、円筒体外観検査装置10の円筒体被検査試料1を撮影する装置に係る部分の側面図である。図3は、円筒体外観検査装置10の軸方向搬送部9の側面図である。図4は、画像処理装置8の内部構成を示した概略ブロック図である。
【0034】
本実施形態で検査対象となる円筒体被検査試料1は、図2に示すように回転部6の2個1対のローラ61に配置される。回転部6は、前記2個1対のローラ61と、ローラ駆動モータ62とを備えており、ローラ駆動モータ62によりローラ61を周速一定で回転させることで、円筒体被検査試料1を周速一定でスムーズに回転させる。回転部6は、図1及び図2に示すように、円筒体被検査試料1が短い場合は、1個であってもよいが、円筒体被検査試料1が長い場合、円筒体被検査試料1の長さに合わせて適当な個数が円筒体被検査試料1を安定して回転させることができる位置に配置される。また、円筒体被検査試料1が長い場合、それぞれが重ならない範囲で円筒体外観検査装置10を円筒体被検査試料1の軸に合わせて複数配置して分担検査を行うことで、検査時間を稼ぐ方法も行われる。
【0035】
図3に示すように軸方向搬送部9は、駆動モータ91と、軸方向駆動ローラ92と、駆動ローラリフトアップ機能93とを備えている。駆動ローラリフトアップ機能93は、円筒体被検査試料1を回転部6に接触しない高さまで上げたり、あるいは回転部6のローラ61に乗せ、軸方向駆動ローラ92を円筒体被検査試料1が回転するときに円筒体被検査試料1に触れない位置まで下げたりする。軸方向駆動ローラ92は、駆動ローラリフトアップ機能93により円筒体被検査試料1が上げられた後に、駆動モータ91により駆動されることで、円筒体被検査試料1を次の回転撮像位置まで移動させる。この動作を繰り返すことにより、棒状の長い円筒体の外観検査もできる。また、検査情報にこの送り情報も取り込むことで欠陥位置の特定に利用することもできる。
【0036】
短い円筒体被検査試料1については、図示しない円筒体被検査試料1のピックアップ機構で回転撮像位置にセットし、全周撮像後にピックアップする。この全周撮像画像の画像データから異常部を検出し、全表面の異常部の総合判定により円筒体被検査試料1の合否判定を行う。長い棒状の円筒体被検査試料1については、撮像位置の全周撮像が終わったら、円筒体被検査試料1のたわみを考慮して必要な間隔で設置された軸方向搬送部9の駆動ローラリフトアップ機能93により上げられ、軸方向駆動ローラ92により移動させられた後に、駆動ローラリフトアップ機能93により回転部6のローラ61まで下げられることで、次の撮像位置まで軸方向に送られて配置される。なお、検査時間を稼ぐために、長い棒状の円筒体被検査試料1については、円筒体被検査試料1の軸に合わせて複数の円筒体外観検査装置10が配置され、それぞれがネットワークに接続され、当該ネットワークに接続する複数の円筒体外観検査装置10を管理する装置で総合判定を行わせるようにしてもよい。
【0037】
次に、図1及び図2に示すように二次元撮像素子のカメラ5は、回転部6の円筒体被検査試料1の軸と二次元撮像素子52の撮像走査ラインとが平行となり、かつ二次元撮像素子52の面に対して円筒体被検査試料1の軸が鉛直方向になるように配置される。照明部7は、試料軸平行照明71と試料軸平行斜角照明72と遮光板73と照明支持体75から構成されており、円筒体被検査試料1の円周面に縞模様ができるように間隔を空けて配置される。ここで、縞模様とは、遮光部とまばらな試料軸平行照明71の光が円筒面の正常表面で反射し、カメラ5で撮像されることにより円筒面の撮像画像に写るものである。具体的には、照明支持体75を使って円筒体被検査試料1の円筒面正常部に対してカメラ5が撮影する撮像画像に連続した明るさの縞模様ができるように円筒状あるいは楕円状などの試料軸平行照明71が配置される。このとき、照明の間は暗くなるように、光学黒染めの遮光板73を用い、また、照明部7以外の部材は光の反射を抑える光学黒染め仕上げを行い、不必要な外部光や回り込み光が円筒体被検査試料1の円筒面に反射して写らないようにしておく。
【0038】
照明部7の試料軸平行照明71は、円筒体被検査試料1の円周面撮像画像に求められる欠陥抽出の安定性が確保できる縞模様ができるように種類、大きさ、配置位置、明るさが定められる。種類、大きさ、配置位置、明るさは、円筒体被検査試料1の同芯度、外径ばらつき、曲がり、及び、異常部種類とどのくらいの欠陥検出精度を要求するかに基づいて最適な配置が定められる。
【0039】
また、試料軸平行照明71は、指向性の見逃しを減らすため、円筒体被検査試料1の円筒体軸と平行に反射光による縞が現れるように、カメラ5の中心軸、すなわちカメラ5の撮像レンズ51の中央軸を挟んで左と右に配置される。これにより、左と右からの周方向斜角照明を行うことができ、当該照明により得られる展開画像は、撮像周方向角および照明周方向角が対角となる画像となる。すなわち、左から見た画像と右から見た画像が得られることになり、その位置関係は容易にマッチングできるので、異常検出におけるS/Nを向上させることができる。
【0040】
また、試料軸平行照明71の明るさは、円筒体被検査試料1の円周面の正常部反射度等の状況に対応するため、異常検出を行う想定範囲の円筒体被検査試料1のサンプルについて予め撮像を行い、S/Nの良い異常部抽出に必要な明るさになるようそれぞれ設定する。
【0041】
また、試料軸平行斜角照明72は、照明光が円筒体被検査試料1に対して一定の角度を有しており、かつ正反射光がカメラ5に入らない位置であって正常面の弱い拡散反射光による薄い縞が円筒体被検査試料1の円筒体軸と平行に現れるように配置される。また、試料軸平行斜角照明72は、回転撮像範囲に対して比較的近いときはライン状の物が使われ、回転撮像範囲と相対的に遠い位置に配置できるときは小さな面からの投光器を使うようにすることもできる。
【0042】
また、試料軸平行斜角照明72は、指向性のある欠陥の見逃しを減らすため、軸の上左と下右に配置される。このように配置されるのは、円筒体被検査試料1のあるラインに対して一方方向からの照明であって対角独立となっている場合の方が、画像の異常検出における欠陥の識別性を向上、すなわち片側軸方向斜角照明検出の効果を向上させやすいためである。また、試料軸平行斜角照明72は、円筒体被検査試料1の円周方向の研削状態、円周に広がるへこみ状異常部、円周方向の割れや円筒面の異常部の検出に効果を発揮する。なお、欠陥の識別性より異常部抽出のS/Nを上げたい時には、試料軸平行斜角照明72を対角4方向からの照明にすることができる。また、試料軸平行照明71だけで十分な異常部検知ができるときは試料軸平行斜角照明72を使わないこともできる。
【0043】
図4は、画像処理装置8の内部構成を示した概略ブロック図である。図4に示すように画像処理装置8において、条件情報記憶部101は、自動検査時には検査に必要となる各種の設定データが予め記憶されている。送受信部81は、カメラ5に接続され、カメラ5に対して撮像条件やデータ送信条件等や、撮像開始信号や、撮像終了信号を送信し、逆にカメラ5から撮像された画像の画像データを受信する。操作部82は、画像処理装置8の操作者の操作を受け、自動検査モード、マニュアル走査モード、サンプル評価試験モード、撮像条件修正モード等の各種モード選択および各モード試験指示/設定、撮像開始指示、撮像終了指示、結果送信指示などを入力する。また、カメラ5は、(1)撮像全画面画像転送、(2)検査部分の画像の画像データ転送、(3)展開画像データを再構成する箇所のカメラ5の撮像子の画素ラインのデータ転送の機能を切り替えてデータ転送することが可能であり、データ転送時間の余裕度、すなわちデータ転送に許される時間等を考慮されたデータ送信条件に応じていずれかのデータ転送方式が選択される。この時間は、検査処理時間の大きな部分を占めるため、時間が許される場合には原則として(2)検査部分の画像の画像データ転送を用いるものとして以下の説明を行う。
【0044】
画像記憶部100は、送受信部81がカメラ5から受信した撮影画像の画像データを記憶する。画像再構成部83は、画像記憶部100に記憶されている1周分あるいは1周分以上の複数の撮像画像のデータから照明条件および撮像角度が同一となる画素のラインにおける画素データ(以下、ライン画素データとも記載)を再構成して、複数の展開画像データを生成する。この1つの展開画像データは、円筒体被検査試料1の円周面を展開平面として、一定の照明条件の円筒表面を一定撮像角で撮像したものになる。
【0045】
複数の展開画像データの相関で解析を行う場合、補正部84は、条件情報記憶部101に予め記憶されている補正情報に基づいて、画像再構成部83により再構成されたそれぞれの展開画像データの画素位置が円筒体被検査試料1の面の同位置に対応するように画素相対位置の補正を行う。
【0046】
異常検出部87は、条件情報記憶部101に予め設定されている異常部抽出条件情報に基づいて、展開画像データの異常部を検出する。
異常判定部88は、異常検出部87により異常として検出されたデータに基づいて全表面を評価して、円筒体被検査試料1が不合格、保留、合格であるかを判定する。
【0047】
出力部85は、画像モニタ200に接続され、送受信部81がカメラ5から受信した撮像画像データを画像モニタ200に出力し、また、表示モード指示により、画像記憶部100に記憶される画像データや、画像再構成部83が再構成した展開画像データや、補正部84により補正された展開画像データや、抽出された異常部をマークした展開画像データなどを出力する。
通信部86は、ネットワーク等に接続されており、準備完了や選別指示等の軸方向搬送部9や回転部6との通信、円筒体被検査試料1の情報入力を行うとともに、検査結果や異常部データや画像データや展開画像データ等を外部の装置に送信する。
【0048】
ここで、カメラ5によって撮像される撮像画像について説明する。図5は、円筒体被検査試料1を回転部6のローラ駆動モータ62を停止させたローラ61にのせ、照明部7の照明支持体75に配置した試料軸平行照明71と試料軸平行斜角照明72を適当な明るさに調光点灯し、円筒体被検査試料1の垂直軸上から、細長いのぞき窓76を通じてカメラ5で撮像した画像である。
【0049】
試料軸平行照明71からの照明光は、円筒体被検査試料1の円筒面の正常表面に反射し、その反射光が、図2の密集した二点鎖線Aに示される撮像光路により筒状の遮光板53の中を通じてカメラ5に到達する。カメラ5に到達した反射光は、撮像レンズ51で集光され、二次元撮像素子52で撮像される。図5に示す二次元撮像素子52で撮像された画像において、7本の明るく写っている部分(符号301〜307)が各試料軸平行照明71の光が円筒体被検査試料1の円周面の正常表面に反射した反射光であり、一番下の縞模様のライン(符号307)が図2の右下端の試料軸平行照明71の光が円筒体被検査試料1の円筒面の正常表面に反射して撮像されたものである。
【0050】
一方、明るい部分の間の暗い部分に薄っすらと写っている二箇所の部分(符号310、311)が図1の左右の各試料軸平行斜角照明72の光が、円筒体被検査試料1の円筒研削仕上げ面正常部の拡散反射光が写されたものである。
【0051】
(円筒体外観検査装置10の動作)
次に、図6を参照しつつ円筒体外観検査装置10の動作について説明する。
(ステップS1:セッティング)
まず、円筒体被検査試料1をローラ61に配置する。
【0052】
(ステップS2:照明の点灯/撮像開始)
画像処理装置8が通信部86を通じて試料軸平行照明71と試料軸平行斜角照明72を点灯させる。これにより、カメラ5によって撮像される円筒体被検査試料1の円周面正常部撮像画像に縞模様が写る。
【0053】
(ステップS3:円筒体被検査試料の回転)
一方、画像処理装置8が通信部86を通じてローラ駆動モータ62を駆動させて、ローラ61を一定の速度で回転させることにより、円筒体被検査試料1を一定の周速度で回転させる。
【0054】
(ステップS4:カメラでの撮影、撮像画像の画像データ取り込み)
円筒体被検査試料1が一定周速度回転になり検査可能状態になると、画像処理装置8に撮像画像の画像データ取り込み許可情報をネットワークで送信する。当該画像データ取り込み許可情報を受信した画像処理装置8にて、カメラ5で撮像された1周分以上の複数の画像データを画像処理装置8の送受信部81は受信し、画像記憶部100に取り込む(ステップS4)。画像処理装置8は、いつでも、受信した画像データを出力部85を通じて画像モニタ82に逐次表示させることも、円筒体被検査試料1の指定したところの展開画像データを表示することもできる。
【0055】
図7及び図8は、カメラ5から受信した一枚の画像モニタ82に表示される撮像画像を示した図である。
図7は、上記の図5と同様に、試料軸平行照明71と試料軸平行斜角照明72を複数用いた場合の撮像画像であり、多くの撮像角の展開画像データで異常部の検出をさせる場合には照明を複数用いた方が異常検出の際に様々な検出条件を設定することが可能となる点で有利である。
図8は、試料軸平行照明71に照明管が太めの物を1本だけ用いた場合の撮像画像であり、少ない撮像角の展開画像データで検査に必要な十分な異常部抽出が可能な場合や、円筒体被検査試料1の外径や曲がりのバラツキが大きいときに安定させる必要がある場合に有利である。また、図のようなローラ61へ載せて回転する方法では撮像表面が安定しない円筒体被検査試料1では、円筒体被検査試料1の撮像の障害にならない部位の上部に撮像表面を安定させる図示しないガイドローラをおき、そのガイドローラに沿わせて円筒体被検査試料1を回転させる型の回転部6を使うのが有利である。
【0056】
ここで、ステップS4にて、検査に必要な周方向の分解能を得るのに必要な撮像の時間ピッチについて以下に説明する。まず、通常の外観検査では、特別な理由が無ければ円筒面に対して縦横方向とも同じ分解能を確保する。そのため、カメラ5によって撮像される画像データの分解能を1画素当たり0.05mmとした場合、後述する異常部を抽出するための再構成展開画像データでは軸方向の画素ピッチが0.05mmであり、周方向の画素ピッチも0.05mmとなるようにする。カメラ5の二次元撮像素子52には、撮影される画像データにて軸方向の画像分解能として1画素当たり0.05mmを確保できる高画素、高感度、高速度の二次元撮像素子と光学系を使う。また、撮像レンズ51には、高解像度低歪で必要な明るさと被写界深度が確保できる適当な画角のものを使い、撮像された画像の素子ピッチが0.05mmで焦点が合う位置にカメラ5を円筒体被検査試料1の軸にカメラの二次元撮像素子52の撮像走査ラインを平行垂直にあわせ設置する。
【0057】
このとき、画像データを撮像する時間ピッチは、円筒体被検査試料1の回転周ピッチを0.05mmになる回転速度とする。例えば、円筒体被検査試料1の試料外形が10mmの場合、その周は31.4mmとなる。従って、1周では、628ライン分の画像を撮影する必要がある。撮像時間ピッチを2m秒とした場合、回転速度は1.256秒/周、周速25mm/秒となる。この周速で安定回転したら、2m秒の時間ピッチで撮像して1周以上の必要な枚数の撮像画像の画像データを取り込めばよい。
【0058】
多条件の展開画像データをマッチングして異常部を検出する場合には、一周の連続画像が完全にマッチングできるように撮像画像の画像データのズレ分をカバーするために約1.4回転位の撮像を行う。このとき、1個所の撮像画像取り込み時間は、約1.8秒となる。なお、円筒体被検査試料1と円筒体外観検査装置10が安定して、一周の前後の画像が一致するようならば1周分の画像データとしてもよい。
【0059】
(ステップS5:展開画像データの生成)
次に、1周あるいは1周分以上の複数の撮像画像の画像データが画像記憶部100に記録されると、画像再構成部83は、画像記憶部100の展開画像に必要な複数の画像のデータの予め設定されているライン画素データを周方向にデータ再構成して複数の展開画像データを生成する。又、この展開画像再構成は撮像画像のデータの取り込み時に順次行うこともできる。
【0060】
ここで、展開画像データを生成するための事前設定について説明する。まず、ローラ61にマッチング状況が明瞭になるクロスマーク等の目印を付けた円筒体被検査試料1と同径のマッチング調整用サンプルを配置し、定速回転させつつカメラ5にて画像データを撮像する。回転毎の画像データで回転の安定性を確認した上で、画像記憶部100に取り込まれた画像のデータの各ラインから画素データを再構成し展開画像データを生成する。各ラインの画像のデータ上での位置に応じて、生成される展開画像データには周方向にズレが生じている。すなわち、それぞれの展開画像データの周方向座標であるY座標は一致しておらず、複数の展開画像データをマッチングさせて合わせるためには、円筒体被検査試料1と同径のサンプルで各展開画像データの相対ズレ分を割り出して相対ズレ量として登録しておくことが必要となる。円筒体被検査試料1の相対ズレ分の補正は、補正部84によって予め設定されているこのズレ量により補正され、画素単位にマッチング可能な複数の展開画像データを生成することができる。
【0061】
図7のような撮像画像の場合には、全画素ラインの展開画像データを生成する。このとき、円筒体の周速度が、撮像画像の撮像時間ピッチと撮像画像1ライン送り時間と一致するように調整し、一定周速で回転させながら撮像すると、これらの展開画像データは、ほぼ撮像ライン分だけズレが生じた画像データとなる。このズレが生じたライン分を補正部84にて補正することにより、表示される全展開画像の対象点を一致させたものとすることができる。すなわち、これらの補正された複数の展開画像データは画素レベルで対象点が一致していて、かつ、照明角や撮像角などの撮像条件が違った展開画像データとなる。
【0062】
なお、より高精度の異常部検知を求められる様な場合には、その周辺の画素から必要な分解能のサブ画素単位で補完して補正展開画像データを生成するようにする。また、原則として、展開画像データの画素単位相当サイズのXYの精度を同じとしているが、周方向の分解能がもっと粗くても良い条件の場合、回転速度を上げたり、撮像ピッチ時間を遅くしてもよい。また、周方向の分解能をもっと細かくしたい場合、回転速度を下げたり、撮像ピッチ時間を短くして調整するようにしてもよい。但し、回転速度や撮像ピッチ時間などを変更した場合には、その変更にあわせて補正に用いるズレ分の値を変更する必要がある。
【0063】
図9は、図8の1周あるいは1周分以上の撮像画像の画像データから生成された同じ画素ラインの展開画像データを表示した展開画像の例を示した図である。展開画像401から405の順に、展開画像401は最も明るいところの画素ラインの展開画像、展開画像402は少し明るいところの画素ラインの展開画像、展開画像403は平均明るさのところの画素ラインの展開画像、展開画像404は少し暗いところの画素ラインの展開画像、展開画像405は最も暗いところの画素ラインの展開画像である。なお、上記の平均明るさとは、最も明るいところと最も暗いとこの明るさの平均値である。
【0064】
具体的に説明する。図10は、図8の撮像画像の一部を拡大した画像で、太めの照明管の試料軸平行照明71による反射光が円筒体被検査試料1の正常面に写っている画像である。撮影される画像には、最も明るいところの画素ラインから順に最も暗いところの画素ラインが連続して存在する。それぞれの画素ラインの画素データを時系列の画像から取り出し、高さ方向に時系列に合わせて再構成して展開画像データを生成することにより、上記の展開画像401〜405が生成される。例えば、図10の最も明るいところの画素ラインを抽出して生成したものが展開画像401となり、明るさの順に画素ラインごとに展開画像402〜405が生成される。また、図7に示したような撮像画像の場合には、撮像条件の違ったものとして、各照明に対して明視野、暗視野、中間明るさ部等に対する予め指定した画素ラインの展開画像データを得、撮像画角および照明条件の違った展開画像データから異常部検出および判定することができる。
【0065】
なお、撮像画像の画像データから全ライン画素データの展開画像データを生成して検査することは可能である。しかし、通常の検査において要求されるレベルでは、付近のライン画素データからの展開画像データはかなり似た結果が出てくる傾向もある。また、撮像時間ピッチや回転時間との関係から展開画像データを生成するための計算処理時間を短時間にする要求もあるため、検出する欠陥の優先度に従って、下記のような方法で異常部抽出に利用する展開画像データを間引くことにより限定し、限定した展開画像データ、例えば、5〜20枚くらいの間引き展開画像データで検査するようにしてもよい。
【0066】
ここで、上記の展開画像データを限定する方法について説明する。(手順1)まず、種々の検出したい各種欠陥を有するサンプル試料をローラ61に配置する。そして、カメラ5により撮像を行い、カメラ5から送信される図7のような撮像画像の画像データを受信した送受信部81が画像記憶部100に記録する。(手順2)次に、画像再構成部83により、画像記憶部100に記憶されている一周分の撮像画像の画像データの各ラインの画素を再構成して展開画像データを生成する。この段階では、間引き展開画像データとはせず、全撮像角および全明るさ条件での展開画像の異常部抽出評価が出来る様に全画素ラインについて展開画像データを生成する。
【0067】
そして、検出したい欠陥部が明示された画像データを教師信号として、展開画像データの正常部と欠陥を含んだ異常部におけるS/Nの高い展開画像データの中から複数個の展開画像データを異常部検出に用いる候補として自動解析プログラムで選択し、異常部抽出判定のモデルプログラムのパラメータを最適条件解析評価プログラムで処理時間および冗長性も考慮し、最適異常部抽出/判定フィルタとその最適パラメータを割り出す。その時の展開画像生成元の画像データにおける画素ラインを含めて当該試料の検査条件パラメータとして条件情報記憶部101に記憶させておく。
【0068】
欠陥検出に十分なS/Nを1条件の展開画像データで確保できるものについては、その条件で、1つの展開画像データを用いて欠陥検出を行う。
【0069】
一方、1条件の展開画像データで十分なS/Nを確保できない、すなわち誤認識の可能性がある欠陥や、あるいは欠陥の一部しか認識できない欠陥については、当該欠陥の一部を含む異常部だけがS/Nが高くなっている等の複数の条件、すなわち撮像画像の画像データの複数の画素ラインの各展開画像データを再構成し、それらの展開画像データのズレ分を補正してマッチングさせ、検出される欠陥ができるだけ実態に合うような、あるいは十分なS/Nが確保できるような展開画像データの組み合わせと複数展開画像データによる最適異常部抽出/判定フィルタとその最適パラメータを割り出し、解析評価される。そして、もっとも適した複数の組み合わせと最適異常部抽出/判定フィルタとその最適パラメータをデータデータ条件情報記憶部101に記憶させておく。
【0070】
例えば、試料軸平行斜角照明72に相当する位置の画素ラインから検出されるような周方向に凹んだような欠陥は、斜角照明では凹みの一部しかS/Nが出ないため、欠陥の一部しか検出できない。これに対して、対角にある試料軸平行斜角照明72に相当する位置の画素ラインからの展開画像データからは他方の凹みの一部を検出できることが多い。これに、試料軸平行照明71による暗視野照明になる位置の画素ラインからの展開画像データを合わせると凹みの異常部が明瞭に認識されることが多く、これらの各展開画像データと複数展開画像最適異常部抽出/判定フィルタとその最適パラメータを用いることで、表面異常が凹みによる欠陥と判定できる確率を高めることができる。
例えば、緩やかに凹んだような欠陥は、全方向から照明では正常部表面と区別がつかないことが多い。1方向からの照明では凹みの一部しか検知できないことが多く、欠陥が過小評価され不合格にならないことが多い。これに対して、試料軸平行照明71間の複数の暗視野位置の展開画像データではデータ凹みの一部の異常部が明瞭に認識されることが多く、これらの各展開画像データから検出した異常部のデータを総合して解析評価することで、表面異常が凹みによる欠陥と認識でき、明瞭に合否判定できる確率を高めることができる。
【0071】
また、例えば、欠陥がホコリのようなものであれば、明視野部と明視野部に挟まれた暗視野部の展開画像データを使う。暗視野ではホコリが正常部より明るく写り、明視野では正常部より暗く写ることが多い。試料軸平行斜角照明72に相当する部分の暗視野でも同様である。これらの前後視野の展開画像データと左右斜角照明に相当する位置での展開画像データをマッチングさせて抽出すると、ホコリの明瞭な画像として抽出することが可能となる。撮像角の差の大きな複数の展開画像データを使うとこれらの立体形状まで割り出せることもある。
【0072】
上記の様な展開画像データを選択、解析、評価する処理を行う最適条件抽出コンピュータプログラムを用いて、もっとも適した単数および複数展開画像データの組み合わせと最適異常部抽出/判定フィルタとその最適パラメータの検査条件を割り出し、条件情報記憶部101に記憶させておく。どの程度の条件を採用するかは、要求される検出欠陥性能と、計算時間として許容された時間と、欠陥抽出のための画像処理に要する時間のバランスで定められることになる。実際には、欠陥の形態は増加するため、これらを将来吸収できる余裕を持たせておくようにしてもよい。また、このような新たに発生する欠陥に対応した各条件設定と撮像条件に追加変更できることは現場で使える装置になるかを決めるポイントになることが多い。
【0073】
(ステップS6:異常部の検出)
次に、異常検出部87は、条件情報記憶部101に記憶されている条件データに基づいて、画像再構成部83により生成された展開画像データから異常部抽出フィルタとその最適パラメータで異常部(異常領域)の検出を行う。
【0074】
また、異常検出部87は、補正部84で複数の展開画像データの同じ位置をマッチングさせた複数の展開画像データの相関から各特異な異常部を検出する複数展開画像データからの異常部抽出フィルタとその最適パラメータで処理も行うことができる。この処理は、上述した1つの条件での展開画像データでは十分なS/Nが確保できず誤認識の可能性がある展開画像データや、異常部の一部しか認識できない条件の展開画像データに対して用いられることになる。
【0075】
(ステップS7:異常部の判定)
次に、異常判定部88は、異常検出部87により検出された異常部を、予め定められる条件に基づいて判定し、判定結果を出力する。具体的に、異常判定部88が行う判定は、当該外観検査に要求されるレベルの判定基準に基づく判定であり、その判定の方法には以下の2つの方法がある。
【0076】
まず、正常部分以外を異常部として検出して、必要に応じ表示し、この異常部を識別評価して欠陥部とその他に分類し、欠陥品を不合格、その他を保留品として判定する方法がある。この判定方法は、円筒面の正常部を一定範囲に確保し、異常の状態を監視しながら不合格品を選別することができる。また、必要に応じて異常の種類や程度で細かく仕分け分別することもできる。
【0077】
また、他の判定方法として、欠陥見本、あるいは定義された欠陥より欠陥がひどいものについては不合格として判定する方法がある。この方法は、不良のレベルを契約で約束した範囲の品質を維持したものを供給しようとする場合に用いられる選別検査方式に相当する方法である。通常は、人と円筒体外観検査装置10の判定能力の差およびバラツキ分だけ厳しい程度の比較評価が適用される。
【0078】
なお、異常判定部88が上記の処理を行う際の条件や方法などは、正常部および適用する欠陥等の標準サンプルの解析結果および前記判定方法を基に、最適異常部判定フィルタとその最適パラメータとして予め設定されているものとする。
【0079】
また、上述した画像再構成部83が生成した展開画像データや、異常検出部87が検出した異常部や、異常判定部88が判定した結果は、画像記憶部100に対応付けて記憶させておいてもよく、また、操作者が操作部82を操作することにより出力部85を介して画像モニタ82に出力させるようにしてもよい。また、これらのデータを通信部86を介して他の装置に送信できるようにしてもよい。また、これらのデータを記録しておくことで、円筒体外観検査装置10の性能が維持され、製造される製品である円筒体被検査試料1の工程に異常が発生していないか否かがモニタされ、過去の経過が調査解析できる装置にもなる。
【0080】
また、一般的に、検出されたデータはフィードバックされ、より良い工程管理や比較評価の妥当性アップ見直しに利用される。
【0081】
また、これらの検査の合否や保留結果も通信部86により送信され、送信先の装置にて対応する円筒体被検査試料1が合格、不合格、あるいは保留に仕分けされるようにしてもよい。
【0082】
上記のステップS4にて、1周分、あるいは1周分以上の撮像が終了した場合に、ローラ駆動モータ62を停止させてローラ61の回転を停止させ(ステップS3−1)、円筒体被検査試料1の全ての検査対象領域についての撮像が終了しているか否かを判定し(ステップS3−2)、円筒体被検査試料1の全ての検査対象領域についての撮像が終了していない場合には、軸方向搬送部9が円筒体被検査試料1を持ち上げ、次の検査位置まで移動させた後に(ステップS3−3)、再びステップS1からの処理を繰り返す。一方、全ての検査対象領域についての撮像が終了している場合には、全領域の異常部を総合判定して、検査処理を終了する。
【0083】
上記の構成により、円筒体被検査試料1の軸に平行に多値で連続して変化する縞模様が撮像画像に写るように照明し、円筒体被検査試料1を一回転させて1つのカメラ5で撮像させることで、中間明るさ視野を含めて明視野から暗視野まで、また、撮像角を前後に大きい範囲の撮像画像を得ることができ、当該撮影画像の画像データから生成される各条件の違った展開画像データを用いて異常部検出や判定を行うことが可能となる。上記の構成において、1つの画素ラインの画像データを用いるのは、従来のラインセンサで検査を行うことと同様であるが、従来のラインセンサでは、検査目標となる1つの欠陥を検知しやすいように照明とラインセンサを配置する。この時、多くの場合、明視野照明下での検査になる。一方、上記の構成では、複数の展開画像データはそれぞれの特徴ある明視野から暗視野までの照明条件下での特徴ある異なった撮像角の展開画像データとなるため、従来に比べて検査目標に対するS/N比を向上させ、より目視検査に近い外観自動検査にすることができる。
【0084】
また、上記の構成により、円筒体外観検査装置10は、円筒体被検査試料1を1周、あるいは1周分以上撮影することにより、約±50度の複数の照明角、約±50度の複数の撮像角、約±100度の複数の照明撮像角、正常部の正反射明視野部から暗視野部まで連続的な複数の明るさでの円筒体被検査試料1の円周面の反射光による展開画像データを得ることができる。そして、それぞれの展開画像データの撮像位置によるずれを補正することで、円筒体被検査試料1の円周面の位置に一対一に対応し、それぞれ撮像条件が違う展開画像データを得ることができる。
【0085】
したがって、ラインセンサで得られる円筒面の情報に比べて、はるかに多い円筒面の情報が得られる。これにより、各欠陥、各正常部のS/Nの良い単数および複数の展開画像データから異常部を抽出することができ、検査のS/Nを向上させることができる。
【0086】
さらに、マッチングした異なった条件の展開画像データを複数得られるので、異常部の補完を行うことができ、また、異常部の判定条件が増やすことができるので、より目視検査に近づき、その判定の性能を向上させることができ、結果として検査のS/Nをさらに向上させることができる。
【0087】
なお、上記の実施形態は、標準的な構成であり、照明の大きさ、配置個所、間隔等は円筒体被検査試料1の円筒体のサイズ、曲率、正常周面の状態や検出すべき欠陥の必要分解能等に応じて調整されることになる。
【0088】
また、試料軸平行照明71、あるいは試料軸平行斜角照明72の数は任意に定めることができ、例えば、上述した図8の撮像画像のように、1つの太めの試料軸平行照明71を用いることで検査を行うようにしてもよい。
【0089】
また、照明の明るさは、原則として、円筒体被検査試料1の円筒面正常部をカメラ5により撮像した撮像画像にほぼ同じような縞模様が撮像画像に写るように明るさを調整するが、円筒体被検査試料1の円筒面の表面状況や優先的に検出すべき欠陥等に応じて、明るさのバランスを変えて欠陥を検出しやすいように調整するようにしてもよい。
【0090】
また、カメラ5の撮像レンズは、目視検査の片目で検査しているように画角のあるレンズを使っている。これは目視検査に近い条件で撮像して検査することになるが、検査の再現性を重視される検査では、この撮像レンズにテリセントリックな撮像レンズを使うことでレンズ中心の円筒体被検査試料1の軸位置が変わっても再現性があまり変わらない様にすることもできる。
【0091】
余裕があれば、目視検査の両目で検査しているように、円筒体外観検査装置10にすこし離してカメラ5を二つつけて、これら二つのカメラの撮像画像を画像処理装置8に送って、二台のカメラ5からの展開画像を作って立体的アルゴリズムを使って欠陥抽出すると、より目視検査に近い自動外観検査装置となる。
【0092】
また、本発明に記載の、外観検査装置は、円筒体外観検査装置に対応する。また、本発明に記載の画像処理部は、画像処理装置8における送受信部81、画像記憶部100、画像再構成部83、補正部84に対応する。また、本発明に記載の異常検査部は、異常検出部87及び異常判定部88に対応する。
【0093】
上述の画像処理装置8は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した円筒体被検査試料1のカメラ5で撮影した画像データを受信して処理する過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施形態に係る円筒体外観検査装置の正面図である。
【図2】同実施形態に係る円筒体外観検査装置の側面図である。
【図3】同実施形態に係る軸方向搬送機の側面図である。
【図4】同実施形態に係る画像処理装置の概略ブロック図である。
【図5】同実施形態に係るカメラによって撮像された円筒体被検査試料の撮像画像(その1)である。
【図6】同実施形態に係る円筒体外観検査の処理の流れを示したフローチャートである。
【図7】同実施形態に係るカメラによって撮像された円筒体被検査試料の撮像画像(その2)である。
【図8】同実施形態に係るカメラによって撮像された円筒体被検査試料の撮像画像(その3)である。
【図9】同実施形態に係る撮像画像から再構成される展開画像を示した図である。
【図10】説明のため図8の撮像画像の一部を拡大した画像(その4)である。
【符号の説明】
【0095】
1 円筒体被検査試料
10 円筒体外観検査装置
5 カメラ
51 撮像レンズ
52 二次元撮像素子
53 遮光板
6 回転部
61 ローラ
62 ローラ駆動モータ
7 照明部
71 試料軸平行照明
72 試料軸平行斜角照明
73 遮光板
75 照明支持体
8 画像処理装置
9 軸方向搬送部
91 駆動モータ
92 軸方向駆動ローラ
93 駆動ローラリフトアップ機能
200 画像モニタ
【技術分野】
【0001】
本発明は円筒体の外周面の外観検査を行う外観検査装置及び外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子燃料の技術分野において、端栓、棒材、管材、燃料棒、ペレット等の円筒体の品質を維持するために、円筒体の外観検査が行われている。一般産業にも金属面等の光が反射しやすい円筒体は使われる。これらの円筒体の品質を維持するために一般に検査が要求される欠陥としては、(1)割れ、欠け、(2)凹み、変形、ピット、ボイド、(3)バリ、すりきず、シワ、引っかき、当たりマーク、ダイマーク、(4)未研削、異常仕上げ面、(5)変色、色むら、表面荒れ、肌荒れ、ミミズシミ、油焼け、(6)異物巻き込み、固着物、(7)糸くず、ほこり、(8)付着物、指紋、汚れ、シミ、油、(9)コーテング異常、被覆割れ、(10)光沢ムラ、腐食、錆びなどがある。
【0003】
従来、端栓、棒材、管材、燃料棒等の円筒体外観は、目視により検査する目視外観検査及び自動検査装置を用いた検査が実施されている。目視外観検査では、手でハンドリングしたり、定盤上で転がす等により検査員による目視検査が行われる。また、自動検査装置を用いる検査では、円筒体を回転しながら、落射照明等で撮像検査部を均一に照明し、ラインセンサにて回転中の円筒体を撮像し、異常部を検出することにより検査を行っている。
【0004】
自動検査装置を用いる一般的な円筒体外観検査としては、ドラムや金属棒材等の円筒面検査が知られており、原子燃料の分野では、棒材外観検査、被覆管などの管の外観検査、ペレット外周外観検査などが知られている。
【0005】
ところで、従来の目視外観検査では、人により多くの検査が行われるため安定せず、また、作業者の経験に依存するところが多い。また、高年齢化等により作業者への負担が大きくなってきているという問題や、高コストであるという問題がある。
【0006】
また、従来の自動検査装置における外観検査では、特定の欠陥に対して自動化できるが、各種各様の欠陥に対してはS/N(Signal to Noise Ratio)が悪化し、目視外観検査に代わるレベルまでにするには、数々の条件で多数のカメラを配置し、多くの画像装置を駆使して大掛かりなシステムにしてやらなければならないという問題がある。目視外観検査に代われるレベルの検査では、経済的なコストと空間で賄える自動装置化は困難となっている。
【0007】
これまでに、自動検査装置による円筒体の外観検査には、以下のような技術が提案されている。まず、非特許文献1では、レ−ザ回転操作方式による棒材の表面の傷を検出する技術が提案されている。この技術では、円柱状の棒状物品の軸方向一定角度から照射するレーザ光のスペックルの一定位置での光量の変化をもって外観の検査が行われる。
【0008】
また、特許文献1では、回転するペレットの正反射光をリニアイメージセンサーで検出し、映像信号を複数の閾値の二値化回路を通し、欠陥を抽出する技術が提案されている。この技術では、照明とリニアイメージセンサーは、直角方向と同方向垂直方向に配置される撮像配置となり、照明とリニアイメージセンサーが異なったポジションの状態にて検査が行われる。
【0009】
また、特許文献2では、円筒体を回転移動させ、撮像した画像の被写体中央の一次元画像信号を読み出し、展開画像を得る円筒体外観検査装置が提案されている。この技術では、複数のペレットを順送りして連続して検査が行われる。
【0010】
また、特許文献3では、円筒状表面の傷検査用撮影装置の技術が提案されている。この技術は、ゴムローラを回転させ、照明の直角方向からラインセンサカメラ(一次元撮像手段)で撮像し、中間の明るさレベルの二次元展開画像で外観検査が行われる。
【0011】
また、特許文献4では、自転する円筒面に対して直行する照明を配し、照明を挟んで複数台のラインセンサカメラを千鳥上に配した外観検査装置の技術が提案されている。この技術では、それぞれ正反射光を千鳥上の複数のラインセンサカメラで受光でき、長い円筒物も高分解能でカバーした状態にて検査が行われる。
【0012】
また、特許文献5では、円筒状ワークの外観検査装置の技術が提案されている。この技術では、転働する円筒を二次元撮像手段により一定間隔で一定枚数撮像し、検査領域が重複する間隔(6分割)で、全周の画像情報を取得して重複部分を確認することにより外観の良否を判定が行われる。
【0013】
また、特許文献6では、棒状物品照明装置に関する技術が提案されている。この技術では、円柱状の棒状物品の表面を均一に照明することにより検査が行われる。
【0014】
特許文献1、3および4に示す技術は、ライン状の照明が用いられ、ラインセンサにて撮影が行われている。一方、特許文献5及び6に示す技術では、表面を均一に照明する技術により、二次元撮像手段で周を数分割して撮像して外観検査が行われている。
【特許文献1】特開昭56−160645号公報
【特許文献2】特開昭62−039746号公報
【特許文献3】特開平9−014942号公報
【特許文献4】特開平9−304287号公報
【特許文献5】特開2002−350358号公報
【特許文献6】特開2005−069695号公報
【非特許文献1】“最新目視検査の自動化”,三菱電機技報56,P69,1986.8.28
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、非特許文献1及び特許文献1〜6にて開示された技術では、ある特定の欠陥を検出できるように調整して使うことができるが、目視外観検査に比して、種々の自然欠陥検出のS/Nを確保できるだけの現実的外観検査にはなっていないという問題がある。
【0016】
円筒体の曲面の目視外観検査では、対象物を持ったり転がしたりして検査しているため、対象物と目と照明の位置関係がある程度フレキシブルで、円筒面の曲面はいろんな方向および角度からの照明と視線により検査されている。すなわち、ラインセンサでの自動検査画像のように、対象物の検査位置とラインセンサ光学系と照明の位置関係が単一条件でなく、照明の正反射あるいは一定角度の画像だけを見ているのではなく、曲面のいろんな反射角度の像が目に入り、目の位置もある範囲内で様々に変わりながら検査が行われている。
【0017】
これに対し、従来のラインセンサを使った自動検査装置における対象物と目に相当するカメラと照明の位置関係は、対象物とラインセンサと照明の位置関係を固定した上で、一定反射角の情報を捕らえ、欠陥を識別しようとするものとなっていた。そして、その位置関係の条件は、多くの技術において1条件であり、多くても2台のラインセンサを使って独立な2条件に留まっており、目視外観検査のようにフレキシブルな変化に対応できていないという問題がある。
【0018】
また、特許文献5や6の、均一照明下で周面を二次元画像で分割撮像して検査する装置に、拡散光で曲面をできるだけリアルな画像として撮像して検査しようとするものである。拡散光照明のリアルな画像での検査だけに正常表面のテクスチャーが強調されやすく、種々の自然欠陥レベルでは欠陥部位と正常面の分離ロジックの自動化は大変に難しいものとなり、拡散光照明のリアルな画像でS/Nが高い欠陥以外の検査では、目視外観検査のように検査員のような欠陥識別能力に対応できていないという問題がある。
【0019】
そのため、従来の円筒体外観検査装置では、特定の欠陥検出には機能するが、目視検査に代えられるような種々の欠陥での検出性能が得られず、安定した実用的な自動外観検査をすることは困難であるという問題がある。
【0020】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、円筒体の検査において、目視検査により近い多数の条件にて多様な検査をシンプルな装置で行うことを可能とする外観検査装置及び外観検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記問題を解決するために、本発明は、円筒体円筒面を検査する外観検査装置であって、
前記円筒体軸と光軸とが直角になるように配置され、回転する前記円筒体の円筒面を連続撮像するカメラと、前記カメラにより撮影された複数画像の画像データの必要な画角のライン画素データから再構成して展開画像データを生成する画像処理部と、前記画像処理部が生成した展開画像データから前記円筒体被検査試料の円筒面の異常部を検出評価して合否判定する異常検査部と、を備えたことを特徴とする外観検査装置である。
【0022】
本発明は、円筒体円筒面を検査する外観検査装置であって、前記円筒体軸と光軸とが直角になるように配置され、前記円筒体の回転する円筒面を連続撮像するカメラと、前記円筒体軸に平行となる縞模様が前記カメラの撮像子に写るように前記円筒体を照明する照明部と、前記カメラにより撮影された複数画像の画像データから検査条件に基づいて展開画像データを生成する画像処理部と、前記画像処理部が生成した展開画像データから前記円筒体被検査試料の円筒面の異常部を検出評価して被検査試料の合否判定する異常検査部と、を備えたことを特徴とする外観検査装置である。
【0023】
本発明は、円筒体被検査試料の円筒面を検査する外観検査装置であって、前記円筒体被検査試料を回転させる回転部と、前記円筒体被検査試料の円筒面に前記円筒体軸に平行となる縞模様が映るように配置される照明部と、前記円筒体軸と光軸とが直角になるように配置され、前記縞模様を含む前記円筒面の領域を予め定められる周方向の分解能に応じた速度で撮像して画像データを出力するカメラと、前記カメラから出力される複数画像の画像データから予め定められるライン画素データを抽出し、抽出したライン画素データを再構成して展開画像データを生成する画像処理部と、前記画像処理部が生成した展開画像データに基づいて、前記円筒体被検査試料の円筒面の異常部を検出し、検出した異常部により円筒体被検査試料の円筒面の異常を評価して被検査試料の合否判定する異常検査部と、を備えたことを特徴とする外観検査装置である。
【0024】
本発明は、上記に記載の発明において、前記画像処理部は、前記展開画像データを、前記ライン画素データごとに複数生成し、生成した複数の展開画像データに対して前記円筒面の位置に対応するように抽出元の画素データのラインに応じた画素位置の補正を行い、前記異常検査部は、前記画像処理部により補正された複数の展開画像データの同じ位置をマッチングさせて前記複数の展開画像データから異常部抽出フィルタで異常部の検出を行うことを特徴とする。
【0025】
本発明は、上記に記載の発明において、前記照明部は、前記円筒体被検査試料の円筒体軸と平行に前記縞模様が前記カメラの前記円筒面の撮像画像に写るように前記カメラの中央軸を挟んで左と右に配置する複数の試料軸平行照明を備えることを特徴とする。
【0026】
本発明は、光を照射する照明装置と、撮像した画像の画像データを出力するカメラと、画像データを処理する画像処理装置とを用いて円筒体被検査試料の円筒面を検査する外観検査方法であって、前記円筒体被検査試料を回転させる第1の工程と、前記円筒体被検査試料の円筒面に前記円筒体軸に平行となる縞模様が映るように前記円筒面を照明する第2の工程と、前記円筒体軸と光軸とが直角になるように配置されるカメラが、前記縞模様を含む前記円筒面の領域を予め定められる周方向の分解能に応じた速度で撮像して画像データを出力する第3の工程と、前記画像処理装置が、前記カメラから出力される複数画像の画像データから予め定められるライン画素データを抽出し、抽出したライン画素データを再構成して展開画像データを生成する第4の工程と、前記画像処理装置が、生成した展開画像データに基づいて、前記円筒体被検査試料の円筒面の異常部を検出し、検出した異常部により円筒体被検査試料の円筒面の異常を評価して被検査試料の合否判定する第5の工程と、を含むことを特徴とする円筒体外観検査方法である。
【0027】
本発明は、上記に記載の発明において、前記第4の工程は、前記円筒面に対応する展開画像データを、前記ライン画素データごとに複数生成し、生成した複数の展開画像データに対して前記円筒面の位置に対応するように抽出元の画素データのラインに応じた画素位置の補正を行う工程を含み、前記第5の工程は、補正された複数の展開画像データの同じ位置をマッチングさせて前記複数の展開画像データから異常部抽出フィルタで異常部の検出を行う工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、外観検査装置は、円筒体軸と光軸とが直角になるように配置され、回転する前記円筒体の円筒面を連続撮像するカメラと、カメラにより撮影された複数画像の画像データの必要な画角のライン画素データから再構成して展開画像データを生成する画像処理部と、画像処理部が生成した展開画像データから前記円筒体被検査試料の円筒面の異常部を検出評価して合否判定する異常検査部とを備える構成とした。これにより、カメラにより撮影された撮影画像の画像データのラインごとの画素データを抽出して複数の展開画像データを生成することができる。これら展開画像データは撮像角の異なった条件の展開画像データとなるため、異なった複数の条件の展開画像データから検査要求に合わせた種々な最適異常部抽出フィルタで異常部を検出し、最適異常部判定フィルタで判定することで、目視検査により近い条件にて、円筒面の自動外観検査を行うことが可能となる。また、これらを電子計算機的に行うので、目視検査のような検査ばらつきが少なく、再現性の良い自動外観検査になる。
【0029】
また、本発明によれば、外観検査装置であって、円筒体軸と光軸とが直角になるように配置され、前記円筒体の回転する円筒面を連続撮像するカメラと、円筒体軸に平行となる縞模様がカメラの撮像子に写るように前記円筒体を照明する照明部と、カメラにより撮影された複数画像の画像データから検査条件に基づいて展開画像データを生成する画像処理部と、画像処理部が生成した展開画像データから前記円筒体被検査試料の円筒面の異常部を検出評価して被検査試料の合否判定する異常検査部とを備える構成とした。これにより、縞模様のある明るさの撮像角の展開画像データを生成することができる。この展開画像データは、縞模様により明視野から暗視野までの明るさと撮像角の多条件を含む画像データとなるため、複数の条件の展開画像データから検査要求に合わせた種々な最適異常部抽出フィルタで異常部を検出し、最適異常部判定フィルタで判定することで、目視検査により近い条件にて、円筒面の自動外観検査を行うことが可能となる。また、これらを電子計算機的に行うので、目視検査のような検査ばらつきが少なく、再現性の良い自動外観検査になる。
【0030】
また、本発明によれば、外観検査装置は、円筒体被検査試料を回転させる回転部と、円筒体被検査試料の円筒面に円筒体軸に平行となる縞模様が映るように配置される照明部と、円筒体軸と光軸とが直角になるように配置され、縞模様を含む円筒面の領域を予め定められる周方向の分解能に応じた速度で撮像して画像データを出力するカメラと、カメラから出力される複数画像の画像データから予め定められるライン画素データを抽出し、抽出したライン画素データを再構成して展開画像データを生成する画像処理部と、画像処理部が生成した展開画像データに基づいて、円筒体被検査試料の円筒面の異常部を検出し、検出した異常部により円筒体被検査試料の円筒面の異常を評価して被検査試料の合否判定する異常検査部とを備える構成とした。これにより、円筒体被検査試料の広範囲の照明角および撮像角の展開画像データを、円筒体被検査試料を1回転させるだけで得ることができる。この展開画像データは、明視野から暗視野までの多条件を含む画像データとなるため、複数の条件の展開画像データから検査要求に合わせた種々な最適異常部抽出フィルタで異常部を検出し、最適異常部判定フィルタで判定することで、目視検査により近い条件にて、円筒面の自動外観検査を行うことが可能となる。また、これらを電子計算機的に行うので、目視検査のような検査ばらつきが少なく、再現性の良い自動外観検査になる。
【0031】
また、本発明によれば、外観検査装置に係る画像処理部は、展開画像データを、ライン画素データごとに複数生成し、生成した複数の展開画像データに対して円筒面の位置に対応するように抽出元の画素データのラインに応じた画素位置の補正を行い、異常検査部は、
画像処理部により補正された複数の展開画像データの同じ位置をマッチングさせて複数の展開画像データから異常部抽出フィルタで異常部の検出を行う構成とした。これにより、異なった照明角や撮像角の展開画像データを用いなければ異常部全体の検出ができないような異常部を、円筒体被検査試料を1回転させることで生成される展開画像データから相互に補完することにより検出することが可能となる。また、これにより、マッチングの容易な照明条件や撮像角の違った複数の展開画像データを用いることで異常部のS/Nをより向上させることも可能となる。
【0032】
また、本発明によれば、外観検査装置に係る照明部は、円筒体被検査試料の円筒体軸と平行に縞模様がカメラの円筒面の撮像画像に写るようにカメラの中央軸を挟んで左と右に配置する複数の試料軸平行照明を備える構成とした。これにより、円筒体被検査試料の円筒面に縞模様を映しだすことが可能となり、様々な撮像角及び明視野から暗視野までの複数の照明角の展開画像データで異常部抽出させる場合に、様々な検出条件を設定することが可能となる点で有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1から図4は、本実施形態による円筒体外観検査装置10を示す図である。図1は、円筒体外観検査装置10の正面図及び全体構成図である。図2は、円筒体外観検査装置10の円筒体被検査試料1を撮影する装置に係る部分の側面図である。図3は、円筒体外観検査装置10の軸方向搬送部9の側面図である。図4は、画像処理装置8の内部構成を示した概略ブロック図である。
【0034】
本実施形態で検査対象となる円筒体被検査試料1は、図2に示すように回転部6の2個1対のローラ61に配置される。回転部6は、前記2個1対のローラ61と、ローラ駆動モータ62とを備えており、ローラ駆動モータ62によりローラ61を周速一定で回転させることで、円筒体被検査試料1を周速一定でスムーズに回転させる。回転部6は、図1及び図2に示すように、円筒体被検査試料1が短い場合は、1個であってもよいが、円筒体被検査試料1が長い場合、円筒体被検査試料1の長さに合わせて適当な個数が円筒体被検査試料1を安定して回転させることができる位置に配置される。また、円筒体被検査試料1が長い場合、それぞれが重ならない範囲で円筒体外観検査装置10を円筒体被検査試料1の軸に合わせて複数配置して分担検査を行うことで、検査時間を稼ぐ方法も行われる。
【0035】
図3に示すように軸方向搬送部9は、駆動モータ91と、軸方向駆動ローラ92と、駆動ローラリフトアップ機能93とを備えている。駆動ローラリフトアップ機能93は、円筒体被検査試料1を回転部6に接触しない高さまで上げたり、あるいは回転部6のローラ61に乗せ、軸方向駆動ローラ92を円筒体被検査試料1が回転するときに円筒体被検査試料1に触れない位置まで下げたりする。軸方向駆動ローラ92は、駆動ローラリフトアップ機能93により円筒体被検査試料1が上げられた後に、駆動モータ91により駆動されることで、円筒体被検査試料1を次の回転撮像位置まで移動させる。この動作を繰り返すことにより、棒状の長い円筒体の外観検査もできる。また、検査情報にこの送り情報も取り込むことで欠陥位置の特定に利用することもできる。
【0036】
短い円筒体被検査試料1については、図示しない円筒体被検査試料1のピックアップ機構で回転撮像位置にセットし、全周撮像後にピックアップする。この全周撮像画像の画像データから異常部を検出し、全表面の異常部の総合判定により円筒体被検査試料1の合否判定を行う。長い棒状の円筒体被検査試料1については、撮像位置の全周撮像が終わったら、円筒体被検査試料1のたわみを考慮して必要な間隔で設置された軸方向搬送部9の駆動ローラリフトアップ機能93により上げられ、軸方向駆動ローラ92により移動させられた後に、駆動ローラリフトアップ機能93により回転部6のローラ61まで下げられることで、次の撮像位置まで軸方向に送られて配置される。なお、検査時間を稼ぐために、長い棒状の円筒体被検査試料1については、円筒体被検査試料1の軸に合わせて複数の円筒体外観検査装置10が配置され、それぞれがネットワークに接続され、当該ネットワークに接続する複数の円筒体外観検査装置10を管理する装置で総合判定を行わせるようにしてもよい。
【0037】
次に、図1及び図2に示すように二次元撮像素子のカメラ5は、回転部6の円筒体被検査試料1の軸と二次元撮像素子52の撮像走査ラインとが平行となり、かつ二次元撮像素子52の面に対して円筒体被検査試料1の軸が鉛直方向になるように配置される。照明部7は、試料軸平行照明71と試料軸平行斜角照明72と遮光板73と照明支持体75から構成されており、円筒体被検査試料1の円周面に縞模様ができるように間隔を空けて配置される。ここで、縞模様とは、遮光部とまばらな試料軸平行照明71の光が円筒面の正常表面で反射し、カメラ5で撮像されることにより円筒面の撮像画像に写るものである。具体的には、照明支持体75を使って円筒体被検査試料1の円筒面正常部に対してカメラ5が撮影する撮像画像に連続した明るさの縞模様ができるように円筒状あるいは楕円状などの試料軸平行照明71が配置される。このとき、照明の間は暗くなるように、光学黒染めの遮光板73を用い、また、照明部7以外の部材は光の反射を抑える光学黒染め仕上げを行い、不必要な外部光や回り込み光が円筒体被検査試料1の円筒面に反射して写らないようにしておく。
【0038】
照明部7の試料軸平行照明71は、円筒体被検査試料1の円周面撮像画像に求められる欠陥抽出の安定性が確保できる縞模様ができるように種類、大きさ、配置位置、明るさが定められる。種類、大きさ、配置位置、明るさは、円筒体被検査試料1の同芯度、外径ばらつき、曲がり、及び、異常部種類とどのくらいの欠陥検出精度を要求するかに基づいて最適な配置が定められる。
【0039】
また、試料軸平行照明71は、指向性の見逃しを減らすため、円筒体被検査試料1の円筒体軸と平行に反射光による縞が現れるように、カメラ5の中心軸、すなわちカメラ5の撮像レンズ51の中央軸を挟んで左と右に配置される。これにより、左と右からの周方向斜角照明を行うことができ、当該照明により得られる展開画像は、撮像周方向角および照明周方向角が対角となる画像となる。すなわち、左から見た画像と右から見た画像が得られることになり、その位置関係は容易にマッチングできるので、異常検出におけるS/Nを向上させることができる。
【0040】
また、試料軸平行照明71の明るさは、円筒体被検査試料1の円周面の正常部反射度等の状況に対応するため、異常検出を行う想定範囲の円筒体被検査試料1のサンプルについて予め撮像を行い、S/Nの良い異常部抽出に必要な明るさになるようそれぞれ設定する。
【0041】
また、試料軸平行斜角照明72は、照明光が円筒体被検査試料1に対して一定の角度を有しており、かつ正反射光がカメラ5に入らない位置であって正常面の弱い拡散反射光による薄い縞が円筒体被検査試料1の円筒体軸と平行に現れるように配置される。また、試料軸平行斜角照明72は、回転撮像範囲に対して比較的近いときはライン状の物が使われ、回転撮像範囲と相対的に遠い位置に配置できるときは小さな面からの投光器を使うようにすることもできる。
【0042】
また、試料軸平行斜角照明72は、指向性のある欠陥の見逃しを減らすため、軸の上左と下右に配置される。このように配置されるのは、円筒体被検査試料1のあるラインに対して一方方向からの照明であって対角独立となっている場合の方が、画像の異常検出における欠陥の識別性を向上、すなわち片側軸方向斜角照明検出の効果を向上させやすいためである。また、試料軸平行斜角照明72は、円筒体被検査試料1の円周方向の研削状態、円周に広がるへこみ状異常部、円周方向の割れや円筒面の異常部の検出に効果を発揮する。なお、欠陥の識別性より異常部抽出のS/Nを上げたい時には、試料軸平行斜角照明72を対角4方向からの照明にすることができる。また、試料軸平行照明71だけで十分な異常部検知ができるときは試料軸平行斜角照明72を使わないこともできる。
【0043】
図4は、画像処理装置8の内部構成を示した概略ブロック図である。図4に示すように画像処理装置8において、条件情報記憶部101は、自動検査時には検査に必要となる各種の設定データが予め記憶されている。送受信部81は、カメラ5に接続され、カメラ5に対して撮像条件やデータ送信条件等や、撮像開始信号や、撮像終了信号を送信し、逆にカメラ5から撮像された画像の画像データを受信する。操作部82は、画像処理装置8の操作者の操作を受け、自動検査モード、マニュアル走査モード、サンプル評価試験モード、撮像条件修正モード等の各種モード選択および各モード試験指示/設定、撮像開始指示、撮像終了指示、結果送信指示などを入力する。また、カメラ5は、(1)撮像全画面画像転送、(2)検査部分の画像の画像データ転送、(3)展開画像データを再構成する箇所のカメラ5の撮像子の画素ラインのデータ転送の機能を切り替えてデータ転送することが可能であり、データ転送時間の余裕度、すなわちデータ転送に許される時間等を考慮されたデータ送信条件に応じていずれかのデータ転送方式が選択される。この時間は、検査処理時間の大きな部分を占めるため、時間が許される場合には原則として(2)検査部分の画像の画像データ転送を用いるものとして以下の説明を行う。
【0044】
画像記憶部100は、送受信部81がカメラ5から受信した撮影画像の画像データを記憶する。画像再構成部83は、画像記憶部100に記憶されている1周分あるいは1周分以上の複数の撮像画像のデータから照明条件および撮像角度が同一となる画素のラインにおける画素データ(以下、ライン画素データとも記載)を再構成して、複数の展開画像データを生成する。この1つの展開画像データは、円筒体被検査試料1の円周面を展開平面として、一定の照明条件の円筒表面を一定撮像角で撮像したものになる。
【0045】
複数の展開画像データの相関で解析を行う場合、補正部84は、条件情報記憶部101に予め記憶されている補正情報に基づいて、画像再構成部83により再構成されたそれぞれの展開画像データの画素位置が円筒体被検査試料1の面の同位置に対応するように画素相対位置の補正を行う。
【0046】
異常検出部87は、条件情報記憶部101に予め設定されている異常部抽出条件情報に基づいて、展開画像データの異常部を検出する。
異常判定部88は、異常検出部87により異常として検出されたデータに基づいて全表面を評価して、円筒体被検査試料1が不合格、保留、合格であるかを判定する。
【0047】
出力部85は、画像モニタ200に接続され、送受信部81がカメラ5から受信した撮像画像データを画像モニタ200に出力し、また、表示モード指示により、画像記憶部100に記憶される画像データや、画像再構成部83が再構成した展開画像データや、補正部84により補正された展開画像データや、抽出された異常部をマークした展開画像データなどを出力する。
通信部86は、ネットワーク等に接続されており、準備完了や選別指示等の軸方向搬送部9や回転部6との通信、円筒体被検査試料1の情報入力を行うとともに、検査結果や異常部データや画像データや展開画像データ等を外部の装置に送信する。
【0048】
ここで、カメラ5によって撮像される撮像画像について説明する。図5は、円筒体被検査試料1を回転部6のローラ駆動モータ62を停止させたローラ61にのせ、照明部7の照明支持体75に配置した試料軸平行照明71と試料軸平行斜角照明72を適当な明るさに調光点灯し、円筒体被検査試料1の垂直軸上から、細長いのぞき窓76を通じてカメラ5で撮像した画像である。
【0049】
試料軸平行照明71からの照明光は、円筒体被検査試料1の円筒面の正常表面に反射し、その反射光が、図2の密集した二点鎖線Aに示される撮像光路により筒状の遮光板53の中を通じてカメラ5に到達する。カメラ5に到達した反射光は、撮像レンズ51で集光され、二次元撮像素子52で撮像される。図5に示す二次元撮像素子52で撮像された画像において、7本の明るく写っている部分(符号301〜307)が各試料軸平行照明71の光が円筒体被検査試料1の円周面の正常表面に反射した反射光であり、一番下の縞模様のライン(符号307)が図2の右下端の試料軸平行照明71の光が円筒体被検査試料1の円筒面の正常表面に反射して撮像されたものである。
【0050】
一方、明るい部分の間の暗い部分に薄っすらと写っている二箇所の部分(符号310、311)が図1の左右の各試料軸平行斜角照明72の光が、円筒体被検査試料1の円筒研削仕上げ面正常部の拡散反射光が写されたものである。
【0051】
(円筒体外観検査装置10の動作)
次に、図6を参照しつつ円筒体外観検査装置10の動作について説明する。
(ステップS1:セッティング)
まず、円筒体被検査試料1をローラ61に配置する。
【0052】
(ステップS2:照明の点灯/撮像開始)
画像処理装置8が通信部86を通じて試料軸平行照明71と試料軸平行斜角照明72を点灯させる。これにより、カメラ5によって撮像される円筒体被検査試料1の円周面正常部撮像画像に縞模様が写る。
【0053】
(ステップS3:円筒体被検査試料の回転)
一方、画像処理装置8が通信部86を通じてローラ駆動モータ62を駆動させて、ローラ61を一定の速度で回転させることにより、円筒体被検査試料1を一定の周速度で回転させる。
【0054】
(ステップS4:カメラでの撮影、撮像画像の画像データ取り込み)
円筒体被検査試料1が一定周速度回転になり検査可能状態になると、画像処理装置8に撮像画像の画像データ取り込み許可情報をネットワークで送信する。当該画像データ取り込み許可情報を受信した画像処理装置8にて、カメラ5で撮像された1周分以上の複数の画像データを画像処理装置8の送受信部81は受信し、画像記憶部100に取り込む(ステップS4)。画像処理装置8は、いつでも、受信した画像データを出力部85を通じて画像モニタ82に逐次表示させることも、円筒体被検査試料1の指定したところの展開画像データを表示することもできる。
【0055】
図7及び図8は、カメラ5から受信した一枚の画像モニタ82に表示される撮像画像を示した図である。
図7は、上記の図5と同様に、試料軸平行照明71と試料軸平行斜角照明72を複数用いた場合の撮像画像であり、多くの撮像角の展開画像データで異常部の検出をさせる場合には照明を複数用いた方が異常検出の際に様々な検出条件を設定することが可能となる点で有利である。
図8は、試料軸平行照明71に照明管が太めの物を1本だけ用いた場合の撮像画像であり、少ない撮像角の展開画像データで検査に必要な十分な異常部抽出が可能な場合や、円筒体被検査試料1の外径や曲がりのバラツキが大きいときに安定させる必要がある場合に有利である。また、図のようなローラ61へ載せて回転する方法では撮像表面が安定しない円筒体被検査試料1では、円筒体被検査試料1の撮像の障害にならない部位の上部に撮像表面を安定させる図示しないガイドローラをおき、そのガイドローラに沿わせて円筒体被検査試料1を回転させる型の回転部6を使うのが有利である。
【0056】
ここで、ステップS4にて、検査に必要な周方向の分解能を得るのに必要な撮像の時間ピッチについて以下に説明する。まず、通常の外観検査では、特別な理由が無ければ円筒面に対して縦横方向とも同じ分解能を確保する。そのため、カメラ5によって撮像される画像データの分解能を1画素当たり0.05mmとした場合、後述する異常部を抽出するための再構成展開画像データでは軸方向の画素ピッチが0.05mmであり、周方向の画素ピッチも0.05mmとなるようにする。カメラ5の二次元撮像素子52には、撮影される画像データにて軸方向の画像分解能として1画素当たり0.05mmを確保できる高画素、高感度、高速度の二次元撮像素子と光学系を使う。また、撮像レンズ51には、高解像度低歪で必要な明るさと被写界深度が確保できる適当な画角のものを使い、撮像された画像の素子ピッチが0.05mmで焦点が合う位置にカメラ5を円筒体被検査試料1の軸にカメラの二次元撮像素子52の撮像走査ラインを平行垂直にあわせ設置する。
【0057】
このとき、画像データを撮像する時間ピッチは、円筒体被検査試料1の回転周ピッチを0.05mmになる回転速度とする。例えば、円筒体被検査試料1の試料外形が10mmの場合、その周は31.4mmとなる。従って、1周では、628ライン分の画像を撮影する必要がある。撮像時間ピッチを2m秒とした場合、回転速度は1.256秒/周、周速25mm/秒となる。この周速で安定回転したら、2m秒の時間ピッチで撮像して1周以上の必要な枚数の撮像画像の画像データを取り込めばよい。
【0058】
多条件の展開画像データをマッチングして異常部を検出する場合には、一周の連続画像が完全にマッチングできるように撮像画像の画像データのズレ分をカバーするために約1.4回転位の撮像を行う。このとき、1個所の撮像画像取り込み時間は、約1.8秒となる。なお、円筒体被検査試料1と円筒体外観検査装置10が安定して、一周の前後の画像が一致するようならば1周分の画像データとしてもよい。
【0059】
(ステップS5:展開画像データの生成)
次に、1周あるいは1周分以上の複数の撮像画像の画像データが画像記憶部100に記録されると、画像再構成部83は、画像記憶部100の展開画像に必要な複数の画像のデータの予め設定されているライン画素データを周方向にデータ再構成して複数の展開画像データを生成する。又、この展開画像再構成は撮像画像のデータの取り込み時に順次行うこともできる。
【0060】
ここで、展開画像データを生成するための事前設定について説明する。まず、ローラ61にマッチング状況が明瞭になるクロスマーク等の目印を付けた円筒体被検査試料1と同径のマッチング調整用サンプルを配置し、定速回転させつつカメラ5にて画像データを撮像する。回転毎の画像データで回転の安定性を確認した上で、画像記憶部100に取り込まれた画像のデータの各ラインから画素データを再構成し展開画像データを生成する。各ラインの画像のデータ上での位置に応じて、生成される展開画像データには周方向にズレが生じている。すなわち、それぞれの展開画像データの周方向座標であるY座標は一致しておらず、複数の展開画像データをマッチングさせて合わせるためには、円筒体被検査試料1と同径のサンプルで各展開画像データの相対ズレ分を割り出して相対ズレ量として登録しておくことが必要となる。円筒体被検査試料1の相対ズレ分の補正は、補正部84によって予め設定されているこのズレ量により補正され、画素単位にマッチング可能な複数の展開画像データを生成することができる。
【0061】
図7のような撮像画像の場合には、全画素ラインの展開画像データを生成する。このとき、円筒体の周速度が、撮像画像の撮像時間ピッチと撮像画像1ライン送り時間と一致するように調整し、一定周速で回転させながら撮像すると、これらの展開画像データは、ほぼ撮像ライン分だけズレが生じた画像データとなる。このズレが生じたライン分を補正部84にて補正することにより、表示される全展開画像の対象点を一致させたものとすることができる。すなわち、これらの補正された複数の展開画像データは画素レベルで対象点が一致していて、かつ、照明角や撮像角などの撮像条件が違った展開画像データとなる。
【0062】
なお、より高精度の異常部検知を求められる様な場合には、その周辺の画素から必要な分解能のサブ画素単位で補完して補正展開画像データを生成するようにする。また、原則として、展開画像データの画素単位相当サイズのXYの精度を同じとしているが、周方向の分解能がもっと粗くても良い条件の場合、回転速度を上げたり、撮像ピッチ時間を遅くしてもよい。また、周方向の分解能をもっと細かくしたい場合、回転速度を下げたり、撮像ピッチ時間を短くして調整するようにしてもよい。但し、回転速度や撮像ピッチ時間などを変更した場合には、その変更にあわせて補正に用いるズレ分の値を変更する必要がある。
【0063】
図9は、図8の1周あるいは1周分以上の撮像画像の画像データから生成された同じ画素ラインの展開画像データを表示した展開画像の例を示した図である。展開画像401から405の順に、展開画像401は最も明るいところの画素ラインの展開画像、展開画像402は少し明るいところの画素ラインの展開画像、展開画像403は平均明るさのところの画素ラインの展開画像、展開画像404は少し暗いところの画素ラインの展開画像、展開画像405は最も暗いところの画素ラインの展開画像である。なお、上記の平均明るさとは、最も明るいところと最も暗いとこの明るさの平均値である。
【0064】
具体的に説明する。図10は、図8の撮像画像の一部を拡大した画像で、太めの照明管の試料軸平行照明71による反射光が円筒体被検査試料1の正常面に写っている画像である。撮影される画像には、最も明るいところの画素ラインから順に最も暗いところの画素ラインが連続して存在する。それぞれの画素ラインの画素データを時系列の画像から取り出し、高さ方向に時系列に合わせて再構成して展開画像データを生成することにより、上記の展開画像401〜405が生成される。例えば、図10の最も明るいところの画素ラインを抽出して生成したものが展開画像401となり、明るさの順に画素ラインごとに展開画像402〜405が生成される。また、図7に示したような撮像画像の場合には、撮像条件の違ったものとして、各照明に対して明視野、暗視野、中間明るさ部等に対する予め指定した画素ラインの展開画像データを得、撮像画角および照明条件の違った展開画像データから異常部検出および判定することができる。
【0065】
なお、撮像画像の画像データから全ライン画素データの展開画像データを生成して検査することは可能である。しかし、通常の検査において要求されるレベルでは、付近のライン画素データからの展開画像データはかなり似た結果が出てくる傾向もある。また、撮像時間ピッチや回転時間との関係から展開画像データを生成するための計算処理時間を短時間にする要求もあるため、検出する欠陥の優先度に従って、下記のような方法で異常部抽出に利用する展開画像データを間引くことにより限定し、限定した展開画像データ、例えば、5〜20枚くらいの間引き展開画像データで検査するようにしてもよい。
【0066】
ここで、上記の展開画像データを限定する方法について説明する。(手順1)まず、種々の検出したい各種欠陥を有するサンプル試料をローラ61に配置する。そして、カメラ5により撮像を行い、カメラ5から送信される図7のような撮像画像の画像データを受信した送受信部81が画像記憶部100に記録する。(手順2)次に、画像再構成部83により、画像記憶部100に記憶されている一周分の撮像画像の画像データの各ラインの画素を再構成して展開画像データを生成する。この段階では、間引き展開画像データとはせず、全撮像角および全明るさ条件での展開画像の異常部抽出評価が出来る様に全画素ラインについて展開画像データを生成する。
【0067】
そして、検出したい欠陥部が明示された画像データを教師信号として、展開画像データの正常部と欠陥を含んだ異常部におけるS/Nの高い展開画像データの中から複数個の展開画像データを異常部検出に用いる候補として自動解析プログラムで選択し、異常部抽出判定のモデルプログラムのパラメータを最適条件解析評価プログラムで処理時間および冗長性も考慮し、最適異常部抽出/判定フィルタとその最適パラメータを割り出す。その時の展開画像生成元の画像データにおける画素ラインを含めて当該試料の検査条件パラメータとして条件情報記憶部101に記憶させておく。
【0068】
欠陥検出に十分なS/Nを1条件の展開画像データで確保できるものについては、その条件で、1つの展開画像データを用いて欠陥検出を行う。
【0069】
一方、1条件の展開画像データで十分なS/Nを確保できない、すなわち誤認識の可能性がある欠陥や、あるいは欠陥の一部しか認識できない欠陥については、当該欠陥の一部を含む異常部だけがS/Nが高くなっている等の複数の条件、すなわち撮像画像の画像データの複数の画素ラインの各展開画像データを再構成し、それらの展開画像データのズレ分を補正してマッチングさせ、検出される欠陥ができるだけ実態に合うような、あるいは十分なS/Nが確保できるような展開画像データの組み合わせと複数展開画像データによる最適異常部抽出/判定フィルタとその最適パラメータを割り出し、解析評価される。そして、もっとも適した複数の組み合わせと最適異常部抽出/判定フィルタとその最適パラメータをデータデータ条件情報記憶部101に記憶させておく。
【0070】
例えば、試料軸平行斜角照明72に相当する位置の画素ラインから検出されるような周方向に凹んだような欠陥は、斜角照明では凹みの一部しかS/Nが出ないため、欠陥の一部しか検出できない。これに対して、対角にある試料軸平行斜角照明72に相当する位置の画素ラインからの展開画像データからは他方の凹みの一部を検出できることが多い。これに、試料軸平行照明71による暗視野照明になる位置の画素ラインからの展開画像データを合わせると凹みの異常部が明瞭に認識されることが多く、これらの各展開画像データと複数展開画像最適異常部抽出/判定フィルタとその最適パラメータを用いることで、表面異常が凹みによる欠陥と判定できる確率を高めることができる。
例えば、緩やかに凹んだような欠陥は、全方向から照明では正常部表面と区別がつかないことが多い。1方向からの照明では凹みの一部しか検知できないことが多く、欠陥が過小評価され不合格にならないことが多い。これに対して、試料軸平行照明71間の複数の暗視野位置の展開画像データではデータ凹みの一部の異常部が明瞭に認識されることが多く、これらの各展開画像データから検出した異常部のデータを総合して解析評価することで、表面異常が凹みによる欠陥と認識でき、明瞭に合否判定できる確率を高めることができる。
【0071】
また、例えば、欠陥がホコリのようなものであれば、明視野部と明視野部に挟まれた暗視野部の展開画像データを使う。暗視野ではホコリが正常部より明るく写り、明視野では正常部より暗く写ることが多い。試料軸平行斜角照明72に相当する部分の暗視野でも同様である。これらの前後視野の展開画像データと左右斜角照明に相当する位置での展開画像データをマッチングさせて抽出すると、ホコリの明瞭な画像として抽出することが可能となる。撮像角の差の大きな複数の展開画像データを使うとこれらの立体形状まで割り出せることもある。
【0072】
上記の様な展開画像データを選択、解析、評価する処理を行う最適条件抽出コンピュータプログラムを用いて、もっとも適した単数および複数展開画像データの組み合わせと最適異常部抽出/判定フィルタとその最適パラメータの検査条件を割り出し、条件情報記憶部101に記憶させておく。どの程度の条件を採用するかは、要求される検出欠陥性能と、計算時間として許容された時間と、欠陥抽出のための画像処理に要する時間のバランスで定められることになる。実際には、欠陥の形態は増加するため、これらを将来吸収できる余裕を持たせておくようにしてもよい。また、このような新たに発生する欠陥に対応した各条件設定と撮像条件に追加変更できることは現場で使える装置になるかを決めるポイントになることが多い。
【0073】
(ステップS6:異常部の検出)
次に、異常検出部87は、条件情報記憶部101に記憶されている条件データに基づいて、画像再構成部83により生成された展開画像データから異常部抽出フィルタとその最適パラメータで異常部(異常領域)の検出を行う。
【0074】
また、異常検出部87は、補正部84で複数の展開画像データの同じ位置をマッチングさせた複数の展開画像データの相関から各特異な異常部を検出する複数展開画像データからの異常部抽出フィルタとその最適パラメータで処理も行うことができる。この処理は、上述した1つの条件での展開画像データでは十分なS/Nが確保できず誤認識の可能性がある展開画像データや、異常部の一部しか認識できない条件の展開画像データに対して用いられることになる。
【0075】
(ステップS7:異常部の判定)
次に、異常判定部88は、異常検出部87により検出された異常部を、予め定められる条件に基づいて判定し、判定結果を出力する。具体的に、異常判定部88が行う判定は、当該外観検査に要求されるレベルの判定基準に基づく判定であり、その判定の方法には以下の2つの方法がある。
【0076】
まず、正常部分以外を異常部として検出して、必要に応じ表示し、この異常部を識別評価して欠陥部とその他に分類し、欠陥品を不合格、その他を保留品として判定する方法がある。この判定方法は、円筒面の正常部を一定範囲に確保し、異常の状態を監視しながら不合格品を選別することができる。また、必要に応じて異常の種類や程度で細かく仕分け分別することもできる。
【0077】
また、他の判定方法として、欠陥見本、あるいは定義された欠陥より欠陥がひどいものについては不合格として判定する方法がある。この方法は、不良のレベルを契約で約束した範囲の品質を維持したものを供給しようとする場合に用いられる選別検査方式に相当する方法である。通常は、人と円筒体外観検査装置10の判定能力の差およびバラツキ分だけ厳しい程度の比較評価が適用される。
【0078】
なお、異常判定部88が上記の処理を行う際の条件や方法などは、正常部および適用する欠陥等の標準サンプルの解析結果および前記判定方法を基に、最適異常部判定フィルタとその最適パラメータとして予め設定されているものとする。
【0079】
また、上述した画像再構成部83が生成した展開画像データや、異常検出部87が検出した異常部や、異常判定部88が判定した結果は、画像記憶部100に対応付けて記憶させておいてもよく、また、操作者が操作部82を操作することにより出力部85を介して画像モニタ82に出力させるようにしてもよい。また、これらのデータを通信部86を介して他の装置に送信できるようにしてもよい。また、これらのデータを記録しておくことで、円筒体外観検査装置10の性能が維持され、製造される製品である円筒体被検査試料1の工程に異常が発生していないか否かがモニタされ、過去の経過が調査解析できる装置にもなる。
【0080】
また、一般的に、検出されたデータはフィードバックされ、より良い工程管理や比較評価の妥当性アップ見直しに利用される。
【0081】
また、これらの検査の合否や保留結果も通信部86により送信され、送信先の装置にて対応する円筒体被検査試料1が合格、不合格、あるいは保留に仕分けされるようにしてもよい。
【0082】
上記のステップS4にて、1周分、あるいは1周分以上の撮像が終了した場合に、ローラ駆動モータ62を停止させてローラ61の回転を停止させ(ステップS3−1)、円筒体被検査試料1の全ての検査対象領域についての撮像が終了しているか否かを判定し(ステップS3−2)、円筒体被検査試料1の全ての検査対象領域についての撮像が終了していない場合には、軸方向搬送部9が円筒体被検査試料1を持ち上げ、次の検査位置まで移動させた後に(ステップS3−3)、再びステップS1からの処理を繰り返す。一方、全ての検査対象領域についての撮像が終了している場合には、全領域の異常部を総合判定して、検査処理を終了する。
【0083】
上記の構成により、円筒体被検査試料1の軸に平行に多値で連続して変化する縞模様が撮像画像に写るように照明し、円筒体被検査試料1を一回転させて1つのカメラ5で撮像させることで、中間明るさ視野を含めて明視野から暗視野まで、また、撮像角を前後に大きい範囲の撮像画像を得ることができ、当該撮影画像の画像データから生成される各条件の違った展開画像データを用いて異常部検出や判定を行うことが可能となる。上記の構成において、1つの画素ラインの画像データを用いるのは、従来のラインセンサで検査を行うことと同様であるが、従来のラインセンサでは、検査目標となる1つの欠陥を検知しやすいように照明とラインセンサを配置する。この時、多くの場合、明視野照明下での検査になる。一方、上記の構成では、複数の展開画像データはそれぞれの特徴ある明視野から暗視野までの照明条件下での特徴ある異なった撮像角の展開画像データとなるため、従来に比べて検査目標に対するS/N比を向上させ、より目視検査に近い外観自動検査にすることができる。
【0084】
また、上記の構成により、円筒体外観検査装置10は、円筒体被検査試料1を1周、あるいは1周分以上撮影することにより、約±50度の複数の照明角、約±50度の複数の撮像角、約±100度の複数の照明撮像角、正常部の正反射明視野部から暗視野部まで連続的な複数の明るさでの円筒体被検査試料1の円周面の反射光による展開画像データを得ることができる。そして、それぞれの展開画像データの撮像位置によるずれを補正することで、円筒体被検査試料1の円周面の位置に一対一に対応し、それぞれ撮像条件が違う展開画像データを得ることができる。
【0085】
したがって、ラインセンサで得られる円筒面の情報に比べて、はるかに多い円筒面の情報が得られる。これにより、各欠陥、各正常部のS/Nの良い単数および複数の展開画像データから異常部を抽出することができ、検査のS/Nを向上させることができる。
【0086】
さらに、マッチングした異なった条件の展開画像データを複数得られるので、異常部の補完を行うことができ、また、異常部の判定条件が増やすことができるので、より目視検査に近づき、その判定の性能を向上させることができ、結果として検査のS/Nをさらに向上させることができる。
【0087】
なお、上記の実施形態は、標準的な構成であり、照明の大きさ、配置個所、間隔等は円筒体被検査試料1の円筒体のサイズ、曲率、正常周面の状態や検出すべき欠陥の必要分解能等に応じて調整されることになる。
【0088】
また、試料軸平行照明71、あるいは試料軸平行斜角照明72の数は任意に定めることができ、例えば、上述した図8の撮像画像のように、1つの太めの試料軸平行照明71を用いることで検査を行うようにしてもよい。
【0089】
また、照明の明るさは、原則として、円筒体被検査試料1の円筒面正常部をカメラ5により撮像した撮像画像にほぼ同じような縞模様が撮像画像に写るように明るさを調整するが、円筒体被検査試料1の円筒面の表面状況や優先的に検出すべき欠陥等に応じて、明るさのバランスを変えて欠陥を検出しやすいように調整するようにしてもよい。
【0090】
また、カメラ5の撮像レンズは、目視検査の片目で検査しているように画角のあるレンズを使っている。これは目視検査に近い条件で撮像して検査することになるが、検査の再現性を重視される検査では、この撮像レンズにテリセントリックな撮像レンズを使うことでレンズ中心の円筒体被検査試料1の軸位置が変わっても再現性があまり変わらない様にすることもできる。
【0091】
余裕があれば、目視検査の両目で検査しているように、円筒体外観検査装置10にすこし離してカメラ5を二つつけて、これら二つのカメラの撮像画像を画像処理装置8に送って、二台のカメラ5からの展開画像を作って立体的アルゴリズムを使って欠陥抽出すると、より目視検査に近い自動外観検査装置となる。
【0092】
また、本発明に記載の、外観検査装置は、円筒体外観検査装置に対応する。また、本発明に記載の画像処理部は、画像処理装置8における送受信部81、画像記憶部100、画像再構成部83、補正部84に対応する。また、本発明に記載の異常検査部は、異常検出部87及び異常判定部88に対応する。
【0093】
上述の画像処理装置8は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した円筒体被検査試料1のカメラ5で撮影した画像データを受信して処理する過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施形態に係る円筒体外観検査装置の正面図である。
【図2】同実施形態に係る円筒体外観検査装置の側面図である。
【図3】同実施形態に係る軸方向搬送機の側面図である。
【図4】同実施形態に係る画像処理装置の概略ブロック図である。
【図5】同実施形態に係るカメラによって撮像された円筒体被検査試料の撮像画像(その1)である。
【図6】同実施形態に係る円筒体外観検査の処理の流れを示したフローチャートである。
【図7】同実施形態に係るカメラによって撮像された円筒体被検査試料の撮像画像(その2)である。
【図8】同実施形態に係るカメラによって撮像された円筒体被検査試料の撮像画像(その3)である。
【図9】同実施形態に係る撮像画像から再構成される展開画像を示した図である。
【図10】説明のため図8の撮像画像の一部を拡大した画像(その4)である。
【符号の説明】
【0095】
1 円筒体被検査試料
10 円筒体外観検査装置
5 カメラ
51 撮像レンズ
52 二次元撮像素子
53 遮光板
6 回転部
61 ローラ
62 ローラ駆動モータ
7 照明部
71 試料軸平行照明
72 試料軸平行斜角照明
73 遮光板
75 照明支持体
8 画像処理装置
9 軸方向搬送部
91 駆動モータ
92 軸方向駆動ローラ
93 駆動ローラリフトアップ機能
200 画像モニタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒体円筒面を検査する外観検査装置であって、
前記円筒体軸と光軸とが直角になるように配置され、回転する前記円筒体の円筒面を連続撮像するカメラと、
前記カメラにより撮影された複数画像の画像データの必要な画角のライン画素データから再構成して展開画像データを生成する画像処理部と、
前記画像処理部が生成した展開画像データから前記円筒体被検査試料の円筒面の異常部を検出評価して合否判定する異常検査部と、
を備えたことを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
円筒体円筒面を検査する外観検査装置であって、
前記円筒体軸と光軸とが直角になるように配置され、前記円筒体の回転する円筒面を連続撮像するカメラと、
前記円筒体軸に平行となる縞模様が前記カメラの撮像子に写るように前記円筒体を照明する照明部と、
前記カメラにより撮影された複数画像の画像データから検査条件に基づいて展開画像データを生成する画像処理部と、
前記画像処理部が生成した展開画像データから前記円筒体被検査試料の円筒面の異常部を検出評価して被検査試料の合否判定する異常検査部と、
を備えたことを特徴とする外観検査装置。
【請求項3】
円筒体被検査試料の円筒面を検査する外観検査装置であって、
前記円筒体被検査試料を回転させる回転部と、
前記円筒体被検査試料の円筒面に前記円筒体軸に平行となる縞模様が映るように配置される照明部と、
前記円筒体軸と光軸とが直角になるように配置され、前記縞模様を含む前記円筒面の領域を予め定められる周方向の分解能に応じた速度で撮像して画像データを出力するカメラと、
前記カメラから出力される複数画像の画像データから予め定められるライン画素データを抽出し、抽出したライン画素データを再構成して展開画像データを生成する画像処理部と、
前記画像処理部が生成した展開画像データに基づいて、前記円筒体被検査試料の円筒面の異常部を検出し、検出した異常部により円筒体被検査試料の円筒面の異常を評価して被検査試料の合否判定する異常検査部と、
を備えたことを特徴とする外観検査装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、
前記展開画像データを、前記ライン画素データごとに複数生成し、生成した複数の展開画像データに対して前記円筒面の位置に対応するように抽出元の画素データのラインに応じた画素位置の補正を行い、
前記異常検査部は、
前記画像処理部により補正された複数の展開画像データの同じ位置をマッチングさせて前記複数の展開画像データから異常部抽出フィルタで異常部の検出を行う
ことを特徴とする請求項3に記載の外観検査装置。
【請求項5】
前記照明部は、
前記円筒体被検査試料の円筒体軸と平行に前記縞模様が前記カメラの前記円筒面の撮像画像に写るように前記カメラの中央軸を挟んで左と右に配置する複数の試料軸平行照明
を備えることを特徴とする請求項3または4に記載の外観検査装置。
【請求項6】
光を照射する照明装置と、撮像した画像の画像データを出力するカメラと、画像データを処理する画像処理装置とを用いて円筒体被検査試料の円筒面を検査する外観検査方法であって、
前記円筒体被検査試料を回転させる第1の工程と、
前記円筒体被検査試料の円筒面に前記円筒体軸に平行となる縞模様が映るように前記円筒面を照明する第2の工程と、
前記円筒体軸と光軸とが直角になるように配置されるカメラが、前記縞模様を含む前記円筒面の領域を予め定められる周方向の分解能に応じた速度で撮像して画像データを出力する第3の工程と、
前記画像処理装置が、前記カメラから出力される複数画像の画像データから予め定められるライン画素データを抽出し、抽出したライン画素データを再構成して展開画像データを生成する第4の工程と、
前記画像処理装置が、生成した展開画像データに基づいて、前記円筒体被検査試料の円筒面の異常部を検出し、検出した異常部により円筒体被検査試料の円筒面の異常を評価して被検査試料の合否判定する第5の工程と、
を含むことを特徴とする円筒体外観検査方法。
【請求項7】
前記第4の工程は、
前記円筒面に対応する展開画像データを、前記ライン画素データごとに複数生成し、生成した複数の展開画像データに対して前記円筒面の位置に対応するように抽出元の画素データのラインに応じた画素位置の補正を行う工程を含み、
前記第5の工程は、
補正された複数の展開画像データの同じ位置をマッチングさせて前記複数の展開画像データから異常部抽出フィルタで異常部の検出を行う工程
を含むことを特徴とする請求項6に記載の外観検査方法。
【請求項1】
円筒体円筒面を検査する外観検査装置であって、
前記円筒体軸と光軸とが直角になるように配置され、回転する前記円筒体の円筒面を連続撮像するカメラと、
前記カメラにより撮影された複数画像の画像データの必要な画角のライン画素データから再構成して展開画像データを生成する画像処理部と、
前記画像処理部が生成した展開画像データから前記円筒体被検査試料の円筒面の異常部を検出評価して合否判定する異常検査部と、
を備えたことを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
円筒体円筒面を検査する外観検査装置であって、
前記円筒体軸と光軸とが直角になるように配置され、前記円筒体の回転する円筒面を連続撮像するカメラと、
前記円筒体軸に平行となる縞模様が前記カメラの撮像子に写るように前記円筒体を照明する照明部と、
前記カメラにより撮影された複数画像の画像データから検査条件に基づいて展開画像データを生成する画像処理部と、
前記画像処理部が生成した展開画像データから前記円筒体被検査試料の円筒面の異常部を検出評価して被検査試料の合否判定する異常検査部と、
を備えたことを特徴とする外観検査装置。
【請求項3】
円筒体被検査試料の円筒面を検査する外観検査装置であって、
前記円筒体被検査試料を回転させる回転部と、
前記円筒体被検査試料の円筒面に前記円筒体軸に平行となる縞模様が映るように配置される照明部と、
前記円筒体軸と光軸とが直角になるように配置され、前記縞模様を含む前記円筒面の領域を予め定められる周方向の分解能に応じた速度で撮像して画像データを出力するカメラと、
前記カメラから出力される複数画像の画像データから予め定められるライン画素データを抽出し、抽出したライン画素データを再構成して展開画像データを生成する画像処理部と、
前記画像処理部が生成した展開画像データに基づいて、前記円筒体被検査試料の円筒面の異常部を検出し、検出した異常部により円筒体被検査試料の円筒面の異常を評価して被検査試料の合否判定する異常検査部と、
を備えたことを特徴とする外観検査装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、
前記展開画像データを、前記ライン画素データごとに複数生成し、生成した複数の展開画像データに対して前記円筒面の位置に対応するように抽出元の画素データのラインに応じた画素位置の補正を行い、
前記異常検査部は、
前記画像処理部により補正された複数の展開画像データの同じ位置をマッチングさせて前記複数の展開画像データから異常部抽出フィルタで異常部の検出を行う
ことを特徴とする請求項3に記載の外観検査装置。
【請求項5】
前記照明部は、
前記円筒体被検査試料の円筒体軸と平行に前記縞模様が前記カメラの前記円筒面の撮像画像に写るように前記カメラの中央軸を挟んで左と右に配置する複数の試料軸平行照明
を備えることを特徴とする請求項3または4に記載の外観検査装置。
【請求項6】
光を照射する照明装置と、撮像した画像の画像データを出力するカメラと、画像データを処理する画像処理装置とを用いて円筒体被検査試料の円筒面を検査する外観検査方法であって、
前記円筒体被検査試料を回転させる第1の工程と、
前記円筒体被検査試料の円筒面に前記円筒体軸に平行となる縞模様が映るように前記円筒面を照明する第2の工程と、
前記円筒体軸と光軸とが直角になるように配置されるカメラが、前記縞模様を含む前記円筒面の領域を予め定められる周方向の分解能に応じた速度で撮像して画像データを出力する第3の工程と、
前記画像処理装置が、前記カメラから出力される複数画像の画像データから予め定められるライン画素データを抽出し、抽出したライン画素データを再構成して展開画像データを生成する第4の工程と、
前記画像処理装置が、生成した展開画像データに基づいて、前記円筒体被検査試料の円筒面の異常部を検出し、検出した異常部により円筒体被検査試料の円筒面の異常を評価して被検査試料の合否判定する第5の工程と、
を含むことを特徴とする円筒体外観検査方法。
【請求項7】
前記第4の工程は、
前記円筒面に対応する展開画像データを、前記ライン画素データごとに複数生成し、生成した複数の展開画像データに対して前記円筒面の位置に対応するように抽出元の画素データのラインに応じた画素位置の補正を行う工程を含み、
前記第5の工程は、
補正された複数の展開画像データの同じ位置をマッチングさせて前記複数の展開画像データから異常部抽出フィルタで異常部の検出を行う工程
を含むことを特徴とする請求項6に記載の外観検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−212283(P2007−212283A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−32270(P2006−32270)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(000176796)三菱原子燃料株式会社 (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(000176796)三菱原子燃料株式会社 (11)
【Fターム(参考)】
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