説明

多チャンネル同時録画再生装置

【課題】全ての放送チャンネルの放送番組を、過去の各々の放送チャンネルのオンエアの状態をそのままに記録し、過去から現在の放送番組の視聴を、統一化された同じ操作と感覚で視聴する環境を提供する。
【解決手段】受信可能な複数の放送チャンネルを受信する為のチューナ設備を備え、取得する全放送の放送ストリームに対して、各々の放送チャンネル毎に放送ストリームを弁別する為の弁別標識を新たに設けた上で、全放送の放送ストリームを多重化し一体となった放送ストリームを記憶媒体に記録する。ユーザが所望する特定の放送チャンネルの再生は、多重化された放送ストリームから放送チャンネル毎に弁別し振り分けられる個別の放送チャンネルの放送ストリームを再生する事により実現する。全ての放送チャンネルを、オンエアされている状態そのままに記録媒体にシーケンシャルに記録保存する事により、記憶媒体に対する高速アクセスと長寿命化を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送番組受信と録画及び再生機能を有するビデオ装置に於いて、受信可能な複数の放送チャンネルの放送番組映像及び音声を同時録画し再生する機能を提供するビデオ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハードディスク及び光ディスク(DVD、HD−DVD、ブルーレイディスク等)などの大容量記憶媒体を搭載するデジタルビデオ録画機器の家庭保有が一般化している。特に、ハードディスクドライブを搭載するビデオ録画機の場合、1テラバイト(1,099,511,627,776 バイト)を超えるデータ容量を有し、数ヶ月分の時間範囲の映像を記録(但し、画質設定に依存)することが可能となっている。デジタルビデオ録画再生機器に於いて、これら大容量記憶媒体を搭載する事により、全チャンネルの放送番組を録画して取っておき、見たい時にどの番組でも現在放送されている番組であるかのように見る事ができる機能を提供可能とする環境が整ってきていると言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許文献1の放送信号蓄積装置では、全ての放送チャンネルで放送された放送番組を、番組情報に基づき放送番組単位に区切った番組データを、放送チャンネル毎に記録媒体に記録する。ユーザからの再生要求が入力されると、番組情報を受像機に表示させてユーザに視聴したい番組を選ばせた上で、対応する番組データを記録媒体から読み出して再生する。又、番組データを記録媒体に記録(蓄積)する際に、空き容量を確保する為に最も古い番組や視聴履歴情報に基づく視聴済み番組データを削除して、記録スペースを確保する機能を有する。
【特許文献1】特開2005−151164号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
全ての放送チャンネルで放送された放送番組を、番組情報に基づき放送番組単位に区切って、放送チャンネル毎に記録媒体に記録する場合、視聴する番組を特定する手段は、番組情報から選択する以外になく、逐一記録されている番組データを選択する手間を要する。又、通常のビデオ装置の場合、ユーザが放送中の番組を視聴する場合、無作為にチャンネルキーによる直接選択やチャンネルアップ/ダウンキーなどで随時チャンネルを切換えて見る事が可能となっている。本発明は、全ての放送チャンネルで放送されている放送番組を、その日その時間にオンエアされている状態そのままに記録保存し、再生する場合に於いても過去の各放送チャンネルのオンエアの状態をそのままにシームレスに再現する事が可能であり、放送中の番組と同様のチャンネルキー及びチャンネルアップ/ダウンキーなどで随時チャンネルを切換えて無作為に視聴するスタイルをも提供可能とする。更に、全ての放送チャンネルの放送番組を、オンエアされていた状態そのままにタイムシフト視聴し、現放送中の位置までシームレスに通常再生及びトリック再生する事が可能となる。又、全ての放送チャンネルで放送された放送番組を、番組情報に基づき放送番組単位に区切って、放送チャンネル毎に記録媒体に記録し、空き容量を確保する為に最も古い番組や視聴履歴情報に基づく視聴済み番組データを削除する事により、記録媒体の記憶領域の断片化を招き、ハードディスクなどの機械部を有する装置では、例えば磁気ヘッドは断片化し離れた記憶領域を頻繁に行き来する事になり、移動量の増加が機械部分の消耗を招く事となる。本発明では、全ての放送チャンネルで放送された放送番組を、オンエアされている状態そのままに一本化してシーケンシャルに記録保存する事により、ハードディスクなど機構部を有する記憶媒体であっても機械部品の長寿命化に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の多チャンネル同時録画再生装置は、受信可能な複数の放送チャンネルの放送波を受信する放送波受信手段と、前記放送波受信手段により取得する全ての放送ストリームに対して、再生時に各々の放送チャンネル毎に放送ストリームを弁別する為の弁別標識を設けた上で、全ての放送ストリームを多重化する放送ストリーム多重化手段と、前記放送ストリーム多重化手段により全放送チャンネルが弁別可能な状態で多重化された放送ストリームを記録するストリーム蓄積手段を備え、前記多重化された放送ストリームを前記ストリーム蓄積手段から読出し、各々の放送チャンネル毎に弁別し振り分ける放送ストリーム弁別手段と、前記放送ストリーム弁別手段により所望の放送チャンネルの放送ストリームを抽出し再生或いは送信する手段を備える事を特徴とする。
【0006】
請求項2の多チャンネル同時録画再生装置は、受信可能な複数の放送チャンネルの放送波を受信する放送波受信手段と、前記放送波受信手段により取得する放送波信号を高圧縮の放送ストリームに変換するデジタル高圧縮手段と、前記デジタル高圧縮手段により生成された放送ストリームに対して、再生時に各々の放送チャンネル毎に放送ストリームを弁別する為の弁別標識を設けた上で、全ての放送ストリームを多重化する放送ストリーム多重化手段と、前記放送ストリーム多重化手段により全放送チャンネルが弁別可能な状態で多重化された放送ストリームを記録するストリーム蓄積手段を備え、前記多重化された放送ストリームを前記ストリーム蓄積手段から読出し、各々の放送チャンネル毎に弁別し振り分ける放送ストリーム弁別手段と、前記放送ストリーム弁別手段により所望の放送チャンネルの放送ストリームを抽出し再生或いは送信する手段を備える事を特徴とする。
【0007】
請求項3の多チャンネル同時録画再生装置は、請求項1或いは請求項2に記載の多チャンネル同時録画再生装置に於いて、前記放送ストリーム多重化手段により全放送チャンネルが弁別可能な状態で多重化された放送ストリームは、記憶領域にシーケンシャルに書込まれる様に制御されるストリーム蓄積手段を備える事を特徴とする。
【0008】
請求項4の多チャンネル同時録画再生装置は、請求項1から請求項3に記載の多チャンネル同時録画再生装置に於いて、前記放送波受信手段により受信可能な複数の放送チャンネルの放送番組情報を取得する放送番組情報取得手段と、前記放送番組情報取得手段により取得した番組情報に基づき、前記ストリーム蓄積手段に記録される全放送チャンネルが弁別可能な状態で多重化された放送ストリーム上の各々の放送チャンネルの番組開始及び終了位置を管理する機能を備える事を特徴とする。
【0009】
請求項5の多チャンネル同時録画再生装置は、請求項1から請求項4に記載の多チャンネル同時録画再生装置に於いて、前記ストリーム蓄積手段に記録される全放送チャンネルが弁別可能な状態で多重化された放送ストリームを読み出し、放送中の番組を視聴するのと同様に、チャンネルキー及びチャンネルアップ/ダウンキー等で各放送チャンネルを切換え、日時方向に過去から現在に至るまで、早送り巻戻し操作を含めシームレスに再生して視聴させる機能を備える事を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1の多チャンネル同時録画再生装置によれば、受信可能な全て(複数)の放送チャンネルを受信する為の地上アンテナ放送、衛星放送、ケーブルテレビ放送等のチューナ設備を備える放送波受信手段により取得する全ての放送チャンネルの放送ストリームに対して、特定の放送チャンネルを再生する場合に、各々の放送チャンネル毎に放送ストリームを弁別する為の弁別標識を新たに設けた上で、全ての放送チャンネルの放送ストリームを多重化し一体となった放送ストリームを記憶媒体に記録する。ユーザが所望する特定の放送チャンネルの再生視聴及び抽出送信は、多重化された放送ストリームを記憶媒体から読出し、多重化された放送ストリームから各々の放送チャンネル毎に弁別し振り分けられる個別の放送チャンネルの放送ストリームを再生或いは送信する事により実現する。全ての放送チャンネルで放送されている放送番組を、その日その時間にオンエアされている状態そのままに記録媒体に記録保存する事が可能で、再生する場合に於いては過去の各放送チャンネルのオンエアの状態をそのままに、各放送チャンネル間の切換え及び過去から現在までの番組をシームレスに再現・再生する事を可能とする環境を提供する。
【0011】
請求項2の発明の多チャンネル同時録画再生装置によれば、受信可能な全て(複数)の放送チャンネルを受信する為の地上アンテナ放送、衛星放送、ケーブルテレビ放送等のチューナ設備を備える放送波受信手段により取得する全ての放送チャンネルの放送ストリームに対して、H.264等に代表される高圧縮符号化手段を適用しトランスコードした各々の放送ストリームを、特定の放送チャンネルを再生する場合に、各々の放送チャンネル毎に放送ストリームを弁別する為の弁別標識を新たに設けた上で、全ての放送チャンネルの放送ストリームを多重化し一体となった放送ストリームを記憶媒体に記録する。各放送チャンネルの放送ストリームは、高圧縮符号化手段を適用する事により、物理的制限のある記憶媒体の容量の範囲に於いて、より高効率に大量の放送ストリームを蓄積する事が可能となる。又、受信可能な放送チャンネルとしての地上アナログ放送等の放送信号を受信する場合には、MPEG2或いはH.264等に代表される高圧縮手段を適用しデジタル符号化圧縮した放送ストリームに対して、各放送チャンネル毎の放送ストリームを同様の手段を適用する事により多重化して記録媒体に記録保存するものとする。
【0012】
請求項3の発明の多チャンネル同時録画再生装置によれば、全放送チャンネルの放送ストリームが弁別可能な状態で多重化された放送ストリームは、記憶領域にシーケンシャルに書込まれる様に制御される事により、ハードディスクなど機構部(機械駆動装置)を有する記憶媒体であっても、駆動装置の移動量を減じ機械部品の長寿命化に寄与するものである。
【0013】
請求項4の発明の多チャンネル同時録画再生装置によれば、受信可能な全て(複数)の放送チャンネルを受信する為の地上アンテナ放送、衛星放送、ケーブルテレビ放送等のチューナ設備を備える放送波受信手段により取得する全ての放送チャンネルの放送番組情報に基づき、記録媒体に記録保存された全放送チャンネルの多重化放送ストリーム上の各々の放送チャンネルの番組開始及び終了位置を管理する事により、各々の放送チャンネルの放送ストリームを再生視聴する場合、番組開始及び終了位置にジャンプする機能を提供する事が可能となる。
【0014】
請求項5の発明の多チャンネル同時録画再生装置によれば、ストリーム蓄積手段に記録される全放送チャンネルが弁別可能な状態で多重化された放送ストリームを読み出し、チャンネルキー及びチャンネルアップ/ダウンキー等で各放送チャンネルの放送ストリームを弁別及び切換え、日時方向に過去から現在に至るまで、早送り巻戻し操作を含めシームレスに再生して視聴させる機能を備える事により、ユーザは現放送番組を視聴する場合と同じ一貫した操作手順で記録された放送番組を視聴する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】多チャンネル同時録画再生装置の構成を示す図
【図2】複数チャンネルの放送ストリームの多重化情報を示す図
【図3】PID変換フィルタのフローチャート(1)を示す図
【図4】PID変換フィルタのフローチャート(2)を示す図
【図5】放送ストリームの多重化処理を示す図
【図6】多重化放送ストリームの弁別処理を示す図
【図7】多重化放送ストリームの記録保存管理を示す図
【図8】多重化放送ストリームの番組開始及び終了位置管理を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して説明する。
【実施例】
【0017】
図1〜図6は、本発明の多チャンネル同時録画再生装置の構成例及び、複数チャンネルの放送ストリームの多重化情報の構成例、放送ストリームの弁別標識の設定例、複数チャンネルの放送ストリームの多重化処理の例、複数チャンネルの多重化放送ストリームの弁別処理の例を説明する図である。
【0018】
図1の例に於いて、多チャンネル同時録画再生装置は、受信可能な全て(複数)の放送チャンネルを受信する為の地上デジタル放送、衛星放送(BSデジタル放送・CSデジタル放送等)、ケーブルテレビ放送等のチューナ設備を備える放送波受信手段により取得する全ての放送チャンネルの放送ストリームを入力する放送ストリーム(Transport Stream等)入力1〜n(1〜4)と、放送ストリームに於ける放送チャンネルを特定するprogram numberとその番組定義としてのストリームパケットPMT(Program Map Table)のPID値の間の関係を提供するストリームパケットPAT(Program Association Table)と、番組を構成する番組要素(elementary)間のマッピングを提供するストリームパケットPMTと、ビデオ・オーディオの各番組要素(elementary)のストリームパケットと、復号タイミングを規定するタイムスタンプを提供するPCR(Program Clock Reference)ストリームパケットと、字幕や文字スーパー等の付随する番組要素(elementary)ストリームパケット及び、番組配列情報としてのSI(Service Information)ストリームパケット等と言った、再生時に必要となる全ての放送チャンネルを構成する各放送ストリーム内のストリームパケットのPID値がユニークとなるように変換するPID変換フィルタ1〜n(5〜8)と、全ての放送チャンネルを構成する各放送ストリームを多重化し一体となるよう処理するマルチプレクサ(Multiplexer)部(9)と、全放送チャンネルを多重化した放送ストリームを記憶媒体(11)に記録保存する記録媒体入出力インターフェース(10)と、記憶媒体(11)から記録媒体入出力インターフェース(10)を介して読み出した全ての放送チャンネル分の複数のビデオ・オーディオで構成される多重化放送ストリームから、放送チャンネルで指定される放送ストリーム或いはその構成要素であるビデオエレメンタリーストリームとオーディオエレメンタリーストリームに分離するデマルチプレクサ
(Demultiplexer)部(12)と、これら分離した放送ストリームをモニタ(16)表示する為に復号処理し再生するAVデコーダ1,2部(13〜14)や通信用途の為に出力する出力インターフェース部(15)で構成される。
尚、放送ストリーム入力1〜n(1〜4)に入力する放送ストリームは、記録容量を削減する等の目的の為に、H.264等に代表される高圧縮符号化手段を適用しトランスコードした各々の放送ストリームを含む構成であっても良い。又、受信可能な放送チャンネルとして地上アナログ放送等のアナログ放送信号を受信する機能を含む場合、MPEG2或いはH.264等に代表される高圧縮手段を適用しデジタル符号化圧縮した放送ストリームを、放送ストリーム入力1〜n(1〜4)に入力する放送ストリームとして構成しても良い。
【0019】
図2の例は、多チャンネル同時録画再生装置に於ける複数放送チャンネルの放送ストリームの多重化に於けるストリームパケット構成情報を示している。複数のnチャンネルCH1・CH2・CH3〜CHnの各々の放送ストリームは、ストリームパケットPAT、ストリームパケットPMT等の番組特定情報であるPSI(Program Specific Information)を含む番組配列情報SIストリームパケットSI1〜SIn(20、24、25、26)と、ビデオ・オーディオの各番組要素ストリームパケットV1〜Vn、A1〜Anと、復号タイミングを規定するタイムスタンプを提供するPCRストリームパケットPCR1〜PCRnと、その他の字幕や文字スーパー等の付随する番組要素ストリームパケット等(図では省略)で構成されている。複数チャンネルの放送ストリームに於ける各々のストリームパケットのPID値及びストリームパケットPATやストリームパケットPMT内の番組構成情報としてのPID値は、放送チャンネル間の重複がありユニークな値が定義されていない為、複数放送チャンネルの放送ストリームをそまま多重化した場合、再生目的等に於いて特定の放送チャンネルの放送ストリームを弁別する事ができない。又、ストリームパケットPATは、多重化した放送ストリームであっても1つの固定PID値を持つストリームパケットとして構成しなければならない。従って、複数放送チャンネルの放送ストリームの多重化に於けるストリームパケット構成情報(27)は、放送チャンネル毎にユニークとなるprogram_number=CH1′〜CHn′とprogram_MAP_PID=PMT1′〜PMTn′(番組を構成する番組要素間のマッピングを提供するストリームパケットPMTのPID値)で構成される1つのストリームパケットPAT PATx(28)を生成し、多重化放送ストリーム内の番組要素ストリームパケット全体でユニークなPID値を割り振られた、復号タイミングを規定するタイムスタンプ・ストリームパケットPCR_PID= PCR1′〜PCRn′とビデオ番組要素・ストリームパケットelementary_PID=V1′〜Vn′とオーディオ番組要素・ストリームパケットelementary_PID=A1′〜An′で構成される放送チャンネル毎の番組定義・ストリームパケットPMT1′〜PMTn′(29)及びその各々の実体としての番組要素ストリームパケット(30)PCR1′〜PCRn′、V1′〜Vn′、A1′〜An′となるよう再構成する。これにより、複数のnチャンネルの多重化放送ストリームは、複数放送チャンネル分あったストリームパケットPATは単一のPATx(31)に、再構成された放送チャンネル毎の番組定義ストリームパケットPMTはPMT1′(32)〜PMTn′(33)に、そして例えば放送チャンネルCH1の放送ストリームの場合、タイムスタンプPCR1(21)がPCR1′(35)にPID値変更され、オーディオ番組要素A1(22)がA1′(36)にPID値変更され、ビデオ番組要素V1(23)がV1′(37)にPID値変更され、以降nチャンネルのPCRn′(38)、An′(39)、Vn′(40)まで順次PID値変更されたストリームパケットで構成される。尚、図2では、字幕や文字スーパー等の付随する番組要素ストリームパケット及び、有料放送を構成する情報であるCAT(Conditional Access Table)や電子番組情報EPG(Electronic Program Guide)等の番組配列情報SIストリームパケットを省いているが、同様にユニークとなるPID値が割り振られなくてはならない。又、本例は多重化された複数チャンネルの放送ストリームに関して、放送ストリームの番組構成定義を定めるマッピングテーブル及び個々のストリームパケットの弁別標識を構成要素全体に於いてユニークとなるよう構成する一方法について述べているものであり、放送ストリームフォーマットが変更された場合であっても同様の手段に拠って適応されるものとする。
【0020】
図3〜4の例は、多チャンネル同時録画再生装置に於けるPID変換フィルタのフローチャートを示している。PID変換フィルタは、複数チャンネルの放送ストリームに於いて、放送ストリームの番組構成定義を定めるマッピングテーブルの番組要素弁別標識(PID値)及び個々のストリームパケットに割り振られる弁別標識(PID値)を構成要素全体に於いてユニークとなるよう構成するものである。PID変換フィルタは、放送ストリームのストリームパケットが入力されると、PATストリームパケットか否か判定(S11)し、YESの場合PATストリームパケット内のprogram_number及びprogram_MAP_PIDが最終的な多重化された放送ストリーム内でユニークとなるよう変換(S12)し、NOの場合はスキップし、更にPMTストリームパケットか否か判定(S13)し、YESの場合PMTストリームパケット自身のPID値をprogram_MAP_PID値に変換及び、PMTストリームパケット内の番組構成を定めるマッピングテーブルの番組要素PID値であるPCR_PIDとelementary_PIDを最終的な多重化された放送ストリーム内でユニークとなるよう変換(S14)し、NOの場合はスキップし、次にPCRストリームパケットか否か判定(S15)し、YESの場合PCRストリームパケット自身のPID値を新しいPCR_PID値に変換(S16)し、NOの場合はスキップし、次にビデオ番組要素ストリームパケットか否か判定(S17)し、YESの場合ビデオ番組要素ストリームパケット自身のPID値を新しいビデオ番組要素elementary_PID値に変換(S18)し、NOの場合はスキップし、次にオーディオ番組要素ストリームパケットか否か判定(S19)し、YESの場合オーディオ番組要素ストリームパケット自身のPID値を新しいオーディオ番組要素elementary_PID値に変換(S20)し、NOの場合はスキップし、次に予め変換指定されている字幕・文字スーパー等の特定番組要素ストリームパケットか否か判定(S21)し、YESの場合特定ストリームパケット自身のPID値を新しい特定番組要素elementary_PID値に変換(S22)し、NOの場合はスキップし、次に番組配列情報の内予め特定するSIストリームパケットか否か判定(S23)し、YESの場合特定SIストリームパケット自身のPID値を予め定めるユニークな固定PID値に変換(S24)し、NOの場合はスキップし、最後に多重化する放送ストリームに於いて対象外となるストリームパケットか否か判定(S25)し、NOの場合は複数放送チャンネルを構成する各放送ストリームを多重化し一体となるよう処理するマルチプレクサ(Multiplexer)部に入力し、YESの場合は対象外となるストリームパケットを破棄した上で、次の放送ストリームの入力ストリームパケットの処理を継続する。尚、図3〜4の例は、多チャンネル同時録画再生装置に於けるPID変換フィルタ単体に於ける処理の流れを説明したものであるが、PID変換フィルタ自体の機能はマルチプレクサ(Multiplexer)部と一体となって機能を実現するものでも良い。
【0021】
図5の例は、多チャンネル同時録画再生装置に於ける複数の放送チャンネルの放送ストリームの多重化処理を示す図である。複数の放送チャンネルの放送ストリームの多重化処理は、各々の放送ストリームをPID変換フィルタ1〜n(50〜53)により放送ストリームの番組構成定義を定めるマッピングテーブルの番組要素弁別標識(PID値)及び個々のストリームパケットに割り振られる弁別標識(PID値)を構成要素全体に於いてユニークとなるよう変換し、次にPATパケットSW1〜n(54〜57)に於いて、PATストリームパケットを最初に検出するまでスイッチ(59〜62)はオフ状態として全ストリームパケットを破棄し、PATストリームパケットを検出するとスイッチ(59〜62)は次のストリームパケットからPMTが到着する事を想定してオン状態となり、新規PATxパケット生成部(58)は放送チャンネルを特定するprogram_number及び放送番組構成を定めるマッピングテーブルとなるPMTストリームパケットのPID値であるprogram_MAP_PIDを受け取り多重化放送ストリームを定義する新たなPATストリームパケットPATxを生成しマルチプレクサ(71)に送信し、PMTパケットSW1〜n(63〜66)にはPMTストリームパケットのPID値であるprogram_MAP_PIDを送信する。PMTパケットSW1〜n(63〜66)は、新規PATxパケット生成部(58)から受け取った各放送チャンネル毎のPMTストリームパケットのPID値でPMTストリームパケットを検出すると、スイッチ(67〜70)をオン状態に移行し、以降到達するストリームパケットをマルチプレクサ(71)に供給する。マルチプレクサ(71)は、新規PATxパケット生成部(58)から受け取る新たなPATストリームパケットPATxとPMTパケットSW1〜n(63〜66)から受け取る各放送チャンネル毎のPMTストリームパケット及び各PMTストリームパケットにて定義される番組構成要素ストリームパケット等により、複数の放送チャンネルの放送ストリームを多重化処理してバッファ(72)に出力する。多チャンネル同時録画再生装置は、複数の各々の放送チャンネル毎の放送ストリームを一括した1本の放送ストリームに多重化する事により、全放送チャンネルに於いてその日その時間にオンエアされている状態そのままに記録保存されるので、再生する場合であっても過去のオンエアを正に再現する事が可能となる。尚、図5は多チャンネル同時録画再生装置に於ける複数の放送チャンネルの放送ストリームの多重化処理の一例を説明するものでり、PID変換フィルタ(50〜53)及び、PATパケットSW(54〜62)からPMTパケットSW(63〜70)に於ける処理は、マルチプレクサ(Multiplexer)部と一体となって機能を実現するものでも良い。
【0022】
図6の例は、多チャンネル同時録画再生装置に於ける多重化放送ストリームの弁別処理の手順を示す図である。複数の各々の放送チャンネル毎の放送ストリームを多重化した放送ストリームをバッファ(80)から読み出し、PATパケットSW(82)では、PATストリームパケットを検出すると、チャンネル指定(83)で特定する放送チャンネルと一致する場合、単一PATパケット生成(81)に放送チャンネルを特定するprogram_number及び放送番組構成を定めるマッピングテーブルとなるPMTストリームパケットのPID値であるprogram_MAP_PIDを送信し、PMTパケットSW(84)にprogram_MAP_PIDを送信し、スイッチ(90)を次のストリームパケットからPMTが到着する事を想定してオン状態へと移行させる。単一PATパケット生成(81)は、PATパケットSW(82)から供給されるprogram_number及びprogram_MAP_PIDに基づき、特定の放送ストリームの放送番組定義情報のみを定義するPATストリームパケットを生成してデマルチプレクサ(85)に供給する。PMTパケットSW(84)は、PATパケットSW(82)から供給されるprogram_MAP_PIDに基づき該当するPMTストリームパケットを検出し、番組を構成する番組要素間のマッピング情報をデマルチプレクサ(85)に送信すると共に、スイッチ(91)をオン状態へと移行してPMTストリームパケットとそれに続く放送番組構成要素ストリームパケットをデマルチプレクサ(85)に供給する。デマルチプレクサ(85)は、単一PATパケット生成(81)から供給されるPATストリームパケットを分離する特定の放送チャンネルの放送番組定義情報とすると共に、PMTパケットSW(84)から供給されるPMTストリームパケットを分離する特定の放送チャンネルの番組を構成する番組要素間のマッピング情報とし、PATストリームパケットとPMTストリームパケットと共に、番組を構成する番組要素間のマッピング情報に基づく特定の放送チャンネルの単一のビデオ・オーディオで構成される放送ストリームを分離・構成する。特定放送チャンネルの放送ストリームは、バッファ(86)を介して出力IF(88)に送られても良いし、バッファ(87)を介してAVデコーダ(89)に供給されディスプレイ表示されても良い。或いは、バッファ(87)を介してビデオ・オーディオを分離したストリームとしてAVデコーダ(89)に供給する為に、複数の放送チャンネルで構成される多重化放送ストリームから、特定の放送チャンネルで指定される放送ストリームのビデオエレメンタリーストリームとオーディオエレメンタリーストリームに分離しても良い。尚、図6は多チャンネル同時録画再生装置に於ける多重化放送ストリームの弁別処理の手順を示す一例であり、バッファ(80)からバッファ(87)に於ける処理はデマルチプレクサ(Demultiplexer)部と一体となって機能を実現するものでも良い。又、デマルチプレクサ(Demultiplexer)は、複数の放送チャンネルの内の特定の複数チャンネルを同時指定する事で、並行して多重化放送ストリームから複数放送の放送ストリームを同時に弁別処理する事が可能であるように構成しても良い。
【0023】
図7の例は、多チャンネル同時録画再生装置に於ける多重化放送ストリームの記録保存管理を示している。多チャンネル同時録画再生装置に於ける多重化放送ストリームの記録保存管理は、記憶媒体の一定領域を複数の放送チャンネルの多重化放送ストリームの記憶領域(101)とし、その他を通常データの記憶領域(100)となるように管理しても良いし、記憶媒体全体を複数の放送チャンネルの多重化放送ストリームの記憶領域(101)となるよう管理しても良い。複数の放送チャンネルの多重化放送ストリーム(102)の記憶領域(101)は、●放送局〜■放送局(103〜105)の全放送局チャンネルの放送ストリームが、例えば20XX/10/22の16:00(106)から20XX/10/23の16:00(107)、20XX/10/23の16:00(107)から20XX/10/24の16:00(108)と言うように、全放送局チャンネルでその日その時間にオンエアされている状態そのままに、記憶領域の先頭から順次シーケンシャルに記録される。更に、記憶領域(101)の容量が一杯と成ると、最も古い記憶領域の先頭から順次オーバーライトして連続記録しても良い。従来のビデオ装置に於ける各放送局の各番組単位でのランダムアクセスによる記録保存及び管理の場合、記録媒体の記憶領域の断片化を招き、ハードディスクなどの機械部を有する装置では、例えば磁気ヘッドは断片化し離れた場所を頻繁に行き来する事になり、移動量の増加が機械部分の消耗を招く事となる。本例のようにシーケンシャルな多重化放送ストリームを構成する事により、記憶領域へシーケンシャルに書込む事は、書込み等処理時間の短縮(入出力高速化)と、磁気ヘッド等の稼動部の移動を伴うシーク負荷の軽減により機構部消耗を改善し耐久性を向上する効果を得る事が可能となる。
【0024】
図8の例は、多チャンネル同時録画再生装置に於ける多重化放送ストリームの番組開始及び終了位置管理を示している。多チャンネル同時録画再生装置は、受信可能な全て(複数)の放送チャンネルを受信する為の地上デジタル放送、衛星放送(BSデジタル放送・CSデジタル放送等)、ケーブルテレビ放送等のチューナ設備を備える放送波受信手段により取得する全ての放送チャンネルの放送番組電子情報(110)の日付(111)、●放送〜■放送(115〜117)、放送時間割り情報(112〜114)等に基づき、記憶媒体の特定記憶領域上の全放送チャンネルが弁別可能な状態で記録される多重化放送ストリーム(118〜120)の例えば■放送(120)の放送番組「スペシャルNEWS」の番組開始(121)及び終了位置(122)の様に全ての放送番組を管理するインデックス情報を作成する事により、記憶媒体の特定記憶領域のアクセスに於いて各々の放送チャンネルの目的の放送番組データに効率的に到達する事が可能となる。記憶媒体上の特定記憶領域へのシーケンシャルアクセスに於いて、各々の放送チャンネルの各々の放送番組のインデックス情報がない場合、恰もビデオテープを早送り巻戻しして目的の再生位置を探すように、目的とする放送番組のデータの部分まで順次検索する事が必要となる。
【0025】
更に、多チャンネル同時録画再生装置は、全ての放送チャンネルで放送されている放送番組を、その日その時間にオンエアされている状態そのままに記録保存し、再生する場合に於いても過去の各チャンネルのオンエアの状態をそのままに再現する事が可能であり、放送中の番組を視聴するのと同様の操作及び感覚で、チャンネルキー及びチャンネルアップ/ダウンキー等で各放送チャンネルを切換え、日時方向に過去から現在に至るまで、早送り巻戻し操作を含めシームレスに再生して視聴させる事が可能となり、ユーザに現在の放送番組から記録保存された過去の放送番組まで一貫した操作・手法で視聴する環境を提供する。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の実施例の多チャンネル同時録画再生装置によれば、全ての放送チャンネルで放送されている放送ストリームを、ハードディスク等の大容量記憶媒体に、再生時に各々の放送チャンネル毎に放送ストリームを弁別可能な状態で、その日その時間にオンエアされている状態そのままにシーケンシャルに記録保存する事により、再生する場合に於いても過去の各放送チャンネルのオンエアの状態をそのままに再現する事が可能であり、ユーザに現在の放送番組から記録保存された過去の放送番組まで一貫した操作と感覚で視聴する環境を提供すると共に、ハードディスク等の大容量記憶媒体に対する高速アクセスと機構部の耐久性向上に寄与するものである。
【符号の説明】
【0027】
1 放送ストリーム入力1
2 放送ストリーム入力2
3 放送ストリーム入力3
4 放送ストリーム入力n
5 PID変換フィルタ1
6 PID変換フィルタ2
7 PID変換フィルタ3
8 PID変換フィルタn
9 マルチプレクサ(Multiplexer)、略記MUX
10 記憶媒体入出力インターフェース
11 記憶媒体
12 デマルチプレクサ(Demultiplexer) 、略記DEMUX
13 AVデコーダ1
14 AVデコーダ2
15 出力インターフェース
16 モニタ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信可能な複数の放送チャンネルの放送ストリームを記録再生する多チャンネル同時録画再生装置に於いて、
受信可能な複数の放送チャンネルの放送波を受信する放送波受信手段と、
前記放送波受信手段により取得する全ての放送ストリームに対して、
再生時に各々の放送チャンネル毎に放送ストリームを弁別する為の弁別標識を設けた上で、
全ての放送ストリームを多重化する放送ストリーム多重化手段と、
前記放送ストリーム多重化手段により全放送チャンネルが弁別可能な状態で多重化された放送ストリームを記録するストリーム蓄積手段を備え、
前記多重化された放送ストリームを前記ストリーム蓄積手段から読出し、
各々の放送チャンネル毎に弁別し振り分ける放送ストリーム弁別手段と、
前記放送ストリーム弁別手段により所望の放送チャンネルの放送ストリームを抽出し再生或いは送信する手段を備える事を特徴とする多チャンネル同時録画再生装置。
【請求項2】
受信可能な複数の放送チャンネルの放送ストリームを記録再生する多チャンネル同時録画再生装置に於いて、
受信可能な複数の放送チャンネルの放送波を受信する放送波受信手段と、
前記放送波受信手段により取得する放送波信号を高圧縮の放送ストリームに変換するデジタル高圧縮手段と、
前記デジタル高圧縮手段により生成された放送ストリームに対して、
再生時に各々の放送チャンネル毎に放送ストリームを弁別する為の弁別標識を設けた上で、
全ての放送ストリームを多重化する放送ストリーム多重化手段と、
前記放送ストリーム多重化手段により全放送チャンネルが弁別可能な状態で多重化された放送ストリームを記録するストリーム蓄積手段を備え、
前記多重化された放送ストリームを前記ストリーム蓄積手段から読出し、
各々の放送チャンネル毎に弁別し振り分ける放送ストリーム弁別手段と、
前記放送ストリーム弁別手段により所望の放送チャンネルの放送ストリームを抽出し再生或いは送信する手段を備える事を特徴とする多チャンネル同時録画再生装置。
【請求項3】
請求項1或いは請求項2に記載の多チャンネル同時録画再生装置に於いて、
前記放送ストリーム多重化手段により全放送チャンネルが弁別可能な状態で多重化された放送ストリームは、
記憶領域にシーケンシャルに書込まれる様に制御されるストリーム蓄積手段を備える事を特徴とする多チャンネル同時録画再生装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3に記載の多チャンネル同時録画再生装置に於いて、
前記放送波受信手段により受信可能な複数の放送チャンネルの放送番組情報を取得する放送番組情報取得手段と、
前記放送番組情報取得手段により取得した番組情報に基づき、
前記ストリーム蓄積手段に記録される全放送チャンネルが弁別可能な状態で多重化された放送ストリーム上の各々の放送チャンネルの番組開始及び終了位置を管理する機能を備える事を特徴とする多チャンネル同時録画再生装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4に記載の多チャンネル同時録画再生装置に於いて、
前記ストリーム蓄積手段に記録される全放送チャンネルが弁別可能な状態で多重化された放送ストリームを読み出し、
放送中の番組を視聴するのと同様に、チャンネルキー及びチャンネルアップ/ダウンキー等で各放送チャンネルを切換え、
日時方向に過去から現在に至るまで、早送り巻戻し操作を含めシームレスに再生して視聴させる機能を備える事を特徴とする多チャンネル同時録画再生装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−4768(P2012−4768A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136804(P2010−136804)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(502392788)株式会社日本デジタル家電 (4)
【Fターム(参考)】