多モード干渉型光導波路
【課題】 パターン変換誤差が生じた場合でも、反射光が入力導波路に戻らないような多モード干渉型光導波路を提供する。
【解決手段】 入力導波路701、702と、出力導波路704、705と、入力導波路701、702が一方の端部に接続されると共に、出力導波路704、705が一方の端部に対向する他方の端部に接続され、導波路幅が入力導波路701、702及び出力導波路704、705より広い多モード干渉領域703とを有し、多モード干渉領域703の他方の端部に、出力導波路704、705とは異なる2本の多モード導波路706、707を備えた多モード干渉型光導波路。
【解決手段】 入力導波路701、702と、出力導波路704、705と、入力導波路701、702が一方の端部に接続されると共に、出力導波路704、705が一方の端部に対向する他方の端部に接続され、導波路幅が入力導波路701、702及び出力導波路704、705より広い多モード干渉領域703とを有し、多モード干渉領域703の他方の端部に、出力導波路704、705とは異なる2本の多モード導波路706、707を備えた多モード干渉型光導波路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光集積回路に用いる光導波路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光集積回路を実現するためには、作製が容易で低損失な光合流・分岐回路を実現する必要がある。近年、作製が容易で低損失な光合流・分岐回路の構造として、多モード干渉(multi-mode interference, MMI)型カプラが提案されている(非特許文献1)。
【0003】
図1に、従来のMMI型光合流・分岐回路の構造を示す。
図1は、2入力2出力の半導体MMI型光合流・分岐回路の上面図であって、図中101、102は入力導波路、103は多モード干渉領域、104、105は出力導波路、106は多モード領域終端である。
【0004】
動作原理は、簡単に説明すれば以下の通りである。
入力導波路101から多モード干渉領域103に入射した光は、多モード導波路となる多モード干渉領域103の複数の導波モードに展開される。言い換えると、入力導波路101の導波モードと多モード干渉領域103における導波モードの重なりに応じて、多モード干渉領域103の導波モードにパワーが分配される。多モード導波路(多モード干渉領域103)の各導波モードに展開された光は、多モード導波路を干渉しながら、ある一定の距離を伝搬したところで自己結像(Self-imaging)効果によりスポット状に集光される。スポットが2個形成されるような距離だけ伝搬したところに出力導波路104、105を配置すれば、入力信号は2つの出力導波路104、105に分配され、分岐回路として動作する。このように多モード導波路を干渉領域として用いることから、本構成の光合流・分岐回路は多モード干渉(MMI)型カプラと呼ばれている。
【0005】
図2は、従来の4入力1出力の半導体MMI型光合流・分岐回路、いわゆる4×1MMIカプラの上面図であって、図中201〜204は入力導波路、205は多モード干渉領域、206は出力導波路、207は多モード領域終端である。
【0006】
4×1MMIカプラの動作原理は、光を逆方向から入射させて1×4カプラとして動作させた場合を考えると理解しやすい。すなわち、出力導波路206から多モード干渉領域205に光が入射すると、入射した光は多モード導波路となる多モード干渉領域205の複数の導波モードに展開される。言い換えると、入力側となる出力導波路206の導波モードと多モード干渉領域205における導波モードの重なりに応じて、多モード干渉領域205の導波モードにパワーが分配される。多モード導波路(多モード干渉領域205)の各導波モードに展開された光は、多モード導波路を干渉しながら、ある一定の距離を伝搬したところで自己結像(Self-imaging)効果によりスポット状に集光される。スポットが4個形成されるような距離だけ伝搬したところに入力導波路201〜204が配置されているため、入力信号は4つの入力導波路201〜204に等分配され、1:4の分岐回路として動作する。逆に、入力導波路201〜204のいずれかから光が入射した場合は、前記4分岐動作の逆過程の動作となり、光線逆行の定理により入射光の1/4のパワーが出力導波路206に結合し、4×1のカプラとして動作する。
【0007】
図3は、図1に示したMMI型光合流・分岐回路の導波路のA−A’断面での断面構造を、図上左側から観測した図であって、図中301は下部クラッドを構成するInP基板、302及び303はInGaAsPコア層、304及び305はInP上部クラッドを表している。なお、図2に示したMMI型光合流・分岐回路の導波路のA−A’断面での断面構造も、導波路の本数が4本であることを除けば、図3に示したものと同様である。
【0008】
上記構造のMMI型光合流・分岐回路は、導波路の横方向の光閉じ込めを、導波路のコア及びクラッドを構成する媒質と空気との屈折率差により行っているため、フォトマスク両側壁を導波路のコアよりも深くエッチングするだけで作製することが可能であり、又、方向性結合器のようなエッチング深さの厳密な制御が必要ないため、光集積回路に最適である。
【0009】
【非特許文献1】L. B. Soldano and E. C. M. Pennings, "Optical Multi-Mode Interference Devices on Self-Imaging: Principles and Applications," Journal of Lightwave Technology, voL. LT-13, pp.615-627, 1995参照
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、上記構造のMMI型光合流・分岐回路には、以下のような問題があった。
図4は、図1に示したMMI型光合流・分岐回路の導波路のB−B’断面での断面構造を、図中下側から観測した図であって、図中401は下部クラッドを構成するInP基板、402はInGaAsPコア層、403はInP上部クラッド、404は多モード領域終端を表している。つまり、従来のMMI型光合流・分岐回路において、図1における多モード領域終端106は、図4の終端404に示したように、導波路コア層402、403よりも深くエッチングされて、エッチングミラーが形成されている。半導体導波路の場合、この導波路・空気界面における反射率は約30%であることが知られている。
【0011】
前記動作原理で説明したように、上記構造のMMI型光合流・分岐回路は、多モードの干渉による自己結像効果を用いているため、多モード干渉領域103の幅Wは厳密に制御する必要がある。多モード干渉型光合流・分岐回路では、多モード干渉領域の幅が1%変化すると、多モード干渉領域103の長さLは2%変化することが知られている。図1に示した2入力2出力のいわゆる2×2カプラの場合、多モード干渉領域103の幅Wが10〜12μmであるのに対し、その長さLは200μm程度である。従って、作製時に約1%となる0.1μmの誤差が生じ、幅Wが10.1μmになってしまったとすると、長さLは200μmの2%相当の4μm変化し、204μmが最適値となってしまい、200μmでは短すぎることになる。その結果、自己結像効果のフォーカスポイントが多モード干渉導波領域103の外側にシフトしてしまい、多モード領域終端106における出力導波路104、105への光の結合効率が低下する。これは過剰損失の増加を意味している。
【0012】
これに加えて、結合できなかった光の大部分は、多モード領域終端106に存在し、図4中の404で示されるような導波路の不連続点、言い換えれば、半導体・空気界面において約30%の反射率で反射されてしまう。反射された光の一部は入力導波路101、102に結合し、入射経路を逆行してしまう。入力導波路に光増幅器が接続されている場合、この反射により発振が生じてしまい、光回路が正常に動作しなくなるおそれがある。
【0013】
図2に示した4×1カプラについても、多モード領域終端207での反射は、大きな問題となる。特に、4入力1出力の合流回路として使用した際は、前述したように、入力パワーの1/4が出力導波路に結合する。そして、残りの3/4は多モード領域終端207に存在する導波路の不連続点、言い換えれば、半導体・空気界面において反射されてしまう。図2におけるB−B’断面での断面構造は、図4に示したものと同様であるため、多モード領域終端207における反射率は、図1の従来例と同様に約30%となってしまう。入力パワーの3/4の30%、すなわち20%以上のパワーが反射されてしまうため、入力導波路に光増幅器が接続されている場合には発振が生じてしまい、光回路が正常に動作しなくなる可能性が大きい。
【0014】
ここで導波路の作製時の寸法誤差について簡単に説明しておく。
図1に示したような導波路構造を作製する場合、導波路のエッチングマスク作製に用いるフォトマスクあるいはレチクルの形状は、図1の導波路領域のみにメタルが形成され、導波路領域以外にはメタルは形成されていない。そのため、エッチングマスクを作製するために露光を行った場合、フォトレジストを透過して基板表面に到達したUV光の一部は基板表面で散乱し、四方八方に放射される。この散乱光はフォトマスクのメタルの影の部分のフォトレジストを感光させてしまうため、現像後のフォトレジストの幅はフォトマスクあるいはレチクルで規定される幅より狭くなってしまう。これをパターン変換誤差という。フォトレジスト形成時にパターン変換誤差が存在すると、そのフォトレジストをマスクとして導波路をエッチングしても、できあがった導波路の幅は設計とは異なってしまう。
【0015】
従来の構造では、メタルの形成されている幅が入出力導波路部で2μm程度、多モード干渉導波路領域で10〜12μm程度であるのに対し、メタルの形成されていない非導波路領域、言い換えれば、導波路間の間隔は数100μm程度にも達する。フォトレジスト露光時に生じるパターン変換誤差は、基板表面で散乱されるUV光の量により決まる。従って、従来の構造では遮蔽部の数10〜100倍以上の領域からの散乱光によりパターン変換誤差が生じることになり、大きな誤差の原因となる。これは素子の歩留まりを低下させ、又、設計とのずれによる性能劣化の原因ともなる。光集積回路では導波路が複雑に入り込むため、導波路が密な領域と疎な領域が形成されてしまい、場所によりパターン密度が変化することになる。これは、場所により導波路領域と非導波路領域の面積の比が変化することを意味しており、UV散乱光の強度が場所により変化することにより、パターン変換誤差も場所により変化することになる。その結果、場所により導波路幅が変化してしまい、設計どおりの集積素子を作製することは困難となってしまうという問題があった。
【0016】
このように、従来構造のMMI型光合流・分岐回路は、作製時の寸法誤差が生じた際に問題が生じやすいのみならず、パターン変換誤差が起きやすいという欠点を有していた。又、入力導波路数より出力導波路数が少ない合流回路においては、本質的に多くのパワーが反射されてしまうという問題もあった。
【0017】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、パターン変換誤差が生じた場合でも反射光が入力導波路に戻らないような多モード干渉型光導波路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決する第1の発明に係る多モード干渉型光導波路は、
入力導波路と、出力導波路と、前記入力導波路が一方の端部に接続されると共に、前記出力導波路が前記一方の端部に対向する他方の端部に接続され、導波路幅が前記入力導波路及び前記出力導波路より広い多モード干渉領域とを有する多モード干渉型光導波路において、
前記多モード干渉領域の前記他方の端部に、前記出力導波路とは異なる多モード導波路を、少なくとも2本備えたことを特徴とする。
多モード導波路としては、例えば、導波路幅を入力導波路及び出力導波路より広くすることで、複数の導波モードの存在が可能なものとすればよい。
【0019】
上記課題を解決する第2の発明に係る多モード干渉型光導波路は、
第1の発明に記載の多モード干渉型光導波路において、
前記入力導波路、前記出力導波路及び前記多モード干渉領域からなる光導波領域の両側に、光閉じ込めするための溝を形成したことを特徴とする。
【0020】
上記課題を解決する第3の発明に係る多モード干渉型光導波路は、
第2の発明に記載の多モード干渉型光導波路において、
前記溝の幅を、前記溝の深さ以上の大きさとしたことを特徴とする。
更に、上記溝の幅を導波路領域に沿って略一定にすると、製造時におけるパターン変換誤差を抑制することができ、設計通りの光回路を再現性よく提供することが可能となる。
【0021】
上記課題を解決する第4の発明に係る多モード干渉型光導波路は、
第2又は第3に記載の多モード干渉型光導波路において、
前記溝の外側にスラブ領域を形成すると共に、
前記多モード導波路を、前記溝を横切って前記スラブ領域に接続したことを特徴とする。
【0022】
上記課題を解決する第5の発明に係る多モード干渉型光導波路は、
第1乃至第4にいずれかに記載の多モード干渉型光導波路において、
前記入力導波路及び前記出力導波路の接続部以外の前記多モード干渉領域の端部を、光の伝搬方向に対して傾けた形状にしたことを特徴とする。
つまり、光の伝搬方向に対して、入力導波路及び出力導波路の接続部以外の端部の全て又は一部が、垂直にならないような形状にすればよい。例えば、接続部以外の端部を、光の伝搬方向に対して、傾斜させればよく、その形状は、直線状(平面)でも、曲線状(曲面)でもよい。
【発明の効果】
【0023】
第1の発明によれば、多モード干渉型光導波路の出力導波路側に多モード導波路を設けたので、製造時にパターン変換誤差が生じた場合、又、入力導波路の本数より出力導波路の本数が少ない場合でも、入力導波路側への光の反射を少なくすることができる。
【0024】
第2の発明によれば、光導波領域の両側に溝を設け、光導波領域の横(幅)方向の光閉じ込めを行ったので、光信号を効率よく伝搬させることができる。
【0025】
第3の発明によれば、溝の幅を溝の深さ以上の大きさとしたので、溝の深さを設計通りに形成することができる。
更に、溝の幅を導波路領域に沿って略一定とすれば、導波路幅の場所依存性を排除し、製造時におけるパターン変換誤差を抑制して、均一に再現性よく導波路領域を形成することができる。その結果、入力導波路側への光の反射が少ない光回路を、設計通りに提供することが可能となる。
【0026】
第4の発明によれば、スラブ領域を設けると共に、このスラブ領域に、多モード導波路を接続したので、製造時にパターン変換誤差が生じた場合、又、入力導波路の本数より出力導波路の本数が少ない場合でも、入力導波路側への光の反射を少なくすることができる。
【0027】
第5の発明によれば、多モード干渉領域の端部において、入力導波路及び出力導波路の接続部以外の端部を、光の伝搬方向に対して傾けた形状にしたので、製造時にパターン変換誤差が生じた場合、又、入力導波路の本数より出力導波路の本数が少ない場合でも、入力導波路側への光の反射を少なくすることができ、更には、出力導波路側への光の再反射も少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明に係る多モード干渉型光導波路は、入力導波路側への反射の影響を除去するべく、終端部における光の反射を抑制するため、出力導波路とは別に多モード導波路を少なくとも2本設け、出力導波路に結像しない光のパワーを、多モード導波路へ逃がすようにしたものである。このような、本発明に係る多モード干渉型光導波路の実施形態のいくつかを、図5〜図16を用いて、以下に詳細に説明する。
【実施例1】
【0029】
図5は、本発明に係る多モード干渉型光導波路の第1の実施例を示す図であり、2入力2出力の半導体MMI型光合流・分岐回路の上面図である。
図5に示すように、本実施例の半導体MMI型光合流・分岐回路は、光信号が入射される入力導波路501、502と、光信号が出射される出力導波路504、505と、一方の端部に入力導波路501、502が接続されると共に他方の端部に出力導波路504、505が接続され、入力導波路501、502及び出力導波路504、505よりも導波路幅の広い多モード干渉領域503とを有する。入力導波路501、502と出力導波路504、505とは、互いに線対称位置に配置されており、又、入力導波路501、502、出力導波路504、505及び多モード干渉領域503からなる光導波領域の両側には、光閉じ込めするため、導波路領域のコア層よりも深く形成された溝506、507が形成されている。ここで、入力導波路501、502及び出力導波路504、505の幅は2μm、多モード干渉領域503の幅及び長さは、それぞれ12μm及び200μmに設定した。動作原理は、図1に示した従来のものと同様である。
【0030】
図6は、図5に示したMMI型光合流・分岐回路の導波路のC−C’断面での断面構造を図中左側から観測した図である。
図6に示すように、本実施例の半導体MMI型光合流・分岐回路は、下部クラッドを構成するInP基板601と、その上層に形成されたInGaAsPコア層602〜605と、更に上層に形成されたInP上部クラッド606〜609とを有し、光導波領域の両側壁に沿ってコア層602〜605よりも深くエッチングして形成した溝610〜612を有している。光導波領域の横方向の光閉じ込めは、光導波領域のコア及びクラッドを構成する媒質と空気の屈折率差とにより行われている。
【0031】
ここで、光導波領域の側壁に形成した溝幅は次のように設定した。
本実施例の光合流・分岐回路は、ドライエッチングにより作製される。これは、図5に示したように、エッチング面が結晶面に対し様々な方向を向くため、面方位に依存するようなウェットエッチングを用いることができないためである。ドライエッチングを用いる場合、エッチング部の開口率(エッチングされる部分あるいはエッチングマスクが存在しない部分と、エッチングされない部分あるいはエッチングマスクの存在する部分との面積の比)により、エッチング速度やエッチング形状が異なることが一般的に知られている。
【0032】
本実施例のように、導波路のコア層よりも深く溝のエッチングを行う場合、開口部の幅が小さいと、溝の幅により律速される深さ以上には、エッチング時間を延長してもエッチングが進まないといった現象が生じる場合がある。このような現象を防ぐため、溝の幅はエッチング深さと同等以上であることが望ましい。一般的に、導波路構造として、コア層602〜605及び上部クラッド層606〜609の厚さがそれぞれ0.3〜0.5μm及び1.5〜2.5μmであることを考慮すると、エッチング深さDは3μm以上であることが必要である。従って、溝幅も溝深さD、3μm以上が望ましい。本実施例では、溝幅は15〜25μm程度の範囲内でほぼ一定になるように考慮し、溝幅W0、W1はそれぞれ18μm及び15μmに設定した。
【0033】
本実施例においては、導波路領域作製時にパターン変換誤差の生じにくい構造を提供することも可能である。以下に、その原理を説明する。
本実施例の導波路パターンを作製する際に用いるフォトマスク、あるいはレチクルは、図5の溝506、507領域以外の部分にメタルが形成されているような形状になっている。メタルの形成されている導波路幅が2μm及び12μmであるのに対し、メタルの形成されていない透明領域の幅W0及びW1は、上述したように18μm及び15μmと設定したので、導波路領域の幅と溝幅W0及びW1との比は高々1〜9倍程度である。従って、基板表面に到達するUV光の量も、図1の従来例と比較して大幅に減少し、基板表面で散乱されるUV光の量も、従来の構造と比較すると1/10程度以下となる。そのため、散乱光により生じるパターン変換誤差を大幅に抑制することが可能となる。これにより、設計とのずれにより生じる反射の発生を最小限に抑えることができる。
【0034】
又、本実施例の場合、メタルの形成されていない透明領域の幅が、ほぼ一定に保たれるため、光集積回路のように導波路が複雑に入り込んだ場合でも、メタルの形成されている導波路部とメタルの形成されていない透明領域の面積の比が大きく変化することはない。従って、場所によりパターン変換誤差が変化することもない。そして、場所により導波路幅が変化してしまうといった従来例の問題点が解決され、設計どおりのレジストマスクを形成することが可能となり、その結果、前記レジストマスクを用いてエッチングした導波路幅も設計どおりに作製することができ、反射の少ない高性能な集積素子を作製することが可能となる。
【0035】
このように、導波路近傍のメタルの形成されていない透明領域の幅、もしくは面積をほぼ一定の値に保つことが重要であり、そのため、本実施例では、光導波領域の両側にコア層よりも深い、ほぼ一定の幅の溝を形成する構成としている。
【実施例2】
【0036】
図7は、本発明に係る多モード干渉型光導波路の第2の実施例を示す図であり、2入力2出力の半導体MMI型光合流・分岐回路の上面図である。
図7に示すように、本実施例の半導体MMI型光合流・分岐回路は、光信号が入射される入力導波路701、702と、光信号が出射される出力導波路704、705と、一方の端部に入力導波路701、702が接続されると共に他方の端部に出力導波路704、705が接続され、入力導波路701、702及び出力導波路704、705よりも導波路幅の広い多モード干渉領域703と、多モード干渉領域703の他方の端部に接続された多モード導波路706、707とを有する。入力導波路701、702と出力導波路704、705とは、互いに線対称位置に配置されている。ここで、入力導波路701、702及び出力導波路704、705の幅は2μm、多モード干渉領域703の幅及び長さは、それぞれ12μm及び200μmに設定した。動作原理は、図1に示した従来のものと同様である。又、図7に示したMMI型光合流・分岐回路の導波路のA−A’断面での断面構造は、図3に示したものと同様である。
【0037】
本実施例は、図1に示した従来例と比較すると、従来例における多モード干渉領域の終端部106に、複数の導波モードの存在が可能なマルチモードの導波構造として、入力導波路701、702及び出力導波路704、705よりも導波路幅の広い多モード導波路706、707を、少なくとも2本設けた構造である。そのため、従来例において、多モード干渉領域の終端部106で反射されていた光が、多モード導波路706及び707に導かれて伝搬することが可能となり、入力導波路を逆行するような反射が発生しない。従って、作製時にパターン変換誤差が生じたとしても、過剰損失が若干増加するだけで、反射のない光合流・分岐回路を提供することが可能となる。ここで、多モード導波路706、707の構造に関しては、特に制約があるわけではない。複数の導波モードの存在を許容していれば、直線状であっても曲線状であってもかまわない。この多モード導波路は出射端面まで連続していてもよく、又、途中で光を吸収するための何らかの構造、例えば、信号光波長よりバンドギャップ波長の長いような組成の半導体を含むような構造に接続してもよい。更に、光を空間に放射するための構造と接続してもかまわない。
【0038】
なお、本実施例では、多モード干渉領域703の終端部(出力導波路側704、705側)のみに、複数の導波モードの存在が可能な多モード導波路706、707を設けたが、線対称となるように、多モード干渉領域703の入射側の端部にも、複数の導波モードの存在が可能なマルチモードの導波構造を設けてもよく、入射側の端部において、同等の効果を得ることができる。この場合、出力導波路に光増幅器等が接続されていて、自然放出光が出力導波路側から多モード干渉領域703に入射するような場合でも、効果的に反射を抑制することが可能となる。
【実施例3】
【0039】
図8は、本発明に係る多モード干渉型光導波路の第3の実施例を示す図であり、2入力2出力の半導体MMI型光合流・分岐回路の上面図である。
図8に示すように、本実施例の半導体MMI型光合流・分岐回路は、光信号が入射される入力導波路801、802と、光信号が出射される出力導波路804、805と、一方の端部に入力導波路801、802が接続されると共に他方の端部に出力導波路804、805が接続され、入力導波路801、802及び出力導波路804、805よりも導波路幅の広い多モード干渉領域803と、多モード干渉領域803の他方の端部に接続された多モード導波路806、807とを有する。入力導波路801、802、出力導波路804、805及び多モード干渉領域803からなる光導波領域の両側には、光閉じ込めするため、側壁に沿って、導波路領域のコア層よりも深く形成された溝808、809が形成されており、更に、溝808、809の外側にスラブ領域810、811が形成されている。ここで、入力導波路801、802及び出力導波路804、805の幅は2μm、多モード干渉領域803の幅及び長さは、それぞれ12μm及び200μmに設定した。動作原理は、図1に示した従来のものと同様である。又、図8に示したMMI型光合流・分岐回路の導波路のC−C’断面での断面構造は、図6に示したものと同様である。
【0040】
本実施例でも、図5に示した実施例1と同様に、導波路の両側壁に沿って、コアよりも深くエッチングした溝808、809を形成しており、導波路の横方向の光閉じ込めは、導波路のコア及びクラッドを構成する媒質と空気との屈折率差により行っている。導波路側壁に形成した溝幅も、図5に示した実施例1と同様に、15〜25μm程度の範囲内でほぼ一定になるように考慮し、溝幅W0、W1は、それぞれ18μm及び15μmに設定した。その結果、実施例1と同様の原理により、パターン変換誤差を抑制して、設計とのずれにより生じる反射の発生を、最小限に抑えることが可能となる。
【0041】
なお、溝幅W0、W1を全く同じ大きさにすると、より効果的にパターン変換誤差を抑制して、設計とのずれにより生じる反射の発生をより小さくすることが可能である。この場合、多モード干渉領域803の両側端部に、入力導波路801、802及び出力導波路804、805が配置されると共に、出力導波路804と出力導波路805の間に、多モード導波路が配置される構成となる。
【0042】
本実施例の場合も、溝領域の幅W0、W1がほぼ一定に保たれるため、光集積回路のように導波路が複雑に入り込んだ場合でも、導波路部と溝領域の面積の比が大きく変化することはない。従って、場所によりパターン変換誤差が変化することもない。そして、場所により導波路幅が変化してしまうといった従来例の問題点が解決され、設計どおりのレジストマスクを形成することが可能となり、その結果、前記レジストマスクを用いてエッチングした導波路幅も設計どおりに作製することができ、反射の少ない高性能な集積素子を作製することが可能となった。
【0043】
更に、本実施例の場合、図7に示した実施例2と同様に、多モード干渉領域803の終端部に、複数の導波モードの存在が可能な多モード導波路806、807を、少なくとも2本設けた構造であるため、従来例において多モード干渉領域の終端部で反射されていた光が、多モード導波路806、807に導かれて伝搬することが可能となり、入力導波路を逆行するような反射が発生しない。そのため、作製時にパターン変換誤差が生じたとしても、過剰損失が若干増加するだけで、反射のない光合流・分岐回路を提供することが可能となる。ここで、多モード導波路806、807の構造に関しては、特に制約があるわけではない。複数の導波モードの存在を許容していれば、直線状であっても曲線状であってもかまわない。この多モード導波路は、出射端面まで連続していてもよく、又、途中で光を吸収するための何らかの構造、例えば、信号光波長よりバンドギャップ波長の長いような組成の半導体を含むような構造に接続してもよい。更に、光を空間に放射するための構造と接続してもかまわない。
【0044】
本実施例の光回路を用いることにより、図5に示した実施例1及び図7に示した実施例2の両方の特徴を有する結果となり、作製時のパターン変換誤差がなく、反射の生じにくい作製プロセスを可能にするのみならず、パターン変換誤差が生じた場合でも、反射のない高性能な光合流・分岐回路を提供することが可能となる。
【0045】
なお、本実施例では、多モード導波路を出力導波路に沿って配置したが、図9に示すように、導波路の側壁に沿って形成された溝908、909を横切って、横方向の閉じこめが実質上存在しない、もしくは十分に横幅の広い、スラブ領域910、911に、多モード導波路を接続することによっても同様な効果が得られる。この場合、途中で光を吸収するための構造等に接続されていていなくとも、溝908、909の幅の分だけ光を伝搬させた後、スラブ領域910、911に光を逃がすようにしたので、十分に光の反射を抑制することが可能である。ここで、図9中に示した番号は、図8中に示した番号に準ずる。すなわち、図中901、902は入力導波路、903は多モード干渉領域、904、905は出力導波路、906、907は多モード導波路、908、909は導波路の側壁に沿って形成された溝、910、911はスラブ領域である。
【0046】
又、図8及び図9では、多モード干渉領域803の右側の終端部のみに、複数の導波モードの存在が可能な多モード導波路806、807又は多モード導波路906、907を設けたが、図10に示すように、多モード干渉領域1003の入射側端部にも、複数の導波モードの存在が可能な多モード導波路1010、1011を設けて、線対称構造としてもよい。この場合についても、上記構造と同等の効果を得ることができる。この場合、出力導波路に光増幅器等が接続されていて、自然放出光が出力導波路側から多モード干渉領域1003に入射するような場合にも、効果的に反射を抑制することが可能となる。ここで、図10中に示した番号も、図8中に示した番号に準ずる。すなわち、図中、1001、1002は入力導波路、1003は多モード干渉領域、1004、1005は出力導波路、1006、1007、1010、1011は多モード導波路、1008、1009は導波路の側壁に沿って形成された溝、1012、1013はスラブ領域である。又、図10に示した多モード導波路1006、1007、1010、1011のうちのいずれかを、図8に示した多モード導波路806、807のように、入力導波路もしくは出力導波路に沿って配置した形状としても、同様の効果が得られる。
【実施例4】
【0047】
図11は、本発明に係る多モード干渉型光導波路の第4の実施例を示す図であり、4入力1出力の半導体MMI型光合流・分岐回路の上面図である。
図11に示すように、本実施例の半導体MMI型光合流・分岐回路は、光信号が入射される入力導波路1101〜1104と、光信号が出射される出力導波路1106と、一方の端部に入力導波路1101〜1104が接続されると共に他方の端部に出力導波路1106が接続され、入力導波路1101〜1104及び出力導波路1106よりも導波路幅の広い多モード干渉領域1105とを有する。入力導波路1101〜1104、出力導波路1106及び多モード干渉領域1105からなる光導波領域の両側には、光閉じ込めするため、側壁に沿って、導波路領域のコア層よりも深く形成された溝1107、1108が形成されている。ここで、入力導波路1101〜1104及び出力導波路1106の幅は2μm、多モード干渉領域1105の幅及び長さはそれぞれ16μm及び134μmに設定した。動作原理は、図2に示した従来のものと同様である。図11に示したMMI型光合流・分岐回路の導波路のC−C’断面での断面構造は、導波路本数が4本になっていることを除けば、図6に示したものと同様である。
【0048】
本実施例では、図5に示した実施例1と同様に、導波路の両側壁に沿って、コアよりも深くエッチングした溝を形成し、導波路の横方向の光閉じ込めは、導波路のコア及びクラッドを構成する媒質と空気との屈折率差により行っている。導波路側壁に形成した溝幅も、図5に示した実施例1と同様に、15〜25μm程度の範囲内でほぼ一定になるように考慮し、溝幅W0、W1及びW2は、それぞれ17μm、15μm及び22μmに設定した。その結果、実施例1と同様の原理により、パターン変換誤差を最小限に抑えることができ、設計とのずれにより生じる反射の発生を、最小限に抑えることが可能となった。
【0049】
本実施例の場合も、溝領域の幅がほぼ一定に保たれるため、光集積回路のように導波路が複雑に入り込んだ場合でも、導波路部と溝領域の面積の比が大きく変化することはない。従って、場所によりパターン変換誤差が変化することもない。そして、場所により導波路幅が変化してしまうといった従来例の問題点が解決され、設計どおりのレジストマスクを形成することが可能となり、その結果、前記レジストマスクを用いてエッチングした導波路幅も設計どおりに作製することができ、反射の少ない高性能な集積素子を作製することが可能となった。
【実施例5】
【0050】
図12は、本発明に係る多モード干渉型光導波路の第5の実施例を示す図であり、4入力1出力の半導体MMI型光合流・分岐回路の上面図である。
図12に示すように、本実施例の半導体MMI型光合流・分岐回路は、光信号が入射される入力導波路1201〜1204と、光信号が出射される出力導波路1206と、一方の端部に入力導波路1201〜1204が接続されると共に他方の端部に出力導波路1206が接続され、入力導波路1201〜1204及び出力導波路1206よりも導波路幅の広い多モード干渉領域1205と、多モード干渉領域1205の他方の端部に接続された多モード導波路1206、1207とを有する。ここで、入力導波路1201〜1204及び出力導波路1206の幅は2μm、多モード干渉領域1205の幅及び長さは、それぞれ16μm及び134μmに設定した。動作原理は、図2に示した従来のものと同様である。図12に示したMMI型光合流・分岐回路の導波路のA−A’断面での断面構造も、導波路本数が4本になっていることを除けば、図3に示したものと同様である。
【0051】
本実施例では、図2に示した従来例における多モード干渉領域の終端部207に、複数の導波モードの存在が可能な多モード導波路1207、1208を、少なくとも2本設けた構造であるため、従来例において多モード干渉領域の終端部207で反射されていた光が、多モード導波路1207、1208に導かれて伝搬することが可能となり、入力導波路を逆行するような反射が発生しない。そのため、作製時にパターン変換誤差が生じたとしても、過剰損失が若干増加するだけで、反射のない光合流・分岐回路を提供することが可能となる。ここで、多モード導波路1207、1208の構造に関しては特に制約があるわけではない。複数の導波モードの存在を許容していれば、直線状であっても曲線状であってもかまわない。この多モード導波路は出射端面まで連続していてもよく、又、途中で光を吸収するための何らかの構造、例えば、信号光波長よりバンドギャップ波長の長いような組成の半導体を含むような構造に接続してもよい。更に、光を空間に放射するための構造と接続してもかまわない。
【0052】
なお、本実施例では、多モード干渉領域1205の右側の終端部のみに、複数の導波モードの存在が可能な多モード導波路1207、1208を設けたが、多モード干渉領域1205の入射側端部にも、複数の導波モードの存在が可能な多モード導波路を設けてもよく、この場合でも同等の効果を得ることができる。この場合、出力導波路に光増幅器等が接続されていて、自然放出光が出力導波路側から多モード干渉領域1205に入射するような場合にも、効果的に反射を抑制することが可能となる。
【実施例6】
【0053】
図13は、本発明に係る多モード干渉型光導波路の第6の実施例を示す図であり、4入力1出力の半導体MMI型光合流・分岐回路の上面図である。
図13に示すように、本実施例の半導体MMI型光合流・分岐回路は、光信号が入射される入力導波路1301〜1304と、光信号が出射される出力導波路1306と、一方の端部に入力導波路1301〜1304が接続されると共に他方の端部に出力導波路1306が接続され、入力導波路1301〜1304及び出力導波路1306よりも導波路幅の広い多モード干渉領域1305と、多モード干渉領域1305の他方の端部に接続された多モード導波路1307、1308とを有する。入力導波路1301〜1304、出力導波路1306及び多モード干渉領域1305からなる光導波領域の両側には、光閉じ込めするため、側壁に沿って、導波路領域のコア層よりも深く形成された溝1309、1310が形成されており、更に、溝1309、1310の外側にスラブ領域1311、1312が形成されている。ここで、入力導波路1301〜1304及び出力導波路1306の幅は2μm、多モード干渉領域1305の幅及び長さは、それぞれ16μm及び134μmに設定した。動作原理は、図2に示した従来のものと同様である。図13に示したMMI型光合流・分岐回路の導波路のC−C’断面での断面構造は、導波路本数が4本になっていることを除けば、図6に示したものと同様である。
【0054】
本実施例では、図5に示した実施例1と同様に、導波路の両側壁に沿って、コアよりも深くエッチングした溝を形成し、導波路の横方向の光閉じ込めは、導波路のコア及びクラッドを構成する媒質と空気の屈折率差により行っている。導波路側壁に形成した溝幅も、図5に示した実施例1と同様に、15〜25μm程度の範囲内でほぼ一定になるように考慮し、溝幅W0、W1及びW2は、それぞれ17μm、15μm及び22μmに設定した。その結果、実施例1と同様の原理により、パターン変換誤差を最小限に抑えることができ、設計とのずれにより生じる反射の発生を最小限に抑えることが可能となった。
【0055】
本実施例の場合も、溝領域の幅がほぼ一定に保たれるため、光集積回路のように導波路が複雑に入り込んだ場合でも、導波路部と溝領域の面積の比が大きく変化することはない。従って、場所によりパターン変換誤差が変化することもない。そして、場所により導波路幅が変化してしまうといった従来例の問題点が解決され、設計どおりのレジストマスクを形成することが可能となり、その結果、前記レジストマスクを用いてエッチングした導波路幅も設計どおりに作製することができ、反射の少ない高性能な集積素子を作製することが可能となった。
【0056】
更に、本実施例では図2に示した従来例における多モード干渉領域の終端部207に、複数の導波モードの存在が可能な多モード導波路1307、1308を、少なくとも2本設け、更に、導波路の側壁に沿って形成された溝1309、1310を横切って、横方向の閉じこめが実質上存在しない、もしくは十分に横幅の広い、スラブ領域1311、1312に、多モード導波路を接続した構造であるため、従来例において多モード干渉領域の終端部207で反射されていた光が、多モード導波路1307、1308に導かれて、スラブ領域1311、1312に伝搬することが可能となり、入力導波路を逆行するような反射が発生しない。そのため、作製時にパターン変換誤差が生じたとしても、過剰損失が若干増加するだけで、反射のない光合流・分岐回路を提供することが可能となる。ここで、多モード導波路1307、1308の構造に関しては特に制約があるわけではない。複数の導波モードの存在を許容していれば、直線状であっても曲線状であってもかまわない。この多モード導波路は、導波路の側壁に沿って形成された溝1309、1310の幅の分だけ伝搬したところで、横方向の閉じこめが実質上存在しない、もしくは十分に横幅の広い、スラブ領域1311、1312に接続されているため、光を吸収するための何らかの構造等に接続されていなくても、十分に光の反射を抑制することが可能である。
【0057】
本構成を用いることにより、図11に示した実施例4及び図12に示した実施例5の両方の特徴を有する結果となり、導波路作製時のパターン変換誤差がなく、反射の生じにくい作製プロセスを可能にするのみならず、パターン寸法誤差が生じた場合でも、反射のない高性能な光合流・分岐回路を提供することが可能となった。
【0058】
なお、本実施例の図13では、多モード干渉領域1305の右側の終端部のみに、複数の導波モードの存在が可能な多モード導波路1307、1308を設けたが、図14に示すように、多モード干渉領域1405の入射側端部にも、複数の導波モードの存在が可能な多モード導波路1413、1414を設けてもよく、この場合も同等の効果を得ることができる。この場合、出力導波路に光増幅器等が接続されていて、自然放出光が出力導波路側から多モード干渉領域1405に入射するような場合にも、効果的に反射を抑制することが可能となる。ここで、図14中に示した番号は、図13中の番号に準ずる。すなわち、図中1401〜1404は入力導波路、1405は多モード干渉領域、1406は出力導波路、1407、1408、1413、1414は多モード導波路、1409、1410は導波路の側壁に沿って形成された溝、1411、1412はスラブ領域である。又、図14に示した多モード導波路1407、1408、1413、1414のうちのいずれかを、図12に示した多モード導波路1207、1208のように、入力導波路もしくは出力導波路に沿って配置した形状としても、同様の効果を得ることができる。
【実施例7】
【0059】
図15は、本発明に係る多モード干渉型光導波路の第7の実施例を示す図であり、実施例1〜6における多モード干渉領域と入力導波路、又は、多モード干渉領域と出力導波路との接続部分を示すものである。図中1501a〜1501dは入力導波路又は出力導波路、1502a〜1502dは多モード干渉領域、1503a〜1503dは多モード干渉領域の端部のうち、複数の入力導波路に挟まれた領域、又は、複数の出力導波路に挟まれた領域である。
【0060】
本実施例は、多モード干渉領域の端部で生じる可能性のある反射のうち、特に、複数の入力導波路に挟まれた領域、又は、複数の出力導波路に挟まれた領域で生じる反射を防止するものである。図15(a)は従来例における構造であり、複数の入力導波路に挟まれた領域、複数の出力導波路に挟まれた領域1503a及び最外の入力導波路又は最外の出力導波路より外側の領域1504aの部分は、光の進行方向に対して垂直となっている。この場合、作製時の寸法誤差等により反射が生じた場合、反射光は進行方向を180度反転して多モード干渉領域1502aを逆行するため、多モード干渉領域の反対側の端部に向かって、光が伝搬してしまう。
【0061】
これに対し、図15(b)に示すように、領域1503bを光の進行(伝搬)方向に対し斜めに傾けることにより、反射光の伝搬方向は180度からずれてしまい、反射光は多モード干渉領域1502bを斜めに伝搬することになる。このため、多モード干渉領域1502bの反対側の端部に存在する入力導波路又は出力導波路に結合する際、斜め入射となり結合効率が減少する。これは、見かけ上、反射率が減ったことに相当する。このように、反射が生じる可能性のある部分を、光の進行方向に対して垂直でない形状とすることにより、入力導波路又は出力導波路に戻ってゆく光を減らすことができ、反射を抑制したことと同等な効果が得られる。なお、光の進行方向に対して垂直でない形状としては、図15(b)に示したような斜めの直線形状のみならず、図15(c)に示したような直線からなるV字型、あるいは多角形、図15(d)のような曲線でも同等な効果が期待できる。更に、入力導波路間又は出力導波路間の領域1503b、1503c、1503dだけでなく、最外の入力導波路又は最外の出力導波路より外側の領域1504b、1504c、1504dの部分も、同様な形状としてもよい。つまり、入力導波路及び出力導波路の接続部以外の多モード干渉領域の端部の一部でも、光の伝搬方向に対して傾けた平面又は曲面となる形状にすれば、その部分での反射光は、多モード干渉領域を斜めに伝搬することになり、その入射の結合効率が減少されて、反射を抑制したことと同等な効果を得ることができる。
【0062】
上記実施例1乃至実施例7においては、導波路構造として、図16(a)に示すように、光導波領域の両側の側壁をコア層よりも深くエッチングした、所謂、ハイメサ構造の導波路を用いているが、光導波領域の両側のクラッド厚が光導波領域のクラッド厚よりも薄いような導波構造であれば同様な効果が期待できる。
【0063】
図16は、本発明で用いることができる導波路の断面構造を示した図である。
図16中、1601a〜1601dは下部クラッドであるInP基板、1602a〜1602dはInGaAsPコア層、1603a〜1603dは上部InPクラッド、1604a〜1604dは光の電界を示している。図16(b)に示した構造は、光導波領域の両側のクラッドを薄くした、いわゆるリッジ型導波路、図16(c)に示した構造は、光導波領域の両側のクラッドをゼロにした、リッジ型導波路の変形、図16(d)に示した構造は、光導波領域の両側のコア層まで削り込んだ、リッジ型導波路の変形である。これらの全ての構造においては、図中に一点鎖線で示したように、光の電界の一部が、光導波領域の両側の導波路を構成する媒質と空気の界面の位置よりも上方に存在するため、空気の影響を受けることになる。従って、本発明は、従来例で説明したとおり、多モード干渉領域の終端部において、導波路を構成する媒質・空気界面の反射を抑制する構造であるため、光の電界が空気の屈折率の影響を受けるような全ての構造において、効果が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、コア層、上下クラッド層の組成について、特に制約を設けるものではなく、例えば、半導体では、InGaAsP、GaAs、AlGaAs、InGaAs、GaInNAs、Si等の任意の材質を適用可能であり、半導体以外でも、石英ガラス等のアモルファス材料、有機材料等を適用可能である。つまり、通常用いられる全ての導波路構造のコア層、クラッド層において、上記材料を用いても、導波路のコア層、クラッド層の構成を、上記実施例に示した構成とすることにより、上記効果が期待できる。
【0065】
又、コア層、クラッド層の構造に関してもバルク、MQW、量子細線、量子ドットを問わず、同様な効果が期待できる。コア層とクラッド層の間に、例えば、通常のレーザで用いられているような分離閉じ込め構造(SCH構造)が形成されていても、全く同様な効果が期待できる。又、本実施例では2×2及び4×1の光合流・分岐回路について説明してきたが、入力導波路及び出力導波路の本数はこれに制約されるものではなく、任意の入力導波路本数、出力導波路本数について、同様な効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】従来の2×2多モード干渉型光合流・分岐回路の上面図である。
【図2】従来の4×1多モード干渉型光合流・分岐回路の上面図である。
【図3】図1におけるA−A’断面での断面図である。
【図4】図1におけるB−B’断面での断面図である。
【図5】本発明の第1の実施例を示した図であって、2×2多モード干渉型光合流・分岐回路の上面図ある。
【図6】図5における素子端面であるC−C’断面での断面図である。
【図7】本発明の第2の実施例を示した図であって、2×2多モード干渉型光合流・分岐回路の上面図ある。
【図8】図8は本発明の第3の実施例を示した図であって、2×2多モード干渉型光合流・分岐回路の上面図ある。
【図9】本発明の第3の実施例の変形例を示した図であって、2×2多モード干渉型光合流・分岐回路の上面図ある。
【図10】本発明の第3の実施例の変形例を示した図であって、2×2多モード干渉型光合流・分岐回路の上面図ある。
【図11】本発明の第4の実施例を示した図であって、4×1多モード干渉型光合流・分岐回路の上面図ある。
【図12】本発明の第5の実施例を示した図であって、4×1多モード干渉型光合流・分岐回路の上面図ある。
【図13】本発明の第6の実施例を示した図であって、4×1多モード干渉型光合流・分岐回路の上面図ある。
【図14】本発明の第6の実施例の変形例を示した図であって、4×1多モード干渉型光合流・分岐回路の上面図ある。
【図15】本発明の第7の実施例を示した図であって、多モード干渉領域と入出力導波路との接続部分を示す上面図ある。
【図16】本発明に適用可能な導波路の断面構造を示した図である。
【符号の説明】
【0067】
101,102:入力導波路 103:多モード干渉領域 104,105:出力導波路 106:多モード領域終端
201〜204:入力導波路 205:多モード干渉領域 206:出力導波路 207:多モード領域終端
301:下部クラッドを構成するInP基板 302,303:InGaAsPコア層 304,305:InP上部クラッド
401:下部クラッドを構成するInP基板 402:InGaAsPコア層 403:InP上部クラッド 404:半導体・空気界面
501,502:入力導波路 503:多モード干渉領域 504,505:出力導波路 506,507:溝
601:下部クラッドを構成するInP基板 602〜605:InGaAsPコア層 606〜609:InP上部クラッド 612:溝
701,702:入力導波路 703:多モード干渉領域 704,705:出力導波路 706,707:多モード導波路
801,802:入力導波路 803:多モード干渉領域 804,805:出力導波路 806,807:多モード導波路 808,809:溝 810,811:スラブ領域
901,902:入力導波路 903:多モード干渉領域 904,905:出力導波路 906,907:多モード導波路 908,909:溝 910,911:スラブ領域
1001,1002:入力導波路 1003:多モード干渉領域 1004,1005:出力導波路 1006,1007,1010,1011,1008,1009:溝 1012,1013:スラブ領域
1101〜1104:入力導波路 1105:多モード干渉領域 1106:出力導波路 1107,1108:溝
1201〜1204:入力導波路 1205:多モード干渉領域 1206:出力導波路 1207,1208:多モード導波路
1301〜1304:入力導波路 1305:多モード干渉領域 1306:出力導波路 1307,1308:多モード導波路 1309,1310:溝 1311,1312:スラブ領域
1401〜1404:入力導波路 1405:多モード干渉領域 1406:出力導波路 1407,1408,1413,1414:多モード導波路 1409,1410:溝 1411,1412:スラブ領域
1501a〜1501d:入力導波路もしくは出力導波路 1502a〜1502d:多モード干渉領域 1503a〜1503d:入力導波路もしくは出力導波路で挟まれた領域
1601a〜1601d:下部クラッドを構成するInP基板 1602a〜1602d:InGaAsPコア層 1603a〜1603d:InP上部クラッド 1604a〜1604d:光の電界
【技術分野】
【0001】
本発明は、光集積回路に用いる光導波路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光集積回路を実現するためには、作製が容易で低損失な光合流・分岐回路を実現する必要がある。近年、作製が容易で低損失な光合流・分岐回路の構造として、多モード干渉(multi-mode interference, MMI)型カプラが提案されている(非特許文献1)。
【0003】
図1に、従来のMMI型光合流・分岐回路の構造を示す。
図1は、2入力2出力の半導体MMI型光合流・分岐回路の上面図であって、図中101、102は入力導波路、103は多モード干渉領域、104、105は出力導波路、106は多モード領域終端である。
【0004】
動作原理は、簡単に説明すれば以下の通りである。
入力導波路101から多モード干渉領域103に入射した光は、多モード導波路となる多モード干渉領域103の複数の導波モードに展開される。言い換えると、入力導波路101の導波モードと多モード干渉領域103における導波モードの重なりに応じて、多モード干渉領域103の導波モードにパワーが分配される。多モード導波路(多モード干渉領域103)の各導波モードに展開された光は、多モード導波路を干渉しながら、ある一定の距離を伝搬したところで自己結像(Self-imaging)効果によりスポット状に集光される。スポットが2個形成されるような距離だけ伝搬したところに出力導波路104、105を配置すれば、入力信号は2つの出力導波路104、105に分配され、分岐回路として動作する。このように多モード導波路を干渉領域として用いることから、本構成の光合流・分岐回路は多モード干渉(MMI)型カプラと呼ばれている。
【0005】
図2は、従来の4入力1出力の半導体MMI型光合流・分岐回路、いわゆる4×1MMIカプラの上面図であって、図中201〜204は入力導波路、205は多モード干渉領域、206は出力導波路、207は多モード領域終端である。
【0006】
4×1MMIカプラの動作原理は、光を逆方向から入射させて1×4カプラとして動作させた場合を考えると理解しやすい。すなわち、出力導波路206から多モード干渉領域205に光が入射すると、入射した光は多モード導波路となる多モード干渉領域205の複数の導波モードに展開される。言い換えると、入力側となる出力導波路206の導波モードと多モード干渉領域205における導波モードの重なりに応じて、多モード干渉領域205の導波モードにパワーが分配される。多モード導波路(多モード干渉領域205)の各導波モードに展開された光は、多モード導波路を干渉しながら、ある一定の距離を伝搬したところで自己結像(Self-imaging)効果によりスポット状に集光される。スポットが4個形成されるような距離だけ伝搬したところに入力導波路201〜204が配置されているため、入力信号は4つの入力導波路201〜204に等分配され、1:4の分岐回路として動作する。逆に、入力導波路201〜204のいずれかから光が入射した場合は、前記4分岐動作の逆過程の動作となり、光線逆行の定理により入射光の1/4のパワーが出力導波路206に結合し、4×1のカプラとして動作する。
【0007】
図3は、図1に示したMMI型光合流・分岐回路の導波路のA−A’断面での断面構造を、図上左側から観測した図であって、図中301は下部クラッドを構成するInP基板、302及び303はInGaAsPコア層、304及び305はInP上部クラッドを表している。なお、図2に示したMMI型光合流・分岐回路の導波路のA−A’断面での断面構造も、導波路の本数が4本であることを除けば、図3に示したものと同様である。
【0008】
上記構造のMMI型光合流・分岐回路は、導波路の横方向の光閉じ込めを、導波路のコア及びクラッドを構成する媒質と空気との屈折率差により行っているため、フォトマスク両側壁を導波路のコアよりも深くエッチングするだけで作製することが可能であり、又、方向性結合器のようなエッチング深さの厳密な制御が必要ないため、光集積回路に最適である。
【0009】
【非特許文献1】L. B. Soldano and E. C. M. Pennings, "Optical Multi-Mode Interference Devices on Self-Imaging: Principles and Applications," Journal of Lightwave Technology, voL. LT-13, pp.615-627, 1995参照
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、上記構造のMMI型光合流・分岐回路には、以下のような問題があった。
図4は、図1に示したMMI型光合流・分岐回路の導波路のB−B’断面での断面構造を、図中下側から観測した図であって、図中401は下部クラッドを構成するInP基板、402はInGaAsPコア層、403はInP上部クラッド、404は多モード領域終端を表している。つまり、従来のMMI型光合流・分岐回路において、図1における多モード領域終端106は、図4の終端404に示したように、導波路コア層402、403よりも深くエッチングされて、エッチングミラーが形成されている。半導体導波路の場合、この導波路・空気界面における反射率は約30%であることが知られている。
【0011】
前記動作原理で説明したように、上記構造のMMI型光合流・分岐回路は、多モードの干渉による自己結像効果を用いているため、多モード干渉領域103の幅Wは厳密に制御する必要がある。多モード干渉型光合流・分岐回路では、多モード干渉領域の幅が1%変化すると、多モード干渉領域103の長さLは2%変化することが知られている。図1に示した2入力2出力のいわゆる2×2カプラの場合、多モード干渉領域103の幅Wが10〜12μmであるのに対し、その長さLは200μm程度である。従って、作製時に約1%となる0.1μmの誤差が生じ、幅Wが10.1μmになってしまったとすると、長さLは200μmの2%相当の4μm変化し、204μmが最適値となってしまい、200μmでは短すぎることになる。その結果、自己結像効果のフォーカスポイントが多モード干渉導波領域103の外側にシフトしてしまい、多モード領域終端106における出力導波路104、105への光の結合効率が低下する。これは過剰損失の増加を意味している。
【0012】
これに加えて、結合できなかった光の大部分は、多モード領域終端106に存在し、図4中の404で示されるような導波路の不連続点、言い換えれば、半導体・空気界面において約30%の反射率で反射されてしまう。反射された光の一部は入力導波路101、102に結合し、入射経路を逆行してしまう。入力導波路に光増幅器が接続されている場合、この反射により発振が生じてしまい、光回路が正常に動作しなくなるおそれがある。
【0013】
図2に示した4×1カプラについても、多モード領域終端207での反射は、大きな問題となる。特に、4入力1出力の合流回路として使用した際は、前述したように、入力パワーの1/4が出力導波路に結合する。そして、残りの3/4は多モード領域終端207に存在する導波路の不連続点、言い換えれば、半導体・空気界面において反射されてしまう。図2におけるB−B’断面での断面構造は、図4に示したものと同様であるため、多モード領域終端207における反射率は、図1の従来例と同様に約30%となってしまう。入力パワーの3/4の30%、すなわち20%以上のパワーが反射されてしまうため、入力導波路に光増幅器が接続されている場合には発振が生じてしまい、光回路が正常に動作しなくなる可能性が大きい。
【0014】
ここで導波路の作製時の寸法誤差について簡単に説明しておく。
図1に示したような導波路構造を作製する場合、導波路のエッチングマスク作製に用いるフォトマスクあるいはレチクルの形状は、図1の導波路領域のみにメタルが形成され、導波路領域以外にはメタルは形成されていない。そのため、エッチングマスクを作製するために露光を行った場合、フォトレジストを透過して基板表面に到達したUV光の一部は基板表面で散乱し、四方八方に放射される。この散乱光はフォトマスクのメタルの影の部分のフォトレジストを感光させてしまうため、現像後のフォトレジストの幅はフォトマスクあるいはレチクルで規定される幅より狭くなってしまう。これをパターン変換誤差という。フォトレジスト形成時にパターン変換誤差が存在すると、そのフォトレジストをマスクとして導波路をエッチングしても、できあがった導波路の幅は設計とは異なってしまう。
【0015】
従来の構造では、メタルの形成されている幅が入出力導波路部で2μm程度、多モード干渉導波路領域で10〜12μm程度であるのに対し、メタルの形成されていない非導波路領域、言い換えれば、導波路間の間隔は数100μm程度にも達する。フォトレジスト露光時に生じるパターン変換誤差は、基板表面で散乱されるUV光の量により決まる。従って、従来の構造では遮蔽部の数10〜100倍以上の領域からの散乱光によりパターン変換誤差が生じることになり、大きな誤差の原因となる。これは素子の歩留まりを低下させ、又、設計とのずれによる性能劣化の原因ともなる。光集積回路では導波路が複雑に入り込むため、導波路が密な領域と疎な領域が形成されてしまい、場所によりパターン密度が変化することになる。これは、場所により導波路領域と非導波路領域の面積の比が変化することを意味しており、UV散乱光の強度が場所により変化することにより、パターン変換誤差も場所により変化することになる。その結果、場所により導波路幅が変化してしまい、設計どおりの集積素子を作製することは困難となってしまうという問題があった。
【0016】
このように、従来構造のMMI型光合流・分岐回路は、作製時の寸法誤差が生じた際に問題が生じやすいのみならず、パターン変換誤差が起きやすいという欠点を有していた。又、入力導波路数より出力導波路数が少ない合流回路においては、本質的に多くのパワーが反射されてしまうという問題もあった。
【0017】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、パターン変換誤差が生じた場合でも反射光が入力導波路に戻らないような多モード干渉型光導波路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決する第1の発明に係る多モード干渉型光導波路は、
入力導波路と、出力導波路と、前記入力導波路が一方の端部に接続されると共に、前記出力導波路が前記一方の端部に対向する他方の端部に接続され、導波路幅が前記入力導波路及び前記出力導波路より広い多モード干渉領域とを有する多モード干渉型光導波路において、
前記多モード干渉領域の前記他方の端部に、前記出力導波路とは異なる多モード導波路を、少なくとも2本備えたことを特徴とする。
多モード導波路としては、例えば、導波路幅を入力導波路及び出力導波路より広くすることで、複数の導波モードの存在が可能なものとすればよい。
【0019】
上記課題を解決する第2の発明に係る多モード干渉型光導波路は、
第1の発明に記載の多モード干渉型光導波路において、
前記入力導波路、前記出力導波路及び前記多モード干渉領域からなる光導波領域の両側に、光閉じ込めするための溝を形成したことを特徴とする。
【0020】
上記課題を解決する第3の発明に係る多モード干渉型光導波路は、
第2の発明に記載の多モード干渉型光導波路において、
前記溝の幅を、前記溝の深さ以上の大きさとしたことを特徴とする。
更に、上記溝の幅を導波路領域に沿って略一定にすると、製造時におけるパターン変換誤差を抑制することができ、設計通りの光回路を再現性よく提供することが可能となる。
【0021】
上記課題を解決する第4の発明に係る多モード干渉型光導波路は、
第2又は第3に記載の多モード干渉型光導波路において、
前記溝の外側にスラブ領域を形成すると共に、
前記多モード導波路を、前記溝を横切って前記スラブ領域に接続したことを特徴とする。
【0022】
上記課題を解決する第5の発明に係る多モード干渉型光導波路は、
第1乃至第4にいずれかに記載の多モード干渉型光導波路において、
前記入力導波路及び前記出力導波路の接続部以外の前記多モード干渉領域の端部を、光の伝搬方向に対して傾けた形状にしたことを特徴とする。
つまり、光の伝搬方向に対して、入力導波路及び出力導波路の接続部以外の端部の全て又は一部が、垂直にならないような形状にすればよい。例えば、接続部以外の端部を、光の伝搬方向に対して、傾斜させればよく、その形状は、直線状(平面)でも、曲線状(曲面)でもよい。
【発明の効果】
【0023】
第1の発明によれば、多モード干渉型光導波路の出力導波路側に多モード導波路を設けたので、製造時にパターン変換誤差が生じた場合、又、入力導波路の本数より出力導波路の本数が少ない場合でも、入力導波路側への光の反射を少なくすることができる。
【0024】
第2の発明によれば、光導波領域の両側に溝を設け、光導波領域の横(幅)方向の光閉じ込めを行ったので、光信号を効率よく伝搬させることができる。
【0025】
第3の発明によれば、溝の幅を溝の深さ以上の大きさとしたので、溝の深さを設計通りに形成することができる。
更に、溝の幅を導波路領域に沿って略一定とすれば、導波路幅の場所依存性を排除し、製造時におけるパターン変換誤差を抑制して、均一に再現性よく導波路領域を形成することができる。その結果、入力導波路側への光の反射が少ない光回路を、設計通りに提供することが可能となる。
【0026】
第4の発明によれば、スラブ領域を設けると共に、このスラブ領域に、多モード導波路を接続したので、製造時にパターン変換誤差が生じた場合、又、入力導波路の本数より出力導波路の本数が少ない場合でも、入力導波路側への光の反射を少なくすることができる。
【0027】
第5の発明によれば、多モード干渉領域の端部において、入力導波路及び出力導波路の接続部以外の端部を、光の伝搬方向に対して傾けた形状にしたので、製造時にパターン変換誤差が生じた場合、又、入力導波路の本数より出力導波路の本数が少ない場合でも、入力導波路側への光の反射を少なくすることができ、更には、出力導波路側への光の再反射も少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明に係る多モード干渉型光導波路は、入力導波路側への反射の影響を除去するべく、終端部における光の反射を抑制するため、出力導波路とは別に多モード導波路を少なくとも2本設け、出力導波路に結像しない光のパワーを、多モード導波路へ逃がすようにしたものである。このような、本発明に係る多モード干渉型光導波路の実施形態のいくつかを、図5〜図16を用いて、以下に詳細に説明する。
【実施例1】
【0029】
図5は、本発明に係る多モード干渉型光導波路の第1の実施例を示す図であり、2入力2出力の半導体MMI型光合流・分岐回路の上面図である。
図5に示すように、本実施例の半導体MMI型光合流・分岐回路は、光信号が入射される入力導波路501、502と、光信号が出射される出力導波路504、505と、一方の端部に入力導波路501、502が接続されると共に他方の端部に出力導波路504、505が接続され、入力導波路501、502及び出力導波路504、505よりも導波路幅の広い多モード干渉領域503とを有する。入力導波路501、502と出力導波路504、505とは、互いに線対称位置に配置されており、又、入力導波路501、502、出力導波路504、505及び多モード干渉領域503からなる光導波領域の両側には、光閉じ込めするため、導波路領域のコア層よりも深く形成された溝506、507が形成されている。ここで、入力導波路501、502及び出力導波路504、505の幅は2μm、多モード干渉領域503の幅及び長さは、それぞれ12μm及び200μmに設定した。動作原理は、図1に示した従来のものと同様である。
【0030】
図6は、図5に示したMMI型光合流・分岐回路の導波路のC−C’断面での断面構造を図中左側から観測した図である。
図6に示すように、本実施例の半導体MMI型光合流・分岐回路は、下部クラッドを構成するInP基板601と、その上層に形成されたInGaAsPコア層602〜605と、更に上層に形成されたInP上部クラッド606〜609とを有し、光導波領域の両側壁に沿ってコア層602〜605よりも深くエッチングして形成した溝610〜612を有している。光導波領域の横方向の光閉じ込めは、光導波領域のコア及びクラッドを構成する媒質と空気の屈折率差とにより行われている。
【0031】
ここで、光導波領域の側壁に形成した溝幅は次のように設定した。
本実施例の光合流・分岐回路は、ドライエッチングにより作製される。これは、図5に示したように、エッチング面が結晶面に対し様々な方向を向くため、面方位に依存するようなウェットエッチングを用いることができないためである。ドライエッチングを用いる場合、エッチング部の開口率(エッチングされる部分あるいはエッチングマスクが存在しない部分と、エッチングされない部分あるいはエッチングマスクの存在する部分との面積の比)により、エッチング速度やエッチング形状が異なることが一般的に知られている。
【0032】
本実施例のように、導波路のコア層よりも深く溝のエッチングを行う場合、開口部の幅が小さいと、溝の幅により律速される深さ以上には、エッチング時間を延長してもエッチングが進まないといった現象が生じる場合がある。このような現象を防ぐため、溝の幅はエッチング深さと同等以上であることが望ましい。一般的に、導波路構造として、コア層602〜605及び上部クラッド層606〜609の厚さがそれぞれ0.3〜0.5μm及び1.5〜2.5μmであることを考慮すると、エッチング深さDは3μm以上であることが必要である。従って、溝幅も溝深さD、3μm以上が望ましい。本実施例では、溝幅は15〜25μm程度の範囲内でほぼ一定になるように考慮し、溝幅W0、W1はそれぞれ18μm及び15μmに設定した。
【0033】
本実施例においては、導波路領域作製時にパターン変換誤差の生じにくい構造を提供することも可能である。以下に、その原理を説明する。
本実施例の導波路パターンを作製する際に用いるフォトマスク、あるいはレチクルは、図5の溝506、507領域以外の部分にメタルが形成されているような形状になっている。メタルの形成されている導波路幅が2μm及び12μmであるのに対し、メタルの形成されていない透明領域の幅W0及びW1は、上述したように18μm及び15μmと設定したので、導波路領域の幅と溝幅W0及びW1との比は高々1〜9倍程度である。従って、基板表面に到達するUV光の量も、図1の従来例と比較して大幅に減少し、基板表面で散乱されるUV光の量も、従来の構造と比較すると1/10程度以下となる。そのため、散乱光により生じるパターン変換誤差を大幅に抑制することが可能となる。これにより、設計とのずれにより生じる反射の発生を最小限に抑えることができる。
【0034】
又、本実施例の場合、メタルの形成されていない透明領域の幅が、ほぼ一定に保たれるため、光集積回路のように導波路が複雑に入り込んだ場合でも、メタルの形成されている導波路部とメタルの形成されていない透明領域の面積の比が大きく変化することはない。従って、場所によりパターン変換誤差が変化することもない。そして、場所により導波路幅が変化してしまうといった従来例の問題点が解決され、設計どおりのレジストマスクを形成することが可能となり、その結果、前記レジストマスクを用いてエッチングした導波路幅も設計どおりに作製することができ、反射の少ない高性能な集積素子を作製することが可能となる。
【0035】
このように、導波路近傍のメタルの形成されていない透明領域の幅、もしくは面積をほぼ一定の値に保つことが重要であり、そのため、本実施例では、光導波領域の両側にコア層よりも深い、ほぼ一定の幅の溝を形成する構成としている。
【実施例2】
【0036】
図7は、本発明に係る多モード干渉型光導波路の第2の実施例を示す図であり、2入力2出力の半導体MMI型光合流・分岐回路の上面図である。
図7に示すように、本実施例の半導体MMI型光合流・分岐回路は、光信号が入射される入力導波路701、702と、光信号が出射される出力導波路704、705と、一方の端部に入力導波路701、702が接続されると共に他方の端部に出力導波路704、705が接続され、入力導波路701、702及び出力導波路704、705よりも導波路幅の広い多モード干渉領域703と、多モード干渉領域703の他方の端部に接続された多モード導波路706、707とを有する。入力導波路701、702と出力導波路704、705とは、互いに線対称位置に配置されている。ここで、入力導波路701、702及び出力導波路704、705の幅は2μm、多モード干渉領域703の幅及び長さは、それぞれ12μm及び200μmに設定した。動作原理は、図1に示した従来のものと同様である。又、図7に示したMMI型光合流・分岐回路の導波路のA−A’断面での断面構造は、図3に示したものと同様である。
【0037】
本実施例は、図1に示した従来例と比較すると、従来例における多モード干渉領域の終端部106に、複数の導波モードの存在が可能なマルチモードの導波構造として、入力導波路701、702及び出力導波路704、705よりも導波路幅の広い多モード導波路706、707を、少なくとも2本設けた構造である。そのため、従来例において、多モード干渉領域の終端部106で反射されていた光が、多モード導波路706及び707に導かれて伝搬することが可能となり、入力導波路を逆行するような反射が発生しない。従って、作製時にパターン変換誤差が生じたとしても、過剰損失が若干増加するだけで、反射のない光合流・分岐回路を提供することが可能となる。ここで、多モード導波路706、707の構造に関しては、特に制約があるわけではない。複数の導波モードの存在を許容していれば、直線状であっても曲線状であってもかまわない。この多モード導波路は出射端面まで連続していてもよく、又、途中で光を吸収するための何らかの構造、例えば、信号光波長よりバンドギャップ波長の長いような組成の半導体を含むような構造に接続してもよい。更に、光を空間に放射するための構造と接続してもかまわない。
【0038】
なお、本実施例では、多モード干渉領域703の終端部(出力導波路側704、705側)のみに、複数の導波モードの存在が可能な多モード導波路706、707を設けたが、線対称となるように、多モード干渉領域703の入射側の端部にも、複数の導波モードの存在が可能なマルチモードの導波構造を設けてもよく、入射側の端部において、同等の効果を得ることができる。この場合、出力導波路に光増幅器等が接続されていて、自然放出光が出力導波路側から多モード干渉領域703に入射するような場合でも、効果的に反射を抑制することが可能となる。
【実施例3】
【0039】
図8は、本発明に係る多モード干渉型光導波路の第3の実施例を示す図であり、2入力2出力の半導体MMI型光合流・分岐回路の上面図である。
図8に示すように、本実施例の半導体MMI型光合流・分岐回路は、光信号が入射される入力導波路801、802と、光信号が出射される出力導波路804、805と、一方の端部に入力導波路801、802が接続されると共に他方の端部に出力導波路804、805が接続され、入力導波路801、802及び出力導波路804、805よりも導波路幅の広い多モード干渉領域803と、多モード干渉領域803の他方の端部に接続された多モード導波路806、807とを有する。入力導波路801、802、出力導波路804、805及び多モード干渉領域803からなる光導波領域の両側には、光閉じ込めするため、側壁に沿って、導波路領域のコア層よりも深く形成された溝808、809が形成されており、更に、溝808、809の外側にスラブ領域810、811が形成されている。ここで、入力導波路801、802及び出力導波路804、805の幅は2μm、多モード干渉領域803の幅及び長さは、それぞれ12μm及び200μmに設定した。動作原理は、図1に示した従来のものと同様である。又、図8に示したMMI型光合流・分岐回路の導波路のC−C’断面での断面構造は、図6に示したものと同様である。
【0040】
本実施例でも、図5に示した実施例1と同様に、導波路の両側壁に沿って、コアよりも深くエッチングした溝808、809を形成しており、導波路の横方向の光閉じ込めは、導波路のコア及びクラッドを構成する媒質と空気との屈折率差により行っている。導波路側壁に形成した溝幅も、図5に示した実施例1と同様に、15〜25μm程度の範囲内でほぼ一定になるように考慮し、溝幅W0、W1は、それぞれ18μm及び15μmに設定した。その結果、実施例1と同様の原理により、パターン変換誤差を抑制して、設計とのずれにより生じる反射の発生を、最小限に抑えることが可能となる。
【0041】
なお、溝幅W0、W1を全く同じ大きさにすると、より効果的にパターン変換誤差を抑制して、設計とのずれにより生じる反射の発生をより小さくすることが可能である。この場合、多モード干渉領域803の両側端部に、入力導波路801、802及び出力導波路804、805が配置されると共に、出力導波路804と出力導波路805の間に、多モード導波路が配置される構成となる。
【0042】
本実施例の場合も、溝領域の幅W0、W1がほぼ一定に保たれるため、光集積回路のように導波路が複雑に入り込んだ場合でも、導波路部と溝領域の面積の比が大きく変化することはない。従って、場所によりパターン変換誤差が変化することもない。そして、場所により導波路幅が変化してしまうといった従来例の問題点が解決され、設計どおりのレジストマスクを形成することが可能となり、その結果、前記レジストマスクを用いてエッチングした導波路幅も設計どおりに作製することができ、反射の少ない高性能な集積素子を作製することが可能となった。
【0043】
更に、本実施例の場合、図7に示した実施例2と同様に、多モード干渉領域803の終端部に、複数の導波モードの存在が可能な多モード導波路806、807を、少なくとも2本設けた構造であるため、従来例において多モード干渉領域の終端部で反射されていた光が、多モード導波路806、807に導かれて伝搬することが可能となり、入力導波路を逆行するような反射が発生しない。そのため、作製時にパターン変換誤差が生じたとしても、過剰損失が若干増加するだけで、反射のない光合流・分岐回路を提供することが可能となる。ここで、多モード導波路806、807の構造に関しては、特に制約があるわけではない。複数の導波モードの存在を許容していれば、直線状であっても曲線状であってもかまわない。この多モード導波路は、出射端面まで連続していてもよく、又、途中で光を吸収するための何らかの構造、例えば、信号光波長よりバンドギャップ波長の長いような組成の半導体を含むような構造に接続してもよい。更に、光を空間に放射するための構造と接続してもかまわない。
【0044】
本実施例の光回路を用いることにより、図5に示した実施例1及び図7に示した実施例2の両方の特徴を有する結果となり、作製時のパターン変換誤差がなく、反射の生じにくい作製プロセスを可能にするのみならず、パターン変換誤差が生じた場合でも、反射のない高性能な光合流・分岐回路を提供することが可能となる。
【0045】
なお、本実施例では、多モード導波路を出力導波路に沿って配置したが、図9に示すように、導波路の側壁に沿って形成された溝908、909を横切って、横方向の閉じこめが実質上存在しない、もしくは十分に横幅の広い、スラブ領域910、911に、多モード導波路を接続することによっても同様な効果が得られる。この場合、途中で光を吸収するための構造等に接続されていていなくとも、溝908、909の幅の分だけ光を伝搬させた後、スラブ領域910、911に光を逃がすようにしたので、十分に光の反射を抑制することが可能である。ここで、図9中に示した番号は、図8中に示した番号に準ずる。すなわち、図中901、902は入力導波路、903は多モード干渉領域、904、905は出力導波路、906、907は多モード導波路、908、909は導波路の側壁に沿って形成された溝、910、911はスラブ領域である。
【0046】
又、図8及び図9では、多モード干渉領域803の右側の終端部のみに、複数の導波モードの存在が可能な多モード導波路806、807又は多モード導波路906、907を設けたが、図10に示すように、多モード干渉領域1003の入射側端部にも、複数の導波モードの存在が可能な多モード導波路1010、1011を設けて、線対称構造としてもよい。この場合についても、上記構造と同等の効果を得ることができる。この場合、出力導波路に光増幅器等が接続されていて、自然放出光が出力導波路側から多モード干渉領域1003に入射するような場合にも、効果的に反射を抑制することが可能となる。ここで、図10中に示した番号も、図8中に示した番号に準ずる。すなわち、図中、1001、1002は入力導波路、1003は多モード干渉領域、1004、1005は出力導波路、1006、1007、1010、1011は多モード導波路、1008、1009は導波路の側壁に沿って形成された溝、1012、1013はスラブ領域である。又、図10に示した多モード導波路1006、1007、1010、1011のうちのいずれかを、図8に示した多モード導波路806、807のように、入力導波路もしくは出力導波路に沿って配置した形状としても、同様の効果が得られる。
【実施例4】
【0047】
図11は、本発明に係る多モード干渉型光導波路の第4の実施例を示す図であり、4入力1出力の半導体MMI型光合流・分岐回路の上面図である。
図11に示すように、本実施例の半導体MMI型光合流・分岐回路は、光信号が入射される入力導波路1101〜1104と、光信号が出射される出力導波路1106と、一方の端部に入力導波路1101〜1104が接続されると共に他方の端部に出力導波路1106が接続され、入力導波路1101〜1104及び出力導波路1106よりも導波路幅の広い多モード干渉領域1105とを有する。入力導波路1101〜1104、出力導波路1106及び多モード干渉領域1105からなる光導波領域の両側には、光閉じ込めするため、側壁に沿って、導波路領域のコア層よりも深く形成された溝1107、1108が形成されている。ここで、入力導波路1101〜1104及び出力導波路1106の幅は2μm、多モード干渉領域1105の幅及び長さはそれぞれ16μm及び134μmに設定した。動作原理は、図2に示した従来のものと同様である。図11に示したMMI型光合流・分岐回路の導波路のC−C’断面での断面構造は、導波路本数が4本になっていることを除けば、図6に示したものと同様である。
【0048】
本実施例では、図5に示した実施例1と同様に、導波路の両側壁に沿って、コアよりも深くエッチングした溝を形成し、導波路の横方向の光閉じ込めは、導波路のコア及びクラッドを構成する媒質と空気との屈折率差により行っている。導波路側壁に形成した溝幅も、図5に示した実施例1と同様に、15〜25μm程度の範囲内でほぼ一定になるように考慮し、溝幅W0、W1及びW2は、それぞれ17μm、15μm及び22μmに設定した。その結果、実施例1と同様の原理により、パターン変換誤差を最小限に抑えることができ、設計とのずれにより生じる反射の発生を、最小限に抑えることが可能となった。
【0049】
本実施例の場合も、溝領域の幅がほぼ一定に保たれるため、光集積回路のように導波路が複雑に入り込んだ場合でも、導波路部と溝領域の面積の比が大きく変化することはない。従って、場所によりパターン変換誤差が変化することもない。そして、場所により導波路幅が変化してしまうといった従来例の問題点が解決され、設計どおりのレジストマスクを形成することが可能となり、その結果、前記レジストマスクを用いてエッチングした導波路幅も設計どおりに作製することができ、反射の少ない高性能な集積素子を作製することが可能となった。
【実施例5】
【0050】
図12は、本発明に係る多モード干渉型光導波路の第5の実施例を示す図であり、4入力1出力の半導体MMI型光合流・分岐回路の上面図である。
図12に示すように、本実施例の半導体MMI型光合流・分岐回路は、光信号が入射される入力導波路1201〜1204と、光信号が出射される出力導波路1206と、一方の端部に入力導波路1201〜1204が接続されると共に他方の端部に出力導波路1206が接続され、入力導波路1201〜1204及び出力導波路1206よりも導波路幅の広い多モード干渉領域1205と、多モード干渉領域1205の他方の端部に接続された多モード導波路1206、1207とを有する。ここで、入力導波路1201〜1204及び出力導波路1206の幅は2μm、多モード干渉領域1205の幅及び長さは、それぞれ16μm及び134μmに設定した。動作原理は、図2に示した従来のものと同様である。図12に示したMMI型光合流・分岐回路の導波路のA−A’断面での断面構造も、導波路本数が4本になっていることを除けば、図3に示したものと同様である。
【0051】
本実施例では、図2に示した従来例における多モード干渉領域の終端部207に、複数の導波モードの存在が可能な多モード導波路1207、1208を、少なくとも2本設けた構造であるため、従来例において多モード干渉領域の終端部207で反射されていた光が、多モード導波路1207、1208に導かれて伝搬することが可能となり、入力導波路を逆行するような反射が発生しない。そのため、作製時にパターン変換誤差が生じたとしても、過剰損失が若干増加するだけで、反射のない光合流・分岐回路を提供することが可能となる。ここで、多モード導波路1207、1208の構造に関しては特に制約があるわけではない。複数の導波モードの存在を許容していれば、直線状であっても曲線状であってもかまわない。この多モード導波路は出射端面まで連続していてもよく、又、途中で光を吸収するための何らかの構造、例えば、信号光波長よりバンドギャップ波長の長いような組成の半導体を含むような構造に接続してもよい。更に、光を空間に放射するための構造と接続してもかまわない。
【0052】
なお、本実施例では、多モード干渉領域1205の右側の終端部のみに、複数の導波モードの存在が可能な多モード導波路1207、1208を設けたが、多モード干渉領域1205の入射側端部にも、複数の導波モードの存在が可能な多モード導波路を設けてもよく、この場合でも同等の効果を得ることができる。この場合、出力導波路に光増幅器等が接続されていて、自然放出光が出力導波路側から多モード干渉領域1205に入射するような場合にも、効果的に反射を抑制することが可能となる。
【実施例6】
【0053】
図13は、本発明に係る多モード干渉型光導波路の第6の実施例を示す図であり、4入力1出力の半導体MMI型光合流・分岐回路の上面図である。
図13に示すように、本実施例の半導体MMI型光合流・分岐回路は、光信号が入射される入力導波路1301〜1304と、光信号が出射される出力導波路1306と、一方の端部に入力導波路1301〜1304が接続されると共に他方の端部に出力導波路1306が接続され、入力導波路1301〜1304及び出力導波路1306よりも導波路幅の広い多モード干渉領域1305と、多モード干渉領域1305の他方の端部に接続された多モード導波路1307、1308とを有する。入力導波路1301〜1304、出力導波路1306及び多モード干渉領域1305からなる光導波領域の両側には、光閉じ込めするため、側壁に沿って、導波路領域のコア層よりも深く形成された溝1309、1310が形成されており、更に、溝1309、1310の外側にスラブ領域1311、1312が形成されている。ここで、入力導波路1301〜1304及び出力導波路1306の幅は2μm、多モード干渉領域1305の幅及び長さは、それぞれ16μm及び134μmに設定した。動作原理は、図2に示した従来のものと同様である。図13に示したMMI型光合流・分岐回路の導波路のC−C’断面での断面構造は、導波路本数が4本になっていることを除けば、図6に示したものと同様である。
【0054】
本実施例では、図5に示した実施例1と同様に、導波路の両側壁に沿って、コアよりも深くエッチングした溝を形成し、導波路の横方向の光閉じ込めは、導波路のコア及びクラッドを構成する媒質と空気の屈折率差により行っている。導波路側壁に形成した溝幅も、図5に示した実施例1と同様に、15〜25μm程度の範囲内でほぼ一定になるように考慮し、溝幅W0、W1及びW2は、それぞれ17μm、15μm及び22μmに設定した。その結果、実施例1と同様の原理により、パターン変換誤差を最小限に抑えることができ、設計とのずれにより生じる反射の発生を最小限に抑えることが可能となった。
【0055】
本実施例の場合も、溝領域の幅がほぼ一定に保たれるため、光集積回路のように導波路が複雑に入り込んだ場合でも、導波路部と溝領域の面積の比が大きく変化することはない。従って、場所によりパターン変換誤差が変化することもない。そして、場所により導波路幅が変化してしまうといった従来例の問題点が解決され、設計どおりのレジストマスクを形成することが可能となり、その結果、前記レジストマスクを用いてエッチングした導波路幅も設計どおりに作製することができ、反射の少ない高性能な集積素子を作製することが可能となった。
【0056】
更に、本実施例では図2に示した従来例における多モード干渉領域の終端部207に、複数の導波モードの存在が可能な多モード導波路1307、1308を、少なくとも2本設け、更に、導波路の側壁に沿って形成された溝1309、1310を横切って、横方向の閉じこめが実質上存在しない、もしくは十分に横幅の広い、スラブ領域1311、1312に、多モード導波路を接続した構造であるため、従来例において多モード干渉領域の終端部207で反射されていた光が、多モード導波路1307、1308に導かれて、スラブ領域1311、1312に伝搬することが可能となり、入力導波路を逆行するような反射が発生しない。そのため、作製時にパターン変換誤差が生じたとしても、過剰損失が若干増加するだけで、反射のない光合流・分岐回路を提供することが可能となる。ここで、多モード導波路1307、1308の構造に関しては特に制約があるわけではない。複数の導波モードの存在を許容していれば、直線状であっても曲線状であってもかまわない。この多モード導波路は、導波路の側壁に沿って形成された溝1309、1310の幅の分だけ伝搬したところで、横方向の閉じこめが実質上存在しない、もしくは十分に横幅の広い、スラブ領域1311、1312に接続されているため、光を吸収するための何らかの構造等に接続されていなくても、十分に光の反射を抑制することが可能である。
【0057】
本構成を用いることにより、図11に示した実施例4及び図12に示した実施例5の両方の特徴を有する結果となり、導波路作製時のパターン変換誤差がなく、反射の生じにくい作製プロセスを可能にするのみならず、パターン寸法誤差が生じた場合でも、反射のない高性能な光合流・分岐回路を提供することが可能となった。
【0058】
なお、本実施例の図13では、多モード干渉領域1305の右側の終端部のみに、複数の導波モードの存在が可能な多モード導波路1307、1308を設けたが、図14に示すように、多モード干渉領域1405の入射側端部にも、複数の導波モードの存在が可能な多モード導波路1413、1414を設けてもよく、この場合も同等の効果を得ることができる。この場合、出力導波路に光増幅器等が接続されていて、自然放出光が出力導波路側から多モード干渉領域1405に入射するような場合にも、効果的に反射を抑制することが可能となる。ここで、図14中に示した番号は、図13中の番号に準ずる。すなわち、図中1401〜1404は入力導波路、1405は多モード干渉領域、1406は出力導波路、1407、1408、1413、1414は多モード導波路、1409、1410は導波路の側壁に沿って形成された溝、1411、1412はスラブ領域である。又、図14に示した多モード導波路1407、1408、1413、1414のうちのいずれかを、図12に示した多モード導波路1207、1208のように、入力導波路もしくは出力導波路に沿って配置した形状としても、同様の効果を得ることができる。
【実施例7】
【0059】
図15は、本発明に係る多モード干渉型光導波路の第7の実施例を示す図であり、実施例1〜6における多モード干渉領域と入力導波路、又は、多モード干渉領域と出力導波路との接続部分を示すものである。図中1501a〜1501dは入力導波路又は出力導波路、1502a〜1502dは多モード干渉領域、1503a〜1503dは多モード干渉領域の端部のうち、複数の入力導波路に挟まれた領域、又は、複数の出力導波路に挟まれた領域である。
【0060】
本実施例は、多モード干渉領域の端部で生じる可能性のある反射のうち、特に、複数の入力導波路に挟まれた領域、又は、複数の出力導波路に挟まれた領域で生じる反射を防止するものである。図15(a)は従来例における構造であり、複数の入力導波路に挟まれた領域、複数の出力導波路に挟まれた領域1503a及び最外の入力導波路又は最外の出力導波路より外側の領域1504aの部分は、光の進行方向に対して垂直となっている。この場合、作製時の寸法誤差等により反射が生じた場合、反射光は進行方向を180度反転して多モード干渉領域1502aを逆行するため、多モード干渉領域の反対側の端部に向かって、光が伝搬してしまう。
【0061】
これに対し、図15(b)に示すように、領域1503bを光の進行(伝搬)方向に対し斜めに傾けることにより、反射光の伝搬方向は180度からずれてしまい、反射光は多モード干渉領域1502bを斜めに伝搬することになる。このため、多モード干渉領域1502bの反対側の端部に存在する入力導波路又は出力導波路に結合する際、斜め入射となり結合効率が減少する。これは、見かけ上、反射率が減ったことに相当する。このように、反射が生じる可能性のある部分を、光の進行方向に対して垂直でない形状とすることにより、入力導波路又は出力導波路に戻ってゆく光を減らすことができ、反射を抑制したことと同等な効果が得られる。なお、光の進行方向に対して垂直でない形状としては、図15(b)に示したような斜めの直線形状のみならず、図15(c)に示したような直線からなるV字型、あるいは多角形、図15(d)のような曲線でも同等な効果が期待できる。更に、入力導波路間又は出力導波路間の領域1503b、1503c、1503dだけでなく、最外の入力導波路又は最外の出力導波路より外側の領域1504b、1504c、1504dの部分も、同様な形状としてもよい。つまり、入力導波路及び出力導波路の接続部以外の多モード干渉領域の端部の一部でも、光の伝搬方向に対して傾けた平面又は曲面となる形状にすれば、その部分での反射光は、多モード干渉領域を斜めに伝搬することになり、その入射の結合効率が減少されて、反射を抑制したことと同等な効果を得ることができる。
【0062】
上記実施例1乃至実施例7においては、導波路構造として、図16(a)に示すように、光導波領域の両側の側壁をコア層よりも深くエッチングした、所謂、ハイメサ構造の導波路を用いているが、光導波領域の両側のクラッド厚が光導波領域のクラッド厚よりも薄いような導波構造であれば同様な効果が期待できる。
【0063】
図16は、本発明で用いることができる導波路の断面構造を示した図である。
図16中、1601a〜1601dは下部クラッドであるInP基板、1602a〜1602dはInGaAsPコア層、1603a〜1603dは上部InPクラッド、1604a〜1604dは光の電界を示している。図16(b)に示した構造は、光導波領域の両側のクラッドを薄くした、いわゆるリッジ型導波路、図16(c)に示した構造は、光導波領域の両側のクラッドをゼロにした、リッジ型導波路の変形、図16(d)に示した構造は、光導波領域の両側のコア層まで削り込んだ、リッジ型導波路の変形である。これらの全ての構造においては、図中に一点鎖線で示したように、光の電界の一部が、光導波領域の両側の導波路を構成する媒質と空気の界面の位置よりも上方に存在するため、空気の影響を受けることになる。従って、本発明は、従来例で説明したとおり、多モード干渉領域の終端部において、導波路を構成する媒質・空気界面の反射を抑制する構造であるため、光の電界が空気の屈折率の影響を受けるような全ての構造において、効果が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、コア層、上下クラッド層の組成について、特に制約を設けるものではなく、例えば、半導体では、InGaAsP、GaAs、AlGaAs、InGaAs、GaInNAs、Si等の任意の材質を適用可能であり、半導体以外でも、石英ガラス等のアモルファス材料、有機材料等を適用可能である。つまり、通常用いられる全ての導波路構造のコア層、クラッド層において、上記材料を用いても、導波路のコア層、クラッド層の構成を、上記実施例に示した構成とすることにより、上記効果が期待できる。
【0065】
又、コア層、クラッド層の構造に関してもバルク、MQW、量子細線、量子ドットを問わず、同様な効果が期待できる。コア層とクラッド層の間に、例えば、通常のレーザで用いられているような分離閉じ込め構造(SCH構造)が形成されていても、全く同様な効果が期待できる。又、本実施例では2×2及び4×1の光合流・分岐回路について説明してきたが、入力導波路及び出力導波路の本数はこれに制約されるものではなく、任意の入力導波路本数、出力導波路本数について、同様な効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】従来の2×2多モード干渉型光合流・分岐回路の上面図である。
【図2】従来の4×1多モード干渉型光合流・分岐回路の上面図である。
【図3】図1におけるA−A’断面での断面図である。
【図4】図1におけるB−B’断面での断面図である。
【図5】本発明の第1の実施例を示した図であって、2×2多モード干渉型光合流・分岐回路の上面図ある。
【図6】図5における素子端面であるC−C’断面での断面図である。
【図7】本発明の第2の実施例を示した図であって、2×2多モード干渉型光合流・分岐回路の上面図ある。
【図8】図8は本発明の第3の実施例を示した図であって、2×2多モード干渉型光合流・分岐回路の上面図ある。
【図9】本発明の第3の実施例の変形例を示した図であって、2×2多モード干渉型光合流・分岐回路の上面図ある。
【図10】本発明の第3の実施例の変形例を示した図であって、2×2多モード干渉型光合流・分岐回路の上面図ある。
【図11】本発明の第4の実施例を示した図であって、4×1多モード干渉型光合流・分岐回路の上面図ある。
【図12】本発明の第5の実施例を示した図であって、4×1多モード干渉型光合流・分岐回路の上面図ある。
【図13】本発明の第6の実施例を示した図であって、4×1多モード干渉型光合流・分岐回路の上面図ある。
【図14】本発明の第6の実施例の変形例を示した図であって、4×1多モード干渉型光合流・分岐回路の上面図ある。
【図15】本発明の第7の実施例を示した図であって、多モード干渉領域と入出力導波路との接続部分を示す上面図ある。
【図16】本発明に適用可能な導波路の断面構造を示した図である。
【符号の説明】
【0067】
101,102:入力導波路 103:多モード干渉領域 104,105:出力導波路 106:多モード領域終端
201〜204:入力導波路 205:多モード干渉領域 206:出力導波路 207:多モード領域終端
301:下部クラッドを構成するInP基板 302,303:InGaAsPコア層 304,305:InP上部クラッド
401:下部クラッドを構成するInP基板 402:InGaAsPコア層 403:InP上部クラッド 404:半導体・空気界面
501,502:入力導波路 503:多モード干渉領域 504,505:出力導波路 506,507:溝
601:下部クラッドを構成するInP基板 602〜605:InGaAsPコア層 606〜609:InP上部クラッド 612:溝
701,702:入力導波路 703:多モード干渉領域 704,705:出力導波路 706,707:多モード導波路
801,802:入力導波路 803:多モード干渉領域 804,805:出力導波路 806,807:多モード導波路 808,809:溝 810,811:スラブ領域
901,902:入力導波路 903:多モード干渉領域 904,905:出力導波路 906,907:多モード導波路 908,909:溝 910,911:スラブ領域
1001,1002:入力導波路 1003:多モード干渉領域 1004,1005:出力導波路 1006,1007,1010,1011,1008,1009:溝 1012,1013:スラブ領域
1101〜1104:入力導波路 1105:多モード干渉領域 1106:出力導波路 1107,1108:溝
1201〜1204:入力導波路 1205:多モード干渉領域 1206:出力導波路 1207,1208:多モード導波路
1301〜1304:入力導波路 1305:多モード干渉領域 1306:出力導波路 1307,1308:多モード導波路 1309,1310:溝 1311,1312:スラブ領域
1401〜1404:入力導波路 1405:多モード干渉領域 1406:出力導波路 1407,1408,1413,1414:多モード導波路 1409,1410:溝 1411,1412:スラブ領域
1501a〜1501d:入力導波路もしくは出力導波路 1502a〜1502d:多モード干渉領域 1503a〜1503d:入力導波路もしくは出力導波路で挟まれた領域
1601a〜1601d:下部クラッドを構成するInP基板 1602a〜1602d:InGaAsPコア層 1603a〜1603d:InP上部クラッド 1604a〜1604d:光の電界
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力導波路と、出力導波路と、前記入力導波路が一方の端部に接続されると共に、前記出力導波路が前記一方の端部に対向する他方の端部に接続され、導波路幅が前記入力導波路及び前記出力導波路より広い多モード干渉領域とを有する多モード干渉型光導波路において、
前記多モード干渉領域の前記他方の端部に、前記出力導波路とは異なる多モード導波路を、少なくとも2本備えたことを特徴とする多モード干渉型光導波路。
【請求項2】
請求項1に記載の多モード干渉型光導波路において、
前記入力導波路、前記出力導波路及び前記多モード干渉領域からなる光導波領域の両側に、光閉じ込めするための溝を形成したことを特徴とする多モード干渉型光導波路。
【請求項3】
請求項2に記載の多モード干渉型光導波路において、
前記溝の幅を、前記溝の深さ以上の大きさとしたことを特徴とする多モード干渉型光導波路。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の多モード干渉型光導波路において、
前記溝の外側にスラブ領域を形成すると共に、
前記多モード導波路を、前記溝を横切って前記スラブ領域に接続したことを特徴とする多モード干渉型光導波路。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の多モード干渉型光導波路において、
前記入力導波路及び前記出力導波路の接続部以外の前記多モード干渉領域の端部を、光の伝搬方向に対して傾けた形状にしたことを特徴とする多モード干渉型光導波路。
【請求項1】
入力導波路と、出力導波路と、前記入力導波路が一方の端部に接続されると共に、前記出力導波路が前記一方の端部に対向する他方の端部に接続され、導波路幅が前記入力導波路及び前記出力導波路より広い多モード干渉領域とを有する多モード干渉型光導波路において、
前記多モード干渉領域の前記他方の端部に、前記出力導波路とは異なる多モード導波路を、少なくとも2本備えたことを特徴とする多モード干渉型光導波路。
【請求項2】
請求項1に記載の多モード干渉型光導波路において、
前記入力導波路、前記出力導波路及び前記多モード干渉領域からなる光導波領域の両側に、光閉じ込めするための溝を形成したことを特徴とする多モード干渉型光導波路。
【請求項3】
請求項2に記載の多モード干渉型光導波路において、
前記溝の幅を、前記溝の深さ以上の大きさとしたことを特徴とする多モード干渉型光導波路。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の多モード干渉型光導波路において、
前記溝の外側にスラブ領域を形成すると共に、
前記多モード導波路を、前記溝を横切って前記スラブ領域に接続したことを特徴とする多モード干渉型光導波路。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の多モード干渉型光導波路において、
前記入力導波路及び前記出力導波路の接続部以外の前記多モード干渉領域の端部を、光の伝搬方向に対して傾けた形状にしたことを特徴とする多モード干渉型光導波路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−323135(P2006−323135A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−146415(P2005−146415)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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