説明

多光軸光電センサ

【課題】 光学ユニットを本体ケース内に安定的に固定でき、かつ取り付けに伴う工数、部品数を効果的に抑えることができる多光軸光電センサを提供する。
【解決手段】 多光軸光電センサ1は、基板上に配設された1以上の光電素子と、これに対応して配設された収束レンズとを少なくとも備える光学ユニット5と、光学ユニット5を内部に収容すると共に、その収容した光学ユニットを固定状態で保持する長手状の本体ケース3とを備えている。本体ケース3は、光学ユニット5に設けられた基準壁部との当接により、光学ユニット5の光軸方向の取付位置を規定する当接壁部と、光学ユニット5が本体ケース3の内部に収容されたときに、光学ユニット5を光軸の方向に付勢し、基準壁部と当接壁部とを当接させる弾性変形可能な弾性変形部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多光軸光電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から知られている多光軸光電センサとして、例えば、投光素子又は受光素子からなる光電素子を基板上に一列に配設し、これら光電素子にそれぞれ対応して収束レンズ(レンズ部)が配された棒状の光学ユニットを、角筒状に削り出し加工された金属製の本体ケース内に収容し、この状態で光学ユニットを本体ケースに固定するようなものがある。
【特許文献1】特開2000−251595公報
【特許文献2】特開2003−178654公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
固定手段の具体的方法としては、光学ユニットの前面に設けられたネジ穴と本体ケースの前面に設けられたネジ穴にネジを螺合することにより、両者を一体に固定している。このような構成では、光学ユニットと本体ケースとに予めネジ穴を設けるための穴開け加工の作業と、このねじ穴にねじを螺合させるためのねじ締め作業とが必要となるから作業上の効率が悪い。また、光学ユニットを本体ケースに固定するためのネジが必要となるため、部品点数が増加し、コスト高となりやすい。
【0004】
一方、光学ユニットを本体ケースに組み付けるときの工数を少なくする技術として特許文献2のようなものも提供されている。この技術では、くさび片を備えた固定用ピースを用いてユニットをケースに位置決めするようにしているため、ネジ等の締め付け作業が不要となり、組み付け作業の容易化が図られる。しかしながら、本技術でも、光学ユニットを本体ケースに取り付けする際に、固定用の部品が必要となり、部品点数増加が避けられない。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、光学ユニットを本体ケース内に安定的に固定でき、かつ取り付けに伴う工数、部品数を効果的に抑えることができる多光軸光電センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、
基板上に配設された1以上の光電素子と、これに対応して配設された収束レンズとを少なくとも備える光学ユニットと、
前記光学ユニットを内部に収容すると共に、その収容した光学ユニットを固定状態で保持する長手状の本体ケースと、
を備え、所定方向に光軸が構成される多光軸光電センサであって、
前記本体ケースは、
前記光学ユニットに設けられた所定の基準壁部との当接により、当該光学ユニットの前記光軸方向の取付位置を規定する当接壁部と、
前記光学ユニットが当該本体ケースの内部に収容されたときに、前記光学ユニットを前記光軸の方向に付勢し、前記基準壁部と前記当接壁部とを当接させる弾性変形可能な弾性変形部と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の多光軸光電センサにおいて、
前記弾性変形部は、前記本体ケースの長手方向全体に亘って形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の多光軸光電センサにおいて、
前記弾性変形部と前記光学ユニットとは、互いに係合する凹凸形状部をそれぞれ備え、
前記弾性変形部の凹凸形状部及び前記光学ユニットの凹凸形状部の少なくとも一方は、係合したときに前記光学ユニットを前記光軸の方向に付勢する傾斜面を有することを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の多光軸光電センサにおいて、
前記本体ケースの内部において、前記光学ユニットを、当該本体ケースの長手方向に付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項3又は請求項4のいずれかに記載の多光軸光電センサにおいて、
前記本体ケースは、当該本体ケースの長手方向と直交する断面形状が、底壁と当該底壁の両端から略垂直に延びる側壁とを備える略コの字状をなすとともに、
前記側壁の少なくとも一部が前記弾性変形部をなし、
当該側壁は、その先端部に前記凹凸形状部を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載の多光軸光電センサにおいて、
前記側壁の基端側の位置に、前記本体ケースの長手方向と直交する断面形状が薄肉状の薄肉部又は前記断面形状が凹状の凹部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の多光軸光電センサにおいて、
前記光学ユニットは、前記本体ケースの長手方向において、複数の前記基準壁部が互いに間隔をあけて配されていることを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の多光軸光電センサにおいて、
前記本体ケースが、金属材料を原料として押出成形により成形されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
<請求項1の発明>
請求項1の構成では、光学ユニットが本体ケースの内部に収容されたときに、弾性変形部により、光学ユニットが光軸の方向に付勢され、光学ユニットの基準壁部と本体ケースの当接壁部とが当接することとなる。従って、弾性変形部による付勢及び基準壁部及び当接壁部の当接により、光学ユニットが本体ケース内部に安定的に保持され、かつ、基準壁部と基準壁部との当接により、光学ユニットが光軸方向に関し精度高く位置決めされることとなる。
【0015】
<請求項2の発明>
請求項2の構成によれば、本体ケースにおいて弾性変形部を形成しやすくなるため、加工コスト、加工時間を効果的に削減しうることとなる。
【0016】
<請求項3の発明>
請求項3の構成によれば、光学ユニットとが本体ケース内において安定的に保持される好適例となり、かつ、光学ユニットを光軸方向に付勢する構成を簡易に実現できる。
【0017】
<請求項4の発明>
請求項4の構成によれば、組付け後、光学ユニットが長手方向に関し安定的に位置決めされ、長手方向に変位しにくくなるため、光学ユニットの位置精度をより高めうる構成となる。
【0018】
<請求項5の発明>
請求項5の構成によれば、光学ユニットを本体ケース内で安定的に保持する構成を、部品点数少なく簡易に実現しうる好適例となる。
【0019】
<請求項6の発明>
請求項6の構成によれば、薄肉部又は凹部を支点として弾性変形部が弾性変形するようになる。従って、弾性変形部を変形させるのにそれほど大きな力が必要とならなくなり、光学ユニットを本体ケースに組付ける組付け操作がより行いやすくなる。
【0020】
<請求項7の発明>
請求項7の構成によれば、光学ユニットを本体ケースの内部に収容する際に生じる摩擦力を効果的に低減できるため、組付け操作がより一層行いやすくなる。
【0021】
<請求項8の発明>
請求項8の構成によれば、本体ケースを寸法精度高く成形できるため、光学ユニットを本体ケースに精度高く位置決めできることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図面を参照しつつ説明する。
図1は、実施形態1に係る多光軸光電センサ1(以下、単に光電センサ1ともいう)を例示する斜視図である。図2は、光電センサ1の横断面概略図において一部部品を省略して示す図である。図3は、光電センサ1の横断面概略図であり、図4は、本体ケースを上方から見た図であり、図5は、本体ケースの一部を示す斜視図である。図6は、光学ユニットを上方から見た図である。
【0023】
多光軸光電センサ1は、投光器或いは受光器として構成されるものである。以下、投光器としての構成されるものを例に挙げて説明するが、受光器の場合もいかに示す投光器と同様に本体ケース及び光学ユニットの収容ケースを構成でき、本発明はそのような受光器をも含むことを先に述べておく。
【0024】
図1、図2、図3に示すように、多光軸光電センサ1は、例えば8つの投光素子(本発明の光電素子に相当する)65(図3参照)が、当該多光軸光電センサの長手方向に沿って一列状に配された1つの投光ユニット5(投光ユニット5は、光学ユニットに相当する)を断面コの字状をなす長尺の本体ケース3内に収容してなる。
【0025】
図1、図3に示すように、投光ユニット15は一側面に投光窓(透光部材によって封鎖されている)51aが開口された収容ケース50を備えてなる。収容ケース50内には投光窓51aに投光先を向けた状態で投光素子65が収容されている。
【0026】
また、上記本体ケース3の長手方向両開放端には1対のキャップ部材40,41が取り付けられている。その端面には図示しない端部保持具がそれぞれ取り付けられるようになっている。以下、多光軸光電センサ1の各部について具体的に説明する。
【0027】
図3に示すように、投光ユニット5は、基板67上に配設された投光素子65と、これに対応して配設された収束レンズ63とを少なくとも備えており、さらにその収束レンズ63の前方に、投光性を有する上述の投光窓51aが設けられた形態で一体的にユニット化されている。これら基板67、集束レンズ63、投光窓51aは、収容ケース50の内部に収容された形態で、この収容ケース50に固定されている。また、投光ユニット5は、図6のような外形形状をなすと共に、図1に示すように長手状に構成されている。
【0028】
本体ケース3は、金属材料を原料として押出成形により成形されてなるものであり、長手状に構成され、投光ユニット5を内部に収容すると共に、その収容した投光ユニット5を固定状態で保持する構成をなしている。この本体ケース3には、投光素子65が投光する側に開放部3aが形成されており、この開放部3aを介して光が出射される構成となっている。
【0029】
さらに、本体ケース3は、投光ユニット5に設けられた基準壁部53a,54aとの当接により当該投光ユニット5の取付位置を規定する当接壁部15,25と、投光ユニット5が当該本体ケース3の内部に収容されたときに、基準壁部53a,54aと当接壁部15,25とを当接させると共に、投光ユニット5を多光軸センサの光軸Lの方向に付勢する弾性変形可能な弾性変形部とを備えている。この本体ケース3は、自然状態では、図4、図5に示すように、側壁10、20がやや内側に傾くようになっており、装着状態ではこれら側壁10、20が撓み変形し、図1、図2、図3に示すように底壁30に対して略垂直状態となる。
【0030】
本体ケース3は、当該本体ケース3の長手方向と直交する断面形状が、底壁30とこの底壁30の両端から略垂直に延びる側壁10,20とを備える略コの字状をなしている。そして、この側壁10,20が弾性変形部となっている。この弾性変形部たる側壁10,20は、図1、図7に示すように、本体ケース3の長手方向全体に亘って形成されている。
【0031】
また、両側壁10,20には、その基端側の位置に、本体ケース3の長手方向と直交する断面形状が凹状の凹部12,22が形成されている。
【0032】
また、両側壁10,20には、その先端部に凹凸形状部11,22が形成されている。この凹凸形状部11,22は、投光ユニット5に形成された凹凸形状部53,54と互いに係合する構成をなしている。
【0033】
両側壁10,20の凹凸形状部11,22には、傾斜面11a,21aが形成されており、投光ユニット5の凹凸形状部53,54には、傾斜面53b,54bが形成されている。これら傾斜面11a,21a及び傾斜面53b,54bは、両凹凸形状部11,22及び凹凸形状部53,54が係合したときに投光ユニット5を光軸Lの方向に付勢する機能を有している。具体的には、側壁10、20が内側に倒れるように弾性力を生じさせており、凹凸形状部11、21が内側に移動しようとすることに応じて、傾斜面11a,21a及び傾斜面53b,54bにより凹凸形状部53,54が前方に案内され、基準壁部53a,54aが当接壁部15,25を押圧するようになっている。なお、本発明では、多光軸光電センサ1において、光軸Lの方向を前後方向とし、光電素子が向く側(投光素子65においては光を出射する側)を前方、それとは反対側を後方とする。
【0034】
さらに、図7に示すように、本体ケース3の内部には、投光ユニット5を、当該本体ケース3の長手方向に付勢するばね部材70(ばね部材70は付勢部材に相当する)が設けられている。
【0035】
また、投光ユニット5は、本体ケース3の長手方向において、複数の基準壁部54aが互いに間隔をあけて配されており、同様に複数の基準壁部53aが長手方向に間隔をあけて配されている。なお、ここでは、複数の基準壁部53a,54aが互いに間隔をあけて配されているが、このようにせずに、基準壁部53a,54aを長手方向に亘って連続的に構成してもよい。
【0036】
本実施形態では、投光ユニット5が本体ケース3の内部に収容されたときに、側壁10,20により、投光ユニット5が光軸Lの方向に付勢され、投光ユニット5の基準壁部53a,54aと本体ケース3の当接壁部15,25とが当接することとなる。従って、側壁10,20による付勢及び基準壁部53a,54a及び当接壁部15,25の当接により、投光ユニット5が本体ケース3内部に安定的に保持され、かつ、基準壁部53a,54aと基準壁部53a,54aとの当接により、投光ユニット5が光軸Lの方向に関し精度高く位置決めされることとなる。
【0037】
また、側壁10,20が長手方向全体に亘って形成されているため、本体ケース3において側壁10、20を形成しやすくなっており、加工コスト、加工時間を効果的に削減しうることとなる。
【0038】
また、側壁10,20と投光ユニット5には、それぞれ、互いに係合する凹凸形状部が設けられており、側壁10,20の凹凸形状部及び投光ユニット5の凹凸形状部には、係合したときに投光ユニット5を光軸Lの方向に付勢する傾斜面が形成されている。従って、投光ユニット5とが本体ケース3内において安定的に保持され、かつ、投光ユニット5を光軸方向に付勢する構成が簡易に実現できることとなる。
【0039】
また、本体ケース3の内部において、投光ユニット5を、本体ケース3の長手方向に付勢するばね部材70(付勢部材)が設けられている。従って、組付け後、投光ユニット5が長手方向に関し安定的に位置決めされ、長手方向に変位しにくくなるため、投光ユニット5の位置精度をより高めうる構成となる。なお、このような付勢部材を省略してもよい。
【0040】
また、本体ケース3は、この本体ケース3の長手方向と直交する断面形状が、底壁30とこの底壁30の両端から略垂直に延びる側壁10,20とを備える略コの字状をなし、側壁10,20が弾性変形部として機能するようになっている。また、側壁10,20は、その先端部に凹凸形状部を備えている。従って、投光ユニット5を本体ケース3内で安定的に保持する構成を、部品点数少なく簡易に実現しうる好適例となる。
【0041】
また、側壁10,20には、その基端側の位置に、本体ケース3の長手方向と直交する断面形状が凹状の凹部が形成されている。従って、凹部を支点として側壁10,20が弾性変形するようになるため、側壁10,20を変形させるのにそれほど大きな力が必要とならなくなり、投光ユニット5を本体ケース3に組付ける組付け操作がより行いやすくなる。
【0042】
さらに、投光ユニット5は、本体ケース3の長手方向において、複数の基準壁部53aが互いに間隔をあけて配され、複数の基準壁部54aが互いに間隔をあけて配されている。従って、投光ユニット5を本体ケース3の内部に収容する際に生じる摩擦力を効果的に低減できるため、組付け操作がより一層行いやすくなる。
【0043】
なお、上記例では、1つの弾性変形部が長手方向全体に亘って連続的に形成される例を示したが、図8ないし図10に示すように、複数の弾性変形部を長手方向に亘って配置してもよい。なお、図9、図10では、投光ユニットが2つ設けられ、それぞれが弾性変形部により複数位置で支持される例を示している。また、図8ないし図10の例では、側壁10,20のうちの一部分(凹凸形状部11,21が形成される部分)が弾性変形部とされている。また、図8、図10の例では、投光ユニット5側の凹凸形状部53,54を省略して示しているが、これらは、投光ユニット5において長手方向全体に亘って形成されていてもよく、図7と同様に一部分のみに形成されていてもよい。一部分のみに形成する場合は、本体ケース側の凹凸形状部11,21と対応するように形成することが望ましい。
【0044】
上記図1ないし7の例、及び図8ないし図10の例では、以下のような効果を奏する。
図11ないし図13は、本体ケース3の内部における投光ユニット5の揺動例(実施形態1の構成を用いない場合の例)を示すものである。図11において、X方向は本体ケースの奥行き方向(多光軸光電センサの奥行き方向)である。また、Y方向は本体ケースの長手方向(多光軸光電センサの長手方向)である。また、Z方向は、本体ケースの幅方向(多光軸光電センサの幅方向)であり、X方向及びY方向と直交する方向である。
【0045】
上記例では、凹凸係合部の係合により光軸方向に関して安定的に位置決めされるため、本体ケース3内において、投光ユニット5の光軸方向に関する揺動が抑えられる。従って、図11に示すようなXY平面に沿った方向に関する揺動、或いは図12に示すようなXZ平面に沿った方向に関する揺動が効果的に抑えられる。また、長手方向の所定領域に亘り連続的に或いは断続的に挟持されるため、図13のようなYZ平面に沿った方向に関する揺動も抑えられる。従って、光学ユニットから発射される光の方向L’が不安定とならず、多光軸光電センサ1の光軸Lとして精度高く一定に定められることとなる。特に、図11、図12のような揺動が生じると、光軸に大きなズレが生じるため、精度高い検出が困難となるが本発明によればこのようなズレを回避できることとなる。
【0046】
また、図4に示した本体ケース3の形状を図14のようにし、図6に示した投光ユニット5の形状を図15のようにしてもよい。図14の構成では、凹凸形状部11、21は、断面半円形状の溝部によって構成されており、この溝部が長手方向全体に亘って形成されている。また、図15、図16に示すように、投光ユニット側の凹凸形状部53、54は半球状の突起によって構成されており、これが長手方向において所定間隔をあけながら形成されている。この例では、一端側の湾曲面が傾斜面11a、21aとされており、他端側の湾曲面が当接壁部15、25とされている。同様に、投光ユニット5の凹凸形状部53,54において、一端側の湾曲面が傾斜面53b、54bとされており、他端側の湾曲面が基準壁部53a,54aとされている。
【0047】
また、図17のようにしてもよい。上記実施形態では、投光ユニット5及び本体ケース3の双方に傾斜面を設けて投光ユニット5を光軸方向に付勢するようにしていたが、図17の例では、投光ユニット5側のみに傾斜面54a、54bを設け、本体ケース3側に傾斜面を設けないようにして、投光ユニット5を光軸方向に付勢している。なお、図17では、一方の凹凸形状部21及び54の関係を示しているが、他方の凹凸形状部(即ち、図2に示す凹凸形状部11及び53)も同様に形成できる。この場合、図17に示す形状とは対照の形状とすればよい。
【0048】
また、図18のようにしてもよい。図18では、弾性変形部が片側のみに構成される例を示している。即ち、一方の壁部10が弾性変形可能とされており、他方の壁部20が、壁部10からの投光ユニット5の付勢を受ける支持壁として構成されている。図18の例では、側壁10の先端部10aによって投光ユニット5に形成された傾斜面5dが押圧されている。投光ユニット5は傾斜面5dが押圧されることにより、光軸方向及び幅方向に付勢され、後方壁5e(基準壁部)と本体ケース3の底壁30の内壁(当接壁部)とが当接するようになっている。
【0049】
また、図19のようにしてもよい。図19の例では、図2等に示す収容ケース50を用いずに、収束レンズ63、投光素子65、及び基板67を、レンズフード66を用いて一体化させて光学ユニットたる投光ユニット5を構成している。本構成では、収束レンズ63の端部が凹凸形状部53,54とされており、これらが本体ケース3側の凹凸形状部11、21と係合するようになっている。また、収束レンズ63の前面部64の端部64a,64bが基準壁部とされており、本体ケース3側の凹凸形状部53,54の前側の傾斜面が当接壁部15、25とされている。
【0050】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図20、図21を参照しつつ説明する。
図20は、実施形態2に係る多光軸光電センサ100の光電センサ1の横断面概略図である。図21は、図20の多光軸光電センサ100の本体ケースを上方から見た図である。実施形態2は、弾性変形部による付勢の方向が実施形態1と異なっており、光学ユニットの内部構成は実施形態と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0051】
本実施形態の多光軸光電センサ100も実施形態1と同様に、基板上に配設された複数の光電素子(図示略)と、これに対応して配設された収束レンズ(図示略)とを少なくとも備える光学ユニット105と、光学ユニット105を内部に収容すると共に、その収容した光学ユニット105を固定状態で保持する長手状の本体ケース103とを備えている。また、所定方向に光軸Lが構成されるようになっている。光学ユニット105は、投光器として構成されていてもよく、受光器として構成されていてもよい。
【0052】
本体ケース103は、光学ユニット105に設けられた基準壁部105aとの当接により、当該光学ユニット105の光軸方向の取付位置を規定する当接壁部130aを有している。当接壁部130aは、底壁130の内壁部として構成されるものである。そして、光学ユニット105が当該本体ケースの内部に収容されたときに、光学ユニット105を光軸Lの方向に付勢し、基準壁部105aと当接壁部130aとを当接させる弾性変形可能な弾性変形部111、121を有している。弾性変形部111、121はそれぞれ、側壁110、120の先端部に形成されており、光学ユニット105が本体ケース103に収容された収容状態において、この光学ユニット105の前面壁の両端部105b、105cを後方側に押圧し、光学ユニット105を当接壁部130a側に付勢する構成をなしている。
【0053】
なお、本実施形態では、図11、図12に示すような揺動が抑えられ、光軸を精度高く一定位置に定めることができる。なお、本実施形態の構成では、図13のような揺動が生じる虞があるが、このような揺動は、図11、図12のような揺動と比較して光軸のズレが小さいため、許容できる場合が多い。
【0054】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0055】
(1)上記実施形態では、両側壁10,20の基端側の位置に、本体ケース3の長手方向と直交する断面形状が凹状となる凹部を形成したが、このような弾性変形部の基端側の位置に断面形状が薄肉状の薄肉部を形成してもよい。
(2) 上記実施形態では、凹凸形状部として弾性変形部側(即ち側壁10,20)に凹部を形成し、光学ユニット側に凸部を形成した例を示したが、この逆であってもよい。即ち、弾性変形部に凸部を形成し、光学ユニットに凹部を形成してもよい。また、弾性変形部及び光学ユニットのいずれの凹凸形状部も、凹部と凸部とを両方含む形状としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態1に係る多光軸光電センサを例示する斜視図
【図2】多光軸光電センサの横断面概略図において一部部品を省略して示す図
【図3】多光軸光電センサの横断面概略図
【図4】本体ケースを上方から見た図
【図5】光学ユニットを上方から見た図
【図6】本体ケースの一部の斜視図
【図7】多光軸光電センサにおける弾性変形部の配置を説明する説明図
【図8】図1ないし図7の例とは異なる変形例1を示す図
【図9】図1ないし図7の例とは異なる変形例2を示す図
【図10】図1ないし図7の例とは異なる変形例3を示す図
【図11】本体ケース内での光学ユニットの揺動の問題について、XY平面に関して説明する説明図
【図12】本体ケース内での光学ユニットの揺動の問題について、XZ平面に関して説明する説明図
【図13】本体ケース内での光学ユニットの揺動の問題について、XY平面に関して説明する説明図
【図14】図1ないし図7の例とは異なる変形例4についての本体ケースを示す図
【図15】変形例4についての光学ユニットを例示する図
【図16】図14の光学ユニットを側方から見た側面図
【図17】図1ないし図7の例とは異なる変形例5についての本体ケースを示す図
【図18】図1ないし図7の例とは異なる変形例6についての本体ケースを示す図
【図19】図1ないし図7の例とは異なる変形例7についての本体ケースを示す図
【図20】実施形態2に係る多光軸光電センサの横断面概略図において一部部品を省略して示す図
【図21】図20の多光軸光電センサの本体ケースを上方から見た図
【符号の説明】
【0057】
1…多光軸光電センサ
3…本体ケース
5…投光ユニット(光学ユニット)
10,20…側壁(弾性変形部)
11,21…本体ケースの凹凸形状部
30…底壁
15,25…当接壁部
11a,21a…傾斜面
12,22…凹部
53,54…投光ユニットの凹凸形状部(光学ユニットの凹凸形状部)
53a,54a…基準壁部
63…収束レンズ
65…投光素子(光電素子)
67…基板
70…ばね部材(付勢部材)
L…光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配設された1以上の光電素子と、これに対応して配設された収束レンズとを少なくとも備える光学ユニットと、
前記光学ユニットを内部に収容すると共に、その収容した光学ユニットを固定状態で保持する長手状の本体ケースと、
を備え、所定方向に光軸が構成される多光軸光電センサであって、
前記本体ケースは、
前記光学ユニットに設けられた所定の基準壁部との当接により、当該光学ユニットの前記光軸方向の取付位置を規定する当接壁部と、
前記光学ユニットが当該本体ケースの内部に収容されたときに、前記光学ユニットを前記光軸の方向に付勢し、前記基準壁部と前記当接壁部とを当接させる弾性変形可能な弾性変形部と、
を備えることを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項2】
前記弾性変形部は、前記本体ケースの長手方向全体に亘って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の多光軸光電センサ。
【請求項3】
前記弾性変形部と前記光学ユニットとは、互いに係合する凹凸形状部をそれぞれ備え、
前記弾性変形部の凹凸形状部及び前記光学ユニットの凹凸形状部の少なくとも一方は、係合したときに前記光学ユニットを前記光軸の方向に付勢する傾斜面を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多光軸光電センサ。
【請求項4】
前記本体ケースの内部において、前記光学ユニットを、当該本体ケースの長手方向に付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の多光軸光電センサ。
【請求項5】
前記本体ケースは、当該本体ケースの長手方向と直交する断面形状が、底壁と当該底壁の両端から略垂直に延びる側壁とを備える略コの字状をなすとともに、
前記側壁の少なくとも一部が前記弾性変形部をなし、
当該側壁は、その先端部に前記凹凸形状部を備えることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の多光軸光電センサ。
【請求項6】
前記側壁は、その基端側の位置に、前記本体ケースの長手方向と直交する断面形状が薄肉状の薄肉部又は前記断面形状が凹状の凹部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の多光軸光電センサ。
【請求項7】
前記光学ユニットは、前記本体ケースの長手方向において、複数の前記基準壁部が互いに間隔をあけて配されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の多光軸光電センサ。
【請求項8】
前記本体ケースは、金属材料を原料として押出成形により成形されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の多光軸光電センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−64849(P2007−64849A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−252773(P2005−252773)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000106221)サンクス株式会社 (578)
【Fターム(参考)】