説明

多光軸光電センサ

【課題】設置時等の誤配線、接続状態、非安全の制御機器の設定やプログラムの状況を容易に、かつ、簡便に確認(チェック)し得る多光軸光電センサを提供する。
【解決手段】本多光軸光電センサは、出力確認モードを備える。この出力確認モード時には、複数の光軸の入遮光状態に拘わらずOSSD1,2により動作不許可を出力させ、かつ、多光軸光電センサに関する情報に拘わらず外部入力44,44から入力された信号に応じて外部出力43から所定の信号を出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定領域に侵入する人体等を検知するためのライトカーテンを形成する多光軸光電センサに関し、より詳しくは、設置、配線、動作確認等を容易にできる多光軸光電センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プレス機械等の危険源とみなされる機械から人の安全を確保するために、危険源へ人が侵入可能な経路には、人体等を検知する多光軸光電センサが多用されている。多光軸光電センサは、数多くの投光素子を一列に配置した投光器と、この投光素子からの光ビームを受ける数多くの受光素子を一列に配置した受光器とを含み、これら投光器と受光器とで危険区域を仕切る複数の光軸列によりライトカーテンを形成し、このライトカーテンに遮光物が侵入すると光軸の遮光を検知して、危険源を強制的に作動停止させて安全を確保するために、危険源を駆動するモータ等の電源を遮断する遮断指令信号を出力する。
【0003】
多光軸光電センサは、安全側および非安全側の制御機器と接続される。近年、多光軸光電センサの多機能化に伴い、非安全側に対する入出力の本数が著しく増加している。多機能化としては、たとえば、多光軸光電センサを無効化させるミュート機能を備えたもの(特許文献1)や、このミュート機能の作動中に、安全出力をONさせるオーバライド出力を持つ多光軸光電センサも開発されている。
【特許文献1】特開2003−218679(要約書)
【0004】
入出力の本数が増加すると、前記入出力の配線を誤ったり、接続状態が悪かったり、更には、非安全の制御機器のプログラム等の状態にバグが存在することもある。したがって、多光軸光電センサの設置時や故障時には、これらのバグの存在の有無を知りたいという課題がある。
【0005】
この課題を解決するために、多光軸光電センサに搭載されたインジケータの数を増加させることも考えられる。しかし、こうすると、多光軸光電センサは細いので、インジケータの設置場所を設けにくいだけでなく、回路規模やコストが増大する。
【0006】
一方、誤配線等の有無は、多光軸光電センサの設置時や故障時等にのみ確認すればよく、常時は必要なものではない。
【0007】
しかも、前記配線やプログラムの状態を確認するには、多光軸光電センサを実際に動作させると共に、想定し得る種々の状態および環境を人為的に作る必要があり、複数の人員と多大な手間を要する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、設置時等の誤配線、接続状態、非安全の制御機器の設定やプログラムの状況を容易に、かつ、簡便に確認(チェック)し得る多光軸光電センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は複数の光軸によって検出領域が形成され、物体が前記光軸を遮光することで該物体の存在検知を行う多光軸光電センサにおいて、前記物体の存在検知の結果に基づいて、動作許可又は動作不許可の信号を外部に出力するための制御出力と、前記多光軸光電センサに関する情報を外部に出力するための複数の外部出力と、外部からの信号を受け付けるための外部入力部と、通常運転時には、前記複数の光軸が全入光であると判断された場合には、前記物体が不存在とみなし前記制御出力により動作許可を出力させ、前記複数の光軸が一部または全部遮光であると判断された場合には、前記物体が前記検出領域に存在するとみなし前記制御出力により動作不許可を出力させ、かつ、前記外部出力により前記多光軸光電センサに関する情報を出力させ、出力確認モード時には、前記複数の光軸の入遮光状態に拘わらず前記制御出力により動作不許可を出力させ、かつ、前記多光軸光電センサに関する情報に拘わらず前記外部入力部から入力された信号に応じて前記外部出力から所定の信号を出力させる出力制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
多光軸光電センサが出力確認モードに設定され、外部入力部から所定の信号が入力されると、該入力信号に応じて、出力制御手段が外部出力から所定の出力信号を出力する。そのため、特殊な外的要因(外的環境)を整えなくても、設置時等の誤配線、接続状況、非安全の制御機器の設定やプログラムの状況を容易に、かつ、簡便に確認し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明においては、前記出力制御手段が出力確認モード時に前記外部入力部から入力された信号に応じて、複数の外部出力を一つずつ、順次、ON又はOFF させれば、多数の信号を同時にON・OFFさせるのと異なり、チェックが容易になる。
【0012】
本発明において、前記出力制御手段が出力確認モード時に前記外部入力部から入力された信号に応じて、複数の外部出力のうちの一のみをON又はOFF させれば、多数の外部出力のうちチェック対象が明瞭になる。
【0013】
本発明において、前記外部入力部が、前記多光軸光電センサの制御に関する信号を受け付けるための複数の外部入力を有し、前記出力制御手段は、出力確認モード時に、前記複数の外部入力の信号に応じて、前記複数の外部入力の各々に対応した、複数の外部出力のうちの一を、ON又はOFF してもよい。
この場合、外部入力の配線についてもチェックが可能となる。
【0014】
本発明においては、通常運転時に前記光軸の状態を表示する複数の表示灯からなる表示部を有し、前記出力確認モード時には、前記複数の外部入力の信号に応じて、前記複数の外部入力の各々に対応した前記表示灯を点灯するのが好ましい。
また、本発明においては、前記外部入力部が、前記多光軸光電センサの制御に関する信号を受け付けるための複数の外部入力を有し、前記出力確認モード時には、前記複数の外部入力の信号に応じて、前記複数の外部入力の各々に対応した、表示灯を点灯するのが好ましい。
このように、外部入力に応じた表示灯を点灯することにより、チェック結果を多光軸光電センサにおいて目視で確認できる。
【0015】
本発明においては、前記複数の外部入力のうちの1つがミュート入力であり、通常運転時に、前記光軸が全入光の時に前記ミュート入力を受け付けると、前記光軸の入遮光状態に拘わらず前記出力制御手段が前記制御出力により動作許可を出力させるミュート機能モードに遷移し、出力確認モード時には、前記光軸が全入光の時に前記ミュート入力を受け付けると、前記光軸の入遮光状態に拘わらず前記出力制御手段が前記制御出力により動作不許可を出力させるとともに、ミュート機能の確認状態に遷移したことを示す情報を外部出力から出力させてもよい。
また、本発明においては、ミュート入力を有し、通常運転時に、前記光軸が全入光の時に前記ミュート入力を受け付けると、前記光軸の入遮光状態に拘わらず前記出力制御手段が前記制御出力により動作許可を出力させるミュート機能モードに遷移し、出力確認モード時には、前記光軸が全入光の時に前記ミュート入力を受け付けると、前記光軸の入遮光状態に拘わらず前記出力制御手段が前記制御出力により動作不許可を出力させるとともに、ミュート機能の確認状態に遷移したことを示す情報を外部出力から出力させるようにしてもよい。
【0016】
このように、出力確認モード時において、ミュート機能の確認状態に遷移した場合に動作不許可を出力ので、当該遷移情報を外部に出力してもシステム全体が不用意に動作するのを防止し得る。
【実施例】
【0017】
以下、本発明の本実施例を図面にしたがって説明する。
図1において、本実施例の多光軸光電センサ1は、一対の投受光器2,3を有し、通信線又は信号線L1を介して前記投光器2と受光器3とが互いに接続される。投受光器2,3は、通信線又は信号線を介して直列に増設可能であり、図2の破線で示す各センサユニットM2,M3同士が互いに接続される。
【0018】
図2の投光器2は、細長いケーシング200を有し、このケーシング200の中に、その長手方向に沿って一列にN個の投光素子7が等間隔に配置されている。
【0019】
同様に、受光器3は、細長いケーシング300を有し、このケーシング300の中に、その長手方向に沿って一列に、投光素子7と同じ数の受光素子8が等間隔に配置されており、隣接する受光素子8、8間の間隔は、上述した投光器2の投光素子7の間隔と同じである。
【0020】
投光器2と受光器3は、同一平面上において互いに対面して配置され、投光器2の各投光素子7から、これに対応する受光器3の受光素子8に向けて光ビームが発射されることにより投光器2と受光器3との間にセーフティライトカーテンが形成される。図2および図1に示す参照符号10は光軸を示す。
【0021】
投光器2は、発光ダイオードなどのN個の投光素子7と、これらN個の投光素子7を個々に駆動するN個の投光回路12と、これらN個の投光回路12を時分割でスキャンする素子切替回路13と、投光器2を全体的に制御する投光制御回路14とを有する。投光制御回路14はクロック発生回路15からのクロック信号を受けてN個の投光素子7を順次発光させる投光タイミングを生成する。
【0022】
投光器2は、受光器3との間の通信、例えばタイミング信号の授受を制御すると共に、他の増設された投光器との間の通信を制御する通信制御回路17を含み、投光制御回路14は、受光器3からの指示を受けて、N個の投光回路12を順次起動させることにより、一番目の光軸10の投光素子7からN番目の投光素子7まで次々と点灯させる。これにより、投光器2は、受光器3に向けて、所定の投光タイミングで一番目の光軸10からN番目の光軸10まで、順次、光ビームを発射する。
前記複数の光軸10によって検出領域A(図2)が形成されており、物体が前記光軸を遮光することで該物体の存在(侵入)検知が行われる。
【0023】
受光器3は、受光ダイオードなどのN個の受光素子8と、これらN個の受光素子8を個々に駆動するN個の受光回路18と、これらN個の受光回路18を時分割でスキャンする素子切替回路19と、受光器3を全体的に制御する受光制御部20とを有し、受光制御部20はクロック発生回路21からのクロック信号を受けてN個の受光素子8を順次有効化する。
【0024】
受光器3は、また、投光器2との間の通信、例えばタイミング信号の授受を制御すると共に、他の増設された受光器3との間の通信を制御する通信制御回路23を含み、受光制御部20は、投光器2からのタイミング信号を受けて、投光器2から次々に発射される光ビームに対応する受光素子8からの出力を取り込むことができるように、第1番目の受光素子8の光軸10からN番目の光軸10まで、順次、有効化する。
【0025】
前記受光器3は、光軸の入遮光などの状態を表示する複数の表示灯321 〜32n からなる表示部32を有する。各表示灯32i は、たとえば、赤および緑の何れか一方の発光が可能な発光ダイオードからなる。
【0026】
前記受光器3には、入出力部5が設けられている。
図3に示すように、入出力部5には、安全および非安全出力制御回路(出力制御手段の一例)50,40が内蔵され、これらの出力制御回路50,40からプレス機などの危険源の安全制御機器70や非安全制御機器80に対して信号が出力される。
【0027】
前記安全出力制御回路50には、複数の電源端子51,52,安全制御出力端子(制御出力の一例)53,53,……および安全外部入力端子(外部入力の一例)54,54,……が接続されている。
なお、+電位入力端子51及び−電位入力端子52はそれぞれ2つずつ設けられているが、これは、一方が故障した場合のバックアップのためである。
【0028】
前記非安全出力制御回路40には、複数の電源端子51,52,非安全外部出力端子(外部出力の一例)43,43,……および非安全外部入力端子(外部入力の一例)44,44,……が接続されている。これらの多数の端子43,44,51〜54は、コネクタを形成しており、図示しないケーブルを介して、安全側制御機器70または非安全側制御機器80に接続される。
【0029】
このように、多光軸光電センサにおいては、多数の入出力が存在し、そのため、設置時等の誤配線も生じ易い上、その配線のチェックも大変面倒になりがちである。
【0030】
つぎに、前記入出力の一部について機能を簡単に説明する。
安全側については、所定の規格に従った多数の入出力がある。以下、安全側について説明する。
【0031】
前記安全制御出力端子53は、いわゆるOSSDと呼ばれる、いわゆる安全出力としての制御信号を出力するためのもので、物体の存在検知の結果に基づいて、プレス機等の危険源の動作許可又は動作不許可の信号を安全側制御機器70に出力するためのものである。
【0032】
前記安全外部入力端子54の1つであるリセット入力は、インターロック中に、遮光対象物が検出領域Aから取り除かれてインターロック解除待ちとなった際に、多光軸光電センサの通常の運転を開始させるための入力である。
なお、インターロックモードセレクトILは、インターロックの機能を発揮させる為の入力を入力するための入力端子である。
【0033】
つぎに、非安全側について説明する。
非安全側については、多光軸光電センサの高機能化に伴い、近年、入出力の本数が著しく増大している。
前記非安全外部出力端子43は多光軸光電センサに関する情報を非安全側制御機器80に出力するための出力端子である。以下、前記非安全外部出力端子43の例としてIL,IR,Warn,C/R等について説明する。
【0034】
IRはインターロック解除待ちの出力端子である。
Warnは警報の出力端子である。
ST1,ST2は、多光軸光電センサの状態がいかなる状態かを非安全側制御機器80に報知するための出力端子である。
MLは、ミュートランプを点灯するための出力端子である。
AUXは前記OSSDに対応する非安全側の出力端子である。
【0035】
2つのミュートセンサ入力MS1,MS2は、それぞれ、互いに異なる物体検出器に接続されており、ミュート機能モードに入るためとミュート機能モードを解除する際の条件としてのミュート入力である。
【0036】
ここで、ミュート機能は2つのミュート入力が双方とも入力されると一時的に人体侵入の検知機能を無効化する機能で、一時的に安全制御出力として動作許可信号を出力する(安全出力はONを保つ)。ミュート入力としては、光電センサやリミットスイッチなどからの入力が考えられる。ミュート機能への遷移は、通常モードにおいて全入光状態(安全制御出力がON)で、かつ、2つのミュート入力の双方が入力されると実行される。一方、通常モードで遮光状態(安全制御出力がOFF)や異常時にはミュート入力が入力された場合であっても、ミュート機能へは遷移しない。
ミュート機能モードの解除は、たとえばミュート機能モード中において、前記ミュート入力の少なくとも一方が入力されなくなることを条件として実行される。
【0037】
オーバライド入力は、少なくともミュート入力がONで、少なくとも一部の光軸が遮光されている場合に、オーバライド機能を発揮させるための入力である。
【0038】
前記非安全外部入力端子44は、非安全側制御機器80から多光軸光電センサの制御に関する入力信号を受けるための入力端子で、前記安全外部入力端子54と共に“外部入力部”を構成する。
【0039】
つぎに、非安全出力制御回路40および安全出力制御回路50の機能について説明する。
前記非安全出力制御回路40および安全出力制御回路50は、通常運転時と出力確認モード時で異なる機能を発揮する。
【0040】
通常運転時には、前記複数の光軸が全入光であると入出力部5により判断された場合には、前記物体が不存在とみなし、安全出力制御回路50は安全制御出力端子53から安全側制御機器70に動作許可を出力させる。一方、前記複数の光軸が一部または全部遮光であると入出力部5により判断された場合には、前記物体が前記検出領域Aに存在するとみなし、安全出力制御回路50は安全制御出力端子53(OSSD1,2)から安全側制御機器70に動作不許可を出力させる。また、通常運転時には、非安全出力制御回路40が非安全外部出力端子43から前記多光軸光電センサに関する前記情報を非安全側制御機器80に出力させる。
【0041】
前記通常運転時に、前記光軸10が全入光の時に前記ミュート入力を受け付けると、前記光軸10の入遮光に拘わらず前記安全出力制御回路50が前記安全制御出力端子53により動作許可を出力させるミュート機能モードに遷移する。
【0042】
本多光軸光電センサ1は、以下に説明するように、出力確認モードを備えている。
この出力確認モードは、誤配線や非安全側制御機器80の設定やプログラムのバッグが存在しないことを確認するためのモードで、このモード中には物体検知の機能が働かないように設定されている。
【0043】
前記出力確認モードに設定するには、たとえば、本多光軸光電センサの据え付け時に、非安全側の端子44の1つであるインタロックモードセレクトILを結線せずに(オープンにして)電源投入する。
また、オーバライドやエラー時にも前記端子44をオープンとすることにより通常運転モードやミュート機能モードから出力確認モードに切り替わる。一方、出力確認モードから通常運転モードに遷移するためには電源を再投入し、全ての端子43,44,51〜54を非安全側制御機器80または安全側制御機器70に結線する。
【0044】
出力確認モード時には、前記複数の光軸10の入遮光に拘わらず前記安全制御出力端子53(OSSD1,2)により動作不許可を出力させ、かつ、前記多光軸光電センサに関する情報に拘わらず前記非安全外部入力端子44および安全外部入力端子54から入力された信号に応じて前記非安全出力制御回路40および安全出力制御回路50が出力端子43,53から所定の信号を出力させる。
【0045】
以下、出力確認モード時の信号の出力の一例について説明する。
【0046】
図4の出力確認モードに設定され、まず、ステップS1において非安全制御機器80から非安全外部入力端子44(ウェイト入力)にパルス信号がウェイト入力として入力されると、全ての非安全外部出力端子43からの出力がOFFとなる。以下同様に各ステップS2〜19において非安全外部入力端子44にパルス信号が入力されると、次のステップに進む。ステップS2ではインターロック解除待ちIRがONとなり、続いてステップS3においてインターロック解除待ちIRがOFFとなる。その後、ステップS4に進み、警報出力WarnがONとなり、続いてステップS5に進み警報出力WarnがONとなる。
【0047】
こうして、S1〜S19に示すように多数の非安全側の端子43の1つずつが、パルス信号(ウェイト入力)の入力に応じて順次ON・OFFする。
【0048】
この出力確認モードにおいては、前記誤配線や接続不良が存在すると、その存在を非安全制御機器80において知ることができる。
また、この出力確認モードにおいては、図2の投光器2の各投光素子7から受光器3の各投光素子8に光ビームが入光しており、投光器や受光器に異常がある場合、当該異常に対応する別の表示灯324 が点灯する。
【0049】
図4のステップS20では、非安全制御機器80のソフトウェアの確認が実行される。
図5のステップS21で、ミュート入力が非安全外部入力端子44(MS1,MS2)から入力されたか否かが判断され、光軸10が全入光の場合にミュート入力があるとステップS22に進んで所定の表示灯32i が点灯し、更に、ステップS23に進んで、ミュート機能の確認の状態となる。
【0050】
この確認の状態においては、前記光軸10の入遮光の状態にかかわらず、安全出力制御回路50が安全制御出力端子53(OSSD1,2)から動作不許可の信号を安全側制御機器70に出力する。
【0051】
前記ミュート機能の確認後、ステップS24に進んで前記表示灯32i が消灯する。
【0052】
次のステップS25では,オーバライド入力が非安全外部入力端子44(オーバーライド入力)から入力されたか否かが判断され、オーバライド入力が入力されると、ステップS26に進んで、当該入力に応じた別の表示灯32j が点灯し、更に、ステップS27に進んで、オーバライド機能の確認の状態となり、該機能の確認後、ステップS28に進んで前記表示灯32j が消灯する。
【0053】
更に、以下のソフトウェアの確認が実行されてもよい。
たとえば、出力として所定の期間に所定数のパルスを出力する非安全外部出力端子43がある。この出力を確認するためには、i )所定の波形のパルスを出力できるか否か、ii)所定数のパルスを出力できるか否か、更に、iii )非安全制御機器80の処理ソフトが正しいか否か等のチェックがなされる。
なお、本多光軸光電センサでは、パルスの数でロックアウト状態(故障により回復不能な状態)を状態報知ST1,ST2の非安全外部出力端子43から出力する。
【0054】
なお、バックアップや冗長性を持たせるために、電源端子51,52、オーバライド入力やリセット入力用等の端子44,54などについても、同一の機能のものを複数設けてもよい。
【0055】
前記実施例では入出力部5を受光器3に内蔵して設けたが、本発明においては、入出力部5を必ずしも内蔵する必要はなく、図6のように、入出力部5の機能を持つコントローラ5Bを外付けで設けてもよいし、あるいは、投光器2に内蔵してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は所定領域に侵入する人体等を検知するためのライトカーテンを形成する多光軸センサに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施例1にかかる多光軸光電センサの概略構成図である。
【図2】投光器および受光器の概略斜視図である。
【図3】出力制御手段および外部の制御機器の入出力の構成を示す概略構成図である。
【図4】出力確認モードのフローを示すフローチャートである。
【図5】ソフトの出力確認モードのフローチャートである。
【図6】実施例2にかかる多光軸光電センサの概略図である。
【符号の説明】
【0058】
1:多光軸光電センサ
5:入出力部(出力制御手段)
10:光軸
32:表示部
32i :表示灯
40:非安全出力制御回路(出力制御手段)
43:非安全外部出力端子(外部出力)
44:非安全外部入力端子(外部入力)
50:安全出力制御回路
53:安全制御出力端子(制御出力)
54:安全外部入力端子(外部入力)
44,54:外部入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光軸によって検出領域が形成され、物体が前記光軸を遮光することで該物体の存在検知を行う多光軸光電センサにおいて、
前記物体の存在検知の結果に基づいて、動作許可又は動作不許可の信号を外部に出力するための制御出力と、
前記多光軸光電センサに関する情報を外部に出力するための複数の外部出力と、
外部からの信号を受け付けるための外部入力部と、
通常運転時には、前記複数の光軸が全入光であると判断された場合には、前記物体が不存在とみなし前記制御出力により動作許可を出力させ、前記複数の光軸が一部または全部遮光であると判断された場合には、前記物体が前記検出領域に存在するとみなし前記制御出力により動作不許可を出力させ、かつ、前記外部出力により前記多光軸光電センサに関する情報を出力させ、
出力確認モード時には、前記複数の光軸の入遮光状態に拘わらず前記制御出力により動作不許可を出力させ、かつ、前記多光軸光電センサに関する情報に拘わらず前記外部入力部から入力された信号に応じて前記外部出力から所定の信号を出力させる出力制御手段とを備えることを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項2】
請求項1において、前記出力制御手段は、出力確認モード時に、前記外部入力部から入力された信号に応じて、複数の外部出力を一つずつ、順次、ON又はOFF させる多光軸光電センサ。
【請求項3】
請求項2において、前記出力制御手段は、出力確認モード時に、前記外部入力部から入力された信号に応じて、複数の外部出力のうちの一のみをON又はOFF させる多光軸光電センサ。
【請求項4】
請求項1、2もしくは3において、前記外部入力部が、前記多光軸光電センサの制御に関する信号を受け付けるための複数の外部入力を有し、
前記出力制御手段は、出力確認モード時に、前記複数の外部入力の信号に応じて、前記複数の外部入力の各々に対応した、複数の外部出力のうちの一を、ON又はOFF させる多光軸光電センサ。
【請求項5】
請求項4において、通常運転時に前記光軸の状態を表示する複数の表示灯からなる表示部を有し、
前記出力確認モード時には、前記複数の外部入力の信号に応じて、前記複数の外部入力の各々に対応した前記表示灯を点灯する多光軸光電センサ。
【請求項6】
請求項1、2もしくは3において、前記外部入力部が、前記多光軸光電センサの制御に関する信号を受け付けるための複数の外部入力を有し、
前記出力確認モード時には、前記複数の外部入力の信号に応じて、前記複数の外部入力の各々に対応した、表示灯を点灯する多光軸光電センサ。
【請求項7】
請求項4、5もしくは6において、前記複数の外部入力のうちの1つがミュート入力であり、
通常運転時に前記光軸が全入光の時に前記ミュート入力を受け付けると、前記光軸の入遮光状態に拘わらず前記出力制御手段が前記制御出力により動作許可を出力させるミュート機能モードに遷移し、
出力確認モード時には、前記光軸が全入光の時に前記ミュート入力を受け付けると、前記光軸の入遮光状態に拘わらず前記出力制御手段が前記制御出力により動作不許可を出力させるとともに、ミュート機能の確認状態に遷移したことを示す情報を外部出力から出力させる多光軸光電センサ。
【請求項8】
請求項1、2もしくは3において、ミュート入力を有し、
通常運転時に、前記光軸が全入光の時に前記ミュート入力を受け付けると、前記光軸の入遮光状態に拘わらず前記出力制御手段が前記制御出力により動作許可を出力させるミュート機能モードに遷移し、
出力確認モード時には、前記光軸が全入光の時に前記ミュート入力を受け付けると、前記光軸の入遮光状態に拘わらず前記出力制御手段が前記制御出力により動作不許可を出力させるとともに、ミュート機能の確認状態に遷移したことを示す情報を外部出力から出力させる多光軸光電センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−180649(P2008−180649A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−15310(P2007−15310)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】