説明

多官能ジエンおよびジエノファイル化合物を含有する熱可逆的ホットメルト接着剤組成物

本発明は、イソシアネートが含まれず、湿気に依存せず、架橋可能で熱可逆的である、熱可逆的ホットメルト接着剤に関する。熱可逆的ホットメルト接着剤は、接着剤の性能に負の影響を与えずに繰り返して加熱および冷却することができる。また、熱可逆的組成物は、プライマー層としても使用することができる。熱可逆的ホットメルト接着剤およびプライマーは、特に、パッケージング、グラフィック・アート、建築、履物、布地、一般的な組立、自動車および消費財のような最終使用の用途に充分に適合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、熱可逆的ホットメルト接着剤、特に、少なくとも1種の多官能ジエンおよび少なくとも1種の多官能ジエノファイルを使用して調製される、イソシアネートが含まれず、湿気に依存しない熱可逆的ホットメルト接着剤に関し、ここで少なくとも1種の多官能ジエンモノマー/プレポリマーまたは多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマーは、2.1より大きい反応性官能価を有する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の簡単な説明)
ホットメルト接着剤は室温で固体であるが、加熱すると液体または流体状態に溶融する。ホットメルト接着剤は、この液体または流体状態のある間に基体に塗布される。冷却すると、接着剤はその固体形態に復帰する。接着剤の冷却して形成される硬質相(単数または複数)は、最終の接着剤にあらゆる凝集力(強度、強靱性、クリープおよび耐熱性)を与える。また、溶融形態で塗布された「反応性」または架橋可能なホットメルト接着剤は、冷却されて固化し、その後化学架橋反応によって硬化される。従来の液体硬化接着剤と比較して、ホットメルト硬化性接着剤の利点は、冷却したとき、硬化する前に「グリーン強度(green strength)」を付与する能力である。非硬化ホットメルト接着剤と比較して、ホットメルト硬化性接着剤の利点としては、改善された耐熱性および耐化学性が挙げられる。
【0003】
「反応性」または架橋可能なホットメルトの大半は、湿気−硬化ウレタン接着剤をベースとしている。これらの接着剤は、鎖延長のために表面または環境湿度と反応するイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーから主としてなり、反応して新規ポリウレタン/尿素ポリマーを形成する。従来的には、ポリウレタンプレポリマーはポリオールをイソシアネートと反応させることによって得られる。硬化は、大気または基体から接着剤への湿気の拡散、およびその後の反応によって達成される。湿気と残存イソシアネートとの反応はカルバミン酸を形成する。この酸は不安定であり、アミンおよび二酸化炭素に分解する。アミンは迅速にイソシアネートと反応して尿素を形成する。接着剤の最終産物は、主に尿素およびウレタン基により重合した不可逆材料である。
【0004】
これらの「反応性」ホットメルト組成物にはいくつかの欠点がある。典型的には、材料は過剰量のジイソシアネートをポリオールと反応させることによって製造される。組成物は通常、MDI(メチレンビスフェニルジイソシアネート)のような未反応ジイソシアネートを2〜5%含むが、それらは呼吸器および皮膚感作物質である。また、湿気硬化反応性ホットメルト組成物は、早期硬化を防ぐために湿気を除外して、典型的には、湿気の進入を防ぐためにポリオレフィンで被覆されたアルミニウムバッグのような高価なパッケージ中で、窒素下、または不活性ガスに覆われて保存しなければならない。さらに、湿気硬化反応性ホットメルト接着剤は、湿気を防ぐために高価で特別の処理用の塗布装置を必要とする。さらに、そのような反応性ホットメルト組成物の硬化速度は変わりやすく、接着剤を通って浸透する湿気に極めて依存する。従って、大気湿度、基体の水分含量、接着剤の水蒸気透過速度、および接合線の厚さはすべて、反応性ホットメルト組成物の硬化速度を決める一因となる。加えて、ポリウレタン湿気硬化はCOを生成するが、それは接合線内に気泡を生じて接合強度を弱める可能性があり、かつ美的問題を特にプラスチック基体上に生じうる。さらに、反応性ホットメルトは不可逆的に硬化し、すなわち再加工または再修復の可能性が現実的ではない。そのような接着剤は、早期硬化が生じる場合、または硬化が起きた後にそれらを再配置および/または除去できない場合には、使用することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのような接着剤の用途、およびそのような用途での有効性を拡大するために、反応性ホットメルト技術における改善に対する要求が残っている。本発明はこの要求に対応する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、熱可逆的ホットメルト接着剤を提供する。本発明の接着剤は、多官能ジエンモノマー/プレポリマーおよび多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマーを含み、ここで少なくとも1種の多官能ジエンモノマー/プレポリマーまたは多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマーは、2.1より大きい反応性官能価を有する。
【0007】
1つの実施形態では、熱可逆的ホットメルト接着剤は、少なくとも1種の多官能ジエンモノマー/プレポリマーおよび少なくとも1種の多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマーから成り、ここで少なくとも1種の多官能ジエンモノマー/プレポリマーまたは多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマーは、非線型ポリマーネットワークを形成するために2.1より大きい反応性官能価を有する。熱可逆的ホットメルト接着剤は、環境温度で輸送および/または保存してよい。ある温度を超えて加熱すると、多官能ジエンモノマー/プレポリマー(単数または複数)および多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマー(単数または複数)からなる接着剤は非架橋状態へと解離する。接着剤を冷却すると、またはある温度より低いと、ジエンおよびジエノファイルの間の結合が再形成され、それらの初期の架橋状態へ戻る。熱可逆的ホットメルト接着剤は、接着剤の熱可逆性または特性に負の影響を与えることなく、繰り返して加熱および冷却してよい。
【0008】
さらになる実施形態では、熱可逆的ホットメルト組成物が、
(I)一般構造:
L−(X)
[構造中、Lは、独立して、これらに限定されないが、(ポリ)ウレタン、(ポリ)尿素、(ポリ)エステル、(ポリ)カーボネート、(ポリ)アミド、(ポリ)イミド、(ポリ)スチレン、(ポリ)エーテル、(ポリ)(メタ)アクリレート、(ポリ)オレフィン、(ポリ)シロキサン、無水マレイン酸のコポリマーを含めた上記のコポリマー、からなる群より選択される骨格を有する単量体、オリゴマーまたはポリマー単位であり、Xは、独立して、非環式1,3−ジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、フラン、フルベン、ピロール、ナフタレン、アントラセンの少なくとも1種を含有するジエンであり、およびPは、0より大きい]を有する少なくとも1種の多官能ジエンモノマーまたはプレポリマーと、
(II)一般構造:
L−(Y)
(構造中、Lは、上記の定義と同じであり、Yは、マレイミド、イソマレイミド、シトラコンイミド、イタコンイミド、マレエート、フマレート、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、ベンゾキノン、ベンゾキノンオキシム、ベンゾキノンイミン、ナフタキノン、アルキリデンマロネート、および電子吸引性基を含有するアルキン、の1種以上からなる群より得られる官能基であり、Qは、0より大きい)を有する少なくとも1種の多官能ジエノファイルモノマーまたはプレポリマーと、
(III)上記構造中、PおよびQが、それぞれ、前記ジエンおよびジエノファイルの1種の最高官能価であり、かつ少なくとも1つのPおよびQは、2.1より大きい値を有すること
を含む。別の実施形態では、少なくとも1つのPまたはQは、3.0未満の値を有する。さらなる実施形態では、PおよびQの加算は5.0に等しいか、5.0より大きい値を有する。
【0009】
さらなる実施形態では、熱可逆的ホットメルト組成物は任意に、熱可塑性ポリマーまたは樹脂を含んでよい。
【0010】
本発明の別の実施形態は、熱可逆的ホットメルト接着剤を調製する方法を志向している。熱可逆的ホットメルト接着剤は、少なくとも1種の多官能ジエンモノマー/プレポリマーを少なくとも1種の多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマーと反応させることによって調製され、ここで少なくとも1種の多官能ジエンモノマー/プレポリマーまたは多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマーは、2.1より大きい反応性官能価を有する。
【0011】
本発明のさらに別の実施形態は、本発明の熱可逆的ホットメルト接着剤組成物を溶融形態に加熱するステップと、前記接着剤を第1の基体に塗布するステップと、第2の基体を前記第1の基体に塗布された組成物と接触させるステップと、前記塗布された組成物を冷却して組成物を固体形態に硬化するステップと、を含む、材料を共に接合するための方法を志向している。
【0012】
本発明のさらなる実施形態は、未反応多官能ジエンモノマー/プレポリマーおよび多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマーを溶融形態になる温度で共に混合するステップと、前記混合物を溶融温度で保つステップと、接着剤を第1の基体に塗布するステップと、第2の基体を前記第1の基体に塗布された組成物と接触するステップと、前記塗布された組成物を冷却して組成物を固体形態に硬化するステップと、を含む、材料を共に接合する方法を志向している。
【0013】
さらに本発明は、本発明の接着剤を使用して製造される物品を提供する。紙、木材、プラスチック、布地、発泡体、ガラス、金属、複合体およびセラミックを接合する最終使用の用途に特によく適する接着配合物を調製できる。
【0014】
他の実施形態は、接着剤と基体との間のプライマー層としての熱可逆的組成物を志向している。このプライマーは、少なくとも1種の多官能ジエンモノマー/プレポリマーと、少なくとも1種の多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマーと、任意に、少なくとも1種の溶媒とからなり、ここで少なくとも1種の多官能ジエンモノマー/プレポリマーまたは多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマーは、非線型ポリマーネットワークを形成するために2.1より大きい反応性官能価を有する。熱可逆的プライマー組成物は環境温度で輸送および/または保存されてよい。ある温度より上で加熱することによってプライマー組成物は、多官能ジエンモノマー/プレポリマー(単数または複数)および多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマー(単数または複数)からなる非架橋状態に解離する。プライマー組成物を冷却するか、またはある温度より低くすると、ジエンとジエノファイルとの間の結合が再形成され、それらの初期の架橋状態に戻る。熱可逆的プライマーは、プライマーの熱可逆性または特性に負の影響を与えることなく、繰り返して加熱および冷却されてよい。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
すべての%は、特に明記しない限り接着剤組成物の重量%である。
【0016】
熱可逆的ホットメルト接着剤の使用を用意することができ、および使用して接着剤を架橋させるのに湿気を必要とせずに基体を共に接合できることが、ここで見いだされた。本発明の接着剤は、多官能ジエンモノマー/プレポリマーおよび多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマーを含む。本明細書では、プレポリマーは、モノマー(単数または複数)と最終ポリマーの間の中間体化合物として定義され、約1,000〜約10,000g/mol(典型的には1,000〜約6,000g/mol)の分子量を有し、通常、繰り返し単位を有し、反応および/または重合させることができる化合物である。少なくとも1種の多官能ジエンモノマー/プレポリマーまたは多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマーは、非線型ポリマーネットワークを形成するために2.1より大きい官能価を有している。
【0017】
熱可逆的反応性ホットメルト組成物は:
(I)一般構造:
L−(X)
[構造中、Lは、独立して、これらに限定されることなく、(ポリ)ウレタン、(ポリ)尿素、(ポリ)エステル、(ポリ)カーボネート、(ポリ)アミド、(ポリ)イミド、(ポリ)スチレン、(ポリ)エーテル、(ポリ)(メタ)アクリレート、(ポリ)オレフィン、(ポリ)シロキサン、無水マレイン酸のコポリマーを含めた上記のコポリマー、からなる群より選択される骨格を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマー単位であり;
Xは、独立して、非環式1,3−ジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、フラン、フルベン、ピロール、ナフタレン、アントラセンの1種以上を含有するジエンであり;Pは、0より大きい]を有する少なくとも1種の多官能ジエンモノマー/プレポリマーと、
(II)一般構造:
L−(Y)
(構造中、Lは、上記の定義と同じであり;Yは、マレイミド、イソマレイミド、シトラコンイミド、イタコンイミド、マレエート、フマレート、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、ベンゾキノン、ベンゾキノンオキシム、ベンゾキノンイミン、ナフタキノン、アルキリデンマロネート、および電子吸引性基を含有するアルキン、の1種以上からなる群より得られる官能基であり;Qは、0より大きい)を有する少なくとも1種の多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマーと、
(III)上記構造中、PおよびQが、最高官能価であり、前記ジエンおよびジエノファイルの平均官能価でなく、少なくとも1つのPまたはQは、2.1より大きい値を有すること
を含む。1つの態様では、少なくとも1つのPまたはQは、3.0未満である。さらなる実施形態では、PおよびQの和は、5.0に等しい値または5.0より大きい値を有する。
【0018】
骨格を有するオリゴマーまたはポリマー単位は、脂肪族または芳香族炭化水素部分構造であってよく、またヘテロ原子も含んでよい。ジエンもしくはジエノファイルまたは両者が任意に、非共有相互作用を起こすことができる他の官能基を含んでよい。
【0019】
1つの態様では、多官能ジエンは、非環式1,3−ジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、フラン、フルベン、ピロール、の1種以上を含む。別の実施形態では、多官能ジエンは多官能フランである。多官能フランは、ウレタン、尿素、エステル、アミド、イミド、スチレン、(メタ)アクリレート、エーテル、シロキサンまたは上記のものの組合せもしくは無水物官能基を含んでよい。フランはモノマーまたはプレポリマーであり、多官能フラン上の置換基によって決まる。例示的な多官能フランモノマーおよびプレポリマーは、下記のもの:
【0020】
【化1】

【0021】
【化2】

【0022】
【化3】

を含む。
【0023】
多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマーとしては、一般構造:
【0024】
【化4】

を有するものが挙げられ、構造中、nは1〜3であり、Xは脂肪族または芳香族基である。例示的なXの実体としては、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、単純炭化水素、およびカルボニル、カルボキシル、アミド、カルバメート、尿素、エステル、またはエーテルのような官能基を含有する単純炭化水素が挙げられる。多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマーは商業的に、例えば、大日本インキ化学株式会社から得ることができる。
【0025】
ジエノファイルは任意に、非共有相互作用を起こしうる他の官能基を含む。
【0026】
適した多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマーとしては、これらに限定されないが、固体芳香族ビスマレイミド(BMI)樹脂、特に構造:
【0027】
【化5】

(構造中、Qは、芳香族基である)を有するものが挙げられる。例示的な芳香族基としては:
【0028】
【化6】

が挙げられる。
【0029】
上記Q架橋基を有するビスマレイミド樹脂は市販品が入手可能であり、特にSartomer(米国)またはHOS−Technic GmbH(オーストリア)から得ることができる。
【0030】
他の適したマレイミド樹脂としては、これらに限定されないが、下記のもの:
【0031】
【化7】

【0032】
【化8】

が挙げられる。
【0033】
加えて、前に例示したフラン官能性モノマー/プレポリマーに類似した組成物を使用できるが、ただし、すべてのフラン官能基は、代わりにマレイミド官能基によって置き換えられている。
【0034】
ポリイソシアネートモノマーは、多官能フラン(例えば、置換フルフリルアルコールまたはフルフリルアミンとの反応によって)、および多官能マレイミド(例えば、ヒドロキシルまたはカルボキシル基を有するマレイミド、例えば、ヒドロキシルエチルマレイミドとの反応によって)を共に調製するために使用できる。これらとしては、芳香族ジイソシアネート、例えば、2,4−および2,6−トルエンジイソシアネート(TDI);2,2’−、2,4’−、および4,4’−メチレンジフェニレンジイソシアネート(MDI);1,4−フェニレンジイソシアネート;脂環式ジイソシアネート、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)および水素化メチレンジフェニレンジイソシアネート(HMDI);ならびに脂肪族ジイソシアネート、例えば、1,6−ジイソシアナトヘキサンおよび1,8−ジイソシアナトオクタンが挙げられる。適したポリイソシアネートとしては、2.2〜2.4の平均官能価を有するポリマーMDI、特に、トリイソシアネート、例えば、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、ならびに3量化触媒(イソシアヌレート促進触媒)の存在下、ジ−またはポリイソシアネートそれら自身と反応させることによって調製されるトリイソシアネートおよび高級官能性イソシアヌレートが挙げられる。そのようなイソシアヌレートトリイソシアネートは市販品が入手可能であり、例えば、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレートとして、Huls Americaから商標名Vestanat IPDI 1890/100で、公称で3.0の官能価を有するものが入手できる。このイソシアネートは、約110℃〜115℃の範囲の融点を有する。多官能イソシアネートの他の例としては、Bayerから入手できる、Desmodur N75、Desmodur Z4470、Desmodur N3300、Desmodur N3600が挙げられる。
【0035】
また、イソシアネート官能性プレポリマーは、多官能フラン(例えば、置換フルフリルアルコールまたはフルフリルアミンとの反応によって)、および多官能マレイミド(例えば、ヒドロキシルまたはカルボキシル基を有するマレイミド、例えば、ヒドロキシルエチルマレイミドとの反応によって)を共に調製するために使用することもできる。最も一般的には、プレポリマーは、過剰量のポリイソシアネートとポリオールとの重合、最も好ましくはジイソシアネートとジオールとの重合によって調製される。本発明を実施するために使用できる有機ポリイソシアネートとしては、アルキレンジイソシアネート、シクロアルキレンジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートおよび脂肪族−芳香族ジイソシアネートが挙げられる。適したイソシアネートを含有する化合物の具体例としては、エチレンジイソシアネート、エチリデンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、シクロペンチレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリメチルキシレンジイソシアネート、1,4−ナフチレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、アゾベンゼン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ジクロロヘキサメチレンジイソシアネート、フルフリリデンジイソシアネート、1−クロロベンゼン−2,4−ジイソシアネート、4,4’,4”−トリイソシアナトトリフェニルメタン、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン,4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5−テトライソシアネートなどが挙げられるが、それらに限定されない。そのような化合物は市販品が入手可能であるが、そのような化合物を合成するための方法は当該技術分野において周知である。好ましいイソシアネート含有化合物は、メチレンビスフェニルジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素化メチレンビスフェニルジイソシアネート(HMDI)およびトルエンジイソシアネート(TDI)である。
【0036】
使用されるポリオールとしては、ポリヒドロキシエーテル(置換または未置換ポリアルキレンエーテルグリコールまたはポリヒドロキシポリアルキレンエーテル)、ポリヒドロキシポリエステル、ポリオールのエチレンまたはプロピレンオキシド付加物、およびグリセロールの1置換エステル、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0037】
ポリエーテルポリオールの例としては、複数のエーテル結合および少なくとも2つのヒドロキシル基を有する直鎖および/または分岐鎖ポリエーテルが挙げられ、実質的にヒドロキシル基以外の官能基を含まない。ポリエーテルポリオールの例としては、ポリオキシアルキレンポリオール、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどを挙げることができる。さらに、ポリオキシアルキレンポリオールのホモポリマーおよびコポリマーも採用してよい。特に好ましいポリオキシアルキレンポリオールのコポリマーとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、2−エチルヘキサンジオール−1,3、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリス(ヒドロキシフェニル)プロパン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミンおよびエタノールアミンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドからなる群より選択される少なくとも1種の化合物との付加物を挙げることができる。多くの適したポリエーテルポリオールは市販品が入手可能である。非限定的な例としては、Voranol P400、P725、P1000、P2000、P4000(Dow)、PolyG 20−56(Arch)およびPluracol P−2010(BASF)、Acclaim 4200(Bayer)が挙げられる。ポリエーテルポリオールの典型的な分子量は、約1000〜約18,000の範囲にある。他の適したマレイミド樹脂としては:
【0038】
【化9】

が挙げられ、ここでポリエーテルポリオールセグメントの分子量は約1000〜18,000である。
【0039】
ポリエステルポリオールは、2〜15個の炭素原子を有する1種以上の多価アルコールと、2〜14個の炭素原子を有する1種以上のポリカルボン酸との縮合反応によって形成される。適した多価アルコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、例えば、1,2−プロピレングリコールおよび1,3−プロピレングリコール、グリセロール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ドデカンジオール、オクタンジオール、クロロペンタンジオール、グリセロールモノアリルエーテル、グリセロールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール、2−エチルヘキサンジオール−1,4、シクロヘキサンジオール−1,4、1,2,6−ヘキサントリオール、1,3,5−ヘキサントリオール、1,3−ビス−(2−ヒドロキシエトキシ)プロパンなどが挙げられる。ポリカルボン酸の例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、マレイン酸、ドデシルマレイン酸、オクタデセニルマレイン酸、フマル酸、アコニット酸、トリメリット酸、トリカルバリル酸、3,3’−チオジプロピオン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサジエン−1,2−ジカルボン酸、3−メチル−3,5−シクロヘキサジエン−1,2−ジカルボン酸および対応する酸無水物、酸塩化物および酸エステル、例えば、フタル酸無水物、フタロイル塩化物およびフタル酸のジメチルエステルが挙げられる。好ましいポリカルボン酸は、14個以下の炭素原子を含有する脂肪族および脂環式ジカルボン酸および14個以下の炭素原子を含有する芳香族ジカルボン酸である。ダイマー脂肪酸も使用されうるが、この場合、それらはモノ−またはポリ不飽和酸および/またはそれらのエステルの2量化生成物である。好ましいダイマー脂肪酸は、C10〜C30、より好ましくはC12〜C24、特にC14〜C22、特にC18のアルキル鎖の2量体である。適したダイマー脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸およびエライジン酸の2量化生成物である。また、天然油脂および油、例えば、ヒマワリ油、大豆油、オリーブ油、菜種油、綿実油およびトールオイル、の加水分解で得られる不飽和脂肪酸混合物の2量化生成物も使用してよい。2量化は通常、ダイマー脂肪酸に加えて様々な量のオリゴマーの脂肪酸(いわゆる「トライマー」)が生じ、残留物である単量体の脂肪酸(いわゆる「モノマー」)、またはそれらのエステルが存在する。適したダイマー脂肪酸は、60%より大きい、好ましくは75%より大きい、より好ましくは90〜99.5%の範囲の、特に95〜99%の範囲のダイマー酸含量を有する。本発明の実施で使用されうる市販品で入手可能なポリエステルとしては、結晶性および無定形材料、例えば、Dynacoll 7360、7380、7330、7231、7250(Evonik)、Rucoflex S−105−10(Bayer)、Stepanpol PN110(Stepan)、Priplast 3196(Croda)が挙げられる。典型的な分子量は、約2000〜約7000の範囲にある。他の適したマレイミド樹脂としては:
【0040】
【化10】

が挙げられ、ここでポリエステルポリオールセグメントの分子量は、約2000〜約7000である。
【0041】
さらに、少量の低分子量ジヒドロキシ、ジアミノ、またはアミノヒドロキシ化合物、例えば、飽和および不飽和グリコール、例えば、エチレングリコールまたはそれらの縮合物、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなど、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど、エタノールアミン、プロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミンなどを使用してもよい。
【0042】
また、多官能フランおよびマレイミドも、上記ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールを、カルボン酸基を有するマレイミドまたはフランで直接的にエステル化することによって合成することができる。加えて、ポリイソシアネートおよびポリオールの、過剰のポリオールを用いた付加によって調製されるポリウレタンジオールも、カルボン酸官能基を有するマレイミドまたはフランでエステル化して多官能フランおよびマレイミドを調製するために使用することができる。
【0043】
また、カルボン酸を有するマレイミドを用いる開環反応によってビスマレイミドを合成するために使用することができる適したエポキシ樹脂としては、これらに限定されないが、ビスフェノール、ナフタレン、および脂肪族型エポキシ樹脂が挙げられる。市販品で入手可能な材料としては、大日本インキ化学工業株式会社から入手できるビスフェノール型エポキシ樹脂(Epiclon 830LVP、830CRP、835LV、850CRP)、大日本インキ化学工業株式会社から入手できるナフタレン型エポキシ(Epiclon HP4032)、Ciba Specialty Chemicalsから入手できる脂肪族エポキシ樹脂(Araldite CY179、184、192、175、179)、Dow Corporationから入手できるもの(Epoxy 1234、249、206)、および、ダイセル化学工業株式会社から入手できるもの(EHPE−3150)が挙げられる。他の例としては、ヘキサヒドロフタル酸無水物のジグリシジルエステル[CY−184(Ciba−Geigy)として入手できる]、ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、ビスフェノール−F型エポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0044】
記載されたシクロペンタジエニル化合物は、適した溶媒中、例えば、テトラヒドロフラン、ペンタヒドロピラン、ジオキサンまたはそれらと芳香族炭化水素との混合物中で、シクロペンタジエンをアルカリ金属、例えば、ナトリウムと反応させことによってシクロペンタジエンのアルカリ金属塩を形成し、次いでその塩を直接的または間接的に求電子剤、例えば、アルキルジハラゲン化物または2塩基酸の酸塩化物と反応させることによって調製することができる。シクロペンタジエンカルボン酸のアルケニルまたはグリシジルエステルは、シクロペンタジエンのアルカリ塩を二酸化炭素と反応させてシクロペンタジエンカルボン酸を形成し、次いでその酸をアルコールとのエステル化反応に掛けるかまたはグリシジルエポキシ樹脂の開環によって調製される。シクロペンタジエンを有するプレポリマー/ポリマーは類似の方法で合成することができる。
【0045】
組成物中のジエノファイル官能基に対するジエン官能基の化学量論比は、0.5:2.0〜2.0:0.5、好ましくは1.0:2.0〜2.0:1.0、より好ましくは約0.9:1.1〜1.1:0.9である。
【0046】
熱可逆的ホットメルト接着剤は、これに限定されないが、典型的にはMn=5,000〜100,000g/モルの範囲にある分子量を有する熱可塑性ポリマーを任意に含んでよい。これは、任意の一般のビニルモノマー、例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエン、スチレン、ビニルアセテート、メタクリレート類、アクリレート類、無水マレイン酸およびビニルアセテートのフリーラジカル共重合によって得られるポリマーであってよい。また、これには、コポリマー、例えば、エチレン−ビニルアセテート(EVA)またはエチレン−ビニルアセテート−無水マレイン酸ターポリマーも含まれる。あるいは、ポリマーは官能基の逐次成長または付加によって形成されてもよく、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリシロキサンなどが挙げられが、これらに限定されない。熱可塑性ポリマーは、酸、無水物、ヒドロキシルまたはエポキシ基のようなペンダント官能基を含んでよい。採用される濃度としては、熱可塑性ポリマーは接着剤の全重量を基準に、典型的には1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、最も好ましくは10〜30重量%の範囲であってよい。
【0047】
本発明のさらなる実施形態では、熱可塑性ポリマーは(メタ)アクリルポリマーである。ポリ(メタ)アクリレートセグメントは、約−48℃〜105℃、好ましくは約−20℃〜85℃、より好ましくは15℃〜85℃の間の広い範囲のTg値を有する直鎖または分岐鎖のものであってよい。ポリマーは共重合されたアルキル(メタ)アクリルモノマーを含む。適したコモノマーとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソ−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシル(ラウリル)メタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ノルボルニルメタクリレートまたはそれに対応するアクリレートなど、メタクリルおよびアクリル酸のC〜C12のエステルが挙げられるが、それらに限定されない。また、相溶性(メタ)アクリレートモノマーの混合物も使用してよい。メタクリルおよびアクリル酸とポリ(エチレングリコール)および/またはポリ(プロピレングリコールおよび/またはグリコールエーテル)とのエステルをベースとした、メタクリルおよびアクリルコモノマーも使用されてよい。
【0048】
また、官能性コモノマー、例えば、酸、ヒドロキシルまたはエポキシで官能基化された(メタ)アクリルコモノマー(このリストは他を除外するものではない)をポリ(メタ)アクリレート中で使用してもよい。アクリルポリマーに包含されうる適したヒドロキシル官能基化されたコモノマーとしては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシルプロピルメタクリレートおよび2−ヒドロキシブチルメタクリレートまたはその対応するアクリレートが挙げられるが、それらに限定されない。アクリルポリマーに包含されうる適した酸官能性コモノマーとしては、メタクリル酸およびアクリル酸が挙げられるが、それらに限定されない。
【0049】
実質的に任意のエチレン系不飽和モノマーを、(メタ)アクリルポリマー中でコモノマーとして利用することができる。使用することができる他の追加のビニルコモノマーとしては、ビニルエステル(例えば、ビニルアセテートおよびビニルプロピオネート)、ビニルエーテル、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸のエステル、スチレン、アルキルスチレン、アクリロニトリル、ブタジエン、およびそれらのコモノマーが挙げられる。
【0050】
ポリ(メタ)アクリレートは、溶媒、バルク、懸濁または乳化重合でアゾ−またはペルオキシド−開始剤を使用する当該技術分野において周知のフリーラジカル重合技術によって形成することができる。懸濁重合は、重合後にポリマーを熱可逆的ホットメルトコーティング組成物に配合するため、ビーズ形態でポリマーを提供する容易な方法であり、特に有用である。
【0051】
酸化防止剤は、熱可逆的ホットメルト接着剤に任意に添加してよい。異なった化学をベースとする様々な酸化防止剤、例えば、Cibaから商標名Irganox、IrgafosまたはIrgastabが供給されている。酸化防止剤のブレンドは、そのような組合せの相乗効果があるために、接着剤に対して好ましいことがある。酸化防止剤は、接着剤の全重量を基準にして、0.1〜10%、好ましくは0.5〜5%の濃度範囲で使用してよい。
【0052】
また、組成物は、低分子量の天然または石油系の材料である粘着付与樹脂を含んでもよい。適した粘着付与剤としては、ロジン、ロジン誘導体、ロジンエステル、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、芳香族によって変性された脂肪族炭化水素、脂肪族によって変性された芳香族炭化水素、テルペン類、テルペンフェノール樹脂類が挙げられるが、それらに限定されない。粘着付与樹脂は、典型的には接着剤の全重量を基準として、50重量%までの、好ましくは5〜30重量%の、最も好ましくは10〜25重量%の範囲で使用される。
【0053】
また、所望であれば、熱可逆的ホットメルト接着剤は、接着剤と相溶性のある従来の添加物を用いて配合されてもよい。そのような添加物としては、可塑剤、硬化触媒、解離触媒、パラフィンまたは微結晶ワックス、フィラー、顔料、接着促進剤および安定剤、水素化ひまし油、有機シラン接着促進剤が挙げられる。添加物は、典型的には0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5.0重量%の範囲で使用される。
【0054】
熱可逆的ホットメルト接着剤は、環境温度、架橋した状態で輸送および保存してよい。
【0055】
熱可逆的ホットメルト接着剤を塗布するために、接着剤は、ジエンとジエノファイルとの間で形成されうる結合の解離温度よりも高く加熱される。適切な温度に接着剤を加熱することによって、それらの共有結合は切れ、材料の粘度は従来の手段、例えば、スロット塗り、ローラー塗りまたは吹き付け塗りによって塗布するのに充分低くなる。接着剤の塗布温度は、限定されないが典型的には、ジエン/ジエノファイル結合解離温度より20〜60℃上であってよい。解離温度は、多官能ジエンおよび多官能ジエノファイルの骨格構造、官能価の程度および配合物成分によって調節してよい。この解離温度は、好ましくは、ある用途では80℃より高く、他の用途ではより好ましくは100℃より高く、他の用途ではより好ましくは120℃より高く、ある用途ではより好ましくは140℃より高い。
【0056】
他の態様では、多官能ジエンモノマー/プレポリマーおよび多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマーは、別に保存し、基体に塗布するすぐ前に混合してよい。温度は、ジエンとジエノファイルとの間の有意な結合形成を抑制して架橋形成を防ぐのに充分高く維持しなければならない。例えば、多官能ジエンモノマー/プレポリマーおよび多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマーは、塗布ユニットに別々に供給されてもよく、混合した後、数秒または数分以内にディスペンスしてもよい。あるいは、多官能ジエンモノマー/プレポリマーおよび多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマーは、塗布に先立って混合され、塗布の前に高温のタンク中に数分または数時間保たれてよい。前記2つの成分は、ジエンとジエノファイルとの間で形成されうる共有結合の解離温度よりも上の温度で混合され、接着剤が保存および塗布の間には架橋しないが冷却したときに架橋するように、(1)接着剤を冷却して架橋された形態にし、再加熱した後、または(2)接着剤を高温に保った後、のいずれかで、熱いまま接着剤を塗布する。
【0057】
接着剤を冷却すると、多官能ジエンモノマー/プレポリマーと多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマーとの間の結合が再形成される。接着剤は接着剤の性能に負の影響を与えることなく、繰り返し加熱および冷却できる。
【0058】
本発明の1つの実施形態は、(1)熱可逆的ホットメルト組成物を加熱して溶融形態にするステップと、(2)前記組成物を第1の基体に塗布するステップと、(3)第2の基体を前記第1の基体に塗布された組成物と接触させるステップと、および(4)前記塗布された組成物を冷却し、それにより接合された基体を形成するステップと、を含む、材料を共に接合するための方法を志向している。
【0059】
熱可逆的ホットメルトは、パッケージング、グラフィック・アート、建築、履物、布地、一般的な組立、自動車および消費財のような多くの用途において特に有用である。パッケージング用途としては、例えば、接合されたプラスチックフィルムを使用するフレキシブルパッケージングが挙げられるが、それに限定されない。グラフィック・アート用途としては、例えば、紙/被覆紙の製本のためのスパイン糊が挙げられるが、それに限定されない。建築用途としては、例えば、剛性パネルラミネーションおよび木材およびプラスチックのラッピング加工、家具および窓が挙げられるが、それらに限定されない。履物用途としては、靴底でのポリマーの接合が挙げられる。一般的な組立としては、例えば、産業用のプラスチック部品の組立が挙げられるが、それに限定されない。自動車用途としては、例えば、前照灯のプラスチック部品の接合、および布地/織物のような様々な基体を含めた内部トリム用途が挙げられるが、それらに限定されない。布地接合としては、例えば、屋外衣料品のための通気性膜のフレキシブルラミネーションが挙げられるが、それに限定されない。消費財用途としては、例えば、家庭で装飾および修繕のために使用する接着剤およびシーラントが挙げられるが、それらに限定されない。
【0060】
また、本発明の熱可逆的組成物は、プライマー層として使用されうる。プライマーは一般的には、基体と接着剤の接着力を増強するために基体上に被覆されるポリマーの薄層である。熱可逆的プライマー組成物は、100%の固体形態で直接的に被覆してもよく、またはそれらは、非常に薄い層、例えば、0.1〜10ミクロンの層を生成するために溶媒で希釈してもよい。
【0061】
本発明の別の態様は、(1)熱可逆的プライマー組成物を加熱するステップと、(2)前記プライマー組成物を基体上に塗布するステップと、(3)前記プライマー組成物を冷却するステップと、(4)前記プライマー上に接着剤組成物を塗布するステップと、(5)第2の基体を前記接着剤組成物と接触させるステップと、(6)必要によって、前記接着剤組成物を冷却し、それによって接合された基体を形成するステップと、を含む、材料を共に接合するための方法を志向している。接着剤組成物は、ホットメルト、液体、溶媒系または水系など任意の型の接着剤組成物であってよい。接着剤は、1パートまたは2パートであってよく、非反応性(非硬化性)または反応性(硬化性)であってよい。さらに本発明は、接着剤と基体との間のプライマー層として本発明の組成物を用いて製造される物品を提供する。熱可逆的プライマー中のジエンとジエノファイルとの間に形成される結合の解離温度よりも上の温度に接合継ぎ手を加熱することによって、接合された接着剤は熱可逆的プライマーを含む表面から容易に分離することができる。
【0062】
本発明の多くの修正および変更については、当業者には明らかであるように、その意図および範囲を外れることなく行うことができる。本明細書に記載された特定の実施形態は、単なる例示として提供され、本発明は、特許請求の範囲によって権利を認められる均等の十分な範囲と共に、添付されたそのような特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるべきである。
【実施例】
【0063】
下記の多官能フラン(MFF)および多官能マレイミド(MFM)を以下のとおり使用して調製した。推定されるPおよびQ値もリストした。
【0064】
【化11】

【0065】
MFF−1を以下のとおり合成した。1,3,5−ベンゼントリカルボニル塩化物(20g、75.3ミリモル)のCHCl(200mL)氷冷溶液(0℃)に、トリエチルアミン(26.7g、263ミリモル)を添加した。この温度で15分間攪拌した後、滴下漏斗を用いてフルフリルアルコール(22.2g、226ミリモル)を滴加した。この発熱反応を注意深く制御してCHClの沸騰を防いだ。反応混合物を機械的撹拌器で約2時間撹拌した。TLCによるモニターによって反応が完結したことが示された。CHClを蒸発させ、混合物にエチルアセテートを添加した。この溶液を濾過し、エチルアセテートで洗浄した。濾液を水で洗浄し、無水MgSO上で乾燥した。溶媒の蒸発、その後クーゲルロール中で乾燥して、MFF−1を褐色の固体(43g、83%)として得た。
【0066】
H NMR(CDCl):δ8.8(s、3H)、7.45(s、3H)、6.5(m、3H)、6.4(t、3H)、5.35(s、6H)
【0067】
【化12】

【0068】
MFF−2を以下のとおり合成した。イソホロンジイソシアネート3量体(ブチルアセテート溶液として供給されるDesmodur Z 4470の溶液142.87g:活性成分は100g、410ミリモル)のブチルアセテート溶液に、フルフリルアルコール(40.2g、410ミリモル)および4滴のジブチル錫ジラウレートを添加した。得られた混合物を機械的撹拌器で攪拌し、IRによって示されるイソシアネートの吸収バンドが消失するまで85℃で4時間加熱した。室温まで冷却した後、100mLのトルエンを添加し、ロータリーエバポレータで減圧下、溶媒を蒸発させた。クーゲルロール蒸留セットを用いて70℃まで残存溶媒を加熱して蒸発させ、生成物をさらに真空オーブン中、減圧下、60℃で一夜乾燥した。これによってMFF−2を淡褐色の粉末(130g、92%)として得た。
【0069】
H NMR(CDCl):δ7.35(s、1H)、6.3−6.4(m、2H)、5.0(brs、2H)、3.7(m、2H)、2.0−0.6(m)
【0070】
【化13】

【0071】
MFF−3を以下のとおり合成した。Desmodur N3300(150g、220ミリモル)のトルエン(300mL)溶液に、フルフリルアルコール(65g、661ミリモル)および4滴のDBTLを添加した。得られた混合物を、IRによるイソシアネートの吸収バンドが消失するまで85℃で約3時間加熱した。トルエンを蒸発させ、クーゲルロール蒸留セットを用いて残存溶媒を除去した。これによってMFF−3(215g、定量的)を得た。
【0072】
H NMR(CDCl):δ7.5(s、1H)、6.3−6.4(m、2H)、3.9−3.6(m、2H)、3.3−3.0(m、2H)、1.7−1.2(m、8H)
【0073】
【化14】

【0074】
MFF−4を以下のとおり合成した。ダイマージイソシアネート DDI−1410(50g、85ミリモル)、フルフリルアルコール(16.7g、170ミリモル)およびDBTLの混合物のトルエン溶液を85℃で3時間加熱した。反応をIRのイソシアネート吸収バンドの消失によってモニターした。約3時間後、反応を停止し、溶媒を減圧下で蒸発させた。最後の痕跡量の溶媒をクーゲルロール蒸留セットによって除去した。これによってMFF−4を定量的収率(67.45g)で得た。
【0075】
H NMR(CDCl):δ7.45(s、2H)、6.4−6.6(m、4H)、5.1(s、4H)、3.1−3.3(m、4H)、1.6−0.5(m)
【0076】
【化15】

【0077】
MFF−5を以下のとおり合成した。室温で、DDI 1410(50g、85ミリモル)のトルエン(250mL)溶液にフルフリルアミン(16.5g、169.7ミリモル)を添加し、2時間攪拌した。ロータリーエバポレータを用いて溶媒を蒸発させた。クーゲルロール蒸留セットによって残存溶媒を除去した。これによってMFF−5(60g、90%)を低温融解固体として得た。
【0078】
H NMR(CDCl):δ7.35(s、2H)、6.3(s、2H)、6.2(s、2H)、4.3(s、4H)、3.15(m、4H)、1.8−0.8(m)
【0079】
【化16】

【0080】
MFF−6を以下のとおり合成した。ポリ(フェニルイソシアネート−コ−ホルムアルデヒド)(100g、250ミリモル)のトルエン溶液(500mL)にフルフリルアルコール(78.5g、1.2モル)および2滴のジブチル錫ジラウレートを添加した。得られた溶液をIRによるイソシアネートの吸収バンドが消失するまで85℃で約3時間加熱した。ロータリーエバポレータを用いてトルエンを蒸発させ、残存溶媒をクーゲルロール蒸留によって50℃で2時間除去した。これによってMFF−6を褐色の固体(160g)として得た。
【0081】
H NMR(CDCl):δ7.6−6.7(m)、6.5−6.2(m)、5.2−5.0(m)、3.9−3.6(m)
【0082】
【化17】

【0083】
MFF−7を以下のとおり合成した。Desmodur N3300(70g、103ミリモル)のトルエン(500mL)溶液にフルフリルアルコール(24.2g、124ミリモル)を添加した。85℃で3時間加熱後、Priplast 1838ポリエステルポリオール(103g、25.7ミリモル)を添加し、得られた混合物は、IRによるイソシアネートの吸収バンドが完全に消失するまで85℃で約3時間加熱した。トルエンを蒸発させ、クーゲルロール蒸留セットでの蒸留によって残存溶媒を除去し、MFF−7(196g、定量的)を得た。
【0084】
MFF−8(P=4)、Desmodur XP 2599から誘導された4官能フランを以下のとおり合成した。機械的撹拌器、凝縮器、窒素入口および滴下漏斗を備えた2Lの4口フラスコに、Desmodur XP 2599(1014g、363ミリモル、イソシアネート滴定によって決定した1.57meq/gのイソシアネート)を受入れた。油浴(油浴温度84〜86℃)中でフラスコを窒素の存在下、攪拌(撹拌速度300rpm)して加熱した。ポット温度が一定値(約80℃)に達したとき、DBTLを10滴添加した。均圧漏斗を用いてフルフリルアルコール(イソシアネート滴定によって決定した量、148.7g、1.52モル)を徐々に滴下した。反応温度は添加速度によって決まり、80〜97℃の範囲であった。反応温度が100℃より高くならないように添加速度を制御した。IRがイソシアネート官能基の消耗を示した時点で(約1時間の添加時間、その後、追加の30分攪拌)、内容物を試料容器に移した。
【0085】
【化18】

【0086】
Henkel Corporation(Rocky Hill、CT、米国)から入手できるSRM−1
【0087】
【化19】

【0088】
大和化成工業(日本)から入手できるBMI−5100
【0089】
【化20】

【0090】
MFM−3を以下のとおり合成した。オーブンで乾燥してN置換した、テフロン(登録商標)/ガラス撹拌器、滴下漏斗、サーモカップルを備えるY−アダプター、凝縮器およびガス入口を備えた500mLの3口丸底フラスコに、無水マレイン酸(30g、305ミリモル)およびアセトン(125mL)を添加した。Versalink P650(126g、303ミリモル)をアセトン(100mL)に溶解し、1時間に渡って無水マレイン酸溶液に滴加した。反応混合物を室温まで温まるようにして、FTIRで無水物の吸収バンドの消失を確認するまで維持した。酢酸無水物(78g、765ミリモル)、トリエチルアミン(13.5g、133ミリモル)およびマンガン(II)アセテート四水和物(1.28g、5.2ミリモル)を添加し、反応混合物を40℃で2時間、50℃で1時間加熱した。一夜、室温に冷却後、反応混合物を、ロータリーエバポレータを用いて濃縮、CHClに溶解、水で洗浄して無水MgSO上で乾燥した。溶媒を蒸発させ、生成物をクーゲルロール蒸留セットで乾燥してMFM−3(142g、89%)を得た。
【0091】
H NMR(CDCl):δ8.2(d、4H)、7.5(d、4H)、6.9(s、4H)、4.4(t、4H)、3.5(m)、1.9−1.6(m)
【0092】
【化21】

【0093】
MFM−4(Q=2)を以下のとおり合成した。Dynacoll 7360(EvnikからのMn=3500g/モルのポリエステルポリオール)をガラスフラスコに秤取、120℃で攪拌、1時間真空を適用した。MDIを添加、120℃で1時間ヒドロキシル基(2/1NCO/OH)と反応させ、その一部の時間、減圧下に置き、MDI末端プレポリマーを製造した。機械的撹拌器を備えた2Lの4口フラスコに、MDI末端封止されたDynacol 7360プレポリマー(1kg、12.5重量%のMDI、滴定による測定で2.274%のイソシアネート含量)を受入れた。機械的撹拌器を用い、混合物を110℃で加熱した(撹拌速度200rpm)。反応温度が110℃に達した時点で500ppmのIrganox 1010を添加、その後8滴のDBTLを添加した。2−ヒドロキシエチルマレイミド(76g、イソシアネート滴定で計算して539ミリモル)をバッチで添加した。IRのイソシアネート吸収バンドはほとんど消失した(約1.5時間)。この時点で、1mlのエタノール(21ミリモル)を添加し、30分間攪拌してすべての残存イソシアネートをクエンチした。定量的収率を得た。
【0094】
MFM−5(Q=2)を、ポリエステルポリオールDynacoll 7380(Evonik)をベースにした以外は、MFM−4に類似の方法で合成した。
【0095】
MFM−6(Q=2)を、ポリエステルポリオールDynacoll 7490(Evonik)をベースにした以外は、MFM−4に類似の方法で合成した。
【0096】
MFM−7(Q=2)を、ポリエステルポリオールDynacoll 7250(Evonik)をベースにした以外は、MFM−4に類似の方法で合成した。
【0097】
MFM−8(Q=2)を、ポリエステルポリオールDynacoll 7231(Evonik)をベースにした以外は、MFM−4に類似の方法で合成した。
【0098】
MFM−9(Q=2)を、ポリエステルポリオールPriplast 3196(Croda)をベースにした以外は、MFM−4に類似の方法で合成した。
【0099】
<配合物および引張り剪断>
試料を表1に示すように調製した。MFF(単数または複数)およびMFM(単数または複数)を共にブレンドし、120〜160℃の範囲の固定温度で15〜30分間加熱した。
【0100】
接着剤の接合強度を決定するために、引張り剪断試験を115×25×3mmの寸法のブナ材試験片について実施した。250ミクロンの接着剤は、事前に加熱した被膜ブロックを使用して6個のブナ材ストリップの端の25×25mmの領域に、固定温度(120〜160℃の範囲)で塗布した。出来る限り迅速に第2のブナ材ストリップを各々の頂部に、継ぎ手の重複領域が25×25mmとなるように配置した。6個の引張り剪断継ぎ手を、互いに重なり合わせて金属プレートの間に配置した。圧力50psiを10秒間、6個の引張り剪断継ぎ手に掛け、金属プレートを締め付けた。接合継ぎ手を試験の前、最低3日間放置した。比較試料12(湿気硬化ポリウレタンホットメルト接着剤PF−9021)で接合された継ぎ手を同じ方法で調製したが、ただし試験前に23℃/50%相対湿度で1週間硬化させた。
【0101】
JJ Lloyd張力計を使用して125mm/分のクロスヘッド速度で剪断強度を測定した。力を引張り剪断重複の面積で割って(N/mm=MPa)、破壊における剪断強度を記録した。空気循環オーブン中、室温/室内湿度および80℃(それぞれ、方法1および方法2とする)で、引張り剪断強度を測定した。結果を表1に示す。
【0102】
【表1】

【0103】
上記の結果は、比較熱可塑性ホットメルト接着剤;C13およびC14よりも優れた性能、特に耐熱性に関する優れた性能を有する接着剤を、広く様々なジエンおよびジエノファイルを混合して生成できることを示す。熱可逆的ホットメルト接着剤の性能は、比較湿気硬化ポリウレタンホットメルト接着剤;C12と類似しているか、それよりも優れていることが多い。
【0104】
試料12(試料1−11と同様の条件下で、22.3%のMFF−2、5.0%のMFM−2、25%のMFM−4および47.7%のMFM−7の混合物)を、Rocholl GmBHから得た100×25mmの領域を有する様々な基体(プラスチック基体は厚さ2mm、金属基体は厚さ1.5mm)に関して評価した。保護用のフィルムを除去した後、各プラスチックを使用前にイソプロパノールで洗浄した。金属基体を使用前に研磨し、次いでアセトンですすいだ。250ミクロンの接着剤を、事前に加熱した被覆ブロックを使用して、6個の基体片領域の端における25×25mmの領域に固定温度で塗布した。継ぎ手の重複領域が25×25mmであるように、出来る限り迅速に第2の基体のストリップを各々の頂部に配置した。各引張り剪断継ぎ手にクリップを掛けた。接合継ぎ手を最低3日間放置した後、クリップを除去して試験した。比較試料12(湿気硬化ポリウレタンホットメルト接着剤;PF−9021)を用いて接合された継ぎ手を、試験前に23℃/50%相対湿度で1週間硬化させたが、それ以外は同じ方法で調製した。JJ Lloyd張力計を使用して125mm/分のクロスヘッド速度で剪断強度を室温で測定した。力を引張り剪断重複の面積で割って(N/mm=MPa)、破壊における剪断強度を記録した。試料12(150℃で塗布、融解粘度10,000MPa.s)を、比較試料12(PF−9021、120℃で塗布、融解粘度12,000MPa.s)と表2で比較した。基体の破損を(S)、接着剤の破損を(A)として示す。
【0105】
【表2】

【0106】
<融解粘度および安定性>
表3に明記されているように、酸化防止剤を試料1に120℃で添加し、融解粘度および熱安定性を共に評価した。高い温度で保持した後、時間の関数として粘度を測定し、PF−375B;Henkel Corporationによって供給された湿気硬化ポリウレタンホットメルトと比較した。
【0107】
モデル74R温度コントローラおよびサーモセルユニットを有するブルックフィールド粘度計モデルRVDV−1を用い、スピンドルNo.27を使用して融解粘度を測定した。接着剤をオーブン中で135℃に加熱した。14gの接着剤を使い捨てアルミニウム粘度計管に秤取した。この管を粘度計に挿入し、粘度の読みが一定値で平衡になるように135℃の固定温度で20分間放置した。接着剤を固定温度で数時間保った後、粘度をさらに測定した。結果を表3に示す。
【0108】
【表3】

【0109】
これらの試験は、熱可逆的接着剤の組成物に対する時間経過による粘度の増加が、湿気硬化性ポリウレタンホットメルト接着剤に類似していることを立証している。
【0110】
<可逆性および融解粘度>
可逆性を立証するために、試料1+2%のIrgastab UV−10を再製造し、様々な条件に曝し、対応する融解粘度を測定した。条件および融解粘度を表4にまとめた。
【0111】
【表4】

【0112】
表4は、熱可逆的ホットメルト接着剤を加熱し、異なった期間で室温に冷却し、次いで繰り返し再加熱して低融解粘度を作り出すことができることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1種の多官能ジエンモノマー/プレポリマー;
L−(X)
[式中、
i)Lは、(ポリ)ウレタン、(ポリ)尿素、(ポリ)エステル、(ポリ)カーボネート、(ポリ)アミド、(ポリ)イミド、(ポリ)スチレン、(ポリ)エーテル、(ポリ)(メタ)アクリレート、(ポリ)オレフィン、(ポリ)シロキサン、無水マレイン酸のコポリマーを含めた上記のコポリマー、およびそれらの混合物からなる群より選択され、
ii)Xは、非環式1,3−ジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、フラン、フルベン、ピロール、ナフタレンおよびアントラセンの1種以上を含有するジエンであり、および
iii)Pは、0より大きい]と、
b)少なくとも1種の多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマー;
L−(Y)
[式中、
i)Lは、(ポリ)ウレタン、(ポリ)尿素、(ポリ)エステル、(ポリ)カーボネート、(ポリ)アミド、(ポリ)イミド、(ポリ)スチレン、(ポリ)エーテル、(ポリ)(メタ)アクリレート、(ポリ)オレフィン、(ポリ)シロキサン、無水マレイン酸のコポリマーを含めた上記のコポリマー、またはそれらの混合物からなる群より選択され、
ii)Yは、マレイミド、イソマレイミド、シトラコンイミド、イタコンイミド、マレエート、フマレート、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、ベンゾキノン、ベンゾキノンオキシム、ベンゾキノンイミン、ナフタキノン、アルキリデンマロネートおよび電子吸引性基を含有するアルキン、ならびにそれらの混合物、の1種以上を含むジエノファイルであり、および
iii)Qは、0より大きい]と
を含み、かつ上記式で、少なくとも1つのPまたはQは、2.1より大きい値を有する、熱可逆的ホットメルト接着剤。
【請求項2】
PまたはQの少なくとも1つが3.0未満の値を有する、請求項1に記載の熱可逆的ホットメルト接着剤。
【請求項3】
前記Pおよび前記Qの合計が、5.0に等しいか、5.0より大きい値を有する、請求項2に記載の熱可逆的ホットメルト接着剤。
【請求項4】
前記多官能ジエンモノマー/プレポリマーが;
【化1】

【化2】

またはそれらの組合せである、請求項1に記載の熱可逆的ホットメルト接着剤。
【請求項5】
前記多官能ジエンモノマー/プレポリマーが、
【化3】

またはそれらの組合せである、請求項4に記載の熱可逆的ホットメルト接着剤。
【請求項6】
前記多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマーが、
【化4】

【化5】

またはそれらの組合せである、請求項1に記載の熱可逆的ホットメルト接着剤。
【請求項7】
前記多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマーが、
【化6】

またはそれらの組合せである、請求項6に記載の熱可逆的ホットメルト接着剤。
【請求項8】
さらに熱可塑性ポリマーを含む、請求項1に記載の接着剤。
【請求項9】
前記熱可塑性ポリマーが、酸、無水物またはヒドロキシル基を含む、請求項8に記載の接着剤。
【請求項10】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリ(メタ)アクリレートである、請求項8に記載の接着剤。
【請求項11】
さらに、粘着付与剤、硬化触媒、接着促進剤、酸化防止剤、および/またはフィラーを含む、請求項1に記載の接着剤。
【請求項12】
a)少なくとも1種の多官能ジエンモノマー/プレポリマー;
L−(X)
および少なくとも1種の多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマー;
L−(Y)
を混合するステップであって、上記構造中、
i)Lは、(ポリ)ウレタン、(ポリ)尿素、(ポリ)エステル、(ポリ)カーボネート、(ポリ)アミド、(ポリ)イミド、(ポリ)スチレン、(ポリ)エーテル、(ポリ)(メタ)アクリレート、(ポリ)オレフィン、(ポリ)シロキサン、無水マレイン酸のコポリマーを含めた上記のコポリマー、およびそれらの混合物、からなる群より選択され、
ii)Xは、非環式1,3−ジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、フラン、フルベン、ピロール、ナフタレンおよびアントラセンの1種以上を含有するジエンであり、
iii)Yは、マレイミド、イソマレイミド、シトラコンイミド、イタコンイミド、マレエート、フマレート、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、ベンゾキノン、ベンゾキノンオキシム、ベンゾキノンイミン、ナフタキノン、アルキリデンマロネート、電子吸引性基を含有するアルキン、およびそれらの混合物、の1種以上を含むジエノファイルであり、および
iv)少なくとも1つのPまたはQは、2.1より大きい値を有する、ステップと、
b)前記混合物を前記ジエン/ジエノファイル結合解離温度より上の温度で加熱するステップと
を含む、熱可逆的ホットメルト接着剤を調製する方法。
【請求項13】
さらに、
c)前記混合物を前記ジエン/ジエノファイル結合解離温度より下の温度で冷却するステップと、
d)前記混合物を前記ジエン/ジエノファイル結合解離温度より下の温度で保存および/または出荷するステップと
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1に記載の熱可逆的ホットメルト接着剤組成物を前記ジエン/ジエノファイル結合解離温度より上の温度で加熱して、非架橋付加物を形成するステップと、前記非架橋付加物を第1の基体上に塗布するステップと、第2の基体を前記第1の基体に塗布された前記付加物と接触させるステップと、前記塗布された付加物を冷却して、それによって前記付加物を硬化して前記第2の基体に前記第1の基体を接合するステップと、を含む、基体を共に接合する方法。
【請求項15】
少なくとも1種の基体が、紙、プラスチック、木材、布地、発泡体、ガラス、金属、複合体またはセラミックである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
書籍、包装フィルム、剛性パネル、家具、窓、履物、自動車前照灯、自動車トリムまたは衣料品のための接合された布地/織物である、請求項1に記載の接着剤を用いて製造された物品。
【請求項17】
a)少なくとも1種の多官能ジエンモノマー/プレポリマー;
L−(X)
[式中、
i)Lは、(ポリ)ウレタン、(ポリ)尿素、(ポリ)エステル、(ポリ)カーボネート、(ポリ)アミド、(ポリ)イミド、(ポリ)スチレン、(ポリ)エーテル、(ポリ)(メタ)アクリレート、(ポリ)オレフィン、(ポリ)シロキサン、無水マレイン酸のコポリマーを含めた上記のコポリマー、およびそれらの混合物、からなる群より選択され、
ii)Xは、非環式1,3−ジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、フラン、フルベン、ピロール、ナフタレンおよびアントラセンの1種以上を含有するジエンであり、
iii)Pは、0より大きい]と、
b)少なくとも1つの多官能ジエノファイルモノマー/プレポリマー;
L−(Y)
[式中、
i)Lは、(ポリ)ウレタン、(ポリ)尿素、(ポリ)エステル、(ポリ)カーボネート、(ポリ)アミド、(ポリ)イミド、(ポリ)スチレン、(ポリ)エーテル、(ポリ)(メタ)アクリレート、(ポリ)オレフィン、(ポリ)シロキサン、無水マレイン酸のコポリマーを含めた上記のコポリマー、およびそれらの混合物からなる群より選択され、
ii)Yは、マレイミド、イソマレイミド、シトラコンイミド、イタコンイミド、マレエート、フマレート、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、ベンゾキノン、ベンゾキノンオキシム、ベンゾキノンイミン、ナフタキノン、アルキリデンマロネート、電子吸引性基を含有するアルキン、およびそれらの混合物、の1種以上を含むジエノファイルであり、および
iii)Qは、0より大きい]と、
c)任意に、溶媒と
を含み、少なくとも1つのPまたはQは、2.1より大きい値を有する、熱可逆的プライマー層組成物。
【請求項18】
請求項17に記載の組成物を前記ジエン/ジエノファイル結合解離温度より上の温度で加熱して非架橋付加物を形成するステップと、プライマー被膜として前記非架橋付加物を基体上に塗布するステップと、前記付加物を冷却して、それによって前記付加物を架橋プライマー層へと硬化するステップと、を含む、熱可逆的プライマー層を塗布するための方法。
【請求項19】
少なくとも前記基体が、紙、プラスチック、木材、布地、発泡体、ガラス、金属、複合体またはセラミックである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
製造品が、書籍、包装フィルム、剛性パネル、家具、窓、履物、自動車前照灯、自動車トリムまたは衣料品のための接合された布地/織物である、請求項17に記載のプライマー層組成物を用いる前記製造品。

【公表番号】特表2012−530150(P2012−530150A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515173(P2012−515173)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/038270
【国際公開番号】WO2010/144774
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(500538520)ヘンケル コーポレイション (99)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL CORPORATION
【Fターム(参考)】