説明

多層アセンブリ、多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリ、並びにその製造方法及び使用方法

感圧性接着剤アセンブリの製造方法であって、当該方法は、シリコーンポリマーを含む感圧性接着剤組成物を第1剥離ライナーの第1主表面上にコーティングして、第1層を形成すること;組成物を第1層上にコーティングして第2層を形成すること(エラストマーを含む第2層の組成物、第1層の感圧性接着剤組成物及び第2層の組成物の少なくとも一方が未硬化状態である);並びに前記第1層及び前記第2層の少なくとも1方を硬化させること(多層アセンブリの第1感圧性接着剤組成物は、多層アセンブリが46日間49℃(120°F)にて保管された後、剥離ライナーに対して、76.9g/cm(幅0.5インチ当たり100グラム)以下の剥離力を示す)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーン系感圧性接着剤組成物を時間経過後に剥離ライナーとの接触から分離することに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーン系感圧性接着剤組成物は、非常に多機能であるが、これはそれらが、過酷な温度及び湿度を含む厳しい環境条件下にて、ガラス、セラミック、樹脂サイディング、塗装木材、及び塗装ドライウォールを含む種々の基材に対して良好な接着性を示すからである。多くのシリコーン系感圧性接着剤組成物は、剥離ライナー上に濡れた組成物としてコーティングされ、乾燥されてロールへと巻き取られる。剥離ライナー上のシリコーン系感圧性接着剤を提供することは、転写ラミネート加工、印刷物加工及びパッケージングなどを含む接着剤の加工を更に促進する。
【0003】
剥離ライナーは、感圧性接着剤組成物に、例えば、接着層の汚染防止、接着剤又は接着剤でコーティングした物品の取扱いを促進すること(例えば、接着剤で被覆することに加えて、その上に支持体を提供することによって)、その上に剥離ライナーを配置する物品と一体化させること、及びこれらの組み合わせを含む種々の機能を提供する。接着剤層が印刷加工され、梱包され、又は最終消費者へと出荷されるまでは、剥離ライナーは多くの場合、感圧性接着剤組成物上の所定位置に残され、かつ多くの場合、剥離ライナーは当該接着剤を別の基材に付着させるまでは、所定位置に残される。その結果、感圧性接着剤でコーティングされた剥離ライナーは、場合により、温度及び湿度の変化を含む種々の環境条件を経験することが考えられ、長時間にわたって機能を発揮しなければならない。
【0004】
シリコーン系感圧性接着剤組成物と剥離ライナーとの間に形成された接着結合の強度は、時間の経過とともにかつ高温に晒されることによって増大する傾向がある。この現象は、「接着性増大」と呼ばれる。接着剤組成物と剥離ライナーとの間の結合力が大きすぎる場合、剥離ライナーと接着剤組成物とがお互いに分離できないか、あるいは分離するのに困難を伴うこととなり、これにより接着剤がその使用目的にとって不適切となりあるいは消費者がいらいらすることになる。シリコーン系感圧性接着剤組成物を含む物品の場合、物品の耐用年数が到来する前に、多くの場合、望ましくない程度にまで接着性が増大し、それによって物品の耐用年数を事実上短くする。
【0005】
接着剤とライナーとの間の接着性の程度を低減させるために、多数の試みがなされてきた。1つの有用な方法は、ライナーを界面化学改質剤でコーティングすることによって、ライナーの界面化学を変更することである。それらの剥離特性を向上させるためにライナー上にコーティングされてきた界面化学改質剤の1つの一般的部類は、フルオロシリコーンである。これらの方法の幾つかは接着度を低下させたが、接着性増大が引き続き生じ、接着性増大速度は好ましくないまま残存する。剥離ライナーと接触し、かつ長時間保管可能であるとともに、接着剤組成物がきれいにかつ比較的容易に剥離ライナーから剥離するような十分に小さな接着性増大を示す、シリコーン系感圧性接着剤組成物を含むシリコーン系感圧性接着物品を得ることが好ましい。長時間保管可能でかつ剥離ライナーに対して接着剤組成物がきれいにかつ比較的容易に剥離ライナーから剥離するような十分に小さな接着性増大を示す、引っ張り剥離式感圧性接着剤物品を得ることもまた望ましい。
【0006】
引き伸ばすことによって基材から取り外し可能な感圧性接着剤物品は多くの場合、引っ張り剥離式感圧性接着剤物品と呼ばれる。多数の裏貼り式及び非裏貼り式引っ張り剥離式感圧性接着剤物品が、文献及び特許にて記載されている。例えば、特許文献1には、接着層と共に積層させた高延伸性で弾性を有する裏材フィルムを包含する、適合性の高い接着物品が開示されている。この接着物品は、容易に延伸することができ、この物品を長手方向に表面とほぼ平行な方向に延伸することで表面から取り外すことができる。特許文献2には、熱可塑性ゴムと粘着付与樹脂類とをベースとする高弾性で低塑性の接着フィルムが開示されており、この接着接合は、当該接着接合の平面方向に接着フィルムを延伸することで破断され得る。特許文献3には、感圧性接着層をコーティングした高延伸性で実質的に非弾性の裏材と、延伸剥離を促進するための非接着性プルタブとを有する、取り外し可能な接着物品が開示されている。この接着物品は、非接着性プルタブを掴んで、この物品を基材の表面とほぼ平行な方向に延伸することで、基材を損傷せずに大抵の表面から取り外すことが可能である。特許文献4には、ポリマー発泡体層を包含する裏材と、この裏材の少なくとも1つの表面上にコーティングされた感圧接着層と、を包含する、取り外し可能な発泡体接着ストリップが開示されている。市販の延伸剥離型接着物品は、ミネソタ州セントポール(St. Paul)の3M社(3M Company)から取引表記、コマンド(COMMAND)として販売されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,024,312号(コープマン(Korpman))
【特許文献2】ドイツ特許第33 31 016号
【特許文献3】米国特許第5,516,581号(クレッケル(Kreckel)ら)
【特許文献4】米国特許第6,231,962号(ブリーズ(Bries)ら)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、剥離ライナー上に配置されたシリコーン系感圧性接着剤組成物を含み、かつ多層アセンブリが長時間周囲温度又は更には高温で保管された後であっても、剥離ライナーが接着剤組成物から容易に除去することができるような十分に小さい接着性増大を剥離ライナーに対して示す、多層感圧性接着物品を含む多層アセンブリを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様においては、多層アセンブリは、剥離ライナーと、剥離ライナー上に配置された感圧性接着剤組成物を含む第1層と(感圧性接着剤組成物は、シリコーンポリ尿素ブロックコポリマー、ポリジオルガノシロキサンポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるシリコーンポリマーを含む)、第1層上に配置されたエラストマーを含む組成物を含有する第2層とから構成され、第2層の組成物は、第1層の感圧性接着剤組成物とは異なり、多層アセンブリの第1層は、多層アセンブリが46日間49℃(120°F)にて保管された後、剥離ライナーに対して、76.9g/cm(幅0.5インチ当たり100グラム)以下の剥離力を示す。一実施形態では、多層アセンブリの第1層は、多層アセンブリが46日間49℃(120°F)にて保管された後、剥離ライナーに対して、38.5g/cm(幅0.5インチ当たり50グラム)以下の剥離力を示す。別の実施形態では、多層アセンブリの第1層は、多層アセンブリが88日間49℃(120°F)にて保管された後、剥離ライナーに対して、153.8g/cm(幅0.5インチ当たり200グラム)以下の剥離力を示す。その他の実施形態では、多層アセンブリの第1層は、多層アセンブリが88日間49℃(120°F)にて保管された後、剥離ライナーに対して、76.9g/cm(幅0.5インチ当たり100グラム)以下の剥離力を示す。
【0010】
幾つかの実施形態では、多層アセンブリは、ロールの形態である。一実施形態では、多層アセンブリはロールの形態であり、第1層は、剥離ライナーの第1主表面と接触しており、第2層は、剥離ライナーの第2主表面と接触している。
【0011】
別の実施形態では、剥離ライナーを除去し、かつアセンブリを塗装ドライウォール表面へと第1層を介して結合させた場合、アセンブリは、塗装ドライウォールに対して、少なくとも30,000分の静的剪断力を示す。その他の実施形態では、剥離ライナーを除去し、かつアセンブリをガラス基板へと第1層を介して結合させた場合、アセンブリは、ガラス基板に対して、少なくとも30,000分の静的剪断力を示す。
【0012】
一実施形態では、第1層は、剥離ライナーの第1主表面に対する第1剥離力を示し、第2層は、剥離ライナーの第2主表面に対する第2剥離力を示し、第1剥離力対第2剥離力の比が少なくとも、1.5:1である。別の実施形態では、第1剥離力対第2剥離力の比が少なくとも、2:1である。その他の実施形態では、第1剥離力対第2剥離力の比が少なくとも、10:1である。
【0013】
その他の実施形態では、剥離ライナーは、フィルム層及びシリコーンを含むコーティングを含み、多層アセンブリの第1層は、剥離ライナーのコーティングと接触している。
【0014】
幾つかの実施形態では、第1層の感圧性接着剤組成物は、i)少なくとも5,000g/モルの分子量を有するポリジオルガノシロキサンジアミン、とii)ポリイソシアネートとの反応生成物を含むシリコーンポリ尿素ブロックコポリマー、並びに約30重量%〜約70重%のMQ樹脂を含む。幾つかの実施形態では、シリコーンポリ尿素ブロックコポリマーは、少なくとも5,000g/モルの分子量を有するポリジオルガノシロキサンジアミン、ポリアミン、及びポリイソシアネートの反応生成物を含む。
【0015】
一実施形態では、第2層のエラストマーは、第1層の感圧性接着剤組成物のシリコーンポリマーと異なるシリコーンポリマー、アクリル樹脂、天然ゴム、ポリクロロプレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリスルフィドゴム、ポリイソプレン、エチレン−プロピレンジエンゴム、ポリウレタン、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、スチレン−ブタジエン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン又はこれらの組み合わせを含む。
【0016】
別の実施形態では、第2層の組成物は、感圧性接着剤組成物である。その他の実施形態では、第2層の感圧性接着剤組成物は、シリコーンポリ尿素ブロックコポリマーを含む。幾つかの実施形態では、第2層の感圧性接着剤組成物は更に、粘着付与剤を含む。
【0017】
別の実施形態では、第2層の組成物は、イソオクチルアクリレートとアクリル酸との反応生成物を含む感圧性接着剤組成物を含む。
【0018】
幾つかの実施形態では、多層アセンブリは、裏材を含み、第2層は当該裏材上に配置されている。一実施形態では、裏材は、発泡体を含む。その他の実施形態では、裏材は、第1主表面及び第2主表面を含む発泡体層を含む複合材料、発泡体層の第1主表面に結合したフィルム第1層、及び発泡体層の第2主表面に結合したフィルム第2層を含む。別の実施形態では、多層アセンブリは更に、非粘着性タブを含む。
【0019】
一実施形態では、引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリは、本明細書で記載される多層アセンブリを含み、当該アセンブリから剥離ライナーを除去して、第1層の感圧性接着剤組成物を介して表面へ接着させた後、表面を傷つけることなく表面から引き伸ばすことによって、きれいに取り外す。
【0020】
一実施形態では、本明細書で記載される多層アセンブリは、第1主表面及び当該第1主表面の反対にある第2主表面を含む裏材、並びに本明細書で記載される多層アセンブリを含む引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリの形態であり、多層アセンブリの第2層は、裏材の第1主表面に結合されており、引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリは、剥離ライナーの除去後かつ第1層の感圧性接着剤組成物を介して表面に接着させた後、引き伸ばすことにより表面を傷つけることなく表面からきれいに除去可能である。
【0021】
一実施形態では、第2層の組成物は更に、粘着付与剤を含む。幾つかの実施形態では、第2層の組成物は、感圧性接着剤組成物を含む。
【0022】
その他の実施形態では、引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリは更に、裏材の第2主表面に結合した第2多層アセンブリ、剥離ライナーを含む第2多層アセンブリ、第2多層アセンブリの剥離ライナー上に配置した感圧性接着剤組成物を含む第1層、及び第2多層アセンブリの第1層上に配置されたエラストマーを含む組成物を含む第2層を含む。
【0023】
別の実施形態では、第2多層アセンブリの第1層の感圧性接着剤組成物は、シリコーンポリ尿素ブロックコポリマー、ポリジオルガノシロキサン、ポリアミド、ポリシロキサングラフトコポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるシリコーンポリマーを含む。
【0024】
その他の実施形態では、第2多層アセンブリの第1層は、第2多層アセンブリを46日間49℃(120°F)にて保管した後、第2多層アセンブリの剥離ライナーに対して76.9g/cm(幅0.5インチ当たり100g)以下の剥離力を示す。
【0025】
別の実施形態では、裏材は発泡体を含み、かつ第1主表面及び第2主表面を有し、第1多層アセンブリの第2層は、発泡体裏材の第1主表面上に配置されており、かつ第2多層アセンブリの第2層は、発泡体裏材の第2主表面上に配置されている。
【0026】
その他の実施形態では、多層アセンブリは更に、剥離ライナーの第1主表面上に配置された、フルオロシリコーンポリマーとオルガノハイドロジェンポリシロキサン架橋剤との反応生成物を含み、第1層は、第1主表面上の反応生成物と接触している。一実施形態では、多層アセンブリは更に、剥離ライナーの第2主表面上に配置された、フルオロシリコーンポリマーとオルガノハイドロジェンポリシロキサン架橋剤との反応生成物を含み、第2主表面上の反応生成物は、第1主表面上の反応生成物とは異なる。別の実施形態では、フルオロシリコーンポリマーは、少なくとも約35%のフッ素置換を含む。幾つかの実施形態では、フルオロシリコーンポリマーは、少なくとも約42%のフッ素置換を含む。
【0027】
一実施形態では、多層アセンブリは、剥離ライナー、当該剥離ライナーの第1主表面上に配置された、少なくとも約35%のフッ素置換を含むフルオロシリコーンポリマーとオルガノハイドロジェンポリシロキサン架橋剤との反応生成物、剥離ライナーの第1主表面上に配置されかつ反応生成物と接触している感圧性接着剤組成物を含む第1層(当該感圧性接着剤組成物は、シリコーンポリ尿素ブロックコポリマー、ポリジオルガノシロキサンポリマー、又はこれらの組み合わせを含む、)及び第1層上に配置されたエラストマーを含む組成物を含む第2層(当該第2層の組成物は、第1層の感圧性接着剤組成物とは異なる)から構成される。
【0028】
別の態様では、本発明は、感圧性接着剤アセンブリの製造方法を特徴とし、ここで、当該方法は、シリコーンポリマーを含む感圧性接着剤組成物を第1剥離ライナーの第1主表面上にコーティングして、第1層を形成する工程と、エラストマーを含む組成物を第1層上にコーティングして第2層を形成する工程であって、この工程中、第1層の感圧性接着剤組成物及び第2層の組成物の少なくとも一方が未硬化状態である、工程と、第1層及び第2層の少なくとも一方を硬化させる工程と、からなり、多層アセンブリの第1感圧性接着剤組成物は、多層アセンブリが46日間49℃(120°F)にて保管された後、剥離ライナーに対して、76.9g/cm(幅0.5インチ当たり100グラム)以下の剥離力を示す、方法を含む。一実施形態では、第1及び第2層は、お互いほぼ同時にコーティングされる。別の実施形態では、方法は更に、多層アセンブリをそれ自体の上にロールの形態に巻く工程を含む。その他の実施形態では、硬化は、冷却、乾燥、架橋又はこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む。
【0029】
幾つかの実施形態では、第2層のコーティングは、押出成形、乾式貼合せ又はこれらの組み合わせを含む。
【0030】
その他の実施形態では、第2層の組成物は、感圧性接着剤組成物を含む。
【0031】
幾つかの実施形態では、第1層の感圧性接着剤組成物は、第1層上にて第2層をコーティング中には未硬化であり、かつ第2層の組成物は、感圧性接着剤組成物を含む。別の実施形態では、第2層は、第1層上にて第2層をコーティング中には未硬化である。その他の実施形態では、第1層及び第2層は、第1層上にて第2層をコーティング中には未硬化である。
【0032】
一実施形態では、方法は更に、第1層が第2層と接触する前に、第1層及び第2層の少なくとも1つを下塗することを含む。
【0033】
他の態様では、本発明は、本明細書で記載されるアセンブリの使用法を特徴とし、当該方法は、剥離ライナーを除去して、第1層の感圧性接着剤組成物を露出させること、及び露出させた第1層の感圧性接着剤組成物を目的物と接触させることを含む。
【0034】
本発明は、多層感圧性接着剤アセンブリを特徴とし、それは、感圧性接着剤組成物を含有するシリコーンポリマー層を含み、かつ、アセンブリの耐用年数の間、剥離ライナーをシリコーン系感圧性接着剤組成物から比較的容易に除去できるような、剥離ライナーに対する比較的小さな接着性の増大を時間の経過とともに示す。
【0035】
本発明は更に、多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリを特徴とし、これは、例えば、塗装ドライウォール、ガラス、セラミックス、磁器、大理石、花崗岩、ニス塗り木材、着色木材、ガラス繊維複合材料、プラスチック又はそれらの組み合わせを含む種々の表面のうち少なくとも1つに対して良好な接着性を示す。
【0036】
他の特徴及び利点は、以下の図面及び好ましい実施形態に関する記載から、並びに特許請求の範囲から明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】多層感圧性接着剤アセンブリの側面図。
【図2】それ自体の上にロールの形態にて巻き取られた、図1の多層感圧性接着剤アセンブリの側面図。
【図3】裏材を含む、多層感圧性接着剤アセンブリの実施形態の側面図。
【図4】多層感圧性接着剤アセンブリの別の実施形態の側面図。
【図5A】基材に付着した多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリの側面断面図。
【図5B】図5Aの部分的延伸アセンブリの側面断面図。
【図6】多層感圧性接着剤アセンブリの一実施形態の顕微鏡写真。
【図7】実施例12A及び12Bの多層感圧性接着剤アセンブリについての、幅1.3cm(0.5インチ)対日数での剥離力(g)のプロット。
【図8】実施例14A及び14Bの多層感圧性接着剤アセンブリについての、幅1.3cm(0.5インチ)対日数での剥離力(g)のプロット。
【図9】実施例16A及び16Bの多層感圧性接着剤アセンブリについての、幅1.3cm(0.5インチ)対日数での剥離力(g)のプロット。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明者たちは、多層膜の使用によって、剥離ライナー上に配置されたシリコーン系感圧性接着剤組成物が、多層アセンブリが長時間周囲温度又は更には高温で保管された後であっても、剥離ライナーをシリコーン系感圧性接着剤組成物から容易に除去することができるだけ十分に小さい、剥離ライナーに対する接着性増大を示すことができることを発見した。幾つかの実施形態では、多層シリコーン系感圧性接着剤アセンブリは、それ自体の上にロールの形態にて巻き取ることができ、かつ、外側のほとんどの層は、周囲温度、あるいは高温にて長時間保管後であっても、巻きを解いた剥離ライナーからきれいに剥される。
【0039】
多層アセンブリは、シリコーン系感圧性接着剤組成物の層と第2層との間で層間破壊しないことが好ましい。層間破壊の存在の1指標は、静的剪断力である。多層アセンブリは、少なくとも10,000分の、少なくとも30,000分の、あるいは少なくとも45,000分の静的剪断力を、室温で(即ち、約23℃〜約27℃)かつ50%相対湿度にて、塗装ドライウォール上であるいはガラス基板上にて示すことが好ましい。多層アセンブリの幾つかの構成は更に、少なくとも10,000分の、少なくとも30,000分の、あるいは少なくとも45,000分の静的剪断力を、ガラス基板上、90%相対湿度かつ32℃(90°F)にて示す。
【0040】
多層アセンブリ10は、図1に図示したように、剥離ライナー8及び剥離ライナー8の第1主表面18上に配置されたシリコーン系感圧性接着剤組成物を含む第1層12を含む多層感圧性接着剤物品及び多層感圧性接着剤物品の第1層12上に配置されたエラストマー系組成物(例えば、エラストマー系感圧性接着剤組成物、粘着性エラストマー及び非粘着性エラストマー)を含む第2層14を含む。剥離ライナー8は、多層アセンブリが少なくとも一週間、少なくとも三週間、あるいは少なくとも一ヶ月間、49℃(120°F)にて保管された後、シリコーン系感圧性接着剤組成物の層12から容易かつきれいに除去可能であることが好ましい。多層アセンブリが、46日間49℃(120°F)にて、88日間49℃(120°F)にて、あるいは365日49℃(120°F)にて保管された後、第1層12が、153.8g/cm(幅0.5インチ当たり200グラム)以下、76.9g/cm(幅0.5インチ当たり100グラム)以下、38.5g/cm(幅0.5インチ当たり50グラム)以下、あるいは、3.8g/cm(幅0.5インチ当たり5グラム)以下である、剥離ライナー8に対する剥離力を示すことがより好ましい。
【0041】
図2は、第1層12のシリコーン系感圧性接着剤組成物が、剥離ライナー8の第1主表面18と接触し、かつ第2層14が剥離ライナー8の第2主表面16と接触するように、それ自体の上にロール19の形態に巻き取られた、図1の多層アセンブリ10の実施形態を示す。多層アセンブリ10のロール19の外層8、14は、互いに接触する。第1層12のシリコーン系感圧性接着剤組成物及び第2層14の組成物は、剥離ライナー8の主要表面16、18(剥離ライナーによって、主要表面は接触している)に対して異なった剥離特性を示す。シリコーン系感圧性接着剤組成物12の層から、剥離ライナー8を除去するために必要な力は、「剥離力」と呼ばれる。ロール19の先端22に巻き戻し力が適用された場合、層12・シリコーン系感圧性接着剤組成物は、第2層14の組成物によって剥離ライナー8の第2主表面16に対して示される剥離力と比較して、剥離ライナー8の第1主表面18に対するよりも大きな剥離力を示し、これにより、第1層12のシリコーン系感圧性接着剤組成物が、剥離ライナー8の第1主表面18への結合を維持しかつ第2層14を剥離ライナー8の第2主表面16からきれいに剥離することを可能にする。本性質は、「差動剥離(differential release)」と呼ばれる。多層感圧性接着剤物品の層12、14及び剥離ライナー8は、層12、14が剥離ライナー8に対して差動剥離を示すことができるようにして、多層アセンブリ10の先端22がロール19から巻きが解かれた場合に、第2層14が、剥離ライナー8の第2主表面16から離れて、きれいにかつ比較的容易に剥離し、第1層12が、剥離ライナー8の第1主表面18へとしっかりと付着したままとなるように選択される。第1層の感圧性接着剤組成物12が剥離ライナー8の第1主表面18に対して示される剥離力対第2層14の組成物が剥離ライナー8の第2主表面16に対して示される剥離力の比は、少なくとも1.1:1、少なくとも1.5:1、少なくとも2:1、少なくとも5:1あるいは少なくとも10:1であることが好ましい。
【0042】
多層アセンブリの剥離ライナーは、例えば、シート、ウェブ、テープ、及びフィルムを含む種々の形態であることができる。剥離ライナーは、多層感圧性接着剤アセンブリが少なくとも30日間49℃(120°F)にて保管された後、シリコーン系感圧性接着剤組成物が剥離ライナー表面からきれいに遊離されることを可能とする性質を示す。剥離ライナーの性質は、多層アセンブリが、46日間49℃(120°F)にて、88日間49℃(120°F)にて、あるいは365日49℃(120°F)にて保管された後、シリコーン系感圧性接着剤組成物が、剥離ライナーに対して、153.8g/cm(幅0.5インチ当たり200グラム)以下、76.9g/cm(幅0.5インチ当たり100グラム)以下、38.5g/cm(幅0.5インチ当たり50グラム)以下、あるいは、3.8g/cm(幅0.5インチ当たり5グラム)以下の剥離力を示すようなものであることが好ましい。
【0043】
少なくとも1つの剥離ライナー表面を処理して、剥離ライナーをシリコーン系感圧性接着剤組成物から除去するために必要な力を変更(例えば、増大又は減少)させることができる。剥離ライナーの有用な処理方法としては、剥離ライナー表面に剥離剤を適用すること、剥離材の表面上に、パターニングされたテクスチャーを生成して、接着剤組成物と剥離材との間の接触領域を減少させること、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0044】
多層アセンブリの2種の異なった層が剥離ライナーの2つの対向主表面が接触するように、多層アセンブリが、それ自体の上にロールの形態にて巻き取られる用途においては、剥離ライナーは、差動剥離(即ち、剥離ライナーの第1主表面にて接着剤によって示される剥離力が、剥離ライナーの第2対向主表面にて接着剤によって示される剥離力とは異なる)を提供することができる。剥離ライナーは、差動剥離の実現を補助するために、その第1主表面上の第1剥離コーティング及び剥離ライナーの第1主表面の反対側の第2主表面上の第2剥離コーティングを含むことができる。剥離コーティングの性質(例えば、組成及び厚み)は、例えば、組成物の化学(それによって、剥離ライナー表面が接触する)、所望の剥離特性(例えば、接着剤組成物が、巻きを解いた剥離ライナーに結合したままとなり、及び接着剤組成物が巻きを解いた剥離ライナーから剥離する)、並びにこれらの組み合わせを含む種々の要因に基づいて選択することができる。第1及び第2剥離コーティングは、同一であるか又は異なることができ、同じか又は異なる塗布量にてコーティングすることができる。1つの有用な剥離コーティングは、フルオロシリコーン剥離剤を含む第1表面並びにフルオロシリコーン剥離剤、シリコーン剥離剤及びこれらの組み合わせを含む第2表面を含む。
【0045】
種々の剥離剤が剥離ライナー上での使用に適している。有用な部類の剥離剤の例としては、シリコーン、例えば、シリコーンアクリレート、シリコーンポリウレタン及びシリコーンポリ尿素を含むシリコーンコポリマー、フルオロケミカル、フルオロカーボン、フルオロシリコーン、ペルフルオロポリエーテル、ウレタン、アクリレート、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、及び低密度ポリエチレン)、並びにその他の低表面エネルギー系剥離組成物、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0046】
有用なフルオロシリコーン剥離コーティングとしては、例えば、米国特許第5,082,706号(タングニィ(Tangney))に記載され、かつ本明細書に組み込まれているような、フルオロシリコーンポリマー、オルガノハイドロジェンポリシロキサン架橋剤及び白金含有触媒の反応生成物が挙げられる。
【0047】
他の有用なフッ素含有オルガノシリコーン剥離コーティング組成物としては、例えば、フッ素含有有機基及びアルケニル基を有する有機ポリシロキサン、有機水素シロキサン架橋剤及び白金含有触媒から得られる剥離コーティング組成物、並びにフッ素含有有機基及びシリコン結合水素基を有する有機ポリシロキサン、アルケニル官能性オルガノポリシロキサン及び白金含有触媒、から得られる剥離コーティング組成物が挙げられ、これらの例は、米国特許第5,578,381号(ハマダ(Hamada)ら)に記載され、かつ本明細書に組み込まれている。他の好適なフルオロシリコーン剥離化学の例は、米国特許第4,842,902号、同第4,889,753号、同第4,880,440号、同第4,980,443号及び同第5,082,706号に記載されており、かつ本明細書に組み込まれている。
【0048】
剥離コーティング組成物の形成において有用なフルオロシリコーンポリマーの1つの部類は、100超、500超あるいは900超の重合度、少なくとも約1:1、少なくとも約2:1、少なくとも約5:1あるいは少なくとも約10:1のシリコーン対炭素比、少なくとも約30%(即ち、ポリマー主鎖中100個の反復単位のうち30個が、フッ素を含む)、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、あるいは少なくとも約50%のフッ素置換である、ポリマー主鎖中のフッ素置換を有する反復単位率(本明細書では、以後、「フッ素置換率」と称する)、及びこれらの組み合わせを示す、フルオロシリコーンポリマーを含む。1つの有用なフルオロシリコーンポリマーは、約37%〜約41%のフッ素置換を含む。別の有用なフルオロシリコーンポリマーは、約42%〜約47%のフッ素置換を含む。
【0049】
多数の有用な市販のフルオロシリコーンポリマーは、ダウ・コーニング社(ミシガン州ミッドランド)から、SYL−OFF及びSYL−OFFアドバンテージ・シリーズのSYL−OFF Q2−7786及びSYL−OFF Q2−7785を含む商品名にて入手可能である。これらのフルオロシリコーンポリマーは、好適な架橋剤と組み合わせる場合、剥離コーティング組成物の形成において特に有用である。1つの有用な架橋剤は、商品名SYL−OFF Q2−7560にて、ダウ・コーニング社から入手可能である。他の有用な架橋剤は、米国特許第5,082,706号(タングニィ(Tangney))及び同第5,578,381号(ハマダ(Hamada)ら)に開示されており、かつ本明細書に組み込まれている。
【0050】
他のフルオロシリコーンポリマーは、ゼネラル・エレクトリック社(General Electric Co.)(ニューヨーク州アルバニー)、ワッカー・ケミー(Wacker Chemie)(ドイツ)、Th.ゴールドシュミットAC(Th. Goldschmidt AC)(ドイツ)、アルコシル(Akrosil)(ウィスコンシン州メナシェ(Menasha))、及びロパレックス(Loparex)(イリノイ州ウィローブルック(Willowbrook))から市販されている。
【0051】
他の好適な剥離コーティング組成物としては、無溶剤白金シリコーンが挙げられる。
【0052】
有用なシリコーン剥離化学は、米国特許第2,588,367号(デネット(Dennett))、同第3,960,810号(チャンドラ(Chandra)ら)、同第4,162,356号(グレノーブル(Grenoble))、同第4,306,050号(ケルナー(Koerner)ら)、及び同第6,204,350号(リゥ(Liu)ら)、英国特許第1,375,792号(コルクホウン(Colquhoun)ら)及びドイツ特許第2,736,499号(ホッケマイヤー(Hockemeyer))に開示されており、かつ本明細書に組み込まれている。エポキシシリコーン剥離剤の例は、米国特許第4,822,687号(ケッセル(Kessel)ら)、同第5,217,805号(ケッセル(Kessel)ら)、同第5,576,356号(ケッセル(Kessel)ら)、及び同第5,332,797号(ケッセル(Kessel)ら)に開示されており、かつ本明細書に組み込まれている。有用なペルフルオロポリエーテルの例は、米国特許第4,830,910号(ラルソン(Larson))に開示されており、かつ本明細書に組み込まれている。ポリマーマトリックス内に配置される有用なフルオロカーボンの例は、米国特許第5,110,667号(ガリック(Galick)ら)に開示されており、かつ本明細書に組み込まれている。好適な剥離剤、剥離ライナー及び剥離ライナーの処理方法は、米国特許第4,472,480号、同第4,980,443号、同第4,736,048号に記載されており、かつ本明細書に組み込まれている。他のシリコーン剥離コーティング組成物の例は、米国特許第6,806,339号(クレイ(Cray)ら)、同第6,545,076号(カイヤ(Kaiya)ら)及び同第6,008,310号(イトウ(Itoh)ら)に開示されており、かつ本明細書に組み込まれている。
【0053】
剥離ライナーとして使用するのに好適な材料の例としては、紙(例えば、クラフト紙)、ポリマーフィルム(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエステル)、複合ライナー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。有用な剥離ライナーの一例は、フルオロアルキルシリコーンポリコート紙である。幾つかの構造では、剥離ライナーは、剥離特性を示すように処理された2つのポリマーフィルムの間に挟み込まれたクラフト紙を含む。剥離ライナーは、例えば、線、アートワーク、ブランド表示、及びその他情報を含む種々の印及び表示を任意に含み得る。
【0054】
シリコーン系感圧性接着剤組成物層
シリコーン系感圧性接着剤組成物は、シリコーンポリマー及び所望により、例えば、粘着付与剤、可塑剤及びこれらの組み合わせを含む他の構成成分を含む。好適なシリコーンポリマーの例としては、シリコーン、シリコーンポリ尿素ブロックコポリマー、ポリジオルガノシロキサンポリマー、シリコーンポリアミド(その例は、米国特許出願第11/317,602号に開示されており、かつ本明細書に組み込まれている)、ポリシロキサングラフトコポリマー(その例は、例えば、米国特許第4,693,935号(マズレック(Mazurek))に開示されており、かつ本明細書に組み込まれている)、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0055】
1つの好適なシリコーン系感圧性接着剤組成物としては、MQ粘着付与樹脂及びシリコーンポリマーが挙げられる。MQ粘着付与樹脂及びシリコーンポリマーは、例えば、MQ粘着付与樹脂及びシリコーンポリマーのブレンド、MQ粘着付与樹脂及びシリコーンポリマーの反応生成物(例えば、縮合硬化又は付加硬化型反応生成物)又はこれらの混合物の形態で存在することができる。シリコーンポリマーは、シリコーン系感圧性接着剤組成物中に、約30重量%〜約70重量%、あるいは更に約35重量%〜約65重量%の量で存在することが好ましい。MQ粘着付与樹脂は、シリコーン系感圧性接着剤組成物中に、約30重量%〜約70重量%、約40重量%〜約60重量%、あるいは更に約45重量%〜約55重量%の量で存在することが好ましい。
【0056】
有用なMQ粘着付与樹脂としては、共重合体シリコーン樹脂と呼ばれることもあり、かつ約100〜約50,000あるいは更に約500〜約20,000の数平均分子量を有し、かつ一般的にメチル置換基を有するのが好ましい、MQシリコーン樹脂、MQDシリコーン樹脂、及びMQTシリコーン樹脂が挙げられる。MQシリコーン樹脂には、非官能性樹脂及び官能性樹脂の両方が包含され、官能性樹脂は、例えばシリコン結合水素、シリコン結合アルケニル及びシラノールを含む1種以上の官能基を有する。
【0057】
MQシリコーン樹脂類は、R’SiO1/2単位(M単位)とSiO4/2単位(Q単位)とを有する共重合性シリコーン樹脂類である。このような樹脂については、例えば、高分子工業科学百科辞典(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering)、第15巻、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons, Inc.)、1989年、265〜270ページ;並びに米国特許第2,676,182号、同第3,627,851号、同第3,772,247号、及び同第5,248,739号に記載されており、かつ本明細書に組み込まれている。官能基を有するMQシリコーン樹脂は、米国特許第4,774,310号(これは、シリル水素化物基を記載している)、同第5,262,558号(ビニル基及びトリフルオロプロピル基を記載している)、及び米国特許第4,707,531号(これは、シリル水素化物基及びビニル基について記載している)に記載されており、かつ本明細書に組み込まれている。上記樹脂類は、一般に、溶媒中にて調製される。乾燥させた又は無溶剤のMQシリコーン樹脂は、米国特許第5,319,040号、同第5,302,685号及び同第4,935,484号に記載されているようにして調製され、かつ本明細書に組み込まれている。
【0058】
MQDシリコーン樹脂は、例えば、米国特許第5,110,890号及び日本公開特許平成2年第36234号に記載されているような、R’SiO1/2単位(M単位)、SiO4/2単位(Q単位)、及びR’SiO2/2単位(D単位)を有するターポリマーであるとともに、本明細書に組み込まれている。
【0059】
MQTシリコーン樹脂は、RSiO1/2単位(M単位)、SiO4/2単位(Q単位)、及びRSiO3/2単位(T単位)を有するターポリマーである。
【0060】
市販のMQ樹脂は、トルエン中のSR−545MQ樹脂(ゼネラル・エレクトリック社・シリコーン樹脂部門(General Electric Co., Silicone Resins Division)(ニューヨーク州ウォーターフォード)から入手可能)及びトルエン中のMQ樹脂であるMQOH樹脂(PCR社(PCR, Inc.)(フロリダ州ゲーンズビル)から入手可能)を含む。このような樹脂は、一般に、有機溶剤中で供給される。MQシリコーン樹脂のこれら有機溶液類は、そのまま使用してよく、又は当該技術分野において既知の多数の技法、例えば、スプレー乾燥、オーブン乾燥、及び蒸気分離によって乾燥してMQシリコーン樹脂を不揮発性含量100パーセントで提供してもよい。MQシリコーン樹脂はまた、2種以上のシリコーン樹脂のブレンドを含有することも可能である。
【0061】
有用な部類のシリコーンポリマーの一例は、シリコーンポリ尿素ブロックコポリマーである。シリコーンポリ尿素ブロックコポリマーとしては、ポリジオルガノシロキサンジアミン(シリコーンジアミンとも称される)、ジイソシアネート、及び所望により有機ポリアミンの反応生成物が挙げられる。好適なシリコーンポリ尿素ブロックコポリマーは、次の反復単位で表され、
【化1】

式中、
各Rは独立して以下の、アルキル部分であって、好ましくは約1個〜12個の炭素原子を有し、かつ例えば、トリフルオロアルキル基又はビニル基、ビニルラジカル又はより高級のアルケニルラジカルによって置き換えられてよく、好ましくは式R(CHCH=CHにより表わされ、式中、Rは−(CH−又は−(CHCH=CH−であり、aは1、2又は3であり、bは0、3又は6であり、cは3、4又は5であるもの;約6個〜12個の炭素原子を有するシクロアルキル部分であって、かつアルキル基、フルオロアルキル基、及びビニル基によって置き換えられてもよいもの;又は好ましくは約6個〜20個の炭素原子を有するアリール部分であって、かつ例えば、アルキル基、シクロアルキル基、フルオロアルキル基及び(arid)ビニル基によって置き換えられてもよいものであって、あるいはRは、米国特許第5,028,679号に記載されているようなペルフルオロアルキル基であって本明細書に組み込まれているもの、あるいは、米国特許第5,236,997号に記載されているようなフッ素含有基であって本明細書に組み込まれているもの、あるいは、米国特許第4,900,474号及び同第5,118,775号に記載されているようなペルフルオロエーテル含有基であって本明細書に組み込まれているもの;のような部分である。好ましくは、R部分の少なくとも50%はメチルラジカルであって、その残りは、1個〜12個の炭素原子を有する一価アルキルラジカル若しくは置換アルキルラジカル、アルケニレンラジカル、フェニルラジカル、又は置換フェニルラジカルであり;
各Zは、アリーレンラジカル又はアラルキレンラジカルである多価ラジカル(好ましくは約6個〜20個の炭素原子を有する)、好ましくは約6個〜20個の炭素原子を有するアルキレンラジカル又はシクロアルキレンラジカルであり、好ましくは、Zは、2,6−トリレン、4,4’−メチレンジフェニレン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレン、テトラメチル−m−キシリレン、4,4’−メチレンジシクロヘキシレン、3,5,5−トリメチル−3−メチレンシクロヘキシレン、1,6−ヘキサメチレン、1,4−シクロヘキシレン、2,2,4−トリメチルヘキシレン及びこれらの混合物であり;
各yは独立して1個〜10個の炭素原子を有するアルキレンラジカル、好ましくは6個〜20個の炭素原子を有するアラルキレンラジカル又はアリーレンラジカルである、多価ラジカルであり;
各Dは、水素、1〜10個の炭素原子のアルキルラジカル、フェニル、及び複素環を形成するためのB又はYを含む環状構造を完成させるラジカルからなる群から選択され;
ここで、Bはアルキレン、アラルキレン、シクロアルキレン、フェニレン、ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、並びにこれらのコポリマー及び組み合わせを含む)からなる群から選択される多価ラジカルであり;
mは0〜約1000の数字であり;
nは少なくとも1である数字であり;かつ
pは少なくとも10であって、好ましくは約15〜約2000であり、より好ましくは30〜1500である。
【0062】
有用なシリコーンポリ尿素ブロックコポリマーは、例えば、米国特許第5,512,650号、同第5,214,119号、及び同第5,461,134号、並びに国際公開特許第96/35458号、同第98/17726号、同第96/34028号、同第96/34030号及び同第97/40103号に開示されており、かつ本明細書に組み込まれている。
【0063】
シリコーンポリ尿素ブロックコポリマーの調製に使用される有用なシリコーンジアミンの例としては、次の式で表されるポリジオルガノシロキサンジアミンが挙げられる:
【化2】

を有し、
式中、R、Y、D、及びpの各々は、先述と同様に定義される。好ましくは、ポリジオルガノシロキサンジアミンの数平均分子量は約700超である。
【0064】
有用なポリジオルガノシロキサンジアミンとしては、上記式IIに含まれる任意のポリジオルガノシロキサンジアミンであって約700g/モル〜150,000g/モル、約10,000g/モル〜約60,000g/モル、あるいは更に約25,000g/モル〜約50,000モルの範囲内の分子量を有するポリジオルガノシロキサンジアミンが挙げられる。好適なポリジオルガノシロキサンジアミン及びポリジオルガノシロキサンジアミンの製造方法は、例えば、米国特許第3,890,269号、同第4,661,577号、同第5,026,890号、及び同第5,276,122号並びに国際公開特許第95/03354号及び同第96/35458号に開示されており、かつ本明細書に組み込まれている。
【0065】
有用なポリジオルガノシロキサンジアミンの例としては、ポリジメチルシロキサンジアミン、ポリジフェニルシロキサンジアミン、ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサンジアミン、ポリフェニルメチルシロキサンジアミン、ポリジエチルシロキサンジアミン、ポリジビニルシロキサンジアミン、ポリビニルメチルシロキサンジアミン、ポリ(5−ヘキセニル)メチルシロキサンジアミン、並びにこれらの組み合わせ及びコポリマーが挙げられる。
【0066】
好適なポリジオルガノシロキサンジアミンは、例えば、信越シリコーン・オブ・アメリカ社(Shin Etsu Silicones of America, Inc.)(カルフォルニア州トーランス)及びハルズ・アメリカ社(Huls America, Inc.)から市販されている。好ましくは、ポリジオルガノシロキサンジアミンは実質的に純粋であり、米国特許第5,214,119号に開示されているようにして調製し、かつ本明細書に組み込まれている。このように高純度のポリジオルガノシロキサンジアミンは、テトラメチルアンモニウム−3−アミノプロピルジメチルシラノレートなどの無水アミノアルキル官能性シラノレート触媒を、好ましくは、反応が2段階で行われるのであれば、環状オルガノシロキサンの総量の重量を基準にして0.15重量%未満の量で用いた、環状オルガノシランとビス(アミノアルキル)ジシロキサンとの反応から調製される。特に好ましいポリジオルガノシロキサンジアミンは、セシウム及びルビジウム触媒を使用して調製され、米国特許第5,512,650号に開示され、かつ本明細書に組み込まれている。
【0067】
ポリジオルガノシロキサンジアミン成分は、得られるシリコーンポリ尿素ブロックコポリマーの弾性率調整手段を提供する。一般に、高分子量ポリジオルガノシロキサンジアミンは、低弾性率のコポリマーを提供するが、低分子量ポリジオルガノシロキサンポリアミンは、より高い弾性率のコポリマーを提供する。
【0068】
有用なポリアミンの例としては、例えば、D−230、D−400、D−2000、D−4000、ED−2001及びEDR−148の商標名にて、ハンストマン社(Hunstman Corporation)(テキサス州ヒューストン)から市販されているポリオキシアルキレンジアミンを含むポリオキシアルキレンジアミン;例えば、ハンストマン(Hunstman)から、T−403、T−3000及びT−5000の商標名にて市販されているポリオキシアルキレントリアミンを含むポリオキシアルキレントリアミン;並びに、例えば、エチレンジアミン及び、デュポン(デラウェア州ウィルミントン)から、ダイテック(DYTEK)A及びダイテック(DYTEK)EPの商標名にて入手可能なポリアルキレンを含むポリアルキレンが挙げられる。
【0069】
任意のポリアミンは、コポリマー弾性率の変更手段を提供する。有機ポリアミンの濃度、種別及び分子量は、シリコーンポリ尿素ブロックコポリマーの弾性率に影響を与える。
【0070】
好ましくは、シリコーンポリ尿素ブロックコポリマーは、約3モル以下、約0.25モル〜約2モルの量でポリアミンを含む。ポリアミンは、約300g/モル以下の分子量を有するのが好ましい。
【0071】
例えば、上述のポリアミンと反応可能な、ジイソシアネート及びトリイソシアネートを包含する任意のポリイソシアネートを、シリコーンポリ尿素ブロックコポリマーの調製に用いることができる。好適なジイソシアネートの例としては、芳香族ジイソシアネート、例えば、2,6−トルエンジイソシアネート、2,5−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、メチレンビス(o−クロロフェニルジイソシアネート)、メチレンジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、ポリカルボジイミド変性メチレンジフェニレンジイソシアネート、(4,4’−ジイソシアナト−3,3’,5,5’−テトラエチル)ジフェニルメタン、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメトキシビフェニル(o−ジアニシジンジイソシアネート)、5−クロロ−2,4−トルエンジイソシアネート、及び1−クロロメチル−2,4−ジイソシアナトベンゼン;芳香族−脂肪族ジイソシアネート、例えば、m−キシリレンジイソシアネート及びテトラメチル−m−キシリレンジイソシアネート;脂肪族ジイソシアネート、例えば、1,4−ジイソシアナトブタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,12−ジイソシアナトドデカン及び2−メチル−1,5−ジイソシアナトペンタン;並びに脂環式ジイソシアネート、例えば、メチレンジシクロヘキシレン−4,4’−ジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)及びシクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネートが挙げられる。
【0072】
ポリアミンと、特にポリジオルガノシロキサンジアミンと反応可能ないかなるトリイソシアネートも好適である。このようなトリイソシアネートの例としては、例えば、ビウレット、イソシアヌレート、及び付加物から生成されるものなどの多官能イソシアネートが挙げられる。市販のポリイソシアネートの例としては、バイエルからのデスモデュール(DESMODUR)及びモンデュール(MONDUR)並びにダウ・プラスティックス(Dow Plastics)からのPAPIの商標名にて入手可能な、一連のポリイソシアネートの一部が挙げられる。
【0073】
ポリイソシアネートは、好ましくは、ポリジオルガノシロキサンジアミンと任意のポリアミンとの量に対する化学量論量で存在する。
【0074】
シリコーンポリ尿素ブロックコポリマーは、溶媒系プロセス、無溶媒プロセス、又はこれらの組み合わせによって調製され得る。有用な溶媒系プロセスは、例えば、「セグメント化オルガノシロキサンコポリマー(Segmented Organosiloxane Copolymers):2.シロキサン−尿素コポリマーの熱的及び機械的特性(Thermal and Mechanical Properties of Siloxane-Urea Copolymers)」(チャギ(Tyagi)ら、ポリマー、第25巻、1984年12月)、並びに米国特許第5,214,119号(レイア(Leir)ら)に記載されており、かつ本明細書に組み込まれている。シリコーンポリ尿素ブロックコポリマーの有用な製造方法については、例えば、米国特許第5,512,650号、同第5,214,119、同第5,461,134号、国際公開特許第96/35458号、同第98/17726号、同第96/34028号、及び同第97/40103号にも記載されており、かつ本明細書に組み込まれている。
【0075】
シリコーンポリ尿素ブロックコポリマー系感圧性接着剤組成物は、溶媒系プロセス、無溶媒プロセス、又はこれらの組み合わせによって調製することも可能である。
【0076】
溶媒系プロセスでは、MQシリコーン樹脂を、ポリアミンとポリイソシアネートとを反応混合物に導入する前、導入中、又は導入後に取り入れることができる。ポリアミンとポリイソシアネートとの反応は、溶媒又は溶媒の混合物中で実施される。溶媒類は、ポリアミン及びポリイソシアネートとは非反応性であることが好ましい。出発材料及び最終生成物は、重合中又はその完了後、溶媒中に完全に混和したままであることが好ましい。これらの反応は、室温で、又は反応溶媒の沸点以下で実施することが可能である。反応は、好ましくは50℃までの周囲温度で実行される。
【0077】
実質的な無溶媒プロセスでは、ポリアミンとポリイソシアネートとMQシリコーン樹脂とを反応器内で混合し、そして反応物を反応させてシリコーンポリ尿素ブロックコポリマーを形成し、それをMQ樹脂と合わせて、感圧性接着剤組成物を形成する。
【0078】
溶媒系プロセスと無溶媒プロセスとの組み合わせを包含する1つの有用な方法には、シリコーンポリ尿素ブロックコポリマーを無溶媒プロセスで調製した後、シリコーンポリ尿素ブロックコポリマーとMQ樹脂溶液とを溶媒中で混合することが包含される。シリコーンポリ尿素ブロックコポリマー系感圧性接着剤組成物が、上述した混合方法に従って調製され、シリコーンポリ尿素ブロックコポリマー及びMQ樹脂のブレンドを製造することが好ましい。
【0079】
有用な部類のシリコーンポリマーの別例は、ポリジオルガノシロキサンポリマーである。好適なポリジオルガノシロキサンポリマーとしては、例えば、シラノール官能性部又はアルケニル官能性部を有する、ポリジメチルシロキサンポリマー及びポリジメチルジフェニルシロキサンポリマーが挙げられる。
【0080】
シリコーンポリジオルガノシロキサン系シリコーン感圧性接着剤組成物は、MQ樹脂及びポリジオルガノシロキサンを反応させることによって製造することができる。このような反応をさせるために、2種の異なった反応化学が通常用いられる。縮合化学及び付加硬化化学である。
【0081】
要約すると、縮合化学は、例えば、米国特許第2,736,721号、同第2,814,601号、同第4,309,520号、同第4,831,070号、同第2,857,356号、同第3,528,940号、及び同第5,308,887号;並びに英国特許第998,232号(本明細書に組み込まれている)に記載されているように、トリオルガノシロキシ単位及びSiO4/2単位を含むシラノール官能性MQ粘着付与樹脂を、シラノールで末端ブロックされたポリジオルガノシロキサンと混合することを包含する。MQ樹脂及びポリジオルガノシロキサンは、相互縮合する(intercondensed)ことができ、これによって接着剤組成物の内部及び相互での縮合を提供する。共重合シリコーン樹脂とポリジオルガノシロキサンとの間の縮合は、周囲温度又は高温での触媒の存在下にて、あるいは高温での触媒の不存在下でのいずれかで実施され得る。
【0082】
シラノール官能性ポリジオルガノシロキサンとシラノール官能性MQ樹脂との相互縮合(intercondensation)生成物を含むシリコーン感圧性接着剤組成物は、上述したように、ジアリールペルオキシド架橋剤などのフリーラジカル重合触媒を任意に含んで、接着剤組成物を架橋させることができ、それによって、「感圧性接着剤技術ハンドブック(The Handbook of Pressure-Sensitive Adhesive Technology)」(サタス(Satas)編、1989年)において教示されかつ、本明細書に組み込まれているように、剥離接着性がわずかに失われるだけで、シリコーン感圧性接着剤組成物の高温剪断特性を向上させることができる。
【0083】
付加硬化化学により調製されるシリコーン感圧性接着剤組成物は、一般に、アルケニル基を有するポリジオルガノシロキサン、RSiO1/2及びSiO4/2構造単位を含むMQシリコーン樹脂を含み、式中、Rは既に述べたように、以下の官能基、シリコーン結合水素や、ビニル基、アリル基、プロペニル基及び高級アルケニル基からなる群から選択されるようなものなどのシリコーン結合アルケニル基;又はシラノール、所望により架橋剤若しくは鎖延長剤、並びにPt又は他の貴金属ヒドロシル化触媒、のうち1つ以上を有し、シリコーン感圧性接着剤組成物の硬化を達成する。このような組成物の例は、米国特許第3,527,842号、同第3,983,298号、同第4,774,297号;欧州特許公報第355,991号、及び同第393,426号;並びに日本公開特許平成2年第58587号中に見出され、本明細書に組み込まれている。
【0084】
広範囲の市販のシリコーン感圧性接着剤組成物もまた好適である。このようなシリコーン感圧性接着剤組成物の例としては、ダウ・コーニング社製の280A、282、7355、7358、7502、7657、Q2−7406、Q2−7566及びQ2−7735;ゼネラル・エレクトリック社製のPSA 590、PSA 600、PSA 595、PSA 610、PSA 518(中程度のフェニル含有量)、PSA 6574(高含有量のフェニル)及びPSA 529、PSA 750−D1、PSA 825−D1、及びPSA 800−Cが挙げられる。2種の異なったジメチルシロキサン系シリコーン感圧性接着剤組成物のブレンドであって、「感圧性接着剤技術ハンドブック(The Handbook of Pressure-Sensitive Adhesive Technology)」(サタス(Satas)、1989)(本明細書に組み込まれている)において教示されるようなもの、又はジメチルシロキサン系シリコーン感圧性接着剤組成物とジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン系感圧性接着剤組成物とのブレンドであって、米国特許第4,925,671号(本明細書に組み込まれている)に記載されているようなもの;などのシリコーン感圧性接着剤組成物の各種ブレンドもまた有用である。
【0085】
シリコーン感圧性接着剤組成物層は、任意の好適な厚さであり得る。有用なシリコーン感圧性接着剤組成物の厚みの例としては、約0.0025ミリメートル(mm)〜約1mm(約0.1ミル〜約40ミル)あるいは、約0.025mm〜約0.41mm(約1ミル〜約16ミル)を包含する。
【0086】
エラストマーを含む組成物を含む層
多層感圧性接着剤物品の第2層は、エラストマー及び所望により例えば、粘着付与剤、可塑剤、酸化防止剤、充填剤、色素、光安定剤(例えば、紫外線(「UV」)安定剤)、オゾン劣化防止剤、硬化剤、金属不活性化剤、及びこれらの組み合わせを含む他の構成成分を包含する組成物から構成される。第2層の組成物は、感圧性接着剤組成物又は非感圧性接着剤組成物であり得る。有用な第2層は、ASTM D5459−95、名称「ストレッチラップフィルムの機械方向弾性回復及び永続的変形及び応力保持の標準試験方法(Standard Test Method for Machine Direction Elastic Recovery and Permanent Deformation and Stress Retention of Stretch Wrap Film)」に従って測定した場合、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、あるいは更に約100%の弾性回復率を示す。
【0087】
第2層の組成物に好適なエラストマーとしては、シリコーン、アクリル樹脂、天然ゴム、ポリクロロプレン(即ち、ネオプレン)、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリスルフィドゴム、ポリイソプレン、エチレン−プロピレンジエンゴム(即ち、EPDMゴム)、ポリウレタン、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、スチレンブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン、及びスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン、並びにこれらの混合物及び組み合わせに基づく、粘着性及び非粘着性エラストマーが挙げられる。これらの同一エラストマーは、単独で又は組み合わせて、エラストマー系感圧性接着剤組成物のベースエラストマーとしても機能することができる。
第2層のための、有用なシリコーンエラストマー及びシリコーン系感圧性接着剤組成物としては、上述のシリコーンポリマー及びシリコーン系感圧性接着剤組成物が挙げられる。
【0088】
多数の有用なアクリレート系感圧性接着剤組成物は、米国特許第4,418,120号、同第4,554,324号、及び同第5,507,366号に記載され、かつ本明細書に組み込まれている。有用な部類のアクリレート系感圧性接着剤組成物の一例は、約60重量部〜約100重量部の、少なくとも1種のアルキルアクリレートモノマー;及び所望により、約0重量部〜約40重量部の強化コモノマーを含む出発材料から調製される。有用なアルキルアクリレートモノマーは、約0℃未満、好ましくは約−20℃未満のホモポリマーガラス転移温度を有する。有用なアルキルアクリレートモノマーは、4個〜20個の炭素原子、4個〜18個の炭素原子、あるいは4個〜14個の炭素原子をアルキル部分に有する非三級アルキルアルコールの単官能性(メタ)アクリル酸エステルである。有用なアルキルアクリレートモノマーの例としては、n−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、n−デシルアクリレート、n−ドデシルアクリレート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0089】
モノエチレン性不飽和強化コモノマーは、約15℃超、あるいは25℃超のホモポリマーガラス転移温度(Tg)を有することが好ましく、かつ、アルキルアクリレートモノマーと共重合させられる。有用な強化コモノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、置換メタクリルアミド及びアクリルアミド、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、2−カルボキシエチルアクリレート、無水マレイン酸、並びにこれらの混合物が挙げられる。他の好適な強化コモノマーは、単官能性不飽和モノマーを包含し、ここで、アルキル置換基の炭化水素に対するエステル基の相対量は多く、モノマーは、上述の高級アルキル置換アクリレートに対してより大きな溶解度パラメータを有する。このようなモノマーの例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ビニルアセテート及びビニルプロピオネートが挙げられる。イソボルニルアクリレートなどの非極性モノマーを使用してもよい。
【0090】
強化コモノマーを使用する場合、アルキルアクリレートモノマーは、約60重量部〜約99重量部の量で組成物中に存在し、強化コモノマーは、約1重量部〜約40重量部の量で存在し、ここで、モノマーの総量は、重量割合で100部である。各種別のモノマーの有用な量は、接着剤の所望の特性に応じて変化する。
【0091】
一般に、有用な出発材料は、モノマー及び強化コモノマー100重量部当たり、少なくとも約2重量部の強化コモノマー、あるいは、少なくとも約5重量部の強化コモノマーを含む。アクリレート感圧性接着剤の場合、コモノマーの有用な範囲は、モノマー及びコモノマーの100部当たり、約2重量部〜約30重量部である。強化コモノマーがアクリル酸又はメタクリル酸であるアクリレート感圧性接着剤の場合、有用な範囲は、モノマー及びコモノマーの100部当たり、約1重量部〜約15重量部である。
【0092】
アクリレート感圧性接着剤は、例えば、溶媒重合、エマルション重合、懸濁重合、バルク重合、並びに、紫外線、電子ビーム、及びガンマ線を使用するプロセスを包含する放射線重合を含む多数の技術によって重合することができる。出発材料は、重合開始剤、例えば、重合性アルキルアクリレートモノマー及び強化コモノマーを重合させるのに有効な種類と量の、熱反応開始剤又は光反応開始剤を含んでもよい。
【0093】
溶媒重合技術は、当該技術分野において周知であるとともに、例えば、米国再発行特許第24,906号(ウルリッチ(Ulrich))及び同第4,554,324号(ハスマン(Husman)ら)を含む各種出典に記載され、かつ本明細書に組み込まれている。要約すると、上記手順は、モノマー、エチルアセテートなどの好適な溶媒、及び任意の連鎖移動剤を反応槽に加えること;フリーラジカル反応開始剤を添加すること;窒素でパージすること;並びに反応槽を、バッチサイズ及び温度に応じて、反応が完了するまで、典型的には約1時間〜約20時間、高温で、典型的には約40℃〜100℃の範囲の高温に維持すること、によって実施される。好適なフリーラジカル反応開始剤は市販されており、かつデュポン社(DuPont Company)から商品名バゾ(VAZO)で入手可能なものが挙げられる。フリーラジカル反応開始剤の具体例としては、バゾ(VAZO)64(2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル))及びバゾ(VAZO)52(2,2’−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル))が挙げられる。好適な反応開始剤としては、更にヒドロペルオキシド類、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、及び過酸化ベンゾイル及びシクロヘキサンペルオキシドなどの過酸化物類も挙げられる。
【0094】
有用な乳化重合プロセスは、米国再発行特許第24,906号に記載されており、そこでは、モノマーが、蒸留水、乳化剤及び好適な反応開始剤を含む反応槽へ添加され、混合物を窒素でパージしかつ典型的には、約25℃〜80℃の範囲の温度まで、反応が完了するまで加熱する。
【0095】
アクリレート感圧性接着剤を調製するための有用なバルク重合法の例としては、米国特許第4,619,979号及び同第4,843,134号に記載されている連続フリーラジカル重合法、米国特許第5,637,646号に記載されている回分反応器を使用する実質的断熱重合法、及び米国特許第5,804,610号に記載されている、パッケージ化プレ接着剤組成物の重合について記載された方法、が挙げられる。
【0096】
有用なアクリレート系感圧性接着剤組成物は、放射線重合法によっても調製可能であり、ここでは、モノマー及びフリーラジカル反応開始剤を含む接着剤組成物が、ポリマーフィルムなどの平坦な基材上へとコーティングされ、かつ、重合が実質的に完了するまで、即ち、残留モノマーが10%未満、好ましくは5%未満となるまで、低酸素雰囲気中にて、即ち、1000万分率(ppm)未満、好ましくは500ppm未満にて、エネルギー供給源に晒される。
【0097】
アクリレート系感圧性接着剤組成物は更に、感圧性接着剤組成物の内部強度、耐溶剤性及びその他の性質を向上させるために、架橋剤を含むことができる。架橋剤は、好ましくは、アルキルアクリレートモノマー及び任意の強化コモノマーの100部に対して、約0.05重量%〜約5重量%の量で存在する。
【0098】
架橋剤は、使用される重合及びコーティング方法に従って選択される。放射線重合法によって調製されるベースコポリマーのために有用な架橋剤としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、1,2−エチレングリコールジアクリレート、1,12−ドデカンジオールジアクリレート、及び米国特許第4,379,201号(本明細書に組み込まれている)に開示されている架橋剤を包含する多官能性アクリレートが挙げられる。他の有用な架橋剤としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチレン−S−トリアジンを含む置換トリアジン及び米国特許第4,329,384号及び同第4,330,590号(本明細書に組み込まれている)に開示されているような置換トリアジン、並びに発色団ハロメチル−S−トリアジンが挙げられる。追加の有用な架橋剤としては、モノエチレン系不飽和芳香族ケトン、特に、4−アクリロキシベンゾフェノン(米国特許第4,737,559号(本明細書に組み込まれている)に記載されているようなもの)、及び多官能性架橋剤、例えば、1,5−ビス(4−ベンゾイルベンゾキシ)ペンタン(国際公開特許第97/07161号(本明細書に組み込まれている)に記載されているようなもの)、及び1,4−ブタン−ジ[4−ベンゾイルフェノキシ]アセテート(米国特許第5,407,971号(本明細書に組み込まれている)に記載されているようなもの)が挙げられる。
【0099】
溶液重合及びエマルション重合されたアクリレート感圧性接着剤中で有用な架橋剤は、ベースコポリマーの重合に続いて、放射線、湿気又は熱への曝露によって架橋が生じるフリーラジカル共重合可能なもの、及びこれらの組み合わせである。架橋は、重合及びコーティングの前又は後に行うことができる。有用な架橋剤としては、上記の光活性置換トリアジン、多官能性ベンゾフェノン架橋剤及びモノエチレン系不飽和芳香族ケトンが挙げられる。モノエチレン系不飽和モノ、ジ及びトリアルコキシシラン化合物などの加水分解性、フリーラジカル共重合性架橋剤としては、例えば、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(その例は、シランA−174の商品名にて、ユニオンカーバイド・ケミカルズ・アンド・プラスティックス社(Union Carbide Chemicals and Plastics Co.)から市販されている)ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及びビニルトリフェノキシシランが挙げられる(including)。有用な熱活性化共重合性架橋剤としては、例えば、N−メチロールアクリルアミド及びアクリルアミドグリコール酸が挙げられる(including)。N−メチロールアクリルアミド及びアクリルアミドグリコール酸は、アクリレート感圧性接着剤組成物の剪断強度を向上させるのに有用であり得る。
【0100】
多数のブロックコポリマー系感圧性接着剤組成物が、多層アセンブリ内にて用いるのに好適である。ブロックコポリマー系感圧性接着剤組成物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレンを含むビニル芳香族化合物(Aブロック)から形成されるブロック、並びに例えば、ブタジエン及びイソプレンを含む1,3−ジエン(Bブロック)の重合により形成されるブロック、を含むブロックコポリマーが挙げられる。ブロックコポリマーは、部分的に、選択的に又は完全に水素添加されていることができる、同一の又は異なったBブロックを含むことができる。有用なブロックコポリマーとしては、例えば、線状A−B−A構造ブロックコポリマー、放射状ブロックコポリマー、星型ブロックコポリマー、非対称星型ブロックコポリマー、櫛型ブロックコポリマー、及び線状多元ブロックコポリマーが挙げられる。ブロックコポリマーはまた、A−B二元ブロックコポリマーの形態であることができる。有用なブロックコポリマー系感圧性接着剤組成物は、約10重量%〜約99重量%、約25重量%〜約75重量%、あるいは更に約35重量%〜約60重量%の量で、ブロックコポリマーを含む。
【0101】
ブロックコポリマー系感圧性接着剤組成物は、所望により、粘着付与剤を含む。好適な粘着付与剤としては、例えば、ロジン、ロジン誘導体、並びに部分的に水素添加されたロジン及び完全に水素添加されたロジン、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族脂肪族炭化水素樹脂、テルペン樹脂、フェノール変性樹脂、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。有用なブロックコポリマー系感圧性接着剤組成物は、約15重量%〜約75重量%、約30重量%〜約65重量%、あるいは更に約35重量%〜約60重量%の量で、粘着付与剤を含む。
【0102】
ブロックコポリマー系感圧性接着剤組成物は更に、例えば、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、スチレンブタジエンゴム、エチレンビニルアセテート、ポリビニルアセテート、及びこれらの組み合わせを包含する他のコポリマーを含むことができる。
【0103】
ブロックコポリマー系感圧性接着剤組成物は、所望により、例えば、紫外線、ガンマ線、電子ビーム放射、及びこれらの組み合わせを包含する放射線によって、架橋されることができる。
【0104】
有用なブロックコポリマー系感圧性接着剤組成物の例は、米国特許第6,280,840号に記載され、かつ本明細書に組み込まれている。
【0105】
感圧性接着剤組成物は、例えば、充填剤(例えば、強化充填剤及び非強化充填剤)、相溶化剤、可塑剤、粘着付与剤、酸化防止剤、安定剤(例えば、紫外線(「UV」)光安定剤)、オゾン劣化防止剤、硬化剤、金属不活性化剤、色素、発泡剤、強化剤、補強剤、難燃剤、及びこれらの組み合わせを含むその他の添加剤を含むことができる。有用な充填剤の例としては、シリカ(例えば、疎水性シリカ及び親水性シリカ)、ガラス(例えば、すりガラス、ガラスビーズ及びガラスバブル)、アルミナ、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック、高分子バブル及び高分子ビーズ(膨張及び非膨張のビーズ及びバブルを含む)、合成繊維、及びこれらの組み合わせが挙げられる。感圧性接着剤組成物は、所望の最終性質を得るのに十分な量で、添加剤を含むことができる。
【0106】
有用な相溶化剤は、例えば、構造物の感圧性接着剤層と多層構造の別の層(例えば、他の感圧性接着剤層、他のエラストマー層、及び裏材)との間の接着力を含む、層間接着力を増大させる助力になる。アクリル系接着剤のための有用な相溶剤(compatibilzers)の例及びその製造方法は、米国特許第6,630,239号及び同第6,379,791号に記載され、かつ本明細書に組み込まれている。
【0107】
追加の層(単一又は複数)(例えば、エラストマー及び接着剤)の厚さは、例えば、約0.0025mm〜約1mm(約0.1ミル〜約40ミル)、あるいは約0.025mm〜約0.41mm(約1ミル〜約16ミル)を包含する任意の有用な厚さであり得る。
【0108】
裏材
多層感圧性接着剤アセンブリは、所望により、裏材を含む。図3は、裏材24、裏材24上に配置された第2層14、第2層14上に配置された第1層12及び第1層上に配置された剥離ライナー8を含む多層感圧性接着剤アセンブリ30の実施形態を示す。
【0109】
図4は、裏材46の第1主表面44a上に配置された第1多層アセンブリ42a及び裏材46の第2主表面44b上に配置された第2多層アセンブリ42bを含む多層感圧性接着剤アセンブリ40の実施形態を示す。第1多層アセンブリ42aは、剥離ライナー48a、剥離ライナー48aと接触したシリコーン系感圧性接着剤組成物を包含する第1層50a、第1層50aと裏材46との間に配置された第2層52aを含む。第2層52aは、エラストマーを含む組成物を含む。第2多層アセンブリ42bは、剥離ライナー48b、剥離ライナー48bと接触したシリコーン系感圧性接着剤組成物を含む第1層50b、及び第1層50bと裏材46との間に配置されたエラストマーを含む組成物を含有する第2層52bを含む。
【0110】
裏地は、例えば、ポリマーフィルム、紙、厚紙、原料カード、織物及び不織布ウェブ、繊維強化フィルム、フォーム、複合フィルムフォーム、並びにこれらの組み合わせを含む各種形態であることができる。1つの有用な部類の裏材は、ASTM D5459−95、名称「ストレッチラップフィルムの機械方向弾性回復及び永続的変形及び応力保持の標準試験方法(Standard Test Method for Machine Direction Elastic Recovery and Permanent Deformation and Stress Retention of Stretch Wrap Film)」に従って測定した場合、約50%以下、約30%以下、あるいは約10%以下の弾性回復率を示す。
【0111】
裏材は、例えば、繊維、セルロース、木材、発泡体、並びに例えば、ポリオレフィン(例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、及び線状超低密度ポリエチレンなどを包含するポリエチレン)、ポリプロピレン、並びにポリブチレン;ビニルコポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル、可塑化ポリ塩化ビニル及び非可塑化ポリ塩化ビニル、並びにポリビニルアセテート);例えば、エチレン/メタクリレートコポリマー、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、及びエチレン/プロピレンコポリマーを包含するオレフィン系コポリマー;アクリルポリマー及びアクリルコポリマー;ポリウレタン、並びにこれらの組み合わせを包含する熱可塑性ポリマー、を包含する種々の材料を含むことができる。好適なブレンドとしては、更に、例えば、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリウレタン/ポリオレフィン、ポリウレタン/ポリカーボネート、及びポリウレタン/ポリエステルなどを包含する、熱可塑性ポリマー、エラストマー系ポリマー及びこれらの組み合わせのブレンドも挙げられる。有用なポリエチレン酢酸ビニルコポリマー発泡体は、セキスイ・アメリカ社の事業部であるボルテック(Voltek, Division of Sekisui America Corporation)(マサチューセッツ州ローレンス(Lawrence))から取引表記ボルエクストラ(VOLEXTRA)及びボララ(VOLARA)シリーズとして入手可能である。
【0112】
有用なポリマーフィルムとしては、例えば、単層フィルム、多層フィルム、多孔質及び無孔フィルム、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。ポリマーフィルムは更に、充填フィルム(例えば、炭酸カルシウムを充填したポリオレフィン)などの充填材料であり得る。ポリマーフィルムは、連続層又は不連続層であり得る。多層ポリマーフィルムは、好ましくは、複合フィルム、ラミネートフィルム及びこれらの組み合わせの形態で、互いに一体的に接着されている。ポリマーフィルムは、例えば、共成形、共押出成形、押出し被覆、接着剤による結合、加圧結合、加熱結合、及びこれらの組み合わせを包含するいずれかの好適な方法を用いて、互いに一体化することができる。ポリマーフィルムは、例えば、約0.01mm〜約0.25mm(約0.4ミル〜約10ミル)あるいは約0.01mm〜約0.15mm(約0.4ミル〜約6ミル)を包含する任意の好適な厚みを有することができる。
【0113】
多層感圧性接着剤物品の1つの層の裏材への接着性を向上させるために、裏材上に接着剤組成物を適用、例えば、コーティング又はラミネート加工する前に、裏材を前処理することができる。好適な処理の例としては、コロナ放電、プラズマ放電、フレーム処理、電子ビーム照射、紫外線(UV)照射、酸エッチング、ケミカルプライミング及びこれらの組み合わせが挙げられる。処理は、所望により、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、低分子量の他の反応種、及びこれらの組み合わせを包含する反応性化学接着促進剤を用いて行うことができる。有用な化学的プライマーの例は、米国特許第5,677,376号(グローブズ(Groves))及び同第6,008,286号(グローブズ(Groves))に開示されており、かつ本明細書に組み込まれている。
【0114】
幾つかの実施形態では、多層感圧性接着剤アセンブリは、引っ張り剥離性を示すように組み立てられる。図5Aは、多層感圧性接着剤アセンブリ60の実施形態を、感圧性接着剤層68を介して基材62に結合した多層引っ張り剥離式感圧性接着剤物品(68、66)の形態で示す。多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリ60は、感圧性接着剤66の第2層上に配置された感圧性接着剤68の第1層を含み、それが次に、裏材64の第1主表面74上に配置されている。感圧性接着剤組成物の第3層72は、第1主表面74の反対側の裏材64の第2主表面76上に配置されている。感圧性接着剤68の第1層は、基材62と接触している。
【0115】
多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリは、感圧性接着剤組成物を介して基材へ接着した場合、例えば、伸張性、伸縮性、並びに種々の基材(例えば、ガラス、セラミック、ドライウォール、塗装ドライウォール及び完成させた(例えば、着色しかつワニスを塗った)木材)のうち少なくとも1つから、基材を損傷することなく、きれいに除去できる性能(即ち、目で見える残留物を実質的に含まない)、であることを包含する、引っ張り剥離性を示す。幾つかの実施形態では、接着剤領域の剪断荷重を1.66N/cm(平方インチ当たり2.4ポンド)に保持しつつ、かつ、46℃(115°F)にて、少なくとも10,000分、少なくとも30,000分あるいは少なくとも45,000分の間、水噴霧に晒しつつ、多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリが、接着性を維持するように組み立てられる。
【0116】
裏材を含む多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリの場合、裏材は、長手方向に引き伸ばすことによって細長くなることができ、かつ高延伸性である。本明細書で使用するとき、用語「高延伸性」とは、裏材を長手方向に延伸したときに、元の長さに対して少なくとも約150%の伸びが達成されることを意味する。引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリの裏材は、約50%〜約1,200%、約150%〜約700%、あるいは更に約350%〜約700%の伸びを達成可能であることが好ましい。
【0117】
多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリの好適な裏材としては、例えば、単一層発泡体、多層発泡体、単一層フィルム、多層フィルム及びこれらの組み合わせが挙げられる。引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリのための有用な高分子裏地材料の例は、米国特許第5,516,581号及び国際公開特許第95/06691号(本明細書に組み込まれている)に開示されている。
【0118】
多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリの裏材のために有用な発泡体層は、適合的であるとともに、その上に配置された感圧性接着剤組成物と表面との間の表面接触の程度を増大する助力となる。発泡体層は、約50%〜約600%の伸びを実現可能であることが好ましく、かつ、そこへアセンブリが接着する表面から多層感圧性接着剤アセンブリを除去する前に、基材が破壊されないだけの十分に大きい破断点伸びを示すことが望ましい。
【0119】
高分子発泡体は、表面むら、例えば、塗装ドライウォールを有する表面に物品を接着させる場合に有用である、適合性及び弾力性などの性質を最適化するように選択することができる。適合的かつ弾力的な高分子発泡体は、表面むらを有する表面に接着物品を接着させる用途に適している。発泡体層は、少なくとも約32.0g/L(立法フィート当たり(pcf)2ポンド)、少なくとも約96.1g/L(6pcf)、少なくとも約128.1g/L(8pcf)、又は少なくとも約192.2g/L(12pcf)、約480.6g/L(30pcf)未満、約400.5g/L(25pcf)未満、あるいは約240.3g/L(15pcf)未満の密度を有することが好ましい。発泡体層は、目的の用途に好適な任意の厚みを有することができる。有用な発泡体キャリパー(即ち、厚み)の例としては、少なくとも約0.13mm(約5ミル)、約0.76mm(約30ミル)超、約25mm(約1000ミル)以下、あるいは、約3.18mm(約125ミル)以下が挙げられる。幾つかの実施形態では、発泡体層は、多層発泡体を含み、発泡体の各層は、同一の又は異なる性質、例えば、密度、厚み、伸長率、破断強度、及びこれらの組み合わせを有する。
【0120】
発泡体層は、例えば、ポリオレフィン(例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、及び線状超低密度ポリエチレンなどを包含するポリエチレン)、ポリプロピレン、並びにポリブチレン;ビニルコポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル、可塑化ポリ塩化ビニル及び非可塑化ポリ塩化ビニル、並びにポリビニルアセテート);エチレン/メタクリレートコポリマー、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、及びエチレン/プロピレンコポリマーを包含するオレフィン系コポリマー;アクリルポリマー及びアクリルコポリマー;ポリウレタン、並びにこれらの組み合わせを包含する種々の熱可塑性ポリマーから作製可能である。好適なブレンドとしては、更に、例えば、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリウレタン/ポリオレフィン、ポリウレタン/ポリカーボネート、及びポリウレタン/ポリエステルなどを包含する、熱可塑性ポリマー、エラストマー系ポリマー及びこれらの組み合わせのブレンドも挙げられる。有用なポリエチレン酢酸ビニルコポリマー発泡体は、セキスイ・アメリカ社の事業部であるボルテック(Voltek, Division of Sekisui America Corporation)(マサチューセッツ州ローレンス(Lawrence))から取引表記ボルエクストラ(VOLEXTRA)及びボララ(VOLARA)シリーズとして入手可能である。
【0121】
多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリの裏材に使用するために特に有用なポリマーフィルムは、約50%〜約1,200%、約150%〜約700%、あるいは更に約350%〜約700%の長手方向破断点伸び及び少なくとも約6,894.7KPa(約1,000psi)、少なくとも約17,236.8KPa(約2,500psi)、あるいは少なくとも約20,684.1KPa(約3,000psi)、約499,865.8KPa(約72,500psi)以下、約344,735KPa(約50,000psi)以下、あるいは約34,473.5KPa(約5,000psi)〜約206,841KPa(約30,000psi)のヤング率を有する。ポリマーフィルムは、好ましくは、フィルムの機械方向及び横断方向の少なくとも一方で破断時の所望の伸びを達成することができる。ポリマーフィルムは、そこへアセンブリが接着する表面からアセンブリを除去する前に、多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリが破壊されないだけの十分に大きい破断点伸びを示すことが望ましい。
【0122】
好適なポリマーフィルムは、様々な熱可塑性ポリマーから形成されており、例えば、ポリオレフィン(例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、及び直鎖超低密度ポリエチレン等を包含するポリエチレン)、ポリプロピレン、及びポリブチレン;ビニルコポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル、可塑化及び非可塑化ポリ塩化ビニル、並びにポリ酢酸ビニル);例えば、エチレン/メタクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、及びエチレン/プロピレンコポリマー類を包含するオレフィン性コポリマー;アクリルポリマー及びコポリマー;ポリウレタン;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。好適なブレンドとしては、更に、例えば、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリウレタン/ポリオレフィン、ポリウレタン/ポリカーボネート、及びポリウレタン/ポリエステルなどを包含する、熱可塑性ポリマー、エラストマー系ポリマー及びこれらの組み合わせのブレンドも挙げられる。
【0123】
一部の実施形態では、高延伸性のポリマーフィルムは、多層フィルムの形態である。ポリマーフィルムは、例えば、単層又は多層のフィルム、多孔性フィルム、及びこれらの組み合わせを包含する様々な形態であり得る。ポリマーフィルムは更に、充填フィルム(例えば、炭酸カルシウムを充填したポリオレフィン)等の充填材料であってもよい。ポリマーフィルムは、連続層又は不連続層であり得る。多層ポリマーフィルムは、好ましくは、複合フィルム、ラミネートフィルム及びこれらの組み合わせの形態で、互いに一体的に接着されている。ポリマーフィルムは、例えば、共成形、共押出成形、押出し被覆、接着剤による結合、加圧結合、加熱結合、及びこれらの組み合わせを包含するいずれかの好適な方法を用いて、互いに一体化することができる。ポリマーフィルムは、約0.01mm〜約0.25mm(約0.4ミル〜約10ミル)あるいは約0.01mm〜約0.15mm(約0.4ミル〜約6ミル)の厚さを有するのが好ましい。
【0124】
有用な市販の熱可塑性ポリマーフィルムとしては、例えば、取引表記XMAXシリーズとして入手可能な、メタロセンで触媒作用した直鎖低密度ポリエチレンフィルム、及び取引表記マキシレーン(MAXILENE)シリーズとして入手可能な直鎖低密度ポリエチレンフィルム(例えば、マキシレーン200)が挙げられ、これらはいずれもプライアント・コーポレイション(Pliant Corporation)(ウィスコンシン州チペワ・フォールズ(Chippewa Falls))から入手可能である。
【0125】
裏材のフィルム層は、例えば、フィルムと発泡体層との共押出し、共成形、押出し被覆、接着剤組成物による結合、加圧結合、加熱結合、及びこれらの組み合わせを包含するいずれかの好適な機構を用いて発泡体層と接着することができる。フィルム層を発泡体層に接着するのに有用な接着剤組成物類には、下記の接着剤組成物が包含される。剥離を実現するために、多層裏材のポリマーフィルム又は発泡体層の1つだけを延ばそうとする場合には、その層は、十分な物理的性質を示すべきであるとともに、その目的を達成するために十分な厚みがなければならない。
【0126】
ポリマーフィルムを使用して、アセンブリの耐荷重強度及び破裂強度を増大させてもよい。滑らかな表面を一緒に接着するという用途には、フィルムが特に適している。ポリマーフィルム層は、約0.01〜約0.25mm(約0.4〜約10ミル)、より好ましくは約0.01〜約0.15mm(約0.4〜約6ミル)の厚さを有するのが好ましい。
【0127】
裏材は、所望により、エラストマー材料を含む。好適なエラストマー系裏地材料としては、例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリクロロプレン(即ち、ネオプレン)、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリスルフィドゴム、シス−1,4−ポリイソプレン、エチレン−プロピレンターポリマー(例えば、EPDMゴム)、シリコーンゴム、シリコーンポリ尿素ブロックコポリマー、ポリウレタンゴム、ポリイソブチレン、天然ゴム、アクリレートゴム、熱可塑性ゴム、例えば、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー及びスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー並びに熱可塑性ポリオレフィンゴム材料が挙げられる。
【0128】
有用な感圧性接着剤アセンブリ及び裏材の例は、米国特許第4,024,312号(コープマン(Korpman))、同第5,516,581号(クレッケル(Kreckel)ら)、同第6,001,471号(ブリース(Bries)ら)及び同第6,004,642号(ラングフォード(Langford))並びに国際公開特許第95/06691号(本明細書に組み込まれている)に記載されている。有用な裏材の他の例としては、国際公開特許第98/21285号に記載されているような分割可能層裏材及び国際公開特許第99/31193号(本明細書に組み込まれている)に記載されているような再結合性層裏材が挙げられる。
【0129】
他の有用な引っ張り剥離式感圧性接着剤組成物及び構造は、米国特許第6,280,840号(ルーマン(Luhmann)ら)及び同第5,897,949号(ルーマン(Luhmann)ら)(本明細書に組み込まれている)に記載されている。
【0130】
タブ
多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリは、所望により、非粘着性タブを含む。ユーザーは、当該非粘着性タブをつかんで引っ張り、取り外し工程中、多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリを引き伸ばして、アセンブリが貼り付けてある対象体又は基材からそのアセンブリを取り外すことができる。タブは、各種形態で存在することができる。一実施形態では、タブは、感圧性接着剤組成物を有しない裏材の一部である。その他の実施形態では、タブとしては、感圧性接着剤組成物と接着してそれを覆う、カバー層が挙げられる。別の実施形態では、タブは、裏材の先端部分に取り付けられた別個の構成要素である。別の実施形態では、タブは、任意の好適な方法を用いて感圧性接着剤組成物の粘着性を除去することによって作製され、方法には、例えば、粉末(例えば、ベーキングパウダー(即ち、炭酸カルシウム)、及び二酸化チタン)を適用すること、放射線(例えば、紫外線)照射、ワニス又はインクによるオーバーコーティング、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0131】
多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリは、引き伸ばすことによって基材から剥離することができる。基材62からの非粘着性タブ70を含む多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリ60の剥離についての略図は、図5Bに示されている。基材表面62のほぼ平行方向で、多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリ60へ力(F)を適用する。接合構造体は、専断応力に対する比較的大きな初期抵抗力を示す。この抵抗に打ち勝つだけの十分な力を多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリ60に適用した場合、図5Bに図示されているように、裏材64が変形し始める。感圧性接着剤層68が伸長し、かつ基材62から剥離する際に、裏材64が生じる。多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリ60の延伸角は通常、基材62の表面とほぼ平行な方向であって、角度は、基材表面から、約35度以下、約30度以下、あるいは約10度以下である。適切な角度での除去によって、基材上には目で見える接着剤残留物は無く、かつ表面の損傷が回避される。
【0132】
多層アセンブリの製造方法
多層アセンブリは、例えば、お互いの上に層を直接コーティングすること(例えば、同時に、連続的に及びこれらの組み合わせで)、第1層を形成すること(例えば、剥離ライナー上に組成物をコーティングすることによって)かつ引き続いて当該第1層を第2層へ積層すること、層の少なくとも2つを同時押出成形すること、及びこれらの組み合わせを包含する任意の好適な方法を使用して作製可能である。1つの有用な多層アセンブリ作製方法は、剥離ライナー上にシリコーン系感圧性接着剤組成物をコーティングすることと、引き続いて、第2組成物を直接シリコーン系感圧性接着剤組成物上にコーティングすることを包含する。第2組成物は、シリコーン系感圧性接着剤組成物が依然として濡れたまま、シリコーン系感圧性接着剤組成物上にコーティングすることができる。第2組成物は、それがシリコーン系感圧性接着剤組成物上にコーティングされた場合に、未硬化(即ち、濡れた、溶融した、非架橋の又は部分的にのみ架橋された)であり得る。他の有用なコーティング方法としては、スロットダイ、ナイフ、スロットフェッドナイフ(slot fed knife)、グラビア、ロッド、カーテンコーティング並びに溶剤、水系及びホットメルト組成物をコーティングするための他の方法が挙げられる。
【0133】
別の実施形態では、第2層の組成物がその上にコーティングされる時、シリコーン系感圧性接着剤組成物は、硬化状態(例えば、少なくとも部分的に架橋されており、少なくとも部分的に乾燥しており、又はこれらの組み合わせである)にある。第2層の組成物は、硬化された又は未硬化されたものであり得る。
【0134】
コーティング方法に関して用語「硬化した」は、広く、固体(例えば、ホットメルト組成物の場合)、乾燥又は少なくとも部分的に乾燥(例えば、不堅牢液体キャリア(例えば、水及び有機液体)を含む組成物の場合)、架橋済み又は部分的架橋済み(例えば、架橋性である組成物の場合)、並びにこれらの組み合わせである組成物を指すために使用される。
【0135】
コーティング方法に関して用語「未硬化」は、広く、溶融(例えば、ホットメルト組成物の場合)、濡れたもの(例えば、不堅牢液体キャリア(例えば、水及び有機液体)を含む組成物の場合)、非架橋又は部分的架橋済み(例えば、架橋性である組成物の場合)、並びにこれらの組み合わせである組成物を指すために使用される。
【0136】
多層物品の個々の層は、連続的又は不連続的であり得る。多層物品の個々の層は、自己支持型又は別の層、基材(例えば、裏材)による支持型、及びこれらの組み合わせでもあり得る。
【0137】
ある感圧性接着剤層から別の層(例えば、別の感圧性接着剤層又はエラストマー層)への接着性を向上させるために、層のうち少なくとも1つを処理して、層間接着力を向上させることができる。有用な処理方法の例としては、例えば、ケミカルプライミング、コロナ放電、プラズマ放電、フレーム処理、電子ビーム照射、紫外線(UV)照射、酸エッチング、及びこれらの組み合わせが挙げられる。処理は、所望により、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、低分子量の他の反応種、及びこれらの組み合わせを包含する反応性化学接着促進剤を用いて行うことができる。一方法では、プライマーは、層を第2層(例えば、エラストマー又は感圧性接着剤組成物)と接触させる前に、感圧性接着剤層の表面へと適用される。有用なプライマーの例は、例えば、米国特許第5,677,376号(グローブズ(Groves))及び同第6,008,286号(グローブズ(Groves))に開示されており、かつ本明細書に組み込まれている。
【0138】
引っ張り剥離式感圧性アセンブリは、例えば、基材(例えば、裏材)上に直接、組成物をコーティングする工程、層(例えば、剥離ライナー上に組成物をコーティングすることによって)を形成する工程、これに引き続いて、層を裏材に積層する工程、同時押出成形する工程、及びこれら工程の組み合わせを包含する、感圧性接着剤アセンブリ製造のための任意の好適な方法を使用して形成することができる。
【0139】
引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリを調製するための種々の方法を使用して、多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリを形成することができる。幾つかの方法においては、多層アセンブリの組成物は、基材(例えば、裏材)上に直接コーティングされ、別個の層として形成され(例えば、剥離ライナー上にコーティングされ)、次に、層(例えば、裏材、別の層(例えば、エラストマー又は感圧性接着剤層))へと積層され、あるいはこれらが組み合わされる。引っ張り剥離式感圧性接着剤物品及びアセンブリの有用な製造方法の例については、米国特許第6,569,521号、同第6,403,206号、同第6,001,471号及び同第5,516,581号並びに国際公開特許第2005/059055号(本明細書に組み込まれている)にもまた記載されている。
【0140】
多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリは、例えば、テープ、細片、シート、ウェブ、ロール、ラベル、及びこれらの組み合わせを包含する各種形態にて組み立てることができる。
【0141】
使用
本明細書で記載される多層感圧性接着剤物品及びアセンブリは、例えば、2つの基材を共に結合すること、例えば、フック、ハンガー、及びホルダー(例えば、かみそり、スポンジ、シャンプーボトル、タオルのためのホルダー)、バスルーム、例えば、トイレ(例えば、トイレタンクを含む)、タブ、シンク、及び壁、シャワー、ロッカールーム、スチームバスルーム、プール、温水浴槽、台所、例えば、キッチンシンク、食器洗浄機及び防水タイル壁領域、冷蔵庫及び冷蔵機、並びに屋外用途及び冷蔵庫を含む低温用途で使用される物品に見出されるもののような、濡れた又は高湿度の環境にある物品を含む物品を使用する取付用途を包含する、多様な用途にて用いるのに好適である。有用な屋外用途としては、例えば、標識を含む物品を、窓及び乗り物などの屋外表面へ結合することを含む。幾つかの実施形態では、多層引っ張り剥離式感圧性接着剤物品は、ガラス(例えば、窓)、セラミック、大理石、花崗岩、又はこれらの組み合わせに接着させるのに適している。
【0142】
多層引っ張り剥離式感圧性接着剤物品及びアセンブリは、例えば、(1)塗装ドライウォール、しっくい、コンクリート、ガラス、セラミック、ガラス繊維、金属又はプラスチック、装飾用壁掛け、形成体、ホルダー、バスケット、容器、装飾(例えば、ホリデーデコレーション)、カレンダー、ポスター、ディスペンサー、ワイヤークリップ、自動車の車体側面成形、手提げ、標識用途(例えば、道路標識、乗り物の印、交通機関の印、及び反射シート)のなどの表面上での取付用途;(2)例えば、少なくとも2つの容器、例えば、箱を、後で分離するために接着させることを含む結合及び組立用途;(3)例えば、対象物の真下に配置するための緩衝材、遮音シート材、及びこれらの組み合わせを含む緩衝作用及び消音用途;(4)例えば、容器梱包(例えば、箱梱包)、食料容器の梱包、飲料容器の梱包、おむつ梱包、及び外科用ドレープ梱包を含む梱包用途;(5)振動減衰;(6)液体、蒸気(例えば、水分)、及びダストのためのシーリング用途、例えば、ガスケット;(7)断熱;(8)ラベリング、例えば、ノート、値札、及び容器上の識別ラベルを含む取り外し可能なラベル、並びに標識;(9)医療用途(例えば、包帯、医療装置ラベリング(例えば、病院での設定)創部のケア);(10)締め付け用途、例えば、1つの対象物(例えば、花瓶)を別の対象物(例えば、テーブル又は書棚)へ締め付けること;(11)固定用途、例えば、ロック機構の1つ以上の構成要素を基材に固定すること(例えば、子供用安全ロックをキャビネット又は食器棚へ);(12)不正表示用途(例えば、不正表示物品);並びに(13)ワイヤー及びコードのオーガナイザー、ホルダー、及びクリップ、を包含する、種々の他の構成物及び用途にて使用することが可能である。
【0143】
多層引っ張り剥離式感圧性接着剤物品及びアセンブリは更に、様々な他の構造物類に組み込むことも可能であり、構造物には、例えば、研磨物品(例えば、サンド処理用)、サンド処理及び艶出し用途のための物品(例えば、バフ磨きパッド、ディスクパッド、手パッド、及び艶出しパッド)、舗装マーキング物品、並びに敷物(例えば、カーペット用裏材)が挙げられる。
【0144】
多層引っ張り剥離式感圧性接着剤物品及びアセンブリは、例えば、テープ、細片、シート(例えば、穴あきシート)、ラベル、ロール、ウェブ、ディスク、及びキット(例えば、取り付け対象物及び多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリ)を包含する、任意の有用な形態にて提供され得る。同様に、複数の多層引っ張り剥離式感圧性接着剤物品及びアセンブリはまた、例えば、テープ、細片、シート(例えば、穴あきシート)、ラベル、ロール、ウェブ、ディスク、キット、スタック、錠剤、及びこれらの組み合わせ(例えば、ディスペンサー、バッグ、箱、及びボール箱を含む任意の好適な包装容器にて)を包含する、任意の好適な形態で提供され得る。
【0145】
種々の対象物を使用して、例えば、フック、分離可能コネクタシステムを含む、多層引っ張り剥離式感圧性接着剤物品及びアセンブリの上に物品を取り付けることができ、その例は、米国特許第6,972,141号、同第6,692,807号及び同第6,572,945号(本明細書に組み込まれている)、及びこれらの組み合わせに記載されている。取付用途のために引っ張り剥離式感圧性接着剤物品と組み合わせて使用するための好適なフック構成は、米国特許第5,507,464号並びに米国特許第D386,067号及び同第D480,292号に記載されており、かつ本明細書に組み込まれている。
【0146】
多層引っ張り剥離式感圧性接着剤物品及びアセンブリは、基材、例えば、取り付け器具、及び基材表面に接着させた引っ張り剥離式感圧性接着剤物品を含む物品の構成要素でもあり得る。物品は、基材と接触していない多層引っ張り剥離式感圧性接着剤物品又はアセンブリの接着面上に配置された剥離ライナーを含むことができる。
【0147】
多層引っ張り剥離式感圧性接着剤物品又はアセンブリは、例えば、少なくとも1種のテープであって、各テープが異なった性質例えば、寸法を有してもよいもの、及び少なくとも1種の器具、例えば、フック、ホルダー、ハンガー、デコレーション、部品、ラベル又はこれらの組み合わせであって、一単位として一緒に梱包されているものを含むキットの構成要素でもあり得る。
【0148】
ここで本発明を以下の実施例によって説明する。
【実施例】
【0149】
試験手順
本実施例において使用される試験手順は以下のものを包含する。
【0150】
180度剥離接着性試験方法
サンプルの180度剥離強度は、ASTM D3330/D3330M−04、「感圧テープの角度180度での剥離接着性についての標準試験方法(Standard Test Method for Peel Adhesion of Pressure-Sensitive Tape at 180° Angle)」(ガラス基板上での試験方法Eに従う)に従って試験した。
【0151】
剥離力試験方法
層の剥離ライナーへの付着力は、ASTM D3330/D3330M−04、名称「感圧テープの剥離接着性の標準試験方法(Standard Test Method for Peel Adhesion of Pressure-Sensitive Tape)」(試験方法Dを以下の変更を加えて使用した)に従って試験した。評価した試験用サンプルの寸法は、1.27cm(センチメートル)×12.7cm(0.5in(インチ)×5in)であった。サンプルは、トウィング・アルバート摩擦/剥離試験機を使用し、1秒間の事前剥離、続いて20秒間の応答測定時間(その間に剥離力が平均化される)で動作させて、試験した。3つのサンプルを試験し、平均剥離力が報告された。
【0152】
静的剪断試験方法
静的剪断力は、ASTM D3654−82、名称「感圧テープの保持力(Holding Power of Pressure-Sensitive Tapes)」の方法(以下の変更を行った)に従って決定した。剥離ライナー(単一又は複数)が存在する場合、それを試験用サンプルから除去する。1.27cm(センチメートル)×1.27cm(0.5in(インチ)×0.5in)の寸法を有する試験用サンプルを、接着剤組成物を介して、即ち、22℃(72°F)かつ相対湿度50%にて、6.8kg(15ポンド)ハンドヘルド型ローラーによってサンプルの長さだけ2回、30.48cm/分(12in/分)の速度で通過させることによって、試験用基材に接着させた。1.91cm×10.16cm(0.75in×4in)の寸法を有する金属蒸着ポリエステルフィルムを、負荷を取り付ける目的のために接着試験用サンプルの片面に接着する。
【0153】
試験用サンプルは、試験用基材上で22℃及び相対湿度50%において1時間放置させた後、金属蒸着ポリエステルフィルムに1kgの重りを加える。破損するまでの時間(分)を記録して、試験用サンプル全てについて、標準検査法の第10.1章の手順A及びCに従って算出される平均値を報告する。6個のサンプルを試験して、6個のサンプルが破損するまでの平均時間と各サンプルの(存在する場合は)破損モードを記録する。6個の試料のうち少なくとも1つが、試験終了時に破損しなかった場合、値に、「よりも大きい」という記号(即ち、>)を付けて報告する。
【0154】
剥離力試験方法
標準的可変角度剥離治具を改良して、IMASS接着性試験機(IMASS社(Imass, Inc.)(マサチューセッツ州ヒンガム(Hingham)))と共に使用して、試験用表面に接着した接着テープの低角度剥離力を測定する。ジグは、5.08cm×30.5cm(2in×12in)の基材をしっかりと保持することができる。ジグをIMASSのプラテンに固定する。
【0155】
1.59cm×6.99cm(5/8in×2.75in)の試験用サンプルを対象の基材に接着させ、1.59cm×5.08cm(5/8in×2in)の結合領域を得た。試験用サンプルは、IMASS試験機に固定するために、1.59cm×1.91cm(5/8in×3/4in)の非接着タブを有している。
【0156】
1.59cm×5.08cm×0.16cm(1/16in)高衝撃ポリスチレン平面ピースは、基材と反対の試験用サンプルの側面に結合している。次いで、試験用サンプルを相対湿度50%及び22.2℃の条件下において24時間コンディショニングした後、76.2cm/分(30in/分)の剥離速度及び剥離角2°で剥離する。
【0157】
基材から除去するために裏材を延伸するのに必要な平均剥離力を、幅1.59cm(5/8in)当たりのオンスの単位で記録する。各基材について3回の測定を行い、結果を平均する。
【0158】
剥離伸び率試験方法
接着基材から完全に剥離させる際の、初期結合長に対する裏材の全伸びは、定規によって測定され、次の計算に従って剥離伸び率を決定する。
剥離伸び率=(AD/I)100
式中、Iは剥離(即ち、引き伸ばし剥離)前の裏材の長さであり、ADは剥離(即ち、引き伸ばし剥離)後の裏材の長さである。
各基材について3回の測定を独立して行い、結果を平均する。
【0159】
多層接着剤の厚さ測定
多層サンプルを30分間ドライアイス上でコンディショニングした後、直ちにかみそりで切り分け、多層サンプルの断面領域を露出させた。断面領域は、ビジョンゲージ(VISIONGAUGE)ビデオ顕微鏡ソフトウェア(カナダ、ケベック州ポイント−クレア(Pointe-Claire)のビジョンx社(VISIONx Inc.))を装備したフレックスバー・オプティ−フレックス・ビジョン・システム(FLEXBAR OPTI-FLEX VISION SYSTEM)(ニューヨーク州アイランディア(Islandia)のフレックスバー・マシーン社(Flexbar Machine Corp.))で観察する。多層サンプルの層間における界面の断面領域図は、デジタル画像とし、所望により、層厚を測定する。
【0160】
厚み測定法
サンプルの厚さは、小野測器(Ono Soki)ST−022デジタルゲージを用いて測定する。サンプル全域にわたってランダムな位置で複数回測定を行い、平均厚さをインチ(in)単位で記録する。
【0161】
材料
0.91mm(36ミル)多層コンポジット発泡体積層体裏材
0.91mm(36ミル)多層コンポジット発泡体積層体裏材は、2枚の0.0046cm(1.80ミル)厚の線状低密度ポリエチレンフィルムの間に積層された、96.1g/L(立法フィート当たり6ポンド)の密度を有するポリエチレンビニルアセテートコポリマー発泡体を包含する。コンポジット発泡積層体のフィルム層を、接着剤の積層前に、米国特許第5,677,376号(グローブズ(Groves))の実施例15に従って調製した化学プライマーで処理する。
【0162】
SYL−OFF Q2−7786剥離ライナー
SYL−OFF Q2−7786剥離ライナーは、2枚の5.2kg(11.5ポンド)高密度ポリエチレンコロナ処理フィルム層(その1つは、つや消し仕上げを含み、その他のものはつや仕上げを含む)(ラペラックス(Loparex)(イリノイ州ウィローブルック(Willowbrook)))の間に挟み込まれた、15.9kg(35ポンド)の漂白されたクラフト紙である。つや消し仕上げポリエチレンフィルム層の露出表面は、約2.5グラム・平方メートル当たり(gsm)の、Q2−7786フルオロシリコーンポリマー(ダウ・コーニング社(ミシガン州ミッドランド))、Q2−7560架橋剤(ダウ・コーニング社)及び白金系触媒(ダウ・コーニング社)の反応生成物を含み、かつ、つや仕上げポリエチレンフィルム層の露出表面は、約1.5gsmの、Q2−7785フルオロシリコーンポリマー(ダウ・コーニング社)、Q2−7560架橋剤及び白金触媒の反応生成物を含む。
【0163】
SYL−OFF Q2−7785剥離ライナー
SYL−OFF Q2−7785剥離ライナーは、Q2−7785フルオロシリコーンポリマー、Q2−7560架橋剤及び白金系触媒の反応生成物によって表面処理されたREXAMポリエステル剥離ライナー(ラペラックス(Loparex)、イリノイ州ウィローブルック(Willowbrook))である。
【0164】
シリコーン剥離ライナー
シリコーン剥離ライナーは、その2つの主表面上に、シリコーン剥離組成物・2−3.2 RLS−4000 MHS 6030S(ラペラックス(Loparex)(イリノイ州ウィローブルック(Willowbrook)))をコーティングされた、88.7g/cm(3000平方フィート当たり54.5ポンド)の用紙である。
【0165】
感圧性接着剤組成物の調製
感圧性接着剤組成物1(PSA1)
感圧性接着剤組成物は、各構成成分の量を変更して、MW PDMSジアミン(/1000)/モル ダイテック(DYTEK)A ポリアミン/重量% MQ樹脂が33/0.5/50となる感圧性接着剤組成物を得るようにしたという点を除いて、米国特許第6,569,521号(シェリダン(Sheridan))(本明細書に組み込まれている)の実施例27の方法に従って調製した。
【0166】
感圧性接着剤組成物2(PSA2)
感圧性接着剤組成物は、米国特許第6,231,962号(ブリース(Bries))(本明細書に組み込まれている)の組成物Dに従って調製した。
【0167】
感圧性接着剤組成物3(PSA3)
感圧性接着剤組成物は、各構成成分の量を変更して、MW PDMSジアミン(/1000)/モル ダイテック(DYTEK)A ポリアミン/重量% MQ樹脂が14/0.25/50である感圧性接着剤組成物を得たという点を除いて、感圧性接着剤組成物1の調製で使用した方法に従って調製した。
【0168】
エラストマー組成物1(EC1)
エラストマーブレンドは、65部のフィナプレーネ(FINAPRENE)411放射状スチレン−ブタジエン−スチレン熱可塑性エラストマー及び35部のフィナプレーネ(FINAPRENE)1205ジ−ブロック・スチレン−ブタジエンコポリマー(その両方ともに、トータル・ペトロケミカルズ社(Total Petrochemicals)(ベルギー、ブリュッセル)から入手可能)を組み合わせ、トルエンを添加して、溶液混合物の最終固形分を、剪断攪拌後にて40%に調整することにより調製した。
【0169】
感圧性接着剤組成物4(PSA4)
ガラス製反応ボトル内に、イソオクチルアクリレート169.2グラム、氷アクリル酸(ダウケミカル社(Dow Chemical)(ミシガン州)から入手可能)10.8グラム、エチルアセテート220.0グラム及びバゾ(VAZO)64 2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)フリーラジカル反応開始剤(E.I.デュポン社(E.I. DuPont Company)(デラウェア州))0.27グラムを置いた。反応用ボトル及び内容物を、毎分1リットルの窒素にて2分間でパージし、密封した。反応用ボトルを60℃の恒温槽中に置き、その中で24時間振盪させた。更に320グラムのエチルアセテートを組成物に添加して、希釈する。得られた感圧性接着剤組成物は、24.78%に相当する固形分含有量及び固有粘度1.29dL/g(グラム当たりのデシリットル)(エチルアセテート中で測定)を有すると測定された。
【0170】
感圧性接着剤組成物5(PSA5)
感圧性接着剤組成物は、各構成成分の量を変更して、MW PDMSジアミン(/1000)/モル ダイテック(DYTEK)A ポリアミン/重量% MQ樹脂が14/1/50である感圧性接着剤組成物を得たという点を除いて、感圧性接着剤組成物1の方法に従って調製した。
【0171】
感圧性接着剤組成物6(PSA6)
感圧性接着剤組成物は、各構成成分の量を変更して、MW PDMSジアミン(/1000)/モル ダイテック(DYTEK)A ポリアミン/重量% MQ樹脂が5/0.5/50である感圧性接着剤組成物を得たという点を除いて、感圧性接着剤組成物1の方法に従って調製した。
【0172】
感圧性接着剤組成物7(PSA7)
感圧性接着剤組成物は、各構成成分の量を変更して、MW PDMSジアミン(/1000)/モル ダイテック(DYTEK)A ポリアミン/重量% MQ樹脂が33/2/50である感圧性接着剤組成物を得たという点を除いて、感圧性接着剤組成物1の方法に従って調製した。
【0173】
感圧性接着剤組成物8(PSA8)
ガラス製反応ボトル内に、イソオクチルアクリレート146.47グラム、氷アクリル酸(ダウケミカル社(Dow Chemical)(ミシガン州)から入手可能)11.03グラム、エチルアセテート192.0グラム及びバゾ(VAZO)64 2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)フリーラジカル反応開始剤(E.I.デュポン社(E.I. DuPont Company)(デラウェア州))0.24グラムを置いた。反応用ボトル及び内容物を、毎分1リットルの窒素にて2分間でパージし、密封した。反応用ボトルを55℃の恒温槽中に置き、その中で24時間振盪させた。更に255.53グラムのヘプタンをポリマーに添加して希釈し、25.23%に相当する固形分であることを測定した。エチルアセテート中で測定されたポリマーの固有粘度は、1.64dL/gであった。
【0174】
感圧性接着剤組成物9(PSA9)
ガラス製反応ボトル内に、イソオクチルアクリレート180.0グラム、氷アクリル酸(ダウケミカル社(Dow Chemical)(ミシガン州)から入手可能)20.0グラム、エチルアセテート234.78グラム及び過酸化ベンゾイルフリーラジカル反応開始剤(アルケマ社(Arkema Inc.)(ペンシルベニア州フィラデルフィア))0.20グラムを置いた。反応用ボトル及び内容物を、毎分1リットルの窒素にて2分間でパージし、密封した。反応用ボトルを60℃の恒温槽中に置き、その中で24時間振盪させた。更に341グラムのトルエンをポリマーに添加して希釈し、23.68%に相当する固形分であることを測定した。エチルアセテート中で測定されたポリマーの固有粘度は、1.75dL/gであった。
【0175】
比較実施例1
引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリは、感圧性接着剤組成物1の第1層を、SYL−OFF Q2−7786剥離ライナーのSYL−OFF Q2−7785処理済表面上に、実験室用ナイフコーターを使用してコーティングすることによって作製した。次に、強制対流オーブン内にて70℃で約15分間、接着剤を乾燥させた。
【0176】
(実施例1)
多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリは、感圧性接着剤組成物1の第1層を、SYL−OFF Q2−7785剥離ライナーのSYL−OFF Q2−7785処理済表面上に、第1ナイフコーターステーションの実験室用ナイフコーターを使用してコーティングすることによって作製した。次に、コーティングされた剥離ライナーを第2ナイフコーティングステーションへ移動させ、そこで、感圧性接着剤組成物2の層を第1層の表面上へナイフ塗布したが、一方、第1層の接着剤組成物は依然として湿っていた。次に、構造物を強制対流オーブン内、70℃にて約15分間乾燥させて、0.04mm(1.5ミル)の感圧性接着剤組成物1の層及び0.04mm(1.5ミル)の感圧性接着剤組成物2の層を含む多層アセンブリを形成した。
【0177】
(実施例2)
多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリは、感圧性接着剤組成物1の第1層を、SYL−OFF Q2−7785剥離ライナーのSYL−OFF Q2−7785表面上に、第1ナイフコーターステーションの実験室用ナイフコーターを使用してコーティングすることによって作製した。次に、感圧性接着剤組成物1の層を乾燥させて、フィルムを形成した。次に、感圧性接着剤組成物2を、乾燥させた第1層の表面上にナイフコーティングした。次に、多層アセンブリを強制対流オーブン内、70℃にて約10分間乾燥させて、0.04mm(1.5ミル)の感圧性接着剤組成物1の層及び0.04mm(1.5ミル)の感圧性接着剤組成物2の層を含む多層アセンブリを形成した。次に、第2のSYL−OFF Q2−7785剥離ライナーを、感圧性接着剤組成物2の層の露出表面上に置いた。
【0178】
ビジョン−ゲージ(Vision-Gauge)ビデオ顕微鏡を使用して、デジタル画像を得て、実施例2の、2つの境界分離接着剤層の存在を記録する。図6に示す顕微鏡写真イメージは、実施例2に従って作製した多層アセンブリの4つの別個の層を示している。2つの外層・A、Bは、SYL−OFF Q2−7785剥離ライナーであり、第1内層・Cは、感圧性接着剤組成物1であるとともに、第2内層・Dは、感圧性接着剤組成物2である。
【0179】
(実施例3)
多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリは、感圧性接着剤組成物2を、SYL−OFF Q2−7785剥離ライナーのSYL−OFF Q2−7785表面上に、実験室用ナイフコーターを使用してコーティングすることによって作製した。次に、感圧性接着剤組成物2を乾燥させて、第1フィルムを形成した。次に、湿った感圧性接着剤組成物1を、感圧性接着剤組成物2の乾燥させた層の表面上に、実験室用ナイフコーターを使用してコーティングした。次に、感圧性接着剤組成物1の層を乾燥させて、0.04mm(1.5ミル)の感圧性接着剤組成物1の層及び0.04mm(1.5ミル)の感圧性接着剤組成物2の層を含む多層アセンブリを形成した。
【0180】
(実施例4)
実施例2の方法に従って作製された多層感圧性接着剤アセンブリを、0.91mm(36ミル)多層コンポジット発泡体積層体裏材上へ、第2層の感圧性接着剤組成物、即ち、感圧性接着剤組成物2を介して積層し、引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリを形成した。
【0181】
実施例4の多層アセンブリを、静的剪断力試験方法に従って試験し、ガラス基板に対して、室温(約22℃(72°F))にて45,000分、塗装ドライウォール基板に対して、室温で>45,000分及びガラス基板に対して、32℃(90°F)及び90%相対湿度にて>15,000分を示した。実施例4の多層アセンブリもまた、引き伸ばし剥離力及び清浄除去性について試験し、塗装ドライウォール基板及びガラス基板からきれいに除去されることを示した。サンプル片は、幅1.25kg/cm(69.9オンス/0.625インチ)のガラス表面に対する引き伸ばし剥離力を示した。実施例4の多層アセンブリの垂直引張試験により、発泡体破壊、即ち、>68.9N/cm(100ポンド/in)の抵抗力が得られた。各試験のために、剥離ライナーをアセンブリから除去し、かつ第1層の感圧性接着剤組成物、即ち、感圧性接着剤組成物1を介して、当該アセンブリを試験用基材へ接着させた。
【0182】
(実施例5〜10)
一連の多層感圧性接着剤アセンブリは、2層スロット供給ナイフダイ又は3層スロット供給ナイフダイ並びに上記の、感圧性接着剤組成物1〜3及びエラストマー組成物1を使用して作製された。層の組み合わせ、厚み(ミル単位)及び層相互の比率は、表1に記述されている。各多層アセンブリの層1は、ポリコート剥離ライナーのSYL−OFF Q2−7785表面上へと直接コーティングした。ポリコート剥離ライナーは、2つの高密度ポリエチレンコロナ処理フィルム層の間に挟み込まれた漂白紙15.9kg(35ポンド)であった。層1〜3は、目標とする乾燥厚み及び接着剤の固形分重量%に基づいて規定された個々のギャップサイズ及びポンプ速度にて、溶剤から同時コーティングした。コーティングされたウェブは、第1オーブンゾーン(長さは、1.5m(5フィート))を通して、温度65℃、1.5メートル/分の速度で移送し、次に、第2オーブンゾーン(長さは、1.5m(5フィート))を通して、温度82℃にて移送した。気流速度は、20メートル/秒であった。
【0183】
次に、多層感圧性接着剤アセンブリを、0.91mm(36ミル)の多層コンポジット発泡積層体裏材上へと、最外接着剤層(即ち、2重感圧性接着剤層アセンブリ中の層2及び3重感圧性接着剤アセンブリ中の層3)を介して接着させ、引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリを形成した。
【0184】
実施例5〜10の多層感圧性接着剤アセンブリは、静的剪断力試験方法に従って試験し、ガラス上32℃(90°F)かつ相対湿度90%での耐荷重性、並びに塗装ドライウォール上22℃(72°F)での耐荷重性を得た。引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリは、剥離ライナーを除去すること及び多層アセンブリを感圧性接着剤組成物1を介して試験用基材へ結合させることによって試験した(where tested)。結果は、表2にて分単位で報告されており、32℃(90°F)かつ相対湿度90%でのガラスへの接着性が8個のサンプルの結果である点を除けば、6個のサンプルの平均を表示している。
【0185】
【表1】

NA=該当なし
【0186】
【表2】

NT=試験せず
CTH=制御された温度22℃(72°F)、相対湿度50%
RH=相対湿度
【0187】
(実施例11〜16)
サンプル調製方法1
多層引っ張り剥離式感圧性接着剤組成物アセンブリは、実験室用ナイフコーターを使用して感圧性接着剤組成物の第1層を第1剥離ライナーの第1表面上へコーティングすることによって作製した。次に、感圧性接着剤組成物の層を乾燥させて第1フィルムを形成し、第1フィルムの厚さをミル単位で記録した。実験室用ナイフコーターを使用して、第2剥離ライナーの第1表面上に感圧性接着剤組成物の第2層をナイフコーティングして乾燥させて第2フィルムを形成し、第2フィルムの厚さをミル単位で記録した。次に、第2フィルムの感圧性接着剤層上へと、0.17MPa(平方インチ当たり(psi)25ポンド)の圧力で第1フィルムの感圧性接着剤層を乾燥貼合せして、感圧性接着剤組成物の乾燥第1層及び感圧性接着剤組成物の乾燥第2層を含む多層アセンブリを形成した。続いて、0.91mm(36ミル)の多層コンポジット発泡体積層体裏材の各側面上へと、第2層の感圧性接着剤組成物を介して、多層感圧性接着剤アセンブリを積層し、引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリを形成した。多層引っ張り剥離式感圧性接着剤細片を、多層接着剤アセンブリからダイカットし、剥離ライナーを除去することにより、及び第1層の感圧性接着剤組成物を介して、多層アセンブリを表面へと結合させることによって試験した。
【0188】
サンプル調製方法2
検査用サンプルA
多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリは、実験室用ナイフコーターを使用して、第1感圧性接着剤組成物を第1剥離ライナー(RL1)の第1表面上へコーティングすることによって作製した。次に、第1感圧性接着剤組成物を乾燥させて第1接着剤層を形成し、第1接着剤層の厚さをミル単位で記録した。第2感圧性接着剤組成物は、別個に、0.04mm(1.5ミル)のPETフィルムの表面上へナイフコーティングして乾燥させて、第2接着剤層を形成し、第2接着剤層の厚さをミル単位で記録した。次に、第1接着剤層を、0.17MPa(25psi)の圧力にて第2接着剤層上へ乾燥貼合せし、第1接着剤層及び第2接着剤層を含む多層アセンブリを形成した。
【0189】
検査用サンプルB
別個に、多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリは、実験室用ナイフコーターを使用して、第1感圧性接着剤組成物を0.04mm(1.5ミル)のPETフィルム上へコーティングすることによって作製した。次に、第1感圧性接着剤組成物を乾燥させて第1接着剤層を形成し、第1接着剤層の厚さをミル単位で記録した。次に、第2感圧性接着剤組成物を別個に、第2剥離ライナーの第1表面上にナイフコーティングして乾燥させて、第2接着剤層を形成し、第2接着剤層の厚さをミル単位で記録した。次に、第2フィルムの第2接着剤層上へ、0.17MPa(25psi)の圧力にて第1接着剤層を乾燥貼合せし、第1接着剤層及び第2接着剤層を含む多層アセンブリを形成した。次に、第2剥離ライナーを第2接着剤層から除去し、第2接着剤層の露出した接着面へと第3剥離ライナー(RL3)を乾燥貼合せした。
【0190】
実施例11、13及び15の多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリは、サンプル作製方法1に従って作製した。実施例12A、12B、14A、14B、16A及び16Bの多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリは、サンプル作製方法2に従って作製した。実施例11〜16のアセンブリそれぞれについての、感圧性接着剤組成物、乾燥接着剤層厚み、及び剥離ライナーは、表3に記述されている。
【0191】
【表3】

【0192】
(実施例11)
実施例11の接着剤細片は、引き伸ばし剥離時剥離抵抗力(stretch release debond force)及び静的剪断力試験方法に従って試験した。サンプル片は、幅1.18kg/cm(66.4オンス/0.625インチ)のガラス表面に対する引き伸ばし剥離力、475%の伸び及び接着剤残りがほどんど無いきれいな除去;幅1.25kg/cm(69.7オンス/0.625インチ)の塗装ドライウォール表面に対する引き伸ばし剥離力、500%伸び及びきれいな除去;並びに22℃(72°F)の室温かつ50%相対湿度での、57,515分より大きい、塗装ドライウォールへの静的剪断力及び22℃(72°F)かつ50%相対湿度での、57,515分より大きい、ガラスへの静的剪断力を示した。
【0193】
比較実施例1からの細片を、49℃(120°F)にて88日間、エージングさせた。周期的間隔にて、SYLOFF−7786剥離ライナーのSYLOFF−7785表面への感圧性接着剤組成物1の剥離力は、剥離力試験方法に従って測定した。剥離力は、幅1.3cm(0.5インチ)当たりのグラム単位にて表4で報告されている。
【0194】
【表4】

【0195】
実施例12、14及び16の各多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリからの細片は、49℃(120°F)にて88日間エージングした。周期的間隔にて、実施例12、14及び16の各検査用サンプルAの第1剥離ライナーに対する第1感圧性接着剤層の剥離力並びに実施例12、14及び16の各検査用サンプルBの第3剥離ライナーに対する第2感圧性接着剤層の剥離力を剥離力試験方法に従って測定し、剥離力の違い(release differential)を計算した。実施例12A及び12B、14A及び14B、並びに16A及び16Bの結果は、表5〜7にてそれぞれ、幅1.3cm(0.5インチ)当たりのグラム単位で報告されており、図7〜9それぞれにおいて、日数に対して、幅1.3cm(0.5インチ)当たりのグラム単位の剥離力としてプロットされている。第1記録剥離力対第2記録剥離力の比は、違いを示すために表5〜7に記述されている。
【0196】
【表5】

これらの値は、報告を簡略化するために端数は切り捨てられている。実効値は、計算に対応するものである。
【0197】
【表6】

これらの値は、報告を簡略化するために端数は切り捨てられている。実効値は、計算に対応するものである。
【0198】
【表7】

これらの値は、報告を簡略化するために端数は切り捨てられている。実効値は、計算に対応するものである。
【0199】
(実施例13)
実施例13の接着剤細片は、引き伸ばし剥離時剥離抵抗力(stretch release debond force)及び静的剪断力試験方法に従って試験した。サンプル片は、幅1.17kg/cm(65.7オンス/0.625インチ)のガラス表面に対する引き伸ばし剥離力、496%の伸び及び残渣がほどんど無いきれいな除去;幅1.19kg/cm(66.8オンス/0.625インチ)の塗装ドライウォール表面に対する引き伸ばし剥離力、488%伸び及びきれいな除去;並びに22℃(72°F)の室温かつ50%相対湿度での、57,515分より大きい、塗装ドライウォールへの静的剪断力及び22℃(72°F)の室温かつ50%相対湿度での、57,515分より大きい、ガラスへの静的剪断力を示した。
【0200】
(実施例15)
実施例15の接着剤細片は、引き伸ばし剥離時剥離抵抗力(stretch release debond force)及び静的剪断力試験方法に従って試験した。サンプル片は、幅1.19kg/cm(66.6オンス/0.625インチ)のガラス表面に対する引き伸ばし剥離力、458%の伸び及び残渣がほどんど無いきれいな除去;幅1.21kg/cm(67.6オンス/0.625インチ)の塗装ドライウォール表面に対する引き伸ばし剥離力、454%伸び及びきれいな除去;並びに22℃(72°F)の室温かつ50%相対湿度での、57,515分より大きい、塗装ドライウォールへの静的剪断力及び22℃(72°F)の室温かつ50%相対湿度での、57,515分より大きい、ガラスへの静的剪断力を示した。
【0201】
(実施例17〜19)
実施例17A、19A及び19Bは、第1及び第2層の感圧性接着剤組成物並びに使用した剥離ライナーが表8に記述されているようなものであるという点を除いて、実施例2の方法に従って作製された。
【0202】
実施例17Bは、第1及び第2層の感圧性接着剤組成物並びに使用した剥離ライナーが表8に記述されているようなものであるという点を除いて、実施例3の方法に従って作製された。
【0203】
実施例17C、17D、18A、18Cは、第1及び第2層の感圧性接着剤組成物並びに使用した剥離ライナーが表8に記述されているようなものであるという点を除いて、実施例1の方法に従って作製された。
【0204】
(実施例17E)
実施例17の多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリは、SYL−OFF Q2−7786剥離ライナーのSYL−OFF Q2−7785表面上に、感圧性接着剤組成物1の第1層をコーティングすることによって作製した。次に、感圧性接着剤組成物1の層を乾燥させて、第1フィルムを形成した。次に、シリコン処理した剥離ライナーの表面上に、感圧性接着剤組成物2をナイフコーティングし、乾燥させて、第2フィルムを形成した。次に、第2フィルムの感圧性接着剤層上へ、0.17MPa(25psi)の圧力にて、第1フィルムの感圧性接着剤層を乾燥貼合せし、感圧性接着剤全厚0.06mm(2.43ミル)を有する多層アセンブリを形成した。
【0205】
【表8】

第1及び第2接着剤層の総厚み
【0206】
実施例17〜19の多層引っ張り剥離式感圧性接着剤アセンブリは、ガラス及び塗装ドライウォール試験用基材上にて、剥離接着性試験方法並びに引き伸ばし剥離及び静的剪断力試験方法に従って試験した。全試験において、PSA1の層は、試験用基材と接触させた。静的剪断力試験条件は、塗装ドライウォールについて約22℃(72°F)かつ約50%相対湿度であり、ガラス基板について32℃(90°F)かつ90%相対湿度であった。結果(除去の清浄度についての目視観察を含む)は、剥離接着性について、幅1.3cm(0.5インチ)当たりオンス(oz)単位にて、剥離力及び伸び率について、幅オンス/1.59cm(オンス/0.625インチ)にて、表9に報告されている。
【0207】
【表9】

NT=試験せず
1.かすかに残渣あり 2.残渣あり 3.6個のうち2個のサンプルが破壊 4.6個のうち5個のサンプルが破壊
【0208】
残渣とは、接着剤細片の部分的に目に見える輪郭を意味する。
【0209】
他の実施形態は、特許請求の範囲の範疇にある。多層感圧性接着剤アセンブリは、感圧性接着剤組成物及びエラストマー系組成物の各種組み合わせからなる、2つ又は3つの層を含むものとして記載されてきたが、アセンブリは、任意の組み合わせで、任意数の組成物層を含むことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感圧性接着剤アセンブリの製造方法であって、
シリコーンポリマーを含む感圧性接着剤組成物を第1剥離ライナーの第1主表面上にコーティングして、第1層を形成する工程と、
エラストマーを含む組成物を前記第1層上にコーティングして第2層を形成する工程であって、この工程中、前記第1層の感圧性接着剤組成物及び前記第2層の組成物の少なくとも一方が未硬化状態である、工程と、
前記第1層及び前記第2層の少なくとも一方を硬化させる工程と、からなり、
前記多層アセンブリの第1感圧性接着剤組成物は、前記多層アセンブリが46日間49℃(120°F)にて保管された後、剥離ライナーに対して、76.9g/cm(幅0.5インチ当たり100グラム)以下の剥離力を示す、製造方法。
【請求項2】
前記多層アセンブリをそれ自体の上にロールの形態に巻く工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記硬化が、冷却、乾燥、架橋又はこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2層をコーティングする工程が、押出成形、乾式貼合せ、スプレーコーティング、溶媒コーティング、ホットメルトコーティング、スロットダイ、ナイフ、スロットフェッドナイフ、グラビア、ロッド、カーテンコーティング、又はこれらの組み合わせからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2層の組成物が感圧性接着剤組成物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2層の組成物が、前記第1層の感圧性接着剤組成物のシリコーンポリマーと異なるシリコーンポリマー、アクリル樹脂、天然ゴム、ポリクロロプレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリスルフィドゴム、ポリイソプレン、エチレン−プロピレンジエンゴム、ポリウレタン、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、スチレン−ブタジエン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2層の組成物が感圧性接着剤組成物を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1層の感圧性接着剤組成物が、前記第2層を前記第1層上にコーティングする間は未硬化であるとともに、前記第2層の組成物が感圧性接着剤組成物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1層上に前記第2層をコーティングする間は、前記第2層が未硬化である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2層を前記第1層上にコーティングする間は、前記第1層及び前記第2層が未硬化である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1層が前記第2層と接触する前に、前記第1層及び前記第2層の少なくとも1つを下塗することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記剥離ライナーを、得られた多層アセンブリから除去し、前記アセンブリを塗装ドライウォール表面へと前記第1層を介して結合させる場合に、前記アセンブリが塗装ドライウォールに対して少なくとも30,000分の静的剪断力を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記剥離ライナーを、得られた多層アセンブリから除去し、前記アセンブリをガラス基板へと前記第1層を介して結合させる場合、前記アセンブリがガラス基板に対して少なくとも30,000分の静的剪断力を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記剥離ライナーを、得られた多層アセンブリから除去し、前記アセンブリをガラス基板へと前記第1層を介して結合させる場合、前記アセンブリがガラス基板に対して少なくとも30,000分の静的剪断力を90%相対湿度かつ32℃(90°F)にて示す、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第1層及び前記第2層の双方がほぼ同時にコーティングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1層及び前記第2層の双方が連続してコーティングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
感圧性接着剤アセンブリの製造方法であって、
第1組成物たる、シリコーンポリ尿素ブロックコポリマーを含む感圧性接着剤組成物を第1剥離ライナーの第1主表面上にコーティングして、第1層を形成する工程と、
エラストマーを含む第2組成物を前記第2剥離ライナー上にコーティングする工程と、
前記第1組成物と前記第2組成物を接触させて、多層アセンブリを形成する工程と、からなり、
前記多層アセンブリの第1組成物は、前記多層アセンブリが46日間49℃(120°F)にて保管された後、剥離ライナーに対して、76.9g/cm(幅0.5インチ当たり100グラム)以下の剥離力を示す、製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−526931(P2010−526931A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508498(P2010−508498)
【出願日】平成20年5月6日(2008.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/062766
【国際公開番号】WO2008/141004
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】