説明

多層光学補償子

1層以上のポリマーからなる第一層及び、1層以上のポリマーからなる第二層を有する多層補償子を提供する。前記第一層は、−0.01以上、+0.01以下の面外複屈折(Δnth)を示すポリマーを有する。前記第二層は、−0.01より負であるか、又は、+0.01より正である面外複屈折を示す非晶性ポリマーを有する。多層補償子全体の面内レターデーション(Rin)は+20nmより正であり、かつ全体の面外レターデーション(Rth)が−20nmより負であるか、又は、+20nmより正である。前記1層以上の第一層の面内レターデーション(Rin)は、前記の多層補償子の全体の面内レターデーションの30%以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ用の多層光学補償子に関する。本発明はまた、そのような補償子及び、当該補償子を用いた液晶ディスプレイの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶は電子ディスプレイに広く利用されている。これらのディスプレイシステムでは、一般的には、液晶セルが一対の偏光子と検光子との間に設けられている。偏光子によって偏光された入射光は液晶セルを通過し、液晶の分子配向の影響を受ける。液晶の分子配向はセルに電圧を印加すること変化させることが可能である。そして、変換された光は検光子へ向かう。この原理を用いることで、周辺光を含む外部光源からの光の透過を制御することが可能となる。一般的に、この制御を実現するために必要なエネルギーは、陰極管(CRT)のような他のディスプレイに使用される発光材料に必要なエネルギーよりもはるかに小さい。そのため、液晶技術は、多数の電子画像装置に用いられている。そのような装置には、デジタル時計、電卓、ノートパソコン及び、電子ゲームが含まれるが、これらに限定されるわけではない。これらの装置では、軽量、低消費電力及び動作時間が長いことが重要な特徴となる。
【0003】
コントラスト、色再現性、及び安定したグレイスケール強度は、液晶技術を用いた電子ディスプレイにおいて重要な属性である。液晶ディスプレイ(LCD)のコントラストを制限する主要因は、液晶素子、あるいはセルを通じて、暗い、あるいは「黒い」画素状態の光が「漏れる」傾向によるものである。さらに、漏れ、つまり液晶ディスプレイのコントラストは、表示画面を見る方向にも依存する。典型的には、ディスプレイに対する法線入射を中心とする、狭い視角内でのみ、最適なコントラストが観察され、視角方向がディスプレイの法線から離れるにしたがってコントラストは急激に減少する。カラーディスプレイでは、漏れの問題は、コントラストを劣化させるのみならず、色再現性の劣化につながり、色シフト、すなわち色相シフトを引き起こす。
【0004】
LCDは、デスクトップコンピューや、その他のオフィス又は家庭用設備のモニタ用途で、CRTの代替として急速に普及している。また、大画面サイズのLCDテレビモニタの台数が近い将来急激に増加することも予想されている。しかし、色相シフト、コントラスト劣化及び明暗反転のような視野角依存性に関する問題が解決されない限り、従来のCRTの代替としてのLCDの用途は限定されてしまう。
【0005】
垂直配向液晶ディスプレイ(VA−LCD)は、法線入射光に対してきわめて高いコントラストを有する。図2A及び図2Bは、OFF状態201及び、ON状態203でのVA液晶セルの概略図である。OFF状態では図2Aに図示されているように、液晶の光軸205は、基板207に対して略垂直である。電圧を印加すると図2Bに図示されているように、光軸205は、セル法線から傾斜する。OFF状態では、光は法線方向209において複屈折を受けず、直交する偏光子の状態に近い、暗状態を与える。しかし、斜めに伝播する光211はレターデーションに遭遇し、それによって光漏れを引き起こす。その結果、ある視野角範囲でのコントラスト比が悪くなる。
【0006】
光学補償ベント液晶ディスプレイ(OCB−LCD)とも呼ばれる、ベント配向ネマティック液晶ディスプレイは、対称性を有するベント状態に基づいたネマティック液晶セルを利用する。実際の動作においては、ベント配向ネマティック液晶セルを用いたディスプレイの明るさは、図3A(OFF)301及び図3B(ON)303で図示されているように、セル内部でのベント配向の程度を変化させる印加電圧、つまり電場によって制御される。両方の状態において、液晶の光軸305は、セルの中心面307の周りで対称性を有するベント状態をとる。ON状態では、セル基板309の近傍を除いて、光軸はセル面に対して実質的に垂直となる。OCBモードは、液晶ディスプレイテレビ(LCD−TV)への応用に適した速い応答速度を有する。OCBモードはまた、ツイステッド・ネマティック液晶ディスプレイ(TN−LCD)のような従来のディスプレイよりも優れた視野角特性(Viewing angle characteristic、VAC)も有している。
【0007】
上述の2つのモードは、従来のTN−LCDよりも優れているため、LCD−TVのような高性能用途において有力となることが予想される。しかし、OCB及びVA−LCDの実用には、VACを最適化させるための光学補償手段が必要となる。いずれのモードにおいても、液晶及び交差偏光子が複屈折を起こすため、ディスプレイを斜めから見たときの視野角によるコントラスト劣化が引き起こされる。二軸フィルムを用いることで、OCB(特許文献1)及びVA−LCD(特許文献2)を補償することが示されている。両モードでは、液晶はON状態(OCB)、又はOFF状態(VA)でのセルの面に対して十分垂直に配向する。この状態は正のRthを与えるため、満足のゆく光学補償を実現するためには、補償フィルムは十分大きな負のRthを有する必要がある。Rthが大きい二軸フィルムへの要求は、スーパー・ツイステッド・ネマティック液晶ディスプレイ(STN−LCD)についでも同じである。
【0008】
OCB、VA及びSTNのようなLCDモードを補償するのに適した十分な負の値のRthを有する二軸フィルムの製造方法が複数提案されてきた。
【0009】
特許文献3は、レターデーション上昇剤をトリアセチルセルロース(TAC)と組み合わせて利用することを開示している。レターデーション上昇剤は、少なくとも2つのベンゼン環を有する芳香族化合物から選択される。そのようなレターデーション上昇剤を添加したTACを延伸することで、Rth及びRinを生じさせることが可能となる。この方法の問題は、添加剤の量である。所望のRth及びRinの上昇効果をもたらすためには、添加剤の量を多くする必要があり、意図しない着色や、添加剤がLCD内の他の層への移動(拡散)を生じる場合がある。その結果、Rth及びRinの低下、及び、これらに近接する層への望ましくない化学的影響が生じる恐れがある。また、この方法では、Rth及びRinの値を各独立に制御するのは困難である。
【0010】
Sasakiらは、正の複屈折を示す熱可塑性基材上にコレステリック液晶を設けたものを用いることを提案した(特許文献4)。コレステリック液晶(CHLC)のピッチは、可視光の波長よりも短いため、適切に配向したCHLCは、負のRthを与える複屈折状態を示す。Rinは、熱可塑性基材の延伸倍率を調節することで制御される。この方法によって、Rth及びRinを各独立に調節することが可能となる。しかし、短いピッチを有するCHLCの使用は、製造コストが増大することに加えて、配向過程を有するために処理が複雑化してしまう。
【0011】
特許文献5は、プロピオン酸又は酪酸で置換されたTACの使用について開示している。これらの置換されたTACは、通常のTACよりも高い複屈折性を示す。よって、置換されたTACフィルムを二軸延伸することで、Rin及びRthが発生する。その方法は、付加的なコーティングや層を必要としないが、Rin及びRthを各独立して制御することが困難なことが問題である。
【0012】
【特許文献1】米国特許第6108058号
【特許文献2】特開平11−95208号
【特許文献3】米国特許出願公開第2001/0026338号
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/0086033号
【特許文献5】特開2002−210766号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
よって、解決すべき問題は、製造が十分可能でかつ、Rth及びRinを各独立に制御できる多層光学補償子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、1層以上のポリマーからなる第一層及び、1層以上のポリマーからなる第二層を有する多層補償子を提供する。前記第一層は、−0.01以上、+0.01以下の面外(Δnth)複屈折を示すポリマーを有する。前記第二層は、−0.01より負であるか、又は、+0.01より正である面外複屈折を示す非晶性ポリマーを有する。多層補償子全体の面内レターデーション(Rin)は+20nmより正であり、かつ全体の面外レターデーション(Rth)が−20nmより負であるか、又は、+20nmより正である。前記1層以上の第一層の面内レターデーション(Rin)は、前記の多層補償子の全体の面内レターデーションの30%以下である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書では、以下の定義を適用する。
【0016】
光軸とは、伝播する光が複屈折を受けない方向を意味する。
【0017】
ON及びOFF状態とは、それぞれ液晶セルに対して電圧が印加されている状態及び、印加されていない状態を意味する。
【0018】
面内レターデーションRinは、図1の層101を例にとって説明すると、(n−n)dで定義される量で、n、nはそれぞれ、x、y方向の屈折率である。x軸は、xy平面において屈折率が最大となる方向であり、y方向はx軸に垂直な方向である。従って、Rinは、常に正の値である。xy平面は、層の面103に平行である。dはz方向における層の厚みである。(n−n)の大きさは、面内複屈折Δninを表す。面内複屈折もまた、常に正の値を有する。以下、Δnin及びRinの値は、波長λ=550nmにおける値である。
【0019】
面外レターデーションRthは、図1の層101を例にとって説明すると、[n−(n+n)/2]dで定義される量である。nはz方向での屈折率である。[n−(n+n)/2]dの大きさは面外複屈折Δnthと呼ばれる。n>(n+n)/2である場合、Δnthは正で、それに対応するRthも正である。n<(n+n)/2である場合、Δnthは負で、それに対応するRthも負である。Δnth及びRthの値は、波長λ=550nmにおける値である。
【0020】
非晶性とは、分子秩序がないことを意味する。従って、非晶性ポリマーは、X線回折のような方法で測定されるときには分子の秩序を示さない。これは単なる例示だが、図6Aと図6Bの特徴を比較することで示される。図6Aは、剛性棒状ポリマー(無延伸)のX線回折パターン(透過モード)を図示している。剛性棒状ポリマーとは特に、米国特許第5344916号で参照されているような、(BPDA−TFNB)0.5−(PMDA−TFMB)0.5のポリイミドである。図6Bは、本発明の非晶性ポリマーである、[ポリ(4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデン−ビスフェノール−コ−4,4’−(2−ノルボルニリデン)ビスフェノール)テレフタレート−コ−イソフタレート)](同じく無延伸)のX線回折パターン(透過モード)である。図6Bにおいて2θ=17°の位置において、図6Aに示されているような鋭いピークが観察されていないことがわかる。図6Bではこれは、バックグラウンドが少し上昇しているようにみえる。これが所謂「非晶性ハロー」であり、全ての非晶性物質において普遍的に現れるものである。液体の水においてもこの「非晶性ハロー」は現れる。このX線回折パターンに現れる「非晶性ハロー」の強度は、試料の厚みに依存する。
【0021】
図6Aでみられる鋭いピークは明瞭な分子秩序の表れである。これによって、そのポリマーが非晶性に属しないことが明らかとなる。図6Aにおける、非晶性でないこの状態について、米国特許第5344916号においては「剛性棒状」として適切に表現されている。他の非晶性でない状態としては、液晶状態や、三次元結晶状態が含まれる。
【0022】
図6Cは延伸したTAC層単体(「コーティングなし」の単なる第一層)及び、及びTACに本願発明の実施例のポリマーをコーティングした3層構造体を延伸したもの(2つの第一層と、「コーティング」による1つの第二層)の透過モードにおけるX線回折パターンを示している。ポリマーのコーティングによってもピークが導入されないことからポリマーコーティングが非晶性構造であることがわかる。
【0023】
発色団とは、光吸収ユニットの役目を果たす原子又は原子団を意味する(Modern Molecular Photochemistry、 Nicholas J. Turro Editor、 Benjamin/Cummings Publishing、Menlo Park,CA、1978年、第77頁)。典型的な発色団の基としては、ビニル基、カルボニル基、アミド基、イミド基、エステル基、カルボン酸基、芳香族基(すなわち、フェニル、ナフチル、ビフェニル、チオフェン、ビスフェノールのような複素環芳香族基、又は炭素環芳香族基)、スルホン基及び、アゾ基又は上記基の組み合わせが含まれる。
【0024】
不可視発色団とは、400nm〜700nmの範囲外で吸収が最大となる発色団を意味する。
【0025】
隣接とは、物質が互いに接触していることを意味する。2つの隣接する層では、1つの層が他の層と直接接触している。よって、コーティングによってポリマー層が形成される場合、基材及びポリマー層は隣接している。
【0026】
2003年7月31日出願の米国特許出願第10/631152号(米国特許第7083835号)の内容を参照することによって、その内容を本明細書に取り込むものとする。上記特許出願においては、実施例の少なくとも1つにおいて、事前に延伸したポリマー支持層表面にコーティングされた非晶性層が供されている多層光学補償子が開示されている。支持層は、面内レターデーションが20nmより正となるように延伸される。
【0027】
これまでに説明してきたように、本発明の特徴の少なくとも1つとして、非晶性ポリマー層をポリマー支持体表面上にコーティングした後、多層光学補償子の両方の(あるいは全ての)層を同時に延伸することが挙げられる。延伸は補償子が「湿った」状態にある場合にすることができる。湿った状態とは、複数の層を共流延(あるいはコーティング)した後(又は同時)の非晶性ポリマーの乾燥前(又は乾燥と同時)の状態である。その代わりに、あるいはそれに加えて、多層補償子を流延し、非晶性ポリマーを乾燥させた後に「乾燥」延伸を行うことができる。延伸は、横方向つまり膜のキャスト方向と同一の方向におこなうことができる。また、その代わりに、あるいはそれに加えて、延伸を横方向と垂直な方向におこなうことも可能である。また、その代わりに、あるいはそれに加えて、延伸を横方向に対して斜めの方向(つまり対角線方向)に行うこともまた可能である。
【0028】
様々な液晶ディスプレイでは、視野角を最適化して、完全な画面系を実現するために、偏光子の積層構造の複屈折を調節することが望ましい。本発明の実施例に従った製造方法と特定のポリマーとを組み合わせることで、非晶性ポリマーの第二層(あるいは共流延層)によって、トリアセチルセルロース(TAC)の基材シートを調整することができる。TAC及び、第二層ポリマーの厚みを変化させることによって、ひとまとまりの光学特性を「調節可能」とすることができる。湿った状態での延伸では、製造中にシートに加えられる応力によって、面内(x、y)レターデーションを制御することが可能であり、第二層ポリマーの厚みによって、面外レターデーションを制御することができる。同様に、乾燥した状態での延伸では、製造後にシートに加えられる応力によって、面内(x、y)レターデーションを制御することが可能であり、第二層ポリマーの厚みによって、面外レターデーションを制御することができる。このような非晶性層を使用することにより、コスト効率よく、有用なシートを単純な方法で作製できるようになる。
【0029】
多層光学補償子は、相互の表面に密接に積み重ねられた、2つの押出成形ホッパーを用いることによって実現できる。この場合では、2つのポリマー溶液は、対になった積層ホッパーのダイリップで合流する。共流延とは、単一ダイの空間中に2層のポリマー層を構成する積層方法である。流れ特性及び、ポリマーの粘性は、供給ブロックによって制御され、単一ダイ中に2つの異なる層を形成する。この動作はまた、同一の流延面上に、2つの独立したホッパーを接続することによって行うこともできる。この目的は、(キャスティング表面と対をなす)TAC層及び、(TAC上部に存在する)第二層ポリマーを形成することである。これにより、ポリマー間の最適な接着が実現される。より優れた接着性が要求される場合は、TAC層と第二層との間に第3の接着層を塗布する代替方法がある。
【実施例】
【0030】
以下でより詳述する実験では、4つの第二層ポリマーをTAC(典型的にはアセチル置換度が2.8、分子量220000のポリマー)上に共流延した。全てのポリマーを、塩化メチレン中、又は塩化メチレン及びメタノール溶媒中に溶解させた。多層光学補償子は、約3.1ミル(合計80μm)で製造された。機械のライン速度は、4〜6フィート/分(1.22〜1.83m/分)の範囲で変化させた。これによって、乾燥時間3〜4分でキャスティング表面が得られる。キャスティング表面の端部では、固化したウェブは、(高研磨性の)キャスティング表面から剥ぎ取られ、エッジ拘束ベルトに送られる。エッジベルトは、2本のエンドレスベルトであり、これらが一緒になることで曲がりくねったパスを形成し、ウェブが2本のベルト間に挟まれた状態となる。これらのベルトについては、米国特許第6152345号、米国特許6180930号に開示されている。これらの公報を参照することによってその内容を本明細書に取り込むものとする。
【0031】
湿った(相当量の溶媒が存在する状態の)シートがエッジベルト上にあるとき、加熱乾燥空気が、両面側からシートに送風される。空気を高温かつ高速で強制的に送風することで、急速な加熱及び乾燥を行う。強制空気乾燥が急速でかつ、温度が(シートと溶媒をあわせた)Tgを超えない場合、横方向の応力が発生し、シート剥離で与えられる機械方向の応力が相殺されるか、あるいは横方向の応力が、機械方向の応力を超えて増大することで、二層シートを横方向に配向させる。これは、意図的、能動的に引っ張るのではなく、単にポリマーシートの乾燥に伴う収縮力を抑制することによるものである。これは、「受動的延伸」と呼ぶべきといえる。十分なエネルギーによって加熱される場合、シートの温度は、(シートと溶媒をあわせた)Tgより高い温度をとることが可能となり、乾燥及び、剥離応力が緩和される。この方法を利用することで、面内応力及び、レターデーションの大きさや方向を操作することができる。
【0032】
80μmのTACシートの面外レターデーション(Rth)は、アニールによって、約−80から約−40nmまで変化する。TACのRthは、表面へのキャスティング時間や加熱を制御した領域内の温度によって操作可能である。
【0033】
非晶性ポリマーの第二層は、複屈折を確保するために急速に乾燥する必要がある。第二層は、TAC層上に存在する揮発性溶媒から急速に乾燥される。乾燥TACシートからの溶媒は分子を緩和させるほど十分に第二層を柔らかくはしない。第二層ポリマーの厚みを変化させることで、多層補償子の光学特性を制御することができる。第二層非晶性ポリマーのRinは、(TACについて)前述した条件及び温度によって操作することが可能である。
【0034】
以下に示す表Aは、本発明の実施例に従って、共流延及び、湿った状態で延伸させることによって得られた光学補償子の複屈折について検討した実験結果を示している。サンプル1は、TAC層のみで、第二層ポリマーを有さない。他のサンプルは、いずれも下地となるTAC層上に第二層ポリマーを有する。全てのサンプルにおいて、TAC層は、18.7重量%のTAC、73.2重量%の塩化メチレン及び、8.1重量%のメタノールからなるポリマー溶液から形成されたものである。
【0035】
表Aは各サンプルについて、下地であるTAC層の厚み及び、第二層ポリマーの厚みを示している。各サンプルは、湿ったままの試料をエッジ拘束ベルトに送り、温風熱を加えることで得られた。ベルトによって、横方向の収縮が制限されるため、湿った状態での受動延伸が生じる。各サンプルの気流温度も示している。各サンプルのキャスト幅及び、湿った状態での受動延伸後の幅を測定することによって、横方向の大まかな延伸倍率(%)を計算した。
【0036】
表Aに、各サンプルの面内レターデーション、及び面外レターデーションを示している。これらのレターデーションは、エリプソメータ(ジェー・エー・ウーラム社製、モデルM2000V)によって波長550nmで測定したものである。これらの結果から明らかなように、面内レターデーション及び、面外レターデーションの大きさは、延伸倍率及び第二層の厚みと相関がある。
【0037】
【化1】


ポリマーA
ここで、x=93、y=7であり、a=70、b=30である
ポリ(4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ビスフェノール−コ−(2−ノルボルニリデン)−ビスフェノールテレフタレート
【0038】
【化2】


ポリマーB
ポリ(4,4’−ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−5−イリデンビスフェノール)テレフタレート
【0039】
【表A】

【0040】
(80μmのTAC上に1μmのウシゼラチンを有し、その上に6μmのポリマーCを有する)すでに乾燥済みの多層光学補償子を引っ張る(「能動延伸」する)ことによって、所望の大きさの面内異方性を得られることが見出された。
【0041】
【化3】


ポリマーC
ここで、x=90、y=10であり、a=70、b=30である。
ポリ(4,4’−イソプロピリデンビスフェノール−コ−4,4’−(2−ノルボルニリデン)ビスフェノール)テレフタレート−コ−イソフタレート
【0042】
この面内異方性は、適宜の温度でかつ、非常に低い引張り(2〜12%)で実現された。以下に示す表Bは、延伸倍率(%)及び温度が、負の面外複屈折を示す多層光学補償子の面外レターデーション及び面内レターデーションに与える影響を示している。これらのレターデーションは、エリプソメータ(ジェー・エー・ウーラム社製、モデルM2000V)によって波長550nmで測定したものである。この例では2つの第一層(ウシゼラチン及びTAC)を用いた。ウシゼラチンは、カール制御層としての役割を果たす。第二層及び、ゼラチン層のTAC層への接着性は、加熱及び延伸後に格段に改善されることは特筆すべきである。さらに、この例のような多層補償子とすることで、補償子を60℃、相対湿度90%で100時間というような条件でエージングした場合のRin及びRthの変化に対する耐久性が増加すると考えられる。
【0043】
【表B】

【0044】
以下に示す表Cは、延伸倍率(%)及び温度が、負の面外複屈折を示す(80μmのTAC上に1μmのウシゼラチンを有し、その上に3.5μmのポリマーCを有する)多層光学補償子の面外レターデーション及び面内レターデーションに与える影響を示している。これらのレターデーションは、エリプソメータ(ジェー・エー・ウーラム社製、モデルM2000V)によって波長550nmで測定したものである。この例では2つの第一層(ウシゼラチン及びTAC)を用いた。ウシゼラチンは、カール制御層としての役割を果たす。第二層及び、ゼラチン層のTAC層への接着性は、加熱及び延伸後に格段に改善されることは特筆すべきである。さらに、この例のような多層補償子とすることで、補償子を60℃、相対湿度90%で100時間というような条件でエージングした場合のRin及びRthの変化に対する耐久性が増加すると考えられる。
【0045】
表A、B、Cから、第二層の厚み、及び延伸倍率(%)を変化させることで、広範囲にわたるRin、及びRthの値が得られることがわかる。
【0046】
【表C】

【0047】
ポリマーD(下記)の合成方法を示す。メチルエチルケトン(100mL)中で、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンビスフェノール(21.85g、0.065モル)と、トリエチルアミン(15.6g、0.16モル)の混合物を攪拌下に、(体積比50/50の)メチルエチルケトン/トルエン(200mL)中に2,6−塩化ナフタロイル(6.33g、0.025モル)を溶解した溶液に添加した。その30分後に、4,4’−(2,2’−アダマンタンジイル)ジフェノール(11.14g、0.035モル)とトリエチルアミン(6.68g、0.066モル)のメチルエチルケトン(200mL)溶液を添加し、続けて、塩化テレフタロイル(15.23g、0.075モル)をメチルエチルケトン(10mL)に溶解した溶液を添加した。添加後に温度を室温まで上昇させ、溶液を窒素下で4時間攪拌した。この反応中、トリエチルアミン塩酸塩がゼラチン状の沈殿となり、溶液粘度が上昇した。反応後、この溶液を希塩酸(2%の酸200mL)で洗浄し、その後、水(200mL)で3回洗浄した。その後、この溶液を強攪拌下のイソプロピルアルコールに流し込み、ポリマーの白沈を得た。この白沈を集め、減圧下50℃で24時間乾燥した。このポリマーのガラス転移温度を示差熱分析によって測定したところ272℃であった。
【0048】
【化4】


ポリマーD
ここで、x=75、y=25であり、a=65、b=35である。
ポリ(4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンビスフェノール)−コ−4,4’−(2,2−アダマンタンジイル)テレフタレート−コ−2,6−ナフタレート
【0049】
80μmのTAC上に、3μmのポリウレタン(サンキュア898)/ポリエステル(イースタック1100)混合物の水分散物を有し、その上に3.5μmのポリマーCを有する)すでに乾燥済みの多層光学補償子を引っ張る(「能動延伸」する)ことによって、所望の大きさの面内異方性が得られることが見出された。
【0050】
この面内異方性は、適宜の温度でかつ、非常に低い引張り(2〜12%)で実現された。以下に示す表Dは、延伸倍率(%)、及び温度が、負の面外複屈折を示す多層光学補償子の面外レターデーション、及び面内レターデーションに与える影響を示している。これらのレターデーションは、エリプソメータ(ジェー・エー・ウーラム社製、モデルM2000V)によって波長550nmで測定したものである。この例では2つの第一層(ポリウレタン/ポリエステル混合物の水分散物及びTAC)を用いた。ポリウレタン/ポリエステル混合物の水分散物は、カール制御層としての役割を果たす。第二層、及び、ポリウレタン/ポリエステル混合物の水分散物のTAC層への接着性は、加熱、及び延伸後に格段に改善されることは特筆すべきである。さらに、この例におけるような多層補償子とすることで、補償子を60℃、相対湿度90%で100時間というような条件でエージングした場合のRin、及びRthの変化に対する耐久性が増加すると考えられる。
【0051】
【表D】

【0052】
以下に示す表Eは、延伸倍率(%)、及び温度が、正の面外複屈折を示す(80μmのTAC上に1μmのウシゼラチンを有し、その上に3.6μmのポリマーEを有する)多層光学補償子の面外レターデーション、及び面内レターデーションに与える影響を示している。これらのレターデーションは、エリプソメータ(ジェー・エー・ウーラム社製、モデルM2000V)によって波長550nmで測定したものである。この例で示している面内レターデーションは正の値であるが、前記の負の複屈折を示す例とは逆の挙動を示すことは特筆すべきである。すなわち、この例では、面内屈折率の大きい方向が、延伸方向に垂直となっている。
【0053】
【化5】


ポリマーE
ポリ(N−ビニルカルバゾール)
【0054】
【表E】

【0055】
表A、B、C、D、Eから、Rthは主として第二層の厚みによって制御され、Rinは主として引張り/延伸倍率(%)によって制御されることがわかる。従って、Rth及びRinの値は、各個別の(分離された)方法によって得ることができる。
【0056】
上記の技術によって、後述の多層補償子の製造が可能となる。すなわち、本発明は、1層以上のポリマーからなる第一層、及び1層以上のポリマーからなる第二層を有し、前記第一層が、−0.01以上、+0.01以下の面外(Δnth)複屈折を示すポリマーを有し、前記第二層が、−0.01より負であるか、又は+0.01より正である面外複屈折を示す非晶性ポリマーを有する多層補償子を提供する。前記多層補償子全体の面内レターデーション(Rin)が+20nmより正であり、かつ全体の面外レターデーション(Rth)が−20nmより負であるか、又は+20nmより正であり、さらに、前記1層以上の第一層の面内レターデーション(Rin)は、前記の多層補償子の全体の面内レターデーションの30%以下である。2層以上の前記第一層及び、前記第二層は任意に隣接していてもよい。
【0057】
第一層は、−0.01以上、+0.01以下の面外(Δnth)複屈折を示すポリマーフィルムから構成される。そのようなポリマーの例としては、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、フルオレン基を含有するポリアリレート、あるいは当業者に公知のその他のポリマーが含まれる。
【0058】
複数の第二層を組み合わせた厚みは、30μm未満が好ましく、1.0から10μmがより好ましく、2から8μmがさらに好ましい。
【0059】
多層補償子の全体の面内レターデーション(Rin)は、21から200nmであることが好ましく、25から150nmであることがより好ましく、25から100nmであることがさらに好ましい。
【0060】
第一層と第二層とを組み合わせた厚みは、200μm未満が好ましく、40から150μmがより好ましく、80から110μmがさらに好ましい。
【0061】
垂直配向(VA)モードのLCDを補償する多層補償子おいては、多層補償子の面外レターデーション(Rth)が−20nmより負であることが有用である。インプレーンスイッチング(IPS)モードのLCDを補償する多層補償子おいては、多層補償子の面外レターデーション(Rth)が20nmより正であることが有用である。
【0062】
多層光学補償子の面外レターデーション(Rth)が−20nmより負である場合、第二層のうち少なくとも1層は、その主鎖に不可視発色団を有し、Tgが180℃より高いポリマーを含む。このようなポリマーは、主鎖にぶら下がった脂環基を有していてもよい。例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルネン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−5−イリデン、アダマンタン、あるいはこれらの脂環基の1つ以上の水素原子がフッ素置換されたもの、からなる群より選択することができる。さらに、前記ポリマーは、主鎖に、ビニル基、カルボニル基、アミド基、イミド基、エステル基、カルボン酸基、芳香族基、スルホン基又はアゾ基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ビスフェノール基、チオフェン基のいずれかの不可視発色団を有していてもよい。このような第二層に適したポリマーの例としては、(1)ポリ(4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデン−ビスフェノール)テレフタレート−コ−イソフタレート、(2)ポリ(4,4’−ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−5−イリデンビスフェノール)テレフタレート、(3)ポリ(4,4’−イソプロピリデン2,2’,6,6’−テトラクロロビスフェノール)テレフタレート−コ−イソフタレート、(4)ポリ(4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ビスフェノール−コ−(2−ノルボルニリデン)−ビスフェノールテレフタレート、(5)ポリ(4,4’−ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−5−イリデン)−ビスフェノール−コ−(4,4’−イソプロピリデン2,2’,6,6’−テトラブロモ)−ビスフェノールテレフタレート、(6)ポリ(4,4’−イソプロピリデンビスフェノール−コ−4,4’−(2−ノルボルニリデン)ビスフェノール)テレフタレート−コ−イソフタレート、(7)ポリ(4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンビスフェノール−コ−4,4’−(2−ノルボルニリデン)ビスフェノール)テレフタレート−コ−イソフタレート、又は(8)これらのポリマーのうちの2種以上による共重合体、が含まれる。
【0063】
その他のに層補償子の面外レターデーション(Rth)が−20nmより正である場合、第二層の例として、好ましい例としては、下記の酸塩化物とビスフェノール/ジオール構造から形成されるポリエステルが含まれる。また、同じ二価酸の二塩化物と、ビスフェノール/ジオールに対応するジアミンと、を用いてポリアミドを合成することもできるのは好都合である。
【0064】
【化6】


塩化テレフタロイル
【0065】
【化7】


塩化イソフタロイル
【0066】
【化8】


2,6−塩化ナフタロイル
【0067】
【化9】


1,5−塩化ナフタロイル
【0068】
【化10】


4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール
【0069】
【化11】


4,4’−ノルボルニリデンビスフェノール
【0070】
【化12】


4,4’−(2,2’−アダマンタンジイル)ジフェノール
【0071】
【化13】


4,4’−(ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−5−イリデン)ビスフェノール
【0072】
【化14】


4,4’−イソプロピリデン−2,2’,6,6’−テトラクロロビスフェノール
【0073】
【化15】


4,4’−イソプロピリデン−2,2’,6,6’−テトラブロモビスフェノール
【0074】
【化16】


2,6−ジヒドロキシナフタレン
【0075】
【化17】


1,5−ジヒドロキシナフタレン
【0076】
上述のように、多層補償子の面外レターデーション(Rth)が−20nmより負である場合、 第二層うちの少なくとも1層が、その主鎖に不可視発色団を有し、Tgが180℃より高いポリマーを含む。このように、−20nmより負の補償子を得る上では、第二層にフルオレン基を含有するのは好ましくない手法である。このような方法は、主鎖に存在する好ましい不可視発色団と「格闘する」不可視発色団を側鎖に導入することとなる。このような手法による場合、フルオレン基はポリマーの溶解性を向上させるが、その一方で、面外複屈折を大きく減少させることとなる(主鎖と側鎖の両方の不可視発色団がバランスすることになる)。
【0077】
多層補償子の面外レターデーション(Rth)が+20nmより正である場合、第二層うちの少なくとも1層は、主鎖以外に不可視発色団を有し、ガラス転移温度(Tg)が160℃より高いポリマーを含んでいる。前記不可視発色団としては、カルボニル基、アミド基、イミド基、エステル基、カルボン酸基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ビスフェノール基、又はチオフェン基、あるいは、複素環芳香族基、又は炭素環芳香族基をことができる。第二層のポリマーは主鎖以外に、ビニル基、カルボニル基、アミド基、イミド基、エステル基、カルボン酸、芳香族基、スルホン基又はアゾ基を含むことができる。第二層に適するポリマーの例としては、(A)ポリ(4ビニルフェノール)、(B)ポリ(4ビニルビスフェニル)、(C)ポリ(N−ビニルカルバゾール)、(D)ポリ(メチルカルボキシフェニルメタクリルアミド)、(E)ポリ[(1−アセチルインダゾール−3−イルカルボニルオキシ)エチレン]、(F)ポリ(フタルイミドエチレン)、(G)ポリ(4−(1−ヒドロキシ−1−メチルプロピル)スチレン)、(H)ポリ(2−ヒドロキシメチルスチレン)、(I)ポリ(2−ジメチルアミノカルボニルスチレン)、(J)ポリ(2−フェニルアミノカルボニルスチレン)、(K)ポリ(3−(4−ビフェニル)スチレン)、(L)ポリ(4−(4−ビフェニル)スチレン)、(M)ポリ(4−シアノフェニルメタクリレート)、(N)ポリ(2,6−ジクロロスチレン)、(O)ポリ(パーフルオロスチレン)、(P)ポリ(2,4−ジイソプロピルスチレン)、(Q)ポリ(2,5−ジイソプロピルスチレン)、(R)ポリ(2,4,6−トリメチルスチレン)、又は(S)これらの2種以上を含むコポリマー、が含まれる。
【0078】
その他、多層補償子の面外レターデーション(Rth)が+20nmより正である場合、構造に着目すると、第二層の例として、特に以下が例示できる。
【0079】
【化18】


臭素化ポリビニルカルバゾール
【0080】
【化19】


ポリビニルジブロモカルバゾール
【0081】
【化20】


ポリアクリルカルバゾール
【0082】
【化21】


ポリn−ビニルナフタルイミド
【0083】
【化22】


セルロースジアセテートナフタレート
(ここで、Rはそれぞれ独立にエチル基、メチル基、プロピル基、ブチル基を表す)
【0084】
【化23】


ポリ[オクタヒドロ−5−(ナフチルオキシカルボニル)−5−メチル−4,7−メタノ−1H−インデン−1,3−ジイル]−1,2−エタンジイル
【0085】
ここで、図を参照する。図中には、本発明の様々な構成要素に番号が付され、当業者が本発明を実施できるように、本発明について説明している。特に図示又は説明のない構成要素は、当業者にとって周知の様々な形式の要素を用いることができる。
【0086】
図4A、図4B及び図4Cは、本発明に従った、典型的な多層光学補償子の正面概略図である。当該多層光学補償子は、−0.01以上、+0.01以下の面外(Δnth)複屈折を示すポリマーAの層の及び、面外複屈折が−0.01より負であるか、又は、+0.01より正である非晶性ポリマーBの層を有する。図4Aの補償子401は、B層409がA層407上に設けられた構造を有する。A層407とB層409とは隣接している。図4Bの補償子403のように、1層のA層411の上に2層のB層413、415を設けることもできる。他の例である405では、1層のB層417が2層のA層419、421によって挟まれている。補償子405は例えば、隣接するA層421及びB層417並びに、単一層であるA層419を積層することによって作製できる。積層はB層417とA層419との界面で実現され、417及び419の2つの層は、積層方法によって、隣接していても良いし、隣接していなくても良い。当業者であれば、より複雑な構造を想到するであろう。
【0087】
図5Aに図示されたLCD501では、液晶セル503が偏光子505と検光子507との間に設けられている。偏光子505の透過軸509と検光子507の透過軸511とは、互いに90±10°の角度をなすので、対をなす偏光子509と検光子511とは、「交差偏光子」と呼ばれる。多層光学補償子512は、偏光子505と液晶セル503との間に設けられている。多層光学補償子512はまた、液晶セル503と検光子507との間に設けられても良い。図5Bで概略的に図示されているLCD513は、液晶セル503の両面に設けられた2つの多層光学補償子515、517を有する。図5Cは、反射型LCD519における多層光学補償子の応用例である。液晶セル503は、偏光子605と反射板521との間に設けられている。この図では、参照符号609は偏光子605の透過軸を表す。この例に示されているように、多層補償子523は、液晶セル503と偏光子605との間に設けられている。しかし、多層補償子523は、反射板521と液晶セル503との間に設けることもできる。
【0088】
従来技術と比較すると、本発明の実施例は、意図しない着色を引き起こしたり、あるいは、補償子の外への拡散によってレターデーションの損失及び/又は、意図しない化学反応を引き起こしたりする可能性のある、レターデーション上昇剤の使用を回避し、液晶化合物の使用やその配向処理を必要とせずに、比較的薄い(<200μm)構造で大きな光学補償能を有し、かつ、容易に製造が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】厚みdの典型的な層を図示している。層の横にはx−y−z座標系を示している。
【図2A】VA液晶セルでの一般的なOFF状態を概略的に図示している。
【図2B】VA液晶セルでの一般的なON状態を概略的に図示している。
【図3A】OCB液晶セルでの一般的なOFF状態を概略的に図示している。
【図3B】OCB液晶セルでの一般的なON状態を概略的に図示している。
【図4A】本発明の多層光学補償子を正面から見た概略図である。
【図4B】本発明の多層光学補償子を正面から見た概略図である。
【図4C】本発明の多層光学補償子の正面から見た概略図である。
【図5A】本発明の多層光学補償子を有する液晶ディスプレイの概略図である。
【図5B】本発明の多層光学補償子を有する液晶ディスプレイの概略図である。
【図5C】本発明の多層光学補償子を有する液晶ディスプレイの概略図である。
【図6A】高秩序で、非晶性でなく、無延伸の材料の透過モードにおけるX線回折パターンを示している。
【図6B】本発明の非晶性ポリマーの無延伸での透過モードにおけるX線回折パターンを示している。
【図6C】延伸したTAC層単体(コーティングなし)及びTACに本願発明の実施例のポリマーをコーティングした3層構造体を延伸したもの(コーティングあり)の透過モードにおけるX線回折パターンを示している。
【符号の説明】
【0090】
101 フィルム
103 フィルム面
201 OFF状態でのVA液晶セル
203 ON状態でのVA液晶セル
205 液晶の光軸
207 液晶セル基板
209 セルの法線方向を伝播する光
211 斜め方向を伝播する光
301 OFF状態でのOCB液晶セル
303 ON状態でのOCB液晶セル
305 液晶の光軸
307 セル中心面
309 セル境界
401 多層光学補償子
403 多層光学補償子
405 多層光学補償子
407 A層
409 B層
411 A層
413 B層
415 B層
417 B層
419 A層
421 A層
501 LCD
503 液晶セル
505 偏光子
507 検光子
509 偏光子の透過軸
511 検光子の透過軸
512 多層光学補償子
513 LCD
515 多層光学補償子
517 多層光学補償子
519 LCD
521 反射板
523 多層光学補償子
x方向における屈折率
y方向における屈折率
z方向における屈折率
Δnth 面外複屈折
Δnin 面内複屈折
d 層又はフィルムの厚み
th 面外レターデーション
in 面内レターデーション
λ 波長
Tg ガラス転移温度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1層以上のポリマーからなる第一層及び、1層以上のポリマーからなる第二層を有し、
前記第一層は、−0.01以上、+0.01以下の面外複屈折(Δnth)を示すポリマーを有し;
前記第二層は、−0.01より負であるか、又は、+0.01より正である面外複屈折を示す非晶性ポリマーを有し;
全体の面内レターデーション(Rin)が+20nmより正であり、かつ全体の面外レターデーション(Rth)が−20nmより負であるか、又は+20nmより正であり、さらに、前記1層以上の第一層の面内レターデーション(Rin)は、前記の多層補償子の全体の面内レターデーションの30%以下である多層補償子。
【請求項2】
前記の層のうち少なくとも2つの層が隣接する、請求項1に記載の多層補償子。
【請求項3】
前記第一層及び前記第二層の全てが隣接する、請求項1に記載の多層補償子。
【請求項4】
前記複数の第二層を組み合わせた厚みが、30μm未満である、請求項1に記載の多層補償子。
【請求項5】
前記複数の第二層を組み合わせた厚みが、1.0から30μmの範囲である、請求項1に記載の多層補償子。
【請求項6】
前記複数の第二層を組み合わせた厚みが、2から8μmである、請求項1に記載の多層補償子。
【請求項7】
全体の面内レターデーション(Rin)が、21から200nmである、請求項1に記載の多層補償子。
【請求項8】
全体の面内レターデーション(Rin)が25から150nmである、請求項1に記載の多層補償子。
【請求項9】
全体の面内レターデーション(Rin)が25から100nmである、請求項1に記載の多層補償子。
【請求項10】
前記第一層と前記第二層とを組み合わせた厚みが200μm未満である、請求項1に記載の多層補償子。
【請求項11】
前記第一層と前記第二層とを組み合わせた厚みが40から150μmである、請求項1に記載の多層補償子。
【請求項12】
前記第一層と前記第二層とを組み合わせた厚みが80から110μmである、請求項1に記載の多層補償子。
【請求項13】
面外レターデーション(Rth)が−20nmより負である、請求項1に記載の多層補償子。
【請求項14】
第二層うちの少なくとも1層が、その主鎖に不可視発色団を有し、Tgが180℃より高いポリマーを含む、請求項13に記載の多層補償子。
【請求項15】
前記ポリマーが、主鎖にぶら下がった脂環基を有する、請求項14記載の多層補償子。
【請求項16】
前記脂環基が、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルネン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−5−イリデン、アダマンタン、あるいはこれらの脂環基の1つ以上の水素原子がフッ素置換されたもの、からなる群より選択される、請求項15記載の多層補償子。
【請求項17】
第二層うちの少なくとも1層が、主鎖に、ビニル基、カルボニル基、アミド基、イミド基、エステル基、カルボン酸基、芳香族基、スルホン基又はアゾ基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ビスフェノール基、チオフェン基のいずれかの不可視発色団を有するポリマーを含む、請求項13に記載の多層補償子。
【請求項18】
第二層うちの少なくとも1層が、(1)ポリ(4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデン−ビスフェノール)テレフタレート−コ−イソフタレート、(2)ポリ(4,4’−ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−5−イリデンビスフェノール)テレフタレート、(3)ポリ(4,4’−イソプロピリデン2,2’,6,6’−テトラクロロビスフェノール)テレフタレート−コ−イソフタレート、(4)ポリ(4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ビスフェノール−コ−(2−ノルボルニリデン)−ビスフェノールテレフタレート、(5)ポリ(4,4’−ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−5−イリデン)−ビスフェノール−コ−(4,4’−イソプロピリデン2,2’,6,6’−テトラブロモ)−ビスフェノールテレフタレート、(6)ポリ(4,4’−イソプロピリデンビスフェノール−コ−4,4’−(2−ノルボルニリデン)ビスフェノール)テレフタレート−コ−イソフタレート、(7)ポリ(4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンビスフェノール−コ−4,4’−(2−ノルボルニリデン)ビスフェノール)テレフタレート−コ−イソフタレート、(8)ポリ(4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンビスフェノール)−コ−4,4’−(2,2−アダマンタンジイル)テレフタレート−コ−2,6−ナフタレート、又は(9)これらのポリマーのうちの2種以上による共重合体、を含むコポリマーを有する、請求項13に記載の多層補償子。
【請求項19】
第二層うちの少なくとも1層が、(1)塩化テレフタロイル、(2)塩化イソフタロイル、(3)2,6−塩化ナフタロイル、(4)1,5−塩化ナフタロイル、(5)4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール、(6)4,4’−ノルボルニリデンビスフェノール、(7)4,4’−(2,2’−アダマンタンジイル)ジフェノール、(8)4,4’−(ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−5−イリデン)ビスフェノール、(9)4,4’−イソプロピリデン−2,2’,6,6’−テトラクロロビスフェノール、(10)4,4’−イソプロピリデン−2,2’,6,6’−テトラブロモビスフェノール、(11)2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、又は(13)これらうちの2種以上を含むポリマーを有する、請求項13に記載の多層補償子。
【請求項20】
第一層うちの少なくとも1層が、トリアセチルセルロース、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、又はフルオレン基を含有するポリアリレートを有する、請求項13に記載の多層補償子。
【請求項21】
面外レターデーション(Rth)が+20nmより正である、請求項1に記載の多層補償子。
【請求項22】
第二層うちの少なくとも1層が、主鎖以外に不可視発色団を有し、ガラス転移温度(Tg)が160℃より高いポリマーを含む、請求項21に記載の多層補償子。
【請求項23】
第二層うちの少なくとも1層が、主鎖以外に、ビニル基、カルボニル基、アミド基、イミド基、エステル基、カルボン酸基、芳香族基、スルホン基又はアゾ基を有するポリマーを含む、請求項21に記載の多層補償子。
【請求項24】
前記不可視発色団が、カルボニル基、アミド基、イミド基、エステル基、カルボン酸基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ビスフェノール基、又はチオフェン基を含む、請求項22に記載の多層補償子。
【請求項25】
前記不可視発色団が、複素環芳香族基、又は炭素環芳香族基を含む、請求項22に記載の多層補償子。
【請求項26】
第二層うちの少なくとも1層が、(A)ポリ(4ビニルフェノール)、(B)ポリ(4ビニルビスフェニル)、(C)ポリ(N−ビニルカルバゾール)、(D)ポリ(メチルカルボキシフェニルメタクリルアミド)、(E)ポリ[(1−アセチルインダゾール−3−イルカルボニルオキシ)エチレン]、(F)ポリ(フタルイミドエチレン)、(G)ポリ(4−(1−ヒドロキシ−1−メチルプロピル)スチレン)、(H)ポリ(2−ヒドロキシメチルスチレン)、(I)ポリ(2−ジメチルアミノカルボニルスチレン)、(J)ポリ(2−フェニルアミノカルボニルスチレン)、(K)ポリ(3−(4−ビフェニル)スチレン)、(L)ポリ(4−(4−ビフェニル)スチレン)、(M)ポリ(4−シアノフェニルメタクリレート)、(N)ポリ(2,6−ジクロロスチレン)、(O)ポリ(パーフルオロスチレン)、(P)ポリ(2,4−ジイソプロピルスチレン)、(Q)ポリ(2,5−ジイソプロピルスチレン)、(R)ポリ(2,4,6−トリメチルスチレン)、(S)臭素化ポリビニルカルバゾール、(T)ポリビニルジブロモカルバゾール、(U)ポリアクリルカルバゾール、(V)ポリn−ビニルナフタルイミド、(X)セルロースジアセテートナフタレート、又は(Y)これらの2種以上を含むポリマーを有する、請求項21に記載の多層補償子。
【請求項27】
第一層うちの少なくとも1層が、トリアセチルセルロース、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、フルオレン基を含有するポリアリレートを有する、請求項26に記載の多層補償子。
【請求項28】
液晶セルと、前記セルの各面に一枚ずつ設置されている一対の交差偏光子と、少なくとも1つの請求項1に記載の補償子と、を有する液晶ディスプレイ。
【請求項29】
前記液晶セルが、垂直配向セル、ツイステッド・ネマチックセル、インプレーンスイッチングモードセル、又は光学補償ベント液晶セルである、請求項28に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項30】
液晶セルと、少なくとも1枚の偏光子と、反射板と少なくとも1つの請求項1記載の補償子と、を有する液晶ディスプレイ。
【請求項31】
前記液晶セルが、垂直配向セル、ツイステッド・ネマチックセル、インプレーンスイッチングモードセル、又は光学補償ベント液晶セルである、請求項30に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項32】
ポリマーを有する1層以上からなる第一層上に、溶媒中に非晶性ポリマーを有する1層以上の第二層をコーティング又は共流延する工程、及び
前記第一層が、−0.01以上、0.01以下の面外(Δnth)複屈折を示すポリマーを有し;
前記第二層が、−0.01より負であるか、又は、+0.01より正である面外複屈折を示す非晶性ポリマーを有し;
前記多層補償子全体の面内レターデーション(Rin)が+20nmより正であり;
全体の面外レターデーション(Rth)が−20nmより負であるか、又は、+20nmより正であり、;
前記1層以上の第一層の面内レターデーション(Rin)は、前記の多層補償子の全体の面内レターデーションの30%以下;
となるように前記第一層及び前記第二層を延伸する工程、
を有する液晶ディスプレイ用補償子の製造方法。
【請求項33】
前記延伸工程が、前記第一層及び、前記第二層の少なくとも一端を保持する工程、及び、
前記第一層及び、前記第二層の少なくとも一方を加熱によって乾燥させる工程、を有する、請求項32に記載の製造方法。
【請求項34】
前記第一層及び、前記第二層を加熱前に乾燥させることで溶媒を除去する工程の後に、前記第一層及び、前記第二層を延伸する工程をさらに有する、請求項32に記載の製造方法。
【請求項35】
前記多層補償子の面外レターデーション(Rth)が−20nmより負である、請求項32に記載の製造方法。
【請求項36】
第二層うちの少なくとも1層が、その主鎖に不可視発色団を有し、Tgが180℃より高いポリマーを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記ポリマーが、主鎖にぶら下がった脂環基を有する、請求項36に記載の製造方法。
【請求項38】
前記脂環基が、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルネン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−5−イリデン、アダマンタン、あるいはこれらの脂環基の1つ以上の水素原子がフッ素置換されたもの、からなる群より選択される、請求項37記載の製造方法。
【請求項39】
第二層うちの少なくとも1層が、主鎖に、ビニル基、カルボニル基、アミド基、イミド基、エステル基、カルボン酸基、芳香族基、スルホン基又はアゾ基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ビスフェノール基、チオフェン基のいずれかの不可視発色団を有するポリマーを含む、請求項35に記載の多層補償子。
【請求項40】
第二層うちの少なくとも1層が、(1)ポリ(4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデン−ビスフェノール)テレフタレート−コ−イソフタレート、(2)ポリ(4,4’−ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−5−イリデンビスフェノール)テレフタレート、(3)ポリ(4,4’−イソプロピリデン2,2’,6,6’−テトラクロロビスフェノール)テレフタレート−コ−イソフタレート、(4)ポリ(4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ビスフェノール−コ−(2−ノルボルニリデン)−ビスフェノールテレフタレート、(5)ポリ(4,4’−ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−5−イリデン)−ビスフェノール−コ−(4,4’−イソプロピリデン2,2’,6,6’−テトラブロモ)−ビスフェノールテレフタレート、(6)ポリ(4,4’−イソプロピリデンビスフェノール−コ−4,4’−(2−ノルボルニリデン)ビスフェノール)テレフタレート−コ−イソフタレート、(7)ポリ(4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンビスフェノール−コ−4,4’−(2−ノルボルニリデン)ビスフェノール)テレフタレート−コ−イソフタレート、(8)ポリ(4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンビスフェノール)−コ−4,4’−(2,2−アダマンタンジイル)テレフタレート−コ−2,6−ナフタレート、又は(9)これらのポリマーのうちの2種以上による共重合体、を含むコポリマーを有する、請求項35に記載の製造方法。
【請求項41】
第二層うちの少なくとも1層が、((1)塩化テレフタロイル、(2)塩化イソフタロイル、(3)2,6−塩化ナフタロイル、(4)1,5−塩化ナフタロイル、(5)4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール、(6)4,4’−ノルボルニリデンビスフェノール、(7)4,4’−(2,2’−アダマンタンジイル)ジフェノール、(8)4,4’−(ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−5−イリデン)ビスフェノール、(9)4,4’−イソプロピリデン−2,2’,6,6’−テトラクロロビスフェノール、(10)4,4’−イソプロピリデン−2,2’,6,6’−テトラブロモビスフェノール、(11)2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、又は(13)これらうちの2種以上を含むポリマーを有する、請求項35に記載の製造方法。
【請求項42】
第一層うちの少なくとも1層が、トリアセチルセルロース、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、又はフルオレン基を含有するポリアリレートを有する、請求項40に記載の製造方法。
【請求項43】
面外レターデーション(Rth)が+20nmより正である、請求項1に記載の多層補償子。
【請求項44】
第二層うちの少なくとも1層が、主鎖以外に不可視発色団を有し、ガラス転移温度(Tg)が160℃より高いポリマーを含む、請求項43に記載の製造方法。
【請求項45】
第二層うちの少なくとも1層が、主鎖以外に、ビニル基、カルボニル基、アミド基、イミド基、エステル基、カルボン酸基、芳香族基、スルホン基又はアゾ基を有するポリマーを含む、請求項44に記載の製造方法。
【請求項46】
前記不可視発色団が、カルボニル基、アミド基、イミド基、エステル基、カルボン酸基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ビスフェノール基、又はチオフェン基を含む、請求項44に記載の製造方法。
【請求項47】
前記不可視発色団が、複素環芳香族基、又は炭素環芳香族基を含む、請求項44に記載の製造方法。
【請求項48】
第二層うちの少なくとも1層が、(A)ポリ(4ビニルフェノール)、(B)ポリ(4ビニルビスフェニル)、(C)ポリ(N−ビニルカルバゾール)、(D)ポリ(メチルカルボキシフェニルメタクリルアミド)、(E)ポリ[(1−アセチルインダゾール−3−イルカルボニルオキシ)エチレン]、(F)ポリ(フタルイミドエチレン)、(G)ポリ(4−(1−ヒドロキシ−1−メチルプロピル)スチレン)、(H)ポリ(2−ヒドロキシメチルスチレン)、(I)ポリ(2−ジメチルアミノカルボニルスチレン)、(J)ポリ(2−フェニルアミノカルボニルスチレン)、(K)ポリ(3−(4−ビフェニル)スチレン)、(L)ポリ(4−(4−ビフェニル)スチレン)、(M)ポリ(4−シアノフェニルメタクリレート)、(N)ポリ(2,6−ジクロロスチレン)、(O)ポリ(パーフルオロスチレン)、(P)ポリ(2,4−ジイソプロピルスチレン)、(Q)ポリ(2,5−ジイソプロピルスチレン)、(R)ポリ(2,4,6−トリメチルスチレン)、(S)臭素化ポリビニルカルバゾール、(T)ポリビニルジブロモカルバゾール、(U)ポリアクリルカルバゾール、(V)ポリn−ビニルナフタルイミド、(X)セルロースジアセテートナフタレート、又は(Y)これらの2種以上を含むポリマーを有する、請求項44に記載の製造方法。
【請求項49】
第一層うちの少なくとも1層が、トリアセチルセルロース、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、フルオレン基を含有するポリアリレートを有する、請求項48に記載の多層補償子。
【請求項50】
液晶セルと、前記セルの各面に一枚ずつ設置されている一対の交差偏光子と、少なくとも1つの請求32に記載の製造方法によって製造された補償子と、を有する液晶ディスプレイ。
【請求項51】
前記液晶セルが、垂直配向セル、ツイステッド・ネマチックセル、インプレーンスイッチングモードセル、又は光学補償ベント液晶セルである、請求項50に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項52】
液晶セルと、少なくとも1枚の偏光子と、反射板と、少なくとも1つの請求32に記載の製造方法によって製造された補償子と、を有する液晶ディスプレイ。
【請求項53】
前記液晶セルが、垂直配向セル、ツイステッド・ネマチックセル、インプレーンスイッチングモードセル、又は光学補償ベント液晶セルである、請求項52に記載の液晶ディスプレイ。


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公表番号】特表2008−544304(P2008−544304A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516043(P2008−516043)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/023843
【国際公開番号】WO2007/001999
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】