説明

多層光記録媒体製造用シート、光記録媒体用多層構造体および多層光記録媒体

【課題】光記録層から粘着剤層への記録材料の移行の抑制と、反りの抑制とを両立することのできる多層光記録媒体製造用シート、光記録媒体用多層構造体および多層光記録媒体を提供する。
【解決手段】光記録層11と、粘着剤層12とを積層してなる多層光記録媒体製造用シート1であって、粘着剤層12が、表面自由エネルギーが20mJ/m以下である粘着剤によって構成される多層光記録媒体製造用シート1。粘着剤層12の粘着剤は、構成成分として、フッ素化(メタ)アクリルモノマーおよび/またはシリコーン(メタ)アクリルモノマーと、(メタ)アクリル酸エステルとを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体を主成分とするか、ポリジメチルシロキサン骨格を有するポリマーと、シリコーンレジンとを含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光記録層と粘着剤層とを交互に積層してなる多層光記録媒体、ならびにその製造に用いられる多層光記録媒体製造用シートおよび光記録媒体用多層構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光記録媒体における記録情報の高密度化を目的として、多光子吸収性材料を利用した多層光記録媒体が提案されている。この多層光記録媒体におけるクロストークを低減するために、光記録層と光記録層との層間に非光記録層を介在させる構成が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
上記のような構造の多層光記録媒体を製造するには、通常、スピンコート法によって各層を形成し、積層する方法が用いられる。しかしながら、かかる方法では、多層光記録媒体の大面積化が困難であり、材料が制限されるなどの問題があった。
【0004】
上記の問題を解決するために、感光材料を含む光記録層と感圧接着剤層とが積層されてなる感圧接着性シートを使用して多層光記録媒体を製造する方法が提案されている(特許文献3参照)。この感圧接着性シートを用いる製造方法によれば、多層光記録媒体を簡便にかつ大面積で製造することができる。
【0005】
しかしながら、上記のような感圧接着性シートを使用して製造した多層光記録媒体の場合、感光材料や感圧接着剤の種類、または環境条件によっては、経時により、感光材料が、感圧接着剤で構成される非光記録層薄膜シート側に移行・拡散して、記録感度が低下したり、あるいはクロストークが発生することがあった。
【0006】
このような問題を解決する方法として、接着剤のガラス転移温度Tgを制御することで、光記録層を構成する色素材料の他層への移行を抑制して、記録感度の低下やクロストークの発生を低減する方法が提案されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−250496号公報
【特許文献2】特開2000−67464号公報
【特許文献3】特開2005−209328号公報
【特許文献4】特開2009−238314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の方法では、ガラス転移温度Tgの高い接着剤に接着性を発現させるために、光記録層と接着剤層との積層工程において加熱が必要となり、その熱によって、得られる多層光記録媒体製造用シートや多層光記録媒体に反りが発生してしまう。反った多層光記録媒体製造用シートでは、多層光記録媒体を製造するときに、当該多層光記録媒体製造用シートを良好に積層することができない。また、反った多層光記録媒体では、情報の読み書きを正確に行うことができない。一方、反りを防ぐために上記加熱温度を低くすると、接着剤が接着性を発現できず、接着自体が困難となる。
【0009】
本発明は、上記の実状に鑑みてなされたものであり、光記録層から粘着剤層への記録材料の移行の抑制と、反りの抑制とを両立することのできる多層光記録媒体製造用シート、光記録媒体用多層構造体および多層光記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1に本発明は、光記録層と、粘着剤層とを交互に積層してなる多層光記録媒体を製造するための多層光記録媒体製造用シートであって、光記録層と、粘着剤層とを積層してなり、前記粘着剤層が、表面自由エネルギーが20mJ/m以下である粘着剤によって構成されることを特徴とする多層光記録媒体製造用シートを提供する(発明1)。
【0011】
上記発明(発明1)に係る多層光記録媒体製造用シートによれば、光記録層から粘着剤層への記録材料の移行を抑制して、記録感度の低下やクロストークの発生を低減することができるとともに、当該多層光記録媒体製造用シート、ならびに得られる光記録媒体用多層構造体および多層光記録媒体の反りも抑制することができる。
【0012】
上記発明(発明1)において、前記粘着剤は、フッ素モノマーを構成成分とする重合体および/またはポリシロキサン骨格を有するモノマーを構成成分とする重合体を主成分とするか(発明2)、構成成分として、フッ素化(メタ)アクリルモノマーおよび/またはシリコーン(メタ)アクリルモノマーと、(メタ)アクリル酸エステルとを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体を主成分とするか(発明3)、ポリジメチルシロキサン骨格を有するポリマーと、シリコーンレジンとを含有することが好ましい(発明7)。
【0013】
上記発明(発明3)において、前記フッ素化(メタ)アクリルモノマーは、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレートおよび1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい(発明4)。
【0014】
上記発明(発明3,4)において、前記シリコーン(メタ)アクリルモノマーは、片末端に(メタ)アクリロイル基を有する反応性シリコーンであることが好ましい(発明5)。
【0015】
上記発明(発明3〜5)において、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体中における構成成分としての前記フッ素化(メタ)アクリルモノマーおよび前記シリコーン(メタ)アクリルモノマーの合計含有量は、30質量%以上であることが好ましい(発明6)。
【0016】
上記発明(発明7)において、前記粘着剤中における前記シリコーンレジンの含有量は、15〜90質量%であることが好ましい(発明8)。
【0017】
上記発明(発明1〜8)において、前記粘着剤の接着力は、500〜50,000mN/25mmであることが好ましい(発明9)。
【0018】
上記発明(発明1〜9)において、前記光記録層は、多光子吸収性材料を含有することが好ましい(発明10)。
【0019】
第2に本発明は、光記録層と、粘着剤層とを交互に積層してなり、前記粘着剤層が、表面自由エネルギーが20mJ/m以下である粘着剤によって構成されることを特徴とする光記録媒体用多層構造体を提供する(発明11)。
【0020】
第3に本発明は、光記録層と、粘着剤層とを交互に積層した多層構造体を備え、前記粘着剤層が、表面自由エネルギーが20mJ/m以下である粘着剤によって構成されることを特徴とする多層光記録媒体を提供する(発明12)。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る多層光記録媒体製造用シート、光記録媒体用多層構造体および多層光記録媒体によれば、光記録層から粘着剤層への記録材料の移行を抑制して、記録感度の低下やクロストークの発生を低減することができるとともに、当該多層光記録媒体製造用シート、光記録媒体用多層構造体および多層光記録媒体の反りも抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る多層光記録媒体製造用シートの断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る多層光記録媒体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態によって提供される多層光記録媒体においては、記録材料の多光子吸収を利用して記録が行われる。多光子吸収とは、化合物が2つ以上の光子を同時に吸収して励起される現象である。多光子吸収は光強度の強い位置でのみ起こるため、空間分解能が向上し、媒体内部の一点を狙って記録することが可能となる。多光子吸収を利用した記録方式としては、多光子吸収性材料そのものが多光子吸収により構造変化することによるものであってもよいし、多光子吸収により得た励起エネルギーが他の化合物に移動し、構造変化を誘起することによるものであってもよい。
【0024】
〔光記録媒体製造用シート〕
図1は本発明の一実施形態に係る多層光記録媒体製造用シートの断面図である。本実施形態に係る多層光記録媒体製造用シート1は、光記録層11と、光記録層11に積層された粘着剤層12と、光記録層11の外側表面に積層された剥離シート13と、粘着剤層12の外側表面に積層された剥離シート13’とからなる。ただし、剥離シート13,13’は、多層光記録媒体製造用シート1の使用時に剥離されるものである。多層光記録媒体製造用シート1における剥離シート13または剥離シート13’はなくてもよい。
【0025】
光記録層11を構成する記録材料(光記録材料)としては、多光子吸収性材料を含むものであればよく、従来光記録媒体における光記録層の構成材料として知られている材料の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。多光子吸収性材料とは、2つ以上の光子を同時に吸収し、励起状態へと遷移する性質を有する化合物を意味する。その中でも実用に十分な記録感度を得るという観点から、二光子吸収断面積が0.1GM以上の二光子吸収性材料を含む光記録材料が好ましく、特に100GM以上の二光子吸収性材料を含む光記録材料が好ましい。なお、「GM」は、10−50cm・s・molecule−1・photon−1を意味する。
【0026】
上記のような光記録材料としては、例えば多光子吸収性材料単独で構成した材料、多光子吸収性材料と、励起された多光子吸収性材料からのエネルギー移動によって変化を起こす他の反応性化合物とで構成した材料、あるいはこれらを必要に応じてマトリクスに配合した材料などが挙げられる。
【0027】
上記マトリクスを構成する材料は、無機材料であっても有機材料であってもよいが、多層光記録媒体製造用シート1の製造の簡便さや、材料の選択肢の多さなどの点から、有機系の高分子材料が好ましい。この高分子材料はホモポリマーであってもコポリマーであってもよく、そのモノマーの種類、分子量、重合形態などについては特に制限はない。
【0028】
上記高分子材料の具体例としては、各種ポリエチレン、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン/1−ヘキセン共重合体、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、プロピレン/1−ブテン共重合体、ポリ1−ブテン、1−ブテン/4−メチル−1−ペンテン共重合体、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ブテン、エチレン/環状オレフィン共重合体、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体またはその金属塩、ポリメタクリル酸メチル、脂環式アクリル樹脂等のポリ(メタ)アクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリパーフルオロエチレン、パーフルオロアルケニルビニルエーテル重合体等のフッ素系樹脂、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、オレフィン/N−置換マレイミド共重合体、アリルカーボネート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂などが挙げられる。これらの高分子材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を意味するものである。他の類似用語も同様である。
【0029】
一方、多光子吸収性材料は、上記のマトリクスに対して、主鎖または側鎖成分として化学結合したものであってもよいし、単にマトリクス中に分散または溶解していてもよい。この多光子吸収性材料としては特に制限はなく、様々な化合物を用いることができる。当該多光子吸収性材料としては、例えば、シアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、チアピリリウム色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、スクアリウム色素、アズレニウム色素、クマリン色素、ピラン色素、キノン色素、アントラキノン色素、チリフェニルメタン色素、ジフェニルメタン色素、キサンテン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、フルオレノン色素、ジアリールエテン色素、スピロピラン色素、フルギド色素、ペリレン色素、ポリエン色素、ジフェニルアミン色素、キナクドリン色素、アズレニウム色素、ポルフィリン色素、フタロシアニン色素、スチレン系色素、フェニレンビニレン色素、トリフェニルアミン系色素、カルバゾール系色素などが挙げられる。
【0030】
上記多光子吸収性材料の分子量としては特に制限はないが、600以上であることが好ましい。分子量が600以上であると、本実施形態における効果である多光子吸収性材料の粘着剤層12への移行抑制を、より効果的に達成することができる。分子量の上限に特に制限はないが、通常、数平均分子量Mnで100,000程度である。このような高分子量の多光子吸収性材料は、例えば前述したマトリクスに対して、主鎖または側鎖成分として化学結合させることにより得ることができる。なお、上記数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定されるポリスチレン換算の値である。
【0031】
上記のような多光子吸収性化合物を用いて記録する方式としては、例えば、アゾ基やC=C基、C=N基含有化合物のように光によって異性化する材料や、(メタ)アクリレート化合物のように光によって重合反応を起こす材料、有機フォトクロミック材料のように光によって可逆的な構造変化を起こす材料、光によって電荷分布が起こる有機リフラクティブ材料などを用いて屈折率変調を読み取る方式や、光によって蛍光特性が変化する材料を用いて蛍光を読み取る方式、光によって酸を発生する材料と酸発色性色素の組み合わせや、消色剤と消色性色素を組み合わせて、吸収率変調や屈折率変調を読み取る方式などが挙げられる。これらの記録方式において、多光子吸収性化合物自身が、このような光反応性を有していてもよいし、多光子吸収によって励起された多光子吸収性化合物から、他の反応性化合物へのエネルギー移動によって反応を起こしてもよい。
【0032】
光記録層11の厚さは、特に制限はないが、通常0.04〜50μm程度、好ましくは0.05〜10μmである。
【0033】
粘着剤層12は、表面自由エネルギーが20mJ/m以下である粘着剤によって構成される。粘着剤層12に表面自由エネルギーが20mJ/m以下である粘着剤を使用することにより、従来のように粘着剤のガラス転移温度Tgを高くしなくても、光記録層11から粘着剤層12への光記録材料(多光子吸収性材料)の移行を抑制することができる。ガラス転移温度Tgが低ければ、粘着剤層12は、常温でタックを有することとなるため、多層光記録媒体製造用シート1を製造するとき、あるいは多層光記録媒体製造用シート1を積層して光記録媒体用多層構造体または多層光記録媒体を製造するときに、常温または僅かな加熱で粘着剤層12を接着させることができる。すなわち、粘着剤層12の接着時に高温で加熱する必要がないため、得られる多層光記録媒体製造用シート1や光記録媒体用多層構造体または多層光記録媒体に熱に起因する反りが発生することを抑制することができる。
【0034】
一方、粘着剤の表面自由エネルギーが20mJ/mを超えると、光記録材料が光記録層11から粘着剤層12に移行してしまう。特に光記録材料の分子量が600未満である場合、当該光記録材料の粘着剤層12への移行を十分に抑制することができず、光記録材料としての多光子吸収性材料の選択自由度が制限される。
【0035】
ここで、本明細書における表面自由エネルギーは、粘着剤層12に対する各種液滴(分散成分・双極子成分・水素結合成分)の接触角を測定し、その値をもとに北崎・畑理論により求めたものである。接触角は、接触角計(試験例では協和界面科学社製のDM−701)を使用し、静滴法によってJIS R3257に準じて測定したものである。
【0036】
粘着剤層12を構成する粘着剤の表面自由エネルギーは、8〜〜20mJ/mであることが好ましく、特に10〜19mJ/mであることが好ましい。粘着剤の表面自由エネルギーが小さ過ぎると、光記録層11に対する粘着剤層12の接着力を確保することが困難となる場合がある。
【0037】
上記のような表面自由エネルギーを有する粘着剤としては、(1)フッ素モノマーを構成成分とする重合体および/またはポリシロキサン骨格を有するモノマーを構成成分とする重合体を主成分とする粘着剤(以下「粘着剤(1)」という。)、あるいは(2)ポリジメチルシロキサン骨格を有するポリマーと、シリコーンレジンとを含有する粘着剤(以下「粘着剤(2)」という。)が好ましい。
【0038】
〔粘着剤(1)〕
本実施形態において、フッ素モノマーとしては、特に限定されず、分子内に1個以上の重合性不飽和基とフッ素原子とを有する化合物が挙げられ、例えば、片末端または両末端に(メタ)アクリロイル基、ビニル基、エポキシ基等を有するフッ素化合物等が挙げられ、中でも片末端に(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましい。このようなフッ素モノマーとしては、例えば、後述するフッ素化(メタ)アクリルモノマー、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、パーフルオロアルキルビニルエーテル等が挙げられる。
【0039】
ポリシロキサン骨格を有するモノマーとしては、特に限定されず、分子内に1個以上の重合性不飽和基を有するシロキサン系化合物が挙げられ、例えば、片末端または両末端に(メタ)アクリロイル基、ビニル基、エポキシ基等を有するものが挙げられる。このようなモノマーとしては、例えば、シリコーン(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。
【0040】
粘着剤(1)としては、接着性および光学特性を考慮すると、フッ素化(メタ)アクリルモノマーおよび/またはシリコーン(メタ)アクリルモノマーと、(メタ)アクリル酸エステルと、所望により他のモノマーとを共重合して得られる(メタ)アクリル酸エステル共重合体を主成分とする粘着剤が好ましい。すなわち、上記フッ素モノマーは、フッ素化(メタ)アクリルモノマーであることが好ましく、上記ポリシロキサン骨格を有するモノマーは、シリコーン(メタ)アクリルモノマーであることが好ましい。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
フッ素化(メタ)アクリルモノマーとしては、フッ素原子を1個以上含む(メタ)アクリルモノマーであれば限定されず、例えば、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのフッ素化(メタ)アクリルモノマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
シリコーン(メタ)アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルとの共重合によってポリジメチルシロキサン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体を形成することができるものが好ましい。かかるシリコーン(メタ)アクリルモノマーとしては、分子内に1個以上の重合性不飽和基を有するシロキサン系化合物である反応性シリコーンが好ましく、中でも片末端に(メタ)アクリロイル基を有する反応性シリコーンが好ましい。
【0043】
片末端に(メタ)アクリロイル基を有する反応性シリコーンの具体的な製品としては、チッソ社製のサイラプレーンFMシリーズ(製品名)(例えば、FM−7711、FM7721、FM7731、FM−0711、FM−0721、FM−0725)等が挙げられる。
【0044】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
所望により用いられる他のモノマーとしては、活性水素を含む官能基を有するアクリル系モノマーが好ましい。活性水素を含む官能基を有するアクリル系モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のモノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
上記アクリル系モノマー以外の所望により用いられる他のモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリド等のハロゲン化オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系モノマー;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド類などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体中における構成成分としてのフッ素化(メタ)アクリルモノマーおよびシリコーン(メタ)アクリルモノマーの合計含有量は、30質量%以上であることが好ましく、特に32〜95質量%であることが好ましく、さらには35〜90質量%であることが好ましい。フッ素化(メタ)アクリルモノマーおよびシリコーン(メタ)アクリルモノマーの含有量が少なすぎると、得られる粘着剤の表面自由エネルギーを20mJ/m以下にすることが困難となることが多い。また、フッ素化(メタ)アクリルモノマーおよびシリコーン(メタ)アクリルモノマーの含有量が多すぎると、相対的に(メタ)アクリル酸エステルの含有量が少なくなり、得られる粘着剤の接着力を確保することが困難となる場合がある。
【0048】
所望により用いられる他のモノマーを使用する場合、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体中における他のモノマーの含有量は、10質量%以下であることが好ましく、特に1〜5質量%であることが好ましい。当該他のモノマーを使用することで、得られる粘着剤が所望の粘着物性を有するように設計し易くなる。
【0049】
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体の共重合形態については、特に制限はなく、ランダム、ブロック、グラフト共重合体のいずれであってもよい。また、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の分子量は、重量平均分子量(Mw)で1万〜200万の範囲が好ましく、特に5万〜100万の範囲がより好ましく、特に10万〜80万の範囲が好ましい。なお、上記重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
【0050】
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、上記のモノマー混合物を慣用の方法(例えば、乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法、水溶液重合法など)により重合して調製することができる。中でも、重合時の安定性および使用時の取り扱い易さの観点から、有機溶媒中で行う溶液重合法で製造するのが好ましい。
【0051】
例えば、有機溶媒中にモノマー混合物を溶解した後、従来公知のアゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−アミノジプロパン)二塩酸塩、4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ系重合開始剤またはベンゾイルパーオキシド等の過酸化物系重合開始剤を添加してラジカル重合させることにより、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体を製造することができる。
【0052】
上記重合開始剤の量は、モノマー混合物100質量部に対して0.01〜5質量部の範囲が好ましく、特に0.1〜1質量部の範囲が好ましい。
【0053】
ラジカル重合は、通常10〜100℃程度、好ましくは、50〜90℃程度で、1〜20時間程度、好ましくは3〜10時間程度加熱する行うことができ、これによって、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体の有機溶媒溶液が得られる。
【0054】
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0055】
粘着剤層12を構成する粘着剤は、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体とともに、架橋剤を含有してもよい。
【0056】
上記架橋剤としては特に制限はなく、従来アクリル系粘着剤において架橋剤として慣用されているもの、例えばポリイソシアナート化合物、エポキシ化合物、アジリジン系化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩等の中から、適宜選択することができる。
【0057】
金属キレート化合物としては、特に制限はなく、アクリル系粘着剤における金属キレート系化合物として公知の化合物の中から任意のものを適宜選択することができる。この金属キレート系化合物には、金属原子がアルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、鉄、スズ等のキレート化合物があるが、性能の点からアルミニウムキレート化合物が好ましい。
【0058】
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、ジイソプロポキシアルミニウムモノオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムビスオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノオレエートモノエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノラウリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノステアリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノイソステアリルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノ−N−ラウロイル−β−アラネートモノラウリルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(イソブチルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(2−エチルヘキシルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(ドデシルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(オレイルアセトアセテート)キレート等が挙げられる。
【0059】
ポリイソシアナート化合物としては、特に制限はなく、アクリル系粘着剤におけるポリイソシアナート化合物として公知の化合物の中から任意のものを適宜選択することができ、脂環式ポリイソシアナート系化合物、脂肪族ポリイソシアナート系化合物、芳香族ポリイソシアネート系化合物等が挙げられる。
【0060】
脂環式ポリイソシアナート系化合物・脂肪族ポリイソシアナート系化合物としては、例えばイソホロンジイソシアナート、ビシクロヘプタントリイソシアナート、シクロペンチレンジイソシアナート、シクロヘキシレンジイソシアナート、メチルシクロヘキシレンジイソシアナート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、リジンジイソシアナートなど、およびそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などを挙げることができる。
【0061】
芳香族ポリイソシアネート系化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0062】
脂環式エポキシ系化合物・脂肪族エポキシ系化合物としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、1,3−ビス(N,N'−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエステル、アジピン酸グリシジルエステル、セバシン酸グリシジルエステル等が挙げられる。
【0063】
脂肪族アジリジン系化合物としては特に制限はなく、アクリル系粘着剤における脂肪族アジリジン系化合物として公知の化合物の中から任意のものを適宜選択することができる。脂肪族アジリジン系化合物としては、例えばトリメチロールプロパントリ(2−メチル−1−アジリジンプロピオネート)、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、2,2'−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサメチレンジエチレンウレア等が挙げられる。
【0064】
粘着剤層12を構成する粘着剤において、上記ポリイソシアナート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物およびアジリジン化合物等の架橋剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0065】
上記架橋剤の配合量は、粘着剤としての性能の観点から、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体100質量部に対し、通常0.01〜5.0質量部、好ましくは0.05〜3.0質量部、特に好ましくは0.1〜1.0質量部の範囲で選定される。
【0066】
〔粘着剤(2)〕
粘着剤(2)におけるポリジメチルシロキサン骨格を有するポリマーの分子量は、重量平均分子量(Mw)で0.5〜50万の範囲が好ましく、特に1〜45万の範囲が好ましい。
【0067】
シリコーンレジンとしては、一官能性のM単位(RSiO−)、二官能性のD単位(RSi(O−))、三官能性のT単位(RSi(O−))および四官能性のQ単位(Si(O−))から選ばれる少なくとも1種の単位を有するオルガノポリシロキサンが好ましい。なお、上記の式中、Rは脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等の一価炭化水素基、ビニル基、へキセニル基等のアルケニル基、または水酸基を示す。
【0068】
粘着剤(2)におけるシリコーンレジンの含有量は、15〜90質量%であることが好ましく、特に20〜85質量%であることが好ましい。シリコーンレジンの含有量が少なすぎると、ポリジメチルシロキサン骨格を有するポリマーによる剥離性が顕著となって、得られる粘着剤の接着性が不足するおそれがある。シリコーンレジンの含有量が多すぎると、得られる粘着剤の硬さが顕著となって、接着性が不足するおそれがある。
【0069】
粘着剤(2)としては、いわゆるシリコーン粘着剤を使用することができ、市販のシリコーン粘着剤を使用することができる。市販のシリコーン粘着剤の具体的な製品としては、東レ・ダウコーニング社製のSD4580シリーズ、SD4570シリーズ、SD4560シリーズ等が挙げられる。また、これらのシリコーン粘着剤に対して、ポリジメチルシロキサン骨格を有するポリマーおよび/またはシリコーンレジンを適宜配合してもよい。なお、粘着剤(2)は、所望により架橋剤や硬化触媒等を含有してもよい。
【0070】
上記粘着剤には、本実施形態における効果が損なわれない範囲で、所望により、粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、充填剤、難燃剤等を添加することができる。
【0071】
粘着剤層12を構成する粘着剤のガラス転移温度Tgは、−70〜15℃であることが好ましく、特に−65〜13℃であることが好ましく、さらには−60〜10℃であることが好ましい。粘着剤のガラス転移温度Tgが上記の範囲にあると、粘着剤層12が常温でタックを有することとなるため、多層光記録媒体製造用シート1を製造するとき、あるいは多層光記録媒体製造用シート1を積層して光記録媒体用多層構造体または多層光記録媒体を製造するときに、常温または僅かな加熱で粘着剤層12を接着させることができる。すなわち、粘着剤層12の接着時に高温で加熱する必要がないため、得られる多層光記録媒体製造用シート1や光記録媒体用多層構造体または多層光記録媒体に熱に起因する反りが発生することを抑制することができる。なお、本明細書におけるガラス転移温度Tgは、示差走査熱量測定装置により昇温・降温速度20℃/分で測定した値である。
【0072】
粘着剤層12の厚さは、1〜50μmであることが好ましく、特に2〜40μmであることが好ましい。粘着剤層12の厚さを上記範囲とすることで、光記録層11相互間のクロストークを効果的に抑制することができる。
【0073】
粘着剤層12の接着力は、25℃において500〜50,000mN/25mmであることが好ましく、特に600〜50,000mN/25mmであることが好ましく、さらには800〜50,000mN/25mmであることが好ましい。粘着剤層12の25℃における接着力が上記の範囲にあれば、粘着剤層12と他の層(主として光記録層11)との接着力が十分である。なお、本明細書における接着力は、粘着剤層12の一方の面に厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム、他方の面にポリメチルメタクリレートからなる試験板を貼付し、JIS Z0327(2009)に準じて、180°引き剥がし法によって試験板から粘着剤層をポリエチレンテレフタレートフィルムと共に剥離して測定した値(N/25mm)である。
【0074】
剥離シート13,13’としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレンなどの樹脂フィルムや、それら樹脂フィルムをシリコーン系剥離剤、長鎖アルキル系剥離剤、アルキド樹脂系剥離剤等で剥離処理した剥離シートを使用することができる。
【0075】
剥離シート13,13’は、それぞれ光記録層11または粘着剤層12に平滑性を付与するために、光記録層11または粘着剤層12と接触する側の表面粗さ(Ra)が1μm以下、特に0.5μm以下であることが好ましい。剥離シート13,13’の表面粗さ(Ra)が1μmを超えると、光記録層11または粘着剤層12の表面粗さが大きくなり、得られる多層光記録媒体の信号特性が低下するおそれがある。剥離シート13,13’の厚さは、通常20〜150μm程度である。
【0076】
なお、剥離シート13,13’のうち、先に剥離する方は軽剥離タイプのものとし、後に剥離する方は重剥離タイプのものとするのが好ましい。また、剥離シート13,13’のうち、一方を未処理の樹脂フィルム、他方を剥離シートとしてもよい。
【0077】
上記多層光記録媒体製造用シート1は、例えば、以下に示す方法により製造することができる。まず、光記録層11を構成する材料と、所望によりさらに溶媒とを含有する光記録層11用の塗布剤を調製するとともに、粘着剤層12を構成する材料(粘着剤)と、所望によりさらに溶媒とを含有する粘着剤層12用の塗布剤とを調製する。
【0078】
そして、(1)光記録層11用の塗布剤を剥離シート13の剥離性を有する面上に塗布して光記録層11を形成した後、その上に粘着剤層12用の塗布剤を塗布して粘着剤層12を形成し、その粘着剤層12の表面にもう1枚の剥離シート13’の剥離性を有する面を重ねて積層するか、(2)粘着剤層12用の塗布剤を剥離シート13’の剥離性を有する面上に塗布して粘着剤層12を形成した後、その上に光記録層11用の塗布剤を塗布して光記録層11を形成し、その光記録層11の表面にもう1枚の剥離シート13の剥離性を有する面を重ねて積層するか、(3)光記録層11用の塗布剤を剥離シート13の剥離性を有する面上に塗布して光記録層11を形成し、一方、粘着剤層12用の塗布剤を剥離シート13’の剥離性を有する面上に塗布して粘着剤層12を形成し、光記録層11と粘着剤層12とが重ね合わせられるようにして両者を積層する。塗布剤の塗工には、例えば、キスロールコーター、リバースロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、ダイコーター等の塗工機を使用することができる。
【0079】
本実施形態では、光記録層11から粘着剤層12への光記録材料の移行を抑制するために、従来のように粘着剤層12の粘着剤のガラス転移温度Tgを高くしなくてもよいため、上記(3)の方法により多層光記録媒体製造用シート1を製造するにあたり、常温または僅かな加熱で粘着剤層12と光記録層11とを積層することができ、高温で加熱する必要がない。したがって、得られる多層光記録媒体製造用シート1に熱に起因する反りが発生することを抑制することができる。
【0080】
上記のようにして得られた多層光記録媒体製造用シート1は、次に説明する光記録媒体用多層構造体または多層光記録媒体の製造材料として好適に用いられる。
【0081】
なお、本実施形態に係る多層光記録媒体製造用シート1は、必要に応じて、当該多層光記録媒体製造用シート1を補強するための透明樹脂層や、多層光記録媒体内部に位置情報を設けるために、記録ピットおよび/またはグルーブとして表面に凹凸を有する位置情報付与層、さらには光導波層、反射層、誘電体層などを存在させてもよい。この場合、例えば上記透明樹脂層は、光記録層11と粘着剤層12との間または光記録層11上に設けることができ、また上記位置情報付与層は、それを形成させる利便性の観点から、粘着剤層12とは反対側の最外層に設けることが好ましい。
【0082】
〔光記録媒体用多層構造体〕
本実施形態に係る光記録媒体用多層構造体は、光記録層11と粘着剤層12とが交互に積層された構造体であり(図2中の符号2参照)、好ましくは前述した多層光記録媒体製造用シート1を用いて形成される。
【0083】
光記録層11と粘着剤層12のそれぞれの積層数は、特に制限はないが、下限は通常2層以上、好ましくは5層以上である。1層では十分な記録密度が得られない。一方、上限は通常500層以下であり、好ましくは200層以下である。500層を超えると、各層での光の吸収や層間での光の反射などによって、情報の書き込みや読み込みに不具合を生じる可能性がある。
【0084】
光記録層11および粘着剤層12の全積層厚さ(光記録媒体用多層構造体の厚さ)は、通常10μm〜5mm程度、好ましくは20μm〜2mm、さらに好ましくは50μm〜1.2mmである。
【0085】
この光記録媒体用多層構造体は、後述するように多層光記録媒体10の製造工程中に製造されてもよいし、多層光記録媒体10の製造に先立って、あらかじめ製造されてもよい。
【0086】
〔多層光記録媒体の製造〕
次に、上記多層光記録媒体製造用シート1を使用した多層光記録媒体10の製造方法の一例について説明する。図2は、得られる多層光記録媒体10の断面図である。
【0087】
最初に、ポリカーボネート樹脂などからなる基板3を用意し、その上に粘着剤層4を形成する。この粘着剤層4の材料は、上記粘着剤層12を構成している粘着剤と同じであっても異なっていてもよい。
【0088】
そして、多層光記録媒体製造用シート1から剥離シート13を剥がし、露出した光記録層11と、基板3上の粘着剤層4とが対面するようにして、両者を接合させる。次いで、この積層体から、剥離シート13’を剥がして粘着剤層12を露出させ、この粘着剤層12と、別の多層光記録媒体製造用シート1から剥離シート13を剥がして露出した光記録層11とが対面するようにして、両者を接合させる。以下同様の手順で、順次積層を繰り返すことにより、光記録層11および粘着剤層12がn層積層されてなる光記録媒体用多層構造体2が得られる。
【0089】
本実施形態では、粘着剤層12としてガラス転移温度Tgの低い粘着剤を使用することができるため、光記録媒体用多層構造体2を製造するにあたり、常温または僅かな加熱で粘着剤層12と光記録層11とを接合することができ、高温で加熱する必要がない。したがって、得られる光記録媒体用多層構造体2に熱に起因する反りが発生することを抑制することができる。
【0090】
最後に、最上層の剥離シート13’を剥がして露出した粘着剤層12に、光透過性保護フィルム5を貼付して、多層光記録媒体10を得る。この光透過性保護フィルムとしては、特に制限はなく、従来、光記録媒体の保護フィルムとして慣用されているものの中から適宜選択して用いることができる。この光透過性保護フィルムの厚さは、特に制限はないが、通常20〜600μm程度、好ましくは20〜150μmである。
【0091】
多層光記録媒体10の製造方法の他の例としては、基板3を用意し、多層光記録媒体製造用シート1から剥離シート13’を剥がし、露出した粘着剤層12と、基板3の表面とが対面するようにして、両者を接合させる。次いで、この積層体から、剥離シート13を剥がして光記録層11を露出させ、この光記録層11と、別の多層光記録媒体製造用シート1から剥離シート13’を剥がして露出した粘着剤層12とが対面するようにして、両者を接合させる。以下同様の手順で、順次積層を繰り返すことにより、粘着剤層12および光記録層11がn層積層されてなる光記録媒体用多層構造体2が得られる。最後に、最上層の剥離シート13を剥がして露出した光記録層11に、粘着剤層付きの光透過性保護フィルムを貼付して、多層光記録媒体10を得る。
【0092】
以上のようにして得られる多層光記録媒体10においては、前述した粘着剤層12を使用することにより、光記録層11から粘着剤層12への記録材料の移行が抑制されており、また、多層光記録媒体10の反りも抑制されている。光記録層11から粘着剤層12への記録材料の移行が抑制されることで、当該多層光記録媒体10は、記録感度の低下やクロストークの発生が低減したものとなっている。
【0093】
なお、光記録媒体用多層構造体2または多層光記録媒体10は、多層光記録媒体製造用シート1を使用することなく製造することもできる。例えば、所定の基材または基板3の上に、粘着剤層12用の塗布剤を塗布して粘着剤層12を形成し、その粘着剤層12の上に光記録層11用の塗布剤を塗布して光記録層11を形成し、さらにその光記録層11の上に粘着剤層12用の塗布剤を塗布して粘着剤層12を形成し、この工程を繰り返すことで、光記録媒体用多層構造体2または多層光記録媒体10を製造することができる。あるいは、あらかじめ剥離シート上に光記録層11を形成しておき、所定の基材または基板3の上に、粘着剤層12用の塗布剤を塗布して粘着剤層12を形成し、その粘着剤層12の上に上記光記録層11を積層して剥離シートを剥離し、さらにその光記録層11の上に粘着剤層12用の塗布剤を塗布して粘着剤層12を形成し、この工程を繰り返すことで、光記録媒体用多層構造体2または多層光記録媒体10を製造することができる。
【0094】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【実施例】
【0095】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0096】
〔実施例1〕
(1)光記録層の形成
光記録材料として2−[4−(2−クロロ−4−ニトロフェニルアゾ)−N−エチルフェニルアミノ]エタノール(アルドリッチ社製,Disperse Red13)10質量部と、クロロホルム45質量部と、シクロヘキサノン45質量部とを混合し、固形分濃度10質量%の塗工液を調製した。
【0097】
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材にアルキド樹脂剥離層を設けてなる剥離シートの剥離層面に、上記塗工液をグラビアコート法にて塗布し、110℃で1分間乾燥させて、厚さ約0.5μmの光記録層を形成した。
【0098】
(2)粘着剤層の形成
フッ素化(メタ)アクリルモノマーとして、2,2,2-トリフルオロエチルメタアクリレート15質量部および2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート20質量部と、(メタ)アクリル酸エステルとしてn−ブチルアクリレート62質量部と、他のモノマーとして2−ヒドロキシエチルアクリレート3質量部とを、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)0.25質量部を加えた上で酢酸エチル中で反応させて、粘着剤としてのアクリル酸エステル共重合体(Mw=200,000)の酢酸エチル溶液(固形分濃度33質量%)を得た。
【0099】
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にシリコーン剥離層を設けてなる剥離シートの剥離層面に、上記塗工液をナイフコーターにて塗布し、90℃で1分間乾燥させて、厚さ7μmの粘着剤層を形成した。
【0100】
(3)多層光記録媒体製造用シートの作製
上記(2)で形成した乾燥後の粘着剤層面と、上記(1)で形成した光記録層面とを合わせ、室温下にて、2本のゴムロールで圧着することにより、光記録層と粘着剤層とが積層された多層光記録媒体製造用シートを作製した。この多層光記録媒体製造用シートは、剥離シート/光記録層(0.5μm)/粘着剤層(7μm)/剥離シートから構成される。
【0101】
〔実施例2〜8,比較例1,2〕
表1に示す種類のフッ素化(メタ)アクリルモノマーおよび/またはシリコーン(メタ)アクリルモノマーと、(メタ)アクリル酸エステルと、他のモノマーとを、表1に示す配合量(表1中の単位は質量部)で共重合し、粘着剤層を構成するアクリル酸エステル共重合体を得た。このアクリル酸エステル共重合体を使用する以外、実施例1と同様にして粘着剤層および多層光記録媒体製造用シートを作製した。なお、実施例7,8で使用したシリコーン(メタ)アクリルモノマーは、チッソ社製のFM−0711であった。また、比較例2については、粘着剤のガラス転移温度が高く、室温下では積層することができなかったため、粘着剤層と光記録層面とを圧着する際に、接着性を発現させるために80℃に加熱した。
【0102】
〔実施例9〕
ポリジメチルシロキサン骨格を有するポリマーおよびシリコーンレジンを含有するシリコーン粘着剤(東レ・ダウコーニング社製,SD4574,シリコーンレジン含有量:65質量%)100質量部と、シリコーンレジン(東レ・ダウコーニング社製,SR2400)50質量部とを混合し、得られた粘着剤を酢酸エチルに溶解させ、固形分濃度30質量%の酢酸エチル溶液(塗工液)を調製した。
【0103】
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にシリコーン剥離層を設けてなる剥離シートの剥離層面に、上記塗工液をナイフコーターにて塗布し、90℃で1分間乾燥させて、厚さ7μmの粘着剤層を形成した。
【0104】
上記のようにして形成した粘着剤層を使用する以外、実施例1と同様にして多層光記録媒体製造用シートを作製した。
【0105】
〔実施例10,11〕
粘着剤として、表1に示す種類および配合量のシリコーン粘着剤、またはシリコーン粘着剤およびシリコーンレジンの混合物からなる粘着剤を使用する以外、実施例9と同様にして粘着剤層および多層光記録媒体製造用シートを作製した。なお、実施例10で使用した粘着剤は、東レ・ダウコーニング社製のシリコーン粘着剤 SD4575(シリコーンレジン含有量:50質量%)であり、実施例11で使用した粘着剤は、東レ・ダウコーニング社製のシリコーン粘着剤 SD4577(シリコーンレジン含有量:30質量%)および東レ・ダウコーニング社製のポリジメチルシロキサン骨格を有するポリマー SH28(シリコーンレジン含有量:0質量%)の混合物であった。
【0106】
〔試験例1〕(表面自由エネルギーの測定)
実施例および比較例で使用した粘着剤の表面自由エネルギー(mJ/m)を、粘着剤層に対する各種液滴の接触角を測定し、その値をもとに北崎・畑理論により求めた。接触角は、接触角計(協和界面科学社製,DM−701)を使用し、静滴法によってJIS R3257に準じて測定した。液滴については、「分散成分」としてジヨードメタン、「双極子成分」として1−ブロモナフタレン、「水素結合成分」として蒸留水を使用した。結果を表2に示す。
【0107】
〔試験例2〕(ガラス転移温度の測定)
実施例および比較例で得られた粘着剤のガラス転移温度Tgを、示差走査熱量測定装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製,DSC Q2000)によって、昇温・降温速度20℃/分で測定した。結果を表2に示す。
【0108】
〔試験例3〕(接着力の測定)
実施例および比較例で得られた粘着剤層の片面を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製,製品名:コスモシャインA4100,厚さ:50μm)と貼り合わせ、さらに上記粘着剤層の反対面から剥離シートを剥離して、露出した粘着剤層をポリメチルメタクリレートからなる試験板に圧着した。そして、JIS Z0327(2009)に準じて、180°引き剥がし法によって試験板から粘着剤層をポリエチレンテレフタレートフィルムと共に剥離し、当該180°引き剥がし粘着力(N/25mm)を接着力として測定した。結果を表2に示す。
【0109】
〔試験例4〕(光記録材料の移行評価)
実施例および比較例で得られた多層光記録媒体製造用シートにおける粘着剤層の赤外吸収スペクトルを、光記録層と接していない側から、フーリエ変換赤外分光分析装置(Perkin Elmer社製,Spectrum One)を使用したダイヤモンドATR法により測定した。
【0110】
次に、光記録材料の移行を促進させるために、赤外吸収スペクトル測定後の多層光記録媒体製造用シートを25℃、50%RHの湿熱環境下で24時間放置した。その後、粘着剤層の赤外吸収スペクトルを上記と同様にして測定した。
【0111】
得られた赤外吸収スペクトルにおいて、光記録材料由来のベンゼン環のピークである1600cm−1のピーク面積の湿熱促進前を(B)、湿熱促進後を(A)とし、吸収ピーク面積を比較した。その結果、|(A)−(B)|≦0.06であれば、光記録材料の移行が無い(○)、|(A)−(B)|>0.06であれば、光記録材料の移行が有る(×)と判断した。結果を表2に示す。
【0112】
〔試験例5〕(クロストーク有無の評価)
実施例および比較例で得られた多層光記録媒体製造用シートにおける粘着剤層側の剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層に、ポリビニルアルコールからなる光透過性保護フィルム(日本合成化学工業社製,ゴーセノール T−350,厚さ:20μm)を貼付した。そして、チタンサファイアフェムト秒レーザ(波長760nm)を光源とする共焦点光学系により、光透過性保護フィルム側から、光記録層に対してレーザ光照射を25箇所行った。レーザ光の平均強度は60(mW)とし、照射時間は128ミリ秒とした。
【0113】
次いで、共焦点レーザ走査顕微鏡(カールツァイス社製,LSM5 PASCAL)により、633nm He−Neレーザを使用して、粘着剤層の光記録層と接していない側におけるレーザ光照射箇所直上面の観察を行った。通常、粘着剤層には記録スポットがないはずであるが、光記録材料が粘着剤層に移行した場合には、記録スポットができる、いわゆるクロストークが観察される。レーザ光照射の25箇所中、粘着剤層に記録スポットが観察された数を調査した。その結果、粘着剤層にできた記録スポット数が3個未満のものをクロストーク無し(○)、粘着剤層にできた記録スポット数が3個以上のものをクロストーク有り(×)、と判断した。結果を表2に示す。
【0114】
〔試験例6〕(多層光記録媒体製造用シートの反り評価)
実施例および比較例で得られた多層光記録媒体製造用シートを100mm×100mmの正方形にカットし、これをサンプルとした。このサンプルを、粘着剤層側を上にして水平な台の上に置き、サンプルの各角(4点)の台からの浮き量を測定し、各角の浮き量を合計した。その結果、浮き量の合計が40mm未満のものを反り無し、浮き量の合計が40mm以上のものを反り有り、と判断した。結果を表2に示す。
【0115】
【表1】


(単位は質量部)
【0116】
【表2】

【0117】
表2から明らかなように、実施例で得られた多層光記録媒体製造用シートは、粘着剤の表面自由エネルギーが20mJ/m以下であり、光記録層から粘着剤層への光記録材料の移行が抑制されており、クロストークの発生がなかった。また、光記録層と粘着剤層との接着を室温で行うことができたため、当該多層光記録媒体製造用シートには反りが発生しなかった。
【0118】
一方、比較例1で得られた多層光記録媒体製造用シートは、粘着剤の表面自由エネルギーが25mJ/mであり、光記録材料が光記録層から粘着剤層に移行し、クロストークが発生した。また、比較例2で得られた多層光記録媒体製造用シートは、光記録層から粘着剤層への光記録材料の移行は抑制されていたものの、粘着剤のガラス転移温度Tgが高く、室温下では積層することができず、光記録層と粘着剤層との圧着を80℃の加熱下で行わざるを得なかったため、多層光記録媒体製造用シートに反りが発生した。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、クロストークの発生や反りのない多層光記録媒体を生産するのに有用である。
【符号の説明】
【0120】
1…多層光記録媒体製造用シート
11…光記録層
12…粘着剤層
13,13’…剥離シート
2…光記録媒体用多層構造体
3…基板
4…粘着剤層
5…光透過性保護フィルム
10…多層光記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光記録層と、粘着剤層とを交互に積層してなる多層光記録媒体を製造するための多層光記録媒体製造用シートであって、
光記録層と、粘着剤層とを積層してなり、
前記粘着剤層が、表面自由エネルギーが20mJ/m以下である粘着剤によって構成される
ことを特徴とする多層光記録媒体製造用シート。
【請求項2】
前記粘着剤は、フッ素モノマーを構成成分とする重合体および/またはポリシロキサン骨格を有するモノマーを構成成分とする重合体を主成分とすることを特徴とする請求項1に記載の多層光記録媒体製造用シート。
【請求項3】
前記粘着剤は、構成成分として、フッ素化(メタ)アクリルモノマーおよび/またはシリコーン(メタ)アクリルモノマーと、(メタ)アクリル酸エステルとを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体を主成分とすることを特徴とする請求項1に記載の多層光記録媒体製造用シート。
【請求項4】
前記フッ素化(メタ)アクリルモノマーは、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレートおよび1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の多層光記録媒体製造用シート。
【請求項5】
前記シリコーン(メタ)アクリルモノマーは、片末端に(メタ)アクリロイル基を有する反応性シリコーンであることを特徴とする請求項3または4に記載の多層光記録媒体製造用シート。
【請求項6】
前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体中における構成成分としての前記フッ素化(メタ)アクリルモノマーおよび前記シリコーン(メタ)アクリルモノマーの合計含有量は、30質量%以上であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の多層光記録媒体製造用シート。
【請求項7】
前記粘着剤は、ポリジメチルシロキサン骨格を有するポリマーと、シリコーンレジンとを含有することを特徴とする請求項1に記載の多層光記録媒体製造用シート。
【請求項8】
前記粘着剤中における前記シリコーンレジンの含有量は、15〜90質量%であることを特徴とする請求項7に記載の多層光記録媒体製造用シート。
【請求項9】
前記粘着剤の接着力は、500〜50,000mN/25mmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の多層光記録媒体製造用シート。
【請求項10】
前記光記録層は、多光子吸収性材料を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の多層光記録媒体製造用シート。
【請求項11】
光記録層と、粘着剤層とを交互に積層してなり、
前記粘着剤層が、表面自由エネルギーが20mJ/m以下である粘着剤によって構成される
ことを特徴とする光記録媒体用多層構造体。
【請求項12】
光記録層と、粘着剤層とを交互に積層した多層構造体を備え、
前記粘着剤層が、表面自由エネルギーが20mJ/m以下である粘着剤によって構成される
ことを特徴とする多層光記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−209001(P2012−209001A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75115(P2011−75115)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】