説明

多層塗工紙又は多層塗工板紙の製造方法

【課題】本発明は、印刷、包装、ラベリング目的に特に適する多層塗工紙及び板紙の製造方法である。
【解決手段】本発明は、1つの態様において、多層塗工紙及び板紙の製造方法であって、水性エマルジョン又はサスペンジョンから選ばれる少なくとも2層のカーテン層を複合材の自由落下カーテンとし、連続のベースペーパー又はベースボードのウェブをその複合材カーテンで塗工する方法、及び、それにより得られる紙又は板紙である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗工紙及び塗工板紙の製造方法に関する。さらに、本発明は顔料入り又は顔料入りでない機能コーティング又は添加剤が1層以上のコーティング層を構成している用途のための多層塗工紙及び板紙の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷紙の製造において、通常、写真用溶液又はエマルジョンと比較してかなり高い固形分及び粘度を有する顔料入りのコーティング組成物は、例えば、ブレードタイプ、バータイプ又はリバースロールタイプのコーティング方法によって1000m/分を超える高い線速度で塗布される。これらの方法のいずれか又は全ては移動している紙又は板紙表面に順次に顔料入りコーティングを塗布するために一般に使用されている。
【0003】
しかし、これらの塗布方法の各々は、劣った塗工表面品質になってしまうことがあるという問題を生来的に抱えている。ブレードタイプのコーティング方法の場合には、ブレードの下に粒子が引っ掛かることで、コーティング層に縞を生じさせることがあり、塗工紙又は塗工板紙の品質を低下させる。さらに、所望のコーティング重量を得るためにブレードに付加されねばならない高圧は基材上に非常に大きな応力を課し、そして基材ウェブの破損をもたらし、低い生産効率となることがある。さらに、顔料入りコーティングは非常に摩耗性であり、塗工表面の均一さを維持するにはブレードを定期的に取り替えねばならない。また、紙又は板紙基材の表面上でのコーティングの分布は基材の表面の不均一さによって影響を受ける。紙又は板紙の表面を横切るコーティングの不均一分布はまだらで、ぶちぶちの表面外観となって、劣った印刷結果をもたらすことがある。
【0004】
バー(ロッド)タイプのコーティング方法は塗布される顔料入りコーティングカラーの固形分及び粘度に制限がある。バータイプのコーティング方法によって塗布される顔料入りコーティングは、通常、ブレードタイプの方法により塗布される顔料入りコーティングカラーよりも固形分及び粘度が低い。したがって、バータイプのコーティング方法では、紙又は板紙基材の表面に塗布されることができるコーティングの量を自由に変えることができない。コーティングの固形分、粘度及びコート重量のパラメータのバランスが悪いと、塗工された紙又は板紙の表面の品質が所望されずに低下することがある。さらに、顔料入りコーティングによるバーの摩耗は塗工表面の均一さを維持するために定期的な間隔でバーを交換することを要求する。
【0005】
ロールタイプのコーティング方法は以下の点で紙及び板紙に顔料入りコーティングを塗布するのに特に複雑な方法である。基材表面特性、基材多孔性、コーティング固形分及びコーティング粘度に関する狭い範囲の操作条件があり、その操作条件は各々の操作速度及び各々の所望のコート重量が達成されることを観測されなければならない条件である。これらの変数のバランスが悪いことで、塗工される紙の表面上に不均一なフィルムスプリットパターンを生じることがあり、それにより、劣った印刷結果をもたらすことがあり、又は、シートがコーティングニップから出てくるときにコーティングの小さいドロップレットの吐き出しを生じることがある。これらのドロップレットは、シートの表面上に再付着すれば、劣った印刷結果をもたらすことがある。さらに、ロールタイプのコーティング方法を用いて一回の通過で紙又は板紙表面に塗布され得るコーティングの最大量は、通常、ブレードタイプ又はバータイプのコーティング方法によって一回の通過で塗布されうる量よりも少量である。このコーティング重量は高い塗布速度で特に顕著である。
【0006】
さらに、これら全ての方法に共通して、ヒルとバリーとを有する不規則な表面を一般に有する紙基材に塗布されるコーティング液体の量がヒルに塗布されるか又はバリーに塗布されるかによって異なる。それ故、コーティング厚さ及びインク受容特性は塗工された紙の表面を横切って様々であり、印刷された画像の不規則さをもたらす。これらの欠点にもかかわらず、これらのコーティング方法は、その経済性の理由から、特に、非常に高いライン速度を達成することができることから、なおも紙産業の主な方法である。
【0007】
日本の特許出願JP−94−89437、JP−93−311931、JP−93−177816、JP−93−131718、JP−92−298683、JP−92−51933、JP−91−298229、JP−90−217327及びJP−8−310110並びにEP−A517223は移動している紙の表面に1層以上の顔料入りコーティング層を塗布するためのカーテンコーティング方法の使用を開示している。より詳細には、それらの従来技術は以下のものに関する。
(i)紙に単層顔料入りコーティングを行なうために、ベースペーパー基材に単層の顔料入りコーティングを塗布するために使用されるカーテンコーティング方法。
(ii)ブレードタイプのコーティング方法により塗布される単層の顔料入りトップコートの塗布の前に、ベースペーパー基材に単層の顔料入りコーティングのプライマー層を塗布するために使用されるカーテンコーティング方法。このようにして、紙の多層顔料入りコーティングが顔料入りコーティングの順次塗布により達成された。
(iii)ブレード又は計量ロールタイプのコーティング方法によって塗布された単層の顔料入りプレコートで事前にプライム処理したベースペーパー基材に単層の顔料入りコーティングのトップコート層を塗布するために使用されるカーテンコーティング方法。このようにして、紙の多層顔料入りコーティングが顔料入りコーティングの順次塗布により達成された。
(iv)単層が連続したプロセスで塗布されるようにしてベースペーパー基材に特殊顔料入りコーティングの2つの単層を塗布するために使用されるカーテンコーティング方法。このようにして、紙の多層顔料入りコーティングが顔料入りコーティングの順次塗布により達成された。
【0008】
上記に議論された従来技術において開示されるように、紙からなる移動ウェブの表面に単層の顔料入りコーティングを塗布するためのカーテンコーティング方法の使用は慣用の手段により塗工された紙表面と比較して優れた品質の塗工紙の表面を製造する機会を与えるものと記載されている。しかし、カーテンコーティング技術を用いた単層の顔料入りコーティングの順次塗布はカーテンコーティング方法の原理によって拘束される。詳細には、軽量コーティング塗布は慣用のコーティング方法によって現在使用されている速度よりも低いコーティング速度でのみ行なうことができる。というのは、高いコーティング速度では、カーテンは不安定になり、そして劣った塗工表面をもたらすからである。したがって、多層塗工紙及び板紙を製造するための慣用方法は、ブレード、ロッド又はロール計量方法を用いる。しかしながら、一連のコーティングステーションで紙又は板紙に単層顔料入りコーティングを順次に塗布することは、上記のどのコーティング方法によっても、要求されるコーティングステーションの数、要求される付属ハードウェア、例えば、駆動ユニット、ドライヤーなどの量、機械を収容するのに要求される空間のために資金のかかる方法になる。
【0009】
バリア特性、印刷特性、光学特性、例えば、色、白色度、乳白度、光沢など、剥離特性及び接着特性などの機能特性を付与するように設計された添加剤を含むコーティングを受容した塗工紙及び板紙を、本明細書中に機能製品として記載し、そしてそのコーティングを機能コーティングと呼ぶことができる。また、これらの特性を付与するコーティング成分を機能添加剤と呼ぶことができる。機能製品は、自己接着性紙、スタンプペーパー、壁紙、シリコーン剥離紙、食品包装、油脂防止紙、耐湿紙、含浸テープバッキング紙などのタイプを含む。
【0010】
複数層の同時コーティングのためのカーテンコーティング方法は、写真組成物の紙及びプラスティックウェブへの塗布については周知でありそして米国特許第3,508,947号及び同第3,632,374号明細書に記載されている。しかし、写真溶液又は乳剤は粘度が低く、固形分が低く、そして低いコーティング速度で塗布される。
【0011】
写真用途に加えて、カーテンコーティング方法による複数コーティングの同時塗布は感圧複写紙の製造技術から知られている。例えば、米国特許第4,230,743号明細書は1つの態様において、移動中のウェブ上に、主成分としてマイクロカプセルを含むベースコーティングと、主成分としてカラー現像剤を含む第二の層とを同時塗布することを開示している。得られる紙は層の順次塗布により製造される紙と同一の特性を有することが報告されている。さらに、カラー現像剤を含むコーティング組成物は粘度が22℃で10〜20cpsであることを記載している。
【0012】
JP−A−10−328613はインクジェット紙を製造するためにカーテンコーティングによって紙ウェブ上に2層のコーティング層を同時塗布することを開示している。この文献の教示によると、塗布されるコーティング組成物は約8質量%という極端に低い固形分を有する水溶液である。さらに、コーティング溶液の非ニュートン挙動を得るために増粘剤が添加される。JP−A−10−328613の実施例はライン速度400m/分未満でのみ許容されるコーティング品質が得られることを明らかにしている。コーティング方法の低い運転速度は印刷紙、特に常用印刷紙の経済的な製造には適切でない。
【0013】
高速でカーテンコーティングが上手くいくのに求められる重要な要求は、落下しているカーテンが移動しているウェブに衝突する動的エネルギーが、空気同伴欠陥を避けるために境界層の空気を押しのけてウェブを濡らすために十分に高いことであることが当業界で教示されている。このことは、カーテンの高さを上げること及び/又はコーティングの密度を上げることで達成できる。このため、低密度材料がより低い動的エネルギーであること、及び、安定で均一なカーテンを維持することが困難であることからカーテンの高さを上げることに限界があることから、改良された光沢のために合成ポリマー顔料を含む機能もしくは光沢コーティングなどの低密度コーティングの高速カーテンコーティングは困難であることが教示されている。
【0014】
上記に議論したとおり、慣用のコーティング技術及び/又はカーテンコーティング方法を用いた順次コーティング工程によって幾つかの改良がなされることができたが、得られる塗工紙又は板紙の印刷品質及びコーティング方法の経済性に関するさらなる改良はなおも望まれている。
【0015】
1つの態様において、本発明は、複合材の多層自由流動カーテンを形成すること、このカーテンは固形分が少なくとも45質量%である、及び、このカーテンをベースペーパー又はベースボードの連続ウェブ基材と接触させることを含む方法である。
【0016】
本発明は、また、複合材の多層自由流動カーテンを形成すること、及び、このカーテンをベースペーパー又は板紙の連続ウェブと接触させることを含み、このウェブは少なくとも1400メートル/分の速度を有する、方法を含む。
【0017】
本発明は、さらに、印刷、包装及びラベリング目的に特に適切であるが、写真紙及び感圧複写紙を除く、多層塗工紙及び板紙の製造方法であって、水性エマルジョン又はサスペンションから選ばれる少なくとも2つの液層から複合材の自由落下カーテンを形成し、そしてこの複合材コーティング用カーテンでベースペーパー又はベースボードの連続ウェブを被覆する、方法を含む。
【0018】
別の態様において、本発明は、移動している紙のウェブを、固形分が少なくとも45質量%である複合材カーテンコーティングと接触させることを含むコーティング方法であって、そのカーテンが少なくとも2つの成分の層を有し、第一の層がウェブと直接的に接触されるように向けられており、コート重量が約0.1〜約60g/mであり、そして第一の層の合計組成を基準として約0.2〜約10質量%のポリビニルアルコールを含み、第一の層以外の少なくとも1つの層は顔料及びバインダーを含み、トップ層は場合により光沢剤を含む、方法を含む。
【0019】
さらに別の態様において、本発明は本発明の上記のいずれかの方法により得ることができる少なくとも2層のコーティング層を有する紙又は板紙を含む。さらに、本発明はコーティングが少なくとも3層の層を有し、合計コート重量が10g/m以下である、塗工された印刷用紙を含む。
【0020】
本明細書中で使用されるときに、用語「紙(ペーパー)」は板紙(ペーパーボード)をも含むが、但し、この用語が使用される文脈から明らかにこのような構造を明らかに意図していない場合を除く。用語「写真紙及び感圧複写紙を除く」とは、本発明の実施に使用されるカーテンのどの層も銀化合物を含まず、そして層がマイクロカプセル化カラー形成剤とカラー現像剤との組み合わせを1つの層の中に又は異なる層の中に含まない意味であると解釈されるべきである。
【0021】
連続の多層のカーテンを形成するように複数の液体層を輸送するためのスライドノズルを有するカーテンコーティング装置を用いることで本発明によって同時にカーテン層を塗布することができる。又は、幾つかの隣接押出しノズルを有するスロットダイ又はノズルなどの押出タイプの供給ヘッドは本発明の実施に用いられてよい。
【0022】
本発明の好ましい態様によると、複合材自由落下カーテンを形成しているカーテン層のうちの少なくとも1つの層は顔料入りである。好ましくは、印刷用途の紙を製造するときに、コーティング層のうちの少なくとも2つの層は顔料入りである。さらに、顔料入りでない光沢又は滑らかさなどの表面特性を改良するためのトップ層が存在することができる。常用印刷用紙の製造のために、2層の顔料入りの層を有するコーティングは殆どの目的で十分である。
【0023】
本発明の発明者は、驚くべきことに、少なくとも2層の顔料入りコーティングが表面に対して同時に塗布された多層塗工紙又は板紙は、ブレード、バー、ロール又は単層カーテンコーティング方法などの慣用のコーティング方法により製造された多層塗工紙又は板紙と比較して、優れた塗工表面印刷特性を有することを発見した。
【0024】
本発明のコーティングカーテンは少なくとも2層の、好ましくは少なくとも3層の層を含む。カーテンの層はコーティング層、界面層及び機能層を含むことができる。カーテンはボトム層、界面層、トップ層及び、場合により、1層以上の内部層を有する。各々の層は液体エマルジョン、サスペンション又は溶液を含む。
【0025】
カーテンは、好ましくは少なくとも1つのコーティング層を含む。コーティング層は好ましくは顔料及びバインダーを含み、慣用の紙コーティング配合物と同一又は異なって配合されうる。コーティング層の主な機能は、紙塗工技術に周知のように、基材の紙の表面を覆うことである。コーティングカラーと当業界で呼ばれている慣用の紙コーティング配合物はコーティング層として使用されうる。本発明の方法に有用な顔料の例は、クレー、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、サテンホワイト、合成ポリマー顔料、酸化亜鉛、硫酸バリウム、石膏、シリカ、アルミナ三水和物、マイカ及び珪藻土を含む。カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、サテンホワイト及び中空ポリマー顔料を含む合成ポリマー顔料は特に好ましい。
【0026】
本発明の実施に有用なバインダーは、例えば、スチレン−ブタジエンラテックス、スチレン−アクリレートラテックス、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリルラテックス、スチレン−無水マレイン酸ラテックス、スチレン−アクリレート−無水マレイン酸ラテックス、ポリサッカリド、タンパク質、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、セルロース及びセルロース誘導体を含む。好ましいバインダーの例はカルボキシル化スチレン−ブタジエンラテックス、カルボキシル化スチレン−アクリレートラテックス、カルボキシル化スチレン−ブタジエン−アクリロニトリルラテックス、カルボキシル化スチレン−無水マレイン酸ラテックス、カルボキシル化ポリサッカリド、タンパク質、ポリビニルアルコール及びカルボキシル化ポリ酢酸ビニルラテックスを含む。ポリサッカリドの例は寒天、アルギン酸ナトリウム及び、熱変性デンプン、カルボキシメチル化デンプン、ヒドロキシエチル化デンプン及び酸化デンプンなどの変性デンプンを含むデンプンを含む。本発明の方法で適切に使用されうるタンパク質の例はアルブミン、大豆タンパク及びカゼインを含む。
【0027】
コーティング層のコート重量は適切には3〜30g/mであり、好ましくは5〜20g/mである。コーティング層の固形分は適切にはカーテン中のコーティング層の質量を基準に少なくとも50%であり、好ましくは60%〜75%である。好ましくは、コーティング層は粘度が3,000cps以下であり、より好ましくは200〜2,000cpsである。特に指示がないかぎり、本明細書中で粘度とは25℃で100rpmのスピンドル速度で測定したブルックフィールド粘度である。
【0028】
界面層はコーティングしようとする基材と接触する層である。界面層の1つの重要な機能は基材の紙の濡れを促進することである。界面層は1つより多くの機能を有することができる。例えば、それは湿潤性を提供し、そして、付着性、サイジング、剛性などの機能特性又はそれらの機能の組み合わせを改良することができる。この層は好ましくは比較的に薄い層である。界面層のコート重量は適切には0.1〜4g/m、好ましくは1〜3g/mである。界面層の固形分は適切には、カーテン中の界面層の質量を基準として0.1〜65%である。1つの態様において、界面層は固形分が比較的に低く、好ましくは0.1〜40%の固形分を有する。別の態様において、界面層は比較的に高い固形分であり、好ましくは45%〜65%の固形分を有する。界面層を導入するための1つの方法は主要なコーティング層からなる層で低い固形分にした層を使用することである。主要な層で固形分を低減した層を使用することは、最終のコーティング特性に最小のインパクトを与える点で有利である。界面層の粘度は適切には少なくとも30cpsであり、好ましくは少なくとも100cpsであり、より好ましくは少なくとも200cpsであり、そしてさらにより好ましくは230cps〜2000cpsである。
【0029】
本発明の好ましい態様において、界面層は以下の1つ以上を含む:アルカリ膨潤性ラテックスを含むラテックスなどの分散体、デンプンとポリ(エチレンアクリル酸)コポリマーとのブレンドなど、又は、水溶性ポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、デンプン、アルカリ可溶性ラテックス、ポリエチレンオキシド又はポリアクリルアミド。ポリビニルアルコールは界面層の好ましい成分である。界面層は、場合により、顔料入りであってよく、そしてこれは特定の用途にとっては好ましい。
【0030】
本発明のカーテンは1層以上の機能層を含むことができる。機能層の目的は塗工紙に所望の機能を付与することである。機能層は、例えば、印刷特性、湿分バリア特性、オイルバリア特性、グリースバリア特性及び酸素バリア特性などのバリア特性、シート剛性、耐曲げ割れ性、ペーパーサイジング特性、剥離特性、接着特性及び、色、白色度、乳白度、光沢などの光学特性を提供するように選択されることができる。非常に粘着性である機能コーティングは、通常、粘着性コーティング材料が基材をガイドロールや他のコーティング装置に付着させる傾向があることから慣用の順次コーティング方法によってコーティングされない。一方、同時多層法では、このような機能コーティングをトップコートの下に配置し、機能コーティングがコーティング機械と接触しないようにシールドすることが可能である。
【0031】
機能層の固形分は所望の機能によって広く変更することができる。本発明の機能層は好ましくは機能層の合計質量を基準として75質量%以下の固形分であり、粘度が3,000cps以下、より好ましくは50〜2,000cpsであることができる。好ましくは、機能層のコート重量は0.1〜10g/m、より好ましくは0.5〜3g/mである。特定の状況において、例えば、染料層を用いるときに、機能層のコート重量は0.1g/m未満であってよい。
【0032】
本発明の機能層は、例えば、エチレンアクリル酸のポリマー、ポリエチレン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエステル、他のポリオレフィン、接着剤、例えば、スチレンブタジエンラテックス、スチレンアクリレートラテックス、カルボキシル化ラテックス、デンプン、タンパク質など、サイズ剤、例えば、デンプン、スチレン−アクリルコポリマー、スチレン−無水マレイン酸、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、カルボキシメチルセルロースなど、バリア、例えば、シリコーン、ワックスなどを含むことができる。機能層は、限定するわけではないが、コーティング層のために上記に記載したような顔料又はバインダーを含むことができる。所望ならば、1種以上の添加剤、例えば、分散剤、潤滑剤、保水剤、架橋剤、界面活性剤、蛍光増白剤、顔料、染料又は着色剤、増粘剤、脱泡剤、消泡剤、殺生物剤又は可溶性染料又は着色剤などはカーテンの1つ以上の層中で使用されてよい。
【0033】
本発明の目的で、基材の紙から最も離れた層はトップ層と呼ばれる。この層は、通常、その上に印刷がなされる層であるが、本発明の塗工紙はロッド、ブレード、バー又はエアナイフコーティング技術などの慣用の手段を用いてさらにコーティングされてもよい。トップ層はコーティング層であっても又は光沢層を含めた機能層であってもよい。本発明の好ましい態様において、トップ層は非常に薄く、コート重量が、例えば、0.5〜3g/mである。これにより、トップ層の下により安価な材料を使用しながら、良好な印刷特性を有する紙を製造することが可能になる。1つの態様において、トップ層は無機顔料を含まない。
【0034】
特に好ましい態様によると、トップ層は光沢付与配合物を含む。光沢付与配合物と同時多層カーテンコーティングの新規の組み合わせはカーテンコーティングの利点と良好な光沢性を組み合わせる。
【0035】
本発明に有用な光沢配合物は光沢剤を含み、例えば、スチレン、アクリロニトリル及び/又はアクリルモノマーなどの重合により製造される中空ポリマー顔料を含めた合成ポリマー顔料を含む。合成ポリマー顔料は、ガラス転移温度が40〜200℃であり、より好ましくは50〜130℃であり、そして粒度が0.02〜10μmであり、より好ましくは0.05〜2μmである。光沢配合物は固形分を基準として5〜100質量%の光沢剤を含み、より好ましくは60〜100質量%である。別のタイプの光沢配合物は光沢ワニスを含み、例えば、エポキシアクリレート、ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルアクリレート、オレオレジン、ニトロセルロース、ポリアミド、ビニルコポリマー及びポリアクリレートの様々な形態を含む。
【0036】
本発明の好ましい態様によると、トップ層の粘度は20cpsを超える。好ましい粘度の範囲は90cps〜2,000cpsであり、より好ましくは200cps〜1,000cpsである。
【0037】
カーテンは少なくとも3つの層を有するときに、少なくとも1つの内部層を有する。内部層の粘度は安定なカーテンを維持することができるかぎり重要でない。好ましくは、少なくとも1つの内部層は少なくとも200cpsの粘度を有し、そしてカーテンが少なくとも4層を有する場合に、少なくとも2層の内部層は好ましくは少なくとも200cpsの粘度を有する。内部層は好ましくは機能層又はコーティング層である。1層以上の内部層が存在するときに、機能層とコーティング層との組み合わせを用いることができる。例えば、内部層は同一の又は異なる機能層の組み合わせ、同一の又は異なるコーティング層の組み合わせ、又は、コーティング層と機能層との組み合わせを含むことができる。
【0038】
界面層、トップ層及び場合により存在する内部層は本発明の複合材自由落下カーテンを構成する。複合材カーテンの固形分はカーテンの合計質量を基準として20〜75質量%であることができる。好ましい態様によると、複合材自由落下カーテンを形成している層のうちの少なくとも1つの層の固形分はコーティング層の合計質量を基準として60質量%を超える。本発明の1つの態様において、複合材カーテンの固形分は少なくとも45質量%であり、より好ましくは少なくとも55質量%であり、そしてさらにより好ましくは少なくとも60質量%である。複合材カーテンに非常に薄い層を用いることができるが、カーテンの合計固形分及びコート重量は好ましくはこのパラグラフに規定したとおりである。写真紙又は感圧複写紙の技術とは対照的に、本発明の方法は高いコーティング速度でも広範囲の粘度及び高い固形分を有するカーテン層を用いて実施することができる。
【0039】
本発明の方法は、有利なことには、多層複合材構造中の層の組成及び相対的な厚さを変更することができる。複数層の組成は製造される紙のグレードによって同一であっても又は異なっていてもよい。例えば、接着性のために設計されるベースペーパーに隣接する薄い層、シートに嵩高さを与えるように設計される厚い内部層、及び、最適な印刷性のために設計される非常に薄いトップ層は、複合材構造を提供するための多層カーテン中に組み合わされてよい。別の態様において、隠蔽性を改良するように特別に設計される内部層を用いることができる。多層複合材中の様々なコート重量の層の他の態様は、複合材コーティングのトップ層、内部層又はボトム層のうちの少なくとも1つの層として、2g/m未満の薄い層を含む。本発明の方法を用いて、基材の紙は片面又は両面が塗工されてよい。
【0040】
本発明の方法は紙塗工技術の限界を拡張し、塗工紙製造者に予期されない融通性を与える。例えば、慣用の方法によって得ることができるコート重量よりもずっと低い又は高い個々のカーテン層のコート重量を有する塗工紙を製造することが可能である。本発明の方法では、様々な非常に薄い層のカーテンを調製することが可能であり、これにより、多くの非常に薄い層のコーティングを有する紙となるであろう。本発明の方法のさらなる利点は各々の層が特定の目的に供するように配合され得ることである。
【0041】
本発明の特定の利点は、カーテンコーティングによって少なくとも2層のコーティング層を同時に適用することで、非常に薄い層、又は、換言すれば、それぞれの層の非常に低いコート重量が非常に早い塗布速度でも得ることができることである。例えば、複合材カーテン中の各層のコート重量は0.1〜10g/mであり、より好ましくは0.5〜3g/mであることができる。各層のコート重量は他と同一であっても又は他の層から大きく異なっていてもよく、多くの組み合わせが可能である。
【0042】
本発明の方法は、広い範囲のコート重量を有する紙を製造することができる。好ましくは、製造される紙中のコーティングのコート重量は3〜60g/mである。本発明の1つの態様において、コーティングの合計のコート重量は20g/m未満であり、好ましくは15g/m未満であり、そしてより好ましくは12g/m未満である。
【0043】
本発明の1つの態様において、トップ層のコート重量はベースペーパー又はベースボードと接触する層のコート重量よりも低い。好ましくは、トップ層のコート重量はベースコペーパー又はベースボードと接触する層のコート重量の75%未満、より好ましくは50%未満である。このようにして、紙製造及び板紙コーティング操作におけるコーティング原料効率が高くなる。別の態様において、トップ層のコート重量はその下の層のコート重量よりも高い。慣用のコーティング方法とは異なり、本発明の同時多層コーティング方法では、仕上がり塗工製品の品質を妥協することなく、より高価な原料の極端に薄いトップ層の下に比較的に安価な原料をずっと多量に使用することが可能になる。さらに、本発明の方法では、今まで製造されなかった紙の製造が可能になる。例えば、カーテン中に粘着性の機能内部層を含ませることができる。
【0044】
本発明のさらなる利点は軽量塗工紙(LWC)の分野にある。慣用のLWCコーティング方法は約5g/m以上の単一のコーティング層を適用することができる。本発明の方法はLWC紙のコート重量を低く維持しながら、紙に複数の層を同時に適用することができる。このことで、機能コーティング層を有するLWC紙を製造することができることなどを含む、予期せぬ範囲の製品の可能性を紙製造者に与える。
【0045】
使用する態様に関係なく本発明の顕著な利点は、本発明の方法が、これまでは、ブレード、バー又はロール適用方法を用いてのみ印刷紙製造において可能であった非常に高速のコーティング速度で運転できることである。本発明の方法での通常のライン速度は400m/分を超え、好ましくは600m/分を超え、例えば、600〜3200m/分であり、より好ましくは少なくとも800m/分であり、例えば、800〜2500m/分である。本発明の1つの態様において、ライン速度又は移動している基材の速度は少なくとも1400m/分であり、好ましくは少なくとも1500m/分である。
【0046】
低密度コーティングは、高密度層が低密度層と組み合わせて使用される同時多層コーティングの使用によって、カーテンコーティングで高速の塗布速度で適用されうる。さらに、本発明の同時多層カーテンコーティング方法では、基材の湿潤化を促進し又は高固形分コーティングのレベリングを促進し、紙及び板紙のための高速コーティング操作範囲をさらに増加するように特に設計されたコーティング層の使用が可能になる。
【0047】
本発明のさらなる利点は、ブレード、バーおよびロール法などの慣用の多層コーティング法によって現在要求されているのと同一レベルの高資本投下、同一の量の付属ハードウェア又は同一の量の空間を必要としない多層塗工紙の製造方法を提供することである。
【0048】
図1は、連続の多層カーテン4を形成するようにカーテン層の複数のストリーム3を送り出すためのスライドノズル列2を有するカーテンコーティング装置1の例示の断面図である。動的平衡状態が達成されたときに、スライドノズル列2に流れ入るカーテン層の流量はスライドノズル列から流れ出る流量と完全にバランスする。自由落下多層カーテン4は連続的に走っているウェブ5と接触し、このようにしてウェブ5はそれぞれのカーテン層からなる複数の層で被覆される。ウェブ5の走行方向はローラー6によって塗布領域の直前で変更され、高速で移動しているウェブ5に同伴している空気流の影響を最小化している。
【0049】
図2は同時多層塗工紙サンプルの断面電子顕微鏡写真であり、エアバブルがコーティング中に見られる。これらのバブルの形状は丸く、バブルの位置は紙基材と接触するボトム層に限定されている。これは、基材と、衝突しているコーティングとの間に薄い空気膜が取り込まれるときに起こる空気取り込みの例である。この空気膜は不安定であり、そして小さいバブルへと壊れる。バブルのサイズ及び数が過度になると、目に見える欠陥が現れる。空気取り込みは最終的には紙基材上に未被覆のスポットを生じさせることになるのでコーティング速度が高くなるにつれて大きな問題になる。
【0050】
図3は空気取り込みにより生じたコーティング欠陥を示す、同時多層塗工紙サンプルの断面電子顕微鏡写真である。このタイプのコーティング欠陥は以下において「ピッティング」と呼ばれる。図2に示すバブルのサイズがコーティング中に未被覆のスポットを形成するのに十分に大きいときにピッティングは起こる。紙の表面上で、ピットの形状は延びているよりもむしろ丸い。この特徴は、空気取り込みにより生じるピッティング欠陥を、コーティング前に脱気によって除去できなかったコーティング中の空気バブルにより生じる欠陥と区別するものである。
【0051】
図4は以下に「クレータリング」と規定されるコーティング欠陥を示すカーテン塗工紙サンプルの表面電子顕微鏡写真である。クレータは幅約0.1mm以上で未被覆の紙の非規則的な形状の領域として現れる。クレータはピッティング欠陥よりも大きさが大きく、丸いピットと比較して不規則形状を有する。クレータは突出している繊維の前に現れる傾向があり、コーティングの間の紙の移動方法にほぼ垂直に配向されている。対照的に、ピッティングはシートを横切ってランダムに生じる。さらに、同時多層カーテンコーティングの場合には、どの層もクレータの源となりうるが、ピッティングの源はベースペーパーに隣接している層の中に生じる。これらの観測は、クレータリングはピッティングとは異なる現象であることを示している。クレータ形成の度合いは臨界的な塗布速度を超えて指数関数的に増加することが見られた。この臨界速度は特定のコーティング及びベースペーパーによって変わった。高レベルのクレータリングはコーティングの品質を許容できないものにする。クレータリングがひどい場合には、未被覆の領域が合計表面積の40%を超えることがある。クレータリング欠陥はコーティングの壊滅的な空気取り込み破損のタイプに見えることがあるが、クレータ形成の機構は文献中に報告されている伝統的な空気取り込みとは異なった挙動をする。代わりに、クレータはコーティングの最も上の部分又はコーティング層の間の界面での「ミクロラプチャー」により生じるようである。コーティング条件によって、これらのミクロラプチャーは乾燥したコーティング中でミクロクラックとして残ることができ又は成長してより大きなラプチャーを形成することができ、それにより、比較的に大きな未被覆の領域を有するクレータとなることができる。
【0052】
図5はクレータの断面電子顕微鏡写真である。クレータの形状及びサイズはピット(図3に示した)とは異なる。クレータの先端縁に突出した表面繊維があることも図5に示されている。殆どのクレータは突出した表面繊維に隣接して起こり、そしてクレータリングの度合いはベースペーパーの滑らかさに大きく影響を受ける。驚くべきことに、クレータの未被覆領域は突出した繊維の後ろではなく前に現れる。
【0053】
図6はコーティング中のマイクロクラックの断面電子顕微鏡写真である。クレータリングと同様に、この欠陥は、通常、突出した繊維に隣接した位置にあり、また、コーティングの間の紙の移動方向に垂直に配向している。マイクロクラックの形成の機構はクレータリングの機構と同じであるものと信じられる。
【0054】
図7は4つの異なるLWCベースペーパー上の同時多層塗工紙の表面光学顕微鏡写真を示す。図7A〜Dは塗工されたベースペーパー1〜4をそれぞれ示す。これらの非常に異なるベースペーパーの粗さ値を表11に示す。ベースペーパー1〜4は同一のコーティング条件下で1500m/分で塗工され、そして条件の詳細は例30に示されている。図7はこれらの非常に異なるベースペーパー上に良好な被覆物及びほぼクレータを有しないコーティングが形成され得ることを示し、そして同時多層カーテンコーティング方法が確固としたものであることを示す。
【0055】
図8はより厚いボトム層に塗布された均一な薄いトップ層を示す同時多層塗工紙サンプルの断面電子顕微鏡写真である。この図は、慣用の紙塗工速度及び固形分で、粗い基材上に非常に均一で薄い層を適用することができる同時多層カーテンコーティングの能力を示す。同時多層カーテンコーティングのこれらの能力は現在の他のいかなるコーティング方法と比べても無類である。図7のトップ層はわずか約1g/mであり、又は、合計コーティングの10%であるが、この薄い層はコーティングの光沢及び印刷特性を劇的に変化させることができる。さらに、これらの薄いコーティング層はコーティング層中のどこにあってもよく、塗工紙に乳白度、バリア性、柔軟性、剛性などの特定の機能を付与して、塗工紙の特性の可能な予期されない組み合わせとするように設計され得る。
【0056】
以下に、実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
実施例
全ての百分率及び部は特に指示がないかぎり質量基準である。
試験方法
ブルックフィールド粘度
ブルックフィールドRVT粘度計(Brookfield Engineering Laboratories, Inc., Stoughton, Massachusetts, USAから入手可能)を用いて粘度を測定する。粘度の決定のために、600mlのサンプルを1000mlビーカーに注ぎ、そしてスピンドル速度20及び100rpmで25℃で粘度を測定する。
【0057】
クレータリング度
クレータリングの度合いは燃焼したサンプルの視覚観測によって決定する。10%NHClを含む(50/50)水/イソプロピルアルコール溶液を用いる。片面のみを塗工した紙を30秒間浸漬し、両面塗工した紙をこの溶液に60秒間入れておく。「吸い取り(blotting)」紙で過剰の溶液を除去した後に、サンプルを一晩空気乾燥した。225℃で3分30秒間炉内で燃焼を行う。拡大グラス(拡大×10)の補助で、燃焼したサンプルの3×3cmセクション内でクレータをマニュアルで計数する。完全な円形の非常に小さい未被覆のスポットはクレータとせず、空気取り込みから生じるコーティング中のミクロバブルによって与えられたピッティングと仮定する。脱気により除去されないコーティング配合物中に存在するより大きなバブルによって与えられる機械方向(紙が移動している方向)に長軸を有する向きになっている楕円形の未被覆領域も数えない。クレータ密度は単位面積あたりのクレータの数のみを与え、クレータのサイズをその数に考慮しない。クレータ密度が10クレータ/cmを超える紙は印刷目的では許容されない。計数によりクレータ密度が測定されない場合には、極少、低、中、高及び極高レベルのクレータリングといった相対スケールを用いる。中レベル又は高レベルのクレータリングは印刷目的には許容されない。
【0058】
紙光沢
紙光沢は入射角75°でZehntner ZLR-1050計器を用いて測定する。
【0059】
インク光沢
Lorrilleux Red Ink No. 8588を用いてPruefbau Test Printing 装置で試験を行なう。0.8g/m(又は1.6g/m)の量のインクを、スチール印刷ディスクを用いて、長いゴムバッキングされた平板上に取り付けられた塗工紙試験ストリップに塗布する。インク適用の圧力は1,000Nであり、そして速度は1m/sである。印刷されたストリップを12時間20℃で55%最低室内湿度で乾燥する。その後、光沢をZehntner ZLR-1050計器で入射角75°で測定する。
【0060】
ドライピック耐性(IGT)
この試験はピッキングなしにインクの転写を許容する紙表面の能力を測定する。試験はA2タイプの印刷性試験機で行い、それはIGT Reprotest BVから市販されている。塗工紙ストリップ(4mm×22mm)を、Reprotest BVからの高粘度試験オイル(赤)及び振り子ドライブ装置を用いて36Nの印刷圧力でインク入りアルミニウムディスクで印刷する。印刷を完了した後に、コーティングがピッキングを示し始める距離を立体顕微鏡下に記録する。記録した距離を、その後、IGT速度曲線に移し、そしてcm/秒での速度を対応するドライブ曲線から読む。高い速度はドライピックに耐性であることを意味する。
【0061】
ウェットピック
湿潤化チャンバーを備えたPruefbau Test Printing 装置で試験を行なう。500mmの印刷インク(Hueber 1,2,3又は4、全体としての紙のウェットピック耐性によって)をディストリビュータ上に2分間分配する。各印刷の後に60mmのインクの再インク付けを行なう。加硫ゴム印刷ディスクをディストリビュータ上に15秒間配置することでインク付けを行なう。その後、10mmの蒸留水が湿潤チャンバー中に入れられそしてゴムロール上で分配される。塗工紙ストリップをゴムバッキングされた平板上に取り付け、そして600Nの印刷圧及び1m/sの印刷速度で印刷を行なう。塗工紙の中央ストリップは湿潤チャンバーを通過するときに水の試験ストライプで濡らされる。湿潤チャンバーから出てきた直後に同試験ストリップに印刷を行なう。印刷ディスクのオフ印刷をゴムバッキングされた平板上に固定された第二の塗工紙試験ストリップ上で行なう。印刷圧は400Nである。両方の試験ストリップ上のインク密度を測定して以下の式で用いる。
【0062】
インク転写、X=(B/A)*100%と規定される。
インクリフューザル、Y=((100×D−X*C)/100*A)*100%として規定される。
ウェットピック、Z=100−X−Y%として規定される。
Aは第一の塗工試験ストリップの非湿潤化面のストライプ上でのインク密度である。
Bは第一の塗工試験ストリップの湿潤化された中央ストライプ上でのインク密度である。
Cは第二のストリップ上で行なったオフ印刷についてのサイドストライプ上でのインク密度である。
Dは第二のストリップ上で行なったオフ印刷についての中央ストライプ上でのインク密度である。
【0063】
インクピリング
Pruefbau印刷試験機でインクピリングを試験する。紙ストリップをHuber Wegschlagfarbe No. 520068の商品名で市販されているインクで印刷する。500mmの出発量をインク分配ロールに塗布する。スチール印刷ディスクをインク体積60mmとなるようにインク付けする。塗工紙ストリップをゴムバッキングされた平板上に取り付け、そしてインク付けされたスチールディスクで1.5m/sの速度で印刷圧800Nで印刷する。10秒の遅れ時間の後に、ここでも60mmのインクを含む加硫ゴム印刷ディスクを用いて印刷圧800Nで再印刷する。塗工紙ストリップの表面が破壊されるまでこの手順を繰り返す。塗工紙表面を破壊するために必要な印刷通過数は紙の表面強さの測定値である。
【0064】
インクまだら度
この試験は印刷不規則性の度合いを評価するために行なわれる。紙ストリップをHuber Wegschlagfarbe No. 520068の商品名で市販されている試験インクを用いてPruefbau Test Printing 装置で印刷する。最初に、250mmのインクをスチールロールで塗布する。その後、加硫ゴムロールを用いて3回通過し、その3回通過の各々で、さらなる30mmの体積のインクを塗布する。まだら度の評価のために、Only Solutions GmbHからのMottling Viewer Softwareを用いてデジタル分析する。最初に、ストリップを走査し、走査をグレースケールに変換する。その後、グレースケール強度の偏差を、幅0.17mm、0.34mm、0.67mm、1.34mm、2.54mm、5.1mm及び10.2mmで7つの異なる解像度で測定する。これらの測定から、まだら度(MV)を計算する。結果は印刷不規則性の度合いを示す。数値が高いほど、不規則性が高いことを示す。
【0065】
紙粗さ
塗工紙の表面の粗さをParker PrintSurf 粗さ試験機を用いて測定する。塗工紙のサンプルシートをコルクメリネックス板と測定ヘッドの間にクランプ圧1,000kPaでクランピングする。計器に圧縮空気を400kPaで供給し、そして測定ヘッドと塗工紙表面との間の空気もれを測定する。数値が高いほど、塗工紙の表面の粗さの度合いが大きいことを示す。
【0066】
紙の剛性
Kodak Stiffness 法、TAPPI535−PM−79を用いて紙の剛性を測定する。
【0067】
コッブ値(Cobb Value)
この試験は紙の水吸収性を測定するものであり、Technical Association of Pulp and Paper Industry (T-441)によって規定された試験手順にしたがって行なわれる。予備状態調節されそして予備計量された紙のサンプル12.5cm×12.5cmをゴムマットと円形金属リングとの間にクランプする。金属リングは紙サンプル表面上の100cmの面積を包囲するように設計されている。100ミリリットルの体積の脱イオン水をリング内に注ぎ、そして所望の時間、紙表面に水を吸収させる。その時間の最後に、過剰の水を取り、紙サンプルを取り出し、拭き取りそして再計量する。吸収した水の量を計算し、紙1平方メートルあたりの水のグラムとして表現する。数値が高いほど、水吸収性が高い傾向にあることを示す。
【0068】
Emco試験
Emco-DPM27装置(EMCO Elektronische Messund Steuerungstechnik GmbH, Mommsenstrasse 2, Leipzig, Germanyから入手可能) 上で試験を行なう。紙サンプル(5cm×7cm)をサンプルホルダーに両面接着テープで固定する。サンプルホルダーを浸漬装置に固定する。合わされた浸漬装置とサンプルホルダー装置を開放して、23℃に保持された蒸留水で満たされた測定セル中に沈める。超音波透過測定を浸漬と同時に開始し、一定時間続ける。紙による水吸収は、水中に浸漬した紙サンプルをとおしての超音波透過を時間の関数として追跡することで特徴付けられる。浸漬の1秒以内に透過の最大値が達成され、それは紙表面の完全な湿潤に対応する。定義により、この最大値は100%透過として取られる。紙中への水の浸入はサンプルを通る超音波の透過性の減少をもたらす(Rayleigh-diffraction)。最大の超音波透過の60%に達するために必要な時間はサンプルの水吸収性の特性としてとらえられる。時間が短いほど、水の吸収が速い。
【0069】
コート重量
各紙のコーティング実験で得られるコート重量は、カーテンコーティングヘッドにコーティングを輸送するポンプの既知の体積流速、カーテンコーティングヘッドの下を移動している紙の連続ウェブの速度、カーテンの密度及び%固形分並びにカーテンの幅から計算される。
【0070】
コーティング密度 カーテン層の密度は比重壜中のコーティングの100ミリリットルサンプルを計量することで決定される。
【0071】
配合
以下の材料をコーティング液体中に用いた。
−カーボネート(A):60%粒度<2μmの炭酸カルシウムの水中の分散体(Hydrocarb(商標)60ME、Pluess-Stauffer, Oftringen, Switzerlandから入手可能)、77%固形分
−カーボネート(B):90%粒度<2μmの炭酸カルシウムの水中の分散体(Hydrocarb(商標)90ME、Pluess-Staufferから入手可能)、77%固形分
−クレー(A):80%粒度<2μmのNO.2高輝度カオリンクレーの水中の分散体(SPS, Imerys St. Austell, Englandから入手可能)、66.5%固形分
−クレー(B):98%粒度<2μmのNO.1高輝度カオリンクレーの水中の分散体(Hydragloss(商標)90、J.M.Huber Corp., Have de Grace, Maryland, USAから入手可能)、71%固形分
−TiO:二酸化チタンの分散体−オイル吸収性で測定された比表面積21gオイル/100g顔料のアナターゼタイプ(Tiona(商標)AT-1、Millenium Inorganic Chemicals S.A., Thann, Franceから入手可能)、72%固形分
−タルク:以下のとおりの粒度分布のタルクの分散体:96%<10μm、82%<5μm、46%<2μm(Finnatalc(商標)C10、Mondo Minerals Oy, Helsinki, Finlandから入手可能)、65%固形分
−合成ポリマー顔料(A):体積平均粒度0.26μmのポリスチレンの分散体(DPP711、The Dow Chemical Company, Midland, Michigan, USAから入手可能)、水中52%固形分
−合成ポリマー顔料(B):公称1μmの平均直径で、55%ボイド体積を有する中空粒子で、スチレン/アクリレートコポリマーをベースとするアニオン性分散体(Rhopaque(商標)HP1055、Rohm and Haas Deutschland GmbH, Frankfurt/Main, Deutschlandから入手可能)、水中26.5%固形分
−ラテックス(A):カルボキシル化スチレン−ブタジエンラテックス(DL950,The Dow Chemical Company, Midland, Michigan, USAから入手可能)、水中50%固形分
−ラテックス(B):カルボキシル化スチレン−ブタジエンラテックス(DL980,The Dow Chemical Company, Midland, Michigan, USAから入手可能)、水中50%固形分
−ラテックス(C):スチレン−アクリレートラテックス(XL94329.04,The Dow Chemical Company, Midland, Michigan, USAから入手可能)、水中48%固形分
−ラテックス(D):カルボキシル化スチレン−ブタジエンラテックス(DL966,The Dow Chemical Company, Midland, Michigan, USAから入手可能)、水中50%固形分
−PU分散体:ポリウレタンポリマーの分散体Syntegra(商標)YA500,The Dow Chemical Company, Midland, Michigan, USAから入手可能)、56%固形分
−PE分散体:最小膜形成温度26℃及びTg4℃のエチレンアクリル酸コポリマーの水中のアニオン性分散体(Techseal(商標)E-799/35, Trueb Chemie, Ramsen, Switzerlandから入手可能)、35%固形分
−PVOH:15%低分子量合成ポリビニルアルコールの溶液(Mowiol(商標)6/98, Clariant AG, Basel Switzerlandから入手可能)
−界面活性剤:ナトリウムジアルキルスルホスクシネートの水溶液(Aerosol(商標)OT,Cyabamid, Wayne, New Jersey, USAから入手可能)、75%固形分
−デンプン:熱加水分解された変性コーンデンプン、25%溶液で40℃でのブルックフィールド粘度(100rpm)=185mPa.s(C-Film 07311,Cerestar, Krefeld, Germanyから入手可能)
−タンパク質:変性低分子量アニオン性大豆タンパクポリマー、等電点pH4.3〜4.5(Procote(商標)5000, DuPont Soy Polymrers, St Geyrac, Franceから入手可能)
−増白剤(A):ジアミノスチルベンジスルホン酸から誘導される蛍光増白剤(光学増白剤)(Blankophor(商標)P、Bayer AG, Leverkusen, Germanyから入手可能)
−増白剤(B):ジアミノスチルベンジスルホン酸から誘導される蛍光増白剤(Tinepol(商標)SPP、Ciba Specialty Chemicals Inc. Basel, Switzerlandから入手可能)
−DSP:スチレンアクリレートコポリマーのアニオン性水溶液(Dow Sizing Polymer DSP7, The Dow Chemical Company, Midland, Michigan, USAから入手可能)、15%固形分
【0072】
顔料入りコーティング配合物のpHをNaOH溶液(10%)を添加することにより8.5に調節した。必要に応じて水を添加して配合物の固形分を調節した。
【0073】
上記の成分を表1、2、3に与えた量で混合してボトム層組成物(配合物1〜17)、トップ層組成物(配合物18〜41)及び内部層組成物(配合物42〜49)を得た。特に指示がないかぎり、全ての百分率及び部は質量基準である。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
【表4】

【0078】
【表5】

【0079】
配合物は以下の手順にしたがって紙に塗工された。Troller Schweizer Engineering (TSE, Murgenthal, Switzerland)により製造された多層スライドダイタイプのカーテンを用いた。カーテンコーティング装置は細流の水で潤滑されるエッジガイドと、塗工紙エッジのわずか上方で、エッジガイドの底でこのエッジ潤滑水を除去するための真空吸引装置とを装備していた。さらに、カーテンコーターはカーテン衝突領域から上流の紙基材から界面空気を除去するための真空吸引装置を装備していた。カーテンの高さは特に指示がないかぎり、300mmであった。コーティング配合物は空気バブルの除去のために使用前に脱気された。
【0080】
例1及び比較実験A及びB
同時多層カーテンコーティングと単層カーテンコーティングとを比較するために、ウッドフリーのベースペーパー(87g/m、PPS粗さ=5.6μm)を3つの実験で900m/分でコーティングし、ここで、3とおりの方法、すなわち、順次単層コーティング、同時多層コーティングおよび単層コーティング塗布で同一のコート重量で塗布した。
【0081】
比較実験A:
動いているベースペーパーの連続ウェブの上面に単一層カーテンとしてボトム層配合物1を塗布して、コート重量10±0.2g/mを得た。ベースペーパーウェブは900m/分で動いていた。乾燥後に、下塗りされた紙に、単層カーテンとして、トップ層配合物18をトップコートし、乾燥して、トップコート重量10±0.2g/mを得た。
【0082】
例1
比較例1で使用されたものと同一のボトム層及びトップ層を、各コーティング層のコート重量が10±0.2g/mとなるようにして、同時多層カーテンコーティングによってベースペーパーの上面に塗布した。比較実験Aと同様の条件を用いて乾燥を行なった。
【0083】
比較実験B
トップ層配合物18をベースペーパーの上面に単層カーテン塗布で塗布して、コート重量20±0.2g/mを得た。比較実験Aで用いたのと同様の乾燥条件を用いて乾燥を行なった。
【0084】
塗工された紙を全て同一の条件下にカレンダー処理し、その後、印刷特性について試験した。この一連の試験の結果を表4に示す。
【0085】
【表6】

【0086】
表4の結果は、同時多層塗工された紙は、アンダーコート及びトップコートの順次単層カーテン塗布を受けた紙と比較して、優れた紙光沢、インク光沢、粗さ、ドライピック耐性、インクピリング及びインク斑点を有したことを示す。さらに、同時多層塗工された紙は、比較的により高価なトップコートである20g/mの単層カーテンコーティングを受けた紙と比較して、インク光沢、粗さ及びドライピック耐性に優れていた。同一の利点は板紙の塗工についても期待される。
【0087】
例2及び3
軽量塗工(LWC)紙が同時多層コーティングによって製造されうるかどうかを決定するために、塗布される合計コート重量が慣用の単層ブレード又はカーテンコーティング法において塗布されるのと同様にして、ウッド含有ベースペーパー(46g/m、PPS粗さ=7.9μm)を2つの試験でコーティングした。塗布速度は800m/分であった。比較的に安価なアンダーコートのコート重量を上げ、比較的に高価なトップコートのコート重量を下げることが塗工紙の特性に与える効果を、合計のコート重量を一定として、アンダーコートの重量/トップコートの重量の比を変化させることで調べた。
【0088】
例2
ボトム層配合物2及びトップ層配合物19を、各コーティング層のコート重量が6.5±0.1g/mとなるようにしてベースペーパーの連続ウェブに同時に塗布した。塗工された紙を例1で用いたのと同様の乾燥条件を用いて乾燥した。
【0089】
例3
ボトム層配合物2及びトップ層配合物19を、アンダーコートのコート重量が9.8g/mとなるようにし、トップコートのコート重量が3.3g/mとなるようにしてベースペーパーに同時に塗布した。塗工された紙を例2と同様に乾燥した。
例2及び3の塗工紙を同一の条件下にカレンダー加工し、その後、印刷特性について試験した。この一連の試験の結果を表5に示す。
【0090】
【表7】

【0091】
表5の結果は他の方法で製造された紙の品質と比較して有利であり、印刷目的に特に適切である。さらに、例3は許容される塗工紙の特性は例2で塗布された比較的に高価なトップコート配合物の半分のみを適用することで達成されたことを示す。結果は、さらに、ウェブをコーティングする速度に影響を及ぼさずに、アンダーコート/トップコート比を有意に変更することが同時多層コーティングでは可能であることを示す。例3で示すような800m/分で3.3g/mのコート重量の塗布は単層カーテンコーティングによっては達成されない。
【0092】
例4及び5
これは例2及び3の繰り返しであるが、ウッドフリー(87g/m、PPS粗さ=5.6μm)ベースペーパー、400m/分のコーティング速度、そして、慣用のコーティング方法により製造される両面塗工ウッドフリーペーパー及び塗工板紙に通常に塗布される、より高い合計コート重量ターゲットを用いた。この実験の目的は、非常に低いコート重量の比較的に高価なトップコートが非常に高いコート重量の比較的に安価なアンダーコートの上に塗布されるウッドフリーベースペーパーの同時多層コーティングが印刷目的に許容される紙特性を生じることができるかどうかを決定することであった。
【0093】
例4
ボトム層配合物2及びトップ層配合物19を、アンダーコートのコート重量が18.6g/mとなるようにし、トップコートのコート重量が6.8g/mとなるようにしてベースペーパーに同時に塗布した。
【0094】
例4を繰り返したが、アンダーコートのコート重量が21.7g/mであり、トップコートのコート重量が3.5g/mであった。
【0095】
例4及び5の塗工紙を同様の条件下に乾燥し、カレンダー加工し、その後、印刷特性について試験した。この一連の試験の結果を表6に示す。
【0096】
【表8】

【0097】
表6の結果は他の方法で製造された紙の品質と比較して有利であり、塗工紙は印刷目的に特に適切であり、同時多層コーティング法では、非常に重く、比較的に安価なアンダーコート上に非常に軽量で比較的に高価なトップコートを適用することが可能であるとの例2及び3の発見を確認している。また、アンダーコートは、コーティングヘッドに追加のスロットがある幾つかのサブ層で分割されることも可能であると考えられる。このようなアプローチでは、非常に特定の特性を有するカーテン層を設計しそして塗布するための融通性を増加することができる。同一の利点は板紙の塗工についても期待される。
【0098】
例6及び7並びに比較実験C
慣用のコーティング方法によって適用することができない、非顔料入り機能コーティングの適用に同時多層コーティングが使用されうるかどうかを決定するために、水バリア特性を有する粘着性アンダーコートを顔料入りトップコートと同時にウッドフリーのベースペーパー(87g/m、PPS粗さ=5.6μm)に塗布する実験を行なった。塗布速度は800m/分であった。
【0099】
例6
ボトム層配合物3及びトップ層配合物20を、アンダーコートのコート重量が4.0g/mで、トップコートのコート重量が10.1g/mとなるようにウッドフリーのベースペーパーに同時に塗布した。
【0100】
例7
例6を繰り返したが、アンダーコートのコート重量が3.9g/mであり、トップコートのコート重量が7.5g/mであった。
【0101】
比較実験C
配合物20を、コート重量が10.1g/mとなるようにウッドフリーのベースペーパーに単一カーテンコーティングとして塗布した。
【0102】
例6及び7並びに比較実験Cの塗工紙を同様の条件で乾燥し、カレンダー加工し、その後、印刷特性について試験した。一連の試験の結果を表7に示す。
【0103】
【表9】

【0104】
表7の結果は、慣用の紙コーティング方法又は順次単層カーテンコーティング法によって塗布されえないようなバリアコーティングなどの非顔料入り機能コーティングを紙に適用するための同時多層コーティング法の適切さを示す。この結果は、粘着性アンダーコートの適用は、IGTドライピック及びインクピリングにより測定される塗工紙の全体としての強度を有意に改良し、Cobb試験により測定される塗工紙の水吸収性を有意に減少させることを明らかに示す。
【0105】
例8及び9
アンダーコート配合物を、非常に軽量で高い光沢性のトップコート配合物でトップコートする実験を行なった。トップコートのコート重量は使用される塗布速度で慣用のブレード及び単層カーテンコーティング法により行なうことができるよりも有意に低かった。塗布速度は800m/分であった。基材はウッド含有ベースペーパーであった(66g/m、PPS粗さ=6.3μm)
【0106】
例8
ボトム層配合物4及びトップ層配合物21を、(アンダーコートのコート重量が10.0g/mで、トップコートのコート重量が1.4g/mとなるように)ベースペーパーに同時に塗布した。
【0107】
例9
例8を繰り返したが、トップコートのコート重量が0.7g/mであった。
例8及び9の塗工紙を同様の条件で乾燥し、カレンダー加工し、その後、印刷特性について試験した。この一連の試験の結果を表8に示す。
【0108】
【表10】

【0109】
この実験の結果は、同時多層コーティング法による超低コート重量の高光沢トップコートの適用は、優れた紙光沢及びインク光沢を有する塗工紙を製造することができることを示す。詳細には、1g/m未満のトップコートのコート重量で塗布して、所望の塗工紙の特性を達成することができる。慣用のコーティング方法及び単層のカーテンコ−ティングでは、このような高速でこのような低いコート重量で適用することができない。同一の利点は板紙の塗工についても期待される。
【0110】
例10、11、12及び比較実験D
例1〜9は速度1000m/分未満で塗工した。塗布速度を1000m/分を超えて上げると、クレータリングの度合いが非常に増加する。顕著なクレータリングの始まりは紙及び板紙のカーテンコーティングの速度制限を決める。一連の例は単層カーテンコーティングをカーテンのボトム層として薄い界面層を有する同時2層カーテンコーティングと比較する。多層カーテンのトップ層の組成は単一層カーテンコーティングと同一の組成であった。界面層組成はトップ層配合物の低固形分型であった。界面層のコート重量は0.5〜2g/mで変更した。コーティングはウッドフリーのベースペーパー(87g/m、PPS粗さ=5.6μm)に適用された。塗布速度は900、1200及び1500m/分であった。
【0111】
比較実験D
コーティングのコート重量が16.0g/mとなるようにして配合物22を単層カーテンコーティングとして塗布した。
【0112】
例10
配合物5の0.5g/mのボトム層及び配合物22の15.6g/mのトップ層を有する同時多層カーテンを、比較実験Dと同一の条件を用いて塗布し、16.1g/mのコート重量を得た。
【0113】
例11
配合物5の1.0g/mのボトム層及び配合物22の14.9g/mのトップ層を有する同時多層カーテンを、比較実験Dと同一の条件を用いて塗布し、15.9g/mのコート重量を得た。
【0114】
例12
配合物5の2.0g/mのボトム層及び配合物22の14.1g/mのトップ層を有する同時多層カーテンを、比較実験Dと同一の条件を用いて塗布し、16.1g/mのコート重量を得た。
【0115】
この一連の試験で速度及び界面層コート重量の種々の組み合わせについてのクレータリングの結果を表9に示す。
【0116】
【表11】

【0117】
界面層の使用はクレータリングを明らかに低減し、そして許容できる品質の紙を製造するための速度を増加する。最小量の界面層は必要であり、0.5g/mはここで使用される条件下で不十分であったが、2g/mの界面層コート重量は良好な結果を与える。高い塗布速度でのクレータリングの度合いの低減は単層カーテンコーティングに対する界面層を用いた同時多層カーテンコーティングの利点を示す。
【0118】
例13、14、15、16及び17
例10、11及び12は界面層として、主コーティング層のより低い固形分のものを使用した。例13〜17は主層とは異なる組成を有する界面層の使用の利点を調べ、ここでは、界面層の湿潤及びレオロジー特性を独立に調節することができる。さらに、印刷特性を改良するためにトップ層中に使用される、より高価な成分及び特殊な顔料は全ての層の中に使用される必要はない。界面層は乾燥したコーティング中でアンダーコートとして機能するので、その組成は好ましくはできるかぎり単純かつ経済的であるべきである。このため、炭酸カルシウム顔料は例13、14、15、16及び17についての唯一の顔料として選択した。これらの例の全てについて、配合物23をトップコーティング層として使用し、コート重量が8g/mであった。この一連の例では、界面層の組成のみを変更した。界面層のコート重量は2g/mであった。同時多層カーテンコーティングは1200m/分及び1500m/分の塗布速度で42g/mのウッド含有ベースペーパー(PPS=7.8μm)に塗布した。
【0119】
例13
1部のPVOHを含む配合物6をボトム界面層として用い、1200m/分で2クレータ/cm、1500m/分で13クレータ/cmのクレータ密度を与えた。
【0120】
例14
2部のPVOHを含む配合物7をボトム界面層として用い、1200m/分で1クレータ/cm、1500m/分で9クレータ/cmのクレータ密度を与えた。この例で界面層中のPVOHのレベルを例13の1部から2部に上げたことでクレータ密度の適度な改善がもたらされた。
【0121】
例15
2部のPVOHを含み、配合物7のより低い固形分のものである配合物8を界面層として用いた。界面層のコート重量は1.33g/mであった。意外にも、界面層を減少したことがクレータリングの低減に良好に機能した。クレータ密度は1200m/分で1.5クレータ/cm、1500m/分で3クレータ/cmであった。
【0122】
例16
PVOHは紙コーティング配合物中の比較的に高いコストの成分である。この例では、PVOHを、安価なバインダー及び増粘剤として一般に使用されているデンプンに置き換えた。ラテックスのレベルもコーティング配合物中で低減した。ボトム界面層として配合物9を使用し、1200m/分で2クレータ/cm、1500m/分で7クレータ/cmのクレータ密度を与えた。界面層のスロット出口にゲル様堆積物が形成して、2つのコーティング層の間にある程度の不適合が見られた。乾燥したコーティングのまだら値もPVOHを界面層中に有する例13、14及び15のコーティングよりも若干高かった。
【0123】
例17
39.9%の固形分の配合物10をボトム界面層として使用した。界面層のコート重量は0.8g/mであった。低減されたコート重量でのクレータ密度は、1200m/分で1.7クレータ/cm、1500m/分で7.5クレータ/cmであった。これは界面層の厚さを考えると優れた性能である。しかし、カーテン自体の安定性はより厚い界面層ほど良好でなかった。
【0124】
結論として、例16及び17のデンプン含有顔料入りコーティングは界面層として満足される性能を与えるが、例13、14及び15のPVOH含有界面層はデンプン含有配合物より広いコーティング操作範囲を与え、好ましかった。
【0125】
例18、19、20、21及び22
界面層の機能は湿潤化に限定される必要はない。界面層は、例えば、湿潤化性と、付着性及び剛性などの改良された性能とを提供する2つの目的を有するように設計されることができる。
【0126】
例18、19、20及び21は純粋なラテックス又は溶液中のポリマーからなる非顔料入り界面層を用いた。例22は付着性を改良するために高いバインダー含有分を有する顔料入りコーティングを用いた。全てのこれらの例で同一のトップ層配合物を用い、トップ層のコート重量は8g/mで一定とした。選ばれたトップ層の配合物24は、クレータリングに観測される差異が界面層の影響に起因することができるように低いクレータリングの傾向を有した。界面層の組成物はある範囲の固形分を有し、そしてそれらは顔料入りと顔料入りでないものの両方があるので、界面層の厚さは、以前の実施例に記載した一定のコート重量ではなく、2.5μm湿潤膜厚さで一定であった。1200m/分及び1500m/分の塗布速度で42g/mウッド含有ベースペーパー(PPS=7.8μm)に同時多層カーテンコーティングを適用した。
【0127】
例18
配合物11のPVOHの10%溶液をボトム界面層として使用した。この配合物では、カーテンは1200m/分で安定であるが、ティーポット効果が1500m/分で重要になり始め、そのとき、一定のコート重量を維持するためにコーティング流を上げなければならない。クレータ密度は1200m/分で13クレータ/cmであり、1500m/分で27クレータ/cmであった。このクレータリングの度合いは許容されないほど高かった。さらに、クレータのサイズは大きい。期待されるように、コーティングは対照コーティングよりも改良された付着性(より高いIGTピック強さ)を有し、剛性が増加した(界面層(2g/m)として配合物6、トップ層(8g/m)として配合物24)。剛性の結果は対照では0.311mN*mであり、PVOH界面層を有するコーティングでは0.355mN*mであった。
【0128】
例19
配合物12のデンプンの18.5%溶液をボトム界面層として用いた。デンプン溶液は界面層として良好に機能した。カーテンは1200m/分でティーポット効果がなく安定であり、1500m/分で非常にわずかのティーポット効果があった。クレータリングの密度は1200m/分で0.7クレータ/cmであり、1500m/分で1.5クレータ/cmであった。デンプン溶液はより高い程度にピッティング欠陥をもたらし、また、コーティング中の空気バブルから生じる欠陥も多かった。このことは、デンプン溶液の脱気は達成するのがより困難であることを示す。デンプン界面層のコーティング特性はIGT強さ(対照の42に対して58)の改良を示し、剛性の改良を示した(対照の0.311mN*mに対して0.361mN*m)。界面層としてのデンプンの使用の主な欠点は紙光沢が低く(75°光沢=42)、インクセットオフが遅いことであった。まだら値も増加した。インク光沢は高いままであり(75°光沢=66)、コーティングがより高いデルタ光沢を与えた。デンプン溶液の界面層としての使用は艶消し及び鈍い紙コーティンググレードを製造するために潜在的に有用である。
【0129】
例20
例19の方法を配合物13を用いて繰り返し、それはデンプン溶液に加えてサイジングポリマーを含む。この例は同時多層コーティングとしてコーティングと表面サイジングとを組み合わせる。現在、産業上の実施ではこれらの2つのコーティング操作は順次に別個に行なわれている。Dow Sizing Polymerのデンプン溶液への添加はカーテンの安定化を助け、塗布速度1500m/分で例19に見られるティーポット効果を低減/排除した。クレータリングの度合いは配合物13で非常に低かったが、ピッティング及びエアバブルの量は例19のデンプン単独で見られるよりも多い。配合物13でのコーティングのIGT及びウェットピック強さは配合物12よりも有意に高かった(IGTでは58に対して98、ウェットピックでは60に対して75)。しかしながら、紙光沢は低減し(75°光沢=32)、一方、インク光沢は高いままであった(75°光沢=63)。剛性は配合物17で見られるのと変わりなく、インクピリングは悪化した。サイジングポリマーの影響を示すためのCobb水試験はデンプン単独と比較して差異を示さなかった。部分的には、この結果はコーティング中に存在するピッティングに起因するものであった。脱気の改良と、ピッティングの最小化のためのコーティングの再配合で、シートのサイジング特性の改良がなされるであろう。
【0130】
例21
配合物14をボトム界面層として用いた。この全てがラテックスである界面層はティーポット効果を示さずに優れたカーテン安定性を与えた。クレータリング密度は1200m/分で0.3クレータ/cm、1500m/分で1.3クレータ/cmであった。紙光沢は66であり、一方、インク光沢は84であった。さらなる利点はより良好なコーティング凝集力(IGT=95)であった。インクセットオフは非常にゆっくりであり、欠点となる可能性がある。例18、19、20及び21の他の界面層と比較して、全てラテックスである層は最も良好な特性群を提供したが、最も高価であった。
【0131】
例22
配合物15である、30部のPVOHをバインダーとして用い、ラテックスバインダーを用いない、高いバインダー含有分の顔料入りコーティングをボトム界面層として用いた。この配合物の流れ性は非常に良好であった。カーテンは非常に安定でティーポット効果はなかった。クレータリング密度は非常に低く、ピッティング密度も低かった。IGT強さは良好であり(IGT=78)、そして剛性は対照の0.228mN*mに対して0.274mN*mであった。インク光沢(75°光沢=58)と同様に紙光沢も低かった(75°光沢=36)。
【0132】
驚くべきことに、ボトム界面層が比較的に薄く、コーティング表面から幾分か離れていても、その機能界面層はトップ層コーティングの印刷特性及び光沢特性にも影響を及ぼすことが発見された。同時多層コーティングの断面電子顕微鏡写真は、互いの層へのコーティング成分の混合が限定されていることを示し、この挙動の機構は判らない。
【0133】
例23、24、25、26、27及び28
上記に示したとおり、クレータリングの度合いは界面層の追加によって低減されるけれども、ベースペーパーと接触していない層の組成も有意な影響を有する。二層同時多層カーテンコーティングの場合、良好な湿潤化性およびレオロジー特性を有する十分に厚い界面層を用いても、主層(トップ層)中にクレータリングが依然として生じることがある。このことは、主コーティング層の組成及びレオロジーは界面層に加えて、変更されなければならないことを意味する。低分子量PVOHの使用はクレータリングの度合いを低減し、特に、塗布速度が増加し及び/又はベースペーパーの粗さが増加したときにクレータリングの度合いを低減する劇的な能力を有することが発見された。コーティング中の顔料のタイプはクレータリングの度合いに対して極端な影響を有することが発見された。顔料タイプ及びレベルの小さい変化はクレータリングの度合いに大きな差異をもたらすことがある。この一連の実施例では、界面層の組成は一定であり、同時多層カーテンのトップ層の組成は変更された。ボトム界面層は配合物6を用い、これは上記の例13から良好な耐クレータリング挙動を有することが判っている。ボトム界面層のコート重量は2g/mであった。トップ層のコート重量は8g/mであった。同時多層カーテンは41g/mのウッド含有ベースペーパー(PPS=6.3μm)に塗布された。
【0134】
例23及び24はコーティングトップ層中のPVOHレベルがクレータリングの度合いに与える影響を示す。例25、26、27及び28は主コーティングトップ層中の2つの異なるコーティングクレーの使用を比較している。
【0135】
例23
1部のPVOHを含む配合物25をトップ層として用い、塗布速度1500m/分で塗布した。トップコート中のこの配合物はこの速度で中程度のクレータリングを与える。
【0136】
例24
例23の方法を、トップ層として2.5部のPVOHを含む配合物26を用いて繰り返した。トップ層としてのこの配合物の使用では1500m/分でほぼクレータのないコーティングをもたらす。トップ層中のPVOHレベルを増加させると、クレータリングの程度を劇的に低減する。
【0137】
例25
30部のクレー(B)を含む配合物27をトップ層として用い、そして1200m/分及び1500m/分で塗布した。クレータリング密度は1200m/分で5.8クレータ/cmであり、1500m/分で34クレータ/cmであった。
【0138】
例26
例25の方法をトップ層として配合物28を用いて繰り返した。配合物28は10部のクレー(A)及び20部のクレー(B)を有する。クレータリング密度は1200m/分で16クレータ/cmであり、1500m/分で76クレータ/cmであった。
【0139】
例27
例25の方法をトップ層として配合物29を用いて繰り返した。配合物29は20部のクレー(A)及び10部のクレー(B)を有する。クレータリング密度は1200m/分で34クレータ/cmであり、1500m/分で500クレータ/cmであった。
【0140】
例28
例25の方法をトップ層として配合物30を用いて繰り返した。配合物30は30部のクレー(A)を有する。クレータリング密度は1200m/分で34クレータ/cmであり、1500m/分で550クレータ/cmであった。
顔料組成の小さい変化(10部という小ささ)がクレータリングの度合いに劇的な影響を及ぼすことができることが例25,26,27及び28から明らかである。
【0141】
例29及び30
ベースペーパーの品質はコーティング方法に影響を及ぼすことが知られている。ベースペーパーの粗さはコーティングの品質に影響を与える重要な要因として当業界において認識されている。例29及び30は、ある範囲の表面粗さ及び化学的性質を有する、ウッドフリー紙及びウッド含有紙、塗工紙及び非塗工紙、並びに、カレンダー加工紙及び非カレンダー加工紙の両方の種々のベースペーパーを使用する。
【0142】
例29
例8の方法を繰り返したが、ボトム層のコート重量は12g/mであり、トップ層のコート重量は1g/mであった。同時二層カーテンコーティングを塗布速度1200m/分及び1500m/分で4つの異なるベースペーパーに適用した。ベースペーパー及びクレータリング結果の詳細を表10に示す。
【0143】
【表12】

【0144】
プレコートされていないウッドフリーのベースペーパーでは、1200m/分の塗布速度で被覆性が悪く、1500m/分ではさらに悪くなった。プレコートされたウッドフリーの紙の上では、塗布速度1200m/分及び1500m/分で、クレータを殆ど有せずに良好な被覆性が得られた。プレコートされ+プレカレンダー加工されたウッド含有ベースペーパーでは、同時多層塗布コーティングはクレータがなかった。低いクレータ密度での最大PPS粗さは約6.3μmであった。PPS粗さ=2.9μmでは、クレータを有しないコーティングが得られた。界面層なしで、薄い機能トップ層を有する2層カーテンコーティングでは、1500m/分で低いクレータ密度とするために、プレコートされたベースペーパーが要求された。この制限は3層同時カーテンコーティングを形成するように界面層を追加することで解決され得る。
【0145】
例30
この例は、クレータリングを最小化するように配合された、トップ層と、良好な湿潤化性及び耐クレータリング性を有する界面層との組み合わせを用いることで、種々のベースペーパー上に高固形分高速LWCコーティングを形成することができる能力を示す。現在のLWCベースペーパーの代表的な異なる4つのウッド含有ベースペーパーを複合材ロールとし、その後、その複合材ロールを同一のコーティング条件で塗工することができた。これらのベースペーパーは高速カーテンコーティングのために表面を調製するようにプレカレンダー加工やプレコートされたものではなかった。
【0146】
種々のベースペーパーを界面層として2g/mの配合物6及びトップ層として8g/mの配合物27を用いて10g/mの合計コート重量で塗工した。同時二層カーテンコーティングを複合材ベースペーパーロールに1500m/分で塗布した。カーテンの高さも変えた。結果を表11に要約する。
【0147】
【表13】

【0148】
驚くべきことに、このデータは、わずか150mmのカーテン高さを用いて、粗いベースペーパーに1500m/分で上手く塗工することができたことを示す。
図7は同一のコーティング条件下に非常に異なるベースペーパー上に製造され得る良好な被覆及びクレータを有しないコーティングを示している。この例は、予測に反し、塗工機械パラメータを調節する必要なしに全てのベースペーパーを塗工することができたので、同時多層カーテンコーティングの融通性を示している。
【0149】
例31
例30の方法をベースペーパー3上で1500m/分で繰り返し、ベースペーパーからの空気除去及びカーテンの空気遮蔽がクレータリングの度合いに与える影響をチェックした。
【0150】
【表14】

【0151】
驚くべきことに、空気遮蔽の除去及び空気除去装置に対する真空吸引の低減は表12に示すようにクレータ密度に有意な効果を有しなかった。この結果は、紙の高速カーテンコーティングの間に見られるクレータリングは文献に報告されている伝統的な空気取り込みとは異なることを示している。というのは、このような高速では、ベースペーパー上の空気の境界層のためにクレータ密度の増加が見られることが予測されるであろうからである。これらの結果は、さらに、広い範囲の塗布操作条件で低いクレータ密度のコーティングを得ることが本発明のコーティング配合物を使用することの利点であることを示す。
【0152】
例32〜41
3層以上の層を同時に適用する場合に、コーティングの設計にさらに融通性を与えることが可能である。1層及び2層のコーティングでは、全てのコーティング層は空気界面と接触し、コーティング層の粘度及び動的に表面張力特性にある制約を課す。適切な界面層及びトップ層を有するサンドイッチ構造を形成することで、単独では塗布されえなかった多くのタイプのコーティング層を塗工することが可能である。さらに、同時多層カーテンコーティングを用いて適用され得る層の薄さのために、多層LWCコーティングを設計することが可能になる。このことは、ブレード、ロッド及びフィルムコーティング法によって適用できる最も低いコート重量の制約のために過去には可能でなかった。例32〜41は、多くのタイプの多層LWCコーティング(10g/m未満)を示し、それらは同時多層カーテンコーティングを用いて可能である。
【0153】
例32、33、34及び35
多層LWCコーティングのための本発明の1つの態様は、良好なバルク性及び低コスト性を有する比較的に厚い内部層と組み合わせて薄い界面層を用い、薄い機能性トップ層を用いて、良好なシート表面及び印刷特性を得ることである。この例では、2g/mの配合物6を界面層として用い、5〜7g/mの配合物42を内部層として用いた。トップ層には、1〜3g/mの4つの異なる機能性トップ層を用いる。3層の層を組み合わせて、同時3層カーテンを形成し、ウッド含有ベースペーパー(40g/m、PPS=5.3μm)に1200m/分で塗布した。幾つかの重要な特性を表13に示す。
【0154】
例32
配合物31をトップ層として用い、全てのコーティング条件下に低いクレータリングの度合いを示した。
【0155】
例33
配合物32をトップ層として用い、全てのコーティング条件下に低いクレータリングの度合いを示した。
【0156】
例34
配合物33をトップ層として用い、全てのコーティング条件下に低いクレータリングの度合いを示した。
【0157】
例35
配合物34をトップ層として用い、全てのコーティング条件下に低いクレータリングの度合いを示した。
【0158】
【表15】

【0159】
この表中の用語「データなし」は所与の実験を行なわなかったことを示す。
3層LWCコーティングの塗工紙の特性は広い範囲の特性を示す。各々の試験された組成物は紙光沢、デルタ光沢、インクセットオフ速度バランスに関して顕著な特徴を有する。表14は例32〜35について得られたデータのある傾向を要約する。
【0160】
【表16】

【0161】
この例からの結論は、1g/mまでの薄さの層を均一に塗布することができるために、このトップ層の組成のみを変更することで非常に広い範囲の紙及び印刷特性を得ることができることである。このことは、特定の印刷条件により良好に適合したテーラーメードの紙を開発する機会を紙産業界に与える。
【0162】
例36
配合物35をトップ層として用いて例33の方法を繰り返し、艶消しタイプの輪転グラビア紙を製造した。配合物35は高レベルのタルク顔料を含み、それはしばしば輪転グラビア紙の製造に使用されるものであった。トップ層を1、2及び3g/mのコート重量で塗布し、内部層のコート重量(配合物42)を合計のコート重量が一定となるように減少させた。トップ層のコート重量が3g/mでは、非常に低レベルのクレータリングの非常に均一なコーティングを製造することができた。慣用の輪転グラビア紙と比較して、3層カーテン塗工紙はより均一な概観を有して、繊維被覆性が改良された。さらに、配合物42の内部層としての使用は、薄いトップ層のみでなく全体のコーティング厚さにわたってクレー及びタルクを使用するコーティングと比較して、より高い明度及びより低い全体としてのコストを与えた。
【0163】
例37
同時多層カーテンコーティングは、他のコーティング技術によって塗布することが不可能ではないにしても困難であるレオロジーを有するコーティングを塗布する方法を提供する。この例では、塩化カルシウム溶液を添加することで部分的に凝集したコーティングを3層カーテンコーティングの内部層として使用した。3層カーテンはボトム層として2g/mの配合物6、内部層として15g/mの配合物43、そしてトップ層として5g/mの配合物36からなった。コーティングをウッドフリーのベースペーパー(76g/m、PPS=5.3μm)に1000m/分で塗布した。内部層コーティング(配合物43)はせん断増粘挙動を示し、単独で使用したときに、ブレードコーティング法によってコーティングすることができず、また、安定なカーテンを形成することもできない。多層カーテン中に凝集したコーティングを取り込むことで、安定なカーテンを形成し、そして塗工紙上に非常に低いクレータ密度(0.54クレータ/cm)を有することが可能になった。
【0164】
例38
コーティングのボトム界面層及びトップ層と同一の機能性コーティングを使用することが可能である。この例では、ボトム層として2g/mの配合物16、内部層として6g/mの配合物44、そしてトップ層として2g/mの配合物37を組み合わせることで3層カーテンを形成した。配合物16及び配合物37は同一の組成を有し、プラスティック顔料を含んだ。トップ層とボトム層として同一の組成物を用いると、非常に安定なカーテンとなり、驚くべきことには、高速コーティング流速でのティーポット効果を排除することが意外にも発見された。この3層カーテンをウッド含有ベースペーパー(41g/m、PPS=7.1μm)に1500m/分で塗布した。クレータ密度は7.4クレータ/cmであった。界面層並びにトップ層としてプラスティック顔料を含む機能性光沢コーティングは約5〜6ポイントの光沢値の改良を示した。
【0165】
例39
薄い層を取り込む同時多層コーティングでは、コーティング成分を分離し、そして剛性、乳白度、白色度、バリアなどの特定の機能を提供するコーティング層を設計することが可能である。例39では、コーティング中の全てのTiO2顔料は多層コーティングの薄い内部層中に隔離された。ボトム層として2g/mの配合物6、内部層として2g/mの配合物45、そしてトップ層として6g/mの配合物38を組み合わせることで3層カーテンを形成した。この同時3層コーティングをウッド含有ベースペーパー(40.5g/m、PPS=7.9μm)に1000m/分で塗布した。
【0166】
例40及び41
非常に均一な薄いコーティング層を塗布することができる能力は同時多層カーテンコーティングをピンホールのないバリア層を製造するのに特に適切なものとする。例40及び41では、水性分散体を多層コーティングの中の薄い層として用いて、得られるコーティングにバリア特性を与える。
【0167】
例40
この例では、多層コーティングのボトム層とトップ層は同一の組成及びコート重量を有する。内部層のコート重量を0、2及び3g/mの間で変更した。このように、多層カーテンは、ボトム層として6g/mの配合物30、内部層として0、2又は3g/mの配合物46、そしてトップ層として6g/mの配合物30からなった。このコーティングをウッドフリーベースペーパー(76g/m、PPS=5.3μm)に1000m/分で塗布した。塗工された紙の結果を表15に示す。
【0168】
【表17】

【0169】
例41
任意の内部層として配合物47を用いて例42の方法を繰り返した。結果を表16に示す。
【0170】
【表18】

【0171】
バリア特性は表15及び16のデータから明らかである。驚くべきことに、高いバリア効率は3又は2g/mのバリア層でのみ達成される。ブレード又はフィルムプレスなどの慣用の紙塗工技術を用いて良好なバリア特性を得るためには、ピンホールを避けるためにバリア層のコート重量をより高くする必要がある。同時多層カーテンコーティングを用いると、他の層の「支持」効果を利用することによって、非常に均一でピンホールのないバリア層が非常に低いコート重量であっても得られる。
【0172】
内部バリア層を有する紙は参照の紙と少なくとも同じ位良好な印刷特性を有する。ピック耐性は意外にも改良され、そのことは疎水性バリア層に対するトップ層の非常に高レベルの付着性を示す。非常に良好なバリア特性及びオフセット印刷特性は非常にユニークであり、そして紙及び/又は包装用途で非常に価値があることができる。
【0173】
例42、43、44及び比較E
これらの例は板紙への同時多層カーテンコーティングを示す。板紙コーティングは比較的に厚く、そのため、塗布速度は紙に対するよりも一般に遅い。単一のスリット又はノズルをとおして高速で単層の厚塗コーティング層(>20g/m)を塗布すると、コーティング配合物の高い流速で起こる流れ不安定及び乱流による問題が生じることがある。幾つかのスロット又はノズルをとおしてコーティング流を分割し、その後に、層を合わせて単一の厚い層を形成することで多層カーテンコーティングについてのこれらの問題を回避することができる。さらに、板紙基材は非常に粗いことがあり、通常、紙基材よりも色が濃く、特に、板紙中の再生繊維含有分が高い場合に色が濃い。輪郭を持ったような被覆でのカーテンコーティングは板紙塗工に非常に好適である。
【0174】
例42及び比較実験E
板紙に同時多層カーテンコーティングを適用し、同一の紙への2回の順次単層カーテンコーティングと比較した。
【0175】
例42
この例では、26g/mのコーティングを2層カーテンとして適用し、ここで、13g/mの配合物17をボトム層として適用し、13g/mの配合物39をトップ層として適用した。配合物39は配合物17と同一の組成であった。これらの配合物は板紙への通常のコーティングと比べて非常に高い固形分を含んだ。600m/分で188g/mの板紙ベースストックにコーティングを塗布し、クレータを有しない表面の板紙を製造した。
【0176】
比較実験E
例42を繰り返したが、2回の逐次通過で、2回の通過の間に乾燥工程を施して、同一の13g/mのトップ層を2回塗布し、26g/mの合計コート重量を得た。比較的に低速の600m/分でさえ、2回の逐次通過により得られるコーティングはひどいクレータリングを有し、一方、26g/mの多層カーテンコーティングではクレータリングがなかった。
【0177】
例43
この例は単一のコーティング通過で均一に非常に厚い層(34g/m)を適用するために3層カーテンコーティングを使用する。このコート重量のコーティングはブレードコーティング法を用いて適用するのが困難である。ボトム層として2g/mの配合物6、内部層として27g/mの配合物48、そしてトップ層として5g/mの配合物40を合わせることで3層コーティングを行った。この3層コーティングは700m/分で250g/mの再生繊維板紙に適用された。
【0178】
例44
この例では、多層塗工板紙に、非常に薄い増白機能層を内部層として用いた。ボトム層として15g/mの配合物6及びトップ層として7g/mの配合物41を用いて同時2層対照サンプルを製造した。実験例は、ボトム層として15g/mの配合物6、内部層として0.5g/mの配合物49、そしてトップ層として7g/mの配合物41の同時3層カーテンコーティングであった。両方のコーティングを、700m/分で250g/mの再生繊維板紙に適用した。増白性内部層を有することで、白色度が顕著に増加した(96.2に対して106.5)。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】図1はカーテンコーティング装置の例示の断面図である。
【図2】図2は同時多層塗工紙サンプルの断面電子顕微鏡写真である。
【図3】図3は空気取り込みにより生じたコーティング欠陥を示す、同時多層塗工紙サンプルの断面電子顕微鏡写真である。
【図4】図4は「クレータリング」と規定されるコーティング欠陥を示すカーテン塗工紙サンプルの表面電子顕微鏡写真である。
【図5】図5はクレータの断面電子顕微鏡写真である。
【図6】図6はコーティング中のマイクロクラックの断面電子顕微鏡写真である。
【図7】図7は4つの異なるLWCベースペーパー上の同時多層塗工紙の表面光学顕微鏡写真を示す。
【図8】図8はより厚いボトム層に塗布された均一な薄いトップ層を示す同時多層塗工紙サンプルの断面電子顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形分が少なくとも45質量%である複合材多層自由流動カーテンを形成すること、及び、前記カーテンをベースペーパー又はベースボードの連続ウェブ基材と接触させることを含み、前記基材はプレコートされたもの、またはプレカレンダー加工されたものである方法。
【請求項2】
固形分が少なくとも45質量%である複合材多層自由流動カーテンを形成すること、及び、前記カーテンをベースペーパー又はベースボードの連続ウェブ基材と接触させることを含み、前記基材はプレコートされたものでない方法。
【請求項3】
前記基材は、コーティングの前に、少なくとも5ミクロンの表面粗さを有する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
複合材自由落下カーテンを形成している層のうちの少なくとも1つの層はバインダーを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
各層はコート重量が30g/m未満である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
少なくとも2つの層は組成が同一である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの層はコート重量が5g/m以下であり、好ましくは2g/m以下である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
塗工紙又は塗工板紙が形成され、そして少なくとも1つの層が隠蔽機能を有する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
ウェブの速度は少なくとも400メートル/分であり、好ましくは少なくとも800メートル/分であり、より好ましくは少なくとも1400メートル/分であり、より好ましくは少なくとも1500メートル/分であり、より好ましくは少なくとも1700メートル/分であり、最も好ましくは少なくとも2000メートル/分である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの層の粘度は少なくとも20cpsであり、好ましくは少なくとも200cpsである、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記カーテンは少なくとも1つの内部層を有する、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記方法は塗工印刷紙、又は、印刷に適した塗工板紙を製造する、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記カーテンの少なくとも1つの層はポリビニルアルコールを含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記カーテンは少なくとも2つの層を有し、合計コート重量が10g/m以下である、請求項1記載の方法。
【請求項15】
複合材自由落下カーテンを形成している層のうちの少なくとも1つの層は顔料入りである、請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
複合材自由落下カーテンを形成している層のうちの少なくとも1つの層の固形分は少なくとも60質量%である、請求項1〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記カーテンの固形分は少なくとも50質量%であり、好ましくは少なくとも55質量%であり、より好ましくは少なくとも60質量%であり、最も好ましくは少なくとも70質量%である、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記カーテンの少なくとも1つの層は粘着性である、請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記カーテンは少なくとも3つの層を含み、好ましくは少なくとも4つの層を含み、より好ましくは少なくとも5つの層を含み、最も好ましくは少なくとも6つの層を含む、請求項1〜18のいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
各層のコート重量は0.1〜30g/mである、請求項1〜19のいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
トップ層のコート重量は0.1〜30g/mであり、前記ベースペーパー又はベースボードと接触する層のコート重量は0.1〜30g/mである、請求項1〜20のいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
コーティング層の少なくとも1つは印刷特性、バリア特性、光学特性、剥離特性及び付着特性から選ばれる機能を付与する、請求項1〜21のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
コーティング層はグリースバリア特性、オイルバリア特性、湿分バリア特性又はその組み合せを付与する、請求項22記載の方法。
【請求項24】
少なくとも1つの機能性コーティングは増粘剤を含む、請求項1〜23のいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
塗工紙又は塗工板紙は光沢値が45未満である、請求項1〜24のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
塗工紙又は塗工板紙は平均クレータ密度が10クレータ/cm以下である、請求項1〜25のいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
サイジング及びコーティングが同時に行なわれる、請求項1〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
前記カーテンの少なくとも1つの層は蛍光増白剤を含む、請求項1〜27のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
カーテンは少なくとも1つのコーティング層を含む、請求項1〜28のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
前記トップ層のコート重量はその下にある層の合計のコート重量よりも低い、請求項1〜29のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
トップ層のコート重量は5g/m未満であり、好ましくは3g/m未満である、請求項1記載の方法。
【請求項32】
トップ層は合成ポリマー顔料及び光沢ワニスから選ばれる少なくとも1つの光沢剤を含む光沢付与性配合物を含む、請求項1〜31のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
トップ層は顔料及びバインダーを含み、前記顔料は合成ポリマー顔料であり、前記バインダーはラテックスである、請求項1〜32のいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
前記カーテンの少なくとも1つの層は、クレー、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、サテンホワイト、合成ポリマー顔料、酸化亜鉛、硫酸バリウム、石膏、シリカ、アルミナ三水和物、マイカ、珪藻土から選ばれる顔料を含む、請求項1〜33のいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
バインダーはカルボキシル化ラテックス、スチレン−ブタジエンラテックス、スチレン−アクリレートラテックス、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリルラテックス、スチレン−無水マレイン酸ラテックス、スチレン−アクリレート−無水マレイン酸ラテックス、ポリサッカリド、タンパク質、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、セルロース及びセルロース誘導体から選ばれる、請求項1〜34のいずれか1項記載の方法。
【請求項36】
前記カーテンは機能を付与する層を含み、その層はエチレンアクリル酸のポリマー、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリオレフィン、カルボキシル化されていてよいスチレンブタジエンラテックス、カルボキシル化されていてよいスチレンアクリレートラテックス、デンプン、タンパク質、スチレン−アクリルコポリマー、スチレン無水マレイン酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、カルボキシメチルセルロース、シリコーン、ワックス及びマイクロカプセルから選ばれる1種以上の成分を含む、請求項1〜35のいずれか1項記載の方法。
【請求項37】
前記カーテンは前記カーテンの他のどの層よりも低いコート重量を有する少なくとも1つの界面層を有する、請求項1記載の方法。
【請求項38】
前記カーテンは少なくとも1つの界面層を有し、そして少なくとも1つの界面層はポリエチレンオキシドを含む、請求項1〜37のいずれか1項記載の方法。
【請求項39】
前記基材はベースペーパーである、請求項1記載の方法。
【請求項40】
請求項1〜39のいずれか1項記載の方法によって得ることができる少なくとも2層のコーティング層を有する紙又は板紙。
【請求項41】
コーティングが少なくとも3層の層を有し、合計コート重量が10g/m以下である、塗工印刷用紙。
【請求項42】
前記層のうちの少なくとも1つの層はバリア層であり、好ましくは湿分バリア層である、請求項41記載の塗工印刷用紙。
【請求項43】
前記層のうちの少なくとも1つの層はコート重量が4g/cm以下であり、好ましくは3g/cm以下であり、より好ましくは2g/cm以下である、請求項41記載の塗工印刷用紙。
【請求項44】
光沢値が少なくとも70であり、トップ層のコート重量が1g/cm以下である、塗工印刷用紙。
【請求項45】
印刷、包装及びラベリング用途に特に適切であるが、写真紙及び感圧複写紙を除く、多層塗工紙及び板紙を製造するための方法であって、水性エマルジョン又はサスペンションから選ばれる少なくとも2層の液体の層から複合材自由落下カーテンを形成し、その複合材コーティングカーテンでベースペーパー又はベースボードの連続ウェブを被覆する、方法。
【請求項46】
複合材多層自由流動カーテンを形成すること、前記カーテンをベースペーパー又はペーパーボードの連続ウェブ基材と接触させることを含み、前記ウェブは少なくとも1400メートル/分の速度を有する、方法。
【請求項47】
前記接触は前記基材が複合材カーテンで被覆されて、印刷に適した塗工紙又は印刷に適した塗工板紙を形成するように行なわれる、請求項46記載の方法。
【請求項48】
請求項47記載の方法により得ることができる紙又は板紙。
【請求項49】
移動している紙のウェブを、固形分が少なくとも45%である複合材カーテンコーティングと接触させることを含むコーティング方法であって、前記カーテンは少なくとも2つの成分の層を有し、第一の層は前記ウェブと直接的に接触するように向けられており、コート重量が約0.1〜約60g/mであり、第一の層の全組成を基準として約0.2〜約10質量%のポリビニルアルコールを含み、前記第一の層以外の少なくとも1つの層は顔料及びバインダーを含み、トップ層は場合により光沢剤を含む、コーティング方法。
【請求項50】
前記界面層は水溶性ポリマーを含む、請求項1記載の方法。
【請求項51】
前記水溶性ポリマーはポリエチレンオキシドである、請求項50記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−240235(P2008−240235A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138520(P2008−138520)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【分割の表示】特願2002−581757(P2002−581757)の分割
【原出願日】平成14年4月12日(2002.4.12)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】