説明

多層樹脂成形用金型および多層樹脂成形品の成形方法

【課題】第1樹脂層と第2樹脂層とで挟まれたインサート材の周縁部に第2樹脂層が被覆しない露出部を備える多層樹脂成形品の金型を、露出部に波打ちが出難いようにする。
【解決手段】露出部8eから延びたインサート材8の延長部8aを挟持して型締めされる第1金型11および第2金型12を備え、移動可能な第3金型13が第1金型11に近接した第1位置では第1樹脂層用のキャビティが第3金型13と当接したインサート材8と第1金型11との間に形成され、第1金型11から離間した第2位置では第2樹脂層用のキャビティがインサート材8と第3金型13との間に形成され、第1樹脂を延長部8aに沿って射出する第1ランナRaを第1金型11に備え、第2樹脂用の第2ランナが第2位置の第3金型13と第1金型11との間に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1樹脂層と第2樹脂層とでインサート材を挟み込み、周縁部における前記インサート材の一部を前記第2樹脂層が被覆しない露出部とした多層樹脂成形品を得る多層樹脂成形用金型および多層樹脂成形品の成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の多層樹脂成形を実施するための成形手順としては、第1凹部を備えた第1金型と、成形面にインサート材の第1面を対向配置させた第2金型とを、インサート材の前記露出部が第1凹部から外れた位置になるように型締めしておいて、第1凹部に第1樹脂を射出した後、第2金型を除去して現れるインサート材の第2面に対して、第2凹部を備えた第3金型を対向配置し、第2凹部に第2樹脂を射出する方法が従来技術として知られている。この方法によって、露出部を除いたインサート材の第1面には第1樹脂層が一体化され、インサート材の第2面には全面的に第2樹脂層が一体化された多層樹脂成形体が得らえる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の従来技術では、第1樹脂が第1凹部に射出されたとき、インサート材の露出部は第1樹脂と一体化されていないため、第1樹脂が冷え固まる過程で生じる第1樹脂の成形収縮によって、インサート材の露出部に波打ち状の欠陥が生じる傾向が見られた。特に、インサート材が静電容量センサシートなどの電子的機能素材であり、前記露出部に静電容量センサシートの端子部が形成されている場合、上記の波打ち状の欠陥によって端子が破損する虞があった。
【0004】
そこで、本発明の目的は、上に例示した従来技術による多層樹脂成形技術が与える課題に鑑み、インサート材の露出部に波打ち状の欠陥が生じ難い多層樹脂成形用金型および多層樹脂成形品の成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による多層樹脂成形用金型の第1の特徴構成は、
第1樹脂層と第2樹脂層とでインサート材を挟み込み、周縁部における前記インサート材の一部を前記第2樹脂層が被覆しない露出部とした多層樹脂成形品を得る金型であって、
前記露出部よりも外側に延出した前記インサート材の延長部を挟持しつつ互いに型締め可能な第1金型および第2金型と、
前記第2金型に対する摺動に応じて、前記第1金型に対して近接した第1位置と離間した第2位置とに移動可能な第3金型とを備え、
前記第3金型が前記第1位置にあるとき、前記第3金型が前記インサート材と当接して、前記第1樹脂層を形成する第1樹脂を射出可能な第1キャビティが前記インサート材と前記第1金型との間に形成され、
前記第3金型が前記第2位置にあるとき、前記第3金型が前記インサート材から離間して、前記露出部を除く領域に前記第2樹脂層を形成する第2樹脂を射出可能な第2キャビティが前記インサート材と前記第3金型との間に形成され、
前記第1樹脂を前記インサート材の前記延長部に沿って射出する扁平状の第1ランナを前記第1金型に備えると共に、
前記第2樹脂を射出する第2ランナを、前記第3金型が前記第2位置に移動した際に前記第3金型と前記第1金型との間に形成するよう構成してある点にある。
【0006】
本発明の第1の特徴構成による多層樹脂成形用金型では、面状のインサート材を第1位置にある第3金型の成形面に沿わせた状態で、第1ランナから第1樹脂を射出することで、第1キャビティを第1樹脂が満たし、インサート材の一方の面と一体化された第1樹脂の成形体が得られ、次に、第3金型を第2位置に移動させることで得られる第2ランナから第2樹脂を射出することで、インサート材を挟んで第1樹脂の成形体と反対側に、インサート材の他方の面のうち露出部を除く領域と一体化された第2樹脂が得られる。そして、インサート材には露出部よりも外側に延設された延長部が設けてあり、第1樹脂の射出後からは、この延長部の片側面にも第1ランナと同形状の第1樹脂成形体部分が一体化された状態となる。したがって、第1樹脂が冷え固まる過程で第1樹脂に成形収縮が生じるとき、波打ち状の欠陥は第1ランナと一体化したインサート材の延長部を中心に生じるため、インサート材の露出部には波打ち状の欠陥が及び難い。その結果、露出部に静電容量センサシート(インサート材)の端子部が形成されている場合でも端子が破損する虞が抑制された。また、インサート材が意匠上の特徴を担う場合も、インサート材に波打ち状の欠陥が生じ難いため、インサート材の本来の特徴が生かされた多層樹脂成形体が得られる。
また、第2樹脂を射出する第2ランナは、第3金型が第2位置に移動した際に第3金型と第1金型との間に形成されるので、第3金型が第1位置にある間に射出される第1樹脂が第2ランナに逆流する虞がない。
【0007】
本発明による多層樹脂成形用金型の他の特徴構成は、前記第1ランナと前記第2ランナとが、前記多層樹脂成形品の周縁部の共通辺に設けてある点にある。
【0008】
本構成であれば、成形済みの多層樹脂成形品を多層樹脂成形用金型から脱型したとき、第1ランナ内で固化した樹脂部材と第2ランナ内で固化した樹脂部材とが、多層樹脂成形品における周縁部の共通辺に位置することになるので、これらの樹脂部材の除去、及び、除去した痕跡の加工が容易となる。
【0009】
本発明による多層樹脂成形用金型の他の特徴構成は、前記第2金型の内側面の少なくとも一部が前記第1キャビティの一部を形成し、
当該内側面のうち少なくとも一部の領域において、前記第1金型との合せ面から離間した位置での開口幅を、前記合せ面における開口幅より小さく形成してある点にある。
【0010】
本構成であれば、第1キャビティに射出された第1樹脂が固化したとき、第1樹脂の成形体の側面の少なくとも一部は、第1金型との合せ面から離間するほど小さくなる形状に成形される。そのため、第3金型を第1位置から第2位置に移動(コアバック)させる際に第1樹脂による成形体が第3金型に追随して移動する虞がなくなる。したがって、第3金型の移動に基づいて、第1樹脂の成形体に保持されたインサート材と第3金型との間の正しい位置に確実に第2キャビティが得られる。
【0011】
本発明による多層樹脂成形用金型の他の特徴構成は、前記インサート材の端縁のうち前記第1樹脂の射出時に樹脂射出の最も上流に位置する上流側端縁を当接させる第1突合せ部を、前記第1金型あるいは前記第2金型に設けてある点にある。
【0012】
本構成であれば、第1ゲートから第1ランナに進入した第1樹脂がインサート材の端面に当たってインサート材を第3金型の成形面から分離させる虞がなくなる。したがって、めくり上げられたインサート材が第1樹脂の第1ランナへの円滑な進入を損なう、或いは、第3金型の成形面とインサート材の間の不都合な位置に第1樹脂が進入するなどの問題が生じ難くなる。尚、第1突合せ部とインサート材の端縁との間には、多少の隙間があっても、樹脂射出時にインサート材がめくり上げられないように、インサート材の端面を樹脂の流れの影響を受けない状態にできればよい。
【0013】
本発明による多層樹脂成形用金型の他の特徴構成は、前記インサート材の端縁のうち前記第2樹脂の射出時に樹脂射出の最も上流に位置する上流側端縁を当接させる第2突合せ部を、前記第1金型あるいは前記第2金型に設けてある点にある。
【0014】
本構成であれば、第2ゲートから第2ランナに進入した第2樹脂がインサート材の端面に当たってインサート材を第1樹脂の成形体などから分離させるようにめくり上げる虞がなくなる。したがって、めくり上げられたインサート材が第2樹脂の第2ランナへの円滑な進入を損なう、或いは、第1樹脂の成形体とインサート材の間に第2樹脂が進入するなどの問題が生じ難くなる。尚、第2突合せ部とインサート材の端縁との間には、多少の隙間があっても、樹脂射出時にインサート材がめくり上げられないように、インサート材の端面を樹脂の流れの影響を受けない状態にできればよい。
【0015】
本発明による多層樹脂成形用金型の他の特徴構成は、前記第1樹脂の射出に先立ち、加飾用の転写シートを前記第1金型の成形面に供給する転写シート供給装置を備えてある点にある。
【0016】
本構成であれば、転写シートによって第1樹脂の成形体に種々の色相や模様を備えた加飾層を付与することができる。
【0017】
本発明による多層樹脂成形用金型の他の特徴構成は、前記インサート材の端縁のうち前記第1ランナ及び前記第2ランナの側部に位置する領域を、前記第1金型と前記第2金型とで挟持可能に構成してある点にある。
【0018】
本構成であれば、第1金型と第2金型とを型締めする際に、前記第1ランナ及び前記第2ランナの側部に位置するインサート材の端縁領域を両金型の間に挟持できるので、第1樹脂や第2樹脂の射出時にインサート材の姿勢が乱れる虞が抑制される。したがって、インサート材が多層樹脂成形体の中の正しい位置に配置される。
【0019】
本発明による多層樹脂成形用金型の他の特徴構成は、前記インサート材の一部と嵌合して前記インサート材を前記第1金型及び前記第2金型に位置決めする位置決め手段を設けた点にある。
【0020】
本構成であれば、位置決め手段インサート材を第1金型、第2金型及び第3金型に対して正しい位置と姿勢に位置決めすることが可能となる。
【0021】
本発明による多層樹脂成形品の成形方法の第1の特徴構成は、
請求項1に記された多層樹脂成形用金型を用い、
前記第3金型を前記第2金型に対して位置決めする第1位置決め工程と、
面状のインサート材を前記第3金型の成形面に沿うように配置する配置工程と、
前記第2金型及び前記第3金型と、第1金型とを型締めする型締め工程と、
前記インサート材の延長部に沿って形成した扁平状の第1ランナを介して前記第1キャビティに第1樹脂を射出する第1射出工程と、
前記第3金型を前記第2位置に移動させる金型移動工程と、
前記第3金型と前記第1金型との間に形成された第2ランナを介して前記第2キャビティに第2樹脂を射出する第2射出工程と、
成形された多層樹脂成形品を前記多層樹脂成形用金型から取り出す脱型工程とを備える点にある。
【0022】
本発明の第1の特徴構成による多層樹脂成形品の成形方法では、先ず、面状のインサート材を第3金型の成形面に沿わせた状態で、第1射出工程として第1キャビティに第1樹脂を射出することで、インサート材の一方の面と一体化された第1樹脂の成形体が得られ、次に、第2金型を移動させることで形成された第2キャビティに、第2射出工程として第2樹脂を射出することで、インサート材を挟んで第1樹脂の成形体と反対側に、インサート材の他方の面のうち露出部を除く領域と一体化された第2樹脂が得られ、目的とする多層樹脂成形体が得られる。
【0023】
そして、予めインサート材には露出部よりも外側に延設された延長部が設けてあり、第1樹脂の射出後からは延長部の片側面に第1ランナと同形状の第1樹脂成形体部分が一体化された状態となる。したがって、第1樹脂が冷え固まる過程で第1樹脂に成形収縮が生じるとき、波打ち状の欠陥は第1ランナと一体化したインサート材の延長部を中心に生じ、インサート材の露出部には波打ち状の欠陥が及び難い。その結果、露出部に静電容量センサシート(インサート材)の端子部が形成されている場合でも端子が破損する虞が抑制された。
【0024】
本発明による多層樹脂成形方法の他の特徴構成は、前記型締め工程に先立ち、前記第1金型の成形面に加飾用の転写シートを供給する供給工程を有し、
前記型締め工程において、前記転写シートの外周部を前記第1金型と前記第2金型とで挟持し、前記第1樹脂を前記転写シートと前記インサート材との間に射出する点にある。
【0025】
本構成であれば、インサート材が第1樹脂と第2樹脂の各成形体の間に介装され、且つ、第1樹脂の成形体の外表面には転写シートによって転写された加飾層が配された多層樹脂成形体が得られる。また、型締め工程において、転写シートの外周部が第1金型と第2金型とで挟持されるので、射出された樹脂が転写シートの端面などから第1金型と転写シートとの間に進入する虞などがない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の多層樹脂成形用金型によって得られた携帯電話の外観を示す斜視図である。
【図2】多層樹脂成形用金型によって得られた多層樹脂成形体(切除前)を示す斜視図である。
【図3】多層樹脂成形用金型によって得られた多層樹脂成形体(切除後)を示す斜視図である。
【図4】第1金型及び第2金型を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る多層樹脂成形品の成形方法の一工程を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る多層樹脂成形品の成形方法の一工程を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る多層樹脂成形品の成形方法の一工程を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る多層樹脂成形品の成形方法の一工程を示す斜視図である。
【図9】金型の第1ランナに沿った部位を示す破断斜視図である。
【図10】金型の第1ランナの後半部位に沿った部位を示す一部破断斜視図である。
【図11】金型の第2ランナに沿った部位を示す破断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
ここでは、本発明に係る多層樹脂成形用金型および多層樹脂成形品の成形方法について、図1に外観を例示した携帯電話機50の筐体の一部を一つの実施形態として解説する。
【0028】
(多層樹脂成形体の構造)
図1の携帯電話機50は、例えば、マイク部2および液晶を用いたタッチパネル式のメインディスプレイ3を上面に備えた操作パネル部1と、先端付近にレシーバ6を備えた受話パネル部4とからなる。操作用のキーボードは必要に応じてメインディスプレイ3にアイコン状に形成される。受話パネル部4にはディスプレイは設けられていない。但し、機械的なキーで構成されたキーボードを、メインディスプレイ3と隣接する形で操作パネル部1に設けてもよい。
【0029】
受話パネル部4は、操作パネル部1に対して揺動自在に支持されたヒンジ部7に固定されており、ヒンジ部7の揺動を介して、図1(a)に例示する開放状態と図1(b)の閉鎖状態との間で姿勢変更自在に構成されている。操作パネル部1と受話パネル部4との間には、受話パネル部4を永久磁石の吸引力などによって閉鎖状態に保持するための閉鎖保持機構(不図示)が設けられている。
【0030】
受話パネル部4の大半部分は、透明性の高い樹脂で形成された中実の板状を呈しており、その内部には透明膜状の回路シート、中でも例えば静電センサシート8(インサート材の一例)が本発明による多層樹脂成形技術によってインサート成形されている。そのため、図1(b)のように受話パネル部4が操作パネル部1に対して閉じられた状態でも、ユーザは受話パネル部4を通して操作パネル部1のメインディスプレイ3を透視可能となっている。
【0031】
また、携帯電話機50の電源をONにしたままで、且つ、図1(b)のように受話パネル部4を操作パネル部1に対して閉じた状態において、ユーザが指等で受話パネル部4の外側表面4bの該当箇所(後述する窓部9aなど)に触れると、この接触による操作内容が静電センサシート8によって検出される形態でも使用可能となっている。
【0032】
静電センサシート8の検出部には、メインディスプレイ3に表示されるキーボードの各キーの位置に対応する座標が関連付けられており、操作パネル部1に設けられた制御装置(不図示)は、ユーザが受話パネル部4の上からキーボードを透視しながら、受話パネル部4の表面を指などで接触して操作すると、同操作に応じて静電センサシート8から発せられる電気信号に基づいて、ユーザが意図したキー操作を特定し、実行することができる。
【0033】
このように、受話パネル部4が閉じられた状態で、ユーザが受話パネル部4の外側表面4bから静電センサシート8にアクセスする操作に基づいて、少なくとも一部のキー操作、例えば操作パネル部1のフラッシュメモリーにインポートされている楽曲の再生や、操作パネル部1に設けられたカメラ(不図示)による撮影などが実行可能となっている。他方、マイク部2およびレシーバ6を用いた通話やキーボードによる電子メールの作成、送信の操作は受話パネル部4を開いた状態で可能となる。
【0034】
尚、受話パネル部4の表面のうちで図1(b)の閉鎖状態で外から見える箇所は、メインディスプレイ3を透視するための窓部9aを除いて、基本的に加飾層9によって被覆されている。加飾層9は、後述する静電センサシート8の端子8tなどを隠蔽するために基本的に不透明または半透明となっている。
【0035】
(多層樹脂成形金型の概要)
ここでは、受話パネル部4の成形に対して、本発明に係る多層樹脂成形用金型および多層樹脂成形品の成形方法が適用されている。本発明に係る多層樹脂成形用金型は、図3−8に示すように、受話パネル部4の成形に適合された成形用の金型セット10と、金型セット10を型締めする型締装置(不図示)と、金型セット10の内部に形成されるキャビティC1,C2に第1樹脂P1及び第2樹脂P2を別々の工程で射出可能な第1射出機及び第2射出機(不図示)とを備えている。
【0036】
図2(a),図2(b)は、本発明に係る多層樹脂成形用金型によって成形され、金型セット10から取り出された受話パネル部4の成形体の外観を示す。図2(a)に示すように、受話パネル部4は、図7等に示す金型セット10において、図1(b)に示す閉鎖状態とは逆の、レシーバ6を取り付ける内側表面4aが上方を向いた状態で成形される。
図3(a),図3(b)は、図2(a),図2(b)に示す成形体から不要な第1樹脂ランナ部Rap、第2樹脂ランナ部Rbp、静電センサシート8の延長部8aを切り取った状態を示し、完成した受話パネル部4の外観と一致する。図3(a)には、第1樹脂層P1aの欠けた箇所に静電センサシート8の露出部8eが見えており、ここに導電機能を備えたヒンジ部7を接合することで、露出部8eに形成されている静電センサシート8及びの端子8tを操作パネル部1と電気的に接続することができる。尚、静電センサシート8の先端にも、レシーバ6と操作パネル部1とを電気的に接続するための端子(不図示)が設けられている。
【0037】
(金型セットの概要)
図5に示すように、金型セット10は、前記型締装置に固定される第1金型11及び第2金型12と、第2金型12に対する摺動により、図の下側に実線で示す第1位置と、第1位置に比べて第1金型11から上方に離間した第2位置とに亘って、図の矢印方向に移動操作可能な第3金型13とを有する。
図7(b)に示すように、第1位置における第3金型13の成形面13aに沿った静電センサシート8と第1金型11との間に第1キャビティC1が形成される。図8(b)に示すように、第2位置に移動した第3金型13と静電センサシート8とで挟まれた領域が第2キャビティC2となる。第3金型13は油圧駆動のピストン機構などで移動操作される。
【0038】
図4に示すように、第1金型11は上面に凹部11aを備えた有底容器状を呈している。他方、第1金型11に対して型締めされる第2金型12は、概して第1金型11の凹部11aに対応した貫通孔12aを備えた板状を呈しているが、第2金型12の一部には、静電センサシート8の露出部8eと対応した形状の凸部12dが設けられている。第3金型13は、図5に示すように概して第2金型12の貫通孔12aに対応した外周形状を備えた板状を呈している。
【0039】
第1金型11と第2金型12とを型締めした上で、第1金型11に形成されている第1ゲートG1から第1キャビティC1に第1樹脂P1が射出される。第2金型12には、第1樹脂P1による第1成形体B1の上に形成される第2キャビティC2に第2樹脂P2を射出するための第2ゲートG2も形成されている。
【0040】
受話パネル部4を製造する際には、図2に示すように、第2金型12及び第3金型13と第1金型11との間に、面状の静電センサシート8と、第1成形体B1に加飾層9を転写するための転写フィルムPFとが配置される。
そのため、図6に示すように、金型セット10には第1金型11の凹部11aに転写フィルムPFを供給するための転写シート供給装置20が設けられている。転写フィルムPFの上面には所定の加飾層9が設けられており、第1キャビティC1に第1樹脂P1を射出すると、この加飾層9が第1成形体B1の第1樹脂層P1aに融着される。
【0041】
転写シート供給装置20は送りローラ20a及び巻き取りローラ20bを有する。送りローラ20aには加飾層9を備えた使用前の転写フィルムPFが巻かれており、第1金型11と第2金型12とを型締めする際に、巻き取りローラ20bが、或いは、送りローラ20aと巻き取りローラ20bとが、電動モータ(不図示)によって時計方向に回動操作されることにより、転写フィルムPFの該当箇所が第1金型11の凹部11aに供給され、同時に、前回の成形時に加飾層9が失われて基材のみとなった使用済みの転写フィルムPFが巻き取りローラ20bに巻き取られる。
【0042】
(多層樹脂成形方法の概要)
ここで受話パネル部4の製造手順について概略的に述べる。
先ず、図5の下向き矢印及び図6で示すように、第3金型13を第2金型12に対して位置決めする(第1位置決め工程)。第3金型13はその成形面が第2金型12の合わせ面12pと同一平面に位置する第1位置に位置決めされる(図7を参照)。
【0043】
次に、図5の上向き矢印及び図6で示すように、静電センサシート8を第3金型13の成形面に沿うように配置する(シート配置工程)。尚、静電センサシート8の基端側には成形後に切除される延長部8aが設けられており、この延長部8aには一対の嵌合孔8hが形成されている。シート配置工程では、この嵌合孔8hを第2金型12の下面に形成されている一対の係合凸部12bに嵌合させることで、静電センサシート8は第2金型12及び第3金型13に対して正しい位置に配置される。
前記シート配置工程と並行して、図6に示すように、転写シート供給装置20によって転写フィルムPFの未使用部位を第1金型11の上面及び凹部11aに供給させる(供給工程)。これによって、第1金型11の合わせ面11pや後述する第1ランナRaを構成する各空間Va1〜Va4もまた転写フィルムPFによって覆われる。
【0044】
この状態で、図7(a)と図7(b)に示すように、第2金型12及び第3金型13を第1金型11の上に重ね合わせてクランプ装置(不図示)でクランプ(型締め工程)すると、転写フィルムPFの外周部位と静電センサシート8の延長部8aとが、第1金型11の上面に形成された平坦な合わせ面11pと第2金型12の下面に形成された平坦な合わせ面12pとの間に挟持される。
【0045】
他方、静電センサシート8は第1金型11と第2金型12との間の合わせ面にほぼ沿った平面状の状態で配置される。ここで、静電センサシート8よりも上側の第2金型12と第3金型13との間隙付近を吸引装置(不図示)によって負圧にすることで、静電センサシート8の本体部8mを第3金型13の成形面13aに沿わせる操作を行ってもよい。
【0046】
以上の操作で、図7(b)に示すように、第1金型11と第3金型13との間に、より正確には、第1金型11の凹部11aに沿って配置された転写フィルムPFと、第3金型13の成形面13aに沿って配置された静電センサシート8との間に第1キャビティC1が形成される。
そこで、このようにして形成された第1キャビティC1に対して、第1射出成形機によって第1ゲートG1から第1樹脂P1が射出される(第1射出工程)。第1樹脂P1は金型内に形成された第1ランナRa(図6、図9、図10を参照)を通って、転写フィルムPFと静電センサシート8との間に射出される。第1ランナRaは第1金型11と第2金型12とが協働して形成しているが、主に第1金型11によって形成されている。
【0047】
次に、第1樹脂P1が固化した後に、図8(a)と図8(b)に矢印で示すように、第3金型13を上方の第2位置に移動させると(金型移動工程)、第3金型13は第1成形体B1と一体化されている静電センサシート8と分離され、静電センサシート8と第2金型12と第3金型13との間に第2キャビティC2が形成される。
【0048】
そこで、このようにして形成された第2キャビティC2に対して、第2射出成形機によって第2ゲートG2から第2樹脂P2が射出される(第2射出工程)。第2樹脂P2は金型内に形成された第2ランナRb(図5および図11を参照)を通って、第1成形体B1と一体化されている静電センサシート8と第3金型13の間に射出される。第2ランナRbは第1金型11と第2金型12と第3金型13とが協働して形成している。
【0049】
第2樹脂P2が固化して第2樹脂層P2aが得られた後に、型締装置を開放し、第2金型12と第3金型13とを第1金型11から引き離すと、図2に示す成形済みの第2成形体B2が取り出される。
第2成形体B2が第1金型11から取り出される際に、転写フィルムPFの基材部分は第1金型11側に残り、基材から剥離された加飾層9が第1樹脂層P1aの表面の該当領域に転写されている。
【0050】
図2(a)、図2(b)に示すように、第2金型12及び第3金型13から取り出された第2成形体B2の側面からは、第1ランナRaから抜き取られた第1樹脂ランナ部Rap、第2ランナRbから抜き取られた第2樹脂ランナ部Rbp、および静電センサシート8の延長部8aが突出している。
これらの第1樹脂ランナ部Rap、第2樹脂ランナ部Rbp、静電センサシート8の延長部8aを切り取る等の操作を経て、図3(a)、図3(b)に例示する受話パネル部4が得られる。
【0051】
受話パネル部4の外側を構成し、指先その他での接触による操作を受ける第1樹脂P1としては鉛筆強度の高いアクリル樹脂などを用いるとよい。
他方、受話パネル部4の内側を構成する第2樹脂P2には、特に耐衝撃強度の高いポリカーボネート系樹脂やポリスチレン系ブレンド樹脂などを用いるとよい。
また、加飾層9にはABS樹脂や顔料を分散させたポリエステル樹脂などを用いるとよい。
【0052】
(第1ランナRaの周辺構造)
図4、図9及び図10に示すように、第1ゲートG1と第1キャビティC1とを連通させる第1ランナRaは、第1ゲートG1の下端と連通し、金型セット10の横軸心X(図6を参照)に対して交差するように第1金型11の内部に形成された横向き直方体状の第1空間Va1と、第1空間Va1の終端から斜め上方に延設された第2空間Va2と、第2空間Va2の終端から第1空間Va1とほぼ平行に延設された第3空間Va3と、第3空間Va3の終端から横軸心Xとほぼ平行に延設された末広がり形状の第4空間Va4とを有する。
【0053】
第1空間Va1及び第2空間Va2は、第1金型11に形成された溝状部位11dと、第2金型12の下面に形成された台形状の突起部12cとによって形成されている。第3空間Va3と第4空間Va4とは、第1金型11の上面に、上方に開放されたチャンネル状に形成されており、第1金型11の上面に重ね合わされる第2金型12の下面によって閉じられることで第1ランナRaの一部を構成する。第4空間Va4の下流側端部は第1キャビティC1に合流している。
【0054】
第2空間Va2と第3空間Va3との中間付近には、第1ゲートG1から射出される第1樹脂P1の流れから静電センサシート8の第1上流側端面8cを退避させるための第1突合せ部E1が設けられている。この第1突合せ部E1は、第2金型12の下面に形成された突起部12cの傾斜面の上端に位置し、静電センサシート8の第1上流側端面8cは、この第1突合せ部E1の基端部分と横方向で対向する状態で隣接配置される。その結果、第1樹脂P1の射出時には、静電センサシート8の第1上流側端面8cは、第1突合せ部E1によって第1樹脂P1の流れから保護された位置にあり、むしろ第1樹脂P1によって第2金型12の下面に押付けられる。その結果、静電センサシート8の第1上流側端面8cが第1樹脂P1の流れによって下方にめくられる虞がなくなる。
図9及び図10に示すように、第4空間Va4の底部は第1ランナRaの終端に向かって次第に高くなる傾斜面状になっている。
【0055】
(第2ランナRbの周辺構造)
図11(b)に示すように、第3金型13が第2位置まで上方移動している状態では、第2ゲートG2と第2キャビティC2とは第2ランナRbによって連通される。第2ランナRbは、第2ゲートG2の下端と連通した横向き直方体状の第1空間Vb1と、第1金型11の上面から立設された堰部11eと第3金型13の延長部13Eの下面との間に形成された第2空間Vb2と、堰部11eの下流側から横向きに延設された第3空間Vb3とを有する。第3空間Vb3の終端は第2キャビティC2に合流している。第1空間Vb1は、第2金型12の内部に金型セット10の横軸心Xと平行に延設されている。
【0056】
すなわち、第1金型11と第3金型13との間には、第3金型13が第1位置にある間は第2ランナRbを閉鎖し、第3金型13の第2位置への移動に基づいて第2ランナRbを開放する開閉機構18が設けられている。開閉機構18は、主に、第3金型13の一部から横向きに延設された延長部13Eと第1金型11の一部とで構成されており、第2キャビティC2に隣接配置された第1開閉部18aと、第1開閉部18aよりも第2ゲートG2に近接した第2開閉部18bとを有する。
【0057】
第1開閉部18aは、第3金型13の延長部13Eの基端側の下面から下方に突出した開閉突起13pと、第1金型11の上面の対応箇所に設けられた開閉受け部11sとからなる。図11(a)に示すように、第3金型13が下方の第1位置にあるとき、開閉突起13pの平坦な下面が静電センサシート8の補助延長部8bを開閉受け部11sとの間で挟着する形態で第2ランナRbを閉鎖する。
【0058】
第2開閉部18bは、前述した第1金型11から立設された堰部11eと、第3金型13の延長部13Eの下面の対応箇所に設けられた開閉受け部13sとからなる。図11(a)に示すように、第3金型13が下方の第1位置にあるとき、堰部11eの平坦な上面が第3金型13の延長部13Eの下面に密接する形態で第2ランナRbを閉鎖する。第1空間Vb1と第3空間Vb3は第2金型12に貫通孔状に形成されている。
【0059】
すなわち、第3金型13が下方の第1位置にある時には、第2ランナRbが第1開閉部18a及び第2開閉部18bの2箇所で同時に閉鎖されるので、射出された第1樹脂P1が第2ランナRbを逆流して第2ゲートG2を閉塞する虞がない。そして、図11(b)に示すように、第3金型13が第2位置へ上方移動されると、第1開閉部18a及び第2開閉部18bの2箇所で同時に第2ランナRbが開放され、第2樹脂P2のスムースな射出が可能となる。
【0060】
また、静電センサシート8の延長部8aはその片側から側方に延設された補助延長部8bを含む。図11(a)に示すように、静電センサシート8を第1金型11の正しい位置にセットすれば、補助延長部8bの基端部、すなわち第2樹脂P2の流れに関する第2上流側端面8dが、堰部11eの下流側の側面に隣接配置するように構成されている。その結果、堰部11eは、静電センサシート8の第2上流側端面8dを第2樹脂P2の流れから退避させるための第2突合せ部E2を構成することになる。
【0061】
さらに、補助延長部8bは堰部11eよりも更に軸心Xから離間する横方向に延びているので、第2金型12が重ね合わされると、静電センサシート8の延長部8aは第2ランナRbの左右双方の箇所において、第1金型11と第2金型12との合わせ面11p,12pの間に挟着されることになる。
このように、静電センサシート8の延長部8aは第2ランナRbの左右双方の箇所において、第1金型11と第2金型12との間に挟着され、しかも、前述したように第2上流側端面8dは堰部11eによって第2樹脂P2の流れから退避されているので、静電センサシート8の第2上流側端面8dが第2樹脂P2の流れによって上方にめくれる虞がなくなる。
【0062】
図4、図5、図7(b)などに示すように、第2金型12の内側面の下端には、そのほぼ全周に亘って、第1金型11の底面から離間するほど第3金型13の側に近接する下広がりの断面形状12rが備えられている。そのため、図8に示すように、第1キャビティC1に第1樹脂P1による第1成形体B1が得られたとき、第1成形体B1の一部は、第2金型12の内側面と係合した上窄まりの形状に成形されるので、次の金型移動工程で、第3金型13を上方の第2位置に移動させても、第1成形体B1が第3金型13に追随して上向きに移動する虞がない。したがって、第3金型13の移動に伴って、第1成形体B1の上面に一体化された静電センサシート8と第3金型13の成形面との間に第2キャビティC2が確実に得られる。
【0063】
〔別実施形態〕
〈1〉第1樹脂P1と第2樹脂P2として同一の樹脂を用いる形態でも実施可能であり、その場合は、第1キャビティC1に射出するための第1ゲートG1と第2キャビティC2に射出するための第2ゲートG2、及び、各ゲートG1,G2から樹脂を射出するための一対の押出し機構が互いに独立して駆動可能に設けられた単一の射出装置を用いることが可能である。但し、多層樹脂成形体を携帯電話機50の受話パネル部4に適用する場合は、耐衝撃強度と表面の鉛筆硬度とを兼ね備えた樹脂を適用することが好ましい。
【0064】
〈2〉必ずしも第1樹脂P1による第1成形体B1に加飾層9を設ける必要はなく、その場合は、第1金型11と第2金型12の間に転写フィルムPFを配置する工程が不要になる。
【0065】
〈3〉第1樹脂P1と第2樹脂P2との間に、回路シートとして静電センサシート8とは別の面状のインサート材、例えばアンテナシートやスピーカを設けたシートを介装した形態で実施することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
第1樹脂層と第2樹脂層との間にインサート材の層を、インサート材の一部が第1樹脂層と第2樹脂層のいずれか一方のみに一体化された露出部となるように一体成形する多層樹脂成形技術として利用できる。
【符号の説明】
【0067】
8 静電センサシート(インサート材)
8a 延長部
8c 第1上流側端面
8d 第2上流側端面
8e 露出部
8h 嵌合孔(位置決め手段)
10 金型セット
11 第1金型
11e 堰部(開閉機構)
11s 開閉受け部(開閉機構)
12 第2金型
12a 貫通孔(位置決め手段)
12r 断面形状
13 第3金型
13p 開閉突起(開閉機構)
13s 開閉受け部(開閉機構)
18 開閉機構
C1 第1キャビティ
C2 第2キャビティ
E1 第1突合せ部
E2 第2突合せ部
G1 第1ゲート
G2 第2ゲート
P1 第1樹脂
P2 第2樹脂
Ra 第1ランナ
Rb 第2ランナ
PF 転写フィルム(加飾用の転写シート)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1樹脂層と第2樹脂層とでインサート材を挟み込み、周縁部における前記インサート材の一部を前記第2樹脂層が被覆しない露出部とした多層樹脂成形品を得る金型であって、
前記露出部よりも外側に延出した前記インサート材の延長部を挟持しつつ互いに型締め可能な第1金型および第2金型と、
前記第2金型に対する摺動に応じて、前記第1金型に対して近接した第1位置と離間した第2位置とに移動可能な第3金型とを備え、
前記第3金型が前記第1位置にあるとき、前記第3金型が前記インサート材と当接して、前記第1樹脂層を形成する第1樹脂を射出可能な第1キャビティが前記インサート材と前記第1金型との間に形成され、
前記第3金型が前記第2位置にあるとき、前記第3金型が前記インサート材から離間して、前記露出部を除く領域に前記第2樹脂層を形成する第2樹脂を射出可能な第2キャビティが前記インサート材と前記第3金型との間に形成され、
前記第1樹脂を前記インサート材の前記延長部に沿って射出する扁平状の第1ランナを前記第1金型に備えると共に、
前記第2樹脂を射出する第2ランナを、前記第3金型が前記第2位置に移動した際に前記第3金型と前記第1金型との間に形成するよう構成してある多層樹脂成形用金型。
【請求項2】
前記第1ランナと前記第2ランナとが、前記多層樹脂成形品の周縁部の共通辺に設けてある請求項1に記載の多層樹脂成形用金型。
【請求項3】
前記第2金型の内側面の少なくとも一部が前記第1キャビティの一部を形成し、
当該内側面のうち少なくとも一部の領域において、前記第1金型との合せ面から離間した位置での開口幅を、前記合せ面における開口幅より小さく形成してある請求項1に記載の多層樹脂成形用金型。
【請求項4】
前記インサート材の端縁のうち前記第1樹脂の射出時に樹脂射出の最も上流に位置する上流側端縁を当接させる第1突合せ部を、前記第1金型あるいは前記第2金型に設けてある請求項1から3の何れか一項に記載の多層樹脂成形用金型。
【請求項5】
前記インサート材の端縁のうち前記第2樹脂の射出時に樹脂射出の最も上流に位置する上流側端縁を当接させる第2突合せ部を、前記第1金型あるいは前記第2金型に設けてある請求項1から4の何れか一項に記載の多層樹脂成形用金型。
【請求項6】
前記第1樹脂の射出に先立ち、加飾用の転写シートを前記第1金型の成形面に供給する転写シート供給装置を備えてある請求項1から5の何れか一項に記載の多層樹脂成形用金型。
【請求項7】
前記インサート材の端縁のうち前記第1ランナ及び前記第2ランナの側部に位置する領域を、前記第1金型と前記第2金型とで挟持可能に構成してある請求項1から6の何れか一項に記載の多層樹脂成形用金型。
【請求項8】
前記インサート材の一部と嵌合して前記インサート材を前記第1金型及び前記第2金型に位置決めする位置決め手段を設けた請求項1から7の何れか一項に記載の多層樹脂成形用金型。
【請求項9】
請求項1に記された多層樹脂成形用金型を用い、
前記第3金型を前記第2金型に対して位置決めする第1位置決め工程と、
面状のインサート材を前記第3金型の成形面に沿うように配置する配置工程と、
前記第2金型及び前記第3金型と、第1金型とを型締めする型締め工程と、
前記インサート材の延長部に沿って形成した扁平状の第1ランナを介して前記第1キャビティに第1樹脂を射出する第1射出工程と、
前記第3金型を前記第2位置に移動させる金型移動工程と、
前記第3金型と前記第1金型との間に形成された第2ランナを介して前記第2キャビティに第2樹脂を射出する第2射出工程と、
成形された多層樹脂成形品を前記多層樹脂成形用金型から取り出す脱型工程とを備える多層樹脂成形品の成形方法。
【請求項10】
前記型締め工程に先立ち、前記第1金型の成形面に加飾用の転写シートを供給する供給工程を有し、
前記型締め工程において、前記転写シートの外周部を前記第1金型と前記第2金型とで挟持し、前記第1樹脂を前記転写シートと前記インサート材との間に射出する請求項9に記載の多層樹脂成形品の成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−194738(P2011−194738A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64792(P2010−64792)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】