多層配線基板の製造方法
【課題】製造工程を簡素化することができる多層配線基板の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の多層配線基板の製造方法では、準備工程において、厚さが100μm以下であるシート状のコア絶縁材13が準備され、穴あけ工程において、コア絶縁材13に対してレーザ穴加工が施されてコア主面14及びコア裏面15にて開口するスルーホール用穴16が形成される。導体形成工程において、無電解銅めっき後に電解銅めっきを施すことにより、コア絶縁材13のスルーホール用穴16内全体が充填されてなるスルーホール導体17が形成されるとともに、コア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15の上に導体層19が形成される。
【解決手段】本発明の多層配線基板の製造方法では、準備工程において、厚さが100μm以下であるシート状のコア絶縁材13が準備され、穴あけ工程において、コア絶縁材13に対してレーザ穴加工が施されてコア主面14及びコア裏面15にて開口するスルーホール用穴16が形成される。導体形成工程において、無電解銅めっき後に電解銅めっきを施すことにより、コア絶縁材13のスルーホール用穴16内全体が充填されてなるスルーホール導体17が形成されるとともに、コア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15の上に導体層19が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の樹脂絶縁層と複数の導体層とを交互に積層して多層化した構造を有する多層配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータのマイクロプロセッサ等として使用される半導体集積回路素子(ICチップ)は、近年ますます高速化、高機能化しており、これに付随して端子数が増え、端子間ピッチも狭くなる傾向にある。一般的にICチップの底面には多数の端子が密集してアレイ状に配置されており、このような端子群はマザーボード側の端子群に対してフリップチップの形態で接続される。ただし、ICチップ側の端子群とマザーボード側の端子群とでは端子間ピッチに大きな差があることから、ICチップをマザーボード上に直接的に接続することは困難である。そのため、通常はICチップをICチップ搭載用配線基板上に搭載してなる半導体パッケージを作製し、その半導体パッケージをマザーボード上に搭載するという手法が採用される。
【0003】
この種のパッケージを構成するICチップ搭載用配線基板としては、コア基板の表面及び裏面にビルドアップ層を形成した多層配線基板が実用化されている(例えば、特許文献1参照)。この多層配線基板においては、コア基板として、例えば、補強繊維に樹脂を含浸させた樹脂基板(ガラスエポキシ基板など)が用いられている。そして、そのコア基板の剛性を利用して、コア基板の表面及び裏面に樹脂絶縁層と導体層とを交互に積層することにより、ビルドアップ層が形成されている。つまり、この多層配線基板において、コア基板は、補強の役割を果たしており、ビルドアップ層と比べて非常に厚く形成されている。具体的には、コア基板として、例えば400μm程度の厚さが確保されている。また、コア基板には、表面及び裏面に形成されたビルドアップ層間の導通を図るためのスルーホール導体が貫通形成されている。このスルーホール導体は、コア基板にドリル加工を施すことにより貫通穴を形成し、従来公知の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことでその貫通穴の側面に形成される。さらに、スルーホール導体の内部には、スクリーン印刷法により、エポキシ樹脂などの閉塞体が充填されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−153839号公報
【特許文献2】特開2007−214427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1等の多層配線基板において、コア基板の表面及び裏面に形成される導体層の配線パターンは、サブトラクティブ法にて形成される。このため、セミアディティブ法で形成する場合のように、配線パターンを微細化することができなかった。さらに、コア基板において、表面及び裏面の配線パターンと、その配線パターンに繋がるスルーホール導体とが別工程で形成されるため、製造工程数が増すといった問題があった。
【0006】
また近年では、半導体集積回路素子の高速化に伴い、使用される信号周波数が高周波帯域となってきている。このように信号周波数が高い場合に、コア基板を貫通するスルーホール導体が長くなると、スルーホール導体が大きなインダクタンスとして寄与する。この場合、高周波信号の伝送ロスや回路誤動作の発生につながり、高速化の妨げとなってしまう。この問題を解決するために、多層配線基板を、コア基板を有さない基板とすることが提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0007】
特許文献2の多層配線基板は、以下の手法によって製造されている。先ず、ガラスエポキシ樹脂からなる支持基板と、2枚の銅箔が剥離可能な状態で仮接着されてなる剥離性銅箔とを準備する。そして、支持基板上に接着樹脂層を介して剥離性銅箔を固定し、その剥離性銅箔上に複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化することにより、ビルドアップ層を得る。さらに、ビルドアップ層において、製品エリアよりも外側を切断して剥離性銅箔の剥離界面を露出させた後に、その剥離界面で剥離する。これにより、支持基板からビルドアップ層が分離され、コアを有さない薄型の多層配線基板(コアレス配線基板)が得られる。
【0008】
特許文献1のように、コアを有する多層配線基板はコア基板の両面にビルドアップ層を形成することができる。これに対して、特許文献2のようなコアレス配線基板は、支持基板の片面にビルドアップ層が積層される。従って、コアを有する多層配線基板と同じ積層数のコアレス配線基板を製造する場合には、積層工数が増えるため、配線基板を完成させるまでに時間がかかってしまう。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造工程を簡素化することができる多層配線基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、基板主面及び基板裏面を有し、複数の樹脂絶縁層と複数の導体層とを交互に積層して多層化した構造を有する多層配線基板の製造方法であって、厚さが100μm以下である絶縁材で構成されるシート状のコア絶縁材を準備する準備工程と、前記コア絶縁材に対してレーザ穴加工を施して前記絶縁材の表面及び裏面にて開口する貫通穴を形成する穴あけ工程と、無電解銅めっき後に電解銅めっきを施すことにより、前記コア絶縁材の貫通穴内全体が充填されてなる層間接続導体部を形成するとともに前記コア絶縁材の表面及び裏面の上に配置され前記層間接続導体部に繋がる前記導体層を形成する導体形成工程と、前記導体層を形成した前記コア絶縁材の表面及び裏面の両方に、前記複数の樹脂絶縁層及び前記複数の導体層を交互に積層して多層化する積層工程とを含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法がある。
【0011】
手段1に記載の発明によると、従来のコア基板は400μm以上の厚さを有するが、本発明では、厚さが100μm以下である薄いシート状のコア絶縁材が準備される。そして、従来のようにドリル加工で貫通穴をコア基板に形成するのではなく、レーザ穴加工を施してコア絶縁材の表面及び裏面にて開口する貫通穴が形成される。さらに、無電解銅めっき後に電解銅めっきを施すことにより、コア絶縁材の貫通穴内全体が充填されてなる層間接続導体部が形成されるとともにコア絶縁材の表面及び裏面の上に配置され層間接続導体部に繋がる導体層が形成される。ここで、従来のコア基板では、その表裏面の配線パターンはサブトラクティブ法にて形成されていたが、本発明ではセミアディティブ法にて形成することができる。このため、コア絶縁材の表面及び裏面に形成される導体層の配線パターンを高密度かつ微細化することができる。また、従来のコア基板では貫通穴内の層間接続導体部と表面及び裏面の配線パターンとを別工程で形成する必要があったが、本発明では、コア絶縁材の層間接続導体部と表面及び裏面の配線パターンとを同じ工程で同時に形成できるため、製造工程を簡素化することができる。
【0012】
穴あけ工程では、コア絶縁材の表面及び裏面の両側からレーザ穴加工を施すようにしてもよい。具体的には、例えば、隣接して設けられる複数の貫通穴について、一方の貫通穴をコア絶縁材の表面側からレーザ穴加工を施して形成するとともに他方の貫通穴をコア絶縁材の裏面側からレーザ穴加工を施して形成してもよい。ここで、コア絶縁材の表面側からレーザ穴加工を施して形成した貫通穴は、表面側の直径が大きく裏面の直径が小さくなる。また逆に、コア絶縁材の裏面側からレーザ穴加工を施して形成した貫通穴は、表面側の直径が小さく裏面側の直径が大きくなる。従って、コア絶縁材の表面及び裏面の両側からレーザ穴加工を施して隣接する貫通穴を形成する場合、所定の間隔を保ちつつ効率よく複数の貫通穴を形成することができる。
【0013】
また、穴あけ工程において、コア絶縁材の表面及び裏面の両側からレーザ穴加工を施して1つの貫通穴を形成してもよい。この場合、コア絶縁材の表面からその反対側の裏面に向かうに従って一旦縮径してから拡径するよう形成された括れ形状の貫通穴を形成することができる。そして、無電解銅めっき後に電解銅めっきを施すと、コア絶縁材の貫通穴内において、括れた部分に導体部が先に形成された後、その導体部が徐々に成長して、貫通穴内全体に層間接続導体部を確実に充填することができる。
【0014】
上記製造方法によって製造される多層配線基板は、基板主面及び基板裏面を有し、複数の樹脂絶縁層と複数の導体層とを交互に積層して多層化した構造を有する多層配線基板であって、厚さが100μm以下である絶縁材で構成されるシート状のコア絶縁材と、コア絶縁材において、一方の表面からその反対側の裏面に向けて拡径するよう形成されたテーパ状の貫通穴内に設けられ、コア絶縁材の表面及び裏面の上に配置された導体層に繋がる第1層間接続導体部と、コア絶縁材の表面及び裏面の両方に積層される複数の樹脂絶縁層において、内層側であるコア絶縁材側から外層側である基板主面側及び基板裏面側に向けて拡径するよう形成されたテーパ状の貫通穴内に設けられ、樹脂絶縁層の表面及び裏面の上に配置された導体層に繋がる第2層間接続導体部とを備える。
【0015】
このように構成された多層配線基板では、コア絶縁材の厚さが100μm以下であるので、第1層間接続導体部の長さが短くなる。このため、特許文献1のようなコア基板を有する多層配線基板と比べて、配線長を短くすることができ、高周波信号の伝達ロスを低減することができる。また、この多層配線基板では、複数の樹脂絶縁層における第2層間接続導体部と樹脂絶縁層の表面及び裏面の各導体層とに加え、コア絶縁材における第1層間接続導体部と表面及び裏面の各導体層とをセミアディティブ法にて形成できるため、導体層の配線パターンを高密度かつ微細化することができる。さらに、コア絶縁材の表面及び裏面の両方に複数の樹脂絶縁層と複数の導体層とを積層することができるため、多層配線基板を短時間で製造することができる。
【0016】
多層配線基板では、第1層間接続導体部及び第2層間接続導体部について、基板主面側に拡径する層間接続導体部の個数と、基板裏面側に拡径する層間接続導体部の個数とが異なるように各層間接続導体部が形成される。また、コア絶縁材は、樹脂絶縁層よりも厚いため、第1層間接続導体部の直径を第2層間接続導体部の直径よりも大きくすることが好ましい。このようにすると、コア絶縁材の表面及び裏面の導体層を第1層間接続導体部で確実に接続することができる。
【0017】
多層配線基板を構成する複数の樹脂絶縁層は、絶縁性、耐熱性、耐湿性等を考慮して適宜選択することができる。各樹脂絶縁層を形成するための高分子材料の好適例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂等が挙げられる。
【0018】
また、準備工程で準備されるコア絶縁材としては、多層配線基板を構成する複数の樹脂絶縁層と同様の材料を用いることができる。但し、コア絶縁材は、補強材としてのガラスクロス等を含んで構成された絶縁材であることがより好ましい。この場合、多層配線基板の強度が高まり、配線基板の反りを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す拡大断面図。
【図2】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図3】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図4】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図5】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図6】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図7】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図8】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図9】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図10】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図11】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図12】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図13】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図14】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図15】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施の形態の多層配線基板の概略構成を示す拡大断面図である。
【0021】
図1に示されるように、本実施の形態の多層配線基板10は、ICチップ搭載用の配線基板であり、ICチップ搭載面となる基板主面11とその反対側の基板裏面12とを有している。具体的には、多層配線基板10は、シート状のコア絶縁材13と、コア絶縁材13のコア主面14(図1では上面)上に形成される第1ビルドアップ層31と、コア絶縁材13のコア裏面15(図1では下面)上に形成される第2ビルドアップ層32とからなる。
【0022】
本実施の形態において、第1ビルドアップ層31は、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)からなる2層の樹脂絶縁層21,22と、銅からなる導体層26とを交互に積層した構造を有している。第2ビルドアップ層32も、第1ビルドアップ層31と同様に、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)からなる2層の樹脂絶縁層23,24と、銅からなる導体層26とを交互に積層した構造を有している。各ビルドアップ層31,32を構成する樹脂絶縁層21〜24の厚さは、例えば35μm程度であり、導体層26の厚さは、例えば15μm程度である。
【0023】
多層配線基板10において、第1ビルドアップ層31の基板主面11側には、接続対象がICチップである複数のICチップ接続端子41がアレイ状に配置されている。一方、第2ビルドアップ層32の基板裏面12側には、接続対象がマザーボード(母基板)であるLGA(ランドグリッドアレイ)用の複数の母基板接続端子42がアレイ状に配置されている。これら母基板接続端子42は、基板主面11側のICチップ接続端子41よりも面積の大きな接続端子である。
【0024】
第1ビルドアップ層31の基板主面11側において、最外層の樹脂絶縁層21の表面はソルダーレジスト35によってほぼ全体的に覆われており、そのソルダーレジスト35にはICチップ接続端子41を露出させる開口部36が形成されている。開口部36はICチップ接続端子41よりも小さく、ICチップ接続端子41の表面側外周部がソルダーレジスト35内に埋まっている。ICチップ接続端子41は銅層を主体として構成されている。さらに、ICチップ接続端子41は、主体をなす銅層の上面のみを銅以外のめっき層46(具体的には、ニッケル−金めっき層)で覆った構造を有している。
【0025】
第2ビルドアップ層32の基板裏面12側において、最外層の樹脂絶縁層24の表面はソルダーレジスト37によってほぼ全体的に覆われており、そのソルダーレジスト37には母基板接続端子42を露出させる開口部38が形成されている。開口部38は母基板接続端子42よりも小さく、母基板接続端子42の表面側外周部がソルダーレジスト37内に埋まっている。母基板接続端子42は銅層を主体として構成されている。さらに、母基板接続端子42は、主体をなす銅層の下面のみを銅以外のめっき層48(具体的には、ニッケル−金めっき層)で覆った構造を有している。
【0026】
多層配線基板10において、コア絶縁材13は、各ビルドアップ層31,32を構成する複数の樹脂絶縁層21〜24及び複数の導体層26の各層の中心層となる位置に設けられている。コア絶縁材13は、厚さが100μm以下(具体的には、80μm程度)であり、例えば補強材としてのガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させてなる樹脂絶縁材(ガラスエポキシ材)にて構成されている。
【0027】
コア絶縁材13における複数個所には厚さ方向に貫通するスルーホール用穴16(貫通穴)が形成されており、そのスルーホール用穴16内全体にはスルーホール導体17(第1層間接続導体)が充填されている。本実施の形態において、スルーホール用穴16及びスルーホール導体17は、コア裏面15側からコア主面14側に向けて拡径するようテーパ状に形成されている。また、コア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15には、銅からなる導体層19がパターン形成されており、各導体層19の一部は、スルーホール導体17に電気的に接続されている。
【0028】
また、第1ビルドアップ層31及び第2ビルドアップ層32を構成する各樹脂絶縁層21〜24には、それぞれビア穴33及びフィルドビア導体34(第2層間接続導体)が設けられている。第1ビルドアップ層31の各樹脂絶縁層21,22に形成されている各ビア穴33及び各ビア導体34は、内層側であるコア絶縁材13側から基板主面11側に向かうに従って拡径したテーパ状の形状を有している。一方、第2ビルドアップ層32の各樹脂絶縁層23,24に形成されている各ビア導体34は、内層側であるコア絶縁材13側から基板裏面12側に向かうに従って拡径したテーパ状の形状を有している。
【0029】
各樹脂絶縁層21〜24に形成された各ビア導体34及びコア絶縁材13に形成された各スルーホール導体17によって、各導体層19,26、ICチップ接続端子41、及び母基板接続端子42が相互に電気的に接続されている。
【0030】
なお、本実施の形態の多層配線基板10において、コア絶縁材13に形成されるスルーホール導体17の直径は、例えば100μmであり、各樹脂絶縁層21〜24に形成されるビア導体34の直径(例えば、70μmの直径)よりも大きくなっている。また、スルーホール導体17は、第1ビルドアップ層31に形成されるビア導体34と同様に基板主面11側に拡径しており、第2ビルドアップ層32に形成されるビア導体34は、スルーホール導体17とは逆に基板裏面12側に拡径している。従って、多層配線基板10では、層間接続導体部として機能するスルーホール導体17とビア導体34とについて、基板主面11側に拡径する層間接続導体部の個数は、基板裏面12側に拡径する層間接続導体部の個数よりも多くなっている。
【0031】
上記構成の多層配線基板10は例えば以下の手順で作製される。
【0032】
先ず、図2に示されるように、厚さが100μm以下であるシート状のコア絶縁材13を準備する(準備工程)。その後、例えばエキシマレーザやUVレーザやCO2レーザなどを用いて、図3に示されるように、コア絶縁材13に対してそのコア主面14側(図中では上側)からレーザ穴加工を施し、コア絶縁材13においてコア主面14及びコア裏面15(表面及び裏面)の両方にて開口するスルーホール用穴16を形成する(穴あけ工程)。
【0033】
次いで、過マンガン酸カリウム溶液などのエッチング液を用いて各スルーホール用穴16内のスミアを除去するデスミア工程を行う。なお、デスミア工程としては、エッチング液を用いた処理以外に、例えばO2プラズマによるプラズマアッシングの処理を行ってもよい。
【0034】
デスミア工程の後、導体層形成工程を行う。詳しくは、無電解銅めっきを行い、コア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15やスルーホール用穴16の内面を覆う全面めっき層(図示略)を形成する。そして、コア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15にめっきレジスト形成用のドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行う。この結果、図4に示されるように、スルーホール用穴16や導体層19の形成位置に開口部50を有する所定パターンのめっきレジスト51をコア主面14及びコア裏面15に形成する。
【0035】
その後、めっきレジスト51を形成した状態で選択的に電解銅めっきを行って、スルーホール用穴16全体にスルーホール導体17を形成するとともに、各開口部50内に導体層19を形成する。そして、めっきレジスト51をコア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15から剥離した後、エッチングを行い、全面めっき層(図示略)を除去する。この結果、図5に示されるように、コア絶縁材13にスルーホール導体17が形成されるとともに、そのスルーホール導体17に繋がる導体層19がコア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15に形成される。
【0036】
導体層形成工程の後、コア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15の両方に、複数の樹脂絶縁層21〜24及び複数の導体層26を交互に積層して多層化する積層工程を行い、第1ビルドアップ層31及び第2ビルドアップ層32を形成する。具体的には、図6に示されるように、コア絶縁材13において、コア主面14にシート状の樹脂絶縁層22を配置して樹脂絶縁層22を貼り付けるとともに、コア裏面15にもシート状の樹脂絶縁層23を配置して樹脂絶縁層23を貼り付ける。そして、図7に示されるように、レーザ穴加工を施すことによって、樹脂絶縁層22の所定の位置にビア穴33を形成するとともに、樹脂絶縁層23の所定の位置にビア穴33を形成する。次いで、過マンガン酸カリウム溶液などのエッチング液を用いて各ビア穴33内のスミアを除去するデスミア工程を行う。
【0037】
デスミア工程の後、上記導体層形成工程と同様の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことで、樹脂絶縁層22,23の各ビア穴33内にビア導体34を形成するとともに、樹脂絶縁層22,23上に導体層26をパターン形成する(図8参照)。また、他の樹脂絶縁層21,24及び導体層26についても、上述した樹脂絶縁層22,23及び導体層26と同様の手法によって形成し、樹脂絶縁層22,23上に積層していく。以上の積層工程によって、コア絶縁材13のコア主面14側に第1ビルドアップ層31が形成されるとともに、コア裏面15側に第2ビルドアップ層32が形成される(図9参照)。なお、第1ビルドアップ層31の最外層となる樹脂絶縁層21の表面には、ICチップ接続端子41が形成されるとともに、第2ビルドアップ層32の最外層となる絶縁樹脂層24の表面には、母基板接続端子42が形成される。
【0038】
次に、第1ビルドアップ層31の樹脂絶縁層21上に感光性エポキシ樹脂を塗布して硬化させることにより、ソルダーレジスト35を形成する。その後、所定のマスクを配置した状態で露光及び現像を行い、ソルダーレジスト35に開口部36をパターニングする。同様に、第2ビルドアップ層32の樹脂絶縁層24上に感光性エポキシ樹脂を塗布して硬化させることにより、ソルダーレジスト37を形成する。その後、所定のマスクを配置した状態で露光及び現像を行い、ソルダーレジスト37に開口部38をパターニングする。
【0039】
そして、開口部36から露出しているICチップ接続端子41の表面(上面)、及び開口部38から露出している母基板接続端子42の表面(下面)に対し、無電解ニッケルめっき、無電解金めっきを順次施すことにより、ニッケル−金めっき層46,48を形成する。以上の工程を経ることで図1の多層配線基板10が製造される。
【0040】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0041】
(1)本実施の形態では、厚さが100μm以下である薄いシート状のコア絶縁材13が準備され、従来のようにドリル加工で形成するのではなく、レーザ穴加工を施してコア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15にて開口するスルーホール用穴16が形成される。さらに、無電解銅めっき後に電解銅めっきを施すことにより、コア絶縁材13のスルーホール用穴16内全体が充填されてなるスルーホール導体17が形成されるとともに、スルーホール導体17に繋がる導体層19がコア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15の上に形成される。このように、本実施の形態では、コア主面14及びコア裏面15の導体層19をセミアディティブ法にて形成することができる。このため、従来技術のようにコア基板表面の配線パターンをサブトラクティブ法にて形成する場合と比較して、コア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15に形成される導体層19の配線パターンを高密度かつ微細化することができる。また、従来技術ではコア基板における貫通穴内のスルーホール導体と表面及び裏面の配線パターンとを別工程で形成する必要があった。これに対して、本実施の形態では、コア絶縁材13のスルーホール導体17と導体層19の配線パターンとを同じ工程で同時に形成できるため、製造工程を簡素化することができる。さらに、コア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15の両方に、複数の樹脂絶縁層21〜24と複数の導体層26とを積層して多層化したビルドアップ層31,32が形成されるため、多層配線基板10を短時間で製造することができる。
【0042】
(2)本実施の形態の多層配線基板10では、コア絶縁材13が100μm以下であるため、スルーホール導体17の長さが短くなる。このため、特許文献1のようなコア基板を有する多層配線基板と比べて、配線長を短くすることができ、高周波信号の伝達ロスを低減することができる。
【0043】
(3)本実施の形態の多層配線基板10では、各樹脂絶縁層21〜24に設けられている各ビア導体34は、コア絶縁材13側である内層側に向けて縮径するように形成されている。また、コア絶縁材13に形成されるスルーホール導体17の直径は100μmであり、従来技術にてドリル加工で形成された貫通穴内のスルーホール導体の直径(例えば、200μm)よりも小さくなっている。このようにすると、内層側であるコア絶縁材13側の導体層19,26の配線パターンをファインピッチで形成することが可能となる。
【0044】
(4)本実施の形態では、コア絶縁材13は補強材としてのガラスクロスを含んで構成された絶縁材であるので、多層配線基板10の強度を高めることができ、配線基板10の反りを低減することができる。
【0045】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0046】
・上記実施の形態では、穴あけ工程において、コア絶縁材13のコア主面14側からレーザ穴加工を施してスルーホール用穴16を形成していたが、これに限定されるものではなく、コア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15の両方からレーザ穴加工を施すようにしてもよい。具体的には、図10に示すように、隣接して設けられる2つのスルーホール用穴16について、一方のスルーホール用穴16(図10では左側の貫通穴)をコア主面14側からレーザ穴加工を施して形成するとともに、他方のスルーホール用穴16(図10では右側の貫通穴)をコア裏面15側からレーザ穴加工を施して形成する。この場合、コア主面14側からレーザ穴加工を施したスルーホール用穴16は、コア主面14側の直径が大きくコア裏面15側の直径が小さくなり、コア主面14側に向かうに従って拡径したテーパ状の貫通穴となる。また逆に、コア裏面15側からレーザ穴加工を施したスルーホール用穴16は、コア主面14側の直径が小さくコア裏面15側の直径が大きくなり、コア裏面15側に向かうに従って拡径したテーパ状の貫通穴となる。従って、コア絶縁材13の両面からレーザ穴加工を施して隣接するスルーホール用穴16を形成する場合、所定の間隔を保ちつつ効率よく複数のスルーホール用穴16を形成することができる。また、導体形成工程では、図11に示されるように、各スルーホール用穴16内にスルーホール導体17が形成されるとともに、そのスルーホール導体17に繋がる導体層19が形成される。このようにすると、スルーホール導体17の形成間隔を狭めることができるため、それらに繋がる導体層19のパターン間隔も狭めることができる。
【0047】
また、穴あけ工程について、図12に示すように、コア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15の両側からレーザ穴加工を施して1つのスルーホール用穴16を形成してもよい。この場合、コア絶縁材13のコア主面14からその反対側のコア裏面15に向かうに従って一旦縮径してから拡径するよう形成された括れ形状のスルーホール用穴16aを形成することができる。そして、導体層形成工程において、コア絶縁材13に無電解銅めっき及び電解銅めっきを施すと、そのスルーホール用穴16a内において、括れた部分に導体部が先に形成される。その後、その導体部が徐々に成長して、穴内全体にスルーホール導体17aを確実に充填することができる(図13参照)。
【0048】
・上記実施の形態では、穴あけ工程において、スルーホール用穴16を形成していたが、そのスルーホール用穴16以外の加工も行ってもよい。具体的には、穴あけ工程において、スルーホール用穴16の加工時よりも弱い出力となるよう出力を調整した状態でレーザ照射を行い、コア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15において導体層19の配線パターンを形成する位置に凹部60を形成する(図14参照)。そして、上記と同様に無電解めっき及び電解めっきを施すことで、導体層19の配線パターンの一部(下端部)が凹部60内に埋まり込むような形で導体層19を形成する(図15参照)。このようにすれば、導体層19において配線パターンの厚さを十分に確保することができるため、電気的特性を向上させることが可能となる。
【0049】
・上記実施の形態の多層配線基板10は、第1ビルドアップ層31と第2ビルドアップ層32との層数が同一層数であり、コア絶縁材13が中心層となるよう構成されていたが、これに限定されるものではない。第1ビルドアップ層31と第2ビルドアップ層32との層数を異ならせることで、コア絶縁材13を中心層からずれた位置に配置させてもよい。
【0050】
・上記実施の形態の多層配線基板10において、コア絶縁材13がガラスクロスを含んだ樹脂絶縁材を用いて形成され、複数の樹脂絶縁層21〜24はガラスクロスを含まない樹脂絶縁材を用いて形成されていたが、これに限定されるもではない。具体的には、コア絶縁材13と同様にガラスクロスを含んだ樹脂絶縁材を用いて複数の樹脂絶縁層21〜24を形成してもよいし、複数の樹脂絶縁層21〜24と同様にガラスクロスを含まない樹脂絶縁材を用いてコア絶縁材13を形成してもよい。
【0051】
次に、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0052】
(1)手段1において、前記準備工程で準備される前記コア絶縁材は、補強材としてのガラスクロスを含んで構成された絶縁材であることを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【0053】
(2)基板主面及び基板裏面を有し、複数の樹脂絶縁層と複数の導体層とを交互に積層して多層化した構造を有する多層配線基板であって、厚さが100μm以下である絶縁材で構成されるシート状のコア絶縁材と、前記コア絶縁材において、一方の表面からその反対側の裏面に向けて拡径するよう形成されたテーパ状の貫通穴内に設けられ、前記コア絶縁材の表面及び裏面の上に配置された前記導体層に繋がる第1層間接続導体部と、前記コア絶縁材の表面及び裏面の両方に積層される前記複数の樹脂絶縁層において、内層側である前記コア絶縁材側から外層側である前記基板主面側及び前記基板裏面側に向けて拡径するよう形成されたテーパ状の貫通穴内に設けられ、前記樹脂絶縁層の表面及び裏面の上に配置された前記導体層に繋がる第2層間接続導体部とを備え、前記第1層間接続導体部及び前記第2層間接続導体部について、前記基板主面側に拡径する層間接続導体部の個数と、前記基板裏面側に拡径する層間接続導体部の個数とが異なるように各層間接続導体部が形成されていることたことを特徴とする多層配線基板。
【0054】
(3)技術的思想(2)において、前記第1層間接続導体部の直径は、前記第2層間接続導体部の直径よりも大きいことを特徴とする多層配線基板。
【0055】
(4)基板主面及び基板裏面を有し、複数の樹脂絶縁層と複数の導体層とを交互に積層して多層化した構造を有する多層配線基板であって、厚さが100μm以下である絶縁材で構成されるシート状のコア絶縁材と、前記コア絶縁材において、一方の表面からその反対側の裏面に向かうに従って一旦縮径してから拡径するよう形成された括れ形状の貫通穴内に設けられ、前記コア絶縁材の表面及び裏面の上に配置された前記導体層に繋がる層間接続導体部とを備えたことを特徴とする多層配線基板。
【符号の説明】
【0056】
10…多層配線基板
11…基板主面
12…基板裏面
13…コア絶縁材
14…表面としてのコア主面
15…裏面としてのコア裏面
16,16a…貫通穴としてのスルーホール用穴
17,17a…層間接続導体部としてのスルーホール導体
19…導体層
21〜24…樹脂絶縁層
26…導体層
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の樹脂絶縁層と複数の導体層とを交互に積層して多層化した構造を有する多層配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータのマイクロプロセッサ等として使用される半導体集積回路素子(ICチップ)は、近年ますます高速化、高機能化しており、これに付随して端子数が増え、端子間ピッチも狭くなる傾向にある。一般的にICチップの底面には多数の端子が密集してアレイ状に配置されており、このような端子群はマザーボード側の端子群に対してフリップチップの形態で接続される。ただし、ICチップ側の端子群とマザーボード側の端子群とでは端子間ピッチに大きな差があることから、ICチップをマザーボード上に直接的に接続することは困難である。そのため、通常はICチップをICチップ搭載用配線基板上に搭載してなる半導体パッケージを作製し、その半導体パッケージをマザーボード上に搭載するという手法が採用される。
【0003】
この種のパッケージを構成するICチップ搭載用配線基板としては、コア基板の表面及び裏面にビルドアップ層を形成した多層配線基板が実用化されている(例えば、特許文献1参照)。この多層配線基板においては、コア基板として、例えば、補強繊維に樹脂を含浸させた樹脂基板(ガラスエポキシ基板など)が用いられている。そして、そのコア基板の剛性を利用して、コア基板の表面及び裏面に樹脂絶縁層と導体層とを交互に積層することにより、ビルドアップ層が形成されている。つまり、この多層配線基板において、コア基板は、補強の役割を果たしており、ビルドアップ層と比べて非常に厚く形成されている。具体的には、コア基板として、例えば400μm程度の厚さが確保されている。また、コア基板には、表面及び裏面に形成されたビルドアップ層間の導通を図るためのスルーホール導体が貫通形成されている。このスルーホール導体は、コア基板にドリル加工を施すことにより貫通穴を形成し、従来公知の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことでその貫通穴の側面に形成される。さらに、スルーホール導体の内部には、スクリーン印刷法により、エポキシ樹脂などの閉塞体が充填されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−153839号公報
【特許文献2】特開2007−214427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1等の多層配線基板において、コア基板の表面及び裏面に形成される導体層の配線パターンは、サブトラクティブ法にて形成される。このため、セミアディティブ法で形成する場合のように、配線パターンを微細化することができなかった。さらに、コア基板において、表面及び裏面の配線パターンと、その配線パターンに繋がるスルーホール導体とが別工程で形成されるため、製造工程数が増すといった問題があった。
【0006】
また近年では、半導体集積回路素子の高速化に伴い、使用される信号周波数が高周波帯域となってきている。このように信号周波数が高い場合に、コア基板を貫通するスルーホール導体が長くなると、スルーホール導体が大きなインダクタンスとして寄与する。この場合、高周波信号の伝送ロスや回路誤動作の発生につながり、高速化の妨げとなってしまう。この問題を解決するために、多層配線基板を、コア基板を有さない基板とすることが提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0007】
特許文献2の多層配線基板は、以下の手法によって製造されている。先ず、ガラスエポキシ樹脂からなる支持基板と、2枚の銅箔が剥離可能な状態で仮接着されてなる剥離性銅箔とを準備する。そして、支持基板上に接着樹脂層を介して剥離性銅箔を固定し、その剥離性銅箔上に複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化することにより、ビルドアップ層を得る。さらに、ビルドアップ層において、製品エリアよりも外側を切断して剥離性銅箔の剥離界面を露出させた後に、その剥離界面で剥離する。これにより、支持基板からビルドアップ層が分離され、コアを有さない薄型の多層配線基板(コアレス配線基板)が得られる。
【0008】
特許文献1のように、コアを有する多層配線基板はコア基板の両面にビルドアップ層を形成することができる。これに対して、特許文献2のようなコアレス配線基板は、支持基板の片面にビルドアップ層が積層される。従って、コアを有する多層配線基板と同じ積層数のコアレス配線基板を製造する場合には、積層工数が増えるため、配線基板を完成させるまでに時間がかかってしまう。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造工程を簡素化することができる多層配線基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、基板主面及び基板裏面を有し、複数の樹脂絶縁層と複数の導体層とを交互に積層して多層化した構造を有する多層配線基板の製造方法であって、厚さが100μm以下である絶縁材で構成されるシート状のコア絶縁材を準備する準備工程と、前記コア絶縁材に対してレーザ穴加工を施して前記絶縁材の表面及び裏面にて開口する貫通穴を形成する穴あけ工程と、無電解銅めっき後に電解銅めっきを施すことにより、前記コア絶縁材の貫通穴内全体が充填されてなる層間接続導体部を形成するとともに前記コア絶縁材の表面及び裏面の上に配置され前記層間接続導体部に繋がる前記導体層を形成する導体形成工程と、前記導体層を形成した前記コア絶縁材の表面及び裏面の両方に、前記複数の樹脂絶縁層及び前記複数の導体層を交互に積層して多層化する積層工程とを含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法がある。
【0011】
手段1に記載の発明によると、従来のコア基板は400μm以上の厚さを有するが、本発明では、厚さが100μm以下である薄いシート状のコア絶縁材が準備される。そして、従来のようにドリル加工で貫通穴をコア基板に形成するのではなく、レーザ穴加工を施してコア絶縁材の表面及び裏面にて開口する貫通穴が形成される。さらに、無電解銅めっき後に電解銅めっきを施すことにより、コア絶縁材の貫通穴内全体が充填されてなる層間接続導体部が形成されるとともにコア絶縁材の表面及び裏面の上に配置され層間接続導体部に繋がる導体層が形成される。ここで、従来のコア基板では、その表裏面の配線パターンはサブトラクティブ法にて形成されていたが、本発明ではセミアディティブ法にて形成することができる。このため、コア絶縁材の表面及び裏面に形成される導体層の配線パターンを高密度かつ微細化することができる。また、従来のコア基板では貫通穴内の層間接続導体部と表面及び裏面の配線パターンとを別工程で形成する必要があったが、本発明では、コア絶縁材の層間接続導体部と表面及び裏面の配線パターンとを同じ工程で同時に形成できるため、製造工程を簡素化することができる。
【0012】
穴あけ工程では、コア絶縁材の表面及び裏面の両側からレーザ穴加工を施すようにしてもよい。具体的には、例えば、隣接して設けられる複数の貫通穴について、一方の貫通穴をコア絶縁材の表面側からレーザ穴加工を施して形成するとともに他方の貫通穴をコア絶縁材の裏面側からレーザ穴加工を施して形成してもよい。ここで、コア絶縁材の表面側からレーザ穴加工を施して形成した貫通穴は、表面側の直径が大きく裏面の直径が小さくなる。また逆に、コア絶縁材の裏面側からレーザ穴加工を施して形成した貫通穴は、表面側の直径が小さく裏面側の直径が大きくなる。従って、コア絶縁材の表面及び裏面の両側からレーザ穴加工を施して隣接する貫通穴を形成する場合、所定の間隔を保ちつつ効率よく複数の貫通穴を形成することができる。
【0013】
また、穴あけ工程において、コア絶縁材の表面及び裏面の両側からレーザ穴加工を施して1つの貫通穴を形成してもよい。この場合、コア絶縁材の表面からその反対側の裏面に向かうに従って一旦縮径してから拡径するよう形成された括れ形状の貫通穴を形成することができる。そして、無電解銅めっき後に電解銅めっきを施すと、コア絶縁材の貫通穴内において、括れた部分に導体部が先に形成された後、その導体部が徐々に成長して、貫通穴内全体に層間接続導体部を確実に充填することができる。
【0014】
上記製造方法によって製造される多層配線基板は、基板主面及び基板裏面を有し、複数の樹脂絶縁層と複数の導体層とを交互に積層して多層化した構造を有する多層配線基板であって、厚さが100μm以下である絶縁材で構成されるシート状のコア絶縁材と、コア絶縁材において、一方の表面からその反対側の裏面に向けて拡径するよう形成されたテーパ状の貫通穴内に設けられ、コア絶縁材の表面及び裏面の上に配置された導体層に繋がる第1層間接続導体部と、コア絶縁材の表面及び裏面の両方に積層される複数の樹脂絶縁層において、内層側であるコア絶縁材側から外層側である基板主面側及び基板裏面側に向けて拡径するよう形成されたテーパ状の貫通穴内に設けられ、樹脂絶縁層の表面及び裏面の上に配置された導体層に繋がる第2層間接続導体部とを備える。
【0015】
このように構成された多層配線基板では、コア絶縁材の厚さが100μm以下であるので、第1層間接続導体部の長さが短くなる。このため、特許文献1のようなコア基板を有する多層配線基板と比べて、配線長を短くすることができ、高周波信号の伝達ロスを低減することができる。また、この多層配線基板では、複数の樹脂絶縁層における第2層間接続導体部と樹脂絶縁層の表面及び裏面の各導体層とに加え、コア絶縁材における第1層間接続導体部と表面及び裏面の各導体層とをセミアディティブ法にて形成できるため、導体層の配線パターンを高密度かつ微細化することができる。さらに、コア絶縁材の表面及び裏面の両方に複数の樹脂絶縁層と複数の導体層とを積層することができるため、多層配線基板を短時間で製造することができる。
【0016】
多層配線基板では、第1層間接続導体部及び第2層間接続導体部について、基板主面側に拡径する層間接続導体部の個数と、基板裏面側に拡径する層間接続導体部の個数とが異なるように各層間接続導体部が形成される。また、コア絶縁材は、樹脂絶縁層よりも厚いため、第1層間接続導体部の直径を第2層間接続導体部の直径よりも大きくすることが好ましい。このようにすると、コア絶縁材の表面及び裏面の導体層を第1層間接続導体部で確実に接続することができる。
【0017】
多層配線基板を構成する複数の樹脂絶縁層は、絶縁性、耐熱性、耐湿性等を考慮して適宜選択することができる。各樹脂絶縁層を形成するための高分子材料の好適例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂等が挙げられる。
【0018】
また、準備工程で準備されるコア絶縁材としては、多層配線基板を構成する複数の樹脂絶縁層と同様の材料を用いることができる。但し、コア絶縁材は、補強材としてのガラスクロス等を含んで構成された絶縁材であることがより好ましい。この場合、多層配線基板の強度が高まり、配線基板の反りを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す拡大断面図。
【図2】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図3】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図4】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図5】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図6】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図7】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図8】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図9】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図10】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図11】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図12】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図13】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図14】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図15】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施の形態の多層配線基板の概略構成を示す拡大断面図である。
【0021】
図1に示されるように、本実施の形態の多層配線基板10は、ICチップ搭載用の配線基板であり、ICチップ搭載面となる基板主面11とその反対側の基板裏面12とを有している。具体的には、多層配線基板10は、シート状のコア絶縁材13と、コア絶縁材13のコア主面14(図1では上面)上に形成される第1ビルドアップ層31と、コア絶縁材13のコア裏面15(図1では下面)上に形成される第2ビルドアップ層32とからなる。
【0022】
本実施の形態において、第1ビルドアップ層31は、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)からなる2層の樹脂絶縁層21,22と、銅からなる導体層26とを交互に積層した構造を有している。第2ビルドアップ層32も、第1ビルドアップ層31と同様に、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)からなる2層の樹脂絶縁層23,24と、銅からなる導体層26とを交互に積層した構造を有している。各ビルドアップ層31,32を構成する樹脂絶縁層21〜24の厚さは、例えば35μm程度であり、導体層26の厚さは、例えば15μm程度である。
【0023】
多層配線基板10において、第1ビルドアップ層31の基板主面11側には、接続対象がICチップである複数のICチップ接続端子41がアレイ状に配置されている。一方、第2ビルドアップ層32の基板裏面12側には、接続対象がマザーボード(母基板)であるLGA(ランドグリッドアレイ)用の複数の母基板接続端子42がアレイ状に配置されている。これら母基板接続端子42は、基板主面11側のICチップ接続端子41よりも面積の大きな接続端子である。
【0024】
第1ビルドアップ層31の基板主面11側において、最外層の樹脂絶縁層21の表面はソルダーレジスト35によってほぼ全体的に覆われており、そのソルダーレジスト35にはICチップ接続端子41を露出させる開口部36が形成されている。開口部36はICチップ接続端子41よりも小さく、ICチップ接続端子41の表面側外周部がソルダーレジスト35内に埋まっている。ICチップ接続端子41は銅層を主体として構成されている。さらに、ICチップ接続端子41は、主体をなす銅層の上面のみを銅以外のめっき層46(具体的には、ニッケル−金めっき層)で覆った構造を有している。
【0025】
第2ビルドアップ層32の基板裏面12側において、最外層の樹脂絶縁層24の表面はソルダーレジスト37によってほぼ全体的に覆われており、そのソルダーレジスト37には母基板接続端子42を露出させる開口部38が形成されている。開口部38は母基板接続端子42よりも小さく、母基板接続端子42の表面側外周部がソルダーレジスト37内に埋まっている。母基板接続端子42は銅層を主体として構成されている。さらに、母基板接続端子42は、主体をなす銅層の下面のみを銅以外のめっき層48(具体的には、ニッケル−金めっき層)で覆った構造を有している。
【0026】
多層配線基板10において、コア絶縁材13は、各ビルドアップ層31,32を構成する複数の樹脂絶縁層21〜24及び複数の導体層26の各層の中心層となる位置に設けられている。コア絶縁材13は、厚さが100μm以下(具体的には、80μm程度)であり、例えば補強材としてのガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させてなる樹脂絶縁材(ガラスエポキシ材)にて構成されている。
【0027】
コア絶縁材13における複数個所には厚さ方向に貫通するスルーホール用穴16(貫通穴)が形成されており、そのスルーホール用穴16内全体にはスルーホール導体17(第1層間接続導体)が充填されている。本実施の形態において、スルーホール用穴16及びスルーホール導体17は、コア裏面15側からコア主面14側に向けて拡径するようテーパ状に形成されている。また、コア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15には、銅からなる導体層19がパターン形成されており、各導体層19の一部は、スルーホール導体17に電気的に接続されている。
【0028】
また、第1ビルドアップ層31及び第2ビルドアップ層32を構成する各樹脂絶縁層21〜24には、それぞれビア穴33及びフィルドビア導体34(第2層間接続導体)が設けられている。第1ビルドアップ層31の各樹脂絶縁層21,22に形成されている各ビア穴33及び各ビア導体34は、内層側であるコア絶縁材13側から基板主面11側に向かうに従って拡径したテーパ状の形状を有している。一方、第2ビルドアップ層32の各樹脂絶縁層23,24に形成されている各ビア導体34は、内層側であるコア絶縁材13側から基板裏面12側に向かうに従って拡径したテーパ状の形状を有している。
【0029】
各樹脂絶縁層21〜24に形成された各ビア導体34及びコア絶縁材13に形成された各スルーホール導体17によって、各導体層19,26、ICチップ接続端子41、及び母基板接続端子42が相互に電気的に接続されている。
【0030】
なお、本実施の形態の多層配線基板10において、コア絶縁材13に形成されるスルーホール導体17の直径は、例えば100μmであり、各樹脂絶縁層21〜24に形成されるビア導体34の直径(例えば、70μmの直径)よりも大きくなっている。また、スルーホール導体17は、第1ビルドアップ層31に形成されるビア導体34と同様に基板主面11側に拡径しており、第2ビルドアップ層32に形成されるビア導体34は、スルーホール導体17とは逆に基板裏面12側に拡径している。従って、多層配線基板10では、層間接続導体部として機能するスルーホール導体17とビア導体34とについて、基板主面11側に拡径する層間接続導体部の個数は、基板裏面12側に拡径する層間接続導体部の個数よりも多くなっている。
【0031】
上記構成の多層配線基板10は例えば以下の手順で作製される。
【0032】
先ず、図2に示されるように、厚さが100μm以下であるシート状のコア絶縁材13を準備する(準備工程)。その後、例えばエキシマレーザやUVレーザやCO2レーザなどを用いて、図3に示されるように、コア絶縁材13に対してそのコア主面14側(図中では上側)からレーザ穴加工を施し、コア絶縁材13においてコア主面14及びコア裏面15(表面及び裏面)の両方にて開口するスルーホール用穴16を形成する(穴あけ工程)。
【0033】
次いで、過マンガン酸カリウム溶液などのエッチング液を用いて各スルーホール用穴16内のスミアを除去するデスミア工程を行う。なお、デスミア工程としては、エッチング液を用いた処理以外に、例えばO2プラズマによるプラズマアッシングの処理を行ってもよい。
【0034】
デスミア工程の後、導体層形成工程を行う。詳しくは、無電解銅めっきを行い、コア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15やスルーホール用穴16の内面を覆う全面めっき層(図示略)を形成する。そして、コア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15にめっきレジスト形成用のドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行う。この結果、図4に示されるように、スルーホール用穴16や導体層19の形成位置に開口部50を有する所定パターンのめっきレジスト51をコア主面14及びコア裏面15に形成する。
【0035】
その後、めっきレジスト51を形成した状態で選択的に電解銅めっきを行って、スルーホール用穴16全体にスルーホール導体17を形成するとともに、各開口部50内に導体層19を形成する。そして、めっきレジスト51をコア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15から剥離した後、エッチングを行い、全面めっき層(図示略)を除去する。この結果、図5に示されるように、コア絶縁材13にスルーホール導体17が形成されるとともに、そのスルーホール導体17に繋がる導体層19がコア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15に形成される。
【0036】
導体層形成工程の後、コア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15の両方に、複数の樹脂絶縁層21〜24及び複数の導体層26を交互に積層して多層化する積層工程を行い、第1ビルドアップ層31及び第2ビルドアップ層32を形成する。具体的には、図6に示されるように、コア絶縁材13において、コア主面14にシート状の樹脂絶縁層22を配置して樹脂絶縁層22を貼り付けるとともに、コア裏面15にもシート状の樹脂絶縁層23を配置して樹脂絶縁層23を貼り付ける。そして、図7に示されるように、レーザ穴加工を施すことによって、樹脂絶縁層22の所定の位置にビア穴33を形成するとともに、樹脂絶縁層23の所定の位置にビア穴33を形成する。次いで、過マンガン酸カリウム溶液などのエッチング液を用いて各ビア穴33内のスミアを除去するデスミア工程を行う。
【0037】
デスミア工程の後、上記導体層形成工程と同様の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことで、樹脂絶縁層22,23の各ビア穴33内にビア導体34を形成するとともに、樹脂絶縁層22,23上に導体層26をパターン形成する(図8参照)。また、他の樹脂絶縁層21,24及び導体層26についても、上述した樹脂絶縁層22,23及び導体層26と同様の手法によって形成し、樹脂絶縁層22,23上に積層していく。以上の積層工程によって、コア絶縁材13のコア主面14側に第1ビルドアップ層31が形成されるとともに、コア裏面15側に第2ビルドアップ層32が形成される(図9参照)。なお、第1ビルドアップ層31の最外層となる樹脂絶縁層21の表面には、ICチップ接続端子41が形成されるとともに、第2ビルドアップ層32の最外層となる絶縁樹脂層24の表面には、母基板接続端子42が形成される。
【0038】
次に、第1ビルドアップ層31の樹脂絶縁層21上に感光性エポキシ樹脂を塗布して硬化させることにより、ソルダーレジスト35を形成する。その後、所定のマスクを配置した状態で露光及び現像を行い、ソルダーレジスト35に開口部36をパターニングする。同様に、第2ビルドアップ層32の樹脂絶縁層24上に感光性エポキシ樹脂を塗布して硬化させることにより、ソルダーレジスト37を形成する。その後、所定のマスクを配置した状態で露光及び現像を行い、ソルダーレジスト37に開口部38をパターニングする。
【0039】
そして、開口部36から露出しているICチップ接続端子41の表面(上面)、及び開口部38から露出している母基板接続端子42の表面(下面)に対し、無電解ニッケルめっき、無電解金めっきを順次施すことにより、ニッケル−金めっき層46,48を形成する。以上の工程を経ることで図1の多層配線基板10が製造される。
【0040】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0041】
(1)本実施の形態では、厚さが100μm以下である薄いシート状のコア絶縁材13が準備され、従来のようにドリル加工で形成するのではなく、レーザ穴加工を施してコア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15にて開口するスルーホール用穴16が形成される。さらに、無電解銅めっき後に電解銅めっきを施すことにより、コア絶縁材13のスルーホール用穴16内全体が充填されてなるスルーホール導体17が形成されるとともに、スルーホール導体17に繋がる導体層19がコア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15の上に形成される。このように、本実施の形態では、コア主面14及びコア裏面15の導体層19をセミアディティブ法にて形成することができる。このため、従来技術のようにコア基板表面の配線パターンをサブトラクティブ法にて形成する場合と比較して、コア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15に形成される導体層19の配線パターンを高密度かつ微細化することができる。また、従来技術ではコア基板における貫通穴内のスルーホール導体と表面及び裏面の配線パターンとを別工程で形成する必要があった。これに対して、本実施の形態では、コア絶縁材13のスルーホール導体17と導体層19の配線パターンとを同じ工程で同時に形成できるため、製造工程を簡素化することができる。さらに、コア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15の両方に、複数の樹脂絶縁層21〜24と複数の導体層26とを積層して多層化したビルドアップ層31,32が形成されるため、多層配線基板10を短時間で製造することができる。
【0042】
(2)本実施の形態の多層配線基板10では、コア絶縁材13が100μm以下であるため、スルーホール導体17の長さが短くなる。このため、特許文献1のようなコア基板を有する多層配線基板と比べて、配線長を短くすることができ、高周波信号の伝達ロスを低減することができる。
【0043】
(3)本実施の形態の多層配線基板10では、各樹脂絶縁層21〜24に設けられている各ビア導体34は、コア絶縁材13側である内層側に向けて縮径するように形成されている。また、コア絶縁材13に形成されるスルーホール導体17の直径は100μmであり、従来技術にてドリル加工で形成された貫通穴内のスルーホール導体の直径(例えば、200μm)よりも小さくなっている。このようにすると、内層側であるコア絶縁材13側の導体層19,26の配線パターンをファインピッチで形成することが可能となる。
【0044】
(4)本実施の形態では、コア絶縁材13は補強材としてのガラスクロスを含んで構成された絶縁材であるので、多層配線基板10の強度を高めることができ、配線基板10の反りを低減することができる。
【0045】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0046】
・上記実施の形態では、穴あけ工程において、コア絶縁材13のコア主面14側からレーザ穴加工を施してスルーホール用穴16を形成していたが、これに限定されるものではなく、コア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15の両方からレーザ穴加工を施すようにしてもよい。具体的には、図10に示すように、隣接して設けられる2つのスルーホール用穴16について、一方のスルーホール用穴16(図10では左側の貫通穴)をコア主面14側からレーザ穴加工を施して形成するとともに、他方のスルーホール用穴16(図10では右側の貫通穴)をコア裏面15側からレーザ穴加工を施して形成する。この場合、コア主面14側からレーザ穴加工を施したスルーホール用穴16は、コア主面14側の直径が大きくコア裏面15側の直径が小さくなり、コア主面14側に向かうに従って拡径したテーパ状の貫通穴となる。また逆に、コア裏面15側からレーザ穴加工を施したスルーホール用穴16は、コア主面14側の直径が小さくコア裏面15側の直径が大きくなり、コア裏面15側に向かうに従って拡径したテーパ状の貫通穴となる。従って、コア絶縁材13の両面からレーザ穴加工を施して隣接するスルーホール用穴16を形成する場合、所定の間隔を保ちつつ効率よく複数のスルーホール用穴16を形成することができる。また、導体形成工程では、図11に示されるように、各スルーホール用穴16内にスルーホール導体17が形成されるとともに、そのスルーホール導体17に繋がる導体層19が形成される。このようにすると、スルーホール導体17の形成間隔を狭めることができるため、それらに繋がる導体層19のパターン間隔も狭めることができる。
【0047】
また、穴あけ工程について、図12に示すように、コア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15の両側からレーザ穴加工を施して1つのスルーホール用穴16を形成してもよい。この場合、コア絶縁材13のコア主面14からその反対側のコア裏面15に向かうに従って一旦縮径してから拡径するよう形成された括れ形状のスルーホール用穴16aを形成することができる。そして、導体層形成工程において、コア絶縁材13に無電解銅めっき及び電解銅めっきを施すと、そのスルーホール用穴16a内において、括れた部分に導体部が先に形成される。その後、その導体部が徐々に成長して、穴内全体にスルーホール導体17aを確実に充填することができる(図13参照)。
【0048】
・上記実施の形態では、穴あけ工程において、スルーホール用穴16を形成していたが、そのスルーホール用穴16以外の加工も行ってもよい。具体的には、穴あけ工程において、スルーホール用穴16の加工時よりも弱い出力となるよう出力を調整した状態でレーザ照射を行い、コア絶縁材13のコア主面14及びコア裏面15において導体層19の配線パターンを形成する位置に凹部60を形成する(図14参照)。そして、上記と同様に無電解めっき及び電解めっきを施すことで、導体層19の配線パターンの一部(下端部)が凹部60内に埋まり込むような形で導体層19を形成する(図15参照)。このようにすれば、導体層19において配線パターンの厚さを十分に確保することができるため、電気的特性を向上させることが可能となる。
【0049】
・上記実施の形態の多層配線基板10は、第1ビルドアップ層31と第2ビルドアップ層32との層数が同一層数であり、コア絶縁材13が中心層となるよう構成されていたが、これに限定されるものではない。第1ビルドアップ層31と第2ビルドアップ層32との層数を異ならせることで、コア絶縁材13を中心層からずれた位置に配置させてもよい。
【0050】
・上記実施の形態の多層配線基板10において、コア絶縁材13がガラスクロスを含んだ樹脂絶縁材を用いて形成され、複数の樹脂絶縁層21〜24はガラスクロスを含まない樹脂絶縁材を用いて形成されていたが、これに限定されるもではない。具体的には、コア絶縁材13と同様にガラスクロスを含んだ樹脂絶縁材を用いて複数の樹脂絶縁層21〜24を形成してもよいし、複数の樹脂絶縁層21〜24と同様にガラスクロスを含まない樹脂絶縁材を用いてコア絶縁材13を形成してもよい。
【0051】
次に、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0052】
(1)手段1において、前記準備工程で準備される前記コア絶縁材は、補強材としてのガラスクロスを含んで構成された絶縁材であることを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【0053】
(2)基板主面及び基板裏面を有し、複数の樹脂絶縁層と複数の導体層とを交互に積層して多層化した構造を有する多層配線基板であって、厚さが100μm以下である絶縁材で構成されるシート状のコア絶縁材と、前記コア絶縁材において、一方の表面からその反対側の裏面に向けて拡径するよう形成されたテーパ状の貫通穴内に設けられ、前記コア絶縁材の表面及び裏面の上に配置された前記導体層に繋がる第1層間接続導体部と、前記コア絶縁材の表面及び裏面の両方に積層される前記複数の樹脂絶縁層において、内層側である前記コア絶縁材側から外層側である前記基板主面側及び前記基板裏面側に向けて拡径するよう形成されたテーパ状の貫通穴内に設けられ、前記樹脂絶縁層の表面及び裏面の上に配置された前記導体層に繋がる第2層間接続導体部とを備え、前記第1層間接続導体部及び前記第2層間接続導体部について、前記基板主面側に拡径する層間接続導体部の個数と、前記基板裏面側に拡径する層間接続導体部の個数とが異なるように各層間接続導体部が形成されていることたことを特徴とする多層配線基板。
【0054】
(3)技術的思想(2)において、前記第1層間接続導体部の直径は、前記第2層間接続導体部の直径よりも大きいことを特徴とする多層配線基板。
【0055】
(4)基板主面及び基板裏面を有し、複数の樹脂絶縁層と複数の導体層とを交互に積層して多層化した構造を有する多層配線基板であって、厚さが100μm以下である絶縁材で構成されるシート状のコア絶縁材と、前記コア絶縁材において、一方の表面からその反対側の裏面に向かうに従って一旦縮径してから拡径するよう形成された括れ形状の貫通穴内に設けられ、前記コア絶縁材の表面及び裏面の上に配置された前記導体層に繋がる層間接続導体部とを備えたことを特徴とする多層配線基板。
【符号の説明】
【0056】
10…多層配線基板
11…基板主面
12…基板裏面
13…コア絶縁材
14…表面としてのコア主面
15…裏面としてのコア裏面
16,16a…貫通穴としてのスルーホール用穴
17,17a…層間接続導体部としてのスルーホール導体
19…導体層
21〜24…樹脂絶縁層
26…導体層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板主面及び基板裏面を有し、複数の樹脂絶縁層と複数の導体層とを交互に積層して多層化した構造を有する多層配線基板の製造方法であって、
厚さが100μm以下である絶縁材で構成されるシート状のコア絶縁材を準備する準備工程と、
前記コア絶縁材に対してレーザ穴加工を施して前記絶縁材の表面及び裏面にて開口する貫通穴を形成する穴あけ工程と、
無電解銅めっき後に電解銅めっきを施すことにより、前記コア絶縁材の貫通穴内全体が充填されてなる層間接続導体部を形成するとともに前記コア絶縁材の表面及び裏面の上に配置され前記層間接続導体部に繋がる前記導体層を形成する導体形成工程と、
前記導体層を形成した前記コア絶縁材の表面及び裏面の両方に、前記複数の樹脂絶縁層及び前記複数の導体層を交互に積層して多層化する積層工程と
を含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記穴あけ工程では、前記コア絶縁材の表面及び裏面の両側からレーザ穴加工を施すようにしたことを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記穴あけ工程では、隣接して設けられる複数の貫通穴について、一方の貫通穴を前記コア絶縁材の表面側からレーザ穴加工を施して形成するとともに他方の貫通穴を前記コア絶縁材の裏面側からレーザ穴加工を施して形成するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記穴あけ工程では、前記コア絶縁材の表面及び裏面の両側からレーザ穴加工を施して1つの前記貫通穴を形成するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項1】
基板主面及び基板裏面を有し、複数の樹脂絶縁層と複数の導体層とを交互に積層して多層化した構造を有する多層配線基板の製造方法であって、
厚さが100μm以下である絶縁材で構成されるシート状のコア絶縁材を準備する準備工程と、
前記コア絶縁材に対してレーザ穴加工を施して前記絶縁材の表面及び裏面にて開口する貫通穴を形成する穴あけ工程と、
無電解銅めっき後に電解銅めっきを施すことにより、前記コア絶縁材の貫通穴内全体が充填されてなる層間接続導体部を形成するとともに前記コア絶縁材の表面及び裏面の上に配置され前記層間接続導体部に繋がる前記導体層を形成する導体形成工程と、
前記導体層を形成した前記コア絶縁材の表面及び裏面の両方に、前記複数の樹脂絶縁層及び前記複数の導体層を交互に積層して多層化する積層工程と
を含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記穴あけ工程では、前記コア絶縁材の表面及び裏面の両側からレーザ穴加工を施すようにしたことを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記穴あけ工程では、隣接して設けられる複数の貫通穴について、一方の貫通穴を前記コア絶縁材の表面側からレーザ穴加工を施して形成するとともに他方の貫通穴を前記コア絶縁材の裏面側からレーザ穴加工を施して形成するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記穴あけ工程では、前記コア絶縁材の表面及び裏面の両側からレーザ穴加工を施して1つの前記貫通穴を形成するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の多層配線基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−94662(P2012−94662A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240206(P2010−240206)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
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