説明

多層配線基板用難燃性樹脂組成物及びこれを含む多層配線基板

【課題】優れた難燃性、耐吸収性及び剥離強度を示す多層配線基板用難燃性樹脂組成物及びこれを含む多層配線基板を提供する。
【解決手段】多層配線基板用難燃性樹脂組成物は、ナフタレン変形エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂及びリン系エポキシ樹脂を含む複合エポキシ樹脂と、下記化学式で表される難燃剤とを含む。さらに軟化点が軟化点が100から140℃で、水酸基当量が100から150のエポキシ硬化用硬化剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多層配線基板用難燃性樹脂組成物及びこれを含む多層配線基板に関し、より詳細には優れた難燃性、耐吸収性及び剥離強度を示す多層配線基板用難燃性樹脂組成物及びこれを含む多層配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に印刷回路基板(Printed Circuit Board;PCB)または多層配線基板とは、集積回路、抵抗器またはスイッチなどの電気部品が実装される薄い板のことで、各種電子機器、電子通信機器、携帯電話、ノート型パンコンなど、用途に応じて多様な形態に製造され、製造方式も多様化されている。
【0003】
最近では、電子製品の小型化、薄板化、高密度化、パッケージ(package)化される傾向により印刷回路基板(Printed Circuit Board)も微細パターン(fine pattern)化、小型化及びパッケージ化が進んでいる。印刷回路基板の微細パターンの形成、信頼性及び設計密度を高めるために、原資材を変えるとともに、回路の層構成を複合化する構造に変化しつつある。
【0004】
印刷回路基板はプリプレグ(Prepreg:PPG)、銅箔積層板(Copper Clad Laminate:CCL)、または銅箔コーティングされた樹脂絶縁板(Resin Coated Copper Foil:RCC)などを利用して回路配線として残っていなければならない銅箔を除いた部分をエッチングする方法で製造された。
【0005】
しかし、最近では、印刷回路基板の微細パターン化、小型化のために絶縁フィルムをビルドアップ(build−up)した後、セミアディティブ工程(Semi Additive Process:SAP)などを利用して微細回路を形成する方法により製造されている。このような工法で印刷回路基板を製造するためには、従来用いられている絶縁材料とは差別化された絶縁材料が求められる。即ち、銅箔積層板または銅箔コーティングされた樹脂絶縁板と同等以上の落下信頼性を確保するために、剥離強度に優れ、且つメッキ層との密着力に非常に優れた絶縁材料が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、優れた難燃性、耐吸収性及び剥離強度を示す多層配線基板用難燃性樹脂組成物及びこれを含む多層配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、ナフタレン変形エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂及びリン系エポキシ樹脂を含む複合エポキシ樹脂と、下記化学式で表される難燃剤とを含む多層配線基板用難燃性樹脂組成物を提供する。
【0008】
【化1】

【0009】
上記ナフタレン変形エポキシ樹脂は平均エポキシ当量が100から600で、上記クレゾールノボラックエポキシ樹脂は平均エポキシ当量が300から600で、上記ゴム変性型エポキシ樹脂は平均エポキシ当量が100から500で、上記リン系エポキシ樹脂は平均エポキシ当量が400から800であることができる。
【0010】
上記ナフタレン変形エポキシ樹脂100重量部に対し、上記クレゾールノボラックエポキシ樹脂の含量は1から100重量部で、上記ゴム変性型エポキシ樹脂の含量は1から100重量部で、上記リン系エポキシ樹脂の含量は1から100重量部であることができる。
【0011】
上記難燃剤は、上記複合エポキシ樹脂100重量部に対し、0.1から3重量部であることができる。
【0012】
上記多層配線基板用難燃性樹脂組成物は軟化点が100から140℃で、水酸基当量が100から150のエポキシ硬化用硬化剤をさらに含むことができる。
【0013】
上記エポキシ硬化用硬化剤は、上記複合エポキシ樹脂のエポキシ基と上記エポキシ硬化用硬化剤の水酸基の比率が1:0.2から1:1で含まれることができる。
【0014】
上記多層配線基板用難燃性樹脂組成物は、上記複合エポキシ樹脂100重量部に対し、硬化促進剤0.1から1重量部をさらに含むことができる。
【0015】
上記多層配線基板用難燃性樹脂組成物は、上記複合エポキシ樹脂100重量部に対し、10から40重量部の無機充填剤をさらに含むことができる。
【0016】
本発明の他の実施形態は、第1回路パターンが形成されたコア基板と、上記コア基板の上面及び下面の少なくとも一面に形成され、ナフタレン変形エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂及びリン系エポキシ樹脂を含む複合エポキシ樹脂及び下記化学式で表される難燃剤を含む難燃性樹脂組成物を含む絶縁層とを含む多層配線基板を提供する。
【0017】
【化2】

【0018】
上記コア基板は、ナフタレン変形エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂及びリン系エポキシ樹脂を含む複合エポキシ樹脂と、下記化学式で表される難燃剤とを含む難燃性樹脂組成物を含むことができる。
【0019】
【化3】

【0020】
上記ナフタレン変形エポキシ樹脂は平均エポキシ当量が100から600で、上記クレゾールノボラックエポキシ樹脂は平均エポキシ当量が300から600で、上記ゴム変性型エポキシ樹脂は平均エポキシ当量が100から500で、上記リン系エポキシ樹脂は平均エポキシ当量が400から800であることができる。
【0021】
上記ナフタレン変形エポキシ樹脂100重量部に対し、上記クレゾールノボラックエポキシ樹脂の含量は1から100重量部で、上記ゴム変性型エポキシ樹脂の含量は1から100重量部で、上記リン系エポキシ樹脂の含量は1から100重量部であることができる。
【0022】
上記難燃剤は、上記複合エポキシ樹脂100重量部に対し、0.1から3重量部であることができる。
【0023】
上記難燃性樹脂組成物は軟化点が100から140℃で、水酸基当量が100から150のエポキシ硬化用硬化剤をさらに含むことができる。
【0024】
上記エポキシ硬化用硬化剤は、上記複合エポキシ樹脂のエポキシ基と上記エポキシ硬化用硬化剤の水酸基の比率が1:0.2から1:1で含まれることができる。
【0025】
上記難燃性樹脂組成物は、上記複合エポキシ樹脂100重量部に対し、硬化促進剤0.1から1重量部をさらに含むことができる。
【0026】
上記難燃性樹脂組成物は、上記複合エポキシ樹脂100重量部に対し、10から40重量部の無機充填剤をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一実施形態による多層配線基板用難燃性樹脂組成物を含む絶縁層は、優れた難燃性及び耐吸収性を有することができるため、優れた信頼性を示すことができる。
【0028】
また、圧着工程なしにビルドアップ工程のみで優れた剥離強度を示すことができ、デスミア及びメッキ工程後にも優れた剥離強度を具現することができる。これにより、多層配線基板のビルドアップ工法に適用される層間絶縁層として用いることができる。
【0029】
本発明の一実施形態による難燃性樹脂組成物を含む多層配線基板は、優れた難燃性、耐吸収性及び剥離強度を示し、熱的安全性及び機械的強度に優れた特徴を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態による多層配線基板を概略的に示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態による多層配線基板用難燃性樹脂組成物を含む絶縁層を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態を説明する。但し、本発明の実施形態は様々な形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。従って、図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張されることがあり、図面上に同じ符号で示す要素は同じ要素である。
【0032】
図1は本発明の一実施形態による多層配線基板を概略的に示す断面図である。図1を参照すると、本実施形態による多層配線基板は第1回路パターン21が形成されたコア基板11と、上記コア基板の上面及び下面に形成された絶縁層12を含む。上記絶縁層上には上記第1回路パターンと電気的に連結された第2回路パターン22が形成されることができる。また、図示しなかったが、上記絶縁層12はコア基板の上面及び下面のいずれか一面のみに形成されることができる。
【0033】
上記絶縁層12は、本発明の一実施形態による多層配線基板用難燃性樹脂組成物を含むことができる。本発明の一実施形態による難燃性樹脂組成物を含む多層配線基板は優れた難燃性、耐吸収性及び剥離強度を示し、熱的安全性及び機械的強度に優れた特徴を有することができる。
【0034】
以下では、本発明の一実施形態による多層配線基板用難燃性組成物の成分について具体的に説明する。
【0035】
本発明の一実施形態による多層配線基板用難燃性組成物は、I)ナフタレン変形エポキシ樹脂、II)クレゾールノボラックエポキシ樹脂、III)ゴム変性型エポキシ樹脂、及びIV)リン系エポキシ樹脂を含む複合エポキシ樹脂及び下記化学式で表される難燃剤を含む。
【0036】
【化4】

【0037】
上記I)ナフタレン変形エポキシ樹脂は平均エポキシ当量が100から600であることができる。上記ナフタレン変形エポキシ樹脂の平均エポキシ当量が100未満では、所望する物性を得ることが困難で、600を超えると、溶媒に溶けにくく、融点が高くなるため、制御することが困難になることがある。
【0038】
エポキシ樹脂は硬化すると、蜂の巣のような網状構造を形成するが、網状構造の単位は、その大きさが水分子より遥かに大きいため、水が侵入しやすい。また、水と結合できる−OH基及び−NH基が存在し、水分が浸透しやすい構造を有する。エポキシ硬化物内に水分が浸透すると、多層配線基板に層間剥離(delamination)やクラックが発生することがある。
【0039】
一般的に用いられるエポキシ樹脂はビスフェノールA型エポキシ樹脂を含むが、このビスフェノールA型エポキシ樹脂は吸湿率が高い。これにより、多層配線基板の層間剥離やクラックが発生することがある。
【0040】
しかし、本実施形態による複合エポキシ樹脂は、化学構造上、吸湿率の低いナフタレン変形エポキシ樹脂を使用してエポキシ硬化物の吸湿程度を低めることができる。
【0041】
上記II)クレゾールノボラックエポキシ樹脂はノボラック形態のエポキシ樹脂で、これを含むと、耐熱性の高いエポキシ硬化物を得ることができるため、多層配線基板の熱的安全性を向上させることができる。
【0042】
上記クレゾールノボラックエポキシ樹脂の平均エポキシ当量は、300から600であることができる。
【0043】
上記クレゾールノボラックエポキシ樹脂の平均エポキシ当量が300未満では、所望する物性が表れない恐れがあり、600を超えると、溶媒に溶けにくく、融点が高くなるため、制御することが困難である。
【0044】
上記クレゾールノボラックエポキシ樹脂の含量は、上記ナフタレン変形エポキシ樹脂100重量部に対し、1から100重量部であることができる。
【0045】
上記クレゾールノボラックエポキシ樹脂の含量が1重量部未満では、耐熱性が低下したり、電気的または機械的性質が低下する恐れがあり、上記含量が100重量部を超えると、電気的または機械的性質が低下する恐れがある。
【0046】
上記クレゾールノボラックエポキシ樹脂は2−メトキシエタノール、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミドなどの混合溶媒に溶解させて使用することができるが、特に、これに限定されない。
【0047】
上記III)ゴム変性型エポキシ樹脂は、平均エポキシ当量が100から500であることができる。
【0048】
上記ゴム変性型エポキシ樹脂の平均エポキシ当量が100未満では、所望する物性が表れない恐れがあり、500を超えると、溶媒に溶けにくく、融点が高くなるため、制御することが困難である。
【0049】
上記ゴム変性型エポキシ樹脂の含量は、上記ナフタレン変形エポキシ樹脂100重量部に対し、1から100重量部であることができる。
【0050】
上記ゴム変性型エポキシ樹脂の含量が1重量部未満であるか、または100重量部を超えると、電気的または機械的性質が低下する恐れがある。
【0051】
上記IV)リン系エポキシ樹脂は、難燃性及び自己消化性に優れた特徴があり、これを含むと、多層配線基板の難燃性を向上させることができる。
【0052】
上記リン系エポキシ樹脂は平均エポキシ当量が400から800であることができる。
【0053】
上記リン系エポキシ樹脂の平均エポキシ当量が400未満では、所望する物性を表すことが困難で、800を超えると、溶媒に溶けにくく、融点が高くなるため、制御することが困難である。
【0054】
上記リン系エポキシ樹脂の含量は上記ナフタレン変形エポキシ樹脂100重量部に対し、1から100重量部であることができる。
【0055】
上記リン系エポキシ樹脂の含量が1重量部未満では、難燃性が低下する恐れがあり、100重量部を超えると、電気的または機械的性質が低下したり、耐吸収性が低下する恐れがある。
【0056】
本発明の一実施形態による多層配線基板用難燃性樹脂組成物は下記化学式で表される難燃剤を含む。下記化学式で表される難燃剤はジフェニルクレシルフォスフェイト(diphenylcresyl phosphate)と命名することができる。
【0057】
【化5】

【0058】
上記難燃剤は有機物で、優れた難燃性を示し、複合エポキシ樹脂に容易に分散されることができる。上記難燃剤は複合エポキシ樹脂内に単量体の形態で分散されると予想される。
【0059】
上記難燃剤は、複合エポキシ樹脂100重量部に対し、0.1から3重量部の含量で含まれることができる。上記難燃剤は少量の含量でも優れた難燃性を示し、上記複合エポキシ樹脂の物性を低下させないことができる。
【0060】
上記難燃剤の含量が0.1重量部未満では、難燃性が低下する恐れがあり、上記含量が3重量部を超えると、電気的または機械的物性が低下する恐れがある。
【0061】
また、本発明の一実施形態による多層配線基板用難燃性樹脂組成物は、エポキシ硬化用硬化剤を含むことができる。エポキシ硬化用硬化剤を含むことで、複合エポキシ樹脂の硬化性能及び絶縁層の接着強度を向上させることができる。
【0062】
上記エポキシ硬化用硬化剤は、通常用いられるものであれば、特に制限されない。
【0063】
上記エポキシ硬化用硬化剤は軟化点(softening point)が100から140℃で、水酸基当量(hydroxyl equivalent)が100から150のものを使用することができる。
【0064】
上記エポキシ硬化用硬化剤は、これに制限されず、例えば、ビスフェノールAノボラック型硬化剤を使用することができる。
【0065】
水酸基当量が100から150のビスフェノールAノボラック型硬化剤は分子量が大きく、これにより、軟化点が高くなることがある。
【0066】
ビスフェノールAノボラック型硬化剤は2つの水酸基の間にビスフェノール構造が一定繰り返し単位存在するものであって、水酸基当量が大きくなると、エポキシの鎖と鎖を連結する硬化剤の分子量が大きくなり最終硬化物の構造の緻密さが低下する恐れがある。
【0067】
上記エポキシ硬化用硬化剤は、上記複合エポキシ樹脂のエポキシ基と上記エポキシ硬化用硬化剤の水酸基の比率が1:0.2から1:1で含まれることができる。上記比率内で目的とする物性の発現が容易で、反応性に優れた特性を示すことができる。
【0068】
また、本発明の一実施形態による多層配線基板用難燃性樹脂組成物は、硬化促進剤をさらに含むことができる。
【0069】
上記硬化促進剤にはイミダゾール系化合物を使用することができる。これに制限されず、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(−2−シアノエチル)−2−アルキルイミダゾールまたは2−フェニルイミダゾールがあり、これらを1つ以上混合して使用することができる。
【0070】
上記硬化促進剤の含量は、上記複合エポキシ樹脂100重量部に対し、0.1から1重量部であることができる。
【0071】
上記硬化促進剤の含量が0.1重量部未満では、硬化速度が遅くなったり、未硬化が生じる恐れがあり、1重量部を超えると、硬化速度が早くなって再現性のある硬化度を得ることが困難である。
【0072】
また、本発明の一実施形態による多層配線基板用難燃性樹脂組成物は、無機充填剤をさらに含むことができる。無機充填剤を含むことで、エポキシ樹脂からなる硬化物の機械的強度を補強することができる。
【0073】
上記無機充填剤は特に制限されず、例えば、グラファイト、カーボンブラック、CaCO、またはクレーなどを使用することができ、これらを1つ以上混合して使用することもできる。また、上記無機充填剤はシランカップリング剤で表面処理されたものを使用することができる。また、異なるサイズであったり、不規則な外形を有する無機充填剤を使用することができる。上記無機充填剤の平均粒径は2から5μmであることができる。
【0074】
無機充填剤はデスミア工程において、硬化物が抜け出て3−次元構造を具現することができる。これによりメッキ層がメッキされながら機械的アンカリングを形成し、高い剥離強度を示すことができる。上記無機充填剤が不規則な外形を有する場合、より高い剥離強度を示すことができる。
【0075】
上記無機充填剤の含量は、上記複合エポキシ樹脂100重量部に対し、10から40重量部であることができる。上記無機充填剤の含量が10重量部未満では、機械的強度を向上させることが困難で、40重量部を超えると、剥離強度が低下する恐れがある。
【0076】
上述のように、本発明の一実施形態による多層配線基板用難燃性樹脂組成物は、多層配線基板を製造するためのビルドアップ絶縁材料として用いられることができる。図2は本発明の一実施形態による多層配線基板用難燃性樹脂組成物を含む絶縁層を概略的に示す断面図である。
【0077】
図2に示したように、本発明の一実施形態による多層配線基板用難燃性樹脂組成物は基材フィルムP上にキャスティングなどの方法により一定厚さを有する絶縁層12として形成され、ビルドアップ工程に適用されることができる。上記絶縁層12をコア基板上に積層し、後にビアホールの形成及びメッキ工程により回路パターンを形成して図1に示したような多層配線基板を製造することができる。
【0078】
上述のように、本発明の一実施形態による多層配線基板用難燃性樹脂組成物を含む絶縁層は、優れた難燃性及び耐吸収性を有することができるため、優れた信頼性を示すことができる。
【0079】
また、圧着工程なしにビルドアップ工程のみで優れた剥離強度を示すことができ、デスミア及びメッキ工程の後にも優れた剥離強度を具現することができる。これにより、多層配線基板のビルドアップ工法に適用される層間絶縁層として用いられることができる。
【0080】
上記コア基板11は、一般的に用いられるプリプレグ(Prepreg:PPG)、銅箔積層板(Copper Clad Laminate:CCL)、または銅箔コーティングされた樹脂絶縁板(Resin Coated Copper Foil:RCC)であることができる。
【0081】
また、上記コア基板11は、上記絶縁層12のように本発明の一実施形態による多層配線基板用難燃性樹脂組成物で形成されることができる。
【0082】
以下では、実施例及び比較例を通じて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに制限されない。
【実施例】
【0083】
ナフタレン変形エポキシ樹脂600g、クレゾールノボラックエポキシ樹脂700g、ゴム変性型エポキシ樹脂200g、リン系難燃性エポキシ樹脂500g、及び66.7wt%(溶媒2−メトキシエタノール)のBPA(Bisphenol−A)ノボラック硬化剤をMEK(Methyl Ethyl Ketone)230gと2−メトキシエタノール400gの混合溶媒に入れ、常温で、300rpmで撹拌した。次に、2.5から3μmの大きさ分布を有する不規則な模様の無機充填剤を561.42g添加し、400rpmで、3時間撹拌した。最後に、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.5phrと、難燃剤としてジフェニルクレシルフォスフェイト(DPK)を添加した後、30分間撹拌して難燃性樹脂組成物を製造した。製造された難燃性樹脂組成物をPETフィルムにフィルムキャスティングし、ロール(roll)形態の製品に製造した。製造された製品を405mm*510mmの大きさで切って通常の基板製造工程により多層配線基板を製造し、難燃特性を測定して下記表1に示した。
【比較例】
【0084】
上記実施例と同様の方法で製造するが、難燃剤を含まない、もしくは難燃剤としてMg(OH)を含む難燃性樹脂組成物を製造した。上記組成物を利用して多層配線基板を製造し、難燃特性を測定して下記表1に示した。
【0085】
【表1】

【0086】
上記表1を参照すると、実施例による多層配線基板は、比較例と比べて、同じ後硬化条件で、残炎時間がそれぞれ10秒以下で、合計が50秒以下であった。これにより、国際公認認証UL94のV−0特性を示した。これに対し、比較例による多層配線基板は国際公認認証UL94のV−1特性を示した。
【0087】
また、上記難燃特性のテストだけでなく、吸湿率、層間剥離の有無、抵抗特性の実験でも、実施例による多層配線基板が比較例より優れた特性を示すことが確認できた。
【0088】
本発明は上述した実施形態及び添付の図面により限定されず、添付の請求範囲により限定される。従って、請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で当技術分野の通常の知識を有する者により多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0089】
11 コア基板
12 絶縁層
21 第1回路パターン
22 第2回路パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナフタレン変形エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂及びリン系エポキシ樹脂を含む複合エポキシ樹脂と、
下記化学式で表される難燃剤と、
を含む多層配線基板用難燃性樹脂組成物。
【化1】

【請求項2】
前記ナフタレン変形エポキシ樹脂は平均エポキシ当量が100から600で、前記クレゾールノボラックエポキシ樹脂は平均エポキシ当量が300から600で、前記ゴム変性型エポキシ樹脂は平均エポキシ当量が100から500で、前記リン系エポキシ樹脂は平均エポキシ当量が400から800である、請求項1に記載の多層配線基板用難燃性樹脂組成物。
【請求項3】
前記ナフタレン変形エポキシ樹脂100重量部に対し、前記クレゾールノボラックエポキシ樹脂の含量は1から100重量部で、前記ゴム変性型エポキシ樹脂の含量は1から100重量部で、前記リン系エポキシ樹脂の含量は1から100重量部である、請求項1に記載の多層配線基板用難燃性樹脂組成物。
【請求項4】
前記難燃剤は前記複合エポキシ樹脂100重量部に対し、0.1から3重量部である、請求項1に記載の多層配線基板用難燃性樹脂組成物。
【請求項5】
軟化点が100から140℃で、水酸基当量が100から150のエポキシ硬化用硬化剤をさらに含む請求項1に記載の多層配線基板用難燃性樹脂組成物。
【請求項6】
前記エポキシ硬化用硬化剤は、前記複合エポキシ樹脂のエポキシ基と前記エポキシ硬化用硬化剤の水酸基の比率が1:0.2から1:1で含まれる、請求項5に記載の多層配線基板用難燃性樹脂組成物。
【請求項7】
前記複合エポキシ樹脂100重量部に対し、硬化促進剤0.1から1重量部をさらに含む、請求項1に記載の多層配線基板用難燃性樹脂組成物。
【請求項8】
前記複合エポキシ樹脂100重量部に対し、10から40重量部の無機充填剤をさらに含む、請求項1に記載の多層配線基板用難燃性樹脂組成物。
【請求項9】
第1回路パターンが形成されたコア基板と、
前記コア基板の上面及び下面の少なくとも一面に形成され、ナフタレン変形エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂及びリン系エポキシ樹脂を含む複合エポキシ樹脂及び下記化学式で表される難燃剤を含む難燃性樹脂組成物を含む絶縁層と、
を含む多層配線基板。
【化2】

【請求項10】
前記コア基板はナフタレン変形エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂及びリン系エポキシ樹脂を含む複合エポキシ樹脂及び下記化学式で表される難燃剤を含む難燃性樹脂組成物を含む、請求項9に記載の多層配線基板。
【化3】

【請求項11】
前記ナフタレン変形エポキシ樹脂は平均エポキシ当量が100から600で、前記クレゾールノボラックエポキシ樹脂は平均エポキシ当量が300から600で、前記ゴム変性型エポキシ樹脂は平均エポキシ当量が100から500で、前記リン系エポキシ樹脂は平均エポキシ当量が400から800である、請求項9に記載の多層配線基板。
【請求項12】
前記ナフタレン変形エポキシ樹脂100重量部に対し、前記クレゾールノボラックエポキシ樹脂の含量は1から100重量部で、前記ゴム変性型エポキシ樹脂の含量は1から100重量部で、前記リン系エポキシ樹脂の含量は1から100重量部である、請求項9に記載の多層配線基板。
【請求項13】
前記難燃剤は前記複合エポキシ樹脂100重量部に対し、0.1から3重量部である、請求項9に記載の多層配線基板。
【請求項14】
前記難燃性樹脂組成物は軟化点が100から140℃で、水酸基当量が100から150のエポキシ硬化用硬化剤をさらに含む、請求項9に記載の多層配線基板。
【請求項15】
前記エポキシ硬化用硬化剤は、前記複合エポキシ樹脂のエポキシ基と前記エポキシ硬化用硬化剤の水酸基の比率が1:0.2から1:1で含まれる、請求項14に記載の多層配線基板。
【請求項16】
前記複合エポキシ樹脂100重量部に対し、硬化促進剤0.1から1重量部をさらに含む、請求項9に記載の多層配線基板。
【請求項17】
前記複合エポキシ樹脂100重量部に対し、10から40重量部の無機充填剤をさらに含む、請求項9に記載の多層配線基板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−102315(P2012−102315A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138192(P2011−138192)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】