多層配線基板
【課題】樹脂絶縁層におけるクラックの発生を防止して信頼性の高い多層配線基板を提供すること。
【解決手段】多層配線基板10は、同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層21〜24及び複数の導体層26を交互に積層して多層化した配線積層部30を有する。配線積層部30の下面32側において、最外層の樹脂絶縁層21には複数の開口部37が形成される。母基板接続端子45を構成する下段金属導体部45aは、樹脂絶縁層21に形成された開口部37内に位置する。母基板接続端子45を構成する上段金属導体部45bは、開口部37の開口縁を覆う状態で下段金属導体部45a及び樹脂絶縁層21の上に形成されている。
【解決手段】多層配線基板10は、同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層21〜24及び複数の導体層26を交互に積層して多層化した配線積層部30を有する。配線積層部30の下面32側において、最外層の樹脂絶縁層21には複数の開口部37が形成される。母基板接続端子45を構成する下段金属導体部45aは、樹脂絶縁層21に形成された開口部37内に位置する。母基板接続端子45を構成する上段金属導体部45bは、開口部37の開口縁を覆う状態で下段金属導体部45a及び樹脂絶縁層21の上に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同じ樹脂絶縁材料を主体とした複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有する一方でいわゆるコア基板を有しない多層配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータのマイクロプロセッサ等として使用される半導体集積回路素子(ICチップ)は、近年ますます高速化、高機能化しており、これに付随して端子数が増え、端子間ピッチも狭くなる傾向にある。一般的にICチップの底面には多数の端子が密集してアレイ状に配置されており、このような端子群はマザーボード側の端子群に対してフリップチップの形態で接続される。ただし、ICチップ側の端子群とマザーボード側の端子群とでは端子間ピッチに大きな差があることから、ICチップをマザーボード上に直接的に接続することは困難である。そのため、通常はICチップをICチップ搭載用配線基板上に搭載してなる半導体パッケージを作製し、その半導体パッケージをマザーボード上に搭載するという手法が採用される。
【0003】
この種のパッケージを構成するICチップ搭載用配線基板としては、コア基板の表面及び裏面にビルドアップ層を形成した多層配線基板が実用化されている。この多層配線基板においては、コア基板として、例えば、補強繊維に樹脂を含浸させた樹脂基板(ガラスエポキシ基板など)が用いられている。そして、そのコア基板の剛性を利用して、コア基板の表面及び裏面に樹脂絶縁層と導体層とを交互に積層することにより、ビルドアップ層が形成されている。つまり、この多層配線基板において、コア基板は、補強の役割を果たしており、ビルドアップ層と比べて非常に厚く形成されている。また、コア基板には、表面及び裏面に形成されたビルドアップ層間の導通を図るための配線(具体的には、スルーホール導体など)が貫通形成されている。
【0004】
ところで近年では、半導体集積回路素子の高速化に伴い、使用される信号周波数が高周波帯域となってきている。この場合、コア基板を貫通する配線が大きなインダクタンスとして寄与し、高周波信号の伝送ロスや回路誤動作の発生につながり、高速化の妨げとなってしまう。この問題を解決するために、多層配線基板を、コア基板を有さない基板とすることが提案されている(例えば特許文献1参照)。この多層配線基板は、比較的に厚いコア基板を省略することにより全体の配線長を短くしたものであるため、高周波信号の伝送ロスが低減され、半導体集積回路素子を高速で動作させることが可能となる。
【0005】
特許文献1に開示されている製造方法では、仮基板の片面に金属箔を配置し、その金属箔の上に複数の導体層及び複数の樹脂絶縁層を交互に積層してなるビルドアップ層を形成する。その後、仮基板から金属箔を分離して、金属箔上にビルドアップ層が形成された構造体を得る。そして、金属箔をエッチングにより除去して、ビルドアップ層の最外層の表面(樹脂絶縁層の表面や複数の接続端子の表面)を露出させることで多層配線基板を製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−158174号公報(図7など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1において、比較的面積が大きな接続端子(例えば、マザーボードに接続される母基板接続端子)の表面が最外層の樹脂絶縁層と面一となるよう形成された多層配線基板が開示されている。この多層配線基板では、母基板接続端子と樹脂絶縁層との境界部分に応力が加わる場合がある。このため、図19に示されるように、母基板接続端子101と樹脂絶縁層102との境界部分を起点として樹脂絶縁層102側にクラック103が発生するといった問題が生じてしまう。
【0008】
また、特許文献1には、ビルドアップ層の最外層にソルダーレジストを形成した多層配線基板が開示されている。多層配線基板において、母基板接続端子の表面側外周部をソルダーレジストで被覆することにより、母基板接続端子と樹脂絶縁層との境界部分に加わる応力が緩和される。ところが、多層配線基板において、最外層にソルダーレジストを形成する場合、そのソルダーレジストと内層の各樹脂絶縁層とは熱膨張係数が異なるため、それらの熱膨張係数差に応じて基板の反りが発生してしまう。この場合には、その反りを抑えるための構成(例えば、補強板など)が別途必要になり、結果として多層配線基板の製造コストが高くなってしまう。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、樹脂絶縁層におけるクラックの発生を防止して信頼性の高い多層配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側に向うに従って拡径したビア導体により接続されている多層配線基板であって、前記積層構造体の前記第2主面側において露出状態にある最外層の樹脂絶縁層には複数の開口部が形成され、前記複数の第2主面側接続端子は、前記開口部内に位置する下段金属導体部と、前記開口部の開口縁を覆う状態で前記下段金属導体部及び前記最外層の樹脂絶縁層の上に形成された上段金属導体部とからなる2段構造を有することを特徴とする多層配線基板がある。
【0011】
従って、上記手段に記載の発明によると、同じ樹脂絶縁材料を主体とした複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層が交互に積層され、コア基板を含まないコアレス配線基板として多層配線基板が形成されている。この多層配線基板において、積層構造体の第2主面側に設けられる複数の第2主面側接続端子は、下段金属導体部と上段金属導体部とからなる2段構造を有している。そして、第2主面側接続端子を構成する下段金属導体部は、露出状態にある最外層の樹脂絶縁層に形成された開口部内に位置し、第2主面側接続端子を構成する上段金属導体部は、開口部の開口縁を覆う状態で下段金属導体部及び最外層の樹脂絶縁層の上に形成されている。このようにすると、下段金属導体部と樹脂絶縁層との境界部分が上段金属導体部で塞がれた形状となるので、その境界部分に加わる応力が緩和される。このため、樹脂絶縁層にクラックが発生するリスクが減り、従来に比べて多層配線基板の信頼性が向上する。
【0012】
上段金属導体部は下段金属導体部よりも面積が大きいことが好ましい。このようにすると、第2主面側接続端子を構成する導体部が大きくなるので、接続端子の強度や放熱性を高めることができる。
【0013】
上段金属導体部は下段金属導体部よりも面積が大きく、下段金属導体部はそれに接続するビア導体の端面よりも面積が大きいことが好ましい。このようにすると、多層配線基板の内側に配置されるビア導体から段階的に導体部の断面積が大きくなるので、樹脂絶縁層と導体部との間に作用する応力を効果的に分散させることができる。このため、クラックの発生を確実に防止することができ、多層配線基板の信頼性をより高めることができる。
【0014】
積層構造体の第2主面側において露出状態にある最外層の樹脂絶縁層の外側主面から最も近い導体層までに相当する厚さは、積層構造体における他の樹脂絶縁層の厚さよりも大きいことが好ましい。このようにすると、最外層の樹脂絶縁層に形成された開口部内に下段金属導体部が位置するように第2主面側接続端子を確実に形成することが可能となり、応力が緩和され図19に記載のクラックが抑制できる。
【0015】
2段構造を有する複数の第2主面側接続端子は、端子外面が凹形状であることが好ましく、端子外面の最深部が下段金属導体部に至っていることがより好ましい。このように第2主面側接続端子を形成すると、端子外面に対するはんだの接触面積が増すため、はんだ接続の強度を高めることができる。
【0016】
2段構造を有する複数の第2主面側接続端子は、接続対象が母基板であり第1主面側接続端子よりも面積の大きい複数の母基板接続端子であってもよい。この場合、比較的面積が大きい母基板接続端子を母基板に確実に接続することができる。
また、第2主面側接続端子は、母基板が接続される主面側に設けられてもよいし、その主面の反対側、例えばICチップが搭載される主面側に設けられてもよい。
【0017】
複数の樹脂絶縁層に形成されたビア導体は、いずれも第2主面側から第1主面側に向うに従って拡径した形状を有していてもよい。また逆に、複数の樹脂絶縁層に形成された前記ビア導体は、いずれも第1主面側から第2主面側に向うに従って拡径した形状を有していてもよい。このようにすると、コア基板を有さないコアレス配線基板を比較的容易に製造することができる。
【0018】
上段金属導体部は、主体をなす銅層の上面及び側面を銅以外のめっき層で覆った構造を有していてもよい。このようにすると、第2主面側接続端子における上段金属導体部の上面及び側面を覆うようにはんだを形成することができるため、部品接合時には好適な形状のはんだフィレットが形成されやすくなる。
【0019】
複数の樹脂絶縁層は、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料、例えば熱硬化性の樹脂絶縁材料の硬化物を主体とした同じビルドアップ材を用いて形成されたものであることが好ましい。この場合、各接続端子が形成される最外層の樹脂絶縁層は、内層の樹脂絶縁層と同じ絶縁性に優れたビルドアップ材で形成されるため、各接続端子の間隔を狭くすることができ、多層配線基板の高集積化が可能となる。
【0020】
樹脂絶縁層の形成材料の好適例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂等が挙げられる。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料、あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料等を使用してもよい。
【0021】
導体層は、主として銅からなり、サブトラクティブ法、セミアディティブ法、フルアディティブ法などといった公知の手法によって形成される。具体的に言うと、例えば、銅箔のエッチング、無電解銅めっきあるいは電解銅めっきなどの手法が適用される。なお、スパッタやCVD等の手法により薄膜を形成した後にエッチングを行うことで導体層や接続端子を形成したり、導電性ペースト等の印刷により導体層を形成したりすることも可能である。
【0022】
多層配線基板の製造方法としては、金属箔を剥離可能な状態で片面に積層配置してなる支持基材を準備するとともに、前記第1主面側接続端子または前記第2主面側接続端子における下段金属導体部を前記金属箔上に形成する金属導体部形成工程と、前記金属導体部形成工程後、複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化することにより積層構造体を形成するビルドアップ工程と、前記ビルドアップ工程後、前記支持基材を除去して前記金属箔を露出させる基材除去工程と、前記ビルドアップ工程後、前記下段金属導体部を残しつつ前記積層構造体における前記金属箔を選択的にエッチング除去して上段金属導体部を形成することにより、2段構造を有する前記第2主面側接続端子を形成する接続端子形成工程とを含む方法がある。このように多層配線基板を製造すれば、第2主面側接続端子の下段金属導体部を最外層の樹脂絶縁層に形成された開口部内に位置させることができる。また、下段金属導体部及び前記最外層の樹脂絶縁層の上に開口部の開口縁を覆う状態で上段金属導体部を形成することができる。このように第2主面側接続端子を形成すると、樹脂絶縁層にクラックが発生するリスクを減らすことができ、従来に比べて信頼性の高い多層配線基板を容易にかつ確実に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】一実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す断面図。
【図2】多層配線基板の概略構成を示す平面図。
【図3】多層配線基板の概略構成を示す平面図。
【図4】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図5】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図6】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図7】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図8】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図9】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図10】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図11】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図12】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図13】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図14】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図15】別の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す断面図。
【図16】別の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す断面図。
【図17】別の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す断面図。
【図18】別の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す断面図。
【図19】従来の多層配線基板を示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を多層配線基板に具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施の形態の多層配線基板の概略構成を示す拡大断面図である。また、図2は、上面側から見た多層配線基板の平面図であり、図3は、下面側から見た多層配線基板の平面図である。
【0025】
図1に示されるように、多層配線基板10は、コア基板を含まずに形成されたコアレス配線基板であって、同じ樹脂絶縁材料を主体とした4層の樹脂絶縁層21,22,23,24と銅からなる導体層26とを交互に積層して多層化した配線積層部30(積層構造体)を有している。各樹脂絶縁層21〜24は、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料、具体的には熱硬化性エポキシ樹脂の硬化物を主体としたビルドアップ材を用いて形成されている。多層配線基板10において、配線積層部30の上面31側(第1主面側)には、複数の接続端子41,42(第1主面側接続端子)が配置されている。
【0026】
図1及び図2に示されるように、本実施の形態の多層配線基板10では、配線積層部30の上面31側に配置される複数の接続端子41,42として、接続対象がICチップであるICチップ接続端子41と、接続対象がチップコンデンサであるコンデンサ接続端子42とが存在している。配線積層部30の上面31側において、複数のICチップ接続端子41は、基板中央部に設けられたチップ搭載領域43にてアレイ状に配置されている。また、コンデンサ接続端子42は、ICチップ接続端子41よりも面積の大きい接続端子であり、チップ搭載領域43よりも外周側に配置されている。
【0027】
一方、図1及び図3に示されるように、配線積層部30の下面32側(第2主面側)には、接続対象がマザーボード(母基板)であるLGA(ランドグリッドアレイ)用の複数の接続端子45(第2主面側接続端子としての母基板接続端子)がアレイ状に配置されている。これら母基板接続端子45は、上面31側のICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42よりも面積の大きな接続端子である。
【0028】
樹脂絶縁層21,22,23,24には、それぞれビア穴33及びフィルドビア導体34が設けられている。各ビア導体34は、いずれも同一方向に(図1では下面側から上面側に向かうに従って)拡径した形状を有し、各導体層26、ICチップ接続端子41、コンデンサ接続端子42、及び母基板接続端子45を相互に電気的に接続している。
【0029】
配線積層部30の上面31側において、最外層に露出する第4層の樹脂絶縁層24には開口部35が形成されるとともに、開口部35内には、上面の高さが樹脂絶縁層24の表面(基準面)よりも低くなるような状態でICチップ接続端子41が形成されている。また、ICチップ接続端子41は、主体をなす銅層の上面のみを銅以外のめっき層46(具体的には、ニッケル−金めっき層)で覆った構造を有している。そして、露出したICチップ接続端子41の上面に、図示しないはんだバンプを介してICチップがフリップチップ接続されるようになっている。
【0030】
コンデンサ接続端子42は、銅層を主体として構成されており、その上面の高さが樹脂絶縁層24の表面よりも高くなるように形成されている。つまり、本実施の形態の多層配線基板10において、ICチップ接続端子41の上面とコンデンサ接続端子42の上面との高さは異なっており、相対的に面積の大きいコンデンサ接続端子42の上面の高さが、相対的に面積の小さいICチップ接続端子41の上面の高さよりも高くなっている。また、コンデンサ接続端子42は、主体をなす銅層の上面及び側面を銅以外のめっき層47(具体的には、ニッケル−金めっき層)で覆った構造を有している。そして、コンデンサ接続端子42上には、図示しないはんだを介してチップコンデンサの外部端子が接続されるようになっている。
【0031】
配線積層部30の下面32側において、露出状態にある最外層の樹脂絶縁層21には複数の開口部37が形成されるとともに、それら複数の開口部37に対応して母基板接続端子45が配置されている。具体的には、母基板接続端子45は、開口部37内に位置する下段金属導体部45aと、開口部37の開口縁を覆う状態で下段金属導体部45a及び樹脂絶縁層21の上に形成された上段金属導体部45bとからなる2段構造を有している。母基板接続端子45において、下段金属導体部45aはそれに接続されるビア導体34の端面よりも面積が大きく、上段金属導体部45bは下段金属導体部45aよりも面積が大きくなるよう形成されている。さらに、上段金属導体部45bは、主体をなす銅層の上面及び側面を銅以外のめっき層48(具体的には、ニッケル−金めっき層)で覆った構造を有している。そして、母基板接続端子45上には、図示しないはんだを介してマザーボードが接続されるようになっている。
【0032】
また、配線積層部30の下面32側において、露出状態にある最外層の樹脂絶縁層21の外側主面21aから最も近い導体層26までに相当する厚さL1(本実施の形態では樹脂絶縁層21の厚さ)は、配線積層部30における他の樹脂絶縁層22〜24の厚さL2よりも大きくなっている。本実施の形態の多層配線基板10では、最外層の樹脂絶縁層21を厚く形成することにより、母基板接続端子45の下段金属導体部45aを開口部37の内側に位置させるようにしている。
【0033】
上記構成の多層配線基板10は例えば以下の手順で作製される。
【0034】
先ず、ビルドアップ工程において、十分な強度を有する支持基板(ガラスエポキシ基板など)を準備し、その支持基板上に、樹脂絶縁層21〜24及び導体層26をビルドアップして配線積層部30を形成する。
【0035】
詳述すると、図4に示されるように、支持基板50上に、エポキシ樹脂からなるシート状の絶縁樹脂基材を貼り付けて下地樹脂絶縁層51を形成することにより、支持基板50及び下地樹脂絶縁層51からなる基材52を得る。そして、図5に示されるように、基材52の片面(具体的には下地樹脂絶縁層51の上面)に、積層金属シート体54を配置する。ここで、下地樹脂絶縁層51上に積層金属シート体54を配置することにより、以降の製造工程で積層金属シート体54が下地樹脂絶縁層51から剥がれない程度の密着性が確保される。積層金属シート体54は、2枚の銅箔55,56(一対の金属箔)を剥離可能な状態で密着させてなる。具体的には、金属めっき(例えば、クロムめっき、ニッケルめっき、チタンめっき、またはこれらの複合めっき)を介して銅箔55、銅箔56が配置された積層金属シート体54が形成されている。
【0036】
その後、母基板接続端子45における下段金属導体部45aを積層金属シート体54上に形成する(金属導体部形成工程)。具体的には、図6に示されるように、積層金属シート体54の上面にめっきレジスト形成用のドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行う。その結果、下段金属導体部45aに対応した所定のパターンのめっきレジスト57を形成する。そして、めっきレジスト57を形成した状態で選択的に電解銅めっきを行って、積層金属シート体54上に下段金属導体部45aを形成した後、めっきレジスト57を剥離する(図7参照)。
【0037】
その後、下段金属導体部45aが形成された積層金属シート体54を包むようにシート状の樹脂絶縁層21を配置し、樹脂絶縁層21を貼り付ける。(図8参照)。ここで、樹脂絶縁層21は、積層金属シート体54及び下段金属導体部45aと密着するとともに、積層金属シート体54の周囲領域において下地樹脂絶縁層51と密着することで、積層金属シート体54を封止する。
【0038】
そして、図9に示されるように、例えばエキシマレーザーやUVレーザーやCO2レーザーなどを用いてレーザー加工を施すことによって樹脂絶縁層21の所定の位置(下段金属導体部45aの上部の位置)にビア穴33を形成する。次いで、過マンガン酸カリウム溶液などのエッチング液を用いて各ビア穴33内のスミアを除去するデスミア工程を行う。なお、デスミア工程としては、エッチング液を用いた処理以外に、例えばO2プラズマによるプラズマアッシングの処理を行ってもよい。
【0039】
デスミア工程の後、従来公知の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことで、各ビア穴33内にビア導体34を形成する。さらに、従来公知の手法(例えばセミアディティブ法)によってエッチングを行うことで、樹脂絶縁層21上に導体層26をパターン形成する(図10参照)。
【0040】
また、第2層〜第4層の樹脂絶縁層22〜24及び導体層26についても、上述した第1層の樹脂絶縁層21及び導体層26と同様の手法によって形成し、樹脂絶縁層21上に積層していく。そして、最外層の樹脂絶縁層24に対してレーザー穴加工を施すことにより複数の開口部35を形成する(図11参照)。次いで、過マンガン酸カリウム溶液やO2プラズマなどにて各開口部35内のスミアを除去するデスミア工程を行う。
【0041】
上述したビルドアップ工程によって、基材52上に積層金属シート体54、樹脂絶縁層21〜24及び導体層26を積層した配線積層体60を形成する。なお図11に示されるように、配線積層体60において積層金属シート体54上に位置する領域が、多層配線基板10の配線積層部30となる部分である。また、配線積層体60において開口部35によって露出される導体層26の一部がICチップ接続端子41となる。
【0042】
その後、無電解銅めっきを行い、樹脂絶縁層24の開口部35内及び各樹脂絶縁層21〜24を覆う全面めっき層を形成する(全面めっき工程)。なお、銅めっきはこのとき開口部35の内面にも形成される。
【0043】
そして、配線積層体60の上面にめっきレジスト形成用のドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行うことにより、コンデンサ接続端子42に対応した箇所に開口部を有するパターンのめっきレジストを形成する。その後、めっきレジストを形成した状態で選択的にパターンめっきを行うことで複数の開口部35のうちの一部のものについてその内部にフィルドビア導体を形成するとともに、フィルドビア導体の上部にコンデンサ接続端子42を形成する(フィルドビア導体形成工程)。
【0044】
フィルドビア導体形成工程後、図12に示すように、セミアディティブ法でパターニングすることによって、フィルドビア導体63及びコンデンサ接続端子42を残しつつ全面めっき層を除去する(全面めっき層除去工程)。
【0045】
全面めっき層除去工程、配線積層体60をダイシング装置(図示略)により切断し、配線積層部30の周囲領域を除去する(切断工程)。この際、図12に示すように、配線積層部30とその周囲部64との境界(図12では矢印で示す境界)において、配線積層部30の下方にある基材52(支持基板50及び下地樹脂絶縁層51)ごと切断する。この切断によって、樹脂絶縁層21にて封止されていた積層金属シート体54の外縁部が露出した状態となる。つまり、周囲部64の除去によって、下地樹脂絶縁層51と樹脂絶縁層21との密着部分が失われる。この結果、配線積層部30と基材52とは積層金属シート体54のみを介して連結した状態となる。
【0046】
ここで、図13に示されるように、積層金属シート体54における一対の銅箔55,56の界面にて剥離することで、配線積層部30から基材52を除去して配線積層部30(樹脂絶縁層21)の下面上にある銅箔55を露出させる(基材除去工程)。
【0047】
その後、配線積層部30の下面32側において、下段金属導体部45aを残しつつ銅箔55を部分的にエッチング除去することによって、上段金属導体部45bを形成することにより、2段構造を有する母基板接続端子45を形成する(接続端子形成工程)。具体的には、配線積層部30の上面31及び下面32にエッチングレジスト形成用のドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行う。これにより、配線積層部30の上面31は、表面全体を覆うエッチングレジストを形成するとともに、下面32には上段金属導体部45bに対応した箇所を覆う所定のパターンのエッチングレジストを形成する。この状態で、配線積層部30に対してエッチングを行って、不要な銅箔55を除去することで、下段金属導体部45a及び樹脂絶縁層21上に上段金属導体部45bを形成する。この結果、下段金属導体部45aと上段金属導体部45bとからなる2段構造の母基板接続端子45が形成される(図14参照)。
【0048】
その後、ICチップ接続端子41の表面、コンデンサ接続端子42の表面、母基板接続端子45の表面に対し、無電解ニッケルめっき、無電解金めっきを順次施すことにより、ニッケル−金めっき層46,47,48を形成する(めっき工程)。以上の工程を経ることで図1の多層配線基板10を製造する。
【0049】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0050】
(1)本実施の形態の多層配線基板10では、母基板接続端子45を構成する下段金属導体部45aは、露出状態にある最外層の樹脂絶縁層21に形成された開口部37内に位置し、母基板接続端子45を構成する上段金属導体部45bは、開口部37の開口縁を覆う状態で下段金属導体部45a及び樹脂絶縁層21の上に形成されている。このようにすると、下段金属導体部45aと樹脂絶縁層21との境界部分が上段金属導体部45bで塞がれた形状となるので、境界部分が補強され、境界部分に加わる応力が緩和される。また、境界部分が非直線的になることで、各種の薬液などが境界部分を介して基板内部に侵入しにくくなる。以上の結果、樹脂絶縁層21にクラックが発生するリスクが減り、従来に比べて多層配線基板10の信頼性が向上する。
【0051】
(2)本実施の形態の多層配線基板10では、上段金属導体部45bは下段金属導体部45aよりも面積が大きく形成されているので、接続端子の強度や放熱性を高めることができる。また、下段金属導体部45aはそれに接続するビア導体34の端面よりも面積が大きくなっている。この場合、多層配線基板10の内側に配置されるビア導体34から段階的に導体部45a,45bの面積が大きくなるので、樹脂絶縁層21と導体部45a,45bとの間に作用する応力を効率よく分散させることができる。さらに、母基板接続端子45は下段金属導体部45a及び上段金属導体部45bからなる2段構造を有するので、接続端子45の厚みも厚くなり、配線基板自体の強度が向上する。このため、クラックの発生を確実に防止することができ、多層配線基板10の信頼性をより高めることができる。
【0052】
(3)本実施の形態の多層配線基板10では、配線積層部30の下面32側において、露出状態にある最外層の樹脂絶縁層21の外側主面21aから最も近い導体層26までに相当する厚さL1は、配線積層部30における他の樹脂絶縁層22〜24の厚さL2よりも大きくなっている。このようにすると、下段金属導体部45aが最外層の樹脂絶縁層21に形成された開口部37内に位置するように母基板接続端子45を確実に形成することができる。
【0053】
(4)本実施の形態の多層配線基板10において、母基板接続端子45の上段金属導体部45bは、主体をなす銅層の上面及び側面をめっき層48で覆った構造を有しているので、上段金属導体部45bを覆うようにはんだを形成することができる。そのため、部品接合時には好適な形状のはんだフィレットが形成されやすくなる。
【0054】
(5)本実施の形態の多層配線基板10では、配線積層部30の上面31側に形成される複数の接続端子41,42は、接続対象の種類ごとに上面の高さが異なっている。具体的には、複数の接続端子41,42として、接続対象がICチップであるICチップ接続端子41と、接続対象がチップコンデンサであるコンデンサ接続端子42が存在しており、ICチップ接続端子41は、最外層にて露出する樹脂絶縁層24の表面よりも低く、コンデンサ接続端子42は、樹脂絶縁層24の表面よりも高くなっている。このようにすると、ICチップをフリップチップ接続するためのはんだバンプをICチップ接続端子41上に確実に形成することができ、ICチップを確実に接続することができる。また、チップコンデンサを接続するためのはんだをコンデンサ接続端子42に確実に形成することができ、チップコンデンサを確実に接続することができる。
【0055】
(6)本実施の形態の多層配線基板10において、配線積層部30の上面31側に露出する樹脂絶縁層24には開口部35が形成されるとともに、開口部35内には、上面の高さが樹脂絶縁層24の表面よりも低くなるような状態でICチップ接続端子41が形成されている。このようにすると、ICチップ接続端子41上の開口部35内にてはんだボールを容易に位置決めすることができ、ICチップ接続端子41上におけるはんだバンプの形成をより確実に行うことができる。
【0056】
(7)本実施の形態の多層配線基板10において、コンデンサ接続端子42は、その上面及び側面にはんだを付着させることができる。よって、部品接合時には比較的大きくて好適形状のはんだフィレットを確実に形成することができる。また、ICチップ接続端子41は、その上面をめっき層46で覆った構造を有しているので、ICチップ接続端子41の上面にはんだバンプを確実に形成することができる。ここで、コンデンサ接続端子42の間隔はICチップ接続端子41の間隔よりも広く、またコンデンサ接続端子42はサイズが比較的大きいため、コンデンサ接続端子42の上面及び側面に形成されたはんだによってチップコンデンサを十分な強度で確実にはんだ接続することができる。一方、ICチップ接続端子41の間隔は狭いため、ICチップ接続端子41の横方向(基板平面方向)にはんだバンプが膨らむと、端子間のショートが問題となる。これに対して本実施形態では、ICチップ接続端子41の上面のみにはんだバンプが形成されていて、はんだバンプが横方向に膨らむことがないので、はんだバンプを介した端子間のショートを回避することができる。
【0057】
(8)本実施の形態の多層配線基板10において、複数の樹脂絶縁層21〜24は、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料の硬化物を主体とした同じビルドアップ材を用いて形成されている。つまり、最外層の樹脂絶縁層21,24は、内層の樹脂絶縁層22,23と同じ絶縁性に優れたビルドアップ材で形成されている。このため、各接続端子41,42,45の端子間隔を狭くすることができ、多層配線基板10の高集積化が可能となる。また、多層配線基板10では、最外層にソルダーレジストが形成されていないので、各樹脂絶縁層21〜24とソルダーレジストとの熱膨張係数差に起因して生じる多層配線基板10の反りを回避することができる。
【0058】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0059】
・上記実施の形態の多層配線基板10では、母基板接続端子45の端子外面は平坦面であったが、これに限定されるものではない。例えば、図15に示される多層配線基板10Aのように、母基板接続端子45の端子外面45cを凹形状となるように形成してもよい。この多層配線基板10Aでは、母基板接続端子45を構成する上段金属導体部45bはリング状であり、下段金属導体部45aと樹脂絶縁層21との境界を覆うように配置されている。このように母基板接続端子45を構成しても、下段金属導体部45aと樹脂絶縁層21との境界部分が上段金属導体部45bで塞がれるので、境界部分に加わる応力が緩和される。このため、樹脂絶縁層21にクラックが発生するリスクを減らすことができ、多層配線基板10Aの信頼性が向上する。さらに、母基板接続端子45の端子外面45cにおけるはんだとの接触面積が増すため、はんだ接続の強度を高めることができる。また、図16に示される多層配線基板10Bのように、凹形状の端子外面45cにおける最深部が下段金属導体部45aに至るように母基板接続端子45を形成してもよい。このように母基板接続端子45を構成すると、端子外面45cにおけるはんだとの接触面積が増すため、はんだ接続の強度を高めることができる。また、母基板接続端子45の端子外面45cを凹形状とすると、はんだボールや接続ピンの位置決めを容易に行うことが可能となる。
【0060】
・上記実施の形態の多層配線基板10,10A,10Bにおいて、上面31側に形成されるコンデンサ接続端子42をセミアディティブ法にてパターン形成していたが、サブトラクティブ法にてパターン形成してもよい。なおこの場合、図17に示す多層配線基板10Cのように、コンデンサ接続端子42Aは、上面よりも下面のほうが面積の大きい断面台形状に形成される。このようにすると、コンデンサ接続端子42Aと樹脂絶縁層24との接触面積が増すため、端子強度を十分に確保することができる。また、多層配線基板10Cのように、開口部35内に充填されたフィルドビア導体63によってICチップ接続端子41Aを形成してもよい。さらに、図18に示す多層配線基板10Dのように、ICチップ接続端子41と同様に、開口部35内にて露出するようコンデンサ接続端子42Bを形成してもよい。なお、このコンデンサ接続端子42Bは、ICチップ接続端子41とほぼ同じ高さとなる。
【0061】
・上記実施の形態では、複数の樹脂絶縁層21〜24に形成される複数の導体層26は、下面32側から上面31側に向かうに従って拡径したビア導体34により互いに接続されていたが、これに限定されるものではない。複数の樹脂絶縁層21〜24に形成されるビア導体34は同一方向に拡径した形状であればよく、上面31側から下面32側に向かうに従って拡径したビア導体により、複数の導体層26を互いに接続してもよい。
【0062】
・上記実施の形態では、各接続端子41,42,45を被覆するめっき層46,47,48は、ニッケル−金めっき層であったが、銅以外のめっき層であればよく、例えば、ニッケル−パラジウム−金めっき層などの他のめっき層に変更してもよい。
【0063】
次に、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0064】
(1)同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側に向うに従って拡径したビア導体により接続されている多層配線基板であって、前記積層構造体の前記第2主面側において露出状態にある最外層の樹脂絶縁層には複数の開口部が形成され、前記複数の第2主面側接続端子は、前記開口部内に位置する下段金属導体部と、前記開口部の開口縁を覆う状態で前記下段金属導体部及び前記最外層の樹脂絶縁層の上に形成された上段金属導体部とからなる2段構造を有し、前記上段金属導体部は、主体をなす銅層の上面及び側面を銅以外のめっき層で覆った構造を有することを特徴とする多層配線基板。
【0065】
(2)技術的思想(1)において、前記第1主面側には、接続対象の異なる少なくとも2種類の第1主面側接続端子が存在するとともに、前記第1主面側接続端子の上面の高さが、前記接続対象の種類ごとに異なっていることを特徴とする多層配線基板。
【0066】
(3)同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側に向うに従って拡径したビア導体により接続されている多層配線基板の製造方法であって、金属箔を剥離可能な状態で片面に積層配置してなる支持基材を準備するとともに、前記第1主面側接続端子または前記第2主面側接続端子における下段金属導体部を前記金属箔上に形成する金属導体部形成工程と、前記金属導体部形成工程後、複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化することにより積層構造体を形成するビルドアップ工程と、前記ビルドアップ工程後、前記支持基材を除去して前記金属箔を露出させる基材除去工程と、前記ビルドアップ工程後、前記下段金属導体部を残しつつ前記積層構造体における前記金属箔を選択的にエッチング除去して上段金属導体部を形成することにより、2段構造を有する前記第2主面側接続端子を形成する接続端子形成工程とを含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【符号の説明】
【0067】
10,10A〜10D…多層配線基板
21〜24…樹脂絶縁層
21a…外側主面
26…導体層
30…積層構造体としての配線積層部
31…第1主面としての上面
32…第2主面としての下面
34…ビア導体
37…開口部
41,41A…第1主面側接続端子としてのICチップ接続端子
42,42A,42B…第1主面側接続端子としてのコンデンサ接続端子
45…第2主面側接続端子としての母基板接続端子
45a…下段金属導体部
45b…上段金属導体部
45c…端子外面
【技術分野】
【0001】
本発明は、同じ樹脂絶縁材料を主体とした複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有する一方でいわゆるコア基板を有しない多層配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータのマイクロプロセッサ等として使用される半導体集積回路素子(ICチップ)は、近年ますます高速化、高機能化しており、これに付随して端子数が増え、端子間ピッチも狭くなる傾向にある。一般的にICチップの底面には多数の端子が密集してアレイ状に配置されており、このような端子群はマザーボード側の端子群に対してフリップチップの形態で接続される。ただし、ICチップ側の端子群とマザーボード側の端子群とでは端子間ピッチに大きな差があることから、ICチップをマザーボード上に直接的に接続することは困難である。そのため、通常はICチップをICチップ搭載用配線基板上に搭載してなる半導体パッケージを作製し、その半導体パッケージをマザーボード上に搭載するという手法が採用される。
【0003】
この種のパッケージを構成するICチップ搭載用配線基板としては、コア基板の表面及び裏面にビルドアップ層を形成した多層配線基板が実用化されている。この多層配線基板においては、コア基板として、例えば、補強繊維に樹脂を含浸させた樹脂基板(ガラスエポキシ基板など)が用いられている。そして、そのコア基板の剛性を利用して、コア基板の表面及び裏面に樹脂絶縁層と導体層とを交互に積層することにより、ビルドアップ層が形成されている。つまり、この多層配線基板において、コア基板は、補強の役割を果たしており、ビルドアップ層と比べて非常に厚く形成されている。また、コア基板には、表面及び裏面に形成されたビルドアップ層間の導通を図るための配線(具体的には、スルーホール導体など)が貫通形成されている。
【0004】
ところで近年では、半導体集積回路素子の高速化に伴い、使用される信号周波数が高周波帯域となってきている。この場合、コア基板を貫通する配線が大きなインダクタンスとして寄与し、高周波信号の伝送ロスや回路誤動作の発生につながり、高速化の妨げとなってしまう。この問題を解決するために、多層配線基板を、コア基板を有さない基板とすることが提案されている(例えば特許文献1参照)。この多層配線基板は、比較的に厚いコア基板を省略することにより全体の配線長を短くしたものであるため、高周波信号の伝送ロスが低減され、半導体集積回路素子を高速で動作させることが可能となる。
【0005】
特許文献1に開示されている製造方法では、仮基板の片面に金属箔を配置し、その金属箔の上に複数の導体層及び複数の樹脂絶縁層を交互に積層してなるビルドアップ層を形成する。その後、仮基板から金属箔を分離して、金属箔上にビルドアップ層が形成された構造体を得る。そして、金属箔をエッチングにより除去して、ビルドアップ層の最外層の表面(樹脂絶縁層の表面や複数の接続端子の表面)を露出させることで多層配線基板を製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−158174号公報(図7など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1において、比較的面積が大きな接続端子(例えば、マザーボードに接続される母基板接続端子)の表面が最外層の樹脂絶縁層と面一となるよう形成された多層配線基板が開示されている。この多層配線基板では、母基板接続端子と樹脂絶縁層との境界部分に応力が加わる場合がある。このため、図19に示されるように、母基板接続端子101と樹脂絶縁層102との境界部分を起点として樹脂絶縁層102側にクラック103が発生するといった問題が生じてしまう。
【0008】
また、特許文献1には、ビルドアップ層の最外層にソルダーレジストを形成した多層配線基板が開示されている。多層配線基板において、母基板接続端子の表面側外周部をソルダーレジストで被覆することにより、母基板接続端子と樹脂絶縁層との境界部分に加わる応力が緩和される。ところが、多層配線基板において、最外層にソルダーレジストを形成する場合、そのソルダーレジストと内層の各樹脂絶縁層とは熱膨張係数が異なるため、それらの熱膨張係数差に応じて基板の反りが発生してしまう。この場合には、その反りを抑えるための構成(例えば、補強板など)が別途必要になり、結果として多層配線基板の製造コストが高くなってしまう。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、樹脂絶縁層におけるクラックの発生を防止して信頼性の高い多層配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側に向うに従って拡径したビア導体により接続されている多層配線基板であって、前記積層構造体の前記第2主面側において露出状態にある最外層の樹脂絶縁層には複数の開口部が形成され、前記複数の第2主面側接続端子は、前記開口部内に位置する下段金属導体部と、前記開口部の開口縁を覆う状態で前記下段金属導体部及び前記最外層の樹脂絶縁層の上に形成された上段金属導体部とからなる2段構造を有することを特徴とする多層配線基板がある。
【0011】
従って、上記手段に記載の発明によると、同じ樹脂絶縁材料を主体とした複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層が交互に積層され、コア基板を含まないコアレス配線基板として多層配線基板が形成されている。この多層配線基板において、積層構造体の第2主面側に設けられる複数の第2主面側接続端子は、下段金属導体部と上段金属導体部とからなる2段構造を有している。そして、第2主面側接続端子を構成する下段金属導体部は、露出状態にある最外層の樹脂絶縁層に形成された開口部内に位置し、第2主面側接続端子を構成する上段金属導体部は、開口部の開口縁を覆う状態で下段金属導体部及び最外層の樹脂絶縁層の上に形成されている。このようにすると、下段金属導体部と樹脂絶縁層との境界部分が上段金属導体部で塞がれた形状となるので、その境界部分に加わる応力が緩和される。このため、樹脂絶縁層にクラックが発生するリスクが減り、従来に比べて多層配線基板の信頼性が向上する。
【0012】
上段金属導体部は下段金属導体部よりも面積が大きいことが好ましい。このようにすると、第2主面側接続端子を構成する導体部が大きくなるので、接続端子の強度や放熱性を高めることができる。
【0013】
上段金属導体部は下段金属導体部よりも面積が大きく、下段金属導体部はそれに接続するビア導体の端面よりも面積が大きいことが好ましい。このようにすると、多層配線基板の内側に配置されるビア導体から段階的に導体部の断面積が大きくなるので、樹脂絶縁層と導体部との間に作用する応力を効果的に分散させることができる。このため、クラックの発生を確実に防止することができ、多層配線基板の信頼性をより高めることができる。
【0014】
積層構造体の第2主面側において露出状態にある最外層の樹脂絶縁層の外側主面から最も近い導体層までに相当する厚さは、積層構造体における他の樹脂絶縁層の厚さよりも大きいことが好ましい。このようにすると、最外層の樹脂絶縁層に形成された開口部内に下段金属導体部が位置するように第2主面側接続端子を確実に形成することが可能となり、応力が緩和され図19に記載のクラックが抑制できる。
【0015】
2段構造を有する複数の第2主面側接続端子は、端子外面が凹形状であることが好ましく、端子外面の最深部が下段金属導体部に至っていることがより好ましい。このように第2主面側接続端子を形成すると、端子外面に対するはんだの接触面積が増すため、はんだ接続の強度を高めることができる。
【0016】
2段構造を有する複数の第2主面側接続端子は、接続対象が母基板であり第1主面側接続端子よりも面積の大きい複数の母基板接続端子であってもよい。この場合、比較的面積が大きい母基板接続端子を母基板に確実に接続することができる。
また、第2主面側接続端子は、母基板が接続される主面側に設けられてもよいし、その主面の反対側、例えばICチップが搭載される主面側に設けられてもよい。
【0017】
複数の樹脂絶縁層に形成されたビア導体は、いずれも第2主面側から第1主面側に向うに従って拡径した形状を有していてもよい。また逆に、複数の樹脂絶縁層に形成された前記ビア導体は、いずれも第1主面側から第2主面側に向うに従って拡径した形状を有していてもよい。このようにすると、コア基板を有さないコアレス配線基板を比較的容易に製造することができる。
【0018】
上段金属導体部は、主体をなす銅層の上面及び側面を銅以外のめっき層で覆った構造を有していてもよい。このようにすると、第2主面側接続端子における上段金属導体部の上面及び側面を覆うようにはんだを形成することができるため、部品接合時には好適な形状のはんだフィレットが形成されやすくなる。
【0019】
複数の樹脂絶縁層は、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料、例えば熱硬化性の樹脂絶縁材料の硬化物を主体とした同じビルドアップ材を用いて形成されたものであることが好ましい。この場合、各接続端子が形成される最外層の樹脂絶縁層は、内層の樹脂絶縁層と同じ絶縁性に優れたビルドアップ材で形成されるため、各接続端子の間隔を狭くすることができ、多層配線基板の高集積化が可能となる。
【0020】
樹脂絶縁層の形成材料の好適例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂等が挙げられる。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料、あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料等を使用してもよい。
【0021】
導体層は、主として銅からなり、サブトラクティブ法、セミアディティブ法、フルアディティブ法などといった公知の手法によって形成される。具体的に言うと、例えば、銅箔のエッチング、無電解銅めっきあるいは電解銅めっきなどの手法が適用される。なお、スパッタやCVD等の手法により薄膜を形成した後にエッチングを行うことで導体層や接続端子を形成したり、導電性ペースト等の印刷により導体層を形成したりすることも可能である。
【0022】
多層配線基板の製造方法としては、金属箔を剥離可能な状態で片面に積層配置してなる支持基材を準備するとともに、前記第1主面側接続端子または前記第2主面側接続端子における下段金属導体部を前記金属箔上に形成する金属導体部形成工程と、前記金属導体部形成工程後、複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化することにより積層構造体を形成するビルドアップ工程と、前記ビルドアップ工程後、前記支持基材を除去して前記金属箔を露出させる基材除去工程と、前記ビルドアップ工程後、前記下段金属導体部を残しつつ前記積層構造体における前記金属箔を選択的にエッチング除去して上段金属導体部を形成することにより、2段構造を有する前記第2主面側接続端子を形成する接続端子形成工程とを含む方法がある。このように多層配線基板を製造すれば、第2主面側接続端子の下段金属導体部を最外層の樹脂絶縁層に形成された開口部内に位置させることができる。また、下段金属導体部及び前記最外層の樹脂絶縁層の上に開口部の開口縁を覆う状態で上段金属導体部を形成することができる。このように第2主面側接続端子を形成すると、樹脂絶縁層にクラックが発生するリスクを減らすことができ、従来に比べて信頼性の高い多層配線基板を容易にかつ確実に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】一実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す断面図。
【図2】多層配線基板の概略構成を示す平面図。
【図3】多層配線基板の概略構成を示す平面図。
【図4】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図5】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図6】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図7】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図8】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図9】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図10】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図11】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図12】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図13】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図14】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図15】別の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す断面図。
【図16】別の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す断面図。
【図17】別の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す断面図。
【図18】別の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す断面図。
【図19】従来の多層配線基板を示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を多層配線基板に具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施の形態の多層配線基板の概略構成を示す拡大断面図である。また、図2は、上面側から見た多層配線基板の平面図であり、図3は、下面側から見た多層配線基板の平面図である。
【0025】
図1に示されるように、多層配線基板10は、コア基板を含まずに形成されたコアレス配線基板であって、同じ樹脂絶縁材料を主体とした4層の樹脂絶縁層21,22,23,24と銅からなる導体層26とを交互に積層して多層化した配線積層部30(積層構造体)を有している。各樹脂絶縁層21〜24は、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料、具体的には熱硬化性エポキシ樹脂の硬化物を主体としたビルドアップ材を用いて形成されている。多層配線基板10において、配線積層部30の上面31側(第1主面側)には、複数の接続端子41,42(第1主面側接続端子)が配置されている。
【0026】
図1及び図2に示されるように、本実施の形態の多層配線基板10では、配線積層部30の上面31側に配置される複数の接続端子41,42として、接続対象がICチップであるICチップ接続端子41と、接続対象がチップコンデンサであるコンデンサ接続端子42とが存在している。配線積層部30の上面31側において、複数のICチップ接続端子41は、基板中央部に設けられたチップ搭載領域43にてアレイ状に配置されている。また、コンデンサ接続端子42は、ICチップ接続端子41よりも面積の大きい接続端子であり、チップ搭載領域43よりも外周側に配置されている。
【0027】
一方、図1及び図3に示されるように、配線積層部30の下面32側(第2主面側)には、接続対象がマザーボード(母基板)であるLGA(ランドグリッドアレイ)用の複数の接続端子45(第2主面側接続端子としての母基板接続端子)がアレイ状に配置されている。これら母基板接続端子45は、上面31側のICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42よりも面積の大きな接続端子である。
【0028】
樹脂絶縁層21,22,23,24には、それぞれビア穴33及びフィルドビア導体34が設けられている。各ビア導体34は、いずれも同一方向に(図1では下面側から上面側に向かうに従って)拡径した形状を有し、各導体層26、ICチップ接続端子41、コンデンサ接続端子42、及び母基板接続端子45を相互に電気的に接続している。
【0029】
配線積層部30の上面31側において、最外層に露出する第4層の樹脂絶縁層24には開口部35が形成されるとともに、開口部35内には、上面の高さが樹脂絶縁層24の表面(基準面)よりも低くなるような状態でICチップ接続端子41が形成されている。また、ICチップ接続端子41は、主体をなす銅層の上面のみを銅以外のめっき層46(具体的には、ニッケル−金めっき層)で覆った構造を有している。そして、露出したICチップ接続端子41の上面に、図示しないはんだバンプを介してICチップがフリップチップ接続されるようになっている。
【0030】
コンデンサ接続端子42は、銅層を主体として構成されており、その上面の高さが樹脂絶縁層24の表面よりも高くなるように形成されている。つまり、本実施の形態の多層配線基板10において、ICチップ接続端子41の上面とコンデンサ接続端子42の上面との高さは異なっており、相対的に面積の大きいコンデンサ接続端子42の上面の高さが、相対的に面積の小さいICチップ接続端子41の上面の高さよりも高くなっている。また、コンデンサ接続端子42は、主体をなす銅層の上面及び側面を銅以外のめっき層47(具体的には、ニッケル−金めっき層)で覆った構造を有している。そして、コンデンサ接続端子42上には、図示しないはんだを介してチップコンデンサの外部端子が接続されるようになっている。
【0031】
配線積層部30の下面32側において、露出状態にある最外層の樹脂絶縁層21には複数の開口部37が形成されるとともに、それら複数の開口部37に対応して母基板接続端子45が配置されている。具体的には、母基板接続端子45は、開口部37内に位置する下段金属導体部45aと、開口部37の開口縁を覆う状態で下段金属導体部45a及び樹脂絶縁層21の上に形成された上段金属導体部45bとからなる2段構造を有している。母基板接続端子45において、下段金属導体部45aはそれに接続されるビア導体34の端面よりも面積が大きく、上段金属導体部45bは下段金属導体部45aよりも面積が大きくなるよう形成されている。さらに、上段金属導体部45bは、主体をなす銅層の上面及び側面を銅以外のめっき層48(具体的には、ニッケル−金めっき層)で覆った構造を有している。そして、母基板接続端子45上には、図示しないはんだを介してマザーボードが接続されるようになっている。
【0032】
また、配線積層部30の下面32側において、露出状態にある最外層の樹脂絶縁層21の外側主面21aから最も近い導体層26までに相当する厚さL1(本実施の形態では樹脂絶縁層21の厚さ)は、配線積層部30における他の樹脂絶縁層22〜24の厚さL2よりも大きくなっている。本実施の形態の多層配線基板10では、最外層の樹脂絶縁層21を厚く形成することにより、母基板接続端子45の下段金属導体部45aを開口部37の内側に位置させるようにしている。
【0033】
上記構成の多層配線基板10は例えば以下の手順で作製される。
【0034】
先ず、ビルドアップ工程において、十分な強度を有する支持基板(ガラスエポキシ基板など)を準備し、その支持基板上に、樹脂絶縁層21〜24及び導体層26をビルドアップして配線積層部30を形成する。
【0035】
詳述すると、図4に示されるように、支持基板50上に、エポキシ樹脂からなるシート状の絶縁樹脂基材を貼り付けて下地樹脂絶縁層51を形成することにより、支持基板50及び下地樹脂絶縁層51からなる基材52を得る。そして、図5に示されるように、基材52の片面(具体的には下地樹脂絶縁層51の上面)に、積層金属シート体54を配置する。ここで、下地樹脂絶縁層51上に積層金属シート体54を配置することにより、以降の製造工程で積層金属シート体54が下地樹脂絶縁層51から剥がれない程度の密着性が確保される。積層金属シート体54は、2枚の銅箔55,56(一対の金属箔)を剥離可能な状態で密着させてなる。具体的には、金属めっき(例えば、クロムめっき、ニッケルめっき、チタンめっき、またはこれらの複合めっき)を介して銅箔55、銅箔56が配置された積層金属シート体54が形成されている。
【0036】
その後、母基板接続端子45における下段金属導体部45aを積層金属シート体54上に形成する(金属導体部形成工程)。具体的には、図6に示されるように、積層金属シート体54の上面にめっきレジスト形成用のドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行う。その結果、下段金属導体部45aに対応した所定のパターンのめっきレジスト57を形成する。そして、めっきレジスト57を形成した状態で選択的に電解銅めっきを行って、積層金属シート体54上に下段金属導体部45aを形成した後、めっきレジスト57を剥離する(図7参照)。
【0037】
その後、下段金属導体部45aが形成された積層金属シート体54を包むようにシート状の樹脂絶縁層21を配置し、樹脂絶縁層21を貼り付ける。(図8参照)。ここで、樹脂絶縁層21は、積層金属シート体54及び下段金属導体部45aと密着するとともに、積層金属シート体54の周囲領域において下地樹脂絶縁層51と密着することで、積層金属シート体54を封止する。
【0038】
そして、図9に示されるように、例えばエキシマレーザーやUVレーザーやCO2レーザーなどを用いてレーザー加工を施すことによって樹脂絶縁層21の所定の位置(下段金属導体部45aの上部の位置)にビア穴33を形成する。次いで、過マンガン酸カリウム溶液などのエッチング液を用いて各ビア穴33内のスミアを除去するデスミア工程を行う。なお、デスミア工程としては、エッチング液を用いた処理以外に、例えばO2プラズマによるプラズマアッシングの処理を行ってもよい。
【0039】
デスミア工程の後、従来公知の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことで、各ビア穴33内にビア導体34を形成する。さらに、従来公知の手法(例えばセミアディティブ法)によってエッチングを行うことで、樹脂絶縁層21上に導体層26をパターン形成する(図10参照)。
【0040】
また、第2層〜第4層の樹脂絶縁層22〜24及び導体層26についても、上述した第1層の樹脂絶縁層21及び導体層26と同様の手法によって形成し、樹脂絶縁層21上に積層していく。そして、最外層の樹脂絶縁層24に対してレーザー穴加工を施すことにより複数の開口部35を形成する(図11参照)。次いで、過マンガン酸カリウム溶液やO2プラズマなどにて各開口部35内のスミアを除去するデスミア工程を行う。
【0041】
上述したビルドアップ工程によって、基材52上に積層金属シート体54、樹脂絶縁層21〜24及び導体層26を積層した配線積層体60を形成する。なお図11に示されるように、配線積層体60において積層金属シート体54上に位置する領域が、多層配線基板10の配線積層部30となる部分である。また、配線積層体60において開口部35によって露出される導体層26の一部がICチップ接続端子41となる。
【0042】
その後、無電解銅めっきを行い、樹脂絶縁層24の開口部35内及び各樹脂絶縁層21〜24を覆う全面めっき層を形成する(全面めっき工程)。なお、銅めっきはこのとき開口部35の内面にも形成される。
【0043】
そして、配線積層体60の上面にめっきレジスト形成用のドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行うことにより、コンデンサ接続端子42に対応した箇所に開口部を有するパターンのめっきレジストを形成する。その後、めっきレジストを形成した状態で選択的にパターンめっきを行うことで複数の開口部35のうちの一部のものについてその内部にフィルドビア導体を形成するとともに、フィルドビア導体の上部にコンデンサ接続端子42を形成する(フィルドビア導体形成工程)。
【0044】
フィルドビア導体形成工程後、図12に示すように、セミアディティブ法でパターニングすることによって、フィルドビア導体63及びコンデンサ接続端子42を残しつつ全面めっき層を除去する(全面めっき層除去工程)。
【0045】
全面めっき層除去工程、配線積層体60をダイシング装置(図示略)により切断し、配線積層部30の周囲領域を除去する(切断工程)。この際、図12に示すように、配線積層部30とその周囲部64との境界(図12では矢印で示す境界)において、配線積層部30の下方にある基材52(支持基板50及び下地樹脂絶縁層51)ごと切断する。この切断によって、樹脂絶縁層21にて封止されていた積層金属シート体54の外縁部が露出した状態となる。つまり、周囲部64の除去によって、下地樹脂絶縁層51と樹脂絶縁層21との密着部分が失われる。この結果、配線積層部30と基材52とは積層金属シート体54のみを介して連結した状態となる。
【0046】
ここで、図13に示されるように、積層金属シート体54における一対の銅箔55,56の界面にて剥離することで、配線積層部30から基材52を除去して配線積層部30(樹脂絶縁層21)の下面上にある銅箔55を露出させる(基材除去工程)。
【0047】
その後、配線積層部30の下面32側において、下段金属導体部45aを残しつつ銅箔55を部分的にエッチング除去することによって、上段金属導体部45bを形成することにより、2段構造を有する母基板接続端子45を形成する(接続端子形成工程)。具体的には、配線積層部30の上面31及び下面32にエッチングレジスト形成用のドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行う。これにより、配線積層部30の上面31は、表面全体を覆うエッチングレジストを形成するとともに、下面32には上段金属導体部45bに対応した箇所を覆う所定のパターンのエッチングレジストを形成する。この状態で、配線積層部30に対してエッチングを行って、不要な銅箔55を除去することで、下段金属導体部45a及び樹脂絶縁層21上に上段金属導体部45bを形成する。この結果、下段金属導体部45aと上段金属導体部45bとからなる2段構造の母基板接続端子45が形成される(図14参照)。
【0048】
その後、ICチップ接続端子41の表面、コンデンサ接続端子42の表面、母基板接続端子45の表面に対し、無電解ニッケルめっき、無電解金めっきを順次施すことにより、ニッケル−金めっき層46,47,48を形成する(めっき工程)。以上の工程を経ることで図1の多層配線基板10を製造する。
【0049】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0050】
(1)本実施の形態の多層配線基板10では、母基板接続端子45を構成する下段金属導体部45aは、露出状態にある最外層の樹脂絶縁層21に形成された開口部37内に位置し、母基板接続端子45を構成する上段金属導体部45bは、開口部37の開口縁を覆う状態で下段金属導体部45a及び樹脂絶縁層21の上に形成されている。このようにすると、下段金属導体部45aと樹脂絶縁層21との境界部分が上段金属導体部45bで塞がれた形状となるので、境界部分が補強され、境界部分に加わる応力が緩和される。また、境界部分が非直線的になることで、各種の薬液などが境界部分を介して基板内部に侵入しにくくなる。以上の結果、樹脂絶縁層21にクラックが発生するリスクが減り、従来に比べて多層配線基板10の信頼性が向上する。
【0051】
(2)本実施の形態の多層配線基板10では、上段金属導体部45bは下段金属導体部45aよりも面積が大きく形成されているので、接続端子の強度や放熱性を高めることができる。また、下段金属導体部45aはそれに接続するビア導体34の端面よりも面積が大きくなっている。この場合、多層配線基板10の内側に配置されるビア導体34から段階的に導体部45a,45bの面積が大きくなるので、樹脂絶縁層21と導体部45a,45bとの間に作用する応力を効率よく分散させることができる。さらに、母基板接続端子45は下段金属導体部45a及び上段金属導体部45bからなる2段構造を有するので、接続端子45の厚みも厚くなり、配線基板自体の強度が向上する。このため、クラックの発生を確実に防止することができ、多層配線基板10の信頼性をより高めることができる。
【0052】
(3)本実施の形態の多層配線基板10では、配線積層部30の下面32側において、露出状態にある最外層の樹脂絶縁層21の外側主面21aから最も近い導体層26までに相当する厚さL1は、配線積層部30における他の樹脂絶縁層22〜24の厚さL2よりも大きくなっている。このようにすると、下段金属導体部45aが最外層の樹脂絶縁層21に形成された開口部37内に位置するように母基板接続端子45を確実に形成することができる。
【0053】
(4)本実施の形態の多層配線基板10において、母基板接続端子45の上段金属導体部45bは、主体をなす銅層の上面及び側面をめっき層48で覆った構造を有しているので、上段金属導体部45bを覆うようにはんだを形成することができる。そのため、部品接合時には好適な形状のはんだフィレットが形成されやすくなる。
【0054】
(5)本実施の形態の多層配線基板10では、配線積層部30の上面31側に形成される複数の接続端子41,42は、接続対象の種類ごとに上面の高さが異なっている。具体的には、複数の接続端子41,42として、接続対象がICチップであるICチップ接続端子41と、接続対象がチップコンデンサであるコンデンサ接続端子42が存在しており、ICチップ接続端子41は、最外層にて露出する樹脂絶縁層24の表面よりも低く、コンデンサ接続端子42は、樹脂絶縁層24の表面よりも高くなっている。このようにすると、ICチップをフリップチップ接続するためのはんだバンプをICチップ接続端子41上に確実に形成することができ、ICチップを確実に接続することができる。また、チップコンデンサを接続するためのはんだをコンデンサ接続端子42に確実に形成することができ、チップコンデンサを確実に接続することができる。
【0055】
(6)本実施の形態の多層配線基板10において、配線積層部30の上面31側に露出する樹脂絶縁層24には開口部35が形成されるとともに、開口部35内には、上面の高さが樹脂絶縁層24の表面よりも低くなるような状態でICチップ接続端子41が形成されている。このようにすると、ICチップ接続端子41上の開口部35内にてはんだボールを容易に位置決めすることができ、ICチップ接続端子41上におけるはんだバンプの形成をより確実に行うことができる。
【0056】
(7)本実施の形態の多層配線基板10において、コンデンサ接続端子42は、その上面及び側面にはんだを付着させることができる。よって、部品接合時には比較的大きくて好適形状のはんだフィレットを確実に形成することができる。また、ICチップ接続端子41は、その上面をめっき層46で覆った構造を有しているので、ICチップ接続端子41の上面にはんだバンプを確実に形成することができる。ここで、コンデンサ接続端子42の間隔はICチップ接続端子41の間隔よりも広く、またコンデンサ接続端子42はサイズが比較的大きいため、コンデンサ接続端子42の上面及び側面に形成されたはんだによってチップコンデンサを十分な強度で確実にはんだ接続することができる。一方、ICチップ接続端子41の間隔は狭いため、ICチップ接続端子41の横方向(基板平面方向)にはんだバンプが膨らむと、端子間のショートが問題となる。これに対して本実施形態では、ICチップ接続端子41の上面のみにはんだバンプが形成されていて、はんだバンプが横方向に膨らむことがないので、はんだバンプを介した端子間のショートを回避することができる。
【0057】
(8)本実施の形態の多層配線基板10において、複数の樹脂絶縁層21〜24は、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料の硬化物を主体とした同じビルドアップ材を用いて形成されている。つまり、最外層の樹脂絶縁層21,24は、内層の樹脂絶縁層22,23と同じ絶縁性に優れたビルドアップ材で形成されている。このため、各接続端子41,42,45の端子間隔を狭くすることができ、多層配線基板10の高集積化が可能となる。また、多層配線基板10では、最外層にソルダーレジストが形成されていないので、各樹脂絶縁層21〜24とソルダーレジストとの熱膨張係数差に起因して生じる多層配線基板10の反りを回避することができる。
【0058】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0059】
・上記実施の形態の多層配線基板10では、母基板接続端子45の端子外面は平坦面であったが、これに限定されるものではない。例えば、図15に示される多層配線基板10Aのように、母基板接続端子45の端子外面45cを凹形状となるように形成してもよい。この多層配線基板10Aでは、母基板接続端子45を構成する上段金属導体部45bはリング状であり、下段金属導体部45aと樹脂絶縁層21との境界を覆うように配置されている。このように母基板接続端子45を構成しても、下段金属導体部45aと樹脂絶縁層21との境界部分が上段金属導体部45bで塞がれるので、境界部分に加わる応力が緩和される。このため、樹脂絶縁層21にクラックが発生するリスクを減らすことができ、多層配線基板10Aの信頼性が向上する。さらに、母基板接続端子45の端子外面45cにおけるはんだとの接触面積が増すため、はんだ接続の強度を高めることができる。また、図16に示される多層配線基板10Bのように、凹形状の端子外面45cにおける最深部が下段金属導体部45aに至るように母基板接続端子45を形成してもよい。このように母基板接続端子45を構成すると、端子外面45cにおけるはんだとの接触面積が増すため、はんだ接続の強度を高めることができる。また、母基板接続端子45の端子外面45cを凹形状とすると、はんだボールや接続ピンの位置決めを容易に行うことが可能となる。
【0060】
・上記実施の形態の多層配線基板10,10A,10Bにおいて、上面31側に形成されるコンデンサ接続端子42をセミアディティブ法にてパターン形成していたが、サブトラクティブ法にてパターン形成してもよい。なおこの場合、図17に示す多層配線基板10Cのように、コンデンサ接続端子42Aは、上面よりも下面のほうが面積の大きい断面台形状に形成される。このようにすると、コンデンサ接続端子42Aと樹脂絶縁層24との接触面積が増すため、端子強度を十分に確保することができる。また、多層配線基板10Cのように、開口部35内に充填されたフィルドビア導体63によってICチップ接続端子41Aを形成してもよい。さらに、図18に示す多層配線基板10Dのように、ICチップ接続端子41と同様に、開口部35内にて露出するようコンデンサ接続端子42Bを形成してもよい。なお、このコンデンサ接続端子42Bは、ICチップ接続端子41とほぼ同じ高さとなる。
【0061】
・上記実施の形態では、複数の樹脂絶縁層21〜24に形成される複数の導体層26は、下面32側から上面31側に向かうに従って拡径したビア導体34により互いに接続されていたが、これに限定されるものではない。複数の樹脂絶縁層21〜24に形成されるビア導体34は同一方向に拡径した形状であればよく、上面31側から下面32側に向かうに従って拡径したビア導体により、複数の導体層26を互いに接続してもよい。
【0062】
・上記実施の形態では、各接続端子41,42,45を被覆するめっき層46,47,48は、ニッケル−金めっき層であったが、銅以外のめっき層であればよく、例えば、ニッケル−パラジウム−金めっき層などの他のめっき層に変更してもよい。
【0063】
次に、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0064】
(1)同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側に向うに従って拡径したビア導体により接続されている多層配線基板であって、前記積層構造体の前記第2主面側において露出状態にある最外層の樹脂絶縁層には複数の開口部が形成され、前記複数の第2主面側接続端子は、前記開口部内に位置する下段金属導体部と、前記開口部の開口縁を覆う状態で前記下段金属導体部及び前記最外層の樹脂絶縁層の上に形成された上段金属導体部とからなる2段構造を有し、前記上段金属導体部は、主体をなす銅層の上面及び側面を銅以外のめっき層で覆った構造を有することを特徴とする多層配線基板。
【0065】
(2)技術的思想(1)において、前記第1主面側には、接続対象の異なる少なくとも2種類の第1主面側接続端子が存在するとともに、前記第1主面側接続端子の上面の高さが、前記接続対象の種類ごとに異なっていることを特徴とする多層配線基板。
【0066】
(3)同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側に向うに従って拡径したビア導体により接続されている多層配線基板の製造方法であって、金属箔を剥離可能な状態で片面に積層配置してなる支持基材を準備するとともに、前記第1主面側接続端子または前記第2主面側接続端子における下段金属導体部を前記金属箔上に形成する金属導体部形成工程と、前記金属導体部形成工程後、複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化することにより積層構造体を形成するビルドアップ工程と、前記ビルドアップ工程後、前記支持基材を除去して前記金属箔を露出させる基材除去工程と、前記ビルドアップ工程後、前記下段金属導体部を残しつつ前記積層構造体における前記金属箔を選択的にエッチング除去して上段金属導体部を形成することにより、2段構造を有する前記第2主面側接続端子を形成する接続端子形成工程とを含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【符号の説明】
【0067】
10,10A〜10D…多層配線基板
21〜24…樹脂絶縁層
21a…外側主面
26…導体層
30…積層構造体としての配線積層部
31…第1主面としての上面
32…第2主面としての下面
34…ビア導体
37…開口部
41,41A…第1主面側接続端子としてのICチップ接続端子
42,42A,42B…第1主面側接続端子としてのコンデンサ接続端子
45…第2主面側接続端子としての母基板接続端子
45a…下段金属導体部
45b…上段金属導体部
45c…端子外面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側に向うに従って拡径したビア導体により接続されている多層配線基板であって、
前記積層構造体の前記第2主面側において露出状態にある最外層の樹脂絶縁層には複数の開口部が形成され、
前記複数の第2主面側接続端子は、前記開口部内に位置する下段金属導体部と、前記開口部の開口縁を覆う状態で前記下段金属導体部及び前記最外層の樹脂絶縁層の上に形成された上段金属導体部とからなる2段構造を有する
ことを特徴とする多層配線基板。
【請求項2】
前記上段金属導体部は前記下段金属導体部よりも面積が大きいことを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項3】
前記上段金属導体部は前記下段金属導体部よりも面積が大きく、前記下段金属導体部はそれに接続するビア導体の端面よりも面積が大きいことを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項4】
前記積層構造体の前記第2主面側において露出状態にある最外層の樹脂絶縁層の外側主面から最も近い導体層までに相当する厚さは、前記積層構造体における他の樹脂絶縁層の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の多層配線基板。
【請求項5】
前記2段構造を有する前記複数の第2主面側接続端子は、前記端子外面が凹形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の多層配線基板。
【請求項6】
前記2段構造を有する前記複数の第2主面側接続端子は、前記端子外面が凹形状であるとともに、前記端子外面の最深部が前記下段金属導体部に至っていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の多層配線基板。
【請求項7】
前記2段構造を有する前記複数の第2主面側接続端子は、接続対象が母基板であり前記第1主面側接続端子よりも面積の大きい複数の母基板接続端子であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の多層配線基板。
【請求項8】
前記複数の樹脂絶縁層に形成された前記ビア導体は、いずれも前記第2主面側から前記第1主面側に向うに従って拡径した形状を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の多層配線基板。
【請求項1】
同じ樹脂絶縁材料を主体とする複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側に向うに従って拡径したビア導体により接続されている多層配線基板であって、
前記積層構造体の前記第2主面側において露出状態にある最外層の樹脂絶縁層には複数の開口部が形成され、
前記複数の第2主面側接続端子は、前記開口部内に位置する下段金属導体部と、前記開口部の開口縁を覆う状態で前記下段金属導体部及び前記最外層の樹脂絶縁層の上に形成された上段金属導体部とからなる2段構造を有する
ことを特徴とする多層配線基板。
【請求項2】
前記上段金属導体部は前記下段金属導体部よりも面積が大きいことを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項3】
前記上段金属導体部は前記下段金属導体部よりも面積が大きく、前記下段金属導体部はそれに接続するビア導体の端面よりも面積が大きいことを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項4】
前記積層構造体の前記第2主面側において露出状態にある最外層の樹脂絶縁層の外側主面から最も近い導体層までに相当する厚さは、前記積層構造体における他の樹脂絶縁層の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の多層配線基板。
【請求項5】
前記2段構造を有する前記複数の第2主面側接続端子は、前記端子外面が凹形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の多層配線基板。
【請求項6】
前記2段構造を有する前記複数の第2主面側接続端子は、前記端子外面が凹形状であるとともに、前記端子外面の最深部が前記下段金属導体部に至っていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の多層配線基板。
【請求項7】
前記2段構造を有する前記複数の第2主面側接続端子は、接続対象が母基板であり前記第1主面側接続端子よりも面積の大きい複数の母基板接続端子であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の多層配線基板。
【請求項8】
前記複数の樹脂絶縁層に形成された前記ビア導体は、いずれも前記第2主面側から前記第1主面側に向うに従って拡径した形状を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の多層配線基板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−138870(P2011−138870A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296913(P2009−296913)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
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