説明

多数のセグメントからなる物理的構造の寸法の不変性を組立の間に確保するための方法

本発明は、多数のセグメントからなる物理的構造、特に航空機構造の寸法の不変性を組立の間に確保するための方法に関する。この方法は、以下の工程を有する。後に組み立てられる物理構造を収める空間的に固定された3次元の座標系(90)が構成され、組み立てられる前記物理構造の複数のセグメント(31,32,33)が前記空間的に固定された3次元の座標系(90)に導入され、前記空間的に固定された3次元の座標系(90)内での個々の前記セグメント(31,32,33)の位置及び既に組み立てられたセグメント(31,32,33)のグループの位置が組立の間に繰り返し記録され、そして、セグメント(31,32,33)の夫々の位置又は既に組み立てられたセグメント(31,32,33)のグループの夫々の位置が、所望の寸法の不変性に従って夫々の所定の公称値によって予め決定された許容誤差幅の外にあることを夫々の記録が示すならば、セグメント(31,32,33)の夫々の位置又は既に組み立てられたセグメント(31,32,33)のグループの夫々の位置が修正される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のセグメントからなる物理的構造の寸法の不変性を組立の間に確保するための方法及び機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な適用性に対していかなる制限もともなわず、本発明及びその基礎をなす問題が、多数のセグメントからなる航空機構造の組立に関連して説明される。
現在のところ航空機機体製造に使用される生産施設は形状を定義する要素を有し、この要素の使用から、最終的な外皮形状が作成される。これらの形状を定義する要素は、通常、鉄鋼で構成されて、機体シェルの内部の流線形状をこれらの要素に固定できるように製造される。この固定は、得られる外部の流線形状の位置が予定通りの輪郭に対応するように行われる。この場合、要素の使用の期間の間中、特に夫々の航空機機体の製造の期間の間中、許容できる許容誤差幅の内にある1桁内でのみ形状を定義する要素が変化することを確保することが必要である。
【0003】
より現代の製造取付技術は、これらの形状を定義する要素を既に省き、この目的のために、数値制御された位置決め軸を活用している。この場合、形状は、個々の機体セグメントを相互に正確に位置決めすることにより完成される。この生産技術では、上述された生産技術のように、作業結果が、作業全体の終わりにチェックされる。これは、製造環境が、温度変動、地質学的、部分的な製造工場の低下及び上昇、及び、同様のもののせいで、作業時間全体を通して安定した状態にとどまらないため、必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述されている製造技術において見つけられている1つの欠点は、特定の状況下で、作業全体の終わりでの測定の結果として、許容されない不一致が存在していることが見つけられるという事実である。許容できない不一致は、既に実行された全ての価値創成段階の完了後に別々の作業工程で発生し、この状況は、これらの製造構想を財政的に高価で魅力のないものにしている。
【0005】
そのために、本発明の目的は、組立の間、多数のセグメントからなる物理構造の寸法の不変性(dimensional constancy)を確保するための改良された方法及び機構を提供することにある。この方法及び機構は、製造工程における寸法の不変性の監視及び必要に応じて修正を常に、好ましくは連続的にさえ、許容する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項1によれば、多数のセグメントからなる物理構造、特に航空機構造の寸法の不変性を確保するための方法を、請求項11によれば対応する機構を、そして、請求項12によれば、コンピュータプログラム製品を提供する。
本発明の要旨の有利な進歩及び改良は従属請求項内に見つけられる。
航空機構造という表現は、例えば、航空機の機体若しくは航空機の機体のセクション又はこれらの両方、主翼若しくは主翼のセクション又はこれらの両方、並びに、安定装置若しくは安定装置の部分又はこれらの両方を含む。
【0007】
例えば、空間的に固定された座標系は、製造工場の中の定点に基づいて形成されてもよく、または、例えば1つ以上の衛星に基づいて、製造工場の外の固定点に基づいて形成されてもよい。
一例として、寸法の不変性が、要求される寸法の不変性に不適合であることが見つかったならば、これを修正する1つの適当な方法は、相互に組み立てられる物理構造の2つのセグメントを、それらがしっかり相互に接続される前に、もう一度相互に相対的に並べることである。また、セグメントの夫々の位置、又は、既に組み立てられたセグメントのグループの夫々の位置のこの修正は、寸法の不変性が所定の許容誤差幅内にあるように提供される。換言すれば、また、本発明によるその方法及び本発明によるその機構は、いかなる他の測定、検査方法又はこれらの両方と正確に同じように、一定の、望ましくは自由に予め定められる、許容誤差を許容する。
【0008】
基本的に、空間的に固定された3次元の座標系の中で位置を監視するために以下の2つの手順を採用することができる。
a)セグメント又はセグメントのグループの相互の相対的な位置は、空間的に固定された座標系の中で監視され、そして、セグメント又はセグメントのグループは、記録された位置に基づいて互いに相対的に並べられる。この場合、空間的に固定された座標系の中において、完全に組み立てられた物理構造の空間的な位置は、二次的に重要である。
b)空間的に固定された座標系の中の個々のセグメントかセグメントのグループの絶対位置は監視され、そして、セグメントは空間的に固定された座標系の中で予め決定可能な公称の位置に基づいて並べられる。この場合、空間的に固定された座標系の中において、完成した物理構造の空間的な位置は、主として重要である。
【0009】
本発明及び請求項1による方法は、請求項11による対応する機構と同様に、組立作業の間にいつでも物理構造の組立の結果が予測され得るか、修正され得るか、又はこれらの両方がされ得るという、従来技術を超える利点を有する。
物理構造の組立の全期間の間中繰り返される、望ましくは連続的な、個々のセグメント若しくはセグメントのグループの位置の記録は、形状を定義する要素を使用するとき、排除する手段を用いて要求される寸法の不変性からのあらゆる不一致を排除することを可能にするので、望ましい寸法の不変性が組立作業の終わりに存在し、そして、物理構造が更に速やかに処理され得る。
【0010】
数値制御された位置決め装置を使用するとき、組立作業の間に決定される幾何学的データを速やかに処理することができ、被制御変数として使用できるので、要求される寸法の不変性からの不一致が、理想的な組立作業の終わりに存在しない。
本発明の1つの好ましい改良は、個々のセグメントかセグメントのグループの位置の非接触記録のために、空間的に固定された座標系の中で記録される測定点の位置か、記録された異なるセグメントに関連する測定点に対する相対的な位置か、又は、これら両方の位置とともに、物理構造の組立の間、測定点が個々のセグメントかセグメントのグループに並べられたまま不変にとどまることを提供する。要求され得る位置の修正はどれも、空間的に固定された座標系の中での測定点の位置の変化によってか、異なるセグメントに関連している測定点に対する相対的な位置の変化によってか、又は、これら両方の変化によって行われる。一例として、測定点は、数値制御された位置決め装置に通常使用される測定点、例えば個々のセグメントに着色された印、からなってもよい。望ましくは、測定点は補助の機構を備え、補助の機構は、セグメントかセグメントのグループに並べられ、例えば、衛星に基づく位置のデータを決定することができ、且つ、この位置のデータを中央制御機構に渡すことができる。
【0011】
本発明の更なる好ましい改良は、主送信機に対する副送信機の位置が連続的に監視されながら、且つ、位置の値の予め決められた公称値からのどんな不一致が発生したときでも副送信機からの測定値が修正されながら、空間的に固定された座標系が主送信機と複数の副送信機によって形成されることを提供する。一例として、主送信機は、空間的に固定された座標系の中の1つ以上のセグメントの位置の非接触記録のためのセンサであってもよく、製造工場の中での主送信機の位置は知られているか、又は、主送信機の位置が空間的に固定された座標系の中で原点又は固定点として先験的に使用される。この場合、副送信機は更なる追加のセンサであってもよく、追加のセンサは、望ましくは、主送信機と直接、又は、間接に光学上の繋がりを有しており、例えば、主送信機から離れる方向を向いた物理構造の側に位置付けられているセグメントの位置を記録する。空間的に固定された座標系が衛星で支援された位置のデータによって形成されることは、同様に可能である。この場合、位置を見つけるための地平線の上にあるそれぞれの衛星は、副送信機として使用される。この場合、例えば、衛星で保護された位置のデータの遅延時間誤差、あいまいさ、又はその両方を修正するために、位置が知られている地上局が主送信機として機能する。
【0012】
本発明の更なる好ましい改良は、空間的に固定された座標系内で送信機によって非接触で記録される、個々のセグメントの位置、若しくは、個々のセグメントに並べられる測定点の位置、又はこれらの両方の位置を提供する。この場合、空間的に固定された座標系内の送信機が、主送信機と共にセンサを備えることが準備される。センサは、例えば空間的に固定された座標系の原点として使用される主送信機の位置とともに、例えば個々のセグメントの位置を非接触で記録するためのものである。主送信機は、副送信機として使用されるセンサの測定値をそれらの公称の位置からのどんな不一致が発生した場合でも修正するために、主として副送信機の位置を監視するのに使用されるものである。
【0013】
本発明の更なる好ましい改良は、補助の道具によって監視される、個々のセグメントの位置、若しくは、個々のセグメントに並べられる測定点の位置、又はこれらの両方の位置を補助の道具の位置と共に提供する。補助の道具の位置は、空間的に固定された座標系内の送信機によって、空間的に固定された座標系内で連続的に監視される。この目的のために使用できる補助の道具は、例えば、数値制御された位置決め装置であってもよい。数値制御された位置決め装置の夫々の位置は、製造工場内において知られているか、空間的に固定された座標系の中で監視されているか、又は、これらの両方である。補助の道具の位置とその公称の位置との間での不一致が見つけられるなら、考慮されるべき2つの好ましい選択がある。
a)補助の道具をその公称の位置に新しく位置決め。
b)補助の道具によって記録された位置データのため、若しくは、この補助の道具の制御データのため、又は、これら両方のための、補助の道具の位置とその公称の位置との間の不一致の計算及び修正率の計算。修正率はこの不一致を考慮に入れる。
【0014】
空間的に固定された座標系が衛星で保護された座標データによって形成されるなら、補助の道具が、セグメントの位置の非接触記録のためのセンサ、若しくは、物理構造の一部を形成するべく既に組み立てられたセグメントのグループの少なくとも外部の輪郭の記録のためのセンサ、又は、これらセンサの両方を備えることが可能である。これらのセンサには、空間的に固定された座標系の中で、それらの位置を決定するための手段が設けられている。そしてこの位置のデータは、例えば、個々のセンサの測定値を修正するのに使用され得る。
【0015】
本発明の更なる好ましい改良は、衛星で支援された位置のデータ、例えば、ガリレオかGPS(全地球測位システム)、によって形成される空間的に固定された座標系を提供する。これは、空間的に固定された座標系が屋外での航空機の保守作業に関連して使用されるとき、特に有利である。
本発明の更なる好ましい改良は、レーザーで支援された位置のデータによって形成される空間的に固定された座標系を提供する。例えば、空間的に固定された座標系が、扇形状の複数のレーザー光線、いわゆるレーザーファンによって形成されることが可能である。レーザー光線は、空間的に固定された座標系で個々の送信機によって発信される。全ての送信機のレーザーファンは、空間的に固定された座標系の中の座標に対応して、多数の交差を形成する。既に組み立てられたセグメントのグループの個々のセグメントの位置、測定点の位置、又は、これらの両方の位置は、レーザー座標の光学式記録又はセグメント若しくは測定点での反射によって、又は、例えば測定点に配置されたレーザーに反応する受信機によって、監視され得る。レーザーで支援された座標系は同様に可能であり、この座標系では、それぞれの送信機に基づく遅延時間の測定値によって測定点の座標が決定される。
【0016】
本発明の更なる好ましい改良は、空間的に固定された座標系にて主として互いに対して記録され、物理構造の寸法の不変性を支配する、セグメント又はセグメントのグループの相対的な位置を提供する。従って、空間的に固定された座標系の中に、最初のセグメントの絶対位置を原点とする更なる座標系を導入することが、原則として可能である。更なる座標系は、空間的に固定された座標系の中でセグメントとともに、組立作業の間、位置を変えることができるため、空間的に固定された座標系の中で最初のセグメントの位置に対して変化した場合に、更なる座標系の中の個々のセグメントの座標は不変のままである。この場合、個々のセグメントの座標の互いの間の相対的関係は、この更なる座標系の中で不変のままである。
【0017】
本発明の更なる好ましい改良は、空間的に固定された座標系にて主として記録され、物理構造の寸法の不変性を支配する、空間的に固定された座標系でのセグメント又はセグメントのグループの絶対的な位置を提供する。本発明の更なる好ましい改良は、物理構造の寸法の不変性の連続的な監視のために、空間的に固定された座標系の中の個々のセグメント若しくはセグメントのグループの位置の記録に加えて、又は、代わりに、外部の輪郭の少なくとも一部の非接触の記録を提供する。外部の輪郭は、外部の流線形状を反映する。外部の輪郭は、既に組み立てられたセグメント若しくはセグメントのグループ、配置されたセグメント若しくはセグメントのグループ、又は、これらセグメント若しくはセグメントのグループの両方、及び、望ましくは、それぞれの作業工程で加えられるセグメント若しくはセグメントのグループの外部の輪郭である。
【本発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態は、以下の記載で詳細に説明され、且つ、図面で例証される。
図示されていない準備の方法工程では、空間的に固定された3次元の座標系が、複数の個々のセグメントから航空機構造の形状の物理構造が後に組み立てられる予定の領域で設定される。このため、空間的に固定された3次元の座標系は、完全な航空機構造を収める。
【0019】
同様に図示されていない第2の準備の方法工程では、測定点(または目標とも称される)は、個々のセグメントの位置の連続した非接触の記録のために、設定された空間的に固定された3次元の座標系の中で、個々のセグメントに永久に付与される。
これら2つの準備の方法ステップの終了後、図1に示される主要な方法が行われる。
第1の主な方法ステップa)では、目標を設けられたセグメントが記録されるか(clocked in)又は登録される。すなわち、個々のセグメントの目標の位置、セグメントの種類、及び、組み立てられる航空機構造の中でのセグメントの位置が決定される。
【0020】
第2の主な方法ステップb)では、第1のセグメントが、空間的に固定された3次元の座標系を形成する送信機の記録された領域に入る。この場合、空間的に固定された座標系の中の第1のセグメントの位置及び方向が決定され、若しくは、設定値に従って設定され、又はこれら決定及び設定が行われる。第1のセグメントの位置及び方向の記録は、例えば、カメラと適当な画像処理アルゴリズムによって光学的に行われ得る。しかしながら、GPS等の衛星で支援されたナビゲーションシステムと同様の方法にて、空間的に固定された座標系の中で個々の目標のための例えば位置のデータを決定するために、目標だけを使用することもまた可能である。それぞれのセグメントの種類、用途、及び寸法、並びに、適当な場合には目標に使用されるあらゆる識別表示に関し、ステップa)において記録及び登録手続の間に得られた知識は、空間的に固定された座標系の中でそれぞれのセグメントの公称の位置を決定すること、及び、公称位置からのどんな不一致でも決定することに使用される。
【0021】
第3の主な方法ステップc)では、第1のセグメントを支持する数値制御された位置決め装置が、後の航空機構造全体の中における第1のセグメントの配置に対応する正確な公称の位置に第1のセグメントを移動させる。
第4の主な方法ステップd)は、組立作業全体の間中、例えば温度の影響の結果として変化するかもしれないこの位置の連続的な調査を提供する。
【0022】
言い換えれば、主な方法ステップd)では、空間的に固定された3次元の座標系の中の第1のセグメントの位置及び方向が、組立作業全体の間中、反復して周期的に記録される。
この場合、3番目と4番目の主な方法ステップc)とd)は、制御ループRKをそれぞれ形成する。例えば温度の影響のために、位置に変化が見つけられたら、第1のセグメントはもう一度、その正確な公称の位置に移動させられる。
【0023】
第1のセグメントの現実の位置がその公称の位置に合っているなら、第1のセグメントは第5の主な方法ステップe)にて安定させられる。
第6の主な方法ステップf)では、公称の位置と現実の位置との一致が記録され、そして、品質管理目的のために保たれる。
既に説明された主な方法ステップa)〜f)は、個々のセグメントのために引き続いて行われ、そしてそれから、航空機構造全体を形成するすべのセグメントが取り付けられ、航空機構造が完全に組み立てられるまで、周期的に繰り返される。
【0024】
一例として、この実施形態によれば、この方法は、大きい形式の航空機構造の組立に有利に使用され得る。高精度で正確な翼の作業が、航空機構造又は他の構造の比較的小さい部分で行われることを予定しており、且つ、この作業が数時間か数日の長い期間に渡るかもしれないときにもまた、この方法は原則として使用され得る。
引き続きこの方法を実行し、且つ、この方法に関連する利点を達成するための基礎は、製造プロセスにおいて、十分正確な3次元の測定法の実現である。このため、品質評価に関連している測定点をいつでも監視することができ、あらゆる測定点が3次元の座標値として永久に利用可能である。
【0025】
このようなオンライン監視のために、以下の変形が可能である。
a)実際の作業環境の近傍に位置付けられている点の監視、及び、監視された点における変化と航空機機体形状で見つけられた変化との間の対応する相関関係の構成。
b)関連する航空機機体座標の直接の永久的な幾何学的測定、及び、見つけられたあらゆる変化のための対応する修正値の計算。修正値は、制御指令として数値制御された位置決め装置に渡される。
【0026】
この方法は、複数のセグメントからの航空機構造の組立の間中、常に、組み立てられた航空機構造の寸法の不変性が維持され得ることを確実にする。このことは、組立作業の最終的な結果として知られている。その上、寸法の不変性の品質管理及び調査が組立作業の間に既に行われ、そして、連続的に記録されているので、組立作業直後にこの方法を使用することは、航空機機体の更なる処理を許容する。さらに、組立作業全体が連続的に調査されて、完全な航空機構造の寸法の不変性のために必要なら修正されるので、この方法は再加工の費用や無駄を大幅に削減する。
【0027】
図2は、図1に示された本発明による方法の実施形態を実行するための機構の略図を示す。
複数のセグメント31,32,33から組み立てられる航空機構造30を収める空間的に固定された座標系90は、主送信機10と複数の副送信機11,12,13によって形成される。副送信機11,12,13にはすべて、主送信機10との直接の光学上の繋がりがある。主送信機10は、副送信機に起こり得るあらゆる位置の移動を中央計算ユニット20に信号で伝えるために、副送信機11,12,13の位置を連続的に監視する。例えば、航空機構造30の後ろに配置された副送信機の位置は、例えば、直接の光学上の繋がりを有する副送信機11,12,13を経由して結合された、間接的な光学上の繋がりを通して監視してもよい。
【0028】
航空機構造30は複数のセグメント31,32,33から組み立てられる。空間的に固定された座標系90の中の個々のセグメント31,32,33の位置と方向が記録されるのを許容するために、目標40は、セグメント31,32,33に並べられ、そして、送信機10,11,12,13によって非接触で記録され得る。目標40の位置は、空間的に固定された座標系90の中で、複数の送信機10,11,12,13からの例えばレーザー光線を使用して、干渉か遅延時間測定で決定され得る。例えば、それぞれのセグメント31,32,33が空間的に固定された座標系90及び送信機10,11,12,13の記録領域に導入されるときに互いの目標40の関節運動の相関関係に基づいて、又は、セグメント31,32,33の記録又は登録によって、目標40と個々のセグメント31,32,33との関連が一度知られると、空間的に固定された座標系の中のセグメント31,32,33の位置が、目標40の位置に基づいて中央計算ユニットによって計算され得る。
【0029】
個々のセグメント31,32,33は、調整可能な建造機構51に配置される数値制御された位置決め装置50によって、それらの公称の位置及び公称の方向に移動させられる。この場合、中央計算ユニット20は、数値制御位置決め装置50を制御する。
本実施例の場合、航空機構造30は以下のように組み立てられる。
まず、第1セグメント31が座標系90の中に導入され、そして、送信機10,11,12,13の記録領域の中に導入される。セグメント31は、航空機構造30の中でのこのセグメント31の先験的な予定された位置に基づいて、座標系90内に位置決めされ且つ整列される。第2セグメント32は、2つのセグメント31,32が協働して、これら2つのセグメント31,32によって形成される航空機構造30の部分の寸法の不変性を確保するように、座標系90にすぐに同様に導入されて、絶対的又は第1セグメント31に対して相対的に、座標系内で位置決めされ且つ整列させられる。そして、2つのセグメント31,32は相互に堅固に接続される。
【0030】
それから第3セグメント33が導入され、航空機構造の既に組み立てられたセグメント31,32に相対的に位置決めされ、整列させられる。既に組み立てられた部品上の目標40は、中央計算ユニット20によってグループ化され、2つのセグメント31,32からなる新しい一つのセグメントを形成する。
セグメント31,32から組み立てられた航空機構造30の部分に対するセグメント32の位置決めと整列の間に、それらの位置が、絶対的又は互いに相対的に、予め決められた最大の許容される公差の外にあることが見つけられたとき、寸法の不変性におけるどんな不一致も航空機構造30の組立の間に検出され得る。
【0031】
原則として、衛星で保護された位置のデータによって、空間的に固定された座標系を形成することが可能である。この場合、位置決定のための地平線の上にあるそれぞれの衛星は副送信機として使用される。この場合、一例として、衛星で保護された位置のデータの遅延時間の誤差、あいまいさ、又は、これらの両方を修正するために、位置が知られている地上局が主送信機として使用される。この場合一例として、目標は、航空機構造の組立の期間のあいだセグメントに固定されるように配置されたDGPS(ディファレンシャルGPS)受信機を備えてもよい。DGPS受信機は、それらの位置のデータを中央計算ユニットに渡す。
【0032】
空間的に固定された座標系は同様に、例えば、空間的に固定された座標系の送信機からのレーザー光線の発信又はレーザー光線のファンによって局所的に形成されている、例えば座標の3次元のネットワークを備え、レーザーで保護されていてもよい。そのネットワーク内では、例えば、測定点の位置が決定され得る。個々のセグメントの表面で反射されたレーザー光線に関する遅延時間測定を行うのは同様に可能である。一例として、この目的のために、測定点の位置は、複数の送信機からのレーザー光線によって見つけられ、そして、例えば、後方への拡散放射が検出される。この場合、レーザー光線の適当な変調によって個々のレーザー光線の遅延時間が計算され得る。
【0033】
本発明は、好ましい実施形態を参照して上述されたが、それらに制限されることはなく、種々変形が可能である。
本発明は、航空機構造を参照して説明されたが、航空機構造の生産のために使用することに制限されません。例えば、本発明による方法は、同様に非常に良い寸法の不変性の要求がある他の技術分野での、特に、大きい形式の軽量の構造の生産のために、例えば、宇宙飛行又は海の輸送システムの生産のために、使用されることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明による方法の一実施形態による手順を例証するためのフローチャートを示す。
【図2】図2は、図1に示された本発明による方法の実施形態を実行するための機構の略図を示す。
【符号の説明】
【0035】
10 主送信機
11,12,13 副送信機
20 中央計算ユニット
30 航空機構造
31,32,33 セグメント
40 目標
50 数値制御位置決め装置
51 調整可能建造機構
90 空間的に固定された座標系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後に組み立てられる物理構造を収める空間的に固定された3次元の座標系(90)が構成され、
組み立てられる前記物理構造の複数のセグメント(31,32,33)が前記空間的に固定された3次元の座標系(90)に導入され、
前記空間的に固定された3次元の座標系(90)内での個々の前記セグメント(31,32,33)の位置及び既に組み立てられたセグメント(31,32,33)のグループの位置が組立の間に繰り返し記録され、そして、
セグメント(31,32,33)の夫々の位置又は既に組み立てられたセグメント(31,32,33)のグループの夫々の位置が、所望の寸法の不変性に従って夫々の所定の公称値によって予め決定された許容誤差幅の外にあることを夫々の記録が示すならば、セグメント(31,32,33)の夫々の位置又は既に組み立てられたセグメント(31,32,33)のグループの夫々の位置が修正される
工程を有する、多数のセグメントからなる物理的構造、特に航空機構造の寸法の不変性を組立の間に確保するための方法。
【請求項2】
前記位置を記録するために、測定点(40)が個々のセグメント(31,32,33)に固定して並べられることを特徴とし、それらの位置が記録され、そして、測定点(40)の位置を修正することにより前記位置は修正されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
前記空間的に固定された座標系(90)は、主送信機(10)及び複数の副送信機(11,12,13)によって形成されることを特徴とし、そして、前記副送信機(11,12,13)の位置は、主送信機(10)によって監視されることを特徴とし、そして、前記副送信機(11,12,13)からの測定値の予め設定された公称値からの不一致の結果、前記副送信機(11,12,13)からの測定値は修正されることを特徴とする請求項1又は2の方法。
【請求項4】
前記主送信機(10)及び前記副送信機(11,12,13)の位置は非接触にて記録されることを特徴とする請求項3の方法。
【請求項5】
前記空間的に固定された座標系(90)内において補助道具(50)の位置が連続的に監視された状態で、補助道具(50)の位置が監視されることを特徴とする請求項1、2又は3の方法。
【請求項6】
前記空間的に固定された座標系(90)は衛星で保護された位置データによって形成されていることを特徴とする前述の請求項のうちの一つの方法。
【請求項7】
前記空間的に固定された座標系(90)はレーザーで支援された位置データによって形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のうちの一つの方法。
【請求項8】
前記セグメント(31,32,33)の相互の相対的な位置は、前記空間的に固定された座標系(90)において記録されることを特徴とする前述の請求項のうちの一つの方法。
【請求項9】
前記空間的に固定された座標系(90)における前記セグメント(31,32,33)の絶対的な位置は、前記空間的に固定された3次元の座標系(90)において記録されることを特徴とする請求項1乃至7のうちの一つの方法。
【請求項10】
前記セグメント(31,32,33)若しくはセグメントのグループの外部の輪郭は、前記位置を記録するために記録されることを特徴とする前述の請求項のうちの一つの方法。
【請求項11】
後で組み立てられる物理構造を収める空間的に固定された3次元の座標系(90)を設定するための装置、
組み立てられる前記物理構造の複数のセグメント(31,32,33)を前記空間的に固定された3次元の座標系(90)を導入するための装置、
前記空間的に固定された3次元の座標系(90)内での個々の前記セグメント(31,32,33)の位置及び既に組み立てられたセグメント(31,32,33)のグループの位置を組立の間に記録するための装置、及び、
セグメント(31,32,33)の夫々の位置又は既に組み立てられたセグメント(31,32,33)のグループの夫々の位置が、所望の寸法の不変性に従って夫々の所定の公称値によって予め決定された許容誤差幅の外にあるという前記記録装置からの出力に応えて、セグメント(31,32,33)の夫々の位置又は既に組み立てられたセグメント(31,32,33)のグループの夫々の位置を修正するための装置
を有する、多数のセグメントからなる物理的構造、特に航空機構造の寸法の不変性を組立の間に確保するための機構。
【請求項12】
コンピュータとつないで使用される媒体に記憶され、コンピュータで実行されたときにコンピュータに請求項1乃至10のうちの一つの方法を実行させるコンピュータが判読可能なプログラム手段を備えるコンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−535612(P2009−535612A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507088(P2009−507088)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054152
【国際公開番号】WO2007/125097
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(505115016)エアバス ドイチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (76)
【氏名又は名称原語表記】AIRBUS DEUTSCHLAND GMBH
【住所又は居所原語表記】Kreetslag 10, 21129 Hamburg, GERMANY
【Fターム(参考)】