説明

多数の押し出し成形部材の組合せから構成された金属フレーム、及びその製造方法

多数の直線棒材(2)の組合せから構成された金属フレーム(1)であって、前記多数の直線棒材(2)は、一定の断面を有し、押し出し成形により製造され、前記複数の直線棒材(2)それ自体を差し込むための複数の承口(4)を備えた複数の接合体(3)によって規定される複数の構造的結節部において、互いに溶接により接合されており、各接合体(3)は箱形状で、各荷重支承部材(5)の組合せから構成されており、前記荷重支承部材(5)は押し出し成形で作製され、押し出し成形の所定の方向(6)を有しており、前記押し出し成形の方向(6)に垂直に据付られ、前記荷重支承部材(5)それ自体の両対向側で前記荷重支承部材(5)に溶接されている一対の平面の閉鎖金属薄板(7)を伴っている金属フレーム(1)が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の押し出し成形部材の組合せから構成された金属フレーム、及びその製造方法に関する。
【0002】
本発明は、自動車の金属フレームの製造のための自動車の設計分野において有用であることを見出した。そのことについて、普遍性の如何なる喪失をも暗示することなく、引き続く問題の論じ方では明確に言及するだろう。
【背景技術】
【0003】
多数の押し出し成形部材の組合せから構成された自動車のフレームは、多数の直線棒材を含んでいる。前記多数の直線棒材は、一定の断面を有し、押し出し成形により得られ、複数の前記直線棒材それ自体の端部を差し込むための複数の承口を備えた複数の接合体によって規定される複数の構造的結節部において、互いに溶接により接合されている。
【0004】
目下、複数の押し出し成形金属部材の一組の組合せにより得られた自動車のフレームにおいては、押し出し成形では得られない複雑な形状を有するように鋳造により製造されている複数の接合体(即ち、前記フレームの多数の部材が接合される複数の部分)を除いて、前記フレームの全ての部材は押し出し成形により製造される。しかしながら、鋳造により製造される複数の接合体は、金型の製造が高価であることから、重くて高価(特に、スポーツカーの限定生産の場合)であることがわかる。さらに、接合体のためのある金型が一旦製作されると、前記接合体それ自体の構造的変形を用意するために前記金型それ自体に対して変形を加えることは困難である。
【発明の開示】
【0005】
本発明の目的は、製造し実行することが簡単で経済的に有用であり、同時に上述の欠点を除いた、多数の押し出し成形部材の組み合わせで構成された金属フレーム、及びその製造方法を提供することである。
【0006】
本発明によると、多数の押し出し成形部材の組み合わせで構成された金属フレームが請求項1に、好ましくは、請求項1に直接又は間接的に従属している複数の請求項のいずれか一つに特定されているように提供される。
【0007】
本発明によると、多数の押し出し成形部材の組み合わせで構成された金属フレームの製造方法が請求項9に、好ましくは、請求項9に直接又は間接的に従属している複数の請求項のいずれか一つに特定されているように提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、添付の限定されたものではない実施例を示している図面を参照することで以下に記述される。
【0009】
図1には、符号1によって金属フレームが示されている。前記金属フレームは部分的にしか示されていないが、多数の直線棒材2を含んでおり、前記多数の直線棒材は、一定の断面を有し、押し出し成形により製造され、複数の接合体3によって規定される複数の構造的結節部において、互いに溶接により接合されている。特に、図1はフレーム1の、個々の接合体3によって画定され、4つの直線棒材2の組合せを得るために設計された結節部を示している。図2に示されるように、接合体3は4つの承口4を有しており、各承口は対応する直線棒材2の端部を差し込むために設計されている。
【0010】
図3及び図4に示されるように、接合体3は箱形状で、荷重支承部材5の組合せから構成されている。前記荷重支承部材5は、実質的に押し出し成形で製造され、押し出し成形の所定の方向6を有しており、前記押し出し成形の方向6に垂直に据付られ、前記荷重支承部材5それ自体の両対向側で荷重支承部材5に溶接されている一対の平面の閉鎖金属薄板7を伴っている。
【0011】
好ましくは、複数の平面の閉鎖金属薄板7は、FSW(摩擦溶接)タイプの溶接によって荷重支承部材5に溶接されている。
【0012】
前記公知の溶接方法論は、2つの金属部材間の溶接が前記2つの金属部材のまさに1つの上で、特により接近できる位置に据え付けられた前記金属部材上で、力を及ぼすことで実行されることを可能とする。図1には、閉鎖金属薄板7を荷重支承部材5に接合している複数の溶接部を符号8で示している。好ましくは、接合体3は複数の直線棒材2にFSWタイプの溶接方法で溶接されている。図1には、接合体3を複数の直線棒材2に接合している溶接領域を符号9で示している。
【0013】
図3に示されているように、接合体3はさらに、荷重支承部材5の押し出し成形の方向6に平行に据え付けられ、それぞれの承口4を画定するために荷重支承部材5それ自体に溶接されている平面金属薄板10を備えている。金属薄板10は、荷重支承部材5の製作と同時に、直接押し出し成形によって製造することができる。しかしながら、その後続いて、直線棒材2の適切な挿入を可能にするためと同時に製造誤差に起因する如何なるあそび又は障害を回復することができるように、金属薄板10によって画定された承口4内に挿入された直線棒材2を荷重支承部材5に連結してから、金属薄板10を荷重支承部材5に溶接することが好ましい。
【0014】
フレーム1の製作中に、個々の直線棒材2の荷重支承部材5それ自体への接合に先立って、複数の閉鎖金属薄板7は荷重支承部材5に対して溶接され、でなければ、多数の個々の直線棒材2が荷重支承部材5それ自体へ接合された後に、少なくとも1つの閉鎖金属薄板7は荷重支承部材5に対して溶接される。上述した製作の2つの態様間の選択は、例えば、直線棒材2の縦方向の動きではなく横方向の動きを伴った挿入を強いるかもしれない製造上の制約、及び製造誤差に起因する如何なるあそび又は障害を回復することの必要性に依存する。
【0015】
異なる実施例によると、接合体3の荷重支承部材5は多数の簡単な部材11(前記簡単な部材11は図9に示されている)の横の結合によって形成され、前記簡単な部材の各々は押し出し成形により直接製造され、複数の他の簡単な部材11の押し出し方向6と平行な所定の押し出し方向を有している。前記構造上の態様は、接合体3の荷重支承部材5が大きな寸法及び複雑な形状を有する場合に、通常用いられる。荷重支承部材5を構成する複数の簡単な部材11は、溶接によって及び/又は機械的に同時に穴を開けることによって互いに横に結合される(ジグソーパズルの複数の小片のように)。好ましくは、構成する全ての複数の簡単な部材11及び同一の荷重支承部材5は、互いに同一である。
【0016】
上述の接合体3から出発して、異なる平面に従って荷重支承部材5を機械加工し、適切に複数の閉鎖金属薄板7を曲げることで、複数の直線棒材2間に90°以外の角度を含むか、異なる押し出し成形部分を含んでいるようなより複雑な結合構造を得ることができる。
【0017】
図5はアルミニウム製の自動車のフレーム1を示している。図1から図4に示されたフレーム1と同様な方法で、図5に示されたフレーム1は多数の直線棒材2を含んでおり、前記複数の直線棒材は、一定の断面を有し、押し出し成形により製造され、複数の接合体3によって規定される複数の構造的結節部において、互いに溶接により接合されている。特に、各サスペンションの取り付け領域には4つの接合体3が存在している。
【0018】
図6は、前部サスペンションの取り付け領域に据付られた図5のフレームの接合体3の透視図である。図7〜図9によると、接合体3は箱形状で、荷重支承部材5の組合せから構成されている。前記荷重支承部材5は、実質的に押し出し成形で製造され、押し出し成形の所定の方向6を有しており、前記押し出し成形の方向6に垂直に据付られ、前記荷重支承部材5それ自体の両対向側で荷重支承部材5に溶接されている一対の平面の閉鎖金属薄板7を伴っている。図6には、閉鎖金属薄板7を荷重支承部材5に接合している溶接線を符号8で示している。
【0019】
前記フレーム1の複数の接合体3は、複数の内部コアの存在のために軽いことがわかり、特に限定生産の場合に生産するのが簡単で経済的に有利であることがわかった、という限りでは、上述した金属フレームは種々の効果を有する。さらに、複数の個々の接合体3に対してさえ、構造的変更を行うことが非常に簡単で早い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明により製造され、接合体と多数の直線棒材を備えたフレームの一部の透視図である。
【図2】図1のフレームの分解組立図である。
【図3】図1の接合体の押し出し成形により製造された荷重支承部材の透視図である。
【図4】図1の接合体の一対の閉鎖金属薄板の透視図である。
【図5】明確化のために複数の部品を除外した状態の、本発明により製造された自動車のフレームの概略の透視図である。
【図6】前部サスペンションの取り付け領域に対応する部位に据付られた図5のフレームの接合体の拡大した状態での透視図である。
【図7】図6の接合体の押し出し成形により製造された荷重支承部材の透視図である。
【図8】図6の接合体の一対の閉鎖金属薄板の透視図である。
【図9】図7と同様の荷重支承部材を供給するために設計された簡単な部材の透視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の押し出し成形部材(2)の組合せから構成された金属フレーム(1)であって、
前記フレーム(1)は、多数の直線棒材(2)を含んでおり、前記多数の直線棒材は、一定の断面を有し、押し出し成形により製造され、複数の接合体(3)によって規定される複数の構造的結節部において、互いに溶接により接合されており、
各接合体(3)は多数のそれぞれの承口(4)を有しており、前記多数のそれぞれの承口は対応する直線棒材(2)を差し込むために設計されており、
各接合体(3)は箱形状で、各荷重支承部材(5)の組合せから構成されており、前記荷重支承部材(5)は、実質的に押し出し成形で作製され、押し出し成形の所定の方向(6)を有しており、前記押し出し成形の方向(6)に垂直に据付られ、前記荷重支承部材(5)それ自体の両対向側で前記荷重支承部材(5)に溶接されている一対の平面の閉鎖金属薄板(7)を伴っていることを特徴とする前記フレーム(1)。
【請求項2】
荷重支承部材(5)は多数の簡単な部材(11)の横方向の組み合わせから形成されており、簡単な部材の各々は押し出し成形により直接得られ、他の複数の簡単な部材(11)の押し出し成形の方向(6)と平行な所定の押し出し成形の方向(6)を有している、請求項1記載のフレーム(1)。
【請求項3】
荷重支承部材(5)を構成する前記複数の簡単な部材(11)は、溶接により互いに横方向に接合される請求項2記載のフレーム(1)。
【請求項4】
荷重支承部材(5)を構成する前記複数の簡単な部材(11)は、機械的穴開け手段により互いに横方向に接合される請求項2又は請求項3記載のフレーム(1)。
【請求項5】
全く同一の荷重支承部材(5)を構成する前記複数の簡単な部材(11)の全ては、互いに同一である請求項2又は請求項3又は請求項4記載のフレーム(1)。
【請求項6】
複数の平面の閉鎖金属薄板(7)が前記荷重支承部材(5)にFSWタイプの溶接によって溶接されている、請求項1から請求項5のいずれか1項記載のフレーム(1)。
【請求項7】
1つの接合体(3)は、それぞれの承口(4)を画定するために押し出し成形の方向(6)に平行に据付けられ、前記荷重支承部材(5)に溶接されている少なくとも1つのさらなる平面金属薄板(10)を備えている、請求項1から請求項6のいずれか1項記載のフレーム(1)。
【請求項8】
多数の押し出し成形部材(2)の組み合わせから構成され、請求項1から請求項7のいずれか1項記載により構築された金属フレーム(1)を備えた自動車であって、
前記フレーム(1)は、多数の直線棒材(2)を含んでおり、前記多数の直線棒材は、一定の断面を有し、押し出し成形により製造され、複数の接合体(3)によって規定される複数の構造的結節部において、互いに溶接により接合されており、
各接合体(3)は多数のそれぞれの承口(4)を有しており、前記多数のそれぞれの承口は対応する直線棒材(2)を差し込むために設計されており、
各接合体(3)は箱形状で、各荷重支承部材(5)の組合せから構成されており、前記荷重支承部材(5)は、実質的に押し出し成形で作製され、押し出し成形の所定の方向(6)を有しており、前記押し出し成形の方向(6)に垂直に据付られ、前記荷重支承部材(5)それ自体の両対向側で前記荷重支承部材(5)に溶接されている一対の平面の閉鎖金属薄板(7)を伴っていることを特徴とする前記自動車。
【請求項9】
多数の押し出し成形部材(2)の組み合わせから構成された金属フレーム(1)の製造方法であって、
前記方法は、複数の接合体(3)によって規定される複数の構造的結節部において、一定の断面を有し、押し出し成形により製造された多数の直線棒材(2)を互いに接合する工程を構想しており、
各接合体(3)は多数のそれぞれの承口(4)を有しており、前記多数のそれぞれの承口は対応する直線棒材(2)を差し込むために設計されており、
各接合体(3)は箱形状であること、及び、各接合体(3)はそれぞれの荷重支承部材(5)を接合することによって構成されており、前記荷重支承部材(5)は、実質的に押し出し成形で作製され、押し出し成形の所定の方向(6)を有しており、前記押し出し成形の方向(6)に垂直に据付られ、前記荷重支承部材(5)それ自体の両対向側で前記荷重支承部材(5)に溶接されている一対の平面の閉鎖金属薄板(7)を伴っていることを特徴とする前記方法。
【請求項10】
荷重支承部材(5)は多数の簡単な部材(11)を横方向に接合することで形成されており、簡単な部材の各々は押し出し成形により直接得られ、他の複数の簡単な部材(11)の押し出し成形の方向(6)と平行な所定の押し出し成形の方向(6)を有している、請求項9記載の方法。
【請求項11】
荷重支承部材(5)を構成する前記複数の簡単な部材(11)は、溶接により互いに横方向に接合される請求項10記載の方法。
【請求項12】
荷重支承部材(5)を構成する前記複数の簡単な部材(11)は、機械的穴開け手段により互いに横方向に接合される請求項10又は請求項11記載の方法。
【請求項13】
全く同一の荷重支承部材(5)を構成する前記複数の簡単な部材(11)の全ては、互いに同一である請求項10又は請求項11又は請求項12記載の方法。
【請求項14】
複数の平面の閉鎖金属薄板(7)が前記荷重支承部材(5)にFSWタイプの溶接によって溶接されている、請求項9から請求項13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記複数のそれぞれの直線棒材(2)を前記荷重支承部材(5)それ自体に連結する前に、前記複数の閉鎖金属薄板(7)は前記荷重支承部材(5)に溶接される、請求項9から請求項14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
多数のそれぞれの直線棒材(2)を前記荷重支承部材(5)それ自体に連結してから、少なくとも1つの閉鎖金属薄板が前記荷重支承部材(5)に溶接される請求項9から請求項14のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
接合体(3)は、それぞれの承口(4)を画定するために押し出し成形の方向(6)に平行に据付けられ、前記荷重支承部材(5)に溶接されている少なくとも1つのさらなる平面金属薄板(10)を備えている、請求項9から請求項16のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記承口(4)それ自体が対応する直線部材によって係合させられてから、それぞれの承口(4)を画定するために、前記さらなる平面金属薄板(10)は前記荷重支承部材(5)に溶接される請求項17記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−514607(P2007−514607A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544599(P2006−544599)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【国際出願番号】PCT/IB2004/004204
【国際公開番号】WO2005/061311
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(591046560)フェラーリ ソシエタ ペル アチオニ (10)
【氏名又は名称原語表記】FERRARI SOCIETA PER AZIONI
【Fターム(参考)】