大型リターナブル容器、その成形方法及び成形装置並びに加熱ゾーン分割されたブロー型
【課題】厚肉となる部分の欠点を解消して、耐熱性と透明性とのバランスが取れた大型リターナブル容器、その成形方法及び成形装置並びに加熱ゾーンが分割されたブロー型を提供する。
【解決手段】大型リターナブル容器の成形方法は、厚肉のポリエステル樹脂製プリフォーム、またはプリフォームからブロー成形された一次ブロー成形品を、加熱下でブロー成形して、ブロー成形時の歪を除去した中間成形品を得る熱処理工程と、収縮された中間成形品を加熱下でブロー成形して、大型リターナブル容器を得る最終ブロー成形工程と、を有する。熱処理工程は、プリフォームまたは一次ブロー成形品を熱処理型204内に配置し、プリフォームまたは一次ブロー成形品内に高圧エアーを導入して加圧して、ブロー成形された肩部22及び胴部24を熱処理型のキャビティ面204Aに密着させて熱処理し、かつ、ブロー成形された肩部22を胴部24よりも低い温度で加熱する。
【解決手段】大型リターナブル容器の成形方法は、厚肉のポリエステル樹脂製プリフォーム、またはプリフォームからブロー成形された一次ブロー成形品を、加熱下でブロー成形して、ブロー成形時の歪を除去した中間成形品を得る熱処理工程と、収縮された中間成形品を加熱下でブロー成形して、大型リターナブル容器を得る最終ブロー成形工程と、を有する。熱処理工程は、プリフォームまたは一次ブロー成形品を熱処理型204内に配置し、プリフォームまたは一次ブロー成形品内に高圧エアーを導入して加圧して、ブロー成形された肩部22及び胴部24を熱処理型のキャビティ面204Aに密着させて熱処理し、かつ、ブロー成形された肩部22を胴部24よりも低い温度で加熱する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型リターナブル(returnable)容器、その成形方法及び成形装置並びに加熱ゾーン分割されたブロー型等に関する。
【背景技術】
【0002】
容量が例えば3ガロンや5ガロン(約20リットル)等の大容量であって、市場から回収され、再充填されて再使用可能な大型リターナブル容器は、ミネラルウォーター等の飲料容器として普及している。使用済み容器に飲料を再充填する前に、例えば60〜70℃の温度で使用済み容器を洗浄、例えばアルカリ温水で洗浄する必要がある。
【0003】
従来、この種の大型リターナブル容器は、ポリカーボネート(PC)製のプリフォームを射出成形し、そのプリフォームをブロー成形して製造されている(特許文献1)。
【0004】
近年、ポリカーボネートやエポキシ樹脂のようなビスフェノールAを原料とする種類の合成樹脂は、強力な洗剤で洗浄した場合や酸・高温の液体に接触させた場合に、ビスフェノールA成分が溶け出すことが指摘されている。よって、大型リターナブル容器の成形材料として、ポリカーボネートの代替材料が求められている。
【0005】
ポリカーボネートの代替材料は、製品コストの点からも要請があった。ポリカーボネートは、透明性、耐熱性、耐衝撃性が高く、高品質である一方で、高価であるという欠点が指摘されていた。そこで、ポリカーボネート(PC)に代えて、ポリエチレンテレフタレート(PET)で代表される安価なポリエステル樹脂を用いて大型リターナブル容器を製造することが提案されていた(特許文献2)。
【0006】
また、容量が数リットル以下、例えば500cc〜2リットル容量の中小型の容器の耐熱性を確保するブロー成形方法が知られている。この方法は、プリフォームを一次ブロー成形して得た一次ブロー成形品、あるいは一次ブロー成形品をさらに二次ブロー成形して得た二次ブロー成形品を熱処理し、その後熱収縮した中間成形品を最終ブロー成形して耐熱容器を得るというものである(特許文献3〜5)。延伸配向された容器を熱処理することで、延伸配向時に生じた歪を除去して結晶化度を高めることができ、それにより耐熱性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−164557号公報
【特許文献2】特開平11−34152号公報
【特許文献3】特開平10−286874号公報
【特許文献4】特許第3777204号公報
【特許文献5】特開2006−117289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ポリカーボネート(PC)の代替材料としてポリエステル樹脂例えばポリエチレンテレフタレート(PET)を用いて大型リターナブル容器を成形しようとすると、PC樹脂では通常のブロー成形法で成形してもPC樹脂自体の耐熱性を利用できたが、PET樹脂では耐熱性に劣る。よって、特許文献2の方法では、透明な大型容器は成形できたとしても、洗浄温度に耐えうる耐熱性を確保する観点でさらに改善の余地がある。
【0009】
また、大型容器のためのプリフォームは厚肉となり(特許文献2では胴部肉厚が8〜10mm)、中小型容器のプリフォームの肉厚よりも倍以上となる。この厚肉プリフォームを用いる必要から、特許文献3〜5に開示された耐熱容器の成形方法をそのまま用いると、ブロー成形後もなお比較的肉厚の厚い部分(特に肩部)が加熱された後に徐冷されて球晶化により白化してしまうことが判明した。胴部のように高延伸による応力白化が生じた場合には、熱をかけて歪を除去することは可能であっても、厚肉に起因した球晶結晶化による白化は熱をかけても解消できず透明性が劣化する。しかも、肩部を薄肉にすると、トップロード耐圧を確保できない。
【0010】
このように、従来、PET樹脂製の大型リターナブル容器の耐熱性を確保しようすると、透明性を犠牲にせざるを得ない。逆に、PET樹脂製の大型リターナブル容器の透明性を確保しようすると、耐熱性を犠牲にせざるを得ない。
【0011】
そこで、本発明の幾つかの態様は、ブロー成形後も厚肉となる部分の利点を利用しつつ欠点を解消して、耐熱性と透明性との双方でバランスの取れたトップロード耐圧が高い大型リターナブル容器、その成形方法及び成形装置並びに加熱ゾーン分割されたブロー型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様に係る大型リターナブル容器の成形方法は、
厚肉のポリエステル樹脂製プリフォーム、または前記プリフォームから一次ブロー成形された一次ブロー成形品を、加熱下で中間ブローして、ブロー成形時の歪を除去した中間成形品を得る熱処理工程と、
収縮された前記中間成形品を加熱下で最終ブローして、大型リターナブル容器を得る最終ブロー成形工程と、
を有し、
前記熱処理工程は、前記プリフォームまたは前記一次ブロー成形品を熱処理型内に配置し、前記プリフォームまたは前記一次ブロー成形品内に高圧エアーを導入して加圧して、ブロー成形された肩部及び胴部を前記熱処理型のキャビティ面に密着させて熱処理し、かつ、ブロー成形された前記肩部を前記胴部よりも低い温度で加熱することを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様では、ビスフェノールAを含有するポリカーボネートに代えて、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂を成形材料として用いている。500cc〜2リットル程度の中小型容器のための薄肉プリフォームに代えて、大型リターナブル容器のための厚肉プリフォームが用いられる。
【0014】
大型リターナブル容器は、厚肉プリフォームから少なくとも二回のブロー成形工程(中間ブロー成形工程と最終ブローブロー成形工程)と、二回の熱処理工程(中間ブロー成形工程及び最終ブロー成形工程での各熱処理工程)を経て成形される。厚肉プリフォームを一次ブロー成形すると、プリフォームの胴部は一次ブロー型のキャビティ面までの距離が長いので高延伸される一方で、プリフォームの肩部は一次ブロー型のキャビティ面までの距離が短いので、延伸率が小さく、胴部よりも厚肉となる。最初の熱処理工程は、加熱された一次ブロー型(中間ブロー型)を熱処理型として用いるか、あるいは一次ブロー型から取り出された一次ブロー成形品を一次ブロー型とは異なる二次ブロー型(中間ブロー型)を熱処理型として用いて行われる。
【0015】
熱処理型内で中間ブロー成形(プリフォームの一次ブロー成形または一次ブロー成形品の二次ブロー成形)して、ブロー成形された肩部及び胴部が熱処理型のキャビティ面に密着されて熱処理された中間成形品を得る。この熱処理により、胴部は高延伸時の歪が除去される。延伸率が低く厚肉の肩部は、胴部よりも低い温度で加熱され、低延伸時の歪が除去される一方で、加熱温度が低いので球晶結晶化による白化結晶化が低減または防止される。しかも、肩部は厚肉であるので、トップロード耐圧の高い大型リターナブル容器を得ることができる。
【0016】
本発明の他の態様に係る大型リターナブル容器の成形方法は、
厚肉のポリエステル樹脂製プリフォームから一次ブロー成形して延伸配向された肩部及び胴部を有する一次ブロー成形品を、加熱下で二次ブローして、一次ブロー成形時の歪を除去した中間成形品を得る熱処理工程と、
収縮された前記中間成形品を加熱下で最終ブローして、大型リターナブル容器を得る最終ブロー成形工程と、
を有し、
前記熱処理工程は、前記一次ブロー成形品の前記肩部及び前記胴部を、熱処理型内に配置し、前記一次ブロー成形品内に高圧エアーを導入して加圧して、前記一次ブロー成形品の前記肩部及び前記胴部と実質的に同じ形状を有する前記熱処理型のキャビティ面に、前記一次ブロー成形品を密着させて熱処理し、かつ、前記一次ブロー成形品の肩部を胴部よりも低い温度で加熱することを特徴とする。
【0017】
本発明の他の態様では、三回のブロー成形工程(一次ブロー成形工程、二次ブロー成形工程、最終ブローブロー成形工程)と、二回の熱処理工程(二次ブロー成形工程及び最終ブロー成形工程での各熱処理工程)を経て大型リターナブル容器が成形される。本発明の他の態様では、本発明の一態様と同様に作用することに加えて、一次ブロー成形工程と最初の熱処理工程とを分離したため、以下の通り作用する。プリフォームはブロー適温に加熱されて一次ブロー成形品に一次ブローされるので、一次ブロー型内で熱処理する場合には、一次ブロー成形品の肩部及び胴部は、保有温度を有するために、キャビティ面と接触した後もキャビティ面上を移動する。一方、一次ブロー型と熱処理型とを別個にすると、一次ブロー型は加熱する必要がなく、一次ブロー成形品の形状安定性が良好となる。この一次ブロー成形品を熱処理型及び最終ブロー型にて処理することで、最終ブロー成形品の形状安定性も良好となる。また、加熱なしで一次ブロー成形したときには、加熱下で一次ブロー成形するものよりも胴部が薄く延ばされ、胴部の透明性と耐熱性が向上する。
【0018】
本発明の他の態様では、前記熱処理工程では、前記一次ブロー成形品の前記肩部と前記胴部とに対する各々の加熱ゾーンを断熱部により断熱して分割することができる。こうすると、肩部と胴部の各加熱ゾーンにて設定温度制御が容易となり、肩部を適正温度にて加熱して球晶結晶化による白化をより低減しまたは防止できる。
【0019】
本発明の他の態様では、前記熱処理工程では、空気断熱層により前記各々の加熱ゾーンを分割することができる。肩部と胴部の各加熱ゾーン間に隙間を設けることで空気断熱層を形成できるので、断熱部を簡易に形成できる。
【0020】
本発明の他の態様では、前記熱処理型は、前記キャビティ面と連続するパーティング面が互いに接触する一対の割型を含み、前記一対の割型の各々は、前記熱処理型の前記キャビティ面に露出し、かつ、前記パーティング面まで到達しないスリットを含み、前記熱処理工程では、前記スリットにより形成される前記空気断熱層が前記各々の加熱ゾーンを分割することができる。
【0021】
スリットをキャビティ面まで到達させることで、一次ブロー成形品の肩部と胴部との加熱接触面に至る位置まで断熱でき、断熱効果が向上する。また、スリットがパーティング面まで到達しないので、一対の割型の各々がスリットによって上下で完全に分離されることがなく、一対の割型の取り扱いが容易となる。
【0022】
本発明の他の態様では、前記熱処理工程後に、前記中間成形品内を排気する第1排気工程と、前記最終ブロー成形工程後に、前記大型リターナブル容器内を排気する第2排気工程と、を含み、前記第1排気工程での排気速度を前記第2排気工程での排気速度よりも速くすることができる。
【0023】
こうすると、中間成形品を自由に熱収縮させることができ、最終ブロー成形品よりも小さいサイズとなるように収縮させて、最終ブロー型に中間成形品が挟まれることがなくなる。本発明の他の態様では、一次ブロー成形品の底部は冷えて固化されているので、排気速度を高くしても、中間成形品の底部が収縮される過程でひっくり返る等の変形が生ずることもない。
【0024】
本発明の他の態様では、前記熱処理型は、前記一次ブロー成形品の前記胴部の一端を閉鎖する上げ底の底部と接触する底型をさらに含み、前記熱処理工程では、前記一対の割型よりも先に前記底型が型締めされて、前記底型により前記一次ブロー成形品を芯出しすることができる。
【0025】
一次ブロー成形品の底部は冷えて固化されているので、一次ブロー成形品の上げ底の底部に底型を接触させることで、一対の割型が型締めされる前に一次ブロー成形品を芯出しして位置決めすることができる。
【0026】
本発明のさらに他の態様に係る大型リターナブル容器は、
厚肉のポリエステル樹脂製プリフォームの射出成形時に形成される口部と、
前記口部より拡径した肩部と、
前記肩部に続く胴部と、
前記胴部の一端を閉鎖する底部と、
を有し、
少なくとも前記肩部及び前記胴部は、ブロー型のキャビティ面に露出するスリットにより断熱された肩部ゾーンが胴部ゾーンよりも低い温度に加熱されたブロー型内にて前記プリフォームがブロー成形されることで、延伸配向されて形成され、延伸配向時の歪が除去されており、
前記スリットの痕跡として、周方向に沿って形成され、かつ周方向にて不連続な線が形成されていることを特徴とする。
【0027】
本発明のさらに他の態様に係る大型リターナブル容器は、ポリエステル製であるのでビスフェノールAの析出がなく、延伸配向時の歪が除去されているので耐熱性があり、肩部が低い温度で加熱されているので球晶結晶化による白化も低減または防止されている。しかも、断熱に用いたスリットの痕跡が周方向にて不連続な線として形成されているので、本発明品であるか否かを判別できる。
【0028】
本発明のさらに他の態様に係る大型リターナブル容器の成形装置は、
口部を有する厚肉のポリエステル樹脂製プリフォームから一次ブロー成形して延伸配向された肩部及び胴部を有する一次ブロー成形品を、加熱下で二次ブロー成形して、一次ブロー成形時の歪を除去した中間成形品を得る熱処理部と、
収縮された前記中間成形品を加熱下で最終ブローして、最終ブロー時の歪が除去された大型リターナブル容器を得る最終ブロー成形部と、
を有し、
前記熱処理部は、
一対の割型を含み、前記一次ブロー成形品の前記肩部及び前記胴部と実質的に同じ形状のキャビティ面を有する熱処理型と、
前記一次ブロー成形品の前記口部内に配置され、高圧エアーを前記一次ブロー成形品内に導入して加圧するブローエアー導入部材と、
を含み、
前記熱処理型の前記一対の割型の各々が、二次ブロー成形された前記中間成形品の前記肩部と前記胴部とに対する各々の加熱ゾーンを断熱する断熱部を含み、前記中間成形品の前記肩部を前記胴部よりも低い温度で加熱することを特徴とする。
【0029】
本発明のさらに他の態様に係る大型リターナブル容器の成形装置は、熱処理部及び最終ブロー成形部を有し、熱処理部が一対の割型を含む熱処理型とブローエアー導入部材とを有し、一対の割型が断熱部を有するので、本発明の他の態様に係る大型リターナブル容器の成形方法を好適に実施できる。しかも、プリフォームの射出成形から一次ブロー成形品のブロー成形は、既存の射出延伸ブロー成形装置にて実施できるので、大型リターナブル容器の成形のためには、熱処理部と最終ブロー成形部とを有する本発明装置に係る成形装置を追加するだけで良い。
【0030】
本発明のさらに他の態様に係る大型リターナブル容器の成形装置は、前記一次ブロー成形品を、前記口部が下向きとなる倒立状態で搬送する、前記ブローエアー導入部材を備えた搬送部材と、前記熱処理部に設けられ、前記搬送部材に対して接離駆動されて、接触によってシールして前記ブローエアー導入部材に前記高圧エアーを供給し、非接触によりシール解除されて前記中間成形品内を排気するシールピストンと、を有することができる。
【0031】
こうすると、ブローエアー導入部材を口部に嵌入させたまま、シールピストンの移動により口部側のシールを解除することができるので、中間成形品内を高速排気することができる。これにより、中間成形品を自由に熱収縮させて、最終ブロー成形品よりも小さくすることができ、最終ブロー型での挟み込みを防止できる。
【0032】
本発明のさらに他の態様に係るブロー型は、キャビティ面と、前記キャビティ面と連続するパーティング面とをそれぞれ有し、型締めにより前記パーティングが互いに接触する一対の割型を有し、
前記一対の割型の各々は、
前記前記キャビティ面に露出し、かつ、前記パーティング面まで到達しないスリットと、
前記スリットにより分割された一方に配置された第1の温調部と、
前記スリットにより分割された他方に配置され、前記第1の温調部とは異なる温度に調整される第2の温調部と、
を含むことを特徴とする。
【0033】
本発明のさらに他の態様では、一対の割型が、スリットと、スリットにより空気断熱されてそれぞれ異なる温度に温調する第1,第2温調部を有することから、本発明の一態様または本発明の他の態様に係る大型リターナブル容器の成形方法の実施や、本発明のさらに他の態様に係る成形装置に好適なブロー型を提供できる。
【0034】
本発明のさらに他の態様に係るブロー型では、前記一対の割型の各々は、前記スリットをワイヤーカットで形成するためのワイヤーを通す孔を含み、前記スリットを前記孔と連通させることができる。
【0035】
こうすると、一対の割型の製造過程で、孔に通されたワイヤーを移動させて一対の割型をワイヤーカットすることでスリットを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明方法の一態様の主要工程で得られる成形品の概略説明図である。
【図2】本発明の一態様の成形装置の概略平面図である。
【図3】一次ブロー成形部の概略断面図である。
【図4】熱処理部の概略断面図である。
【図5】一対の二次ブロー割型の平面図である。
【図6】図4のVI−VI断面図である。
【図7】成形品を倒立搬送した変形例を示す概略断面図である。
【図8】二次底型の型締移動を示す概略断面図である。
【図9】最終ブロー成形部の概略断面図である。
【図10】一対の最終ブロー割型の平面図である。
【図11】一対の最終ブロー割型に形成された熱媒体通路である縦孔及び横孔を示す概略図である。
【図12】本発明の他の態様に係るヒートセット機能を備えた一次ブロー成形部の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0038】
1.耐熱性を確保するためのブロー成形方法の概要
図1は、本発明の実施形態に係る大型リターナブル容器の主要工程で得られるプリフォーム10、一次ブロー成形品20、中間成形品30及び最終ブロー成形品40を示している。口部12は、これら各成形品10,20,30,40に共通に設けられ、口部12よりも下方の形状が異なっている。
【0039】
最初に、ポリエステル樹脂例えばPET樹脂を用いて、プリフォーム10を射出成形する。プリフォーム10は、開口する口部12、口部12に続く筒状の胴部14及び胴部14の一端を閉鎖する底部16を有する。なお、本実施形態では、PET樹脂は、結晶加速度の遅いコポリマー(コダック社製9921 シクロヘキサメタノールとの共重合グレード)を用いたが、ポリエステル樹脂であればこれに限定されない。
【0040】
プリフォーム10の口部12の内径は例えば40mm〜60mmであり、胴部14の肉厚は例えば6〜9mm、好ましくは8mm以下の厚肉プリフォームである。一般に、中小型容器のプリフォームは、縦軸長さを長くすることでプリフォームの胴部肉厚を4mm以下に抑えることができる。しかし、大型容器のプリフォーム10は大容量であることに加えトップロード耐性を確保することから相当の樹脂量(600〜750g)が求められる。このため、縦軸延伸倍率を1倍に近くするように最大限のプリフォーム長(例えば全長400〜500mm程度)に設計しても、中小型容器のプリフォームの胴部肉厚の倍以上となる。なお、プリフォーム10の胴部肉厚が9mmを超えると、上述の樹脂材料(コポリマー)を使ったとしても、ブロー時には球晶結晶化して白化してしまう。
【0041】
プリフォーム10の胴部14及び底部16を一次ブロー成形して形成される一次ブロー成形品20は、射出成形された口部12と、口部12に続く肩部22と、肩部22に続く胴部24と、胴部24の一端を閉鎖する底部26とを有する。底部26は中央に設けられた上げ底部27と、上げ底部27の周囲の接地部28とを含んでいる。この一次ブロー成形品20は、最終ブロー成形品40よりも、胴部24の胴径も長さもサイズが大きく成形される。
【0042】
中間成形品30は、一次ブロー成形品20を加熱された二次ブロー型(中間ブロー型とも言い、例えば一次ブロー型と同寸法)内で二次ブロー(中間ブロー)成形され、ヒートセットされた二次ブロー成形品内を排気することで熱収縮されている(後述する第1実施形態)。あるいは、中間成形品30は、加熱された一次ブロー型(中間ブロー型とも言う)で一次ブロー(中間ブロー)成形された一次ブロー成形品が一次ブロー型内でヒートセットされ、一次ブロー成形品内を排気することで熱収縮されている(後述する第2実施形態)。
【0043】
この中間成形品30は、射出成形された口部12と、口部12に続く肩部32と、肩部22に続く胴部34と、胴部34の一端を閉鎖する底部36とを有する。底部36は中央に設けられた上げ底部37と、上げ底部37の周囲の接地部38とを含んでいる。この中間成形品30は、一次ブロー成形品20(または二次ブロー成形品)が熱収縮されていることから、最終ブロー成形品40よりも胴径は小さく、全長も短い。
【0044】
この中間成形品30は、一次ブロー成形により延伸配向されることで生ずる歪または残留応力が、熱処理(ヒートセット)により除去され、中間成形品30の結晶化度が高められている。また、中間成形品30はその熱処理後に熱収縮しているので、その後に熱処理温度以下の温度で加熱されても、ほとんど熱収縮することはない。中間成形品30の段階での熱処理により、高温時の形状安定性が向上される。
【0045】
最終ブロー成形品である大型リターナブル容器40は、中間成形品30を加熱された最終ブロー型内で最終ブロー成形して得られる。この最終ブロー成形品40は、射出成形された口部12と、口部12に続く肩部42と、肩部42に続く胴部44と、胴部44の一端を閉鎖する底部46とを有する。底部46は中央に設けられた上げ底部47と、上げ底部47の周囲の接地部48とを含んでいる。
【0046】
最終ブロー成形品40の胴部44は外径が260〜280mmであり、口部12の内径が40〜50mmであることを考慮すると、細口容器の部類である。最終ブロー成形品40は、プリフォーム10の胴部14の外径に対して周方向で4.5〜6倍の外径の胴部44を有する。胴部44の肉厚は0.6〜1mmで、肩部42の肉厚を胴部42よりも大きくすることで、トップロード耐性を有する。
【0047】
ここで、中間成形品30の胴部34及び底部36の外径及び長さは、最終ブロー成形品40の胴部44及び底部46の外径及び長さよりも若干小さく形成される。こうすることで、中間成形品30が最終ブロー型の一対の割型間に挟まれることを防止できる上に、最終ブロー成形ではほとんど延伸されない状態とすることができる。こうすると、最終ブロー成形時に生ずる歪または残留応力はわずかとなり、しかも、加熱された最終ブロー型内でヒートセットされるので、歪を完全に除去することができる。こうして、最終ブロー成形品40の熱安定性を高めることができる。
【0048】
なお、一次成形品20、中間成形品30及び最終ブロー成形品40には、一次ブロー型に設けられた断熱用スリット(後述する)の痕跡として、周方向に沿って形成され、かつ周方向にて不連続な線23,23が形成されている。なお、後述する第1実施形態の成形法方法では、一次ブロー成形後の一次ブロー成形品20には線23は形成されないが、一次ブロー成形型と同一寸法の二次ブロー成形型内で二次ブローされた一次ブロー成形品20に線23が形成される。
【0049】
2.第1実施形態
次に、射出成形されプリフォーム10から三回のブロー成形工程と二回の熱処理工程を経て最終ブロー成形品40を成形する第1実施形態について説明する。
【0050】
図1に示すプリフォーム10及び一次ブロー成形品20は、例えば特許文献2の図2に示される既存の射出延伸ブロー成形装置を用いて成形することができる。その装置50は、図2に示すように、射出装置51が連結される射出成形部52と、温調部53と、一次ブロー成形部54(100)と、取り出し部55とを有する。この射出延伸ブロー成形装置50にて射出成形されたプリフォーム10または一次ブロー成形された一次ブロー成形品20は、その口部がネック型に保持されて例えば回転盤(図示せず)により90度間隔で回転搬送される。
【0051】
なお、本実施形態でも、特許文献2の図2に示される射出延伸ブロー成形装置で採用されている温調予備ブロー工程を実施することができる。つまり特許文献2の図3に示すように、射出成形されたプリフォーム10を温調ポット内に配置し、プリフォーム10の口部12に温調ブローコア型を嵌入する。そして、ブロー圧によりプリフォーム10を予備ブローさせて温調ポット内面に接触させて、プリフォームをブロー適温まで温調している。こうすると、予備ブローされたプリフォーム10は外径が大きくなり(胴部最大径で90mm程度まで)、その結果肉厚は薄くなる。このため、温調効率が高まることに加え、一次ブロー成形品20に一次ブロー成形する際の延伸比を下げることができ、低温でも応力白化させずに一次ブロー成形することができる。
【0052】
射出延伸ブロー成形装置50より取り出された一次ブロー成形品20は、インラインまたはオフラインで大型リターナブル容器成形装置60に供給される。この成形装置60には、熱処理部200と最終ブロー成形部300とが設けられている。大型リターナブル容器成形装置60は必ずしも射出延伸ブロー成形装置50とインラインで連結される必要はない。オフライン接続として、常温まで充分に冷えた一次ブロー成形品20が大型リターナブル容器成形装置60に供給されても良い。こうすると、大型リターナブル容器成形装置60では、射出延伸ブロー成形装置50での成形サイクル(最も時間を要する射出成形サイクル)に制約されることなく成形でき、スループットが向上する。
【0053】
以下、射出延伸ブロー成形装置50に設けられた一次ブロー成形部100と、成形装置60に設けられた熱処理部200及び最終ブロー成形部300の詳細について説明する。なお、各容器とブロー型の対比を明確にする説明の便宜上、以下の説明では、一次ブロー成形部100、熱処理部200及び最終ブロー成形部300は、口部12を上向きとした正立状態でブロー成形される例を挙げて説明する。ただし、射出延伸ブロー成形装置50とは別個に成形装置60を設ければ、成形装置60では口部12を下向きとした倒立状態でブロー成形することができる。成形装置60には射出成形部がないので、成形品を倒立状態で搬送でき、後述するように開閉可能なネック型を用いないため機構が簡易化される。
【0054】
2.1.一次ブロー成形部
図3は、一次ブロー成形部100の概略断面図である。射出成形部52にて射出成形されたプリフォーム10は、口部12が一対の割型で構成されるネック型102に保持されて、温調部53を介して一次ブロー成形部100に搬入される。この一次ブロー成形部100には、ネック型102と型締めされる一対の一次ブロー割型104,104が設けられている。一対の一次ブロー割型104,104は、一次ブロー成形品20の胴部22の外形を定義するキャビティ面104Aを有する。なお、本実施形態では、一対の一次ブロー割型104,104には加熱機構は設けられていない。一次ブロー成形部100には、一対の一次ブロー割型104,104と型締めされる昇降可能な一次底型106を設けることができる。一次底型106は、一次ブロー成形品20の底部26を定義するキャビティ面106Aを有する。ただし、一対の一次ブロー割型104,104に底型を設ける場合には、一次底型106を用いなくても良い。
【0055】
一次ブロー成形部100には、プリフォーム10の口部12に嵌入される、昇降可能な一次ブローコア型108を有する。この一次ブローコア型108は、プリフォーム10内に、高圧エアーを導入する。また、一次ブロー成形後に、一次ブローコア型108を上昇させて口部12より離脱させることで、一次ブロー成形品20内を排気できる。一次ブローコア型108を貫通してプリフォーム10内に配置される一次延伸ロッド110が、昇降可能に設けられている。本実施形態では、図3に示すようにプリフォーム10の縦軸延伸率は、プリフォーム10の縦軸中心線上ではほぼ1倍に近い。一次延伸ロッド110はその縦軸延伸機能の他に、一次底型106と一次延伸ロッド110との間にプリフォームを位置決めして一次ブロー成形中にプリフォーム10をセンタリングすることができる。
【0056】
この一次ブロー成形部100には、射出成形されたプリフォーム10がブロー適温に温調された後に搬入される。なお、一次ブロー成形は、射出成形時の熱を保有したプリフォーム10を用いるホットパリソン方式(1ステージ方式)でも、射出成形後に常温に戻ったプリフォーム10をブロー適温まで加熱するコールドパリソン方式(2ステージ方式)のいずれを採用しても良い。
【0057】
2.2.熱処理部(二次ブロー成形部)
熱処理部200は、一次ブロー成形品20を加熱された二次ブロー型内にて二次ブロー成形し、二次ブロー成形後に熱収縮された中間成形品30を得るものである。この熱処理部200は二次ブロー成形部として、一次ブロー成形部100に設けられた各部材と同一機能を有するネック型202、一対の二次ブロー割型204、二次底型206、二次ブローコア型(ブローエアー導入部材)208及び二次延伸ロッド210を有する。しかも、熱処理部200の一対の二次ブロー割型204のキャビティ面204A及び二次底型206のキャビティ面206Aは、一次ブロー成形部100の一対の一次ブロー割型104のキャビティ面104A及び一次底型106のキャビティ面106Aと実質的に同じ寸法となっている。この理由は、熱処理部200は一次ブロー成形品に生じている歪を除去することが目的であるから、二次ブロー成形では一次ブロー成形品20を延伸配向しないことが好ましいからである。また、二次ブロー成形工程ではほとんど延伸されないので、図2の射出延伸ブロー成形装置50から取り出され、インラインまたはオフラインで供給される常温付近の一次ブロー成形品20であっても、ブロー特性に影響はない。
【0058】
この熱処理部200では、図8に示すように、一対の二次ブロー割型204,204の型締めに先駆けて、二次底型206を型締めしている。一次ブロー成形品20の底部26は冷えて固いので、二次底型206を型締めすることで一次ブロー成形品20の上げ底形状の底部26が芯出しされる。
【0059】
二次底型206によりセンタリングされた一次ブロー成形品20内に、二次ブローコア型208を介して高圧エアーが導入すると共に、二次延伸ロッド210を縦軸駆動する。それにより、一次ブロー成形品20の肩部22、胴部24及び底部26は、キャビティ面204A,206Aに密着される。
【0060】
熱処理型200が一次ブロー成形部100と相違する点は、一対の二次ブロー割型204,204が加熱部を有する点である。熱処理部200の役割は、一次ブロー成形時に一次ブロー成形品20に生じた歪を熱処理により除去することであるから、加熱部が配置されている。
【0061】
しかも、この一対の二次ブロー割型204,204(広義にはブロー型)は、一次ブロー成形品20の肩部22と胴部24とを、それぞれ異なる温度で加熱するゾーン加熱部を有する。
【0062】
一次ブロー成形品20の胴部を加熱するために、図4及び図5に示すように、一対の二次ブロー割型204,204には、各割型204,204で6個ずつ、計12個の棒状ヒーター配置用の縦孔212が、キャビティ面204A,204Aの周囲にて、周方向にてほぼ等間隔で貫通形成されている。この12個の各縦孔212に加熱部例えば棒状ヒーター(図示せず)が配設される。棒状ヒーター(図示せず)は、一次ブロー成形品20の胴部24の長さ範囲に亘って、有効ヒーター長を有する。また、12個の各縦孔212の近傍には、熱伝対配置用の有底の縦孔214が設けられている。12個の縦孔214に温度測定素子例えば熱伝対216(図4参照)を配置し、その計測温度をフィードバックすることで、胴部24の加熱温度を制御することができる。これらの縦孔212,214、加熱部及び温度測定素子により、第1の温調部が構成される。
【0063】
一方、一次ブロー成形品20の肩部22を加熱するために、図4及び図6に示すように、一対の二次ブロー割型204,204には、一次ブロー成形品20の肩部22と対応する高さ位置であって、肩部22を包囲する位置に、加熱部である熱媒体通路218,218が形成されている。この熱媒体通路218,218に熱媒体を通過させることで、一次ブロー成形品20の肩部22が加熱される。なお、図面では省略しているが、熱媒体通路218,218を流れる熱媒体によって設定される金型温度を測定する温度測定素子を設け、その計測温度をフィードバックすることで、肩部22の加熱温度を制御することができる。これらの加熱部218や温度測定素子により、第2の温調部が構成される。
【0064】
本実施形態では、第1,第2温調部が一次ブロー成形品20の肩部22と胴部24とをゾーン分割して加熱することで、肩部22と胴部24とをそれぞれ異なる温度で加熱することができる。
【0065】
本実施形態では、肩部22の温度を胴部24よりも低い温度となるように加熱している。この温度差を設けた理由は、一次ブロー成形品20の肩部22と胴部24との肉厚に差があるからである。一次ブロー成形品20の胴部24は延伸倍率が高く、肩部22に比べれば充分に薄い肉厚となっている。一方、一次ブロー成形品20の肩部22は、図4から明らかなように、プリフォーム10の側壁から一次キャビティ面104Aまでの距離が胴部24に比べれば短く、横軸延伸倍率が小さい。よって、図4に示すように、一次ブロー成形品20の肩部22は、口部12側が厚く、胴部24に近づくに従い薄肉となる肉厚移行部を形成している(図4参照)。
【0066】
この比較的厚肉の肩部22は、胴部24に比べれば熱容量が大きい。よって、肩部22がブロー圧によってキャビティ面204Aと接触して加熱されると、その温度を維持しやすい。
【0067】
所定時間例えば8〜16秒に亘って高圧エアーにより一次ブロー成形品20がキャビティ面204Aと接触して加熱された後に、エアー圧が解除され、二次ブローコア型208が上昇駆動されて、一次ブロー成形品20の口部12より離脱される。それにより、一次ブロー成形品20内は一気に排気される。その結果、一次ブロー成形品20は自由に熱収縮可能となり、縦軸及び横軸の熱収縮により中間成形品30が形成される。なお、収縮率は、容量で10〜30%程度、全高で5〜15%程度である。
【0068】
この中間成形品30の肩部32は、胴部34と比較して厚肉であるから、熱容量が大きく、一気に冷却されない。よって、厚肉の肩部32は徐冷されることで球晶結晶化により白化しやすくなる。
【0069】
肩部32の加熱温度を胴部34よりも低くすれば、この白化結晶化を低減でき、さらには白化結晶化を防止できる。本実施形態では、一次ブロー成形品20の胴部24の加熱温度を140〜180℃とする一方で、肩部22の加熱温度を100〜120℃と低く設定し、中間成形品30の透明性を担保している。
【0070】
このように、一対の二次ブロー割型204,204は、肩部ゾーンと胴部ゾーンとでことなる加熱温度に設定するために、各加熱ゾーン間を断熱することが好ましい。本実施形態では、一対の二次ブロー割型204,204の肩部ゾーンに、横孔220,220を貫通形成している。この横孔220,220にワイヤー(図示せず)を挿通させ、そのワイヤーをキャビティ面204A,204Aに向けて水平移動させながらワイヤーカットすることで、スリット222,222(広義には断熱部)が形成される(図4参照)。このスリット222,222は、図8に示すように、一対の二次ブロー割型204,204のキャビティ面204Aまで露出するが、パーティング面204Bまでは露出していない。スリット222がパーティング面204Bに到達すると、一対の二次ブロー割型204,204が上下に分離されてしまうからである。
【0071】
このスリット222は所定幅(例えば0.3mm)の隙間に空気断熱層を形成するので、肩部ゾーンと胴部ゾーンとを空気断熱することができる。これにより、肩部ゾーンと胴部ゾーンとの各加熱温度を維持することが容易となる。
【0072】
なお、一対の二次ブロー割型204,204のうち、スリット222で分離された肩部ゾーンは容積が小さいので、スリット222の隙間の範囲で移動することを防止するために、この肩部ゾーンにはボルト孔224が形成されている。このボルト孔224に螺合されるボルトを介して、肩部ゾーンを固定することが可能となる。
【0073】
このように、一対の二次ブロー割型204,204のスリット222,222が形成されたキャビティ面204Aに、一次ブロー成形品20をブロー圧により密着させると、図1に示すように一次ブロー成形品20に、スリット222,222の痕跡として、周方向に沿って形成され、かつ周方向にて不連続な線23,23が形成される。この線23,23は、一次ブロー成形品20の口部12側の上方から見た平面視では、各線23は180度未満の広角の円弧となる。この線23,23は、中間成形品30及び最終ブロー成形品40にも残存し、本実施形態を実施した痕跡が最終ブロー成形品40にも残存する。なお、最終ブロー成形品40の線23,23がある領域には、最終ブロー成形時に微細な凹凸パターンのシボ加工などを施すことで、線23,23を見難くすることができる。
【0074】
また、一次ブロー成形品20を自由に熱収縮させて中間成形品30を形成するには、排気速度が重要な要因となることが分かった。本発明者の実験によれば、排気速度を5秒と高速化にすると、排気速度が10秒のものと比較すると、中間成形品30の胴部の周囲長さは20〜30mmも短く、中間成形品30の全高は2〜5mmも短くなることが分かった。本実施形態では、中間成形品30は、最終ブロー成形品40よりもサイズが小さくなければならず、そうでないと中間成形品30が最終ブロー型に挟み込まれてしまう。
【0075】
そこで本実施形態では、熱処理部200での排気速度(第1排気工程での排気速度)を、5〜7秒、例えば6秒と短時間に設定している。一次ブロー成形部100や最終ブロー成形部300での排気速度(第2排気工程での排気速度)が20〜25秒であることを考慮すると、熱処理部200での排気速度は一次ブロー成形部100や最終ブロー成形部300での排気速度の3〜5倍の高速排気である。この高速排気によって、中間成形品30を最終ブロー成形品40よりもサイズが小さくなるように収縮させることができる。しかも、一次ブロー成形部100では一次ブロー成形品20を加熱することがなく、熱処理部200でも底部26は加熱されないので、底部26は冷えて固化されている。よって、高速排気しても、二次底型206から離れて縮む過程で底部26がひっくり返る等の変形が生ずることもない。
【0076】
ここで、一次ブロー成形部200及び最終ブロー成形部300は、図3及び図9とは異なり、口部12を下端とした倒立搬送で搬送することができる。この場合、一次ブロー成形部100及び最終ブロー成形部300では、図7に示すように、一次ブロー成形品20、中間成形品30または最終ブロー成形品40は、それらを搬送するための搬送部材62上に倒立状態にて載置されている。
【0077】
搬送部材62は、成形装置60上を循環搬送するために、搬送用チェーン64に固定され、レール66に沿って移動するためのカムフォロア68を有している。搬送部材62には、各成形品20,30,40の口部に入り込む中空の搬送用ピン70(ブローエアー導入部材)がある。さらに、搬送部材62の下方には、一次ブロー成形工程または最終ブロー成形工程時にブローエアーを搬送用ピン70に供給するためのシールピストン72があり、搬送部材62に向かって上昇してシールするようになっている。なお、一次ブロー成形部100及び最終ブロー成形部300は、口部12を位置決めするための冷却されたネックガイド部材74を有する。
【0078】
このように、倒立搬送方式では、図3のように口部12内に挿脱される一次ブローコア型108を設ける代わりに、昇降可能なシールピストン72を設けている。一次ブローコア型108を口部12より離脱させるよりも、搬送用ピン70は口部12に維持したままシールピストン72だけを下降させてシールを解除できるので、排気速度を高速にすることが可能となる。なお、図7では延伸ロッドは省略されているが、搬送部材62及びシールピストン72を貫通して延伸ロッドを配置することができる。
【0079】
2.3.最終ブロー成形部
図9に示す最終ブロー成形部300は、中間成形品30を加熱された最終ブロー型で最終ブローして、最終ブロー成形品40を得るものである。この最終ブロー成形部300は、一次ブロー成形部100に設けられた各部材と同一機能を有する一対の最終ブロー割型304、最終底型306、最終ブローコア型308及び最終延伸ロッド310を有する。最終ブロー成形部300の一対の最終ブロー割型304のキャビティ面304A及び最終底型306のキャビティ面306Aは、最終ブロー成形品40の胴部44及び底部46の外壁と同一形状である。なお、一対の最終ブロー割型304のキャビティ面304Aは中間成形品30の外形よりもわずかに大きく、最終底型306のキャビティ面306Aは一次底型106のキャビティ面106A及び二次底型206のキャビティ面206Aと同一形状となっている。この理由は、最終ブロー成形部300は、歪が除去されて収縮された中間成形品30を最終ブロー成形品40の形状に外形出しするための最小限の延伸倍率とすれば良いからである。
【0080】
この最終ブロー成形部300では、最終延伸ロッド310と最終底型306とによりセンタリングされた中間成形品30内に、最終ブローコア型308(倒立搬送の場合には図6のシールピストン72)を介して高圧エアーが導入される。それにより、中間成形品30の肩部32、胴部34及び底部36は、キャビティ面304A,306Aに密着して、最終ブロー成形品40の形状に設定される。形状出しのための最終ブロー時間は、熱処理部200でのブロー時間よりも長く、15〜30秒程度である。また、最終ブロー圧は、二次ブロー圧と同じであっても良いが、形状出しのためにより二次ブロー圧よりも高くしても良い。
【0081】
中間成形品30は比較的高温に維持されているし、最終形状出しのため延伸率も低いので、最終ブロー成形時には最終ブロー成形品40にほとんど歪は発生しないと考えられる。ただし、最終ブロー成形時の延伸によって最終ブロー成形品40に新たな歪が発生することもあるので、最終ブロー成形部300にも加熱部が設けられている。
【0082】
最終ブロー成形部300の一対の最終ブロー割型304,304には、図9〜図11に示すように、周方向にて等間隔に、各割型304に4個ずつ計8個の縦孔312が貫通形成されている。図11に示すように、この一対の最終ブロー割型304,304の各々では、2組の2個の縦孔312,312は、端部、例えば上端側が閉鎖され、有底の横孔314にて連通されている。図11にて例えば左端の縦孔312の下端側から熱媒体が供給され、この熱媒体は横孔314を介して隣の縦孔312に流入する。隣の縦孔312の下端は、金型取付板(図示せず)を介してさらに隣の縦孔312と連通している。よって、一対の最終ブロー割型304,304の各々では、4つの縦孔312と2つの横孔314とが連通されて、熱媒体通路を形成することができる。この熱媒体通路に熱媒体を循環供給することで、一対の最終ブロー割型304,304を加熱することができる。
【0083】
また、各縦孔312の近傍には、図9及び図10に示すように計8個の熱伝対配置用の有底の縦孔316が設けられている。8個の縦孔316に温度測定素子例えば熱伝対318(図9参照)を配置し、その計測温度をフィードバックすることで、最終ブロー成形品40の胴部44の加熱温度を制御することができる。
【0084】
一対の最終ブロー割型304,304は、過延伸に起因した歪を除去するためのものではないので、加熱温度は熱処理部200での加熱温度よりも低くて良く、例えば80〜110℃とすることができる。この加熱温度は、最終ブロー成形品である大型リターナブル容器40の洗浄温度が60〜70℃であれば、その洗浄温度よりも高ければよく、100℃以下でも良い。
【0085】
最終ブロー成形後に最終ブロー成形品40内を排気して取り出し、40時間放置しても、最終ブロー成形品40は全高でも容量も変化がなかった。なお、最終ブロー成形部300での排気速度は、熱処理型200での排気速度より充分に遅くてよい。熱処理型200に一次ブロー成形品20を倒立搬送して供給する場合には、最終ブロー成形部300にも中間成形品30が倒立搬送して供給される。この場合には、最終ブロー成形部300も図7の搬送機構が用いられる。ただし、最終ブロー成形部300では、シールピストン72のシール解除動作は低速で行われる。
【0086】
3.第2実施形態
第2実施形態は、図3に示す一次ブロー成形部100及び図4に示す熱処理部200に代えて、図12に示す一次ブロー成形部(熱処理部)100Aを設けている。図12に示す一次ブロー成形部(熱処理部)100Aは、図3に示す一次ブロー成形部100の全ての構成に加えて、図4〜6に示す加熱部のための構成212〜224が付加されている。
【0087】
つまり、この一次ブロー成形部100Aは、プリフォーム10をブロー成形して一次ブロー成形品20を形成すると同時に、キャビティ面102Aを介して一次ブロー成形品20の肩部22と胴部24をヒートセットする。この際、第1実施形態の熱処理部200と同様に、肩部ゾーンと胴部ゾーンは空気断熱されて、肩部を胴部よりも低い温度で加熱している。
【0088】
このようにしても、高延伸された胴部は高い温度でヒートセットされて、一次ブロー成形時に生じた歪は除去されると共に、比較的低延伸で厚肉の肩部は、低い温度の加熱で歪は除去されると共に、球晶結晶化による白化も防止できる。
【0089】
図12に示す一次ブロー成形部(熱処理部)100Aで一次ブロー成形品を排気することで、最終ブロー成形品40よりもサイズの小さい中間成形品30を形成する。なお、一次ブロー成形された直後の一次ブロー成形品20の底部26は暖かいが、底部26がひっくり返らない程度の排気速度で高速排気することが好ましい。この中間成形品30が図9に示す最終ブロー成形部300にて最終ブロー成形されて最終ブロー成形品40が形成される。この第2実施形態で得られた最終ブロー成形品40もまた、耐熱性と透明性とがバランスが取れた容器となる。
【0090】
第2実施形態は、一次ブロー成形部100Aと最終ブロー成形部300とを搭載したブロー成形機であれば、その成形機には既存のプリフォーム射出成形機からプリフォームが供給されることで実現できる。あるいは、プリフォーム射出成形部52、温調部53、一次ブロー成形部100A及び最終ブロー成形部300を機台上に備えた射出延伸ブロー成形機で第2実施形態を実現しても良い。
【0091】
ここで、第2実施形態が第1実施形態と相違する点は、上述した通り一次ブロー成形工程と熱処理工程とを同一金型にて実施していることである。このため、一次ブロー成形品20の樹脂はプリフォーム10の保有熱が影響で第1実施形態よりも温度は高い。このために、肉厚調整、成形安定性などの面で、第1実施形態と相違した容器を成形できる。
【0092】
第2実施形態の一次ブロー成形品20の肩部22や底部26は、その保有熱により、第1実施形態の二次ブロー成形時よりも延伸されやすい。一次ブロー成形品20の肩部22や底部26が延びやすいことから胴部24が過度に伸ばされなくなる。よって、第2実施形態での熱処理時の一次ブロー成形品20の肉厚は、第1実施形態での熱処理時の二次ブロー成形品30の肉厚とは異なり、その相違が耐熱性及び透明性の各特性を異ならせる。
【0093】
第2実施形態の一次ブロー成形品20は、キャビティ面106Aに樹脂が接触した時も保有熱を有するので、樹脂がキャビティ面上を移動しやすい。よって、一次ブロー成形品の成形安定性は第1実施形態の方が第2実施形態より優れている。
【0094】
第2実施形態を実施するには、ブロー型は2つ(熱処理型を兼ねる一次ブロー型と最終ブロー型)であるので、第1実施形態よりもブロー型を一つ少なくすることができ、装置が大型化しない利点がある。
【0095】
よって、ユーザーが耐熱性と透明性のどちらを重視するか、ユーザーが装置の大型化を許容できるか否かで、第1,第2実施形態を使い分けることができる。
【0096】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるものである。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【0097】
例えば、上述した実施形態では、図4の二次底型206及び図12の一次底型106は加熱部を設けていなかった。一次ブロー成形品20の底部26も厚肉となるから、肩部26と同様に、胴部24よりも低い温度で加熱しても良い。こうすると、中間成形品30の底部36の球晶結晶化による白化を低減または防止することができる。
【0098】
また、熱処理部100A,200及び最終ブロー成形部300に配置される加熱部は、棒状ヒーターや熱媒体通路の他、ブロー型内で成形品を加熱できる他の種々の手段に変更しても良い。
【符号の説明】
【0099】
10 プリフォーム、20 一次ブロー成形品、30 中間成形品、40 最終ブロー成形品、70 搬送部材(ブローエアー導入部材)、72 シールピストン、100,100A 一次ブロー成形部、102 ネック型、104 一次ブロー割型、106 一次底型、108 一次ブローコア型、110 一次延伸ロッド、200 熱処理部、202 ネック型、204 二次ブロー割型、206 二次底型、208 二次ブローコア型(ブローエアー導入部材)、210 二次延伸ロッド、212 胴部加熱の棒状ヒーター配設用縦孔、216 熱伝対、218 肩部加熱の熱媒体通路、222 空気断熱層形成用スリット(断熱部)、300 最終ブロー成形部、304 最終ブロー割型、306 最終底型、308 最終ブローコア型、310 最終延伸ロッド、312,314 熱媒体通路
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型リターナブル(returnable)容器、その成形方法及び成形装置並びに加熱ゾーン分割されたブロー型等に関する。
【背景技術】
【0002】
容量が例えば3ガロンや5ガロン(約20リットル)等の大容量であって、市場から回収され、再充填されて再使用可能な大型リターナブル容器は、ミネラルウォーター等の飲料容器として普及している。使用済み容器に飲料を再充填する前に、例えば60〜70℃の温度で使用済み容器を洗浄、例えばアルカリ温水で洗浄する必要がある。
【0003】
従来、この種の大型リターナブル容器は、ポリカーボネート(PC)製のプリフォームを射出成形し、そのプリフォームをブロー成形して製造されている(特許文献1)。
【0004】
近年、ポリカーボネートやエポキシ樹脂のようなビスフェノールAを原料とする種類の合成樹脂は、強力な洗剤で洗浄した場合や酸・高温の液体に接触させた場合に、ビスフェノールA成分が溶け出すことが指摘されている。よって、大型リターナブル容器の成形材料として、ポリカーボネートの代替材料が求められている。
【0005】
ポリカーボネートの代替材料は、製品コストの点からも要請があった。ポリカーボネートは、透明性、耐熱性、耐衝撃性が高く、高品質である一方で、高価であるという欠点が指摘されていた。そこで、ポリカーボネート(PC)に代えて、ポリエチレンテレフタレート(PET)で代表される安価なポリエステル樹脂を用いて大型リターナブル容器を製造することが提案されていた(特許文献2)。
【0006】
また、容量が数リットル以下、例えば500cc〜2リットル容量の中小型の容器の耐熱性を確保するブロー成形方法が知られている。この方法は、プリフォームを一次ブロー成形して得た一次ブロー成形品、あるいは一次ブロー成形品をさらに二次ブロー成形して得た二次ブロー成形品を熱処理し、その後熱収縮した中間成形品を最終ブロー成形して耐熱容器を得るというものである(特許文献3〜5)。延伸配向された容器を熱処理することで、延伸配向時に生じた歪を除去して結晶化度を高めることができ、それにより耐熱性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−164557号公報
【特許文献2】特開平11−34152号公報
【特許文献3】特開平10−286874号公報
【特許文献4】特許第3777204号公報
【特許文献5】特開2006−117289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ポリカーボネート(PC)の代替材料としてポリエステル樹脂例えばポリエチレンテレフタレート(PET)を用いて大型リターナブル容器を成形しようとすると、PC樹脂では通常のブロー成形法で成形してもPC樹脂自体の耐熱性を利用できたが、PET樹脂では耐熱性に劣る。よって、特許文献2の方法では、透明な大型容器は成形できたとしても、洗浄温度に耐えうる耐熱性を確保する観点でさらに改善の余地がある。
【0009】
また、大型容器のためのプリフォームは厚肉となり(特許文献2では胴部肉厚が8〜10mm)、中小型容器のプリフォームの肉厚よりも倍以上となる。この厚肉プリフォームを用いる必要から、特許文献3〜5に開示された耐熱容器の成形方法をそのまま用いると、ブロー成形後もなお比較的肉厚の厚い部分(特に肩部)が加熱された後に徐冷されて球晶化により白化してしまうことが判明した。胴部のように高延伸による応力白化が生じた場合には、熱をかけて歪を除去することは可能であっても、厚肉に起因した球晶結晶化による白化は熱をかけても解消できず透明性が劣化する。しかも、肩部を薄肉にすると、トップロード耐圧を確保できない。
【0010】
このように、従来、PET樹脂製の大型リターナブル容器の耐熱性を確保しようすると、透明性を犠牲にせざるを得ない。逆に、PET樹脂製の大型リターナブル容器の透明性を確保しようすると、耐熱性を犠牲にせざるを得ない。
【0011】
そこで、本発明の幾つかの態様は、ブロー成形後も厚肉となる部分の利点を利用しつつ欠点を解消して、耐熱性と透明性との双方でバランスの取れたトップロード耐圧が高い大型リターナブル容器、その成形方法及び成形装置並びに加熱ゾーン分割されたブロー型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様に係る大型リターナブル容器の成形方法は、
厚肉のポリエステル樹脂製プリフォーム、または前記プリフォームから一次ブロー成形された一次ブロー成形品を、加熱下で中間ブローして、ブロー成形時の歪を除去した中間成形品を得る熱処理工程と、
収縮された前記中間成形品を加熱下で最終ブローして、大型リターナブル容器を得る最終ブロー成形工程と、
を有し、
前記熱処理工程は、前記プリフォームまたは前記一次ブロー成形品を熱処理型内に配置し、前記プリフォームまたは前記一次ブロー成形品内に高圧エアーを導入して加圧して、ブロー成形された肩部及び胴部を前記熱処理型のキャビティ面に密着させて熱処理し、かつ、ブロー成形された前記肩部を前記胴部よりも低い温度で加熱することを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様では、ビスフェノールAを含有するポリカーボネートに代えて、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂を成形材料として用いている。500cc〜2リットル程度の中小型容器のための薄肉プリフォームに代えて、大型リターナブル容器のための厚肉プリフォームが用いられる。
【0014】
大型リターナブル容器は、厚肉プリフォームから少なくとも二回のブロー成形工程(中間ブロー成形工程と最終ブローブロー成形工程)と、二回の熱処理工程(中間ブロー成形工程及び最終ブロー成形工程での各熱処理工程)を経て成形される。厚肉プリフォームを一次ブロー成形すると、プリフォームの胴部は一次ブロー型のキャビティ面までの距離が長いので高延伸される一方で、プリフォームの肩部は一次ブロー型のキャビティ面までの距離が短いので、延伸率が小さく、胴部よりも厚肉となる。最初の熱処理工程は、加熱された一次ブロー型(中間ブロー型)を熱処理型として用いるか、あるいは一次ブロー型から取り出された一次ブロー成形品を一次ブロー型とは異なる二次ブロー型(中間ブロー型)を熱処理型として用いて行われる。
【0015】
熱処理型内で中間ブロー成形(プリフォームの一次ブロー成形または一次ブロー成形品の二次ブロー成形)して、ブロー成形された肩部及び胴部が熱処理型のキャビティ面に密着されて熱処理された中間成形品を得る。この熱処理により、胴部は高延伸時の歪が除去される。延伸率が低く厚肉の肩部は、胴部よりも低い温度で加熱され、低延伸時の歪が除去される一方で、加熱温度が低いので球晶結晶化による白化結晶化が低減または防止される。しかも、肩部は厚肉であるので、トップロード耐圧の高い大型リターナブル容器を得ることができる。
【0016】
本発明の他の態様に係る大型リターナブル容器の成形方法は、
厚肉のポリエステル樹脂製プリフォームから一次ブロー成形して延伸配向された肩部及び胴部を有する一次ブロー成形品を、加熱下で二次ブローして、一次ブロー成形時の歪を除去した中間成形品を得る熱処理工程と、
収縮された前記中間成形品を加熱下で最終ブローして、大型リターナブル容器を得る最終ブロー成形工程と、
を有し、
前記熱処理工程は、前記一次ブロー成形品の前記肩部及び前記胴部を、熱処理型内に配置し、前記一次ブロー成形品内に高圧エアーを導入して加圧して、前記一次ブロー成形品の前記肩部及び前記胴部と実質的に同じ形状を有する前記熱処理型のキャビティ面に、前記一次ブロー成形品を密着させて熱処理し、かつ、前記一次ブロー成形品の肩部を胴部よりも低い温度で加熱することを特徴とする。
【0017】
本発明の他の態様では、三回のブロー成形工程(一次ブロー成形工程、二次ブロー成形工程、最終ブローブロー成形工程)と、二回の熱処理工程(二次ブロー成形工程及び最終ブロー成形工程での各熱処理工程)を経て大型リターナブル容器が成形される。本発明の他の態様では、本発明の一態様と同様に作用することに加えて、一次ブロー成形工程と最初の熱処理工程とを分離したため、以下の通り作用する。プリフォームはブロー適温に加熱されて一次ブロー成形品に一次ブローされるので、一次ブロー型内で熱処理する場合には、一次ブロー成形品の肩部及び胴部は、保有温度を有するために、キャビティ面と接触した後もキャビティ面上を移動する。一方、一次ブロー型と熱処理型とを別個にすると、一次ブロー型は加熱する必要がなく、一次ブロー成形品の形状安定性が良好となる。この一次ブロー成形品を熱処理型及び最終ブロー型にて処理することで、最終ブロー成形品の形状安定性も良好となる。また、加熱なしで一次ブロー成形したときには、加熱下で一次ブロー成形するものよりも胴部が薄く延ばされ、胴部の透明性と耐熱性が向上する。
【0018】
本発明の他の態様では、前記熱処理工程では、前記一次ブロー成形品の前記肩部と前記胴部とに対する各々の加熱ゾーンを断熱部により断熱して分割することができる。こうすると、肩部と胴部の各加熱ゾーンにて設定温度制御が容易となり、肩部を適正温度にて加熱して球晶結晶化による白化をより低減しまたは防止できる。
【0019】
本発明の他の態様では、前記熱処理工程では、空気断熱層により前記各々の加熱ゾーンを分割することができる。肩部と胴部の各加熱ゾーン間に隙間を設けることで空気断熱層を形成できるので、断熱部を簡易に形成できる。
【0020】
本発明の他の態様では、前記熱処理型は、前記キャビティ面と連続するパーティング面が互いに接触する一対の割型を含み、前記一対の割型の各々は、前記熱処理型の前記キャビティ面に露出し、かつ、前記パーティング面まで到達しないスリットを含み、前記熱処理工程では、前記スリットにより形成される前記空気断熱層が前記各々の加熱ゾーンを分割することができる。
【0021】
スリットをキャビティ面まで到達させることで、一次ブロー成形品の肩部と胴部との加熱接触面に至る位置まで断熱でき、断熱効果が向上する。また、スリットがパーティング面まで到達しないので、一対の割型の各々がスリットによって上下で完全に分離されることがなく、一対の割型の取り扱いが容易となる。
【0022】
本発明の他の態様では、前記熱処理工程後に、前記中間成形品内を排気する第1排気工程と、前記最終ブロー成形工程後に、前記大型リターナブル容器内を排気する第2排気工程と、を含み、前記第1排気工程での排気速度を前記第2排気工程での排気速度よりも速くすることができる。
【0023】
こうすると、中間成形品を自由に熱収縮させることができ、最終ブロー成形品よりも小さいサイズとなるように収縮させて、最終ブロー型に中間成形品が挟まれることがなくなる。本発明の他の態様では、一次ブロー成形品の底部は冷えて固化されているので、排気速度を高くしても、中間成形品の底部が収縮される過程でひっくり返る等の変形が生ずることもない。
【0024】
本発明の他の態様では、前記熱処理型は、前記一次ブロー成形品の前記胴部の一端を閉鎖する上げ底の底部と接触する底型をさらに含み、前記熱処理工程では、前記一対の割型よりも先に前記底型が型締めされて、前記底型により前記一次ブロー成形品を芯出しすることができる。
【0025】
一次ブロー成形品の底部は冷えて固化されているので、一次ブロー成形品の上げ底の底部に底型を接触させることで、一対の割型が型締めされる前に一次ブロー成形品を芯出しして位置決めすることができる。
【0026】
本発明のさらに他の態様に係る大型リターナブル容器は、
厚肉のポリエステル樹脂製プリフォームの射出成形時に形成される口部と、
前記口部より拡径した肩部と、
前記肩部に続く胴部と、
前記胴部の一端を閉鎖する底部と、
を有し、
少なくとも前記肩部及び前記胴部は、ブロー型のキャビティ面に露出するスリットにより断熱された肩部ゾーンが胴部ゾーンよりも低い温度に加熱されたブロー型内にて前記プリフォームがブロー成形されることで、延伸配向されて形成され、延伸配向時の歪が除去されており、
前記スリットの痕跡として、周方向に沿って形成され、かつ周方向にて不連続な線が形成されていることを特徴とする。
【0027】
本発明のさらに他の態様に係る大型リターナブル容器は、ポリエステル製であるのでビスフェノールAの析出がなく、延伸配向時の歪が除去されているので耐熱性があり、肩部が低い温度で加熱されているので球晶結晶化による白化も低減または防止されている。しかも、断熱に用いたスリットの痕跡が周方向にて不連続な線として形成されているので、本発明品であるか否かを判別できる。
【0028】
本発明のさらに他の態様に係る大型リターナブル容器の成形装置は、
口部を有する厚肉のポリエステル樹脂製プリフォームから一次ブロー成形して延伸配向された肩部及び胴部を有する一次ブロー成形品を、加熱下で二次ブロー成形して、一次ブロー成形時の歪を除去した中間成形品を得る熱処理部と、
収縮された前記中間成形品を加熱下で最終ブローして、最終ブロー時の歪が除去された大型リターナブル容器を得る最終ブロー成形部と、
を有し、
前記熱処理部は、
一対の割型を含み、前記一次ブロー成形品の前記肩部及び前記胴部と実質的に同じ形状のキャビティ面を有する熱処理型と、
前記一次ブロー成形品の前記口部内に配置され、高圧エアーを前記一次ブロー成形品内に導入して加圧するブローエアー導入部材と、
を含み、
前記熱処理型の前記一対の割型の各々が、二次ブロー成形された前記中間成形品の前記肩部と前記胴部とに対する各々の加熱ゾーンを断熱する断熱部を含み、前記中間成形品の前記肩部を前記胴部よりも低い温度で加熱することを特徴とする。
【0029】
本発明のさらに他の態様に係る大型リターナブル容器の成形装置は、熱処理部及び最終ブロー成形部を有し、熱処理部が一対の割型を含む熱処理型とブローエアー導入部材とを有し、一対の割型が断熱部を有するので、本発明の他の態様に係る大型リターナブル容器の成形方法を好適に実施できる。しかも、プリフォームの射出成形から一次ブロー成形品のブロー成形は、既存の射出延伸ブロー成形装置にて実施できるので、大型リターナブル容器の成形のためには、熱処理部と最終ブロー成形部とを有する本発明装置に係る成形装置を追加するだけで良い。
【0030】
本発明のさらに他の態様に係る大型リターナブル容器の成形装置は、前記一次ブロー成形品を、前記口部が下向きとなる倒立状態で搬送する、前記ブローエアー導入部材を備えた搬送部材と、前記熱処理部に設けられ、前記搬送部材に対して接離駆動されて、接触によってシールして前記ブローエアー導入部材に前記高圧エアーを供給し、非接触によりシール解除されて前記中間成形品内を排気するシールピストンと、を有することができる。
【0031】
こうすると、ブローエアー導入部材を口部に嵌入させたまま、シールピストンの移動により口部側のシールを解除することができるので、中間成形品内を高速排気することができる。これにより、中間成形品を自由に熱収縮させて、最終ブロー成形品よりも小さくすることができ、最終ブロー型での挟み込みを防止できる。
【0032】
本発明のさらに他の態様に係るブロー型は、キャビティ面と、前記キャビティ面と連続するパーティング面とをそれぞれ有し、型締めにより前記パーティングが互いに接触する一対の割型を有し、
前記一対の割型の各々は、
前記前記キャビティ面に露出し、かつ、前記パーティング面まで到達しないスリットと、
前記スリットにより分割された一方に配置された第1の温調部と、
前記スリットにより分割された他方に配置され、前記第1の温調部とは異なる温度に調整される第2の温調部と、
を含むことを特徴とする。
【0033】
本発明のさらに他の態様では、一対の割型が、スリットと、スリットにより空気断熱されてそれぞれ異なる温度に温調する第1,第2温調部を有することから、本発明の一態様または本発明の他の態様に係る大型リターナブル容器の成形方法の実施や、本発明のさらに他の態様に係る成形装置に好適なブロー型を提供できる。
【0034】
本発明のさらに他の態様に係るブロー型では、前記一対の割型の各々は、前記スリットをワイヤーカットで形成するためのワイヤーを通す孔を含み、前記スリットを前記孔と連通させることができる。
【0035】
こうすると、一対の割型の製造過程で、孔に通されたワイヤーを移動させて一対の割型をワイヤーカットすることでスリットを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明方法の一態様の主要工程で得られる成形品の概略説明図である。
【図2】本発明の一態様の成形装置の概略平面図である。
【図3】一次ブロー成形部の概略断面図である。
【図4】熱処理部の概略断面図である。
【図5】一対の二次ブロー割型の平面図である。
【図6】図4のVI−VI断面図である。
【図7】成形品を倒立搬送した変形例を示す概略断面図である。
【図8】二次底型の型締移動を示す概略断面図である。
【図9】最終ブロー成形部の概略断面図である。
【図10】一対の最終ブロー割型の平面図である。
【図11】一対の最終ブロー割型に形成された熱媒体通路である縦孔及び横孔を示す概略図である。
【図12】本発明の他の態様に係るヒートセット機能を備えた一次ブロー成形部の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0038】
1.耐熱性を確保するためのブロー成形方法の概要
図1は、本発明の実施形態に係る大型リターナブル容器の主要工程で得られるプリフォーム10、一次ブロー成形品20、中間成形品30及び最終ブロー成形品40を示している。口部12は、これら各成形品10,20,30,40に共通に設けられ、口部12よりも下方の形状が異なっている。
【0039】
最初に、ポリエステル樹脂例えばPET樹脂を用いて、プリフォーム10を射出成形する。プリフォーム10は、開口する口部12、口部12に続く筒状の胴部14及び胴部14の一端を閉鎖する底部16を有する。なお、本実施形態では、PET樹脂は、結晶加速度の遅いコポリマー(コダック社製9921 シクロヘキサメタノールとの共重合グレード)を用いたが、ポリエステル樹脂であればこれに限定されない。
【0040】
プリフォーム10の口部12の内径は例えば40mm〜60mmであり、胴部14の肉厚は例えば6〜9mm、好ましくは8mm以下の厚肉プリフォームである。一般に、中小型容器のプリフォームは、縦軸長さを長くすることでプリフォームの胴部肉厚を4mm以下に抑えることができる。しかし、大型容器のプリフォーム10は大容量であることに加えトップロード耐性を確保することから相当の樹脂量(600〜750g)が求められる。このため、縦軸延伸倍率を1倍に近くするように最大限のプリフォーム長(例えば全長400〜500mm程度)に設計しても、中小型容器のプリフォームの胴部肉厚の倍以上となる。なお、プリフォーム10の胴部肉厚が9mmを超えると、上述の樹脂材料(コポリマー)を使ったとしても、ブロー時には球晶結晶化して白化してしまう。
【0041】
プリフォーム10の胴部14及び底部16を一次ブロー成形して形成される一次ブロー成形品20は、射出成形された口部12と、口部12に続く肩部22と、肩部22に続く胴部24と、胴部24の一端を閉鎖する底部26とを有する。底部26は中央に設けられた上げ底部27と、上げ底部27の周囲の接地部28とを含んでいる。この一次ブロー成形品20は、最終ブロー成形品40よりも、胴部24の胴径も長さもサイズが大きく成形される。
【0042】
中間成形品30は、一次ブロー成形品20を加熱された二次ブロー型(中間ブロー型とも言い、例えば一次ブロー型と同寸法)内で二次ブロー(中間ブロー)成形され、ヒートセットされた二次ブロー成形品内を排気することで熱収縮されている(後述する第1実施形態)。あるいは、中間成形品30は、加熱された一次ブロー型(中間ブロー型とも言う)で一次ブロー(中間ブロー)成形された一次ブロー成形品が一次ブロー型内でヒートセットされ、一次ブロー成形品内を排気することで熱収縮されている(後述する第2実施形態)。
【0043】
この中間成形品30は、射出成形された口部12と、口部12に続く肩部32と、肩部22に続く胴部34と、胴部34の一端を閉鎖する底部36とを有する。底部36は中央に設けられた上げ底部37と、上げ底部37の周囲の接地部38とを含んでいる。この中間成形品30は、一次ブロー成形品20(または二次ブロー成形品)が熱収縮されていることから、最終ブロー成形品40よりも胴径は小さく、全長も短い。
【0044】
この中間成形品30は、一次ブロー成形により延伸配向されることで生ずる歪または残留応力が、熱処理(ヒートセット)により除去され、中間成形品30の結晶化度が高められている。また、中間成形品30はその熱処理後に熱収縮しているので、その後に熱処理温度以下の温度で加熱されても、ほとんど熱収縮することはない。中間成形品30の段階での熱処理により、高温時の形状安定性が向上される。
【0045】
最終ブロー成形品である大型リターナブル容器40は、中間成形品30を加熱された最終ブロー型内で最終ブロー成形して得られる。この最終ブロー成形品40は、射出成形された口部12と、口部12に続く肩部42と、肩部42に続く胴部44と、胴部44の一端を閉鎖する底部46とを有する。底部46は中央に設けられた上げ底部47と、上げ底部47の周囲の接地部48とを含んでいる。
【0046】
最終ブロー成形品40の胴部44は外径が260〜280mmであり、口部12の内径が40〜50mmであることを考慮すると、細口容器の部類である。最終ブロー成形品40は、プリフォーム10の胴部14の外径に対して周方向で4.5〜6倍の外径の胴部44を有する。胴部44の肉厚は0.6〜1mmで、肩部42の肉厚を胴部42よりも大きくすることで、トップロード耐性を有する。
【0047】
ここで、中間成形品30の胴部34及び底部36の外径及び長さは、最終ブロー成形品40の胴部44及び底部46の外径及び長さよりも若干小さく形成される。こうすることで、中間成形品30が最終ブロー型の一対の割型間に挟まれることを防止できる上に、最終ブロー成形ではほとんど延伸されない状態とすることができる。こうすると、最終ブロー成形時に生ずる歪または残留応力はわずかとなり、しかも、加熱された最終ブロー型内でヒートセットされるので、歪を完全に除去することができる。こうして、最終ブロー成形品40の熱安定性を高めることができる。
【0048】
なお、一次成形品20、中間成形品30及び最終ブロー成形品40には、一次ブロー型に設けられた断熱用スリット(後述する)の痕跡として、周方向に沿って形成され、かつ周方向にて不連続な線23,23が形成されている。なお、後述する第1実施形態の成形法方法では、一次ブロー成形後の一次ブロー成形品20には線23は形成されないが、一次ブロー成形型と同一寸法の二次ブロー成形型内で二次ブローされた一次ブロー成形品20に線23が形成される。
【0049】
2.第1実施形態
次に、射出成形されプリフォーム10から三回のブロー成形工程と二回の熱処理工程を経て最終ブロー成形品40を成形する第1実施形態について説明する。
【0050】
図1に示すプリフォーム10及び一次ブロー成形品20は、例えば特許文献2の図2に示される既存の射出延伸ブロー成形装置を用いて成形することができる。その装置50は、図2に示すように、射出装置51が連結される射出成形部52と、温調部53と、一次ブロー成形部54(100)と、取り出し部55とを有する。この射出延伸ブロー成形装置50にて射出成形されたプリフォーム10または一次ブロー成形された一次ブロー成形品20は、その口部がネック型に保持されて例えば回転盤(図示せず)により90度間隔で回転搬送される。
【0051】
なお、本実施形態でも、特許文献2の図2に示される射出延伸ブロー成形装置で採用されている温調予備ブロー工程を実施することができる。つまり特許文献2の図3に示すように、射出成形されたプリフォーム10を温調ポット内に配置し、プリフォーム10の口部12に温調ブローコア型を嵌入する。そして、ブロー圧によりプリフォーム10を予備ブローさせて温調ポット内面に接触させて、プリフォームをブロー適温まで温調している。こうすると、予備ブローされたプリフォーム10は外径が大きくなり(胴部最大径で90mm程度まで)、その結果肉厚は薄くなる。このため、温調効率が高まることに加え、一次ブロー成形品20に一次ブロー成形する際の延伸比を下げることができ、低温でも応力白化させずに一次ブロー成形することができる。
【0052】
射出延伸ブロー成形装置50より取り出された一次ブロー成形品20は、インラインまたはオフラインで大型リターナブル容器成形装置60に供給される。この成形装置60には、熱処理部200と最終ブロー成形部300とが設けられている。大型リターナブル容器成形装置60は必ずしも射出延伸ブロー成形装置50とインラインで連結される必要はない。オフライン接続として、常温まで充分に冷えた一次ブロー成形品20が大型リターナブル容器成形装置60に供給されても良い。こうすると、大型リターナブル容器成形装置60では、射出延伸ブロー成形装置50での成形サイクル(最も時間を要する射出成形サイクル)に制約されることなく成形でき、スループットが向上する。
【0053】
以下、射出延伸ブロー成形装置50に設けられた一次ブロー成形部100と、成形装置60に設けられた熱処理部200及び最終ブロー成形部300の詳細について説明する。なお、各容器とブロー型の対比を明確にする説明の便宜上、以下の説明では、一次ブロー成形部100、熱処理部200及び最終ブロー成形部300は、口部12を上向きとした正立状態でブロー成形される例を挙げて説明する。ただし、射出延伸ブロー成形装置50とは別個に成形装置60を設ければ、成形装置60では口部12を下向きとした倒立状態でブロー成形することができる。成形装置60には射出成形部がないので、成形品を倒立状態で搬送でき、後述するように開閉可能なネック型を用いないため機構が簡易化される。
【0054】
2.1.一次ブロー成形部
図3は、一次ブロー成形部100の概略断面図である。射出成形部52にて射出成形されたプリフォーム10は、口部12が一対の割型で構成されるネック型102に保持されて、温調部53を介して一次ブロー成形部100に搬入される。この一次ブロー成形部100には、ネック型102と型締めされる一対の一次ブロー割型104,104が設けられている。一対の一次ブロー割型104,104は、一次ブロー成形品20の胴部22の外形を定義するキャビティ面104Aを有する。なお、本実施形態では、一対の一次ブロー割型104,104には加熱機構は設けられていない。一次ブロー成形部100には、一対の一次ブロー割型104,104と型締めされる昇降可能な一次底型106を設けることができる。一次底型106は、一次ブロー成形品20の底部26を定義するキャビティ面106Aを有する。ただし、一対の一次ブロー割型104,104に底型を設ける場合には、一次底型106を用いなくても良い。
【0055】
一次ブロー成形部100には、プリフォーム10の口部12に嵌入される、昇降可能な一次ブローコア型108を有する。この一次ブローコア型108は、プリフォーム10内に、高圧エアーを導入する。また、一次ブロー成形後に、一次ブローコア型108を上昇させて口部12より離脱させることで、一次ブロー成形品20内を排気できる。一次ブローコア型108を貫通してプリフォーム10内に配置される一次延伸ロッド110が、昇降可能に設けられている。本実施形態では、図3に示すようにプリフォーム10の縦軸延伸率は、プリフォーム10の縦軸中心線上ではほぼ1倍に近い。一次延伸ロッド110はその縦軸延伸機能の他に、一次底型106と一次延伸ロッド110との間にプリフォームを位置決めして一次ブロー成形中にプリフォーム10をセンタリングすることができる。
【0056】
この一次ブロー成形部100には、射出成形されたプリフォーム10がブロー適温に温調された後に搬入される。なお、一次ブロー成形は、射出成形時の熱を保有したプリフォーム10を用いるホットパリソン方式(1ステージ方式)でも、射出成形後に常温に戻ったプリフォーム10をブロー適温まで加熱するコールドパリソン方式(2ステージ方式)のいずれを採用しても良い。
【0057】
2.2.熱処理部(二次ブロー成形部)
熱処理部200は、一次ブロー成形品20を加熱された二次ブロー型内にて二次ブロー成形し、二次ブロー成形後に熱収縮された中間成形品30を得るものである。この熱処理部200は二次ブロー成形部として、一次ブロー成形部100に設けられた各部材と同一機能を有するネック型202、一対の二次ブロー割型204、二次底型206、二次ブローコア型(ブローエアー導入部材)208及び二次延伸ロッド210を有する。しかも、熱処理部200の一対の二次ブロー割型204のキャビティ面204A及び二次底型206のキャビティ面206Aは、一次ブロー成形部100の一対の一次ブロー割型104のキャビティ面104A及び一次底型106のキャビティ面106Aと実質的に同じ寸法となっている。この理由は、熱処理部200は一次ブロー成形品に生じている歪を除去することが目的であるから、二次ブロー成形では一次ブロー成形品20を延伸配向しないことが好ましいからである。また、二次ブロー成形工程ではほとんど延伸されないので、図2の射出延伸ブロー成形装置50から取り出され、インラインまたはオフラインで供給される常温付近の一次ブロー成形品20であっても、ブロー特性に影響はない。
【0058】
この熱処理部200では、図8に示すように、一対の二次ブロー割型204,204の型締めに先駆けて、二次底型206を型締めしている。一次ブロー成形品20の底部26は冷えて固いので、二次底型206を型締めすることで一次ブロー成形品20の上げ底形状の底部26が芯出しされる。
【0059】
二次底型206によりセンタリングされた一次ブロー成形品20内に、二次ブローコア型208を介して高圧エアーが導入すると共に、二次延伸ロッド210を縦軸駆動する。それにより、一次ブロー成形品20の肩部22、胴部24及び底部26は、キャビティ面204A,206Aに密着される。
【0060】
熱処理型200が一次ブロー成形部100と相違する点は、一対の二次ブロー割型204,204が加熱部を有する点である。熱処理部200の役割は、一次ブロー成形時に一次ブロー成形品20に生じた歪を熱処理により除去することであるから、加熱部が配置されている。
【0061】
しかも、この一対の二次ブロー割型204,204(広義にはブロー型)は、一次ブロー成形品20の肩部22と胴部24とを、それぞれ異なる温度で加熱するゾーン加熱部を有する。
【0062】
一次ブロー成形品20の胴部を加熱するために、図4及び図5に示すように、一対の二次ブロー割型204,204には、各割型204,204で6個ずつ、計12個の棒状ヒーター配置用の縦孔212が、キャビティ面204A,204Aの周囲にて、周方向にてほぼ等間隔で貫通形成されている。この12個の各縦孔212に加熱部例えば棒状ヒーター(図示せず)が配設される。棒状ヒーター(図示せず)は、一次ブロー成形品20の胴部24の長さ範囲に亘って、有効ヒーター長を有する。また、12個の各縦孔212の近傍には、熱伝対配置用の有底の縦孔214が設けられている。12個の縦孔214に温度測定素子例えば熱伝対216(図4参照)を配置し、その計測温度をフィードバックすることで、胴部24の加熱温度を制御することができる。これらの縦孔212,214、加熱部及び温度測定素子により、第1の温調部が構成される。
【0063】
一方、一次ブロー成形品20の肩部22を加熱するために、図4及び図6に示すように、一対の二次ブロー割型204,204には、一次ブロー成形品20の肩部22と対応する高さ位置であって、肩部22を包囲する位置に、加熱部である熱媒体通路218,218が形成されている。この熱媒体通路218,218に熱媒体を通過させることで、一次ブロー成形品20の肩部22が加熱される。なお、図面では省略しているが、熱媒体通路218,218を流れる熱媒体によって設定される金型温度を測定する温度測定素子を設け、その計測温度をフィードバックすることで、肩部22の加熱温度を制御することができる。これらの加熱部218や温度測定素子により、第2の温調部が構成される。
【0064】
本実施形態では、第1,第2温調部が一次ブロー成形品20の肩部22と胴部24とをゾーン分割して加熱することで、肩部22と胴部24とをそれぞれ異なる温度で加熱することができる。
【0065】
本実施形態では、肩部22の温度を胴部24よりも低い温度となるように加熱している。この温度差を設けた理由は、一次ブロー成形品20の肩部22と胴部24との肉厚に差があるからである。一次ブロー成形品20の胴部24は延伸倍率が高く、肩部22に比べれば充分に薄い肉厚となっている。一方、一次ブロー成形品20の肩部22は、図4から明らかなように、プリフォーム10の側壁から一次キャビティ面104Aまでの距離が胴部24に比べれば短く、横軸延伸倍率が小さい。よって、図4に示すように、一次ブロー成形品20の肩部22は、口部12側が厚く、胴部24に近づくに従い薄肉となる肉厚移行部を形成している(図4参照)。
【0066】
この比較的厚肉の肩部22は、胴部24に比べれば熱容量が大きい。よって、肩部22がブロー圧によってキャビティ面204Aと接触して加熱されると、その温度を維持しやすい。
【0067】
所定時間例えば8〜16秒に亘って高圧エアーにより一次ブロー成形品20がキャビティ面204Aと接触して加熱された後に、エアー圧が解除され、二次ブローコア型208が上昇駆動されて、一次ブロー成形品20の口部12より離脱される。それにより、一次ブロー成形品20内は一気に排気される。その結果、一次ブロー成形品20は自由に熱収縮可能となり、縦軸及び横軸の熱収縮により中間成形品30が形成される。なお、収縮率は、容量で10〜30%程度、全高で5〜15%程度である。
【0068】
この中間成形品30の肩部32は、胴部34と比較して厚肉であるから、熱容量が大きく、一気に冷却されない。よって、厚肉の肩部32は徐冷されることで球晶結晶化により白化しやすくなる。
【0069】
肩部32の加熱温度を胴部34よりも低くすれば、この白化結晶化を低減でき、さらには白化結晶化を防止できる。本実施形態では、一次ブロー成形品20の胴部24の加熱温度を140〜180℃とする一方で、肩部22の加熱温度を100〜120℃と低く設定し、中間成形品30の透明性を担保している。
【0070】
このように、一対の二次ブロー割型204,204は、肩部ゾーンと胴部ゾーンとでことなる加熱温度に設定するために、各加熱ゾーン間を断熱することが好ましい。本実施形態では、一対の二次ブロー割型204,204の肩部ゾーンに、横孔220,220を貫通形成している。この横孔220,220にワイヤー(図示せず)を挿通させ、そのワイヤーをキャビティ面204A,204Aに向けて水平移動させながらワイヤーカットすることで、スリット222,222(広義には断熱部)が形成される(図4参照)。このスリット222,222は、図8に示すように、一対の二次ブロー割型204,204のキャビティ面204Aまで露出するが、パーティング面204Bまでは露出していない。スリット222がパーティング面204Bに到達すると、一対の二次ブロー割型204,204が上下に分離されてしまうからである。
【0071】
このスリット222は所定幅(例えば0.3mm)の隙間に空気断熱層を形成するので、肩部ゾーンと胴部ゾーンとを空気断熱することができる。これにより、肩部ゾーンと胴部ゾーンとの各加熱温度を維持することが容易となる。
【0072】
なお、一対の二次ブロー割型204,204のうち、スリット222で分離された肩部ゾーンは容積が小さいので、スリット222の隙間の範囲で移動することを防止するために、この肩部ゾーンにはボルト孔224が形成されている。このボルト孔224に螺合されるボルトを介して、肩部ゾーンを固定することが可能となる。
【0073】
このように、一対の二次ブロー割型204,204のスリット222,222が形成されたキャビティ面204Aに、一次ブロー成形品20をブロー圧により密着させると、図1に示すように一次ブロー成形品20に、スリット222,222の痕跡として、周方向に沿って形成され、かつ周方向にて不連続な線23,23が形成される。この線23,23は、一次ブロー成形品20の口部12側の上方から見た平面視では、各線23は180度未満の広角の円弧となる。この線23,23は、中間成形品30及び最終ブロー成形品40にも残存し、本実施形態を実施した痕跡が最終ブロー成形品40にも残存する。なお、最終ブロー成形品40の線23,23がある領域には、最終ブロー成形時に微細な凹凸パターンのシボ加工などを施すことで、線23,23を見難くすることができる。
【0074】
また、一次ブロー成形品20を自由に熱収縮させて中間成形品30を形成するには、排気速度が重要な要因となることが分かった。本発明者の実験によれば、排気速度を5秒と高速化にすると、排気速度が10秒のものと比較すると、中間成形品30の胴部の周囲長さは20〜30mmも短く、中間成形品30の全高は2〜5mmも短くなることが分かった。本実施形態では、中間成形品30は、最終ブロー成形品40よりもサイズが小さくなければならず、そうでないと中間成形品30が最終ブロー型に挟み込まれてしまう。
【0075】
そこで本実施形態では、熱処理部200での排気速度(第1排気工程での排気速度)を、5〜7秒、例えば6秒と短時間に設定している。一次ブロー成形部100や最終ブロー成形部300での排気速度(第2排気工程での排気速度)が20〜25秒であることを考慮すると、熱処理部200での排気速度は一次ブロー成形部100や最終ブロー成形部300での排気速度の3〜5倍の高速排気である。この高速排気によって、中間成形品30を最終ブロー成形品40よりもサイズが小さくなるように収縮させることができる。しかも、一次ブロー成形部100では一次ブロー成形品20を加熱することがなく、熱処理部200でも底部26は加熱されないので、底部26は冷えて固化されている。よって、高速排気しても、二次底型206から離れて縮む過程で底部26がひっくり返る等の変形が生ずることもない。
【0076】
ここで、一次ブロー成形部200及び最終ブロー成形部300は、図3及び図9とは異なり、口部12を下端とした倒立搬送で搬送することができる。この場合、一次ブロー成形部100及び最終ブロー成形部300では、図7に示すように、一次ブロー成形品20、中間成形品30または最終ブロー成形品40は、それらを搬送するための搬送部材62上に倒立状態にて載置されている。
【0077】
搬送部材62は、成形装置60上を循環搬送するために、搬送用チェーン64に固定され、レール66に沿って移動するためのカムフォロア68を有している。搬送部材62には、各成形品20,30,40の口部に入り込む中空の搬送用ピン70(ブローエアー導入部材)がある。さらに、搬送部材62の下方には、一次ブロー成形工程または最終ブロー成形工程時にブローエアーを搬送用ピン70に供給するためのシールピストン72があり、搬送部材62に向かって上昇してシールするようになっている。なお、一次ブロー成形部100及び最終ブロー成形部300は、口部12を位置決めするための冷却されたネックガイド部材74を有する。
【0078】
このように、倒立搬送方式では、図3のように口部12内に挿脱される一次ブローコア型108を設ける代わりに、昇降可能なシールピストン72を設けている。一次ブローコア型108を口部12より離脱させるよりも、搬送用ピン70は口部12に維持したままシールピストン72だけを下降させてシールを解除できるので、排気速度を高速にすることが可能となる。なお、図7では延伸ロッドは省略されているが、搬送部材62及びシールピストン72を貫通して延伸ロッドを配置することができる。
【0079】
2.3.最終ブロー成形部
図9に示す最終ブロー成形部300は、中間成形品30を加熱された最終ブロー型で最終ブローして、最終ブロー成形品40を得るものである。この最終ブロー成形部300は、一次ブロー成形部100に設けられた各部材と同一機能を有する一対の最終ブロー割型304、最終底型306、最終ブローコア型308及び最終延伸ロッド310を有する。最終ブロー成形部300の一対の最終ブロー割型304のキャビティ面304A及び最終底型306のキャビティ面306Aは、最終ブロー成形品40の胴部44及び底部46の外壁と同一形状である。なお、一対の最終ブロー割型304のキャビティ面304Aは中間成形品30の外形よりもわずかに大きく、最終底型306のキャビティ面306Aは一次底型106のキャビティ面106A及び二次底型206のキャビティ面206Aと同一形状となっている。この理由は、最終ブロー成形部300は、歪が除去されて収縮された中間成形品30を最終ブロー成形品40の形状に外形出しするための最小限の延伸倍率とすれば良いからである。
【0080】
この最終ブロー成形部300では、最終延伸ロッド310と最終底型306とによりセンタリングされた中間成形品30内に、最終ブローコア型308(倒立搬送の場合には図6のシールピストン72)を介して高圧エアーが導入される。それにより、中間成形品30の肩部32、胴部34及び底部36は、キャビティ面304A,306Aに密着して、最終ブロー成形品40の形状に設定される。形状出しのための最終ブロー時間は、熱処理部200でのブロー時間よりも長く、15〜30秒程度である。また、最終ブロー圧は、二次ブロー圧と同じであっても良いが、形状出しのためにより二次ブロー圧よりも高くしても良い。
【0081】
中間成形品30は比較的高温に維持されているし、最終形状出しのため延伸率も低いので、最終ブロー成形時には最終ブロー成形品40にほとんど歪は発生しないと考えられる。ただし、最終ブロー成形時の延伸によって最終ブロー成形品40に新たな歪が発生することもあるので、最終ブロー成形部300にも加熱部が設けられている。
【0082】
最終ブロー成形部300の一対の最終ブロー割型304,304には、図9〜図11に示すように、周方向にて等間隔に、各割型304に4個ずつ計8個の縦孔312が貫通形成されている。図11に示すように、この一対の最終ブロー割型304,304の各々では、2組の2個の縦孔312,312は、端部、例えば上端側が閉鎖され、有底の横孔314にて連通されている。図11にて例えば左端の縦孔312の下端側から熱媒体が供給され、この熱媒体は横孔314を介して隣の縦孔312に流入する。隣の縦孔312の下端は、金型取付板(図示せず)を介してさらに隣の縦孔312と連通している。よって、一対の最終ブロー割型304,304の各々では、4つの縦孔312と2つの横孔314とが連通されて、熱媒体通路を形成することができる。この熱媒体通路に熱媒体を循環供給することで、一対の最終ブロー割型304,304を加熱することができる。
【0083】
また、各縦孔312の近傍には、図9及び図10に示すように計8個の熱伝対配置用の有底の縦孔316が設けられている。8個の縦孔316に温度測定素子例えば熱伝対318(図9参照)を配置し、その計測温度をフィードバックすることで、最終ブロー成形品40の胴部44の加熱温度を制御することができる。
【0084】
一対の最終ブロー割型304,304は、過延伸に起因した歪を除去するためのものではないので、加熱温度は熱処理部200での加熱温度よりも低くて良く、例えば80〜110℃とすることができる。この加熱温度は、最終ブロー成形品である大型リターナブル容器40の洗浄温度が60〜70℃であれば、その洗浄温度よりも高ければよく、100℃以下でも良い。
【0085】
最終ブロー成形後に最終ブロー成形品40内を排気して取り出し、40時間放置しても、最終ブロー成形品40は全高でも容量も変化がなかった。なお、最終ブロー成形部300での排気速度は、熱処理型200での排気速度より充分に遅くてよい。熱処理型200に一次ブロー成形品20を倒立搬送して供給する場合には、最終ブロー成形部300にも中間成形品30が倒立搬送して供給される。この場合には、最終ブロー成形部300も図7の搬送機構が用いられる。ただし、最終ブロー成形部300では、シールピストン72のシール解除動作は低速で行われる。
【0086】
3.第2実施形態
第2実施形態は、図3に示す一次ブロー成形部100及び図4に示す熱処理部200に代えて、図12に示す一次ブロー成形部(熱処理部)100Aを設けている。図12に示す一次ブロー成形部(熱処理部)100Aは、図3に示す一次ブロー成形部100の全ての構成に加えて、図4〜6に示す加熱部のための構成212〜224が付加されている。
【0087】
つまり、この一次ブロー成形部100Aは、プリフォーム10をブロー成形して一次ブロー成形品20を形成すると同時に、キャビティ面102Aを介して一次ブロー成形品20の肩部22と胴部24をヒートセットする。この際、第1実施形態の熱処理部200と同様に、肩部ゾーンと胴部ゾーンは空気断熱されて、肩部を胴部よりも低い温度で加熱している。
【0088】
このようにしても、高延伸された胴部は高い温度でヒートセットされて、一次ブロー成形時に生じた歪は除去されると共に、比較的低延伸で厚肉の肩部は、低い温度の加熱で歪は除去されると共に、球晶結晶化による白化も防止できる。
【0089】
図12に示す一次ブロー成形部(熱処理部)100Aで一次ブロー成形品を排気することで、最終ブロー成形品40よりもサイズの小さい中間成形品30を形成する。なお、一次ブロー成形された直後の一次ブロー成形品20の底部26は暖かいが、底部26がひっくり返らない程度の排気速度で高速排気することが好ましい。この中間成形品30が図9に示す最終ブロー成形部300にて最終ブロー成形されて最終ブロー成形品40が形成される。この第2実施形態で得られた最終ブロー成形品40もまた、耐熱性と透明性とがバランスが取れた容器となる。
【0090】
第2実施形態は、一次ブロー成形部100Aと最終ブロー成形部300とを搭載したブロー成形機であれば、その成形機には既存のプリフォーム射出成形機からプリフォームが供給されることで実現できる。あるいは、プリフォーム射出成形部52、温調部53、一次ブロー成形部100A及び最終ブロー成形部300を機台上に備えた射出延伸ブロー成形機で第2実施形態を実現しても良い。
【0091】
ここで、第2実施形態が第1実施形態と相違する点は、上述した通り一次ブロー成形工程と熱処理工程とを同一金型にて実施していることである。このため、一次ブロー成形品20の樹脂はプリフォーム10の保有熱が影響で第1実施形態よりも温度は高い。このために、肉厚調整、成形安定性などの面で、第1実施形態と相違した容器を成形できる。
【0092】
第2実施形態の一次ブロー成形品20の肩部22や底部26は、その保有熱により、第1実施形態の二次ブロー成形時よりも延伸されやすい。一次ブロー成形品20の肩部22や底部26が延びやすいことから胴部24が過度に伸ばされなくなる。よって、第2実施形態での熱処理時の一次ブロー成形品20の肉厚は、第1実施形態での熱処理時の二次ブロー成形品30の肉厚とは異なり、その相違が耐熱性及び透明性の各特性を異ならせる。
【0093】
第2実施形態の一次ブロー成形品20は、キャビティ面106Aに樹脂が接触した時も保有熱を有するので、樹脂がキャビティ面上を移動しやすい。よって、一次ブロー成形品の成形安定性は第1実施形態の方が第2実施形態より優れている。
【0094】
第2実施形態を実施するには、ブロー型は2つ(熱処理型を兼ねる一次ブロー型と最終ブロー型)であるので、第1実施形態よりもブロー型を一つ少なくすることができ、装置が大型化しない利点がある。
【0095】
よって、ユーザーが耐熱性と透明性のどちらを重視するか、ユーザーが装置の大型化を許容できるか否かで、第1,第2実施形態を使い分けることができる。
【0096】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるものである。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【0097】
例えば、上述した実施形態では、図4の二次底型206及び図12の一次底型106は加熱部を設けていなかった。一次ブロー成形品20の底部26も厚肉となるから、肩部26と同様に、胴部24よりも低い温度で加熱しても良い。こうすると、中間成形品30の底部36の球晶結晶化による白化を低減または防止することができる。
【0098】
また、熱処理部100A,200及び最終ブロー成形部300に配置される加熱部は、棒状ヒーターや熱媒体通路の他、ブロー型内で成形品を加熱できる他の種々の手段に変更しても良い。
【符号の説明】
【0099】
10 プリフォーム、20 一次ブロー成形品、30 中間成形品、40 最終ブロー成形品、70 搬送部材(ブローエアー導入部材)、72 シールピストン、100,100A 一次ブロー成形部、102 ネック型、104 一次ブロー割型、106 一次底型、108 一次ブローコア型、110 一次延伸ロッド、200 熱処理部、202 ネック型、204 二次ブロー割型、206 二次底型、208 二次ブローコア型(ブローエアー導入部材)、210 二次延伸ロッド、212 胴部加熱の棒状ヒーター配設用縦孔、216 熱伝対、218 肩部加熱の熱媒体通路、222 空気断熱層形成用スリット(断熱部)、300 最終ブロー成形部、304 最終ブロー割型、306 最終底型、308 最終ブローコア型、310 最終延伸ロッド、312,314 熱媒体通路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚肉のポリエステル樹脂製プリフォーム、または前記プリフォームから一次ブロー成形された一次ブロー成形品を、加熱下で中間ブローして、ブロー成形時の歪を除去した中間成形品を得る熱処理工程と、
収縮された前記中間成形品を加熱下で最終ブローして、大型リターナブル容器を得る最終ブロー成形工程と、
を有し、
前記熱処理工程は、前記プリフォームまたは前記一次ブロー成形品を熱処理型内に配置し、前記プリフォームまたは前記一次ブロー成形品内に高圧エアーを導入して加圧して、ブロー成形された肩部及び胴部を前記熱処理型のキャビティ面に密着させて熱処理し、かつ、ブロー成形された前記肩部を前記胴部よりも低い温度で加熱することを特徴とする大型リターナブル容器の成形方法。
【請求項2】
厚肉のポリエステル樹脂製プリフォームから一次ブロー成形して延伸配向された肩部及び胴部を有する一次ブロー成形品を、加熱下で二次ブローして、一次ブロー成形時の歪を除去した中間成形品を得る熱処理工程と、
収縮された前記中間成形品を加熱下で最終ブローして、大型リターナブル容器を得る最終ブロー成形工程と、
を有し、
前記熱処理工程は、前記一次ブロー成形品の前記肩部及び前記胴部を、熱処理型内に配置し、前記一次ブロー成形品内に高圧エアーを導入して加圧して、前記一次ブロー成形品の前記肩部及び前記胴部と実質的に同じ形状を有する前記熱処理型のキャビティ面に、前記一次ブロー成形品を密着させて熱処理し、かつ、前記一次ブロー成形品の肩部を胴部よりも低い温度で加熱することを特徴とする大型リターナブル容器の成形方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記熱処理工程では、前記一次ブロー成形品の前記肩部と前記胴部とに対する各々の加熱ゾーンを断熱部により断熱して分割することを特徴とする大型リターナブル容器の成形方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記熱処理工程では、空気断熱層により前記各々の加熱ゾーンを分割することを特徴とする大型リターナブル容器の成形方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記熱処理型は、前記キャビティ面と連続するパーティング面が互いに接触する一対の割型を含み、前記一対の割型の各々は、前記熱処理型の前記キャビティ面に露出し、かつ、前記パーティング面まで到達しないスリットを含み、
前記熱処理工程では、前記スリットにより形成される前記空気断熱層が前記各々の加熱ゾーンを分割することを特徴とする大型リターナブル容器の成形方法。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれかにおいて、
前記熱処理工程後に、前記中間成形品内を排気する第1排気工程と、
前記最終ブロー成形工程後に、前記大型リターナブル容器内を排気する第2排気工程と、
を含み、
前記第1排気工程での排気速度が前記第2排気工程での排気速度よりも速いことを特徴とする大型リターナブル容器の成形方法。
【請求項7】
請求項5において、
前記熱処理型は、前記一次ブロー成形品の前記胴部の一端を閉鎖する上げ底の底部と接触する底型をさらに含み、
前記熱処理工程では、前記一対の割型よりも先に前記底型が型締めされて、前記底型により前記一次ブロー成形品を芯出しすることを特徴とする大型リターナブル容器の成形方法。
【請求項8】
厚肉のポリエステル樹脂製プリフォームの射出成形時に形成される口部と、
前記口部より拡径した肩部と、
前記肩部に続く胴部と、
前記胴部の一端を閉鎖する底部と、
を有し、
少なくとも前記肩部及び前記胴部は、ブロー型のキャビティ面に露出するスリットにより断熱された肩部ゾーンが胴部ゾーンよりも低い温度に加熱されたブロー型内にて前記プリフォームがブロー成形されることで、延伸配向されて形成され、延伸配向時の歪が除去されており、
前記スリットの痕跡として、周方向に沿って形成され、かつ周方向にて不連続な線が形成されていることを特徴とする大型リターナブル容器。
【請求項9】
口部を有する厚肉のポリエステル樹脂製プリフォームから一次ブロー成形して延伸配向された肩部及び胴部を有する一次ブロー成形品を、加熱下で二次ブロー成形して、一次ブロー成形時の歪を除去した中間成形品を得る熱処理部と、
収縮された前記中間成形品を加熱下で最終ブローして、最終ブロー時の歪が除去された大型リターナブル容器を得る最終ブロー成形部と、
を有し、
前記熱処理部は、
一対の割型を含み、前記一次ブロー成形品の前記肩部及び前記胴部と実質的に同じ形状のキャビティ面を有する熱処理型と、
前記一次ブロー成形品の前記口部内に配置され、高圧エアーを前記一次ブロー成形品内に導入して加圧するブローエアー導入部材と、
を含み、
前記熱処理型の前記一対の割型の各々が、二次ブロー成形された前記中間成形品の前記肩部と前記胴部とに対する各々の加熱ゾーンを断熱する断熱部を含み、前記中間成形品の前記肩部を前記胴部よりも低い温度で加熱することを特徴とする大型リターナブル容器の成形装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記一次ブロー成形品を、前記口部が下向きとなる倒立状態で搬送する、前記ブローエアー導入部材を備えた搬送部材と、
前記熱処理部に設けられ、前記搬送部材に対して接離駆動されて、接触によってシールして前記ブローエアー導入部材に前記高圧エアーを供給し、非接触によりシール解除されて前記中間成形品内を排気するシールピストンと、
を有することを特徴とする大型リターナブル容器の成形装置。
【請求項11】
キャビティ面と、前記キャビティ面と連続するパーティング面とをそれぞれ有し、型締めにより前記パーティングが互いに接触する一対の割型を有し、
前記一対の割型の各々は、
前記前記キャビティ面に露出し、かつ、前記パーティング面まで到達しないスリットと、
前記スリットにより分割された一方に配置された第1の温調部と、
前記スリットにより分割された他方に配置され、前記第1の温調部とは異なる温度に調整される第2の温調部と、
を含むことを特徴とするブロー型。
【請求項12】
請求項11において、
前記一対の割型の各々は、前記スリットをワイヤーカットで形成するためのワイヤーを通す孔を含み、前記スリットが前記孔と連通していることを特徴とするブロー型。
【請求項1】
厚肉のポリエステル樹脂製プリフォーム、または前記プリフォームから一次ブロー成形された一次ブロー成形品を、加熱下で中間ブローして、ブロー成形時の歪を除去した中間成形品を得る熱処理工程と、
収縮された前記中間成形品を加熱下で最終ブローして、大型リターナブル容器を得る最終ブロー成形工程と、
を有し、
前記熱処理工程は、前記プリフォームまたは前記一次ブロー成形品を熱処理型内に配置し、前記プリフォームまたは前記一次ブロー成形品内に高圧エアーを導入して加圧して、ブロー成形された肩部及び胴部を前記熱処理型のキャビティ面に密着させて熱処理し、かつ、ブロー成形された前記肩部を前記胴部よりも低い温度で加熱することを特徴とする大型リターナブル容器の成形方法。
【請求項2】
厚肉のポリエステル樹脂製プリフォームから一次ブロー成形して延伸配向された肩部及び胴部を有する一次ブロー成形品を、加熱下で二次ブローして、一次ブロー成形時の歪を除去した中間成形品を得る熱処理工程と、
収縮された前記中間成形品を加熱下で最終ブローして、大型リターナブル容器を得る最終ブロー成形工程と、
を有し、
前記熱処理工程は、前記一次ブロー成形品の前記肩部及び前記胴部を、熱処理型内に配置し、前記一次ブロー成形品内に高圧エアーを導入して加圧して、前記一次ブロー成形品の前記肩部及び前記胴部と実質的に同じ形状を有する前記熱処理型のキャビティ面に、前記一次ブロー成形品を密着させて熱処理し、かつ、前記一次ブロー成形品の肩部を胴部よりも低い温度で加熱することを特徴とする大型リターナブル容器の成形方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記熱処理工程では、前記一次ブロー成形品の前記肩部と前記胴部とに対する各々の加熱ゾーンを断熱部により断熱して分割することを特徴とする大型リターナブル容器の成形方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記熱処理工程では、空気断熱層により前記各々の加熱ゾーンを分割することを特徴とする大型リターナブル容器の成形方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記熱処理型は、前記キャビティ面と連続するパーティング面が互いに接触する一対の割型を含み、前記一対の割型の各々は、前記熱処理型の前記キャビティ面に露出し、かつ、前記パーティング面まで到達しないスリットを含み、
前記熱処理工程では、前記スリットにより形成される前記空気断熱層が前記各々の加熱ゾーンを分割することを特徴とする大型リターナブル容器の成形方法。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれかにおいて、
前記熱処理工程後に、前記中間成形品内を排気する第1排気工程と、
前記最終ブロー成形工程後に、前記大型リターナブル容器内を排気する第2排気工程と、
を含み、
前記第1排気工程での排気速度が前記第2排気工程での排気速度よりも速いことを特徴とする大型リターナブル容器の成形方法。
【請求項7】
請求項5において、
前記熱処理型は、前記一次ブロー成形品の前記胴部の一端を閉鎖する上げ底の底部と接触する底型をさらに含み、
前記熱処理工程では、前記一対の割型よりも先に前記底型が型締めされて、前記底型により前記一次ブロー成形品を芯出しすることを特徴とする大型リターナブル容器の成形方法。
【請求項8】
厚肉のポリエステル樹脂製プリフォームの射出成形時に形成される口部と、
前記口部より拡径した肩部と、
前記肩部に続く胴部と、
前記胴部の一端を閉鎖する底部と、
を有し、
少なくとも前記肩部及び前記胴部は、ブロー型のキャビティ面に露出するスリットにより断熱された肩部ゾーンが胴部ゾーンよりも低い温度に加熱されたブロー型内にて前記プリフォームがブロー成形されることで、延伸配向されて形成され、延伸配向時の歪が除去されており、
前記スリットの痕跡として、周方向に沿って形成され、かつ周方向にて不連続な線が形成されていることを特徴とする大型リターナブル容器。
【請求項9】
口部を有する厚肉のポリエステル樹脂製プリフォームから一次ブロー成形して延伸配向された肩部及び胴部を有する一次ブロー成形品を、加熱下で二次ブロー成形して、一次ブロー成形時の歪を除去した中間成形品を得る熱処理部と、
収縮された前記中間成形品を加熱下で最終ブローして、最終ブロー時の歪が除去された大型リターナブル容器を得る最終ブロー成形部と、
を有し、
前記熱処理部は、
一対の割型を含み、前記一次ブロー成形品の前記肩部及び前記胴部と実質的に同じ形状のキャビティ面を有する熱処理型と、
前記一次ブロー成形品の前記口部内に配置され、高圧エアーを前記一次ブロー成形品内に導入して加圧するブローエアー導入部材と、
を含み、
前記熱処理型の前記一対の割型の各々が、二次ブロー成形された前記中間成形品の前記肩部と前記胴部とに対する各々の加熱ゾーンを断熱する断熱部を含み、前記中間成形品の前記肩部を前記胴部よりも低い温度で加熱することを特徴とする大型リターナブル容器の成形装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記一次ブロー成形品を、前記口部が下向きとなる倒立状態で搬送する、前記ブローエアー導入部材を備えた搬送部材と、
前記熱処理部に設けられ、前記搬送部材に対して接離駆動されて、接触によってシールして前記ブローエアー導入部材に前記高圧エアーを供給し、非接触によりシール解除されて前記中間成形品内を排気するシールピストンと、
を有することを特徴とする大型リターナブル容器の成形装置。
【請求項11】
キャビティ面と、前記キャビティ面と連続するパーティング面とをそれぞれ有し、型締めにより前記パーティングが互いに接触する一対の割型を有し、
前記一対の割型の各々は、
前記前記キャビティ面に露出し、かつ、前記パーティング面まで到達しないスリットと、
前記スリットにより分割された一方に配置された第1の温調部と、
前記スリットにより分割された他方に配置され、前記第1の温調部とは異なる温度に調整される第2の温調部と、
を含むことを特徴とするブロー型。
【請求項12】
請求項11において、
前記一対の割型の各々は、前記スリットをワイヤーカットで形成するためのワイヤーを通す孔を含み、前記スリットが前記孔と連通していることを特徴とするブロー型。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−37139(P2011−37139A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186785(P2009−186785)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(000227032)日精エー・エス・ビー機械株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(000227032)日精エー・エス・ビー機械株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
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