説明

大豆ペプチドペースト、およびその製造方法

【課題】
大豆のまるごと全体を豆乳の様態である大豆ペプチドペーストとして製造し、栄養価が高く、食感も優れたパン類、麺類、飲料、シュークリームなどの食品に利用することを課題として、大豆を原料として豆乳様態である大豆ペプチドを含有した上記のような有効な食品を製造できる大豆ペプチドペーストを得ることができるようにすることを目的としたものである。
【解決手段】
大豆ペプチドペーストの製造に当たって、所定量の発芽乾燥大豆や原料大豆を破砕、押圧する工程と、破砕された大豆を30〜60℃の温水に浸漬して、植物組織崩壊酵素を添加する工程と、前記処理の大豆分を磨砕・乳化する工程と、乳化した大豆成分にペプチド分解酵素と繊維素分解酵素を添加して熟成する工程と、前記の熟成ペーストを容器に充填し、ペーストと容器を殺菌する工程とから調製されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、破砕、加熱、酵素添加、乳化、酵素添加により大豆ペプチドペーストを生成し、又は水を加えて酵素、加熱することにより大豆ペプチドペーストを製造することを目的とした製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康に対する関心の高まりから植物性蛋白食品が評価されている。特に大豆を原料とする食品は、伝統的な大豆加工食品である豆腐、納豆をはじめとして、豆乳飲料、蛋白質食品等が商品化されている(特許文献6参照)。大豆(豆乳)を原料とするチーズ様食品も種々検討されており、「大豆乳を利用したチーズ様食品の製造法」(特許文献1参照)、および「改良されたチーズ様食品の製造法」(特許文献2参照)等多くの特許出願もなされている。
また大豆を水に浸漬し、これを擂り潰して水を加え、大豆ペーストエキスとし、これをパンに添加して食感の良いパンの製造方法が知られている(特許文献5参照)。
また大豆の呉汁からの豆乳に凝固剤を添加した後、豆乳を加熱し、豆腐様の食品を得ている(特許文献3参照)。さらに呉汁を無菌充填された豆乳ペーストを加熱するゲル状食品の製造方法が知られている(特許文献4参照)。
【0003】
【特許文献1】特公昭57−3338号
【特許文献2】特開昭59−213358号
【特許文献3】特開平7−308164号
【特許文献4】特開2003−144075号
【特許文献5】特開2003−79305号
【特許文献6】特開2002−360201号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来一般的に行われている大豆のペーストの製造は、呉汁である豆乳の製造になる。しかしこれには技術は熟練を要して、家庭などで製造する際には製品の品質に不安定を来しする問題点があった。更におからを分離するまで加熱されることがない豆乳は、いわゆる生豆乳であって、それをそのままに食品にすることはできなかった。
また、豆乳を原料としてチーズ様食品を製造する場合も、牛乳を原料とする場合と同様、乳酸発酵と同時にカードを生成させることが必要である。豆乳の場合には、牛乳で使用される凝集酵素レンネットでは凝固が起こらず、従って良好なカードを生成させるために、例えば耐熱性を有する乳酸菌を使用して乳酸発酵後、高温下でカード生成を促進させる方法も提案されている。しかしながら大豆のおからを作らず、大豆の全体を豆乳の様態であるプロテインを主体であるペプチドペーストが要求されるため、特殊酵素によって大豆ペーストに調製することが課題であった。大豆のまるごと全体を豆乳の様態である大豆ペプチドペーストを製造して、栄養素の高く、食感も優れたパン類、麺類、飲料、シュークリームなどの食品に利用することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発芽乾燥大豆、原料の大豆を破砕、押圧したものを、温湯に浸漬し、植物組織崩壊酵素を添加して、さらに磨砕・乳化した大豆成分にペプチド分解酵素と繊維素分解酵素を添加して液状物にしている大豆ペプチドペーストにすることである。
一般に植物組織崩壊酵素はリポキシダーゼ、ペプチド分解酵素はアルカリ性プロタアーゼ、繊維素分解酵素はセルラーゼである。
所定量の発芽乾燥大豆、原料の大豆を破砕、押圧する工程と、発芽乾燥大豆、破砕された大豆を30〜60℃の温湯に浸漬して、植物組織崩壊酵素を添加する工程と、発芽乾燥大豆、前記処理の大豆分を磨砕・乳化する工程と、乳化した大豆成分にペプチド分解酵素と繊維素分解酵素を添加して熟成する工程と、前記の熟成ペーストを容器に充填し、大豆ペーストと容器を殺菌する工程とからなる大豆ペプチドペーストの製造方法である。
【0006】
大豆を破砕、押圧する工程は大豆の粒状のままで破砕機、あるいは押圧器により破砕、押圧して、温湯で発芽が起こらないような大きさの形状の状態にすることである。
破砕・押圧された大豆を30〜60℃の温水に1〜5時間、好ましくは2〜3時間浸漬して、酵素を添加する工程は、破砕・押し圧された大豆に植物組織崩壊酵素を添加して、30〜60℃の温水に浸漬して十分に水分を含ませた後、水を加え乍ら擂り潰し、更に水を加えて濃度調整した後、加熱して蛋白質を熱変性させて呉汁にしたものを70〜90℃で加熱することである。この温度以外の温水を使用すると酵素の働きが悪くなり、十分なペーストにならない。また呉汁の加熱も70〜90℃の温度か望ましい。それ以外は適さない。
【0007】
発芽乾燥大豆、前記処理の大豆分を磨砕・乳化する工程は磨砕機、および乳化機によって微粉砕し、フィルターにかけて、大豆をペースト状にすることである。磨砕機、および乳化機は通常の機器を使用できる。特に株式会社イズミフードマシナリーのエマルダーを使用できる。
乳化した大豆成分にペプチド分解酵素と繊維素分解酵素を添加して熟成する工程は大豆のペースト状の乳化物にペプチド分解酵素と繊維素分解酵素を30〜50℃の温度範囲で熟成してペーストをさらに分解することである。前記の熟成ペーストを容器に充填し、容器を殺菌する工程は、ペーストを容器に充填した後、70〜100℃の温度で1〜5時間殺菌する。乳化物を熟成する温度は30〜50℃が適しており、この以外の温度では酵素の働きが有効でない。
【0008】
煮熟時間短縮のために原料となる大豆を40℃〜60℃の温水に浸漬する。通常、地下水を使用して、その温度15℃程度を使用すると15〜20時間の浸漬が必要であるが、40℃〜60℃の水温では1〜2時間の浸漬で十分であるが、大豆を完全に煮熟するために、40℃〜60℃の温水を使用することとともに、添加剤の植物組織崩壊酵素を0.1%〜0.5%濃度になるように添加して溶解したものに浸漬する。この方法は大豆の細胞を結着しているペクチンを緩め、細胞が崩壊しやすくより早く煮熟し、タンパクの熱変成を防ぎつつ大豆ペーストを作ることであって、経済的にも効果があり、重要な操作である。酵素の添加量は乳化物に対して0.1〜0.5%である。この範囲が酵素の働きで有効である。
【0009】
丸大豆を温水に浸すと、大豆の発芽を促し、後工程のペ−スト状態物を作成する工程、あるいはペプチドの品質に大きな影響を与えるために、より早く細胞を緩める事と発芽の影響を防ぐことから、発芽乾燥大豆を使用するか、大豆を粉砕することではなく、大豆の子葉2片に分割するか、あるいは押圧して、丸大豆を圧片した大豆を使用することが重要なことである。
これら発芽乾燥大豆、分割や押圧処理をした原料大豆を流水により洗穀し異物除去の後上記の浸漬作業に入ることである。浸漬処理をした原料大豆に3〜8倍の水を加えながらグラインダ−にかけすり潰すことである。この現象は一般に言われている呉であり、この呉を60℃〜90℃にて5〜30分間沸騰させることである。一般には保温、攪拌装置の付いた保持タンクに投入して、攪拌しながらタンクの底部より乳化機に送り込みより微細な微粒に乳化する方法を使用することである。この工程を3回以上の操作をかける。好ましくは4〜6回程度である。
【0010】
この工程で出来た大豆ペ−ストを濾過せずに次工程に進めるか、もしくは70〜120メッシュにて濾過したものを次工程に進める。これはより微粒によって使用する食品の食感を向上させるためである。このペーストを保温、攪拌装置のついたタンクに入れて保存する。
30℃〜60℃に保温したタンクへ0.1〜0.4%濃度になるように、タンパクペプチド分解酵素を入れて、40〜60分間攪拌する。この大豆ペ−ストを105℃〜110℃で3〜5秒でウルトラ殺菌をかけることにある。その後、所定の容器に80℃以上の高温の状態で充填をする。この容器は80℃程度の湯水にて45〜55分間沸騰して殺菌をすることである。タンパクペプチド分解酵素としてはアルカリ性プロテアーゼを使用することができる。保存、殺菌などは上記の温度が有効である。
【0011】
さらに上記の製品は0℃〜5℃の冷水にて冷却をすると保存も効果的である。
この発明は、従来の大豆ペーストは、家庭などで手軽に出来立ての大豆成分を含む大豆含有食品を食することができることを目標としているが、この発明は大豆から栄養価を向上させたり、味覚を改善するペースト様食品も同一労力、知識で手軽にできるようにして食生活を豊かにし、栄養のバランスを自然に達成できるなど、諸効果を期待することができる。
使用できる大豆として白大豆(白豆腐)、青大豆(緑豆腐)、黒大豆(黒豆腐)、小豆(赤豆腐)などを使用することもできる。
【0012】
丸大豆や脱皮大豆を粉砕又は割砕すると、その細胞が壊れ、酵素がその基質と接触し、不快な臭いや味が出現し、また糖の溶出と同時に蛋白の溶出も促され、蛋白の損失の増加につながるからである。大豆は必要により水洗、水切りし、2〜8倍量の水と共に磨砕機に投入し、磨砕する。
磨砕は常温で行なってもよいが、磨砕時の酵素等の作用による品質劣化を防止する目的で30~50℃条件下での磨砕が好ましい。磨砕して得た生呉は70~90℃で0.5〜5分間加熱する。
【0013】
製造方法の発明は、大豆を水に浸漬して十分水を含ませた後、水を加え乍ら擂り潰し、更に水を加えて濃度調整した後、加熱して蛋白質を熱変性させ、呉汁として、これを布や濾過機などのフィルターにかけて、おからと豆乳とに分離し、大豆を水に浸漬して十分水を含ませた後、高速粉砕機にかけて全体を微細粒化して生豆乳とし、該生豆乳を加熱して豆乳の蛋白を変性させることを特徴とした大豆ペプチドペーストの製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、大豆ペプチドペーストは加熱してから冷却するのみで即席加工食品ができるので、随時出来立ての大豆ペプチド含有の食品を食し得る効果がある。また粉末大豆ペプチドは保存期間が大幅に延長される効果がある。大豆を微粉砕した場合には、大豆のプロテインであるペプチドの歩留りが良好になると共に、大豆のおからを含有しないペプチドの有効成分を全部利用できるパン類、麺類、菓子類、シュークリーム、飲料などの食品添加物として利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
経済的、成分的ロスを考慮し、煮熟時間短縮のために発芽乾燥大豆、原料となる破砕、押圧された大豆を30℃〜60℃の温湯に浸漬する。通常、地下水を使用して、その温度5〜15℃程度を使用すると10〜30時間の浸漬が必要であるが、30℃〜80℃の水温では1〜5時間の浸漬で十分である。完全に煮熟するために、30℃〜80℃の温湯とともに植物組織崩壊酵素を0.1%〜0.6%濃度になるよう溶解し浸漬する。このことは大豆の細胞を結着しているペクチンを緩め、細胞が崩壊しやすくより早く煮熟する。
丸大豆を温湯に浸すと、大豆の発芽を促し、後のペ−ストをつくる工程や品質に大きな影響を与えるために、より早く細胞を緩める事と発芽の影響を防ぐ意味から大豆を子葉2片に分割するか、押圧し圧片した大豆を使用する。
【0016】
発芽乾燥大豆やこれら分割や押圧処理をした原料大豆を流水により洗穀し異物除去の後上記の浸漬作業に入ることである。浸漬処理をした原料大豆に2〜10倍の水を加えながらグラインダ−にかけ
すり潰すことである。この呉汁を50℃〜90℃にて5〜15分沸騰をする。保温、攪拌装置のついたホ−ルドタンクに入れ、攪拌しながらタンクの底部より乳化機に送り込みより微細な微粒に乳化することである。
この工程で3回以上操作した大豆ペ−ストを濾過せずに次工程に進めるか、もしくは50〜120メッシュにて濾過したものを次工程に進める。
30℃〜60℃に保温したタンクへ0.1〜0.6%濃度になるように、タンパクペプチド分解酵素を入れて、30〜60分間攪拌する。この大豆ペ−ストを102℃〜110℃で1〜10秒でウルトラ殺菌を懸けることである。所定の容器に充填して50〜90℃程度の湯水にて30〜60分間沸騰して殺菌をする。さらに0℃〜5℃の冷水にて冷却をして大豆ペプチドペーストを得た。
【実施例1】
【0017】

原料となる大豆を40℃の温水に浸漬する。その温度15℃程度を使用すると15時間の浸漬が必要であるが、60℃の水温では1時間の浸漬で十分である。完全に煮熟するために、60℃の温水とともに植物組織崩壊酵素を0.3%濃度になるよう溶解し浸漬する。このことは大豆の細胞を結着しているペクチンを緩め、細胞が崩壊しやすくより早く煮熟する。
これら発芽乾燥大豆、分割や押圧処理をした原料大豆を流水により洗穀し、異物除去の後上記の浸漬作業に入ることである。浸漬処理をした原料大豆に5倍の水を加えながらグラインダ−にかけ
すり潰すことである。この呉汁を90℃にて10分沸騰をする。保温、攪拌装置のついたホ−ルドタンクに入れ、攪拌しながらタンクの底部より乳化機に送り込みより微細な微粒に乳化することである。
【0018】
この工程で4回操作した大豆ペ−ストを濾過せずに次工程に進めるか、もしくは100メッシュにて濾過したものを次工程に進める。
60℃に保温したタンクへ0.3%濃度になるように、タンパクペプチド分解酵素を入れて、40分間攪拌する。この大豆ペ−ストを102℃で3秒でウルトラ殺菌を懸けることである。所定の容器に充填して80℃程度の湯水にて45〜55分間沸騰して殺菌をする。さらに5℃の冷水にて冷却をして大豆ペプチドペーストを得た。
【実施例2】
【0019】
パン各種の製造において、上記に大豆ペプチドペーストを小麦粉に対して10〜20%重量を添加して製造した。このものは大豆のもつ、栄養分、機能性が謳え、タンパクをペプチドタイプに加工しているので、消化・吸収が非常によく、特にカルシウムを添加することによりカルシウムの吸収率が高くなり、子供・女性・老人・スポーツ等に効果があった。
又、大豆レシチンがパン生地を乳化し、木目が細かく保水性に優れているため長時間の品質保持が可能になる。耳まで柔らかく、モチモチ感のあるソフトで口溶けのよい食感が特徴を示した。
冷凍パン生地にはおいては、焼き立てのあつあつパンが食せるチャンスは殆ど皆無といってよいでしょう。簡単にお店・家庭等で食すことができればとの要望より開発したものです。従来の冷凍パン生地は一次発酵冷凍パン生地とホイロ後成型冷凍パン生地、焼成後冷凍パン生地の方法がある。
【0020】
生の焼き立てとなると一次発酵冷凍パン生地とホイロ後成型冷凍パン生地の2通りとなる。
一次冷凍パン生地は、解凍、成型、発酵、焼成と人的にも時間的にも問題があり、よりコスト的にも、時間的にも簡単な方法はホイロ後成型冷凍パン生地と言える。
しかし、少しでも生地表面が溶けると空洞が出来、商品価値がなくなり、取扱が難点と言える。その原因は冷凍時に小麦粉、油脂、水、その他原料が十分に乳化されていないために、冷凍時に大きな粒度で水分が凍り、解凍状態になると水分が溶出するためにその部分が空洞になり、焼き上げると表面と中とで空洞が出来たり、老化し易く、早く硬くなり商品価値がなくなる。そこでこの大豆ペプチドペ−ストを利用すると、大豆レシチンの働きにより小さな粒度に乳化される事と大豆タンパクが小麦タンパクを補強するため、上記の欠点がほぼ解消でき、商品としての流通ができる。
この事により、お店であれ、家庭であれより簡便に家庭用オ−ブン200℃で冷凍状態のパン生地から約15分で焼きあがりあつあつパンが食せるものである。
【実施例3】
【0021】
洋菓子のスポンジ製造において、上記の大豆ペプチドペーストを小麦粉に対し3〜5%の添加をする。大豆レシチンによる乳化効果、大豆タンパクにより木目細かい内相を持ち保水性が向上することにより食味、食感の改良、歩留まりのアップ、賞味期限の延長が可能となる。
又、乳化され木目細かい内相から冷凍耐性がアップしクリスマスケ−キ等、前もって製造し冷凍保存をする商品の解凍時の老化、劣化が防止され、品質アップができることから品質的にも経済的にも価値が向上するものである。
【実施例4】
【0022】
シュ−クリ−ムの製造において、上記の大豆ペプチドペーストをシュ−生地に使用する。小麦粉重量に対し10〜15%添加をし、カスタードクリ−ムは牛乳を一切使用せずに代替として大豆丸ごとペ−ストを利用したもので、栄養分、機能性、コクのある味を、又、BSE問題、牛乳アレルギ−に対しても非常に有効な利用法となる。
【実施例5】
【0023】
パン粉の製造において、実施例1の要領でパン粉を製造すると、油切れの良いサクサク感が持続し美味しさを持った物となる。この場合は大豆ペプチドペーストを小麦粉に対し2〜5%添加するとよい。
【実施例6】
【0024】
麺類の製造において、上記の大豆ペプチドペーストを小麦粉、そば粉の重量に対し2〜5%添加をする。大豆タンパクが添加することにより小麦粉、水、塩等をコ−ティングする。茹でるときに大豆タンパクが40℃からアルファー化を始める為、麺の茹で時間が短縮でき、又大豆タンパクの効果で麺の肌が非常に綺麗で透明感を持つ。麺線も滑らかな為喉越しが非常に良い。小麦タンパクに比較し、大豆タンパクは粘弾性が低い為、時間が経過しても伸びにくく、茹で伸び防止効果が大きい。その他小麦粉を利用した商品、お好み焼き、たこ焼き、和菓子等、同上の利用法ができる。
【実施例7】
【0025】
ハンバ−グ等の畜肉加工品の製造において使用する肉重量の3〜7%の大豆ペプチドペ−ストを添加することにより、肉、油脂分、水分,他を大豆の持つレシチンで乳化する。また大豆タンパクで薄い膜を形成し焼き時に約40℃からアルファ−化が始まるため、ドリップを防止し歩留まりアップ美味しさの保持につながる。この食品はソフトな食感を持ちながら、水分、旨さを逃がさない。
【実施例8】
【0026】
水産加工品の製造において、蒲鉾等の練り製品のすり身に対し2〜5%添加をする。
大豆レシチンの乳化効果により油脂分とすり身、水分等が木目細かく乳化し、加熱加工をしても均一にアルファ−化するために、滑らかでソフトなうえに、プリンとした弾力感、旨さをもち、油脂分の酸化や味質の劣化を防ぎ賞味期限の延長ができる。
【実施例9】
【0027】
飲料の製造において、大豆ペプチドペーストはタンパクペプチド分解酵素を使い大豆ペプチドタイプに分解しているために、消化・吸収にすぐれ、通常では摂取しにくいカルシウムを添加すると、カルシウムの吸収率も大幅アップし、子供、出産を控える女性、スポーツをされる方々に対応、高齢者用としても有効である。
【実施例10】
【0028】
乳酸発酵飲料・発酵品の製造において、大豆タンパクをペプチドタイプに加工したものを乳酸発酵させた飲料、また発酵させてチ−ズを製造することも可能である。動物性タンパクではなく植物性タンパクを利用するヘルシ−な食品であることが特徴である。
【実施例11】
【0029】
冷菓の製造において、大豆ペプチドペーストは粒子の大きさがて30ミクロンと非常に微粒でアイスクリーム基準を満たしており、牛乳の代替として利用する。栄養分、機能性が謳えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】大豆ペプチドペーストの製造工程
【符号の説明】
【0031】
(1)大豆の洗浄と異物の除去
(2)温水で浸漬と植物組織崩壊酵素の添加
(3)豆摺り
(4)70〜90℃の加熱
(5)磨砕
(6)乳化(3〜5回操作)
(7)ペプチド分解酵素と繊維素分解酵素の添加と攪拌
(8)ウルトラ殺菌
(9)容器充填
(10)ボイル殺菌
(11)冷水での冷却
1 酵素
2 水
3 呉
4 磨砕器
5 乳化器



【特許請求の範囲】
【請求項1】
発芽乾燥した大豆、原料の大豆を破砕、押圧したものを温水に浸漬し、植物組織崩壊酵素を添加して、さらに磨砕・乳化した大豆成分にペプチド分解酵素と繊維素分解酵素を添加して泥状物にしていることを特徴とする大豆ペプチドペースト
【請求項2】
発芽乾燥大豆、原料の大豆を破砕、押圧する工程と、発芽乾燥大豆、破砕された大豆を30〜60℃の温水に浸漬して、植物組織崩壊酵素を添加する工程と、前記処理の大豆分を磨砕・乳化する工程と、乳化した大豆成分にペプチド分解酵素と繊維素分解酵素を添加して熟成する工程と、前記の熟成ペーストを容器に充填し、ペーストと容器を殺菌する工程とからなることを特徴とする大豆ペプチドペーストの製造方法
【請求項3】
請求項2において、大豆を破砕、押圧する工程は大豆の粒状のままで破砕機、あるいは押圧器により破砕、押圧して、温湯で発芽が起こらないような大きさの形状の状態にすること、発芽大豆を使用することを特徴とする大豆ペプチドペーストの製造方法
【請求項4】
請求項2において、発芽乾燥大豆、破砕・押圧された大豆を30〜60℃の温湯に浸漬して、酵素を添加する工程は、発芽乾燥大豆、大豆を破砕・押圧したものに組織崩壊酵素を添加して、30〜60℃の温水に浸漬して十分に水分を含ませた後、水を加え乍ら擂り潰し、更に水を加えて濃度調整した後、加熱して蛋白質を熱変性させて呉汁にしたものを70〜90℃で加熱することを特徴とする大豆ペプチドペーストの製造方法
【請求項5】
請求項2において、乾燥発芽大豆、前記処理の大豆分を磨砕・乳化する工程は磨砕機、および乳化機によって微粉砕し、フィルターにかけて、大豆をペ−スト状にすることを特徴とする大豆ペプチドペーストの製造方法
【請求項6】
請求項2において、乳化した大豆成分にペプチド分解酵素と繊維素分解酵素を添加して熟成する工程は、大豆のペースト状の乳化物にペプチド分解酵素と繊維素分解酵素を30〜50℃の温度範囲で熟成してペーストをさらに分解することを特徴とする大豆ペプチドペーストの製造方法
【請求項7】
請求項2において、前記の熟成ペーストを容器に充填し、容器を殺菌する工程は、ペーストを容器に充填した後、70〜100℃の温度で殺菌することを特徴とする大豆ペプチドペーストの製造方法。


【図1】
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【公開番号】特開2007−325503(P2007−325503A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−156777(P2006−156777)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(301020271)
【Fターム(参考)】