説明

太陽光発電パネル用の自動洗浄装置

【課題】太陽光発電パネルが経時的に汚れて発電効率が著しく低下することやパネルの修理や取替えの難しい問題を解決することを課題としており、更に従来の装置の洗浄ムラが出やすいことや洗浄機を屋根上に放置したままにしておくと経時的に著しく劣化しやすく、また美観も損ねるなどの問題を解決することと、発電効率を十年以上の寿命期間に亘って新設時の少なくとも95%以上を維持することを課題としている。
【解決手段】屋根上の所定位置にレールを設置し、洗浄装置本体が当該レール上をガイド機構によって上下左右方向を定めて自動走行可能に設置され、水と必要により洗剤なども供給しながら回転ブラシなどで定期的に自動洗浄可能する形態とし、洗浄しない時には、洗浄装置本体は屋根の軒下に太陽光や雨水などを避けて影に目立たずに収納できる手段を採用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭や事務所や工場などのあらゆる建物に設置される太陽光発電パネル用の自動洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、京都議定書でも定められたような地球温暖化防止のための低炭素化社会への移行が世界的な動向となっており、各界で精力的に研究開発の努力が成され、今後更に、この傾向が強まっていくのは時代の趨勢であるが、それらのうち太陽光発電が主要な技術分野となっているけれども、現状は、装置が高価なことや発電効率の不足などからコストパフォーマンスに大きな問題があって、一般家庭などにおいては、政府或いは自治体の補助金をあてにして徐々に利用され始めているのが現状である。
【0003】
近い将来においては、大量生産と技術開発によって大きく改善されて極めて大量に採用されていくと思われるが、その際には、現状の太陽光発電パネルを数枚使用した一般家庭の屋根のごく一部を使用した初歩的ものではなく、例えば特許文献1に示すような屋根全体が太陽光発電パネルとなり、瓦などの代わりの屋根材として使用され美観、耐久性などを著しく向上する形態となっていくと思量される。
【0004】
その際に屋根上の太陽光発電パネルが、ホコリや雨水やゴミやコケや場所により火山灰、海塩、煤煙などで経時的に汚れることは避けられず、また一旦そのまま放置して汚れがこびりつくと容易に取ることが難しくなるという大きな問題があり、使用期間が長くなるにつれて太陽光の透過率が減少して、発電効率が著しく低下する現象があるが、人が定期的に屋根に上がって洗浄することは、滑ることやパネルの強度不足などから不可能であり、また屋根の中央付近のパネルが故障した場合においては、そのパネルだけを修理或いは取り替えるには、専門の業者がスミの方からパネルを外しながらそのパネルまで到達しなければならないなど著しく手間取りコストもかかる問題があった。
【0005】
これらの対策として、特許文献2には太陽電池パネル用の自動洗浄装置が提案されているが、自走式の水洗装置であり、コンパクトで簡便で安価にできるなどの効果を有する半面、傾斜の大きな屋根の洗浄では、洗浄機が落下する心配があって屋根によって使用できないことや洗浄ムラが出やすいことや洗浄機本体を屋根上に放置したままにしておくと紫外線や雨水などで経時的に著しく劣化しやすく、また美観も損ねるなどの問題があり、また取り込んで下に保存することは、洗浄機本体が重くて殆ど不可能な問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−332200号公報
【特許文献2】特開2002−273351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明においては、太陽光発電パネルが経時的に汚れて発電効率が著しく低下することやパネルの修理や取替えの難しい問題を解決することを課題としており、更に従来の技術では傾斜の大きな屋根に使用できないことや洗浄ムラが出やすいことや洗浄機を屋根上に放置したままにしておくと紫外線や雨水などで使用されているプラスチック部品やゴムベルトや金属部品が経時的に著しく劣化しやすく、また美観も損ねるなどの問題を解決することと、発電効率を十年以上の寿命期間に亘って新設時の少なくとも95%以上を維持することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、屋根上の所定位置にラックレールなどのレールを設置し、その中間に太陽光発電パネルを敷き詰めて固定してから、当該レールと相応したギア輪などの車輪と回転ブラシなどを敷設した細長い洗浄装置本体が、当該レール上をガイド機構によって上下左右方向を定めて自動走行可能に設置され、屋根の最頂部などに設置されている水供給管から水と必要により少量の洗剤なども供給しながら回転ブラシなどで定期的に自動洗浄可能する形態となっていて、洗浄しない時には、洗浄装置本体は屋根の軒下に太陽光や雨水などを避けて日陰に目立たずに収納可能な構成となっており、また故障したパネルの修理などにおいては、作業者が洗浄装置本体の上に乗って手動で移動可能にして、目的のパネルだけを極めて容易に修理したり点検できる手段を採用した。
【発明の効果】
【0009】
上記手段の採用によって、太陽光発電パネルが経時的に汚れて発電効率が低下することやパネルの修理や取替えの著しく難しい問題を解決することができ、更に従来の装置では、傾斜の大きな屋根に適用できないことや洗浄ムラが出やすいことや洗浄機を屋根上に放置したままにしておくと紫外線や雨水などで劣化しやすく、また美観も損ねるなどの問題を解決することができ、更に定期的に洗浄することによって発電効率を十年以上の寿命期間に亘って新設時の少なくとも95%以上を維持することを容易にできるなどの多大な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る一実施例の太陽光発電パネル自動洗浄装置の概略の設置形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る一実施例の洗浄装置本体の自動洗浄時の概略の構成を示す拡大側面図である。
【図3】本発明に係る一実施例のラックレール上を洗浄装置が移動している時のギア輪付近の拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明に係る一実施例を示す太陽光発電パネル自動洗浄装置の概略の設置形態を示す斜視図であるが、太陽光発電パネル1の敷設された一般家庭などの家の南側の屋根部3の所定位置にラックレールなどのレール2が屋根の斜面の直下方向に平行に複数本敷設され、当該レール上を上下方向に移動可能にした屋根上の太陽光発電パネル1の幅寸法の細長い洗浄装置本体4が屋根の斜面の上下方向に落下することなく移動可能となっており、当該洗浄装置本体4には本体駆動モーター5とブラシ駆動モーター6が取り付けられて、両端部のレール2に設けられた電源からスライドしながら交流または直流電気を取得するなどの方法でブラシ7の高速回転と洗浄装置本体4の移動を可能とし、複数本のレール2の下方の端部は、そのまま180度程度を適度の半径で曲面状に曲げられており、当該洗浄装置が作動していない通常の時に軒下の本体収納庫8の中に洗浄装置本体4を逆さまに収納可能な形態となっている。なお、洗浄装置本体8を南側の軒下に収納保管する構成を前記したが、これに限定されず、例えば北側の軒下に収納する構成であってもよい。
【0012】
そしてタンク9に雨水を溜めておき、定期的に洗浄する時には揚水ポンプ10を作動させて屋根の頂点付近に設置した水供給管11の細孔から雨水と必要によって少量の洗剤を供給しながら噴出させると同時にブラシを移動しながら高速回転して自動洗浄する機構となっている。なお、水を供給する位置は、前記した屋根の頂点付近に限定されず、例えば洗浄装置本体に直接取り付けて供給する方法を採用しても差し支えなく、また使用する水は、水道水でも差し支え無いが、通常の水道水には炭酸カルシウムなどの塩類が含有されているために一般に水垢と言われる物質がパネルの表面に強固に付着する問題があるため、少量の水垢除去剤の添加をするなどの対策を要する。
【0013】
更に詳しく説明すると、図2は洗浄装置本体4の自動洗浄時の概略の構成を示す側面図であるが、本体駆動モーター5とブラシ駆動モーター6を上部に設けた構造基板13の下部の端部付近の二ヶ所に車軸支持バー15を垂下し、当該車軸支持バー15の中間程度の位置にベアリングなどを介して車軸16が設けられ、当該車軸16にはラックのあるレール2のギアの形状に合わせたギア輪などの車輪12が固定されて屋根の斜面を落下することなく上下動可能に敷設されており、また構造基板13の下部の中間程度の位置にブラシ用バー18を垂下し、ブラシ7の外径寸法から洗浄に適切な位置にブラシ軸17が、ベアリングを介して設けられ、ブラシ駆動モーター6の回転力をギアベルト14で伝達してブラシ7を高速回転させる構成となっており、更にラックレール2の側面の両側には、ガイド用凹溝19が設けられ、車軸支持バー15の下端部付近に設けた突起などと嵌合して摺動するなどのガイド機構によってギア輪12が脱輪を防止すると同時に、逆さまになっても落下することなく屋根の軒下に逆さまに収納可能な構成となっている。なお、洗浄機の洗浄素材については、ブラシを使用すると前記したが、本発明においては、これに限定されるものではなく、例えば発泡ウレタンや不織布などの軟質素材を短冊状に細長く切ったものを回転しながら接触する方法や自動車のワイパーと同様なゴムなどの軟質素材のスキージで擦り取る方法など接触して物理的な方法で洗浄するあらゆる方法を採用可能であり、また、車輪にギア輪を採用した例を前記したが、これに限定されるものではなく、例えば通常の車輪を採用して屋根頂部付近に設置したワイヤ巻取り装置によってワイヤで繋いで吊って落下することなく上下動可能にする方法などを採用しても差し支えなく、どちらかと言えば、この方式の方が装置が単純で安価にできる。
【0014】
更に詳しく説明すると、図3はラック状のレール2上を洗浄装置が移動している洗浄時の図2のギア輪付近の拡大正面図であるが、構造基板13から車軸支持バー15がレール2に対向して摺るように二本を垂下し、下方に所定位置に設けられた突起部20がレールの中間位置に設けられたガイド用凹溝19と寸法精度良く挟んで摺動可能になっており、ブラシ7を高速回転しながら屋根上を自由に上下に移動して水と少量の洗剤などの薬剤と共に自動洗浄する構成となっている。
【0015】
また、太陽光発電パネル1の一部に故障が発生して修理或いは交換が必要となった時や点検する時には、洗浄装置本体4の上に、落下防止用の柵などを設けた専用の補助装置を取り付けて、上に作業者が乗って手動で移動することによって目的のパネルだけを極めて簡単に修繕することができる。
【0016】
本発明においては、発電効率を常に測定して劣化を把握して、基準レベル以下になったら洗浄装置を作動させたり、或いは一定期間毎に作動させるなどコンピュータ制御によって自動管理することが望ましい。
【符号の説明】
【0017】
1 太陽光発電パネル 2 レール
3 屋根部 4 洗浄装置本体
5 本体駆動モーター 6 ブラシ駆動モーター
7 ブラシ 8 本体収納庫
9 タンク 10 揚水ポンプ
11 水供給管 12 車輪
13 構造基板 14 ギアベルト
15 車軸支持バー 16 車軸
17 ブラシ軸 18 ブラシ用バー
19 ガイド用凹溝 20 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根上の斜面に垂下する平行な複数本のレール2を設置し、下方にブラシなどを設けた細長い洗浄装置本体4の下部に取り付けられた車輪12で、当該洗浄装置本体4が当該レール2上を上下左右の進行方向をガイド機構によって定めて自動走行可能に設置され、水と必要により少量の洗剤なども供給しながらブラシなどの洗浄素材を太陽光発電パネル1に接触させて洗浄可能な構成となっていることを特徴とする太陽光発電パネル用の自動洗浄装置。
【請求項2】
洗浄しない時には、洗浄装置本体4は屋根の軒下に収納可能となっていることを特徴とする請求項1記載の太陽光発電パネル用の自動洗浄装置。
【請求項3】
故障したパネルの修理などにおいては、作業者が洗浄装置本体4の上に補助装置を取り付け、その上に乗って手動で移動可能にして、目的のパネルだけを修理できる手段を採用したことを特徴とする請求項1、2記載の太陽光発電パネル用の自動洗浄装置。
【請求項4】
雨水を溜めたタンク9の水を洗浄に使用することを特徴とする請求項1、2記載の太陽光発電パネル用の自動洗浄装置。
【請求項5】
洗浄装置本体4の作動に、車輪12にギア輪を採用し、レール2に当該ギア輪に相応したラックレールを採用し、ギア輪をモーターで駆動して移動することを特徴とする請求項1、2記載の太陽光発電パネル用の自動洗浄装置。
【請求項6】
洗浄装置本体4の移動に、ワイヤで吊る方法を採用することを特徴とする請求項1、2記載の太陽光発電パネル用の自動洗浄装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−1800(P2011−1800A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147750(P2009−147750)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(500019476)
【Fターム(参考)】