説明

太陽電池の製造方法

【課題】複数の収集電極を電解メッキ法によって精度良く形成可能とする太陽電池の製造方法を提供する。
【解決手段】太陽電池10の製造方法は、下地電極12a,13aを互いに電気的に接続する接続配線15を形成する工程と、下地電極12a,13a上に、電解メッキ法によって第1メッキ層12b,13b及び第2メッキ層12c,13cを形成する工程と、接続配線15の一部を除去することによってp側電極12及びn側電極13を形成する工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッキ法によって形成される複数の収集電極を備える太陽電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、クリーンで無尽蔵に供給される太陽光を直接電気に変換できるため、新しいエネルギー源として期待されている。
【0003】
従来、光電変換部と、光電変換部からキャリアを収集する複数の収集電極とを備える太陽電池が広く用いられている。
【0004】
例えば、光電変換部の裏面にだけ複数の収集電極が形成された、いわゆる裏面接合型の太陽電池が知られている(例えば、特許文献1参照)。裏面接合型の太陽電池では、複数の収集電極は、n型領域上に形成されたn側電極とp型領域上に形成されたp側電極とによって構成される。このような複数の収集電極は、電解メッキ法を用いて、n型領域及びp型領域(以下、「複数の導電領域」と総称する。)上に形成することができる。
【特許文献1】特開2006−523025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、電解メッキ法を用いて複数の収集電極を形成する場合、一般的に、各導電領域に給電電極を接触させることによって各導電領域に給電する手法が用いられる。
【0006】
しかしながら、各導電領域上のうち給電電極が接触される部分には収集電極を形成することができない。また、各導電領域と給電電極との接触が不十分であると、複数の収集電極それぞれを十分な厚みで均一に形成することができない。
【0007】
また、各導電領域それぞれに給電電極ピンを接続することも考えられるが、太陽電池の製造コストが高くなってしまう。
【0008】
本発明は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、複数の収集電極を電解メッキ法によって精度良く形成可能とする太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の特徴に係る太陽電池の製造方法は、光電変換部と、光電変換部の主面上に形成される複数の収集電極とを備える太陽電池の製造方法であって、光電変換部の主面上に、複数の導電領域と、複数の導電領域を互いに電気的に接続する接続配線とを形成する接続配線形成工程と、複数の導電領域上に、電解メッキ法によってメッキ層を形成するメッキ層形成工程と、接続配線の少なくとも一部を除去することによって、複数の収集電極を形成する収集電極形成工程とを備えることを要旨とする。
【0010】
本発明の特徴に係る太陽電池の製造方法によれば、複数の導電領域を互いに電気的に接続する接続配線が形成される。そのため、接続配線の一部に給電することによって、全ての複数の導電領域に均一に給電することができる。従って、複数の導電領域上にメッキ層を精度良く形成することができる。
【0011】
本発明の特徴において、複数の導電領域は、n型半導体領域とp型半導体領域とによって構成されてもよい。
【0012】
本発明の特徴において、複数の導電領域は、n型半導体領域上に形成された導電層と、p型半導体領域上に形成された導電層とによって構成されてもよい。
【0013】
本発明の特徴に係る太陽電池の製造方法は、接続配線上に絶縁層を形成する絶縁層形成工程をさらに備えていてもよい。
【0014】
本発明の特徴に係る太陽電池の製造方法は、光電変換部及び接続配線のうち収集電極形成工程において露出された部分を、絶縁層によって被覆する被覆工程をさらに備えていてもよい。
【0015】
本発明の特徴において、接続配線形成工程では、接続配線を主面の中央に近づけて形成してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の収集電極を電解メッキ法によって精度良く形成可能とする太陽電池の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、図面を用いて、本発明の実施形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0018】
[第1実施形態]
(太陽電池の構成)
本発明の実施形態に係る太陽電池10の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る太陽電池10の裏面側の平面図である。図2は、図1のA−A線における拡大断面図である。
【0019】
図1及び図2に示すように、太陽電池10は、半導体基板11、p側電極12、n側電極13及び反射防止層14を備える。
【0020】
半導体基板11は、太陽光を受ける受光面と、受光面の反対側に設けられた裏面とを有する。半導体基板11は、n型又はp型の導電型を有する単結晶Si、多結晶Siなどの結晶系半導体材料や、GaAs、InPなどの化合物半導体材料を含む一般的な半導体材料によって構成される。
【0021】
半導体基板11は、図2に示すように、半導体基板11の裏面に形成されたp型領域11aとn型領域11bとを含んでおり、受光面における受光によって内部で光生成キャリアを生成する。光生成キャリアとは、光が半導体基板11に吸収されて生成される正孔と電子とをいう。なお、図示しないが、半導体基板11の受光面及び裏面には、微小な凹凸(テクスチャー)が形成されていてもよい。
【0022】
p型領域11aは、半導体基板11の裏面において、第1方向に沿ってライン状に形成される。p型領域11aは、半導体基板11の裏面にアクセプタ(ボロン、アルミニウムなどの不純物)をドーピングすることにより形成される高濃度p型拡散領域である。半導体基板11内部で生成される正孔は、p型領域11aに集まる。
【0023】
n型領域11bは、半導体基板11の裏面において、第1方向に沿ってライン状に形成される。n型領域11bは、半導体基板11の裏面にドナー(リン、砒素など不純物)をドーピングすることにより形成される高濃度n型拡散領域である。半導体基板11内部で生成される電子は、n型領域11bに集まる。p型領域11aとn型領域11bとは、第1方向に略直交する第2方向に沿って交互に形成される。
【0024】
p側電極12は、p型領域11a上において、第1方向に沿ってライン状に形成される。p側電極12は、p型領域11aから正孔を収集する収集電極である。図2に示すように、p側電極12は、p型領域11a上に順次形成された下地電極12a、第1メッキ層12b、第2メッキ層12c、接続配線残部121及び絶縁層122を有する。
【0025】
同様に、n側電極13は、n型領域11b上において、第1方向に沿ってライン状に形成される。n側電極13は、n型領域11bから電子を収集する収集電極である。図2に示すように、n側電極13は、n型領域11b上に順次形成された下地電極13a、第1メッキ層13b、第2メッキ層13c、接続配線残部131及び絶縁層132を有する。
【0026】
下地電極12a,13aは、樹脂型或いは焼結型の導電性ペーストを印刷又は塗布することによって形成される導電層である。このような導電性ペーストは、銀や銅などの導電性の高いフィラーを含むことが好ましい。本実施形態において、下地電極12a,13aは、本発明に係る「導電領域」を構成することに留意すべきである。
【0027】
第1メッキ層12b,13b及び第2メッキ層12c,13cは、電解メッキ法によって、下地電極12a,13a上に複層メッキすることによって形成される。本実施形態では、第1メッキ層12b,13bはニッケルによって構成され、第2メッキ層12c,13cは銅によって構成される。
【0028】
接続配線残部121,131は、下地電極12a,13aの側方に形成される。接続配線残部121と接続配線残部131とは、接続配線分離溝Mによって電気的に分離されている。なお、接続配線分離溝Mは、後述するように、接続配線15(図4参照)を切断する際に形成される。すなわち、接続配線残部121,131は、接続配線15を切断することによって形成される。
【0029】
絶縁層122,132は、接続配線残部121,131上に形成される。絶縁層122,132は、ポリイミド樹脂などの絶縁性の樹脂材料によって構成される。絶縁層122と絶縁層132とは、接続配線分離溝Mによって分離されている。すなわち、絶縁層122,132は、接続配線15を切断することによって形成される。
【0030】
反射防止層14は、半導体基板11の受光面略全面を覆うように形成される。反射防止層14は、半導体基板11に入射する光の反射を防止する機能を有する。このような反射防止層14は、例えば、窒化ケイ素、酸化ケイ素などによって構成される。
【0031】
(太陽電池の製造方法)
以下において、太陽電池10の製造方法について、図3〜図7を参照しながら説明する。
【0032】
半導体基板11の裏面上において、スクリーン印刷法などによって、アクセプタを含む拡散剤とドナーを含む拡散剤とを所定のパターンで印刷する。次に、熱処理によって、拡散剤を半導体基板11の裏面に熱拡散させる。熱処理の条件は、例えば、約850℃で約30分である。これによって、図3に示すように、p型領域11a及びn型領域11bが形成される。例えば、半導体基板11が約100mm角である場合、p型領域11a及びn型領域11bそれぞれの寸法を0.8mm×98mm、ギャップを0.4mmと設定することによって、p型領域11a及びn型領域11bそれぞれを41本ずつ形成することができる。
【0033】
次に、半導体基板11を希フッ酸に浸漬することによって、半導体基板11の表面に形成された酸化膜を除去する。希フッ酸の濃度は、例えば2%である。
【0034】
次に、CVD法によって、半導体基板11の受光面上に反射防止層14を形成する。反射防止層14の厚みは、例えば100nmである。
【0035】
次に、スクリーン印刷法などによって、p型領域11a上及びn型領域11b上に樹脂型銀ペーストを印刷するとともに、p型領域11aの一端部とn型領域11bの一端部との間に樹脂型銀ペーストを印刷する。続いて、熱処理によって、樹脂型銀ペーストを硬化させる。熱処理の条件は、例えば、150℃で約30分である。これによって、図4に示すように、下地電極12a,13aと、下地電極12a,13aを互いに電気的に接続する接続配線15とが形成される。例えば、半導体基板11が約100mm角である場合、下地電極12a,13aの寸法を0.8mm×98mm、接続配線15の線幅を1.0mmに設定することができる。
【0036】
次に、ディスペンス法などによって、図5(a)に示すように、接続配線15の表面を覆う絶縁層16を形成する。この場合、図5(a)に示すように、絶縁層16の一部に貫通穴16Tを形成しておく。貫通穴16T内には、接続配線15が露出される。絶縁層16は、ポリイミド樹脂を約10μm塗布し、約165℃で5分間加熱することによって硬化する。
【0037】
ここで、絶縁層16は、図5(b)に示すように、接続配線15の上面だけでなく側面も覆うことが好ましい。なお、図5(b)は、図5(a)のB−B線における拡大断面図である。
【0038】
次に、電解メッキ法によって、図6(a)及び図6(b)に示すように、下地電極12a,13aの表面上に第1メッキ層12b,13b及び第2メッキ層12c,13cを順次メッキする。具体的には、まず、図7に示すように、メッキ液中において、ニッケル板を陽極、半導体基板11(下地電極12a,13a)を陰極として給電を行なう。下地電極12a,13aへの給電は、樹脂カバーがされたコネクトピンCを貫通穴16Tに挿入して接続配線15に給電することによってなされる。このような手法によれば、給電線の先端にメッキ層が形成されることを抑制できる。続いて、メッキ液中において、銅板を陽極、下地電極12a,13aを陰極として給電を行なう。これによって、図6(b)に示すように、下地電極12a,13aを順次覆うように、第1メッキ層12b,13b及び第2メッキ層12c,13cが形成される。第1メッキ層12b,13bの層厚は例えば2μmであり、第2メッキ層12c,13cの層厚は例えば10μmである。なお、接続配線15の表面は絶縁層16によって覆われているため、接続配線15の表面にメッキ層は形成されない。
【0039】
次に、ダイシングソーなどを用いて、接続配線15及び絶縁層16の一部を第1方向に沿って除去することによって、下地電極12a、第1メッキ層12b及び第2メッキ層12cと,下地電極13a、第1メッキ層13b及び第2メッキ層13cとを互いに電気的に分離する接続配線分離溝Mを形成する。これによって、接続配線残部121,131が形成されるとともに、p側電極12及びn側電極13が形成される(図2参照)。なお、本実施形態では、ダイシングソーなどによって半導体基板11の一部が除去されることとする。
【0040】
(作用及び効果)
第1実施形態に係る太陽電池10の製造方法は、下地電極12a,13aを互いに電気的に接続する接続配線15を形成する工程と、下地電極12a,13a上に、電解メッキ法によって第1メッキ層12b,13b及び第2メッキ層12c,13cを形成する工程と、接続配線15の一部を除去することによってp側電極12及びn側電極13を形成する工程とを備える。
【0041】
このように、第1実施形態に係る太陽電池10の製造方法によれば、下地電極12a,13aを互いに電気的に接続する接続配線15が形成される。そのため、接続配線15の一部に給電することによって、全ての下地電極12a,13aに均一に給電することができる。従って、下地電極12a,13a上に均一な厚みのメッキ層を形成することによって、p側電極12及びn側電極13を精度良く形成することができる。
【0042】
また、第1実施形態に係る太陽電池10の製造方法は、接続配線15の表面を覆う絶縁層16を形成する工程を備える。従って、接続配線15の表面にはメッキ層が形成されないため、ダイシングソーのブレードがメッキ層によって破損されることを抑制するとともに、加工時間の短縮を図ることができる。
【0043】
[第2実施形態]
以下において、本発明の第2実施形態に係る太陽電池について、図面を参照しながら説明する。第2実施形態の第1実施形態との相違点は、接続配線分離溝Mの内部に絶縁層を形成する点である。なお、以下においては、第1実施形態との相違点について主に説明する。
【0044】
(太陽電池の構成)
図8は、第2実施形態に係る太陽電池10の裏面側の平面図である。図9は、図8のD−D線における拡大断面図である。
【0045】
図8及び図9に示すように、太陽電池10は、接続配線分離溝Mの内部に形成された絶縁層17を備える。具体的には、絶縁層17は、絶縁層122,132の上面と、接続配線残部121,131及び半導体基板11のうち接続配線分離溝M内に露出された部分とを被覆する。
【0046】
(太陽電池の製造方法)
ダイシングソーなどを用いて、接続配線分離溝Mを形成した後、絶縁層122,132の上面と接続配線分離溝M内とにポリイミド樹脂を約30μm塗布する。続いて、ポリイミド樹脂を約180℃で20分間加熱する。これによって、ポリイミド樹脂が硬化され絶縁層17が形成される。
【0047】
(作用及び効果)
第2実施形態に係る太陽電池10の製造方法は、絶縁層122,132の上面と、接続配線残部121,131及び半導体基板11のうち接続配線分離溝M内に露出された部分とを絶縁層17によって被覆する工程を備える。従って、半導体基板11のうちダイシングソーなどによって接続配線分離溝Mが形成された部分の強度を向上させることができる。その結果、後工程(例えば、収集電極への配線材の接続)において、半導体基板11のうち接続配線分離溝M付近においてクラックなどが発生することを抑制できる。なお、絶縁層17は、接続配線分離溝Mの形成に伴って半導体基板11の一部が除去されている場合に有効である。
【0048】
[第3実施形態]
以下において、本発明の第3実施形態に係る太陽電池について、図面を参照しながら説明する。第3実施形態の第1実施形態との相違点は、接続配線15が半導体基板11の裏面の第1方向中央に形成される点である。なお、以下においては、第1実施形態との相違点について主に説明する。
【0049】
図10は、第3実施形態に係る太陽電池10の裏面側の平面図である。
【0050】
図10に示すように、接続配線残部121,131は、半導体基板11の裏面のうち第1方向中央に形成される。すなわち、第3実施形態では、接続配線15は、半導体基板11の裏面のうち第1方向中央に形成される。その結果、接続配線分離溝Mは、半導体基板11の裏面のうち第1方向端部から離間した位置に形成される。
【0051】
従って、半導体基板11の第1方向端部に接続配線分離溝Mが形成される場合に比べて、後工程(例えば、収集電極への配線材の接続)において、半導体基板11の第1方向端部にクラックなどが発生することを抑制できる。
【0052】
(その他の実施形態)
本発明は上記の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0053】
例えば、上記実施形態では、下地電極12a,13aが本発明に係る「導電領域」を構成することとしたが、p型領域11a及びn型領域11bが「導電領域」を構成していてもよい。すなわち、電解メッキ法によって、p型領域11a上及びn型領域11b上に、直接、メッキ層を形成してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、接続配線15及び絶縁層16の一部を除去することによって接続配線分離溝Mを形成することとしたが、接続配線15及び絶縁層16の全部を除去することによって接続配線分離溝Mを形成してもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、ドーパントを半導体基板11の裏面に拡散するこによってp型領域11a及びn型領域11bを形成したが、p型領域11a及びn型領域11bは、CVD法などによって半導体基板11の裏面上にp型半導体層及びn型半導体層を積層することによって形成してもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、p型領域11a及びn型領域11bそれぞれを第1方向に沿って形成することとしたが、これに限られるものではない。例えば、p型領域11a及びn型領域11bそれぞれは、半導体基板11の裏面においてノード状に散在していてもよい。この場合、接続配線15は、p型領域11a及びn型領域11bを互いに電気的に接続するように形成されていればよい。
【0057】
また、上記第1実施形態では、接続配線15の表面を覆う絶縁層16を形成することとしたが、絶縁層16は形成されなくてもよい。
【0058】
また、上記第2実施形態では、絶縁層17は、絶縁層122,132の上面に形成されることとしたが、絶縁層17は、接続配線分離溝Mの内部のみに形成されてもよい。また、絶縁層17は、接続配線分離溝Mの内部に充填されてもよい。
【0059】
また、上記第3実施形態では、接続配線15を半導体基板11の裏面の第1方向中央に形成することとしたが、接続配線15は、半導体基板11の裏面の第1方向中央に近づけることによって、上記効果を得ることができる。
【0060】
また、本発明は、バックコンタクト型の太陽電池に限らず、受光面上に複数本の収集電極を形成する場合にも適用可能である。本発明は、複数の導電領域上に電解メッキ法によってメッキ層を形成する場合に有効である。
【実施例】
【0061】
以下、本発明に係る太陽電池の実施例について具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施することができるものである。
【0062】
(実施例1)
まず、(100)方位のn型単結晶シリコン基板(100mm角、200μm厚、抵抗率0.1Ωcm)を準備した。
【0063】
次に、スクリーン印刷法によって、アクセプタを含む拡散剤とドナーを含む拡散剤とを所定方向に沿って41本ずつ印刷し、約850℃で約30分間熱処理した。これによって形成されたp型領域及びn型領域それぞれの寸法は0.8mm×98mm、両者のギャップは0.4mmであった。
【0064】
次に、n型単結晶シリコン基板を2%の希フッ酸に浸漬することによって、表面に形成された酸化膜を除去した。
【0065】
次に、プラズマCVD法によって、n型単結晶シリコン基板の受光面上に100nm厚の窒化シリコン膜を形成した。
【0066】
次に、スクリーン印刷法によって、樹脂型銀ペーストを、p型領域上、n型領域上、及びp型領域の一端部とn型領域の一端部との間に印刷した。続いて、150℃で30分間熱処理した。これによって、下地電極と接続配線とを形成した。
【0067】
次に、接続配線上にディスペンス法によってポリイミド樹脂を約10μm塗布し、約165℃で5分間加熱した。この際、接続配線の一部が露出する貫通穴を形成しておいた。
【0068】
次に、電解メッキ法によって、下地電極上に2μm厚のNiメッキ層と10μm厚の銅メッキ層とを施した。電解メッキ法では、貫通穴にコネクトピンを挿入して接続配線に給電することによって全ての下地電極に均一に給電を行なった。
【0069】
次に、ダイシングソーを用いて、接続配線及び絶縁層の一部を所定方向に沿って除去した。
【0070】
次に、上記のように作製した2枚100組の太陽電池どうしについて、複数本の配線材(厚さ150μm、幅0.5mm、長さ8mm、鉛フリー半田SnAgCu系200μmコーティング済み)によって電気的に接続した。具体的には、各組の太陽電池どうしにおいて極性の異なるメッキ層どうしに1本の配線材を半田付けした。
【0071】
(実施例2)
実施例2では、ダイシングソーを入れた部分に、ディスペンス法によってポリイミド樹脂を約30μm塗布し、約180℃で20分間加熱した。
【0072】
(実施例3)
実施例3では、樹脂型銀ペーストを、p型領域の中央部とn型領域の中央部との間に印刷した。すなわち、接続配線をn型単結晶シリコン基板の所定方向中央に形成した。
【0073】
(比較例)
比較例では、接続配線を形成しなかった。従って、電解メッキ法では、各下地電極に給電電極を押し当てることによって、各下地電極に給電を行なった。
【0074】
(電解メッキ工程における不良発生率)
電解メッキ工程における不良発生率は、実施例1では0%であったのに対し、比較例では15%(メッキ未着発生4.5%、メッキ厚不足発生10.5%)であった。なお、メッキ未着発生とは、下地電極上においてメッキ層が形成されない部分が1箇所以上確認されたことを示し、メッキ厚不足発生とは、目標厚みの80%以下のメッキ層が形成された部分が1箇所以上確認されたことを示す。
【0075】
このような結果が得られたのは、実施例1では、接続配線を介して全ての下地電極に均一に給電できたためである。一方、比較例では、多数の下地電極が微細に形成されているため、給電電極を押し当てることによっては、全ての下地電極に均一に給電できなかったためである。
【0076】
(配線材接続工程における基板割れ発生率)
配線材接続工程における基板割れ発生率は、実施例2では1.5%、実施例3では0%であったのに対し、実施例1では4.0%であった。
【0077】
このような結果が得られたのは、実施例2では、ダイシングソーによる加工部をポリイミド樹脂によって補強したためであり、実施例3では、ダイシングソーによる加工部を基板の中央部に位置させたためである。一方、実施例1では、ダイシングソーによる加工部が基板の端部に露出していたため、配線材を押し付けた際に、ダイシングソーによる加工部を起点とする割れが確認された。これにより、ダイシングソーによる加工部を樹脂によって被覆することによって、或いはダイシングソーによる加工部を基板端部から離間させることによって、基板割れの発生を抑制できることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1実施形態に係る太陽電池10の裏面側の平面図である。
【図2】図1のA−A線における拡大断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る太陽電池10の製造方法を説明するための図である(その1)。
【図4】本発明の第1実施形態に係る太陽電池10の製造方法を説明するための図である(その2)。
【図5】本発明の第1実施形態に係る太陽電池10の製造方法を説明するための図である(その3)。
【図6】本発明の第1実施形態に係る太陽電池10の製造方法を説明するための図である(その4)。
【図7】本発明の第1実施形態に係る太陽電池10の製造方法を説明するための図である(その5)。
【図8】本発明の第2実施形態に係る太陽電池10の裏面側の平面図である。
【図9】図8のD−D線における拡大断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る太陽電池10の裏面側の平面図である。
【符号の説明】
【0079】
10…太陽電池
11…半導体基板
11a…p型領域
11b…n型領域
12…p側電極
12a…下地電極
12b…第1メッキ層
12c…第2メッキ層
13…n側電極
13a…下地電極
13b…第1メッキ層
13c…第2メッキ層
14…反射防止層
15…接続配線
16…絶縁層
16T…貫通穴
17…絶縁層
121,131…接続配線残部
122,132…絶縁層
C…コネクトピン
M…接続配線分離溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換部と、前記光電変換部の主面上に形成される複数の収集電極とを備える太陽電池の製造方法であって、
前記光電変換部の前記主面上に、複数の導電領域と、前記複数の導電領域を互いに電気的に接続する接続配線とを形成する接続配線形成工程と、
前記複数の導電領域上に、電解メッキ法によってメッキ層を形成するメッキ層形成工程と、
前記接続配線の少なくとも一部を除去することによって、前記複数の収集電極を形成する収集電極形成工程と
を備える太陽電池の製造方法。
【請求項2】
前記複数の導電領域は、n型半導体領域とp型半導体領域とによって構成される
請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項3】
前記複数の導電領域は、n型半導体領域上に形成された導電層と、p型半導体領域上に形成された導電層とによって構成される
請求項1又は2に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項4】
前記接続配線上に絶縁層を形成する絶縁層形成工程を備える
請求項1乃至3の何れかに記載の太陽電池の製造方法。
【請求項5】
前記光電変換部及び前記接続配線のうち前記収集電極形成工程において露出された部分を、絶縁層によって被覆する被覆工程を備える
請求項1乃至4の何れかに記載の太陽電池の製造方法。
【請求項6】
前記接続配線形成工程において、
前記接続配線を前記主面の中央に近づけて形成する
請求項1乃至5の何れかに記載の太陽電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−108994(P2010−108994A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276896(P2008−276896)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】