説明

太陽電池を製造する方法および装置

【解決手段】本発明は、それぞれが少なくとも一面に導電性材料を備えるシリコン含有ガラス質基板を準備するステップと、電解槽内に存在する電解液を通して各基板の少なくとも一部を連続的に搬送するステップと、電解槽を通した基板の搬送中に導電性材料を陰極として接続し、搬送中に導電性材料上に電解液からの材料を電着するステップと、を含み、搬送中に基板がコンベヤー要素から懸架され基板が搬送方向に延在することを特徴とする太陽電池の製造方法を提供する。本発明は、さらに太陽電池製造装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれが少なくとも一面に導電性材料を備えるシリコン含有ガラス質基板を準備するステップと、電解槽内に存在する電解液を通して各基板の少なくとも一部を連続的に搬送するステップと、電解槽を通した基板の搬送中に導電性材料を陰極として機能するように接続し、搬送中に導電性材料上に電解液からの材料を電着するステップと、を含む、太陽電池の製造方法に関する。本発明は、専ら太陽電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも現在のところ、このような太陽電池の製造は主に長方形のシリコンパネルを基に行われる。このような基板は通常わずか50〜300μmの厚さであり、材料の性質上、非常に壊れやすく手作業で扱うのが困難である。側面に光が入射する導電トラックがシリコンパネル上にあることが多く、入射光によってシリコンパネル内に開放された電子はこのトラックを介して放電することができる。このトラックは、接続された負荷とともに電子回路の一部を形成する。効率のために、このようなトラックがシリコンパネルの表面を覆う面積をできるだけ小さくするのが最善である。他方、トラックの断面積は、トラックを通過する電流を処理するように適合されなければならない。
【0003】
太陽電池の製造では、基板としてシリコンパネルを使用し、銀などの導電性材料のいわゆるシード層が所望の最終トラックの形状で基板に付与されることが知られている。続いて、電解めっき過程または無電解めっき過程による導電性材料の付加を通じて、上記のシード層がより厚くまたはより高くされる。電気めっき過程が使用されるこのような方法の一例は、ドイツ特許出願DE 10 2006 033 353 A1に記載されている。導入部に記載の方法は、上記出版物に記載の方法と関連する。
【0004】
上記出版物は、複数の基板を水平に並べて電解槽内を通過させる方法をより具体的に説明する。この目的のために、並んで配置されたコンベヤーローラが使用され、ローラの上に基板が支持され、上記コンベヤーローラの真上に接触ローラが配置され、接触ローラを介して基板上面のトラックと陰極(カソード)とを接触させることができる。基板は、電解槽内の電解液の液面のすぐ下で、光入射面を下に向けた状態で移動する。そのため、接触ローラは液面の部分的に下方にのみ延在している。各接触ローラは、整流器と陽極(アノード)とを含む電気回路に電気スイッチを介して接続される。制御システムによって、関連する接触ローラがトラックと接触する瞬間にのみスイッチが閉位置(導電状態)になるようにする。これに加えて、接触ローラ自身が電気めっきによって汚染されないように接触ローラの領域から電解液を吹き飛ばすブローノズルが設けられる。
【0005】
既知の方法には多くの欠点がある。第一に、この接続では、必要な電気めっき装置が比較的大きな床面積を必要とする点が指摘される。これに加えて、コンベヤーローラにより生じる不可避のスクリーニングが、コンベヤーローラ上で運ばれる基板の部分のめっき過程の品質に悪影響を及ぼす。さらに、スイッチとブローノズルの同期が必要である上、電解槽を通して基板を移動させる必要があるために、この過程の制御が比較的困難である。この過程に関する理由のため、(半導体)基板材料の導電性能によって析出速度が限定されるので、さらに不利である。実際、この過程は基板を電解槽内に比較的長時間滞留させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、本発明の好適な実施形態によって実現可能かまたは実現できない、上記の欠点を取り除くかまたは少なくとも緩和することである。この目的を達成するために、本発明に係る方法は、第一に、搬送中に基板がコンベヤー要素からぶら下がり搬送方向に延在するという特徴を有する。基板がぶら下がった状態で搬送されるため基板が垂直方向を向いており、基板が搬送方向に延在するため電解槽を比較的狭くすることができ、したがって必要な床面積が小さくなる。加えて、基板がぶら下がった状態で搬送されるので、基板の表面積の大部分がきれいな状態を維持し、したがって最適な状態で電気めっきすることができる。本発明は、概して最大厚さが500μmであるガラス質の基板の脆弱な性質にもかかわらず、電解槽内の電解液を通して基板をぶら下げた状態で搬送することができるという驚くべき認識に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
非常に好ましくは、基板は搬送中にコンベヤー要素から自由に懸架されており、そのため、基板とともに移動しようとしまいと、電解槽内で基板を支持するための追加設備が不要である。
【0008】
本発明を太陽電池の製造に使用するとき、基板の少なくとも一面に、少なくとも一つのトラックの形態で導電性材料を付加することが好ましい。限られた数のメイントラックを通常は実際に区別することができ、これと垂直にメイントラックと交差する多数の平行な補助トラックがある。太陽電池は二つのメイントラックを有することが多く、その一方、補助トラックは3〜5mmの間隔で設けられる。必要な通電性能のために、メイントラックは補助トラックよりもかなり幅が広い。
【0009】
有利なことに、搬送中に、コンベヤー要素の一部を形成する少なくとも一つのクランプ要素によって、基板がその上端で締め付けられる。
【0010】
さらに好適な実施形態によると、少なくとも一つのトラックが垂直方向に延び、上記少なくとも一つのクランプ要素が上記少なくとも一つのトラックの上端で基板と係合し、このトラックを陰極と接続する。少なくとも一つの垂直方向に延びるトラックは、製造される太陽電池の母線であることが好ましい。こうして、上記少なくとも一つのクランプ要素を使用して、基板をクランプ要素からぶら下げるだけでなく、トラックを陰極として接続することができる。
【0011】
さらに好ましくは、各基板は搬送中にコンベヤー要素の部分を形成する二以上でもなく二以下でもないクランプ要素によってその上端で締め付けられる。各基板に対して正確に二つのクランプ要素を用いることで、基板を安定してぶら下げることが可能になる。さらに好適な実施形態によると、正確に二つのクランプ要素をそれぞれに適合させると、驚くべきことに、搬送中に少なくとも部分的に湾曲した搬送経路に沿って基板を移動させることができることが分かった。このような湾曲した搬送経路は、例えば1.0〜2.0mの間、好ましくは約1.5mの直径を有する搬送用ホイールの周りにコンベヤー要素を案内することで実現できる。
【0012】
非常に有利な実施形態では、電解液の上方に位置する少なくとも一つのクランプ要素によってクランプされる領域を基板が有している。これは、電解槽の上方に位置する各基板の部分が電気めっきされないことを意味するが、同時に、この好適な実施形態によって、電解液の上方に位置するクランプ要素自身についてもこのことが当てはまる。したがって、少なくとも一つのクランプ要素によって電解槽内の電解液を通して基板を案内した後に、少なくとも一つのクランプ要素を洗浄する必要がないか、またはその必要がほとんどなくなる。
【0013】
本発明はさらに太陽電池製造装置に関する。この装置は、電解液用の電解槽と、電解液を通して搬送方向に基板を連続的に搬送する搬送手段と、少なくとも一面に導電性材料が設けられた各基板と、搬送の少なくとも一部の間にトラックを陰極として接続する接触手段と、を備える。このような装置は、上述のDE 10 2006 033 353 A1から既知である。本発明に係る装置は、とりわけ、基板をぶら下げるために基板の上端をクランプ端部によって締め付けるように設計されたクランプ要素と適合するコンベヤー要素を搬送手段が備えているという特徴を有している。クランプ要素は、少なくとも部分的に接触手段と一体的であり、そのため大きな電気めっき電流を流すことが可能であり、電気めっき材料の高い析出率を達成することができる。
【0014】
非常に好ましくは、クランプ要素は基板を自由な状態でぶら下げるように設計される。
【0015】
第一にコンベヤー要素を単純な構造とするため、第二に基板に設けられた導電性材料に必須の陰極接続のためにコンベヤー要素を使用できるようにするために、連続する水平トラックに沿って延びる導電性材料の柔軟なテープをコンベヤー要素が備えることが好ましい。
【0016】
コンベヤー要素を駆動するために、柔軟なテープに等間隔で凹部を設け、搬送手段が上記の凹部と係合する歯を有する少なくとも一つの駆動ギヤをさらに備えると有利である。
【0017】
上記凹部が長方形であり、歯が水平断面で少なくとも実質的に三角形状である場合、基板を垂直方向に限定的に波状移動させることなく、非常に安定的にかつ直線的に電解液を通して基板を搬送することができる。
【0018】
特に構造上の理由から、各コンベヤー要素が二つの部分を有し、二つの部分のそれぞれの最下端がクランプ端部を構成することが好ましい。
【0019】
組み立て部品数を削減するために、二つの部品のうち一つが柔軟なテープと一体化され、好ましくは一つの部品が柔軟なテープの下端から下方に延びるリップであると有利である。
【0020】
非常に好ましくは、クランプ端部は柔軟なテープの下端の下方に延びるので、柔軟テープ自体が電解液を通る必要がなくなる。こうすると、基板の電気めっき中にクランプ端部が電解液の上方または内側のいずれにあるかに関係なく、柔軟テープの定期的な洗浄またはエッチングが不要になる。
【0021】
上記の利点は、太陽電池の製造時だけでなく、一般的に基板を電気めっきするときにも当てはまる。この理由のため、本発明は、基板を電気めっきする装置にも関連する。この装置は、電解液用の電解槽と、電解液を通して搬送方向に基板を連続的に搬送する搬送手段とを備える。搬送手段は、連続的な水平トラックに沿って延びる導電性材料の柔軟なテープに適合するコンベヤー要素を備える。クランプ要素は、電解槽内で少なくとも部分的に上記基板をぶら下げるために、基板の上端をクランプ端部によって締め付けるように設計される。クランプ端部は、柔軟テープの下端の下方に延びる。
【0022】
各クランプ要素に対して二つの部品を用いることは、必要に応じて基板の一面または両面の導電性材料を陰極に接続する可能性をプロセスに与えるという点で有利である。この接続において、二つの部品のうち一方を導電性材料で作成し、二つの部品のうちもう一方を少なくとも部分的に電気絶縁材料で作成すると有利である。少なくとも部分的に電気絶縁材料で作成される部品は、例えばセラミックや合成樹脂で作成されるが、絶縁層でコーティングすることも可能である。
【0023】
さらに、二つの部品が自身のバネ力の影響下で互いにもたれ合うようにすると、構造上有利である。こうすると、クランプ要素をコンベヤー要素と素早く組み付けることができ、また例えばクランプ要素の交換のために再び素早く取り外すことができる。
【0024】
負荷が電解槽に入る間と負荷が電解槽から出る間の両方で基板に係る機械的負荷をできるだけ削減するために、傾斜スロット、好ましくは搬送方向と反対の方向に傾斜するスロットが電解槽の少なくとも一つの壁に設けられるとよく、二つの相対する壁に設けられるとさらに好ましい。このような傾斜スロットによって、各基板の上辺が最初に電解槽に入りおよび/または電解槽から再び出るといったように、各基板が電解槽内に徐々に進入できるようになる。
【0025】
電解槽を通る基板がたどる経路の相対する面に穴の空いたパネルを設けることで、電解槽の横断中に基板にかかる機械的負荷を削減できる可能性がある。パネルは、当業者には既知のようにポンプによって連続的に循環される電解液の速すぎる流れに対して基板を覆う(screen off)ようなものである。
【0026】
さらに、少なくとも一つのパネルと、少なくとも一つのパネルと平行に延びる電解槽の壁との間に陽極を設け、上記のパネルと基板との間の電解液の流れによって陽極自身が干渉されないようにすると有利である。
【0027】
電解槽の少なくとも一つの直立壁にパネルの外側で電解液の排水端部を設けると、基板のごく近傍での電解液の流れをさらに低下させることができる。
【0028】
好適な実施形態の説明と添付の図面とを参照して、以下で本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る装置の好適な実施形態の一部の等角図であり、同時に本発明に係る方法を明確にする図である。
【図2】図1の装置の側面図である。
【図3】図1の装置の垂直断面図である。
【図4】図1の装置で使用され基板がぶら下げられるコンベヤー要素の一部の等角図である。
【図5】図4のコンベヤー要素の垂直断面図である。
【図6】図4のコンベヤー要素の搬送用ホイールの領域の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1、2、3は、本発明に係る装置の好適な実施形態(の部分)を様々な立面図および断面図で示す。装置1は、長方形のパネル型の基板2を電気めっきするよう設計されている。本発明では特に、これらの基板は、側面の長さが約125mmから210mmであり厚さが50μmから300μmの間である正方形のシリコン基板などの非金属でガラス質(vitreous)の材料で構成されている。この種の材料には、非常に脆弱であり破壊しやすいという特徴がある。このような基板は太陽電池の製造に使用される。この例では、導電性材料(ここでは、二つの(垂直方向の)直線メイントラック81または母線81と、より多数の(水平方向の)直線補助トラック82の形態をとる)が、例えば蒸着または印刷によって各基板2の一面(図1および2で観察者に対する面)に設けられている。上記補助トラック82はそれぞれメイントラック81と交差して、電気接点が形成される。電気めっきをする前、メイントラック81と補助トラック82の厚さは最大5μm、好ましくは2〜3μmであり、補助トラック82の幅は50〜150μm、好ましくは約80μmである。
【0031】
装置1は、相対する側壁4と、相対する端壁5と、底6を有する電解液用の電解槽3を含む。観察者に面する側壁4と観察者に面する端壁5は、簡潔さのために図1には示されておらず、そのため電解槽3の内部を見ることができる。各端壁5には二つの凹部7が設けられており、各凹部は、スライド(図示せず)を凹部7内に収容可能とするための、二つの相対するU字形ガイドスロット8を備える。このようなスライドの上縁は排水口として機能し、電解槽3内の電解液の液面を定める。電解液を供給するための垂直供給管11が設けられる。垂直供給管11は動作中にポンプ手段(図示せず)によって連続的に循環される。供給管11は底6を通して延び、底6に隣接する電解槽3の内部で水平管12の中に開口している。水平管12は、図3で観察できるように、電解槽3の中心に対して二つの相対する側面で開口する。
【0032】
電解槽3の内側には、さらに、側壁4の一つと平行に延びる陽極13(簡潔さのために図2には示さず)がある。陽極13は平坦であり、図1の右底角に描かれているように事実上格子型である。陽極13は、特に接触片15を介して整流器16に(陽極)接続された二つの片14によって懸架される。
【0033】
さらに、まだ詳細に説明していないが、規則的で比較的密度の高い穴18のパターンを備えた二つの相対する分配プレート(distributor plate)17が、電解槽3の内側に存在する。二つの分配プレート17間の空間に基板2が収容される。すなわち、基板はこの空間内で電解槽3内の電解液を通して搬送されることになる。
【0034】
装置1は、まだ詳細に説明していない連続コンベヤー要素21をさらに備える。基板2を搬送するために、連続コンベヤー要素21から基板2を懸架することができる。最前の端壁5には、基板2が電解槽に接近できるようにするための垂直スロット23が設けられる。基板2は、連続コンベヤー要素21によって搬送方向22に搬送されている。スロット23は搬送方向22に対して斜めの方向にされており、このため基板2の上辺が同じ基板2の下辺よりも先にスロット23を通過する。したがって、各基板2はスロット23を通って電解槽3に徐々に進入し、これが基板2の機械的荷重を制限する。電解槽3内の電解液は、スロット23を通って電解槽3から流れる傾向を有していることに留意すべきである。
【0035】
スロット23を通るこの電解液の流出を可能な限り制限するために、スロット23の領域で、基板の全高にわたって延びるチューブ(図示せず)が基板2の両面に設けられる。これらのチューブは、傾斜断面25に属する相対するU字形凹部24の内部に設けられる。傾斜断面25は組み合わされてスロット23を画成し、それぞれの端壁5の一部を形成する。チューブは、液圧の影響の下で互いに向けて移動する傾向がある。基板がスロット23を通過する間、上記チューブは基板2の相対する面上にもたれるのに対して、基板2がスロット23内に存在しないときは互いにもたれ合うチューブによって垂直スロットを完全に閉鎖することができる。ストリップ部63の部分65あるいはテープ51(両方とも後述する)によって、基板2の入口が妨げられないようにチューブを位置決めしてもよい。
【0036】
電解槽3から出るために、垂直スロットは反対側の端壁5にも設けられる。このスロットは平行にされており、チューブを用いて閉鎖することが可能である。出口側のスロットは、基板2の上辺が関連するスロットを最初に通り、基板2の下辺がスロットを最後に通って電解槽から離れるように傾斜している。このようにして、電解槽3からの基板2の出現が段階的になり、基板2の機械的荷重が制限される。
【0037】
電解槽3内にある間、基板2は電解処理される。この処理の間、上述したように電解液が電解槽3内で連続的に循環される。より詳細には、浄化された電解液が、水平管12の二つの相対する側を通して底6と壁4に対して45°の角度で電解槽3に入り、相対する側壁の方向に主に流れそこから上方に流れる。特に陽極13の面では、この陽極から電解液内に溶解した金属イオンで電解液が濃縮(enrich)される。続いて、端壁5の上辺の凹部7内に設けられたスライドの上縁を越えて、電解液の比較的大きな割合が再び電解槽を離れる。制限された量の電解液が分配プレート内の穴18を通って分配プレート17の間の空間に進入し、金属イオンを基板2に提供して基板に存在する導電性材料を成長させる。分配プレート17を使用することで、基板2のごく近傍に電解液の比較的速い流れが作り出され、これが電解液の流れによって基板2上に生じる最小機械的荷重を低下させる。
【0038】
上述したように、連続コンベヤー要素21を用いて電解槽3を通して基板2を搬送する。連続コンベヤー要素21は、例えば二つの搬送用ホイールの周りに構成された連続テープ51を備える。図6は、搬送用ホイール52の可能な実施形態を示す。コンベヤー要素21は、一つのギヤ75と一つの圧力ローラ76のペアによって案内される。コンベヤー要素に張力を与える図6のホイール52などの駆動された搬送用ホイールによって、コンベヤー要素21が駆動される。電解槽3の上流と下流の両方にペア75、76が設けられる。ギヤ75と圧力ローラ76は、誘電材料で作られる。ギヤ75の歯78はこの例外であり、摩耗特性の有利さを考慮して、歯78はステンレス鋼などの金属で作られる。各圧力ローラ76には、歯78と同じ高さに溝77が設けられている。溝内で歯78は圧力ローラと対面するギヤ75の側面に延びる。テープ51には、ギヤ75の歯78と協働する長方形の穴79が等間隔に設けられる。こうして、コンベヤー要素21が案内される。この接続において、歯78の断面が少なくとも実質的に三角形であり、したがってテープ51は上述の協働の間、同じ高さに留まることに注意する。この好適な実施形態において、テープ51の柔軟性をより高めるために、穴79毎に、または少なくとも二つの穴79毎に穴79から延び出しテープ51の上縁を貫通する垂直スリット88が選択された。
【0039】
連続コンベヤー要素21は、弾性クランプ要素53を等間隔にさらに備える。これらのクランプ要素53のピッチは、基板2上の二つのメイントラック81の間の距離に対応する。さらに、基板2は、隣合うメイントラック81が同一のピッチまたは同一の距離になるような距離で互いに配置される。これにより、関連する基板2の二つのメイントラック81の場所で正確に、基板2の上縁に隣接する二つのクランプ要素53を用いて各基板2を締め付け力で把持することが可能になる。
【0040】
特に図5で分かるように、各クランプ要素53は二つの部品、すなわちクリップ部54とストリップ部55から構成される。クリップ部54は、実際、上から下の順に、上方湾曲指部56、水平部57、斜め下方部58、および下方湾曲指部59を備える湾曲ストリップである。水平部57および斜め下方部58は、約45°の角度をなす。水平部57は、上方湾曲指部56に隣接する、連続テープ51内の狭い水平通路60を貫通する。このような狭い通路60は、連続テープ51の全長にわたり等間隔に設けられている。
【0041】
ストリップ部55は、クリップ部54を構成するストリップよりもわずかに幅が広い。ストリップ部55は、わずかにオフセットされた曲げ部61を除き、垂直方向に延びる。オフセットされた曲げ部61の上方に位置するストリップ部55の部分64が、連続テープ51と平行に延びる一方、オフセットされた曲げ部61の下方に位置するストリップ部55の部分65は、連続テープと一直線になる。ストリップ部55には、オフセットされた曲げ部61の真上に上方湾曲タグ62が設けられる。このタグは、各クランプ要素53の領域で、連続テープ51の下端に設けられた凹部(図では見えない)に進入する。オフセットされた曲げ部61の部分的に上方かつ部分的に下方に、クリップ部54の斜め下方部58が下方湾曲指部59に近接して通過する穴63がストリップ部55に設けられる。基板2は、クリップ部54の下方湾曲指部59と、ストリップ部55の穴63の下方に位置する部分との間にクランプされる。
【0042】
コンベヤー要素21には基板2が自動的に積載される。積み込みステーションでは、コンベヤー要素21の下方に積まれコンベヤー要素21に隣接する基板2が凸形の真空把持部に与えられる。これら真空把持部は、スタックから一番上の基板2を受け取り、例えば図1に示すように基板2が垂直方向になるまで、搬送方向22と平行な水平軸の周りに基板2を旋回させる。二つのクランプ要素53が積み込みステーションで開かれ、そこに存在するスタッド(stud)がクリップ部54の斜め下方部58を矢印85の方向に押し込む一方で、別のスタッドが同時にストリップ部55を矢印86の領域でブロックし、テープ51がクランプ要素によって保持される。結果として、下方湾曲指部59が、クリップ部54の弾性に対抗して斜め上方に、ストリップ部55の下部65から離れて移動する。この開放条件が達成されると直ちに、操作手段が垂直方向を向いた基板2をストリップ部55の下部65に対して位置決めし、その間、操作手段がコンベヤー要素51に沿って基板2を移動させる。続いて、上述のスタッドがクランプ要素53から離れて移動し、その結果、クランプ要素53が再び閉じて基板の把持部の動作が終了する。上述のサイクルは連続的に繰り返される。生産量を増加させるために、複数の基板スタック、例えば二つのスタックから交互に基板を供給して、複数のスタックの一番上の基板が同時にコンベヤー要素から懸架されるようにしてもよい。全く逆の手順でコンベヤー要素の開放が行われる。
【0043】
クランプ要素53のクランプ部はテープ51の下方に延びることに注意することが重要である。これにより、電解槽3内の電解液を通して基板2を搬送する間に、テープ51そのものを一部分でさえも電解液に浸ける必要がないという主要な利点がもたらされる。テープが電解液に浸かると、テープ51の陰極電圧のためにテープ51が電気めっきされてしまい、この場合、テープ51に堆積した材料を除去するためにテープ51の完全な洗浄が繰り返し必要になる。各基板2を電解液内に完全に浸漬することが望ましい場合、クランプ要素53のクランプ部も電解液内に浸漬される必要がある。これらの部分が陰極に接続されている限り、これらの部品を繰り返し完全に洗浄する必要がある。他方、基板2を電解液にほぼ完全に浸漬させると、すなわちクランプ要素53が電解液の直上にあるレベルまで浸漬させると、非常に有利な点もある。こうすると、クランプ要素自身が電気化学的に処理されないという利点がある。これの不利な点は、電解液の上方に位置する各基板2の部分が処理されないということである。しかしながら、クランプ要素53が基板2の上端に非常に近接して基板2を把持するという事実を考慮すると、後者の欠点は実用上非常に限定されているとも言える。
【0044】
メイントラック81の陰極への接続、およびメイントラック81を介した補助トラック82の陰極への接続は、電解槽3の上方の固定位置に設けられる接触シュー91によって達成される。接触シュー91は、ステンレス鋼の連続テープ51の両面と滑動しながら導電接触する。接触シュー91は、旋回ブロック92の下側に設けられる。旋回ブロック92は、搬送方向22と平行に延びる水平旋回軸93の周りで限定的な旋回運動が可能である。それぞれ旋回ブロック92の外側にもたれるアーム95上の引張バネ94の動作によって上記旋回ブロック92が移動し、その結果、接触シュー91が互いに向けて移動する。接触シュー91は、特にケーブル96と接触ストリップ97を介して整流器16の陰極側と電気的に接続される。
【0045】
本実施例では、各クランプ要素53のクリップ部54がステンレス鋼などの導電材料で作成されるので、下方湾曲指部59を介して補助トラックとの導電接触が実現される。クリップ部54とテープ51の間の導電接触は、通路60の位置での水平部57とテープ51の間の接触によって達成される。
【0046】
基板2の他面にも電気めっきを施す場合、ストリップ部55も導電性材料で作成する必要があり、またストリップ部55の下端が基板2の関連する面の導電性材料と導電接触する必要がある。
【0047】
一面でのみ電気めっきが必要である場合、ストリップ部55を合成樹脂またはセラミックなどの絶縁材料で作成するか、または少なくともストリップ部55がクリップ部54またはテープ51と導電接触しないようにすることが好ましい。例えば、基板2とストリップ部55の間の接触位置で導電接触する場合、ゴムなどの絶縁材料で作られた接触部材をストリップ部55に設けるか、またはHALAR(登録商標)ECTFEなどの絶縁層でコーティングされた金属のストリップ部55を使用する。
【0048】
ストリップ部55とクリップ部54の一方が導電性材料で作成され、ストリップ部55とクリップ部54の一方がテープ51と導電接触し、ストリップ部55とクリップ部54の他方が電気絶縁材料で作成される上述の実施形態は、特に、(金属の)リードフレームをめっきするために非常に有利に使用することができる。このようなテープは、テープ51上のスズめっきが存在しないかわずかである、より均質なめっき過程を実現する。さらに、電解槽3内でめっきされるクリップ部54のみが、定期的な洗浄を必要とする。テープ51の寿命が延びる。
【0049】
代替的な実施形態では、ストリップ部55または少なくとも図5においてテープ51と整列するクリップ部54の下部をテープ51と一体的な部分とすることができ、この場合同様の材料で作成される。これらの一体的部分は、テープ51の下端89から下方に延びるリップを形成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが少なくとも一面に導電性材料を備えるシリコン含有ガラス質基板を準備するステップと、
電解槽内に存在する電解液を通して各基板の少なくとも一部を連続的に搬送するステップと、
前記電解槽を通した基板の搬送中に前記導電性材料を陰極として機能するように接続し、搬送中に前記導電性材料上に前記電解液から材料を電着させるステップと、
を含み、
搬送中に前記基板がコンベヤー要素から懸架され、前記基板が搬送方向に延在することを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項2】
搬送中に前記基板が前記コンベヤー要素から自由に懸架されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記導電性材料が少なくとも一つのトラックの形態で前記基板の少なくとも一面に付着することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記コンベヤー要素の一部を形成する少なくとも一つのクランプ要素によって、搬送中に前記基板がその上端で締め付けられることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも一つのトラックが垂直方向に延び、前記少なくとも一つのクランプ要素が前記少なくとも一つのトラックの上端で前記基板と係合してこのトラックを陰極として接続することを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記コンベヤー要素の一部を形成する二以上でもなく二以下でもないクランプ要素によって、搬送中に各基板がその上端で締め付けられることを特徴とする請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記基板が前記少なくとも一つのクランプ要素によって保持された状態で搬送中に少なくとも一部が湾曲した経路に沿って移動することを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記電解液の上方に位置する前記少なくとも一つのクランプ要素によって締め付けられる領域を前記基板が有していることを特徴とする請求項4ないし7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
電解液用の電解槽と、
前記電解液を通して搬送方向に基板を連続的に搬送する搬送手段と、
少なくとも一面に導電性材料が設けられた各基板と、
前記搬送の少なくとも一部の間にトラックを陰極として接続する接触手段と、
を備え、
前記搬送手段が、基板の上端をクランプ端部によって締め付けて基板を懸架するように設計されたクランプ要素と適合されたコンベヤー要素を備え、クランプ要素の少なくとも一部が前記接触手段と一体的であることを特徴とする太陽電池製造装置。
【請求項10】
前記クランプ要素が前記基板を自由に懸架するように設計されることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記コンベヤー要素が連続的な水平トラックに沿って延びる導電性材料の柔軟なテープを備えることを特徴とする請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記柔軟なテープに凹部が等間隔に設けられており、前記搬送手段が前記凹部と係合する歯を有する少なくとも一つの駆動ギヤをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記凹部が長方形であり、前記歯の水平断面が少なくとも実質的に三角形状であることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
各クランプ要素が二つの部分を備え、二つの部分のそれぞれの最下端が前記クランプ端部を構成することを特徴とする請求項9ないし13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記二つの部分の一方が前記柔軟なテープと一体的であることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記二つの部分の一方が、前記柔軟なテープの下端から下方に延出するリップであることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記クランプ端部が前記柔軟なテープの下端の下方に延びることを特徴とする請求項11ないし16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
前記二つの部分の一方が導電性材料で作られ、前記二つの部分の他方が電気絶縁材料で少なくとも部分的に作られることを特徴とする請求項14ないし17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
前記二つの部分が自身のバネ力の影響で前記テープにもたれかかることを特徴とする請求項14ないし18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
好ましくは搬送方向と反対方向に傾斜するスロットである傾斜スロットが、前記電解槽の少なくとも一つの壁に設けられ、より好ましくは二つの相対する壁に設けられることを特徴とする請求項9ないし19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
前記電解槽を通る基板がたどる経路の相対する面に、内部に穴を有するパネルが設けられることを特徴とする請求項9ないし20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
前記パネルの少なくとも一つと該少なくとも一つのパネルと平行に延びる前記電解槽の壁との間に陽極が設けられることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記電解槽の少なくとも一つの直立壁に、前記パネルの外側で電解液の排出端部を設けることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
電解液用の電解槽と、
前記電解液を通して搬送方向に基板を連続的に搬送する搬送手段であって、連続的な水平トラックに沿って延びる導電性材料の柔軟なテープと適合するコンベヤー要素と、基板の上端をクランプ端部を用いて締め付けて前記電解槽内の少なくとも一部で前記基板を懸架するように設計されたクランプ要素とを備える、搬送手段と、
を備え、
前記クランプ端部が前記柔軟なテープの下端の下方に延びることを特徴とする基板の電気めっき装置。
【請求項25】
各クランプ要素が二つの部分を備え、該二つの部分のそれぞれの最下端が前記クランプ端部を構成し、該二つの部分の一方が導電性材料で作られ、該二つの部分の他方が少なくとも部分的に電気絶縁材料で作られることを特徴とする請求項24に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−516732(P2011−516732A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503921(P2011−503921)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【国際出願番号】PCT/NL2009/000083
【国際公開番号】WO2009/126021
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(591204540)メコ イクウィップメント エンジニアズ ベスローテン フェンノートシャップ (3)
【Fターム(参考)】