説明

太陽電池及びその他の用途のシリコンの製造方法

還元剤、好ましくは、炭素質の作用物質の存在下で、水溶液中で予備精製したシリカの還元を用いる、光電池に適する高純度シリコンの調製方法であって、前記予備精製したシリカが光電池に適する少量のホウ素を有する方法が開示される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2006年3月15日に出願された米国特許仮出願第60/782,361号に基づき、35 U.S.C. §119の下で優先権を主張する。参照出願の教示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
上昇するエネルギーコスト及び拡大した電力網並びにエネルギー自給に対する要望は、電気を起こすためにソーラーパネル(光起電性)の使用の最近の急増を誘発した。現在、市場における太陽電池の90%超がシリコンを使用する。しかしながら、中間グレードのシリコンの不足は、シリコン太陽産業の成長を妨げている。近年まで、太陽電池のためのシリコンの全需要は、エレクトロニクス産業と半導体産業からの使い残しのスクラップシリコンで十分に持ちこたえるほどに少なかった。しかしながら、新たな需要は、こうしたシリコン源を完全に超えている。
【0003】
現在、2つのグレードのシリコンがある。鉄鋼産業によって合金材料として使用される冶金グレード(MG)がある。この材料は、比較的粗雑な材料(砂と石炭又はコークス)から製造され、約98〜99%の純度の安価なシリコン源を生成する。これは、約99.999%(ファイブナイン)又は99.9999%(シックスナイン)を必要とするソーラーグレード(SoG)にとって十分に純粋ではない。いくつかの企業(例えば、Elkem)は、還元剤として炭素に代えてアルミニウムを使用することにより、より高純度のMGシリコンを製造している。この材料は、多くは、99.999999%(エイトナイン)純度よりも良好なエレクトロニクス又は半導体グレードのシリコンを製造するために使用される。
【0004】
エイトナインのシリコンを製造する方法は、シーメンズプロセスと称され、出発物質としてMGシリコンを使用する。このプロセスは、非常に資本集約的で運転に費用がかかり、シーメンズのシリコンを非常に高価格にする。太陽電池は、太陽光を吸収するために非常に大きな面積のシリコンを必要とすることから、太陽電池におけるエイトナインのシリコンに伴うコストはひどく高い。エイトナインのシリコンの調製の際に屑材として得られるシリコンは、多くは、SoGの仕様を満たす。しかしながら、エレクトロニクス産業は、こうしたスクラップシリコンを1年間あたり約4,000トン製造するに過ぎなく、例えば、1年間あたり10,000トン超のソーラーシリコンに対する現状の需要を満たすことはできない。
【0005】
MGシリコンをSoGシリコンにグレードアップすることを試みて、多くの努力が費やされてきた。シーメンズプロセスは、高温でMGシリコンをHClと反応させることにより、このことを化学的に行う。これは、次に厳密に蒸留されてトリクロロシランの非常に純粋な流れのみが残るまで精製される、一群のクロロシラン類と他の不純物を生成する。この材料と添加された水素が、高純度シリコン加熱のシリコンの上で分解され、混合物を純粋(エイトナイン)なシリコンとHClに分解する。
【0006】
しかし、太陽電池はより低純度のシリコンを用いて製造することができる。シックスナインの純度レベルを目的とした特定のプロセスが、SoGシリコン用に開発されたならば、太陽産業は、発電コストについて競争力を維持しながら、その成長を再開することができると考えられる。
【0007】
MGシリコンを出発として、それをグレードアップすることに、多くの努力が注がれてきた。シーメンズプロセスは、このことを化学的に行う。高温冶金プロセスを用いることに、多くの試みがなされてきた。しかしながら、溶融シリコンを扱うことは難しく、精製のための選択できる手段の数は少ししかない。これらの手段は、主として、ガス反応、固体又は溶融物質を用いたフラクシング、及び方向性凝固の種々の方法である。これらの方法は全て、それらの限界を有し、これらの方法の組み合わせはいずれも、これまで、シリコンの任意の製造業者によって使用される実行可能な商業的方法を与えていない。1つの部分的な成功は、バルクのシリコンの純度を高めるために使用される方向性凝固法であるHEM(熱交換法)である。しかしながら、この方法は、MGシリコンをSoGシリコンにグレードアップするのに有用ではない。現時点で、利用できる最大の炉は、50〜60時間ごとに約200kgの使用可能なシリコンを製造する。この方法は遅く、多量のエネルギーを消費する。さらに、この技術は、1よりも極めて小さい分配係数(典型的に0.1未満が有効)を有する物質(除去される)に依存する。多くの物質は、固体シリコンに対する溶融シリコンにおける溶解性の相違のために低い分配係数を有するが、この方法は、多くの不純物を除去する。しかしながら、ホウ素とリンの2つの物質は、太陽電池に特に有害でありまた、高い分配係数(ホウ素について0.8、およびリンについて0.35)を有する。このように、HEM法(方向性凝固法)は、これらの不純物が最終的な望まれる受忍限度を超える量で存在するならば、シリコンを精製するための適切な方法ではない。殆ど全てのMGグレードのシリコンは、数ppm又はそれ以下の要件を十分に上回るホウ素含有量(典型的に100ppm超)を有する。高品質の光電池には、約1ppm又はそれ以下のホウ素含有量を有するシリコンが必要とされることが多い。
【0008】
要約すれば、ソーラーグレードのシリコンの経済的な供給源が存在しない。冶金シリコンは過度に不純であり、半導体シリコンは過度に高価である。
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
本発明は、好ましくは炭素質の作用物質である還元剤の存在下で、水溶液中で予備精製されたシリカの還元を用い、光電池に適する高純度シリコンを調製する方法に関し、前記の予備精製されたシリカは、好ましくは、約5ppm以下、より好ましくは、約3ppm以下、さらにより好ましくは、約1ppm以下又は1ppm未満、さらに一層好ましくは0.5ppm未満の、光電池に適する僅かな量のホウ素を有する。好ましくは、予備精製されたシリカは、水溶性型シリカ、好ましくは、アルカリシリケート、より好ましくは、ケイ酸ナトリウム又はケイ酸カリウムのシリカ水溶液を、ホウ素除去剤、好ましくは、ホウ素特異的キレート樹脂、さらにより好ましくは、N-メチルグルカミンの官能基を有するイオン交換樹脂に接触させることによって得られる。また、水溶液は、好ましくは、遷移金属、カルシウム、もしくはマグネシウムであるリン除去剤、又はモリブデン酸塩、もしくはモリブデン酸塩で処理したアニオン樹脂で処理してもよい。炭素質の作用物質は、活性炭又はカーボンブラックであり、好ましくは、ホウ素及びリンを実質的に含まず、より好ましくは、約1ppm以下のホウ素含有量を有する。
【0010】
別の態様において、本発明は、シリカ水溶液を得る工程、その溶液をろ過する工程、そのろ液をホウ素特異的イオン樹脂カラムに接触させる工程、シリケートをシリカに変化させる工程、炉内において、低い含有量のホウ素とリンを有する炭素でシリカを還元する工程、及び得られた溶融高純度シリコンを冷却する工程を含む、高純度シリコンの調製方法に関する。
【0011】
別の態様において、本発明は、低いB含有量とP含有量を有する高純度シリコンの調製方法に関し、この方法は、シリケート水溶液を得る工程、任意で、遷移金属、カルシウム、又はマグネシウムを添加する工程、その溶液をろ過する工程、そのろ液をホウ素特異的イオン樹脂カラムに接触させる工程、水を除去する工程、及び得られたシリケート塩をシリカに変化させる工程を含む。
【0012】
別の態様において、本発明は、低グレードのシリコンを水溶性型に変化させる工程、その水溶性型シリカを水溶液中で精製する工程、その精製した水溶性型シリカをシリカに変化させる工程、及び得られたシリカを高純度シリコンに変化させる工程により、低グレードのシリコンを光電池に適する高純度シリコンまで精製することに関する。
【0013】
発明の詳細な説明
今までに見過ごされてきたことは、化学的精製が、水相中で、はるかにより容易にかつ経済的に遂行されることである。今までに、シリコンの製造において使用される成分の予備精製を提案した方法はない。より高純度の化合物(例えば、砂の代わりにケイ石)を使用する提案はあったが、これらの物質の処理はなく、結局、天然資源は、潜在的にはより純粋であるものの、多くの鉱物の混入が頻繁にあり得ることから長期的には十分に純粋ではなく、BとPの純度の要件の限度を十分に超えてしまう結果になっている。
【0014】
MGシリコンは、下記の反応1(約1700℃で)によって製造される(100年間を超えて製造されてきた)。
SiO2 + 2C → Si + 2CO (1)
【0015】
反応1は、いくぶん簡単にされ、いくつかの中間体と、以下に掲げるような、生じ得る副反応がある。
SiO2 + 2C → Si + 2CO (2)
SiO2 + 3C → SiC + 2CO (3)
SiO2 + C → SiO + CO (4)
SiO + C → Si + CO (5)
SiO + SiC → Si + CO (6)
【0016】
上記の反応は、典型的な炭素熱還元(carbothermal reduction)である。反応1〜6の生成物は、通常、約98〜99%の純度である。
【0017】
また、シリコンは、炭素をマグネシウム又はアルミニウムなどの十分な活性のある金属(又は合金)で置き換えることによって製造することもできる。反応は次のようになる。
3SiO2 + 4Al → 3Si +2Al2O3 (7)
【0018】
この反応は、やや高級グレードのMGシリコン(約99.9%で、シーメンズプロセス用のケイ素源として使用される)を製造するために使用されるが、アルミニウムは、炭素よりも若干高価である。さらに、シリカ源は、依然として、ホウ素などの不純物の主要な源である。一旦、不純物が炉内に入ると、これらの高温であっても、ホウ素は揮発性ではないため、それらはシリコンに組み入れられる。反応7は、アルミニウム熱還元(aluminothermic reduction)と称される。何ゆえに炭素熱(又は金属熱)反応が高純度物質を製造しないかの理論的理由はない(明らかに、本方法によって対処される実際的理由があるが)と理解するべきである。不純物が、炉内の第1箇所に入れられなければ、最終製品中に現れないであろう。純粋な物質が、高純度シリコンを製造する専用のクリーンな炉に供給されるならば、不純物の唯一の他の源は、炉のライナー又はカーボンロッドに由来するであろう。炉のライナー用の的確な材料を選択することによって、この不純物源もまた除かれる。即ち、既に原材料中にある黒鉛もしくはシリカ、又はアルミナ、アルミナクロマイト、窒化ケイ素、もしくは炭化ケイ素などの溶融シリコンもしくは出発物質との相互作用を有しない他の化合物は、坩堝もしくはレンガ型ライナーに使用可能な利用できる化合物の典型である。酸化トリウム、酸化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、又は種々のジルコネートなどのさらなる物質もまた適切である。任意の適切な炉が使用されてもよい。ただし、その設計は、空気の排除を可能にし、かつ不活性雰囲気を可能にしなければならない。
【0019】
工業的に使用される典型的な炉は、電気アーク炉、誘導炉、又はか焼炉(calciner)である。MGシリコンは、サブマージド電気アーク炉を用いて製造される。電気アークは、シリコンと接触することになる黒鉛(炭素)電極を使用するため、電極から不純物が来ることができないように、電極の純度は高いことが必要である。こうした電極は、UCAR及びGraftekから入手可能である。誘導炉においては、材料に直接に又は黒鉛などの導電性サセプタ(susceptor)を通して、交流電場によって熱が伝達される。ここでもまた、溶融シリコンを支持する材料はクリーンであって、かつ上述のような適切な材料から製造しなければならない。
【0020】
か焼炉においては、回転する管が、電気素子及び/又は炎源によって間接的に加熱される。ここでもまた、その管を製造する材料は、シリコンに不純物を与えてはならない。
【0021】
上記に概説したように、任意の適切な炉が、本発明における使用に容認できる。好ましくは、炉は、ボトムタップ付きサブマージドアーク炉である。
【0022】
高純度の鍵となるのは、水溶液系から高純度シリカを作り出すことである。例えば、ケイ酸ナトリウムなどの水溶性シリケートが得られる。これは、購入することができ、又は次の反応による高温でのソーダ灰とシリカの反応によって製造することができる。
Na2CO3 + SiO2 → Na2SiO3 + CO2 (8)
【0023】
また、ケイ酸ナトリウムは、下記のような水酸化ナトリウムとシリカの反応によって、水溶液中で直接製造してもよい。
2NaOH + SiO2 → Na2SiO3 +H2O (9)
【0024】
もちろん、水酸化カリウム、炭酸カリウム、又は可溶性シリケートを生成する任意の他のカチオンなどの他の適切なカーボネート又は水酸化物を使用してもよい。
【0025】
次いで、シリケート溶液は、全ての不都合な不純物を取り出すために精製される。これは、多種多様な操作によって達成することができる。
【0026】
典型的に、溶液がろ過されて全ての不溶物が除去される。この溶液は、種々の元素不純物について試験される。特別な関心対象は、当然ながらホウ素とリンである。任意の適切な試験法が受け入れられる。シリケート溶液は、どちらかと言えば高いpHにある。また、シリケートは、弱い錯化剤である。即ち、殆どの金属は、シリケート溶液中で非常に弱い溶解性を有し、最初のろ過工程の際に除去される。これらの金属には、鉄、ニッケル、亜鉛、及びコバルトなどの殆どの遷移元素のみならずカルシウム及びマグネシウムが挙げられる。しかし、望しい場合、いくつかの最終的元素、とりわけ、多くのカチオン交換樹脂にナトリウムよりも強く引き付けられる多価カチオンを除去するために、ナトリウムなどのアルカリ金属イオン又はプロトンもしくはアンモニウム荷電カチオン交換体を用いたポリシング工程を採用することもできる。
【0027】
溶液中のホウ素は、ボラートの形態であろう。こうしたホウ素は、ホウ素キレート剤、好ましくは、N-メチルグルカミンの官能基を有するイオン交換樹脂を用いて除去することができる。例えば、ペンシルバニア州、フィラデルフィア、100 Independence Mall West に本社を有するRohm & Haasにより販売されるAmberlite(登録商標)IRA-743は、ボラート特異的キレート樹脂である。それは、塩基性pHでも同様に十分に機能する。それは、シリケートに影響を及ぼすことなく、ボラートに高い親和性を有する。その樹脂は、必要にに応じ、硫酸とアンモニア水を用いる二工程法で容易に再生することができる。ボラートは、ホウ酸として除去される。樹脂は、DI水(脱イオン水)で洗浄され、再使用することができる。ホウ素の任意の所望の純度レベルを得るため、複数のカラムを順番に使用してもよい。イオン交換のための標準的技術を、本開示において述べた全てのIX法に適用する。
【0028】
予備精製されたシリカは、光電池に適切な低いホウ素含有量を有しなくてはならない。当業者は、本出願の時点での光電池の分野における工業的基準を考慮して、何が光電池に適する低いホウ素含有量であるかを究明できると考えられう。ただし、好ましい低いホウ素含有量は、約5ppm以下、より好ましくは、約3ppm以下、さらにより好ましくは、1ppm以下又は1ppm未満、一層好ましくは、約0.5ppm以下である。
【0029】
微量の遷移元素又はマグネシウムもしくはカルシウムが存在するならば、リンの多くは、沈殿され、ろ過工程において除去される。また、この沈殿を促進するためにある物質を意図的に添加することもできるが、少量のシリケートも失われることがある。溶液中のリンの量が多い場合、これはモリブデン酸アンモニウム又はタングステン酸アンモニウムで処理したアニオン樹脂を用いて除去することができ、次いで洗浄される。こうしたカラムは、塩基性溶液中でホスフェートを特に吸収する。モリブデン酸塩を分配した樹脂又はモリブデン酸塩そのものを使用することができる。しかし、結合されていない塩が使用される場合、モリブデン酸塩は、アニオン樹脂によって容易に除去されることができるが、溶液中に入り込むことができる。処理されたアニオン樹脂を使用することは、工程を減らすことができる。また、BもしくはP又は任意の元素を除去するため、任意の他の従来方法が適用されてもよい。
【0030】
上記はいずれも、例えば、ホウケイ酸ガラスのように、ホウ素を浸出することのない材料から作製された容器中で行うべきである。したがって、殆どの従来のプラスチック及びステンレス鋼などの多くの金属が、シリケート溶液の適切な受け器である。
【0031】
上記のように処理された後のケイ酸ナトリウム溶液は、このとき、使用の用意が整っている。この溶液の加熱及び/又は酸もしくは他の化学物質の添加は、通常はゲルとしての純粋なシリカの形成と沈殿を開始する。シリカは、沈殿し、洗浄され、そして乾燥される。シリカは、遠心分離機、フィルタープレスなどの従来の装置を用いて洗浄及び乾燥してもよい。シリカは、さらに、還元工程で望ましいことがあるクリストバライト、トリジマイト、石英、ルシャトリエライト、又はアモルファスなどのシリカの所望の結晶形を生じさせるために、炉を通して処理してもよい。
【0032】
次は、このプロセスにおいて使用するための炭素質の作用物質を検討することである。炭素質の作用物質は、好ましくは、ホウ素及びリンを実質的に含まず、活性炭又はカーボンブラックを含む。炭素質の作用物質が、予備精製されたシリカから得られるシリコンが光電池の許容量を超えるホウ素及び/又はリン含有量を有する原因となる場合、その炭素質の作用物質は、ホウ素とリンを実質的に含まないということはない。また、種々の形態の炭素が極めて純粋であることが知られている。こうした市販の形態は、天然ガス、エチレン、又はアセチレンから製造可能なカーボンブラックである。残留オイルから得られるカーボンブラックは、望ましくない不純物を含むと考えられる。より低グレードの炭素を使用する場合、炭素は、水中に懸濁して不純物を浸出させ、洗浄し、すすぎ、乾燥させることができる。アモルファス炭素、黒鉛、又は種々のチャーコールを使用してもよい。ここでもまた、純度は重要事項である。チャーコールは、例えば、砂糖などの炭素含有物質の熱分解によって製造することができる。その物質が、砂糖のように水溶性であるなら、シリケート溶液を精製するようにして、溶解及び精製し、許容レベルまで不純物を低下させてもよい。精製された砂糖溶液は、次に乾燥され、その砂糖はチャーコールに熱分解される。炭素は、塩素でさらに処理してもよい。また、炭素は、天然ガス、メタン、エタン、アセチレン、エチレン、プロパン、プロペン、アレン、ブタン、LPG、又はホウ素及びリンを実質的に含まない一般に任意のC1〜C4ガスなどの可燃性ガスから製造することもできる。
【0033】
炉内の還元反応の効率におけるもう1つの因子は、炭素の黒鉛化度である。これは、黒鉛形態にある炭素の割合の尺度である。これは、黒鉛にアモルファス形態の炭素を混合することによって制御してもよく、又は黒鉛化炉の中で任意の形態の炭素を処理し、黒鉛を生成させることもできる。黒鉛化度は、好ましくは、約30〜55%、より好ましくは、約40〜45%であるが、炉の条件及び原料によって異なる可能性がある。殆どの炭素は、不活性雰囲気中又は真空中で、1200℃付近で黒鉛化を開始する。温度及び滞留時間は、必要とされる任意の黒鉛化度を達成するために変化してもよい。種々の炭素の形態を混合して、例えば、45%の黒鉛と55%のカーボンブラックを混合することにより、適切な割合の黒鉛を得ることができる。
【0034】
調製されたシリカと調製された炭素は、このとき、アーク炉のサイズに適切であるように、さらに調節されてもよい。多量のガスの放出のため(殆どはCO)、炉内の装填は、いかなる有意な圧力上昇を生み出すことなく、ガスの散逸を可能にしなければならない。このことは、ブリケッター(briquetter)を使用してシリカのブリケットと炭素のブリケットを作製することによって達成される。所望により、スムーズで効率的な炉の操作を達成するため、いくつかの異なるサイズのブリケットを作製してもよい。
【0035】
代替の方法として、以下の手順によってシリカと炭素を共沈させてもよい。純粋な炭素を、攪拌されているケイ酸ナトリウムの純粋な溶液と懸濁した炭素に添加することができる。炭素粒子の存在下で、炭素は、シリカの核形成部位を提供する。このことは、非常に均一で親密に混合されたシリカ-炭素の混合物の共沈をもたらす。こうした混合物がその親密に混合された特性のために望ましい場合、この方法論又は同様な方法論が適用できるであろう。
【0036】
水に可溶なあらゆる不純物を除去するため、沈殿した材料がろ過され(遠心分離機の使用も可能)、DI水で洗浄される。ろ過された材料は、密閉コンベアー(いかなる不純物も巻き込まないように)を通して乾燥室の中に運び込まれ、その材料を少なくとも500℃で乾燥する。このことは、炉内でスチームを発生するのに利用できる自由水が確実に存在しないようにし、これは、安全上の問題であり得る。さらに、炉内のスチームはまた、黒鉛電極の消費速度を増加させる。粉末は、このとき、以前の通り、搬送されて直接ブリケットにされた後、炉に添加され、反応温度まで加熱される。反応速度は、反応が非常に吸熱であるため、炉のエネルギー入力とともに変化するであろう。顕熱は、エネルギー入力の約10%に過ぎなく、それ以外は、反応を推進するためである。この入力は、理論的に、シリコンの約448kJ/モル(〜4.5kWh/kg)である。殆どのアーク炉は約12kWh/kgを消費する。
【0037】
シリカと炭素はそれぞれ、いずれの不純物も1ppm未満で含むため、あり得る他の不純物は炭素と酸素のみである。酸素は、化学量論より多い量の炭素を使用して還元することができる。溶融シリコン中の炭素の溶解度は約20ppmである。一般に、炭素は、殆どの光電池用途に対して不活性であり、通常は受け入れられるであろう。ただし、シリコンが、HEM又は他のDS炉におけるように方向的に冷却されるならば(通常は、下端から上端)、炭素は、0.05の良好な分配係数を有し、これはひいては、仕上げられたシリコン中の約1ppmのCをもたらす。さらに、SiCなどの微量の懸濁した固体もまた、DS工程によって除去されるであろう。省エネルギー工程として、より高い純度が望まれるならば、シリコンを2回にわたって溶融する必要がないことからエネルギーが節約されるように、溶融とDS(方向性凝固)を組み合わせるべきであることに留意するべきである。
【0038】
シリコンは、炉の底の栓から出されるため、不活性雰囲気中に出されなければならない。純度の要件により、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、及び窒素などのいくつかのガスが適切なガスである。栓から空気中に出されたならば、酸素がシリコン中への侵入を開始すると考えられる。窒素もまたシリコンと反応することができるが、酸素よりも遅い。それゆえ、抜き出しと注ぎ入れの条件により、窒素は、適切なガスであり又はそうではないこともある。反対に、アルゴンとヘリウムはシリコンとの化学反応を全く有さず、常に使用されてもよい。
【0039】
最後に、炭素をCOとして除去するため、溶融シリコンを、スチーム注入のような他の精製法でさらに処理してもよい。溶融状態における付加的な処理は、シリコン中に存在し得る炭素、窒素、又は酸素からセリウムの炭化物、窒化物、及び酸化物を生成するのに十分活性な、ミッシュメタル(主として、セリウム)などの希土類金属の添加を含んでもよい。この炭化物は、次いで、ウエハー製造を追従するDS工程の間に除去されるであろう。希土類元素は全て、非常に低い分配係数を有し、以降のDS工程で効率的に除去することができる。
【0040】
提案する本発明のその他の長所は、当業者には明らかであろう。例えば、シリケート溶液の大規模処理を行うことは容易であり、規模の経済性を得ることができる。また、得られる高純度シリカは、シリコンを製造するアルミニウム熱プロセスの優れた原料でもあろうことにも留意するべきである。ここでもまた、先述のように、微細なアルミニウム粒子がシリケート溶液中に懸濁され得、次いで、シリカがアルミニウムの周りに析出する。あるいは、高純度シリカが単独で析出することができ、次いで、アルミニウム又はマグネシウムなどの還元性金属と混合される。ただし、その金属は、不純物についてチェックする必要があろう。
【0041】
その他の適応は次の通りである。純粋なシリカは、いくつかの無機物加工工業から、ヒュームドシリカと称されるものが入手可能であることが多いが、こうしたヒュームドシリカもまた本プロセスの適切な原料である。
【0042】
また、炭素源は多様であり得る。例えば、通常のグラニュー糖が使用可能である。砂糖は、加熱されて全ての砂糖を純粋な炭素まで分解する。砂糖が、ホウ素又は他の不純物の除去を必要とするならば、その水溶液を製造し、シリケート溶液を精製したのと全く同じ仕方で精製することができる。水が蒸発され、砂糖が熱分解される。また、炭素の純粋な形態に熱分解可能な任意の物質が本発明に使用されてもよい。こうした他の物質には、デンプン類、セルロース類、オイル類、グリセリン、及びもみ殻などの多くの食品が挙げられる。
【0043】
以下の実施例は、本発明のある局面を例証するものであり、特許請求の範囲に規定される本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【0044】
実施例1
10.0グラムのケイ酸ナトリウムを200ミリリットルの脱イオン水に溶かした。その溶液のpHは11.2であった。誘導結合プラズマ(ICP)のみならずBoro Trace(商標)3試薬を用いるHACH湿式ホウ素測定法の双方を用い、サンプルをホウ素について分析した。出発のホウ素含有量は、重量で4ppmであった。最初の溶液を、Rohm & Haas, Amberlite(登録商標)IRA-743-Aキレート樹脂を入れた50ミリリットルの樹脂カラムに通過させた。その樹脂は、ホウ素を特に引き付ける成分を使用する。他の企業も、同様に本出願において使用され得る同様な適切な樹脂を製造している。そのカラムは、シリケートもナトリウムイオンも吸収しない。75ミリリットルの分画を収集し、ホウ素について分析した。ホウ素は0.1ppmまで低下した。
【0045】
実施例2
10.0グラムのケイ酸ナトリウムを200ミリリットルの脱イオン水に溶かした。その溶液のpHは11.2であった。サンプルのpHを硫酸で10.0に調節した。誘導結合プラズマ(ICP)のみならずBoro Trace(商標)3試薬を用いるHACH湿式ホウ素測定法の双方を用い、サンプルをホウ素について分析した。出発のホウ素含有量は、重量で4ppmであった。最初の溶液を、Rohm & Haas, Amberlite(登録商標)IRA-743-Aキレート樹脂を入れた50ミリリットルの樹脂カラムに通過させた。その樹脂は、ホウ素を特に引き付ける成分を使用する。他の企業も、同様に本出願において使用され得る同様な適切な樹脂を製造している。そのカラムは、シリケートもナトリウムイオンも吸収しない。75ミリリットルの分画を収集し、ホウ素について分析した。ホウ素は0.09ppmまで低下した。
【0046】
実施例3
10.0グラムのケイ酸ナトリウムを200ミリリットルの脱イオン水に溶かした。その溶液のpHは11.2であった。サンプルのpHを硫酸で10.0に調節した。誘導結合プラズマ(ICP)のみならずBoro Trace(商標)3試薬を用いるHACH湿式ホウ素測定法の双方を用い、サンプルをホウ素について分析した。サンプルを意図的に12.0ミリグラムのホウ酸でスパイクした。出発のホウ素含有量は、重量で15ppmであった。最初の溶液を、Rohm & Haas, Amberlite(登録商標)IRA-743-Aキレート樹脂を入れた50ミリリットルの樹脂カラムに通過させた。その樹脂は、ホウ素を特に引き付ける成分を使用する。他の企業も、同様に本出願において使用され得る同様な適切な樹脂を製造している。そのカラムは、シリケートもナトリウムイオンも吸収しない。75ミリリットルの分画を収集し、ホウ素について分析した。ホウ素は0.1ppmまで低下した。
【0047】
実施例4
10.0グラムのケイ酸ナトリウムを200ミリリットルの脱イオン水に溶かした。その溶液のpHは11.2であった。サンプルのpHを硫酸で10.5に調節した。誘導結合プラズマ(ICP)のみならずBoro Trace(商標)3試薬を用いるHACH湿式ホウ素測定法の双方を用い、サンプルをホウ素について分析した。出発のホウ素含有量は、重量で4ppmであった。最初の溶液を、Rohm & Haas, Amberlite(登録商標)IRA-743-Aキレート樹脂を入れた50ミリリットルの樹脂カラムに通過させた。その樹脂は、ホウ素を特に引き付ける成分を使用する。他の企業も、同様に本出願において使用され得る同様な適切な樹脂を製造している。そのカラムは、シリケートもナトリウムイオンも吸収しない。75ミリリットルの分画を収集し、ホウ素について分析した。ホウ素は、ICP法の検出限界の0.04ppm未満まで低下した。
【0048】
実施例5
実施例1からのサンプルを硫酸でpH7.0まで酸性化した。溶液を10分間にわたって放置し、その間にシリカゲルが生成した。ゲルをDI水で洗浄し、ろ過し、乾燥した。ゲルをホウ素について分析した結果、これは0.15ppmのBを含んでいた。
【0049】
実施例6
実施例4からのサンプルを硫酸でpH7.0まで酸性化した。溶液を10分間にわたって放置し、その間にシリカゲルが生成した。ゲルをDI水で洗浄し、ろ過し、乾燥した。ゲルをホウ素について分析した結果、これは0.05ppmのBを含んでいた。
【0050】
実施例7
1,000キログラムのケイ酸ナトリウムを20,000リットルの脱イオン水に溶かす。その溶液のpHは11.2である。サンプルのpHを硫酸で10.5に調節する。誘導結合プラズマ(ICP)のみならずBoro Trace(商標)3試薬を用いるHACH湿式ホウ素測定法の双方を用い、サンプルをホウ素について分析する。最初の溶液を、Rohm & Haas, Amberlite(登録商標)IRA-743-Aキレート樹脂を入れた500リットルの樹脂カラムに通過させる。その樹脂は、ホウ素を特に引き付ける成分を使用する。他の企業も、同様に本出願において使用され得る同様な適切な樹脂を製造している。そのカラムは、シリケートもナトリウムイオンも吸収しない。全体の分画を収集し、ホウ素について分析する。カラムからの溶液を、今度は、pHが7.0になるまで硫酸で処理する。放置の後、ゲルが生成し、これをろ過し、1400℃以下で乾燥する。乾燥した材料を、エッジにて約2〜6インチのいくつかのサイズのブリケットにブリケット加工する。別に、1,000キログラムの砂糖を2,000リットルのDI水に溶かし、その溶液を、Rohm & Haas, Amberlite(登録商標)IRA-743-Aキレート樹脂を入れた500リットルの樹脂カラムに通過させる。その樹脂は、ホウ素を特に引き付ける成分を使用する。他の企業も、同様に本出願において使用され得る同様な適切な樹脂を製造している。水を蒸発させて砂糖を回収し、次いで、これを黒鉛化率が約45%となるまで不活性雰囲気中において1200℃で熱分解し、400キログラムの炭素を得る。この材料を、エッジにて約2〜6インチのいくつかのサイズのブリケットにブリケット加工する。炭素のブリケットとシリカのブリケットをサブマージドアーク炉に供給する。炉は、1700℃を上回る温度に加熱し、5時間後に、シリコン金属が底に集まり始める。シリコン金属は、必要に応じ、炉の底から周期的に抜き出す。シリコンを抜き出しながら、追加のシリカと炭素のブリケット(上記のように製造)を添加して、一回に数箇月にわたって連続的に炉を運転してもよい。溶融シリコン用のボトムタップと導管は、ボトムタップと、導管と、シリコンを冷却させるための型とを覆うボックス内に維持されたアルゴンの不活性雰囲気によって覆われる。シリコンが凝固した後、型を不活性雰囲気から取り出してもよい。次いで、シリコンを分割又は破砕し、搬送用の適切な容器に詰める。
【0051】
あるいは、溶融シリコンを、方向性凝固炉の中に直接入れるのに適切な予熱坩堝の中に注ぎ入れ、次いで、炉の冷却プロフィルにしたがって凝固させることもできる。この工程は、時間とエネルギーが凝固及び同じシリコンのその後の再溶融に消費されないため、DS炉における多大なエネルギーと時間の使用を節約する。また、この方法は、CZ引き上げによる単結晶シリコンの形成のためにも同様に有用であろう。
【0052】
実施例8
1,000キログラムのケイ酸ナトリウムを20,000リットルの脱イオン水に溶かす。その溶液のpHは11.2である。サンプルのpHを硫酸で10.5に調節する。誘導結合プラズマ(ICP)のみならずBoro Trace(商標)3試薬を用いるHACH湿式ホウ素測定法の双方を用い、サンプルをホウ素について分析する。最初の溶液を、Rohm & Haas, Amberlite(登録商標)IRA-743-Aキレート樹脂を入れた500リットルの樹脂カラムに通過させる。その樹脂は、ホウ素を特に引き付ける成分を使用する。他の企業も、同様に本出願において使用され得る同様な適切な樹脂を製造している。全体の分画を収集し、ホウ素について分析する。カラムからの溶液を、今度は、pHが7.0になるまで硫酸で処理する。放置の後、ゲルが生成し、これをろ過し、1400℃以下で乾燥する。乾燥した材料を、エッジにて約2〜6インチのいくつかのサイズのブリケットにブリケット加工する。天然ガスから製造した400キログラムのカーボンブラックを2,000リットルのDI水に溶かし、その溶液を、Rohm & Haas, Amberlite(登録商標)IRA-743-Aキレート樹脂を入れた500リットルの樹脂カラムに通過させる。その樹脂は、ホウ素を特に引き付ける成分を使用する。他の企業も、同様に本出願において使用され得る同様な適切な樹脂を製造している。水を蒸発させて砂糖を回収し、次いで、これを黒鉛化率が約45%となるまで不活性雰囲気中において1200℃で熱分解し、400キログラムの炭素を得る。この材料を、エッジにて約2〜6インチのいくつかのサイズのブリケットにブリケット加工する。炭素のブリケットとシリカのブリケットをサブマージドアーク炉に供給する。炉は、1700℃を上回る温度に加熱し、5時間後に、シリコン金属が底に集まり始める。シリコン金属は、必要に応じ、炉の底から周期的に抜き出す。シリコンを抜き出しながら、追加のシリカと炭素のブリケット(上記のように製造)を添加して、一回に数箇月にわたって連続的に炉を運転してもよい。溶融シリコン用のボトムタップと導管は、ボトムタップと、導管と、シリコンを冷却させるための型とを覆うボックス内に維持されたアルゴンの不活性雰囲気によって覆われる。シリコンが凝固した後、型を不活性雰囲気から取り出してもよい。次いで、シリコンを分割又は破砕し、搬送用の適切な容器に詰める。
【0053】
あるいは、溶融シリコンを、方向性凝固炉の中に直接入れるのに適切な予熱坩堝の中に注ぎ入れ、次いで、炉の冷却プロフィルにしたがって凝固させることもできる。この工程は、時間とエネルギーが凝固及び同じシリコンのその後の再溶融に消費されないため、DS炉における多大なエネルギーと時間の使用を節約する。また、この方法は、CZ引き上げによる単結晶シリコンの形成のためにも同様に有用であろう。
【0054】
実施例9
1,000キログラムのケイ酸ナトリウムを20,000リットルの脱イオン水に溶かす。その溶液のpHは11.2である。サンプルのpHを硫酸で10.5に調節する。誘導結合プラズマ(ICP)のみならずBoro Trace(商標)3試薬を用いるHACH湿式ホウ素測定法の双方を用い、サンプルをホウ素について分析する。最初の溶液を、Rohm & Haas, Amberlite(登録商標)IRA-743-Aキレート樹脂を入れた500リットルの樹脂カラムに通過させる。その樹脂は、ホウ素を特に引き付ける成分を使用する。他の企業も、同様に本出願において使用され得る同様な適切な樹脂を製造している。全体の分画を収集し、ホウ素について分析する。ホウ素は、ICP法の検出限界である0.04ppm未満まで減少する。カラムからの溶液を、今度は、pHが7.0になるまで硫酸で処理する。放置の後、ゲルが生成し、これをろ過し、1400℃以下で乾燥する。乾燥した材料を、エッジにて約2〜6インチのいくつかのサイズのブリケットにブリケット加工する。別に、1,000キログラムの砂糖を2,000リットルのDI水に溶かし、その溶液を、Rohm & Haas, Amberlite(登録商標)IRA-743-Aキレート樹脂を入れた500リットルの樹脂カラムに通過させる。その樹脂は、ホウ素を特に引き付ける成分を使用する。他の企業も、同様に本出願において使用され得る同様な適切な樹脂を製造している。その溶液は0.01ppmのホウ素を有する。水を蒸発させて砂糖を回収し、次いで、これを黒鉛化率が約45%となるまで不活性雰囲気中において1200℃で熱分解し、400キログラムの炭素を得る。この材料を、エッジにて約2〜6インチのいくつかのサイズのブリケットにブリケット加工する。炭素のブリケットとシリカのブリケットをサブマージドアーク炉に供給する。炉は、1700℃を上回る温度に加熱し、5時間後に、シリコン金属が底に集まり始める。シリコン金属は、必要に応じ、炉の底から周期的に抜き出す。シリコンを抜き出しながら、追加のシリカと炭素のブリケット(上記のように製造)を添加して、一回に数箇月にわたって連続的に炉を運転してもよい。溶融シリコン用のボトムタップと導管は、ボトムタップと、導管と、シリコンを冷却させるための型とを覆うボックス内に維持されたアルゴンの不活性雰囲気によって覆われる。シリコンが凝固した後、型を不活性雰囲気から取り出してもよい。シリコンが未だ溶融しているとき、約10ppm(15グラム)のミッシュメタルを添加し、シリコンの中に混ぜながら入れる。シリコンが方向的に凝固するとき、希土類金属は、ホウ素、酸素、窒素、及び酸素などの不純物とともにDS生成物の低温端部(通常は上部)に移動し、より一層高純度のシリコンをもたらす。次いで、シリコンを分割又は破砕し、搬送用の適切な容器に詰める。あるいは、溶融シリコンを、方向性凝固炉の中に直接入れるのに適切な予熱坩堝の中に注ぎ入れ、次いで、炉の冷却プロフィルにしたがって凝固させることもできる。この工程は、時間とエネルギーが凝固及び同じシリコンのその後の再溶融に消費されないため、DS炉における多大なエネルギーと時間の使用を節約する。また、この方法は、CZ引き上げによる単結晶シリコンの形成のためにも同様に有用であろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明を使用する典型的なシリコン製造プロセスを示す例示のプロセスフローチャートの一部である。
【図2】図1の例示のプロセスフローチャートの第2部分である。
【図3】図1の例示のプロセスフローチャートの第3部分である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶液中で予備精製したシリカを炭素質の作用物質で還元する工程を含む、光電池に適する高い純度を有するシリコンの製造方法であって、該予備精製したシリカが、光電池に適する少量のホウ素を有する、シリコンの製造方法。
【請求項2】
前記シリカが、水溶性型シリカの水溶液を用いる精製方法を経て得られ、該水溶液が、固体不純物を除去するためにろ過され、かつホウ素特異的キレート樹脂で処理される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ホウ素特異的キレート樹脂が、N-メチルグルカミンの官能基を有するイオン交換樹脂である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記ろ過の前に、前記水溶性型シリカの水溶液に遷移金属、カルシウム、又はマグネシウムが添加される、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記水溶性型シリカの水溶液が、モリブデン酸塩、又はモリブデン酸塩で処理したアニオン樹脂で処理される、請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記水溶性型シリカがアルカリシリケートである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記炭素質の作用物質がホウ素及びリンを実質的に含まない、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記炭素質の作用物質が可燃性ガスから調製される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記可燃性ガスが、天然ガス、メタン、エタン、アセチレン、エチレン、プロパン、プロペン、アレン、ブタン、LPG、又はホウ素及びリンを実質的に含まない一般に任意のC1〜C4ガスである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記炭素が、炭水化物、デンプン、又は他の炭素質物質から調製される、請求項7記載の方法。
【請求項11】
前記炭素が、前記炭水化物を水の中に溶かす工程、得られた溶液を精製する工程、水を除去する工程、及び精製した炭水化物を熱分解して炭素を得る工程を含む方法によって調製される、請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記熱分解が、約40〜45%の黒鉛化度を得るために行われる、請求項11記載の方法。
【請求項13】
所望の黒鉛化度が、種々の炭素形態を混合することによって得られる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記炭素が、B及びPを除去するために塩素で処理される、請求項7記載の方法。
【請求項15】
前記予備精製したシリカがある結晶型にある、請求項7記載の方法。
【請求項16】
前記予備精製したシリカ及び/又は前記炭素がブリケット型である、請求項7記載の方法。
【請求項17】
前記予備精製したシリカ及び前記炭素が、シリカと炭素が均一に混合されるように共沈によって調製される、請求項7記載の方法。
【請求項18】
前記予備精製したシリカが、約5ppm以下のホウ素含有量を有する、請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記予備精製したシリカが、約1ppm以下のホウ素含有量を有する、請求項1記載の方法。
【請求項20】
前記精製方法が塩基性条件で行われる、請求項1記載の方法。
【請求項21】
前記還元反応が、サブマージドアーク炉の中でライナーを用いて行われ、溶融高純度シリコンが生成する、請求項7記載の方法。
【請求項22】
前記炉が、非常に低いホウ素含有量とリン含有量の耐熱材料から作られる、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記炉が、電極用に高純度黒鉛ロッドを使用する、請求項21記載の方法。
【請求項24】
前記炉が、底から溶融高純度シリコンを取り出すためのボトムタップを有する、請求項21記載の方法。
【請求項25】
溶融シリコン排出箇所の前記炉の外側が、シリコンが雰囲気中の酸素と反応しないように、溶融シリコンを不活性ガス中で冷却させる不活性ガスチャンバーを有する、請求項21記載の方法。
【請求項26】
前記溶融シリコンが、炭素、酸素、窒素、ホウ素、及び他の不純物をシリコンから除去するために、希土類金属でさらに処理される、請求項21記載の方法。
【請求項27】
(a)シリケート水溶液を得る工程、
(b)溶液をろ過する工程、
(c)ろ液を、ホウ素特異的イオン樹脂カラムを通過させる工程、
(d)該シリケートをシリカに変化させる工程、
(e)炉内において、低い含有量のホウ素及びリンを有する炭素で該シリカを還元する工程、及び
(f)得られた溶融高純度シリコンを冷却する工程
を含む、高純度シリコンの調製方法。
【請求項28】
低純度のシリカ、砂、石英、又は他のシリカ含有物質、又はシリコンもしくは一酸化ケイ素をアルカリシリケートに変化させる工程をさらに含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記炭素が、炭水化物を熱分解することによって調製される、請求項27記載の方法。
【請求項30】
(a)シリケート水溶液を得る工程、
(b)任意で、遷移金属、カルシウム、又はマグネシウムを添加する工程、
(c)溶液をろ過する工程、
(d)ろ液を、ホウ素特異的イオン樹脂カラムを通過させる工程、
(e)水を除去する工程、及び
(f)得られたケイ酸塩をシリカに変化させる工程
を含む、低いB含有量とP含有量を有する高純度シリカの調製方法。
【請求項31】
モリブデン酸アンモニウム又はタングステン酸アンモニウムで予備処理されたアニオン交換樹脂で前記シリケート水溶液を処理する工程をさらに含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
生成物が高純度炭化ケイ素である、請求項1記載の方法。
【請求項33】
生成物が高純度一酸化ケイ素である、請求項1記載の方法。
【請求項34】
前記炭素質の作用物質が、約1ppm以下のホウ素含有量を有する、請求項1記載の方法。
【請求項35】
前記還元剤が、炭素の代わりとしての、アルミニウム又はマグネシウムなどの活性のある精製された金属である、請求項1記載の方法。
【請求項36】
(a)低グレードのシリコンを、水溶性型に変化させる工程、
(b)水溶性型シリカを水溶液中で精製する工程、
(c)精製した水溶性型シリカをシリカに変化させる工程、及び
(d)得られたシリカを高純度シリコンに変化させる工程
を含む、低グレードのシリコンを、光電池に適する高純度シリコンに精製する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−530218(P2009−530218A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500595(P2009−500595)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/063985
【国際公開番号】WO2007/106860
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(508352920)アールイーエスシー インベストメンツ エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】