説明

姿勢維持装置を備えた自転車

【課題】左右の車輪の接地高さに関わらず、走行安定性に優れる自転車の提供。
【解決手段】この自転車2は、主フレーム4と、左右一対の車輪6と、姿勢維持装置10とを備えている。姿勢維持装置10は、昇降機構28、左右一対の支持機構30及び第一弾性体29を備えている。それぞれの支持機構30が第二弾性体60を備えている。支持機構30は、車輪6を回転可能に支持している。支持機構30は、車輪6を主フレーム4に対して上下方向に移動可能に支持している。第二弾性体60は、車輪6を主フレーム4に対して下方に付勢している。昇降機構28により、一方の車輪6が上下方向のいずれかの向きに移動すると、他方の車輪6が一方の車輪6と逆向きに移動するようにされている。昇降機構28は、主フレーム4に上下方向に移動可能に支持されている。昇降機構28は、第一弾性体29により主フレームに対して下方に付勢されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右の車輪の接地高さに関わらず、運転者の姿勢を安定させる姿勢維持装置を備えた自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
前輪又は後輪が、左右一対の車輪からなる自転車がある。この左右一対の車輪が、それぞれ独立して上下方向に回動しうる自転車がある。この自転車では、左右の車輪がそれぞればねにより下方に付勢されている。左右方向に傾斜した斜面では、その斜面の傾斜に合わせて車輪が回動する。この自転車は左右に傾斜した斜面で傾くことなく走行しうる。大きな凹凸のある路面では、左右の車輪が凹凸に合わせて回動する。この自転車は、大きな凹凸のある路面を安定して走行しうる。コーナリング走行では、この自転車の車体が傾けられた状態で左右の車輪が接地しうる。この自転車は、安定してコーナンリング走行しうる。
【特許文献1】特開2006−56493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
車輪を下方に付勢するばねの付勢力が小さい自転車では、上下方向の車体の振れが大きい。急制動により、自転車の車体が大きく沈み込む。自転車は、上下に大きく揺すられる。一方、ばねの付勢力が大きい自転車では、路面への車輪の追随性が損なわれる。ばねの反力が大きくなり、ハンドル操作が難しい。
【0004】
この自転車に、一方の車輪が上下方向のいずれかの向きに移動すると他方の車輪が一方の車輪と逆向きに移動する昇降機構を設けることが考えられる。この昇降機構を設けた自転車は、上下方向の車体の振れが軽減される。この自転車は、ばねの付勢力を比較的に小さくしうる。これにより、左右の車輪の路面への追随性が損なわれない。
【0005】
この自転車では、左右の車輪が上下方向に同一向きに回動することが規制されている。左右の車輪が上下方向に同一向きに回動させられると、運転者は車体から急激な反力を受ける。急制動された自転車では、運転者が前方に投げ出される恐れがある。
【0006】
本発明の目的は、左右の車輪の接地高さに関わらず、走行安定性に優れる姿勢維持装置を備えた自転車の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る自転車は、主フレームと、左右一対の車輪と、姿勢維持装置とを備えている。この姿勢維持装置は、昇降機構、左右一対の支持機構及び第一弾性体を備えている。それぞれの支持機構が第二弾性体を備えている。この支持機構は、車輪を回転可能に支持している。この支持機構は、車輪を主フレームに対して上下方向に移動可能に支持している。この第二弾性体は、車輪を主フレームに対して下方に付勢している。この昇降機構により、一方の車輪が上下方向のいずれかの向きに移動すると、他方の車輪が一方の車輪と逆向きに移動するようにされている。この昇降機構は、主フレームに上下方向に移動可能に支持されている。この昇降機構は、第一弾性体により主フレームに対して下方に付勢されている。
【0008】
好ましくは、本発明に係る自転車では、第一弾性体のばね定数は、第二弾性体のばね定数より大きい。
【0009】
好ましくは、本発明に係る自転車の支持機構は、アームを備えている。このアームは、主フレームに回動可能に支持されている。このアームは、第二弾性体により主フレームに対して下方に回動する向きに付勢されている。このアームは、車輪を回転可能に支持している。上記昇降機構は、アームと係合している。
【0010】
好ましくは、本発明に係る自転車の昇降機構は、支持フレーム、第一ローラ、第二ローラ及びベルトを備えている。この支持フレームは、第一ローラ及び第二ローラを回転可能に支持している。第一ローラは、支持フレームの上方に位置している。第二ローラは、支持フレームの下方に位置している。この第一ローラ及び第二ローラに、ベルトが架け渡されている。一方のアームは、第一ローラと第二ローラとの間のベルトの一方の部分に係合している。他方のアームは、第一ローラと第二ローラとの間のベルトの他方の部分に係合している。この支持フレームは、第一弾性体により主フレームに対して下方に付勢されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る自転車では、左右の車輪に高低差が生じても、走行安定性に優れる。この自転車は、直進走行及びコーナリング走行のいずれの走行においても走行安定性に優れる。この自転車は、急制動においても安定性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る自転車の正面図である。
【図2】図2は、図1の自転車の前輪、姿勢維持装置及び操舵軸の一部のA矢視図である。
【図3】図3は、図1の自転車の前輪及び姿勢維持装置の使用状態が示された概念図である。
【図4】図4は、図1の自転車の姿勢維持装置の使用状態が示された拡大図である。
【図5】図5は、図1の自転車の前輪及び姿勢維持装置の使用状態が示された概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る自転車2の正面図である。図1の右向きが、この自転車2の前方向きである。図1の左向きが、自転車2の後方向きである。この自転車2は、主フレーム4と、左右一対の前輪6と、後輪8と、姿勢維持装置10と、駆動装置12とを備えている。
【0015】
主フレーム4は、本体13、操舵装置14及びサドル16を備えている。サドル16は、主フレーム4の上方に位置している。操舵装置14は、ハンドル18及び操舵軸20を備えている。ハンドル18は、操舵軸20に固定されている。ハンドル18の中央が、操舵軸20の上方端に固定されている。この操舵軸20は、主フレーム4の前方に位置している。操舵軸20は、主フレーム4の本体13に支持されている。操舵軸20は、本体13に対して回転しうる。操舵軸20は、その軸線を回転軸に回転しうる。
【0016】
図2は、図1の自転車2の前輪6、姿勢維持装置10及び操舵軸20の一部のA矢視図である。本体13に支持された操舵軸20の下方から軸22が左右方向に延びている。この操舵軸20の更に下方は、略直角に後方に屈曲されている。屈曲して後方に延びる先端には、軸24が左右方向に延びている。後方に延びる先端と屈曲した部分との間には孔26が形成されている。この孔26は、上下方向に貫通している。
【0017】
姿勢維持装置10は、昇降機構28と、第一弾性体としてのコイルばね29と、一対の支持機構30とを備えている。昇降機構28は、支持フレーム32、第一ローラとしてのスプロケット34、第二ローラとしてのスプロケット36、ベルトとしてのチェーン38、ピン40、座金42及び調整ナット44を備えている。支持フレーム32は、上下方向の延びる棒状である。支持フレーム32の下部には、雄ねじ48が形成されている。
【0018】
この支持フレーム32の上方端には、スプロケット34が支持されている。スプロケット34は、支持フレーム32に対して回転しうる。支持フレーム32の下方端には、スプロケット36が支持されている。スプロケット36は、支持フレーム32に対して回転しうる。このスプロケット34とスプロケット36とには、チェーン38が架け渡されている。このチェーン38の上方の部分は、スプロケット34と噛み合っている。チェーン38の下方の部分は、スプロケット36と噛み合っている。スプロケット34とスプロケット36との間で、チェーン38の上下方向に延びる一方の部分は、操舵軸20の右側に位置している。チェーン38の上下方向に伸びる他方の部分は、操舵軸20の左側に位置している。このチェーン38の一方の部分には、右側のピン40が連結されている。このチェーン38の他方の部分には、左側のピン40が連結されている。
【0019】
支持フレーム32は、操舵軸20の孔26に通されている。支持フレーム32は、孔26に図示されないリニア軸受を介して支持されている。支持フレーム32は、操舵軸20に対して上下動しうる。雄ねじ48には、調整ナット44が取り付けられている。調整ナット44は、2個のナットからなっている。調整ナット44は、支持フレーム32の上下方向に位置決め固定されうる。座金42は、操舵軸20の下面に面して位置している。座金42は、支持フレーム32に通されている。コイルばね29は、座金42と調整ナット44との間に位置している。コイルばね29は、支持フレーム32に通されている。コイルばね29は、操舵軸20に対して支持フレーム32を下方に付勢している。
【0020】
一方の支持機構30は、主フレーム4の右側に位置している。他方の支持機構30は、主フレーム4の左側に位置している。支持機構30は、それぞれアーム50及び伸縮器52を備えている。アーム50の一端は、操舵軸20の軸24に軸着されている。アーム50は、軸24を回転軸にして回動しうる。アーム50の他端には、前輪6が軸着されている。前輪6は、左右方向を回転軸としてアーム50に対して回転しうる。
【0021】
アーム50には、長孔54が形成されている。この長孔54は、左右方向に貫通している。長孔54は、アーム50の長手方向に沿って形成されている。この長孔54には、ピン40が摺動可能に係合している。アーム50の両端の間には、ステー56が形成されている。このステー56は、アーム50の上方に形成されている。
【0022】
伸縮器52は、伸縮可能な本体58、第二弾性体としてのコイルばね60、調整ナット62及び座金64を備えている。本体58の上方の外周には、雄ねじ66が形成されている。調整ナット62は、2個のナットからなる。この調整ナット62は、雄ねじ66に取り付けられている。調整ナット62は、本体58の軸方向に位置決め固定しうる。この本体58には、コイルばね60及び座金64が通されている。コイルばね60は、調整ナット62と座金64の間に位置している。コイルばね60は、調整ナット62から座金64を引き離す向きに付勢している。本体58は、コイルばね60により、伸ばされる向きに付勢されている。
【0023】
伸縮器52の上端は、操舵軸20の軸22に軸着されている。伸縮器52の下端は、アーム50のステー56に軸着されている。アーム50は、伸縮器52により、下方に回動する向きに付勢されている。これにより、前輪6は、下方向きに付勢されている。
【0024】
後輪8は、主フレーム4に取り付けられている。後輪8は、主フレーム4に対して回転しうる。後輪8は、左右方向を回転軸に回転しうる。
【0025】
図1に示されるように、駆動装置12は、左右一対のクランク68、駆動ギア70、駆動チェーン74、従動ギア76を備えている。左右一対のクランク68は、主フレーム4に取り付けられている。クランク68は、主フレーム4の左右側面に位置している。クランク68は、主フレーム4に対して回転しうる。駆動ギア70は、主フレーム4に取り付けられている。駆動ギア70は、主フレーム4に対して回転しうる。クランク68の回転軸と駆動ギア70の回転軸とは、同軸である。この回転軸は、左右方向を軸線としている。従動ギア76は、主フレーム4の後方に取り付けられている。従動ギア76は、主フレーム4に対して回転しうる。後輪8と従動ギア76とは一体にされている。後輪8と従動ギア76の回転軸は同軸である。駆動ギア70と従動ギア76とには、駆動チェーン74が架け渡されている。
【0026】
運転者が、図1の自転車2のクランク68のペダルを踏む。クランク68が回転する。クランク68の回転により、駆動ギア70が回転する。駆動ギア70の回転は、駆動チェーン74に伝えられる。この駆動チェーン74が、従動ギア76を回転させる。従動ギア76の回転により、後輪8が回転する。前輪6の回転により、自転車2は、走行する。
【0027】
図3は、図1の自転車2の前輪6及び姿勢維持装置10の使用状態が示された概念図である。図3(a)は、左右の前輪6が同じ高さで接地している使用状態が示されている。図3(b)は、右側の前輪6が高い位置で接地している使用状態が示されている。自転車2の右側の前輪6が凸部に乗り上げると、右側の前輪6は、上方に押し上げられる。右側のアーム50が回動する。アーム50回動により、長孔54が上方に移動する。長孔54に係合したピン40が、上方に移動する。ピン40が連結されたチェーン38が反時計回りに送られる。
【0028】
このチェーン38が反時計回りに送られると、左側のピン40が下方に移動する。ピン40により、長孔54が下方に移動する。これにより、左側のアーム50が下方に回動する。左側の前輪6が主フレーム4に対して下方に下がる。こうして、図3(a)に示された使用状態は、図3(b)に示された使用状態に変化する。
【0029】
図4は、図1の自転車2の姿勢維持装置10の使用状態が示された拡大図である。図4(a)には、右側の前輪6が高い位置で接地する自転車2の姿勢維持装置10が示されている。図4(b)には、右側の前輪6が低い位置で接地する自転車2の姿勢維持装置10が示されている。
【0030】
伸縮器52は、アーム50の上下方向の回動に合わせて伸縮する。伸縮器52のコイルばね60は、アーム50を下方に付勢している。このアーム50の下方へ付勢により、前輪6は路面に接地させられている。図4(a)に示されるように、右側の前輪6が上方に移動するとアーム50が上方に回動する。コイルばね60が縮められる。伸縮器52が縮められる。また、図4(b)に示されるように、右側の前輪6が下方に移動するとアーム50が下方に回動する。
【0031】
前輪6は、アーム50を介してコイルばね60の付勢力により路面に接地している。前輪6は、路面の凹凸に対応して上下動しうる。コイルばね60の付勢力により、前輪6及びアーム50の回動がより滑らかになる。この自転車2では、調整ナット62によりコイルばね60の初期長が変更されうる。これにより、運転者の好みにより、コイルばね60の付勢力の強さを調整しうる。コイルばね60が用いられた第二弾性体は、アームを下方に付勢し伸縮可能であればよい。この機能を備えればよく、第二弾性体はコイルばねに限られない。
【0032】
図4(b)に示されるように、右側の前輪6は、凹部では主フレーム4に対して下方に下がる。これにより、チェーン38が送られる。これにより、左側の前輪6は、主フレーム4に対して上方に移動する。右側の前輪6が左側の前輪6より低い位置で接地する。この自転車2では、左右の前輪6に高低差が生じると、一方の車輪は、上下方向のいずれかの向きに移動する。他方の車輪は、一方の車輪と逆向きに移動する。
【0033】
この自転車2では、チェーン38は、操舵軸20の上下方向に沿って送られる。この左右の前輪6は、チェーン38により操舵軸20の上下方向に回動する。この左右の前輪6の上下方向への移動距離の絶対値は、等しい。
【0034】
左右に傾斜した斜面では、左右の前輪6が斜面にあわせて上下方向に移動する。この斜面で、この主フレーム4は傾かない。この自転車2では、走行中の運転者の姿勢が安定している。一方の前輪6が路面の凸部に乗り上げても、自転車2が傾かない。一方の前輪6が路面の凹部に取られても、自転車2が傾かない。この自転車2は、左右の接地面に高低差があっても、主フレーム4の上下方向は、鉛直方向に一致しうる。この姿勢維持装置10により、この自転車2は、安定した姿勢を維持できる。この自転車2では、走行中の運転者の姿勢が安定している。この自転車2では、ハンドル18がとられることが抑制されている。この自転車2は、操縦安定性に優れる。
【0035】
図3(a)及び図3(b)の両矢印Wは、左右の前輪6の左右方向の間隔である。この自転車2では、左右の前輪6に高低差が生じても間隔Wが一定である。この自転車2では、前輪6が上下方向に移動しても、前輪6に軸方向へ移動させる力が作用しない。この自転車2の走行は安定している。この自転車2の前輪6は回転軸方向の摩擦力が抑制される。この自転車2では、スプロケット34及びスプロケット36にチェーン38が架け渡されている。これにより、この間隔Wを狭くすることができる。
【0036】
この自転車2では、左右の後輪8に高低差がない状態から左右の後輪8に高低差が生じる状態に一対の前輪6が上下方向に移動する。この自転車2では、一方の前輪6の上下方向移動距離と他方の前輪6の上下方向移動距離の絶対値とが等しい。これにより、主フレーム4及び姿勢支持装置12が接地することが抑制されている。主フレーム4の鉛直方向上下の移動量も小さくされている。この自転車2は、走行安定性に優れている。
【0037】
運転者が、ハンドル18をきる。ハンドル18の回動により、操舵軸20が回動する。この操舵軸20の回動により、前輪6の進行方向が変えられる。これにより、自転車2は走行向きが変えられる。
【0038】
この自転車2のコーナリング走行では、運転者が曲がる向きに体重をかけて、主フレーム4を傾ける。コーナリング走行の内側の前輪6が上方に回動させられる。外側の前輪6が下方に回動させられる。この自転車2は、傾けて走行させることができる。この自転車2では、安定した姿勢でコーナリング走行が可能である。
【0039】
図5は、図1の自転車2の前輪6及び姿勢維持装置10の使用状態が示された概念図である。急制動された自転車2は、前方に大きく沈み込もうとする。この自転車2は、コイルばね29を備えている。この自転車2では、操舵軸20が下方に沈み込む。コイルばね29が縮められる。これにより、この自転車2は、左右一対の前輪6に同時に上方へ回動しても自転車2が大きく揺すられ難い。同様に、左右一対の車輪が路面の凸面に乗り上げたときもコイルばね29により、自転車2の揺れが小さく抑えられている。路面の凹面に一対の前輪6が落ち込むときも同様に自転車2の揺れが小さく抑えられている。この自転車2では、調整ナット44によりコイルばね29の初期長が変更されうる。これにより、運転者の好みにより、コイルばね29の付勢力の強さを調整しうる。
【0040】
この自転車2では、コイルばね60がアーム50を下方に付勢している。これにより、路面の凹凸に前輪6が追随させられる。一方で、コイルばね60は、前輪6に対しアーム50を介して反力を付与している。コイルばね60のばね定数は、前輪6が路面の凹凸に追随し、前輪6に反力を付与するように設定させる。
【0041】
一方で、昇降機構28により、左右の前輪6は、上下方向に互いに逆向きに回動する。これにより、自転車2の上下方向の振れが抑制されている。
【0042】
昇降機構28は、コイルばね29により下方に付勢されている。コイルばね29のばね定数は、コイルばね60のバネ定数より大きいことが好ましい。これにより、このコイルばね29が、自転車2の沈み込み量の緩和に大きく寄与する。急制動の自転車2の沈み込みが抑制されている。
【0043】
ここでは、一対の前輪6を備える自転車2を例に説明がされた。一対の後輪8を備える自転車であってもよい。一対の後輪が姿勢支持装置により支持される。この姿勢支持装置が、第一弾性体としてのコイルばねを介して主フレームに支持される。これにより、左右の後輪に同時に路面の凸面に乗り上げたときも第一弾性体により、自転車2の揺れが小さくされている。路面の凹面に一対の前輪6が落ち込むときも同様に自転車2の揺れが小さくされている。特にサドルの後方に同乗者を載せる補助シートを備えた自転車では、乗り心地が改善される。
【0044】
伸縮器52の本体58は、ショックアブソーバを用いても良い。これにより、伸縮速度が遅くなり乗り心地が改善されえる。同様の観点から、操舵軸20と支持フレーム32との間にショックアブソーバーを設けても良い。
【0045】
本発明に係る自転車では、左右の車輪の接地高さに関わらず運転者の姿勢が安定する。この自転車は、直進走行及びコーナリング走行のいずれの走行においても走行安定性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る自転車には、車いすが含まれる。
【符号の説明】
【0047】
2・・・自転車
4・・・主フレーム
6・・・前輪
8・・・後輪
10・・・姿勢維持装置
12・・・駆動装置
13・・・本体
14・・・操舵装置
16・・・サドル
18・・・ハンドル
20・・・操舵軸
22・・・軸
24・・・軸
26・・・孔
28・・・昇降機構
29・・・コイルばね
30・・・支持機構
32・・・支持フレーム
34、36・・・スプロケット
38・・・チェーン
40・・・ピン
42・・・座金
44・・・調整ナット
48・・・雄ねじ
50・・・アーム
52・・・伸縮器
54・・・長孔
56・・・ステー
58・・・本体
60・・・コイルばね
62・・・調整ナット
64・・・座金
66・・・雄ねじ
68・・・クランク
70・・・駆動ギア
74・・・駆動チェーン
76・・・従動ギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主フレームと、左右一対の車輪と、姿勢維持装置とを備えており、
この姿勢維持装置が昇降機構、左右一対の支持機構及び第一弾性体を備えており、
それぞれの支持機構が第二弾性体を備えており、
この支持機構が車輪を回転可能に支持しており、
この支持機構が車輪を主フレームに対して上下方向に移動可能に支持しており、
この第二弾性体が車輪を主フレームに対して下方に付勢しており、
この昇降機構により一方の車輪が上下方向のいずれかの向きに移動すると他方の車輪が一方の車輪と逆向きに移動するようにされており、
この昇降機構が主フレームに上下方向に移動可能に支持されており、
この昇降機構が第一弾性体により主フレームに対して下方に付勢されている自転車。
【請求項2】
上記第一弾性体のばね定数が第二弾性体のばね定数より大きい請求項1に記載の自転車。
【請求項3】
上記支持機構がアームを備えており、
このアームが主フレームに回動可能に支持されており、
このアームが第二弾性体により主フレームに対して下方に回動する向きに付勢されており、
このアームが車輪を回転可能に支持しており、
上記昇降機構がアームと係合している請求項1又は2に記載の自転車。
【請求項4】
上記昇降機構が支持フレーム、第一ローラ、第二ローラ及びベルトを備えており、
この支持フレームが、第一ローラ及び第二ローラを回転可能に支持しており、
第一ローラが支持フレームの上方に位置しており、
第二ローラが支持フレームの下方に位置しており、
この第一ローラ及び第二ローラにベルトが架け渡されており、
一方のアームが第一ローラと第二ローラとの間のベルトの一方の部分に係合しており、
他方のアームが第一ローラと第二ローラとの間のベルトの他方の部分に係合しており、
この支持フレームが第一弾性体により主フレームに対して下方に付勢されている請求項1から3のいずれかに記載の自転車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−121531(P2011−121531A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282410(P2009−282410)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(598026851)株式会社カワムラサイクル (42)
【Fターム(参考)】