媒体搬送機構
【課題】 続紙付媒体10が混在した媒体10を搬送する媒体搬送機構において、続紙付媒体10を繰り出す際に、ずれてジャムが発生することを防止し、事前に操作者による続紙付媒体の抜き取り或いは続紙だけの抜き取り作業を不要とする。
【解決手段】 続紙の有無を近接センサや光学的センサ或いは厚さ検出センサにより検出する続紙検出センサを設け、続紙付媒体であるかを検出し、続紙付であった場合は、媒体押さえガイド12により媒体10を抑えるように制御して搬送するようにした。
【解決手段】 続紙の有無を近接センサや光学的センサ或いは厚さ検出センサにより検出する続紙検出センサを設け、続紙付媒体であるかを検出し、続紙付であった場合は、媒体押さえガイド12により媒体10を抑えるように制御して搬送するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、続紙付用紙などが混在した媒体を搬送する媒体搬送機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷や分類などの処理をする媒体として、病院等の保険医療機関や保険薬局が保険医療に要した費用を保険者(健康保険組合など)に請求する際に作成する診療報酬明細書(以下、「レセプト」という)がある。このレセプトは、保険医療機関等から日々提出されるものであり、その枚数は膨大である。
【0003】
そして、このレセプトに基づき該当する保険者に請求するために、各レセプトには、保険者を識別するための識別コードを印刷するエリアを設けて印刷等し、この識別コードを光学的文字認識すなわちOCR(Optical Character Reader)で読取り、自動的に分類するレセプト分類システムが開発され、すでに運用されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−164381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記レセプトには、1枚の単票だけでなく、単票にホッチキスなどで1枚或いは数枚の続紙を綴じた続紙付レセプトが混在している。そして、当該続紙付レセプトをそのまま搬送した場合、単票と続紙が媒体繰り出し時にずれてジャムが発生するため、事前に操作者が続紙付媒体の抜き取り或いは続紙だけを抜き取る作業を行っていた。このため、抜き取りの手間の発生や抜き取り漏れの続紙付レセプトによりジャムが発生しこの対応が必要となり、レセプト分類処理の効率が低下する要因となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、複数枚綴じられた媒体を検出する検出手段を設け、前記検出手段により複数枚綴じられた媒体を検出したときは、媒体押さえガイドにより前記媒体を抑えながら搬送するようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明の媒体搬送機構によれば、複数枚綴じられた媒体を検出する検出手段を設け、前記検出手段により複数枚綴じられた媒体を検出したときは、媒体押さえガイドにより前記媒体を抑えながら搬送するようにしたので、複数枚綴じられた媒体を搬送してもジャムが発生することがない。その結果、操作者が、複数枚綴じられた媒体を抜き取ったり、複数枚綴じられた媒体うち一部の媒体のみを抜き取ったりする作業をなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明に係る実施の形態例を、図面を用いて説明する。なお図面に共通する要素には同一の符号を付す。また、以下、レセプトとして処理する媒体としては、用紙以外のフィルム状のものであってもよいし、その他のものであってよいが、便宜上、一般的な用紙として以下記載する。
【実施例】
【0008】
実施例の媒体搬送機構は、続紙検出センサを設け、続紙付レセプトであるかどうかを判定し、その判定結果に基づき媒体押さえガイドの位置を制御して搬送するようにしたものである。
【0009】
(構成)
図1は、レセプトの単票の例であり、通常、レセプトの単票は、A4サイズの1枚の用紙である。そして、用紙の下欄に保険者を識別するOCR用の文字が印刷されている。
【0010】
図2は続紙付レセプトの例であり、図2(a)は単票と同様の1枚目のレセプトの例であり、図2(b)は続紙の例、図2(c)は前記続紙がレセプトにホッチキス20で綴じられている状態を示す。なお、図2(b)の続紙は1枚の場合もあるいし、2枚以上の場合もある。
【0011】
図3、図4は、本発明の媒体搬送機構の主な構成を示す図であり、図3が上面図、図4が側面図である。
【0012】
同図に示したように、媒体搬送機構は、媒体を供給する供給ユニット1と、媒体を媒体処理装置に搬送する駆動ユニット2から構成される。
【0013】
そして、供給ユニット1には、媒体10をセットする台としての機能および媒体繰り出しを補助する機能を有し矢印A方向にバネ等で付勢されたバックアッププレート6と、バックアッププレート6により付勢された媒体10を媒体処理装置に繰り出す媒体繰出ローラ3が配置されている。
【0014】
そして、駆動ユニット2には、媒体繰出ローラ3により繰り出された媒体10をフィードするためのフィードローラ4、フィードローラ4と回転速度や方向を変え媒体10の重走を防止するための分離ローラ5、上下のローラ対で媒体10を挟み込み搬送する搬送ローラ対7が図のように配置されている。
【0015】
図5、図6は、実施例の媒体搬送機構の詳細な構成図である。同図に示すように、実施例の媒体搬送機構は、ホッチキス20などの有無の検出により続紙媒体があるかどうかの判定を行うための続紙検出センサ11と、媒体10を繰り出す際に、適宜、媒体10を押さえる機能を有する続紙押さえガイド部12と、媒体10の走行方向の両端を検出する光学的センサであるセンサA14、センサB15からなり、図のように配置されている。
【0016】
なお、前記続紙検出センサ11は、高周波誘導等によりホッチキス20など金属を検出する近接スイッチからなり、前記続紙押さえガイド部12は、弾力性を有したシート状の押さえであり、駆動ユニット2上に取り付けられた続紙押さえ駆動部13により上下に移動できるようになっている。
【0017】
前記供給ユニット1側に配置したセンサA(14)と駆動ユニット2側に配置したセンサB(15)は、搬送路近傍に配置され、センサA(14)とセンサB(15)の間隔は、媒体10の走行方向の幅、すなわちA4媒体の場合では、横方向の幅である210mmの両端の検出ができるようにするため、本例では200mm程度の間隔としている。
【0018】
勿論、A4縦方向にセットすることを考慮し、適宜、A4縦方向の両端を検出できる間隔とすることができるようにするとよい。
【0019】
(動作)
以上の構成により、実施例の媒体搬送機構は、以下のように動作する。この動作を、前述図1ないし図6、および図7の媒体搬送機構のタイムチャート並びに媒体搬送の状態ごとの媒体の位置、センサ信号等の出力を示す図8〜図16を用いて、以下に説明する。
【0020】
なお、以下の説明では、バックアッププレート6にセットされた媒体10が、1枚目が単票、2枚目が続紙、3枚目も続紙であるとしている。
【0021】
また、図7の媒体搬送機構のタイムチャートでは、状態a〜iがそれぞれ図8〜図16の状態に対応するものであり、媒体10が搬送される特徴的状態を示すものである。そして、センサA信号は、前記センサA(14)の出力を表し、センサB信号は、前記センサB(15)の出力を表し、センサA信号およびセンサB信号がONのときは媒体10が各センサにより検出された状態を表しOFFのときは媒体10がない状態と表している。
【0022】
そして、続紙センサ信号は、前記続紙検出センサ11の出力を表すが、センサA信号がONのときは、図中ハッチのように続紙検出センサ11の出力を無効とするようにしている。
【0023】
前述のように、センサA信号がONのとき続紙検出結果を無効とする理由は、センサA信号がON状態のときは、次に繰り出される媒体10が続紙付レセプトでホッチキス20にて綴じられていたとしても、現在繰出中の媒体10により左上部分が隠されているはずであり、ノイズ等による続紙の誤検出を防止するためである。
【0024】
また、媒体押さえガイド信号は、続紙押さえ駆動部13を駆動し続紙押さえガイド12を上下に移動することを表す信号であり、ONのときは、媒体押さえ駆動部13により媒体押さえガイド12を下降させて媒体10を押さえ、OFFのときは、媒体押さえガイド12を上昇させて媒体10を押さえないようにする。
【0025】
この媒体押さえガイド信号は、後述のように、先に繰り出された媒体10が繰り出しを完了しかつ続く媒体10が続紙付レセプトであることが検出されたときに媒体押さえガイド12を下降させるために、センサA(14)がOFFでかつ続紙を検出し続紙検出センサ11がONとなった場合にONとし、センサB(15)が媒体10を検出したときにOFFとしている。
【0026】
次に、各状態の各部動作について図7のタイムチャートおよび図8ないし図16を用いて説明する。
【0027】
まず、状態a(図8)は、媒体10がバックアッププレート6にセットされた状態である。媒体10を検出するセンサA(14)がOFFのため、続紙検出センサ11が有効であるが、1枚目の媒体10は単票のため、ホッチキス20などが検出されないので続紙検出センサ11の出力がOFFとなり、このため媒体押さえガイド信号もOFFとなり、媒体押さえガイド12は上昇したままとなる。
【0028】
状態b(図9)は、1枚目の媒体10(単票)が繰り出され、センサA(14)がONとなるが、媒体10の先頭はセンサB15に至っていないのでセンサB信号はOFFの状態である。
【0029】
状態c(図10)は、1枚目の媒体10(単票)が繰り出されセンサBに至った状態で、センサB(15)の媒体検出により、繰り出された1枚目の媒体が搬送ローラ7へ搬送されたと判断できるので、媒体押さえガイド信号をOFFし媒体押さえガイド12を上昇させる。この場合は、状態abにおいてすでに媒体押さえガイド信号はOFFの状態であるので、特に媒体押さえガイド信号に変化はなく、媒体押さえガイド12も上昇した位置のままである。
【0030】
状態d(図11)は、1枚目の媒体10(単票)がさらに搬送され、センサA(14)が媒体10の終端通過によりOFFになった状態である。センサA(14)がOFFすることにより、続紙検出センサ11が有効となり、2枚目の媒体10が続紙付レセプトであるので続紙検出センサ11がホッチキス20等を検出し続紙センサ信号がONとなる。これにより、媒体押さえガイド信号がONとなり媒体押さえガイド12を下降させ、続紙付媒体10を押さえる。
【0031】
状態e(図12)は、まだ1枚目の媒体10(単票)の終端が検出されているので、2枚目の続紙付媒体10の繰り出しを開始せず、1枚目の媒体10(単票)の終端が通過するのを待っている状態である。このように制御することにより所定の間隔を確保して2枚目の媒体10を繰り出すことができる。
【0032】
状態f(図13)は、2枚目の続紙付媒体10が媒体押さえガイド12により押さえられて媒体10およびその続紙間に摩擦が生じ、ずれが発生することなく繰り出され、センサA(14)が媒体10を検出した状態である。
【0033】
なお、図示していないが、この繰り出しの際、媒体10の重走を防止するための分離ローラ5は、搬送する媒体10が続紙付レセプトであるので分離のための動作は行わないようにするのがよい。
【0034】
状態g(図14)は、2枚目の続紙付媒体10が繰り出され、センサB(15)に至った状態である。センサB(15)が媒体10を検出することにより、繰り出された媒体10はセンサB(15)の前段に位置する搬送ローラ7へ搬送したと判断し、媒体押さえガイド信号をOFFし、媒体押さえガイド12を上昇させる。
【0035】
状態h(図15)は、2枚目の続紙付媒体10がさらに搬送され、センサA(14)が2枚目の続紙付媒体10の終端通過によりセンサA信号がOFFになった状態である。センサA信号がOFFすることにより、続紙検出センサ11が有効となり、3枚目の媒体10が続紙付媒体であるのでホッチキス20等が検出され続紙検出センサ信号がONとなる。これにより、媒体押さえガイド信号をONとし、媒体押さえガイド12を下降し、3枚目の続紙付媒体10を押さえる。
【0036】
状態i(図16)は、まだ2枚目の媒体10(単票)の終端が検出されているので、3枚目の続紙付媒体10の繰り出しを開始せず、2枚目の媒体10(単票)の終端が通過するのを待っている状態である。このように制御することにより、状態e(図12)と同様、所定の間隔を確保して3枚目の媒体を繰り出すことができる。
【0037】
なお、以上の実施例の説明では、続紙の有無の検出方法として、高周波誘導等による近接スイッチを用いた例を示したが、ホッチキス20等からの反射光を検出するようにしてもよいし、ホッチキス20等の画像をイメージスキャナ等により取得しホッチキス等の画像を識別して検出するようにしてもよい。
【0038】
或いは、ホッチキス20等の部分の厚さや、綴じられた媒体10の厚さを厚さ検出センサにより検出し、所定の厚さ以上のときは、続紙があると判定するようにしてもよい。
【0039】
(実施例の効果)
以上詳細に述べたように、実施例の媒体搬送機構によれば、続紙の有無を検出する続紙検出センサを設け、続紙付媒体であるかを検出し媒体押さえガイドの位置を制御して搬送するようにしたので、続紙付媒体を搬送してもジャムが発生することがない。従って、操作者が、事前に続紙付媒体10を抜き取ったり、続紙のみを抜き取ったりする作業をなくすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上詳細に述べたように、本発明は、レセプトや伝票、或いははがき付の注文書などの続紙が綴じられる可能性のある媒体を搬送する媒体搬送機構に広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】レセプト単票を説明する図である。
【図2】レセプトおよび続紙付レセプトを説明する図である。
【図3】媒体搬送機構の構成図(上面図)である。
【図4】媒体搬送機構の構成図(側面図)である。
【図5】実施例1の媒体搬送機構(上面図)である。
【図6】実施例の媒体搬送機構(側面図)である。
【図7】実施例の媒体搬送機構のタイムチャートである。
【図8】実施例の媒体搬送機構の各状態を説明する図(状態a)である。
【図9】実施例の媒体搬送機構の各状態を説明する図(状態b)である。
【図10】実施例の媒体搬送機構の各状態を説明する図(状態c)である。
【図11】実施例の媒体搬送機構の各状態を説明する図(状態d)である。
【図12】実施例の媒体搬送機構の各状態を説明する図(状態e)である。
【図13】実施例の媒体搬送機構の各状態を説明する図(状態f)である。
【図14】実施例の媒体搬送機構の各状態を説明する図(状態g)である。
【図15】実施例の媒体搬送機構の各状態を説明する図(状態h)である。
【図16】実施例の媒体搬送機構の各状態を説明する図(状態i)である。
【符号の説明】
【0042】
3 媒体繰出ローラ
4 フィードローラ
5 分離ローラ
7 搬送ローラ対
10 媒体
11 続紙検出センサ
12 続紙押さえガイド
13 続紙押さえ駆動部
14 センサA
15 センサB
20 ホッチキス
【技術分野】
【0001】
本発明は、続紙付用紙などが混在した媒体を搬送する媒体搬送機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷や分類などの処理をする媒体として、病院等の保険医療機関や保険薬局が保険医療に要した費用を保険者(健康保険組合など)に請求する際に作成する診療報酬明細書(以下、「レセプト」という)がある。このレセプトは、保険医療機関等から日々提出されるものであり、その枚数は膨大である。
【0003】
そして、このレセプトに基づき該当する保険者に請求するために、各レセプトには、保険者を識別するための識別コードを印刷するエリアを設けて印刷等し、この識別コードを光学的文字認識すなわちOCR(Optical Character Reader)で読取り、自動的に分類するレセプト分類システムが開発され、すでに運用されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−164381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記レセプトには、1枚の単票だけでなく、単票にホッチキスなどで1枚或いは数枚の続紙を綴じた続紙付レセプトが混在している。そして、当該続紙付レセプトをそのまま搬送した場合、単票と続紙が媒体繰り出し時にずれてジャムが発生するため、事前に操作者が続紙付媒体の抜き取り或いは続紙だけを抜き取る作業を行っていた。このため、抜き取りの手間の発生や抜き取り漏れの続紙付レセプトによりジャムが発生しこの対応が必要となり、レセプト分類処理の効率が低下する要因となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、複数枚綴じられた媒体を検出する検出手段を設け、前記検出手段により複数枚綴じられた媒体を検出したときは、媒体押さえガイドにより前記媒体を抑えながら搬送するようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明の媒体搬送機構によれば、複数枚綴じられた媒体を検出する検出手段を設け、前記検出手段により複数枚綴じられた媒体を検出したときは、媒体押さえガイドにより前記媒体を抑えながら搬送するようにしたので、複数枚綴じられた媒体を搬送してもジャムが発生することがない。その結果、操作者が、複数枚綴じられた媒体を抜き取ったり、複数枚綴じられた媒体うち一部の媒体のみを抜き取ったりする作業をなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明に係る実施の形態例を、図面を用いて説明する。なお図面に共通する要素には同一の符号を付す。また、以下、レセプトとして処理する媒体としては、用紙以外のフィルム状のものであってもよいし、その他のものであってよいが、便宜上、一般的な用紙として以下記載する。
【実施例】
【0008】
実施例の媒体搬送機構は、続紙検出センサを設け、続紙付レセプトであるかどうかを判定し、その判定結果に基づき媒体押さえガイドの位置を制御して搬送するようにしたものである。
【0009】
(構成)
図1は、レセプトの単票の例であり、通常、レセプトの単票は、A4サイズの1枚の用紙である。そして、用紙の下欄に保険者を識別するOCR用の文字が印刷されている。
【0010】
図2は続紙付レセプトの例であり、図2(a)は単票と同様の1枚目のレセプトの例であり、図2(b)は続紙の例、図2(c)は前記続紙がレセプトにホッチキス20で綴じられている状態を示す。なお、図2(b)の続紙は1枚の場合もあるいし、2枚以上の場合もある。
【0011】
図3、図4は、本発明の媒体搬送機構の主な構成を示す図であり、図3が上面図、図4が側面図である。
【0012】
同図に示したように、媒体搬送機構は、媒体を供給する供給ユニット1と、媒体を媒体処理装置に搬送する駆動ユニット2から構成される。
【0013】
そして、供給ユニット1には、媒体10をセットする台としての機能および媒体繰り出しを補助する機能を有し矢印A方向にバネ等で付勢されたバックアッププレート6と、バックアッププレート6により付勢された媒体10を媒体処理装置に繰り出す媒体繰出ローラ3が配置されている。
【0014】
そして、駆動ユニット2には、媒体繰出ローラ3により繰り出された媒体10をフィードするためのフィードローラ4、フィードローラ4と回転速度や方向を変え媒体10の重走を防止するための分離ローラ5、上下のローラ対で媒体10を挟み込み搬送する搬送ローラ対7が図のように配置されている。
【0015】
図5、図6は、実施例の媒体搬送機構の詳細な構成図である。同図に示すように、実施例の媒体搬送機構は、ホッチキス20などの有無の検出により続紙媒体があるかどうかの判定を行うための続紙検出センサ11と、媒体10を繰り出す際に、適宜、媒体10を押さえる機能を有する続紙押さえガイド部12と、媒体10の走行方向の両端を検出する光学的センサであるセンサA14、センサB15からなり、図のように配置されている。
【0016】
なお、前記続紙検出センサ11は、高周波誘導等によりホッチキス20など金属を検出する近接スイッチからなり、前記続紙押さえガイド部12は、弾力性を有したシート状の押さえであり、駆動ユニット2上に取り付けられた続紙押さえ駆動部13により上下に移動できるようになっている。
【0017】
前記供給ユニット1側に配置したセンサA(14)と駆動ユニット2側に配置したセンサB(15)は、搬送路近傍に配置され、センサA(14)とセンサB(15)の間隔は、媒体10の走行方向の幅、すなわちA4媒体の場合では、横方向の幅である210mmの両端の検出ができるようにするため、本例では200mm程度の間隔としている。
【0018】
勿論、A4縦方向にセットすることを考慮し、適宜、A4縦方向の両端を検出できる間隔とすることができるようにするとよい。
【0019】
(動作)
以上の構成により、実施例の媒体搬送機構は、以下のように動作する。この動作を、前述図1ないし図6、および図7の媒体搬送機構のタイムチャート並びに媒体搬送の状態ごとの媒体の位置、センサ信号等の出力を示す図8〜図16を用いて、以下に説明する。
【0020】
なお、以下の説明では、バックアッププレート6にセットされた媒体10が、1枚目が単票、2枚目が続紙、3枚目も続紙であるとしている。
【0021】
また、図7の媒体搬送機構のタイムチャートでは、状態a〜iがそれぞれ図8〜図16の状態に対応するものであり、媒体10が搬送される特徴的状態を示すものである。そして、センサA信号は、前記センサA(14)の出力を表し、センサB信号は、前記センサB(15)の出力を表し、センサA信号およびセンサB信号がONのときは媒体10が各センサにより検出された状態を表しOFFのときは媒体10がない状態と表している。
【0022】
そして、続紙センサ信号は、前記続紙検出センサ11の出力を表すが、センサA信号がONのときは、図中ハッチのように続紙検出センサ11の出力を無効とするようにしている。
【0023】
前述のように、センサA信号がONのとき続紙検出結果を無効とする理由は、センサA信号がON状態のときは、次に繰り出される媒体10が続紙付レセプトでホッチキス20にて綴じられていたとしても、現在繰出中の媒体10により左上部分が隠されているはずであり、ノイズ等による続紙の誤検出を防止するためである。
【0024】
また、媒体押さえガイド信号は、続紙押さえ駆動部13を駆動し続紙押さえガイド12を上下に移動することを表す信号であり、ONのときは、媒体押さえ駆動部13により媒体押さえガイド12を下降させて媒体10を押さえ、OFFのときは、媒体押さえガイド12を上昇させて媒体10を押さえないようにする。
【0025】
この媒体押さえガイド信号は、後述のように、先に繰り出された媒体10が繰り出しを完了しかつ続く媒体10が続紙付レセプトであることが検出されたときに媒体押さえガイド12を下降させるために、センサA(14)がOFFでかつ続紙を検出し続紙検出センサ11がONとなった場合にONとし、センサB(15)が媒体10を検出したときにOFFとしている。
【0026】
次に、各状態の各部動作について図7のタイムチャートおよび図8ないし図16を用いて説明する。
【0027】
まず、状態a(図8)は、媒体10がバックアッププレート6にセットされた状態である。媒体10を検出するセンサA(14)がOFFのため、続紙検出センサ11が有効であるが、1枚目の媒体10は単票のため、ホッチキス20などが検出されないので続紙検出センサ11の出力がOFFとなり、このため媒体押さえガイド信号もOFFとなり、媒体押さえガイド12は上昇したままとなる。
【0028】
状態b(図9)は、1枚目の媒体10(単票)が繰り出され、センサA(14)がONとなるが、媒体10の先頭はセンサB15に至っていないのでセンサB信号はOFFの状態である。
【0029】
状態c(図10)は、1枚目の媒体10(単票)が繰り出されセンサBに至った状態で、センサB(15)の媒体検出により、繰り出された1枚目の媒体が搬送ローラ7へ搬送されたと判断できるので、媒体押さえガイド信号をOFFし媒体押さえガイド12を上昇させる。この場合は、状態abにおいてすでに媒体押さえガイド信号はOFFの状態であるので、特に媒体押さえガイド信号に変化はなく、媒体押さえガイド12も上昇した位置のままである。
【0030】
状態d(図11)は、1枚目の媒体10(単票)がさらに搬送され、センサA(14)が媒体10の終端通過によりOFFになった状態である。センサA(14)がOFFすることにより、続紙検出センサ11が有効となり、2枚目の媒体10が続紙付レセプトであるので続紙検出センサ11がホッチキス20等を検出し続紙センサ信号がONとなる。これにより、媒体押さえガイド信号がONとなり媒体押さえガイド12を下降させ、続紙付媒体10を押さえる。
【0031】
状態e(図12)は、まだ1枚目の媒体10(単票)の終端が検出されているので、2枚目の続紙付媒体10の繰り出しを開始せず、1枚目の媒体10(単票)の終端が通過するのを待っている状態である。このように制御することにより所定の間隔を確保して2枚目の媒体10を繰り出すことができる。
【0032】
状態f(図13)は、2枚目の続紙付媒体10が媒体押さえガイド12により押さえられて媒体10およびその続紙間に摩擦が生じ、ずれが発生することなく繰り出され、センサA(14)が媒体10を検出した状態である。
【0033】
なお、図示していないが、この繰り出しの際、媒体10の重走を防止するための分離ローラ5は、搬送する媒体10が続紙付レセプトであるので分離のための動作は行わないようにするのがよい。
【0034】
状態g(図14)は、2枚目の続紙付媒体10が繰り出され、センサB(15)に至った状態である。センサB(15)が媒体10を検出することにより、繰り出された媒体10はセンサB(15)の前段に位置する搬送ローラ7へ搬送したと判断し、媒体押さえガイド信号をOFFし、媒体押さえガイド12を上昇させる。
【0035】
状態h(図15)は、2枚目の続紙付媒体10がさらに搬送され、センサA(14)が2枚目の続紙付媒体10の終端通過によりセンサA信号がOFFになった状態である。センサA信号がOFFすることにより、続紙検出センサ11が有効となり、3枚目の媒体10が続紙付媒体であるのでホッチキス20等が検出され続紙検出センサ信号がONとなる。これにより、媒体押さえガイド信号をONとし、媒体押さえガイド12を下降し、3枚目の続紙付媒体10を押さえる。
【0036】
状態i(図16)は、まだ2枚目の媒体10(単票)の終端が検出されているので、3枚目の続紙付媒体10の繰り出しを開始せず、2枚目の媒体10(単票)の終端が通過するのを待っている状態である。このように制御することにより、状態e(図12)と同様、所定の間隔を確保して3枚目の媒体を繰り出すことができる。
【0037】
なお、以上の実施例の説明では、続紙の有無の検出方法として、高周波誘導等による近接スイッチを用いた例を示したが、ホッチキス20等からの反射光を検出するようにしてもよいし、ホッチキス20等の画像をイメージスキャナ等により取得しホッチキス等の画像を識別して検出するようにしてもよい。
【0038】
或いは、ホッチキス20等の部分の厚さや、綴じられた媒体10の厚さを厚さ検出センサにより検出し、所定の厚さ以上のときは、続紙があると判定するようにしてもよい。
【0039】
(実施例の効果)
以上詳細に述べたように、実施例の媒体搬送機構によれば、続紙の有無を検出する続紙検出センサを設け、続紙付媒体であるかを検出し媒体押さえガイドの位置を制御して搬送するようにしたので、続紙付媒体を搬送してもジャムが発生することがない。従って、操作者が、事前に続紙付媒体10を抜き取ったり、続紙のみを抜き取ったりする作業をなくすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上詳細に述べたように、本発明は、レセプトや伝票、或いははがき付の注文書などの続紙が綴じられる可能性のある媒体を搬送する媒体搬送機構に広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】レセプト単票を説明する図である。
【図2】レセプトおよび続紙付レセプトを説明する図である。
【図3】媒体搬送機構の構成図(上面図)である。
【図4】媒体搬送機構の構成図(側面図)である。
【図5】実施例1の媒体搬送機構(上面図)である。
【図6】実施例の媒体搬送機構(側面図)である。
【図7】実施例の媒体搬送機構のタイムチャートである。
【図8】実施例の媒体搬送機構の各状態を説明する図(状態a)である。
【図9】実施例の媒体搬送機構の各状態を説明する図(状態b)である。
【図10】実施例の媒体搬送機構の各状態を説明する図(状態c)である。
【図11】実施例の媒体搬送機構の各状態を説明する図(状態d)である。
【図12】実施例の媒体搬送機構の各状態を説明する図(状態e)である。
【図13】実施例の媒体搬送機構の各状態を説明する図(状態f)である。
【図14】実施例の媒体搬送機構の各状態を説明する図(状態g)である。
【図15】実施例の媒体搬送機構の各状態を説明する図(状態h)である。
【図16】実施例の媒体搬送機構の各状態を説明する図(状態i)である。
【符号の説明】
【0042】
3 媒体繰出ローラ
4 フィードローラ
5 分離ローラ
7 搬送ローラ対
10 媒体
11 続紙検出センサ
12 続紙押さえガイド
13 続紙押さえ駆動部
14 センサA
15 センサB
20 ホッチキス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚綴じられた媒体を検出する検出手段を設け、
前記検出手段により複数枚綴じられた媒体を検出したときは、媒体押さえガイドにより前記媒体を抑えながら搬送することを特徴とする媒体搬送機構。
【請求項2】
前記検出手段は、金属を検出可能な近接スイッチからなり、前記媒体の所定の位置に付けられた綴じ込み部材を検出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の媒体搬送機構。
【請求項3】
前記紙検出手段は、光学的センサからなり、当該光学的センサにより取得した画像に基づき、前記媒体の所定の位置に付けられた綴じ込み部材を識別して判定することを特徴とする請求項1記載の媒体搬送機構。
【請求項4】
前記検出手段は、前記媒体の厚さを検知し複数枚綴じられた媒体を検出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の媒体搬送機構。
【請求項5】
前記検出手段は、金属の検出、光学的検出、厚さ検出いずれか或いは全部を併用して複数枚綴じられた媒体を検出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の媒体搬送機構。
【請求項6】
前記検出手段は、先に繰出される媒体により前記綴じ込み部材が覆われるときは、複数枚綴じられた媒体を検出しないようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項5いずれか記載の媒体搬送機構。
【請求項7】
前記媒体が、複数枚綴じられた媒体を検出したときは、前記媒体を分離する動作を停止するようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項6いずれか記載の媒体搬送機構。
【請求項1】
複数枚綴じられた媒体を検出する検出手段を設け、
前記検出手段により複数枚綴じられた媒体を検出したときは、媒体押さえガイドにより前記媒体を抑えながら搬送することを特徴とする媒体搬送機構。
【請求項2】
前記検出手段は、金属を検出可能な近接スイッチからなり、前記媒体の所定の位置に付けられた綴じ込み部材を検出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の媒体搬送機構。
【請求項3】
前記紙検出手段は、光学的センサからなり、当該光学的センサにより取得した画像に基づき、前記媒体の所定の位置に付けられた綴じ込み部材を識別して判定することを特徴とする請求項1記載の媒体搬送機構。
【請求項4】
前記検出手段は、前記媒体の厚さを検知し複数枚綴じられた媒体を検出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の媒体搬送機構。
【請求項5】
前記検出手段は、金属の検出、光学的検出、厚さ検出いずれか或いは全部を併用して複数枚綴じられた媒体を検出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の媒体搬送機構。
【請求項6】
前記検出手段は、先に繰出される媒体により前記綴じ込み部材が覆われるときは、複数枚綴じられた媒体を検出しないようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項5いずれか記載の媒体搬送機構。
【請求項7】
前記媒体が、複数枚綴じられた媒体を検出したときは、前記媒体を分離する動作を停止するようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項6いずれか記載の媒体搬送機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−160495(P2006−160495A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−357227(P2004−357227)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
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