説明

子供座席形成部材

【課題】乳母車およびキャリーとして使用される際に、最適の構造を実現することのできる子供座席形成部材を提供する。
【解決手段】子供座席形成部材100は、運搬車上に着脱可能に取付けられるものであり、座席本体110と、逆U字形状棒部材120とを備える。座席本体100は、椅子状の形態と、ベッド状の形態とに切換え可能である。逆U字形状棒部材120は、その下端部分が座席本体100の両側部に角度位置変更可能に支持されて平行に延びる1対の縦棒部121と、1対の縦棒部121の先端を連結するように幅方向に延びる横棒部122とを持つ。逆U字形状棒部材120は、座席本体110を運搬車上に椅子状の形態で取付けた状態では座席空間の前方に位置する安全のための前ガードとして機能し、座席本体110を運搬車から取外した状態では鉛直方向に延びて座席本体を持ち運ぶためのハンドルとして機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、運搬車体に着脱可能に取付けられる子供座席形成部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2002−205586号公報は、車に備え付けのシートベルトを利用して車の座席上に取付けられることができるとともに、乳母車用座席、キャリーおよび椅子としても使用し得るようにしたチャイルドシートを開示している。
【特許文献1】特開2002−205586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
子供座席形成部材を運搬車上に取付けて乳母車として使用するとき、乳母車として要求される安全性に優れた構造を提供する必要がある。また、子供座席形成部材をキャリーとして使用するときには、持ち運び易さを実現するものでなければならない。
【0004】
本発明の目的は、乳母車およびキャリーとして使用される際に、最適の構造を提供することのできる子供座席形成部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、運搬車上に着脱可能に取付けられる子供座席形成部材であって、座席本体と、逆U字形状棒部材とを備える。座席本体は、椅子状の形態と、ベッド状の形態とに切換え可能である。逆U字形状棒部材は、その下端部分が座席本体の両側部に角度位置変更可能に支持されて平行に延びる1対の縦棒部と、1対の縦棒部の先端を連結するように幅方向に延びる横棒部とを有する。逆U字形状棒部材は、座席本体を運搬車上に椅子状の形態で取付けた状態では座席空間の前方に位置する安全のための前ガードとして機能し、座席本体を運搬車から取外した状態では鉛直方向に延びて座席本体を持ち運ぶためのハンドルとして機能する。
【0006】
上記構成の本発明によれば、乳母車およびキャリーとして使用される際に、最適の構造を提供することができる。
【0007】
好ましくは、逆U字形状棒部材の縦棒部は、長さ調節可能に設けられている。さらに好ましくは、逆U字形状棒部材の縦棒部は、座席本体の両側部に回動可能に連結されている。
【0008】
好ましい実施形態では、逆U字形状棒部材は、座席本体を運搬車から取外して床面上に置く状態では、座席本体の背部に位置して横棒部を床面に当接させ、座席本体の後方への倒れを防止する突っ張り枠として機能する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る子供座席形成部材は、以下の態様での使用が可能である。
【0010】
(a)自動車に備え付けのシートベルトを利用して自動車の座席上に取付けられて使用されること。
【0011】
(b)座席運搬車体に取付けられて乳母車として使用されること。
【0012】
(c)子供を保持して持ち運びできるキャリーとして使用されること。
【0013】
(d)室内に置かれて室内用椅子またはベッドとして使用されること。
【0014】
図1〜図6は、子供座席形成部材を載せて運搬するための座席運搬車体を示している。これらの図を参照して、先ず座席運搬車体の構造を説明する。
【0015】
座席運搬車体は、前輪11を有する前脚10と、後輪21を有する後脚20と、車体の移動操作時に掴まれる押棒30と、開状態および折畳み状態において前脚10、後脚20および押棒30の位置関係を固定する位置関係固定手段60とを備える。
【0016】
前脚10の上端部と、後脚20の上端部とは、第1の軸1を介して回動可能に連結されている。押棒30は、その前方端に前端部材32を有しており、この前端部材32が、折畳み動作時に前脚10に沿って変位し得るように、前脚10に連結されている。具体的には、前端部材32は、図2に示すように、上下方向に貫通した受入穴33を有しており、前脚10はこの受入穴33内を上下方向に相対的にスライド可能となっている。
【0017】
押棒30の途中位置の部分は、第2の軸2を介して、後脚20に回動可能に連結されている。より具体的な構造を説明する。図2に示すように、後脚20は、その上方端に上部プレート22を有している。押棒30は、その途中位置に中間プレート31を有している。後脚20の上部プレート22と、押棒30の中間プレート31とが、第2の軸2を介して、回動可能に連結される。
【0018】
図示した実施形態における位置関係固定手段60は、座席運搬車体の開状態および折畳み状態において、押棒30と後脚20との交差角度を固定するものである。他の実施形態として、位置関係固定手段が、前脚と後脚との交差角度を固定するものであってもよいし、あるいは前脚と押棒との交差角度を固定するものであってもよい。要するに、位置関係固定手段は、押棒30の前端部材32と前脚10との連結点と、第1の軸1と、第2の軸2とで形成される三角形を固定するものであればよい。位置関係固定手段60の詳細については、後述する。
【0019】
押棒30は、その上方部に、連結軸35を介して回動可能に設けられた逆U字形状の握り部34を有する。図1に示す座席運搬車体の開状態においては、握り部34は、押棒30を上方に延長させるように延びている。一方、図11に示す折畳み状態においては、握り部34は、押棒30の下方部分に沿うように折り曲げられ、それにより座席運搬車体の折畳み状態の高さを減じている。
【0020】
次に、図4〜図6を参照して、位置関係固定手段60を説明する。なお、図5および図6においては、位置関係固定手段60に関連する各要素を図解的に示しており、実際の形状とは異なることを理解しなければならない。
【0021】
図示した位置関係固定手段60は、押棒30と後脚20との交差角度を固定するものであり、具体的な構造として、押棒30に沿って上下方向に変位可能に設けられたロック部材61と、このロック部材61に係止し得るように後脚20の上部プレート22に設けられた複数の係止部62、63を有している。図5に示すように、ロック部材61が一方の係止部62に係合している状態では、押棒30と前脚10との連結点と、第1の軸1と、第2の軸2とで形成される三角形が固定され、座席運搬車体の開状態が固定される。
【0022】
図6に示すように、ロック部材61が他方の係止部63に係合している状態では、折畳み状態における上記三角形が固定され、座席運搬車体の折畳み状態が固定される。
【0023】
図4は、ロック部材61を動かすための操作手段を示している。図4に示すように、押棒30の上方部に位置する逆U字形状の握り部34の中央には、下方に空洞を有する取付部材36が固定されている。取付部材36は、固定軸42を受入れる取付穴43を有する。
【0024】
取付部材36の空洞部に組み込まれる操作部材37は、固定軸42を受入れる長孔44を有する。長孔44は上下方向に長いので、操作部材37は、上下方向に変位可能となる。
【0025】
固定軸42には、3つの頂点を有する2個の回動部材38,39が回動可能に取り付けられている。各回動部材38、39の3つの頂点のうち、第1の頂点が固定軸42に連結され、第2の頂点が操作部材37に当接し、第3の頂点がワイヤ40、41に連結されている。ワイヤ40、41は、座席運搬車体の左右側部に位置する一対の押棒30に沿って延び、その下端が位置関係固定手段60の構成要素であるロック部材61に連結されている。図示していないが、左右の側部に位置する一対のロック部材61は、ばねによって常に下方に向かって移動するように付勢されている。したがって、ワイヤ40、41を介して、一方の回動部材38には図において反時計方向に回動させようとする付勢力が作用し、他方の回動部材39には図において時計方向に回動させようとする付勢力が作用している。そのため、操作部材37は、常時は、下方の位置にもたらされている。
【0026】
例えば、開状態にある座席運搬車体を折りたたもうとするときには、操作部材37を手で掴んで上方の位置にもたらす。すると、ロック部材61がワイヤ40、41に引張られて上方に移動し、一方の係止部62から離れる。その状態では、後脚20と押棒30との交差角度を変更することが可能であるので、前輪11と後輪21とを近づけるように座席運搬車体を折畳んでゆく。この折畳み動作時に、前脚10は、押棒30の前端部材32の受入穴33内を所定量だけスライド移動する。
【0027】
座席運搬車体が所定の折畳み状態になったら、操作部材37を掴んでいた手を離す。すると、ロック部材61はばねの付勢力により下方に移動し、他方の係止部63に係合して座席運搬車体の折畳み状態を固定する。
【0028】
図1および図7に示すように、座席運搬車体は、座席形成部材100の座席本体110の座部111を下から支える座部支え部材45を備える。この座部支え部材45は、固定軸46、47を介して押棒30に固定される。座席本体110は、座部支え部材45上に着脱可能に取り付けられる。また、座席本体110は、座部支え部材45上に前向きおよび後ろ向きの両状態で取り付け可能である。さらに、図11に示すように、座席本体110を座部支え部材45上に取り付けた状態のままで、座席運搬車体を折畳むことが可能である。
【0029】
図7〜図11は、子供座席形成部材100が、座席運搬車体上に取付けられて乳母車として使用される状態を示している。座席形成部材100は、運搬車体に対して着脱可能に設けられており、さらに前向きおよび後ろ向きの両状態で取り付け可能になっている。図7および図8は、座席形成部材100を前向きに取付けた状態を示しており、母親等は、座席に着座した子供に対して背面押しの状態で車体を移動操作することになる。図9および図10は、座席形成部材100を後ろ向きに取り付けた状態を示しており、母親等は、座席に着座した子供に対して対面押しの状態で車体を移動操作することになる。
【0030】
図11は、座席運搬車体を折畳んだ状態を示している。図示するように、折畳み状態においては、前輪11と後輪21とが互いに近づき、座席運搬車体は自立可能になっている。また、座席形成部材100を取り付けた状態のままで、座席運搬車体を折畳むことができる。図7および図11を比較すれば明らかなように、座席運搬車体の開状態および折畳み状態において、座席形成部材100の基本的な形態は変化していない。すなわち、座席形成部材100の座席本体110は、座部111と背もたれ部112とを備えているが、座部111と背もたれ部112との間の角度は、座席運搬車体の開状態および折畳み状態において同じである。
【0031】
座席形成部材100は、座部111および背もたれ部112を含む座席本体110と、座席本体110の両側部に角度位置変更可能に支持された逆U字形状棒部材120とを備える。背もたれ部112は座部111に対して後傾可能に設けられているので、座席本体110は、椅子状の形態と、ベッド状の形態とに切換え可能である。
【0032】
逆U字形状棒部材120は、その下端部分が座席本体100の背もたれ部112の両側部に角度位置変更可能に支持されて平行に延びる1対の縦棒部121と、1対の縦棒部121の先端を連結するように幅方向に延びる横棒部122とを持つ逆U字形状である。
【0033】
逆U字形状棒部材120の横棒部122と縦棒部121との交差角度は、好ましくは、ほぼ90度である。また、逆U字形状棒部材120の縦棒部121は、背もたれ部112の両側部に回動可能に連結されている。さらに、逆U字形状棒部材120の縦棒部121は、長さ調節可能に設けられている。縦棒部121を長さ調節可能にするために、図示した実施形態では、縦棒部121は、座席本体110の背もたれ部112に回動可能に連結される筒状の外筒部121aと、この外筒部121a内にスライド可能に受入れられた挿入部121bとを含む。
【0034】
運搬車体に載せられて乳母車として使用されている図7〜図11の形態について、より詳しく説明する。
【0035】
図7は、座席形成部材100の座席本体110を前向きの状態にして運搬車体上に取付けた状態を示している。座席本体100の背もたれ部112は起こされているので、座席本体100は椅子状の形態となっている。逆U字形状棒部材120は、座席空間の前方に位置し、安全のための前ガードとして機能している。逆U字形状棒部材120の横棒部122が前ガードとして機能するのに最適な位置になるように、縦棒部121の長さを調節する。図示した実施形態では、縦棒部121の長さは、相対的に短くなっている。
【0036】
図8は、座席形成部材100の座席本体110を前向きにし、かつ背もたれ部112を後方に倒してベッド状の形態にしている。この状態では、前ガードとして機能する部材は不要になるので、逆U字形状棒部材120を前方の下方位置にもたらしている。この下方位置にもたらすために、逆U字形状棒部材120の縦棒部121の長さは、相対的に長くなっている。
【0037】
図9は、座席形成部材100の座席本体110を後ろ向きにし、かつ背もたれ部112を起こして椅子状の形態にしている。この状態では、安全性確保のために前ガードとして機能する部材が必要になるので、逆U字形状棒部材120を座席空間の前方に位置させる。また、逆U字形状棒部材120の縦棒部121の長さは、相対的に短くなっている。
【0038】
図10は、座席形成部材100の座席本体110を後ろ向きにし、かつ背もたれ部112を後方に倒してベッド状の形態にしている。この状態では、前ガードとして機能する部材は不要になるので、逆U字形状棒部材120を座部111の前方の下方位置にもたらしている。
【0039】
図11は、座席形成部材100の座席本体110を前向きにし、かつ背もたれ部112を起こして椅子状の形態にしたままで、座席運搬車体を折畳んでいる。折畳み状態における前後方向の長さを小さくするために、逆U字形状棒部材120は、相対的に長くされて、座席前方の下方位置にもたらされている。
【0040】
図12は、キャリーとして使用されている座席形成部材100を示している。この状態では、座席形成部材100は、座席運搬車体から取外され、逆U字形状棒部材120を持ち手として適する直立位置にもたらしている。また、背もたれ部112を後方に倒して、座席本体110をベッド状の形態にしている。
【0041】
図13は、室内用椅子として使用されている座席形成部材100を示している。この状態では、逆U字形状棒部材120の長さが相対的に長くされ、その横棒部122が背もたれ部112の背後に位置して床面に当接するようにされる。逆U字形状棒部材120の横棒部122が背もたれ部112の背後で床面に当接することにより、逆U字形状棒部材120は座席本体110の後方への倒れを防止する突っ張り枠として機能する。図13に示す状態では、背もたれ部112が起こされて椅子の形態となっているが、背もたれ部を後に倒してベッドの形態とすることも可能である。
【0042】
図14〜図17は、座席形成部材100が、自動車に備え付けのシートベルトを利用して自動車の座席上に取付けられて使用されている状態を示している。図14および図15は、座席形成部材100を椅子状の形態で後ろ向きに取付けている状態を示し、図16および図17は、座席形成部材100をベッド状の形態で横向きに取付けている状態を示している。
【0043】
図14および図15に示すように、座席形成部材100を車の座席上に椅子状の形態で後ろ向きに取付けている状態では、逆U字形状棒部材120の横棒部122が車の座席の背もたれ部に安定して当接するように、縦棒部121の長さおよび角度を調節する。このように逆U字形状棒部材120の横棒部122を車の座席の背もたれ部に当接させることにより、車の衝突時における座席本体100のリバウンド動作を抑制する。
【0044】
図16および図17に示すように、座席形成部材100を車の座席上にベッド状の形態で横向きに取付けている状態では、逆U字形状棒材120の縦棒部121を車の座席の背もたれ部に安定して当接させることにより、衝突時におけるリバウンド動作を抑制する。この動作を実現するために、逆U字形状棒部材120の横棒部122と縦棒部121との交差角度をほぼ90度にするのが好ましい。なお、1対の縦棒部121が平行に延びているので、ベッド状の形態の座席本体110を図16に示す状態から180度反転させても、他方の縦棒部121が車の座席の背もたれ部に安定して当接する。
【0045】
逆U字形状棒部材120の縦棒部121は、座席本体100の背もたれ部112の外側面部分に回動可能に連結され、所定の角度位置で固定され得るようになっている。縦棒部121を所定の角度の位置で固定するための構造としては、種々のものが考えられる。そのうちの一例を図18を用いて説明する。
【0046】
図18は、逆U字形状棒部材120の外筒部121aを座席本体110の背もたれ部112上の固定部材130上に角度変更可能に支持している構造の一例の図解図である。外筒部121aは、軸137を介して、固定部材130上に回動可能に支持されている。固定部材130には、軸137を中心とする円周に沿って、複数の係合溝136a,136b,136cが形成されている。
【0047】
外筒部121a内には、ばね135によって常に下方に向けて付勢されているロック部材131が収納されている。ロック部材131は、外筒部121a上に露出する操作部132と、軸137を通過させている長孔133と、係合溝136a,136b,136cのいずれかに選択的に係合する係合凸部134とを含む。
【0048】
図18に示す状態では、操作部132を手で上方に持上げることにより、ロック部材131を上方位置にもたらしている。この状態では、ロック部材131の係合凸部134が係合溝136a,136b,136cから外れているので、外筒部121aを固定部材130に対して回動させることが可能である。
【0049】
外筒部121aを所望の角度位置で固定しようとする場合には、操作部132から手を離す。すると、ロック部材131がばね135に押されて下方(軸137に向かう方向)に移動し、係合凸部134がいずれかの係合溝136a,136b,136cに係合して、外筒部121aの角度位置を固定する。
【0050】
逆U字形状棒部材120の縦棒部121を長さ調節可能にするための構造としては、種々のものが考えられる。そのうちの一例を図19を用いて説明する。
【0051】
図19は、逆U字形状棒部材120の縦棒部121の長さを調節するための構造の一例を示している。縦棒部121は、外筒部121aと、基部がこの外筒部121a内にスライド可能に受入れられた挿入部121bとを有する。
【0052】
外筒部121aは、上下方向に間隔を空けて形成された上方ロック穴140および下方ロック穴141を有する。挿入部121bには、固定軸150を介して板ばね151が取付けられている。板ばね151の先端には、ロック穴140,141に選択的に嵌り込むロックピン152が取付けられている。さらに、挿入部121bには、連結軸155を介して連結された操作部材154が変位可能に収容されている。挿入部121bは上下方向に長く延びた長孔156を有し、上記の連結軸155はこの長孔156を貫通して延びている。従って、操作部材154は、連結軸155が長孔156内を上下に移動できる範囲だけ上下方向に変位可能である。挿入部121b内に固定された固定ばね受け153によって支持されたばね157は、操作部材154を常に上方に向けて付勢している。
【0053】
操作部材154の下方端は、板ばね151に当接するようにされている。図19(a)に示す状態では、ロックピン152が下方ロック穴141内に嵌ることにより、挿入部121bの位置を固定している。また、図19(a)に示す状態では、逆U字形状棒部材120の縦棒部121は、相対的に短い長さである。
【0054】
図19(b)に示す状態では、操作部材154を手で操作して下方へ移動させている。この状態では、操作部材154の下方端が板ばね154を内側に撓ませており、その結果、ロックピン152が下方ロック穴141から外れている。従って、挿入部121bを上方に向けてスライド移動させることが可能である。
【0055】
図19(c)に示す状態では、挿入部121bが上方位置にスライド移動し、その結果縦棒部121は、相対的に長い長さとなっている。この状態では、操作部材154がばね157の付勢力によって元の位置に復帰し、板ばね151の先端に位置するロックピン152が上方ロック穴140に嵌りこんで、挿入部121bの位置を固定している。
【0056】
図18に示した角度位置固定機構および図19に示した長さ調節機構は、単なる一例であり、種々の修正や変更が可能であることは言うまでも無い。
【0057】
図1〜図19を用いて説明した実施形態は、自動車用子供座席、乳母車、キャリーおよび室内用椅子としての使用が可能な座席形成部材であったが、本発明の他の実施形態として、乳母車およびキャリーとしての使用のみが可能な子供座席形成部材であってもよい。
【0058】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
この発明は、乳母車およびキャリーとして使用される際に最適の構造を提供できる子供座席形成部材として有利に利用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明の一実施形態である座席運搬車体の側面図である。
【図2】座席運搬車体の前脚と、後脚と、押棒とを分解して示す側面図である。
【図3】後脚と押棒とを連結した状態の側面図である。
【図4】ロック部材を動かすための操作手段を示す図である。
【図5】座席運搬車体を開状態で固定している位置関係固定手段の図解図である。
【図6】座席運搬車体を折畳み状態で固定している位置関係固定手段の図解図である。
【図7】椅子状の形態の座席本体を前向きにして座席運搬車体上に取付けた状態を示す側面図である。
【図8】ベッド状の形態の座席本体を前向きにして座席運搬車体上に取付けた状態を示す側面図である。
【図9】椅子状の形態の座席本体を後ろ向きにして座席運搬車体上に取付けた状態を示す側面図である。
【図10】ベッド状の形態の座席本体を後ろ向きにして座席運搬車体上に取付けた状態を示す側面図である。
【図11】ベッド状の形態の座席本体を前向きにして座席運搬車体上に取付けたままで、座席運搬車体を折畳んだ状態を示す側面図である。
【図12】座席形成部材をキャリーとして使用している状態を示す側面図である。
【図13】座席形成部材を室内用椅子として使用している状態を示す側面図である。
【図14】椅子状の形態の座席本体を後ろ向きにして車の座席上に取付けている状態を示す斜視図である。
【図15】椅子状の形態の座席本体を後ろ向きにして車の座席上に取付けている状態を示す側面図である。
【図16】ベッド状の形態の座席本体を横向きにして車の座席上に取付けている状態を示す斜視図である。
【図17】ベッド状の形態の座席本体を横向きにして車の座席上に取付けている状態を示す側面図である。
【図18】逆U字形状棒部材の縦棒部の角度位置を固定するための構造の一例を示す図である。
【図19】逆U字形状棒部材の縦棒部の長さを調節するための構造の一例を示す図であり、(a)はロックピンが下方ロック穴に係合している状態、(b)はロックピンが下方ロック穴から外れている状態、(c)はロックピンが上方ロック穴に係合している状態を示している。
【符号の説明】
【0061】
1 第1の軸、2 第2の軸、10 前脚、11 前輪、20 後脚、21 後輪、22 上部プレート、30 押棒、31 中間プレート、32 前端部材、33 受入穴、34 握り部、35 連結軸、36 取付部材、37 操作部材、38、39 回動部材、40、41 ワイヤ、42 固定軸、43 取付穴、44 長孔、45 座部支え部材、46、47 固定軸、60 位置関係固定手段、61 ロック部材、62、63 係止部、100 子供座席形成部材、110 座席本体、111 座部、112 背もたれ部、120 逆U字形状棒部材、121 縦棒部、121a 外筒部、121b 挿入部、122 横棒部、130 固定部材、131 ロック部材、132 操作部、133 長孔、134 係合凸部、135 ばね、136a,136b,136c 係合溝、137 軸、140 上方ロック穴、141 下方ロック穴、150 固定軸、151 板ばね、152 ロックピン、153 固定ばね受け、154 操作部材、155 連結軸、156 長孔、157 ばね。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬車上に着脱可能に取付けられる子供座席形成部材であって、
椅子状の形態と、ベッド状の形態とに切換え可能な座席本体と、
その下端部分が前記座席本体の両側部に角度位置変更可能に支持されて平行に延びる1対の縦棒部と、前記1対の縦棒部の先端を連結するように幅方向に延びる横棒部とを持つ逆U字形状棒部材とを備え、
前記逆U字形状棒部材は、前記座席本体を前記運搬車上に椅子状の形態で取付けた状態では座席空間の前方に位置する安全のための前ガードとして機能し、前記座席本体を前記運搬車から取外した状態では鉛直方向に延びて座席本体を持ち運ぶためのハンドルとして機能する、子供座席形成部材。
【請求項2】
前記逆U字形状棒部材の縦棒部は、長さ調節可能に設けられている、請求項1に記載の子供座席形成部材。
【請求項3】
前記逆U字形状棒部材の縦棒部は、前記座席本体の両側部に回動可能に連結されている、請求項1または2に記載の子供座席形成部材。
【請求項4】
前記逆U字形状棒部材は、前記座席本体を前記運搬車から取外して床面上に置く状態では、座席本体の背部に位置して横棒部を床面に当接させ、座席本体の後方への倒れを防止する突っ張り枠として機能する、請求項1〜3のいずれかに記載の子供座席形成部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−283781(P2007−283781A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−109591(P2006−109591)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【出願人】(390006231)アップリカ育児研究会アップリカ▲葛▼西株式会社 (97)
【Fターム(参考)】