説明

安全性が改善された高電力埋め込み可能電池及び製造方法

【課題】医療デバイス性能を最適化するために安全性が改善された高電力電池を備えた埋め込み可能医療デバイスを提供する。
【解決手段】埋め込み可能医療デバイスは、密閉格納容器と、そこに配置される低電力制御回路と、電気パルス治療を送出する、格納容器内の高電力出力回路と、低電力制御回路及び高電力出力回路を駆動する、格納容器内の電源及び回路要素であって、第1の高レートセルと第2の高レートセルとをさらに備え、第1の高レートセル及び第2の高レートセルは、低電力制御回路及び高電力出力回路に並列に電気的に接続される、電源及び回路要素と、第1の高レートセルと第2の高レートセルの間で電気的に接続される少なくとも1つの抵抗負荷であって、第1の高レートセルが内部短絡する場合に、内部短絡した第1の高レートセルが第2の高レートセルに流れ込むレートを制限する抵抗値を有する、少なくとも1つの抵抗負荷と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、埋め込み可能医療デバイス用電源に関する。特に、本発明は、埋め込み可能医療デバイス性能を最適化するためのデュアルセル電源に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓の治療的刺激のためのさまざまな異なる埋め込み可能医療デバイス(IMD)が利用可能であり、当技術分野で既知である。例えば、埋め込み可能カーディオバータ/ディフィブリレータ(ICD)が、心室細動を患っている患者を処置するために使用される。心室細動とは、もし修正されなければ急速に死に至る可能性のある無秩序な心調律である。動作において、ICDは、患者の心臓の電気的活動を連続的に監視し、心室細動を検出し、その検出結果に応答して、正常心調律を復元するための適切なショックを送出する。同様に、自動埋め込み可能ディフィブリレータ(AID)が、心臓の治療的刺激のために利用可能である。動作時、AIDデバイスは、心室細動を検出し、心臓の外側に大きい間隔を隔てて配置された電極を通じて心臓に非同期の高電圧パルスを送出することにより、経胸腔的ディフィブリレーションを模擬する。従来技術のカーディオバータのさらにもう1つの例として、例えばEngle他の米国特許第4,375,817号に開示されているペースメーカ/カーディオバータ/ディフィブリレータ(PCD)がある。このデバイスは頻脈性不整脈の開始を検出する。このデバイスは、頻脈性不整脈の進行の監視又は検出を行う手段を含み、それにより、心室性頻脈又は心室細動を中断させるように、次第に大きくなるエネルギーレベルを心臓に印加することができる。例えばプログラム可能ペースメーカのような、他の数多くの類似の埋め込み可能医療デバイスも利用可能である。
【0003】
正確な構成及び使用法の如何を問わず、上記のIMDのそれぞれは一般的に、低電力制御回路、高電力出力回路、及び電源という3つの主要なコンポーネントを含む。制御回路は、例えば心臓刺激パルスのレート、同期、パルス幅及び出力電圧等の種々の動作特性の監視及び決定を行うとともに、心臓の監視等の診断機能を有する。これに対して、高電力出力回路は、制御回路からの信号に応答して1つ又は複数のリード線経由で心臓に印加されるべき電気刺激パルスを生成する。
【0004】
電源は、低電力制御回路及び高電力出力回路の両方に電力を供給する。参考までに、電源は通常、制御回路に10〜20マイクロアンペアを供給し、出力回路にはより大きい電流を供給することを必要とされる。個々のIMDアプリケーションに応じて、高電力出力回路が必要とし得る刺激エネルギーは、ペースメーカの場合には、0.1ジュールと低く、埋め込み可能ディフィブリレータの場合には、40ジュールと高い。
【0005】
IMD用の好適な電源又は電池は、実質上常に、本質的に電気化学的であり、一般に電気化学セルと呼ばれる。IMD用の許容できる電気化学セルは通常、ケースと、それを囲むアノード、セパレータ、カソード及び電解質を含む。アノード材料は通常、金属リチウムであるか、又は、充電式セルの場合には、リチウムイオン含有体である。リチウム電池は一般的に、他のタイプの電池に比べて高いエネルギー密度及び低い自己放電特性に部分的に起因して、許容できる電源とみなされている。カソード材料は通常、酸化バナジウム銀(SVO)、二酸化マンガン等の金属系である。
【0006】
IMDは、いくつかの独特の電源要件を有する。IMDは、以下の一般的な特性、すなわち、非常に高い信頼性、可能な最高のエネルギー密度(すなわち、小型)、著しく低い自己放電率(すなわち、長い貯蔵寿命)、非常に高い電流能力、高い動作電圧、及び密閉性があること(すなわち、気体又は液体を吐き出さない)のほとんどを有する電源を要求する。
【0007】
これらの独特の電源要件は、いろいろな電池設計問題を有する。たとえば、AIDの心臓監視機能の場合、エネルギーを保存するように回路が確実に動作することができる、可能な最低電圧を使用することが望ましい。これは、通常、1.5〜3.0V程度である。一方、出力回路は、約750Vまでの点火電圧を生成するために、可能な最大電池電圧によって最も効率的に働く。従来から、全ての製造された埋め込み可能なカーディオバータ/ディフィブリレータは、埋め込み可能デバイスを駆動するために、直列の2つのセルから成る電池システムを使用していた。約6ボルトのこの電源は、監視回路のエネルギー効率を犠牲にして出力回路のエネルギー効率の改善を可能にした。しかしながら、2セル電池は、パッケージング、コスト、及び容積効率の観点から望ましくなかった。
【0008】
結局、出力回路設計の改良が、良好なエネルギー効率を依然として維持しながら、3ボルトの単一セルの使用を可能にした。ほとんどのICDは、現在、直列に接続された2重セルの代わりに単一セル電池で設計される。容積効率を改善するためにこの手法がとられた。2重セル手法と同じ電力能力を達成するために、単一セルの電極表面積は、2重セル電池の全電極表面積に少なくとも等しくなければならない。しかしながら、単一セルの電極表面積の増加は、電池セル内で内部短絡が生ずる場合に、IMDに対する危険が発生する可能性を示す。電極表面積が大き過ぎ(Li/SVO電池の場合、ほぼ90cmを超える)、且つ、内部短絡が生じる場合、電池は、おそらくIMDの電子部品を破壊し、場合によっては患者に熱傷を負わせるのに十分に熱くなる可能性がある。結果として、IMD及びIMD電池のほとんどの製造業者は、単一セルの表面積を、約90cmに制限する設計ルールを採用した。これは、表面積が約130cmであった典型的な2重セル設計より大幅に小さい表面積である。そのため、これらの単一セルICD電池は、より少ない電力を生成し、結果として、コンデンサ充電時間が長くなった。多くの研究により提案されたことは、ディフィブリレーション及びカーディオバージョンショックは、不整脈の検出に続いて可能な限り速く送出されると、最も効率的であることである。患者の不整脈を終了させる機会は、治療が患者に送出されるのにかかる時間長が増加するにつれて減る。したがって、コンデンサの充電時間が短かければ短いほど、ディフィブリレーション治療が効果的になる。通常、電池電極サイズは、充電時間に反比例する。したがって、所望の充電時間が速ければ速いほど電池が大きい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
単一電池システムは、埋め込み可能なカーディオバータ/ディフィブリレータに使用可能であることがわかったが、単一電池システムの使用は、理想的な電力供給と大きな表面積の電極に関連する危険との間の兼ね合いを必然的に伴う。したがって、2重電池システムにおける初期の試みの問題を解決する、埋め込み可能なカーディオバータ/ディフィブリレータのための、改良型2重電池電力システムを提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態における埋め込み可能医療デバイスは、以下の特徴、すなわち、(a)密閉格納容器と、(b)格納容器内に配置される低電力制御回路と、(c)電気パルス治療を送出するための、格納容器内に配置される高電力出力回路と、(d)低電力制御回路及び高電力出力回路を駆動するための、格納容器内に配置される電源及び回路要素であって、(e)第1の高レートセルと、(f)第2の高レートセルとをさらに備え、第1の高レートセル及び第2の高レートセルは、低電力制御回路及び高電力出力回路に並列に電気的に接続される、電源及び回路要素と、(g)第1の高レートセルと第2の高レートセルの間で電気的に接続される少なくとも1つの抵抗負荷であって、高レートセルのうちの一方が内部短絡する場合に、短絡した高レートセルが他方の高レートセルに実質的に流れ込むのを防止するための抵抗値を有し、いずれの高レートセルも、他方の高レートセルが短絡する場合に、低電力制御回路と高電力出力回路の両方に電力を供給することができる、少なくとも1つの抵抗負荷と、(h)高電力出力回路の作動によって、第1の高レートセルを第2の高レートセルに選択的に結合するための、第1の高レートセルと第2の高レートセルの間で電気的に接続される切り換え回路と、のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0011】
本発明の電気化学電池は、以下の特徴、すなわち、a)第1の高レート電気化学セルであって、第1アノード集電体を有する第1アノードと、第1アノード集電体を第1外部リード線に接続する第1端子と、第1アノードと動作可能に連結する第1電解質とを備える、第1の高レート電気化学セルと、(b)第2の高レート電気化学セルであって、第2アノード集電体を有する第2アノードと、第2アノード集電体を有する第2アノードを第2外部リード線に接続する第2端子と、第2アノードと動作可能に連結する第2電解質とを備える、第2の高レート電気化学セルと、c)第1電解質及び第2電解質と電気的に連結するカソードであって、第1のセルは第2のセルに並列に接続される、カソードと、(d)第1外部リード線と第2外部リード線の間で電気的に接続される少なくとも1つの抵抗負荷と、のうちの1つ又は複数を含んでもよい。もちろん、カソードが外部リード線であってもよく、又はアノード及びカソードの両方が外部リード線に接続されてもよい。
【0012】
本発明による電気化学電池を製造する方法は、以下のステップ、すなわち、a)第1の高レート電気化学セルを設けるステップであって、第1カソード集電体を有する第1カソードを設けるステップと、第1外部リード線を第1カソード集電体に接続するステップと、第1カソードと動作可能に連結する電解質溶液によって、第1の高レートセルを活性化するステップとを含む、第1の高レート電気化学セルを設けるステップと、(b)
第2の高レート電気化学セルを設けるステップであって、第2カソード集電体を有する第2カソードを設けるステップと、第2外部リード線を第2カソード集電体に接続するステップと、第2カソードと動作可能に連結する電解質溶液によって、第2電気化学セルを活性化するステップとを含む、第2の高レート電気化学セルを設けるステップと、(c)アノードを、第1の高レートセル及び第2の高レートセル内の電解質と電気的に連結させるステップであって、第1のセルは第2のセルに並列に接続される、連結させるステップと、d)第1外部リード線と第2外部リード線の間で少なくとも1つの抵抗負荷を電気的に接続するステップと、(e)アノードを電池ケーシングに接続するステップであって、それによって、ケーシング上に負電荷を生成する、接続するステップと、のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0013】
本発明による埋め込み可能医療デバイスを製造する方法は、以下のステップ、すなわち、(a)密閉格納容器を設けるステップと、(b)格納容器内に低電力制御回路を設けるステップと、(c)電気パルス治療を送出するために、格納容器内に高電力出力回路を設けるステップと、(d)低電力制御回路及び高電力出力回路を駆動するために、格納容器内に電源及び回路要素を設けるステップと、(e)第1の高レートセルを設けるステップと、(f)第2の高レートセルを設けるステップと、(g)第1のセル及び第2のセルを、低電力制御回路及び高電力出力回路に並列に接続するステップと、(h)第1の高レートセルと第2の高レートセルの間に少なくとも1つの抵抗負荷を電気的に接続するステップと、(i)高電力出力回路の作動によって、第1の高レートセルを第2の高レートセルに選択的に結合するために、第1の高レートセルと第2の高レートセルの間で切り換え回路を電気的に接続するステップのうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下の詳細な説明は、図を参照して読まれるべきであり、図において、異なる図の同じ要素は同じ参照数字を有する。必ずしも一定比例尺でない図は、選択された実施形態を示し、本発明の範囲を限定することを意図しない。本明細書で提供される例が、本発明の範囲内に入る多くの有益な代替を有することを、当業者は認識するであろう。
【0015】
図1は、本発明による埋め込み可能医療デバイス(「IMD」)20の一実施形態、及びそれと人間の心臓22との関係の概略図である。IMD20は、図1において、好ましくはペースメーカ/カーディオバータ/ディフィブリレータ(PCD)であるように示されているが、別法として、IMDは、薬剤送出デバイス、神経刺激器、又は当技術分野で既知の他のいかなるタイプの埋め込み可能デバイスであってもよい。IMDは、ケース又は密閉格納容器23、並びに関連する電気リード線24、26及び28を含む。以下でさらに詳細に説明するように、密閉格納容器23は、種々の回路及び電源を収容する。リード線24、26及び28は、マルチポートコネクタブロック30によってIMD20に接続される。マルチポートコネクタブロック30は、図示されている3本のリード線24、26、及び28のそれぞれに対する別々のポートを含む。
【0016】
一実施形態では、リード線24は皮下電極40に接続される。皮下電極40は、左胸郭領域に皮下的に取り付けるためのものである。別法として、能動「筐体(can)」を使用することにより、埋め込まれた電極と密閉格納容器23の間に刺激を供給することができる。さらにもう1つの実施形態では、単一多極リード線上に保持された2つの電極間に刺激が供給される。
【0017】
リード線26は、心臓22の冠状静脈洞及び大静脈領域に位置する細長いコイル電極を用いた冠状静脈洞リード線である。電極の位置は、42に破線形式で図示され、冠状静脈洞の開口部内の点から左心耳付近の点まで心臓22の周りに延びる。
【0018】
リード線28には、心臓22の右心室に位置する細長い電極コイル38が設けられる。また、リード線28は螺旋状刺激電極44も含む。この電極44は、右心室の心筋組織にねじ込まれる伸縮可能な螺旋状コイルの形態をとる。また、リード線28は、近接及び遠隔電場電気図検知のための1つ又は複数の追加的電極を含んでもよい。
【0019】
図示のシステムでは、心臓ペーシングパルスが、螺旋状電極44とコイル電極38の間に送出される。電極38及び44は、心室収縮を示す電気信号を検知するためにも使用される。さらに、カーディオバータ/ディフィブリレーションショックが、コイル電極38と電極40の間、及びコイル電極38と電極42の間に送出されてもよい。順次パルスディフィブリレーション中に、パルスは、皮下電極40とコイル電極38の間、及び冠状静脈洞電極42とコイル電極38の間に順次送出されると考えられる。単一パルス2電極ディフィブリレーションパルス療法もまた、通常はコイル電極38と冠状静脈洞電極42の間に提供されることができる。別法として、単一パルスが電極38と40の間に送出されてもよい。電極とIMD20との具体的な相互接続は、どの特定の単一電極対ディフィブリレーションパルス療法が使用される可能性が高いと考えられるかによって多少左右される。
【0020】
IMD20の正確な構成及び動作の如何を問わず、IMD20は、図2にブロック形式で示されているいくつかの基本的コンポーネントを含む。IMD20は、高電力出力回路50、低電力制御回路52、電源54(破線で示す)、及び回路部56を含む。以下でさらに詳細に説明するように、電源54は好ましくはデュアルセル構成であり、さまざまな形態をとることができる。同様に、回路部56は、アナログ及び/又はディジタル回路を含むことができ、さまざまな構成をとることができ、電源54を高電力出力回路50及び低電力制御回路52に電気的に接続する。
【0021】
高電力出力回路50及び低電力制御回路52は通常、IMD20に関連する電子デバイスモジュールの一部として設けられる。一般的に、高電力出力回路50は、ディフィブリレーション又はカーディオバージョン/ディフィブリレーションパルスのような電気パルス治療を送出するように構成される。つまり、高電力出力回路50は、IMD20の種々の電極38〜44(図1)間に刺激パルスエネルギーを印加する働きをする。当技術分野で既知のように、高電力出力回路50は、適切な出力エネルギー(例えば、0.1〜40ジュールの範囲の)を生成するコンデンサバンク(図示せず)に連動されてもよい。
【0022】
低電力制御回路52も同様に当技術分野で既知である。一般的に、低電力制御回路52は、適切な刺激治療の送出のために、心臓活動及び高電力出力回路50の信号作動を監視する。また、当技術分野で既知のように、低電力制御回路52は、全体的治療の一部として、高電力出力回路50から好ましいパルス列を生成してもよい。
【0023】
電源54及び関連回路要素(回路部)56は、以下の種々の実施形態において述べるいろいろな構成をとる可能性がある。しかしながら、好ましくは、電源54は、第1の高レートセル60及び第2の高レートセル62を含む。しかしながら、電源54は、IMD20が埋め込みにとって大き過ぎないように、又は、患者にとって不快にならないように、容積的に妥当な範囲内で、複数の高レートセルを収容する可能性があることが十分に考えられる。特に、第1及び第2のセル60、62は、互いに分離して形成されるか、又は、単一格納容器内に収容される可能性がある。しかしながら、以下で説明するように、好ましくは、セル60、62は単一格納容器内に収容される。第1及び第2のセル60、62は、適切な量の表面エネルギーを送出するのに妥当な範囲内で、任意の大きさの電極表面積を有する可能性がある。しかしながら、好ましくは、セル60、62は、高電力出力を提供するために、それぞれ、45Ccm〜90cmの電極表面積を有する。特定の用途に応じて、高レートセル60、62は、ペースメーカ用の0.1ジュールという少量から、埋め込み可能ディフィブリレータ用の40ジュールという大きさまでの刺激エネルギーを提供する。特定の実施形態を参照して以下に述べるように、高レートセル60、62は、当技術分野で知られているようにいろいろな形態をとる可能性がある。好ましくは、高レートセル60、62は、アノード、カソード、及び電解質を含む。アノードは、好ましくは、充電可能な用途のために、金属形態かイオン形態のいずれかのリチウムを含むように形成される。それを考慮して、高レートセル60、62は、最も好ましくは、たとえば、Howard他の「High Reliability Electrochemical Cell and Electrode Assembly Therefor」に対する米国特許第5,439,760号及びBerkowitz他の「High Reliability Electrochemical Cell and Assembly Therefor」に対する米国特許第5,434,017号に記載のタイプの螺旋状に巻いた電池であり、その開示は、参照により本明細書に援用される。高レートセル60、62は、あまり好ましくはないが、たとえば、Muffuletto他の「Internal Electrode and Assembly Method for Electrochemical Cells」に対する米国特許第5,321,458号及び第5,250,373号、Takeuchi他の「Method of Making Prismatic Cell」に対する米国特許第5,549,717号、Kiester他の「Non-aqueous Lithium Battery」に対する米国特許第4,964,877号、及びPost他の「Electrochemical Cell With Improved Efficiency Serpentine Electrode」に対する米国特許第5,147,737号に記載のタイプの、螺旋状に巻かれた、積層板又は螺旋電極であってもよい。
【0024】
高レートセル60、62のカソードの材料は、最も好ましくは固体であり、当技術分野で既知のように、その活性成分として酸化バナジウム、酸化バナジウム銀(SVO)又は二酸化マンガン等の金属酸化物を含む。別法として、高レートセル60、62のカソードは、カーボンモノフルオリド(carbon monoflouride:一フッ化炭素)及びその混成物又は任意の他の活性電解成分及びそれらの組合せを含んでもよい。SVOがカソードに使用される場合、SVOは、最も好ましくは、Crespi他の米国特許第5,221,453号、第5,439,760号、及び第5,306,581号に開示されているような「複合酸化バナジウム銀(combination silver vanadium oxide)」(すなわち「CSVO」)として知られているタイプのものであるが、他のタイプのSVOも使用可能である。
【0025】
上記に明示的に記載した以外の電気化学システムもまた高レートセル60、62として利用可能であることが理解される。そのようなシステムとしては、以下のものに限定されないが、ほんの少し例を挙げれば、リチウム/酸化銀、リチウム/酸化マンガン、リチウム/V、リチウム/酸化バナジウム銀銅、リチウム/酸化銅、リチウム/酸化鉛、リチウム/一フッ化炭素、リチウム/酸化クロム、リチウム/ビスマス含有酸化物、リチウム/硫酸銅、以上列挙した種々のカソード材料の混合物(例えば、酸化バナジウム銀と一フッ化炭素の混合物)、及びリチウムイオン充電式電池のようなアノード/カソードシステムがある。
【0026】
高レートセル60及び高レートセル62の上述したパラメータを考慮して、電源54A及び回路要素56Aの1つの好ましい組合せが、図3に概略的に示される。電源54Aは、上述したように、高レートセル60A及び高レートセル62Aを含む。選択的に並列に接続される高レートセル及び低レートセルを含む、その全体が参照により本明細書に援用される米国公報第2002/0183801 A1と異なり、回路要素56Aは、高レートセル60A及び高レートセル62Aを、高電力出力回路50及び低電力制御回路52に並列に接続する。特に、回路要素56Aは、高レートセル60A及び62Aを高電力出力回路50に選択的に結合するように構成されたスイッチ70を含む。この点で、回路要素56Aは、スイッチ70を以下に述べる動作条件に応答して作動及び停止するための、付加的な部品/接続部(図示せず)を含む可能性がある。回路要素56Aはさらに、セル60A又は62Aのうちの一方の内部短絡の場合に、未短絡セルから短絡セルへ送出される電流を制限するための抵抗負荷64を含む。
【0027】
この電池回路設計は、2つの高レートセルが、並列に接続されることを可能にして、2つのセルが直列に接続されるのと同じ電力容量を達成する。抵抗器64は、R≧10RCellであるように選択され、Rは抵抗負荷64の抵抗であり、RCellは高レートセル60又は62の抵抗である。しかしながら、好ましくは、R≧100RCellで且つR≪10RCircuitであり、RCircuitは低電力回路要素52の入力インピーダンスである。一般に、Rは、上記明細書内の任意の常識的な値であり得るが、好ましくは、Rは、10〜100オームであり、RCellは約0.5オームである。この抵抗の関係によって、以下でより詳細に述べられる、ペーシング及び検知条件下で、セル60Aと62Aは共に一様に放電することが可能である。
【0028】
通常動作では、スイッチ70は、ディフィブリレーションパルスを送出することが必要になるまで開き、その時にスイッチが閉じる。スイッチ70は、RSwitch≪R≪10RChargeであるように選択され、RChargeは高電力回路要素50の入力インピーダンスである。スイッチ70は、ディフィブリレーションコンデンサ(図示せず)を充電する時にのみ閉じ、負荷64の両端の電圧が、セル60Aも62Aも内部短絡していないことを示す、約20ミリボルトの所定の値未満である時にのみ使用可能にされるであろう。スイッチ70が、セル60Aか62Aのいずれかが内部短絡した時に使用可能にされた場合、未短絡セルからの電流は、短絡した電池内に消え(dissipate)、両方のセルを急速に消耗させることになり、回路要素に損傷を与えるのに十分な熱が生成され、おそらく、患者に不快感を引き起こす。代替の実施形態では、負荷64は、ヒューズと置き換えられてもよい。
【0029】
この電源/回路要素構成は、従来技術の単一セル及び直列の2重セル設計に対して、はっきりとした利点を提供する。主要な利点は、2つの高レートセルを、同じ格納容器内で並列に組み立てることができることである。これは、一般に、直列の2つのセルに比べて20%容積効率がよい。さらに、IMDに対する損傷及び患者に対する危害のリスクが実質的に減る。本発明の別の利点は、単一セル電子回路が、実質的に最小の回路設計変更によって、並列2セル設計に改造されることを可能にすることである。IMD20(図1)の動作中に、電源54Aは、低電力制御回路52を連続して駆動するのに十分に高い電圧を維持しながら、高電力出力回路50に大電流パルス又は電荷を送出することを時々要求される。供給電圧が一定の値未満に低下する場合、IMD20は動作を停止するであろう。この電源/回路要素構成は、低電力制御回路52と、必要な時には高電力回路50との両方を駆動するために、高レートセル60A及び62Aを並列に設置する。ディフィブリレーションパルス等の過渡的な高電力パルス中に、スイッチ70は、最小の抵抗によって、高レートセル60Aを高レートセル62Aと結合させるように動作し、したがって、セル60A及び62Aからのほぼ全ての電力が、高電力回路50へ伝達される。セル60A及び62Aの並列の組合せによって提供される低電池抵抗は、過渡的な高電力パルス中の過剰な電圧降下を防止し、低電力回路50の連続動作を確実にする。さらに、所望される場合、セル60A及び/又は62Aは、IMD20(図1)によって提示される一定の容積的又は形状の制約を満たすような大きさ及び形に作られる可能性がある。
【0030】
再び図3を参照すると、内部短絡が、セル60Aか62Aのいずれかの中で起こり、抵抗負荷64が回路56A内にない場合、セル62Aは、セル62Aの有用性がなくなるほど消耗するまで、セル60A内に放電し始めるであろう。これによって、IMD20が、治療刺激を提供することができなくなり、したがって、IMD20が取り外され、別のIMDが埋め込まれなければならないことになる。さらに、短絡は、大量の熱を生成することになり、IMDの電子部品を破壊し、おそらく、患者に大きな不快感を引き起こす可能性がある。しかしながら、回路56A内のセル60Aと62Aの間に抵抗負荷64がある場合、セル62Aは、並列構成のために、短絡したセル60Aへ送出される可能性がある電力量が制限される。
【0031】
本発明の並列電池構成は、セル60A及び62Aが、IMD20の寿命にわたって同じレートで消耗することを可能にする。たとえば、ディフィブリレーションパルスが必要とされる時、セル60A又は62Aに内部短絡が存在しないと判定された後、スイッチ70が閉じ、セル60A及び62Aは、高電力回路50内に放電し始める。セル60Aと62Aの間の電流経路の唯一の差は、セル62Aについての電流経路がスイッチ70の抵抗を通らなければならないことである。電流経路は、一般に、電流が最小の抵抗の経路をとることになるため、抵抗器64ではなく、スイッチ70を通ることに留意すべきである。したがって、RSwitchが負荷64より小さい値を有するため、セル62Aからの電流経路はスイッチ70を通る。スイッチ70が小さい抵抗を有するため、スイッチ70において最小の電圧降下が存在するために、セル60A及び62Aは、ディフィブリレーションパルス中にほぼ同じレートで消耗するであろう。
【0032】
同様な方法で、セル60A及び62Aが低電力回路52を駆動している時、セル60Aと62Aの間の電流経路の唯一の差は、セル60Aについての電流経路が負荷64を通らなければならないことである。負荷64が比較的小さい抵抗を有し、負荷64を通る電流が10〜20マイクロアンペアであるため、負荷64における電圧降下は、著しく低く、約0.1ミリボルト〜2ミリボルトであり、したがって、セル60A及び62Aは、低電力回路52に供給しながら、ほぼ等しいレートで消耗するであろう。
【0033】
図4を参照すると、電源の別の実施形態が示される。回路は、スイッチ68及び66が回路56Bに付加されたことを除いて、図3の回路とほぼ同じである。図4の回路は、万一、セル60B及び62Bのうちの一方が内部短絡を受けると、他方がバックアップになることを可能にする。たとえば、通常、スイッチ68及び66は、回路及びIMD20の通常動作を提供するために閉じられる。しかしながら、万一、短絡が負荷64上で検出されると、スイッチ66が開く。電流が負荷64を流れなくなる場合、高レートセル60Bにおいて内部短絡が起こったと判定され、スイッチ68が開き、IMD20に電力を提供するために、スイッチ66は再び閉じる。電流が負荷64を流れ続ける場合、高レートセル62Bにおいて内部短絡が起こったと判定され、スイッチ66は閉じられたままになる。それぞれのセル60B及び62Bは高レートセルであるため、IMD20は、ディフィブリレーションコンデンサ充電時間がより長いこと以外は、セル50Bが十分に消耗し、取り外しが必要となるまで通常通りに機能することができる。図4に関連する1つのさらなる実施形態では、まれに、回路部品の故障が、実際に電池を短絡する可能性がある。この故障モード中に発生する熱は、患者にかなりの不快感を引き起こす可能性がある。図4に示す設計の場合、外部短絡もまた、リード線64の両端の電圧降下として現れることになる。説明した同じアルゴリズムによって、1つのセルが事実上外され、それによって、短絡によるエネルギー消耗レートが大幅に減る。
【0034】
図5を参照すると、電源の別の実施形態が示される。回路は、スイッチ70が取り除かれたこと以外は図3の回路と同じである。この実施形態はやはり、IMD20を内部短絡から保護する。しかしながら、この実施形態は、ディフィブリレーションモードで動作する時に非効率的である。それは、セル60Cからの電流が、負荷64を通らなければならないためである。これは、負荷64において大きな電圧降下を生成し、したがって、ディフィブリレーションコンデンサを完全に充電するのに長い時間がかかる。
【0035】
図6を参照すると、高レート2重セル電池の概略図が示される。この実施形態では、電源54は、電池ケース72、アノード74、カソード76、セパレータ86、フィードスルー84、フィードスルー82、端子78、及び端子80を有するように示される。電池ケース72は、ケーシングの形状及び構成が可変であるものとして、点線で示される。電池ケース72は、参照によりその全体が本明細書に援用される、米国特許第6,040,082号(Haas他)に記載されるように深絞り加工したケースであるか、又は、参照によりその全体が本明細書に援用される、「Contoured Battery for Implantable Medical Devices and Method of Manufacture」という名称の、2002年9月30日に出願された米国特許出願第10/260,629号代理人書類番号P−10765.00に記載される浅絞り加工したケースである可能性がある。電池ケース72は、好ましくは、医療グレードチタンでできている。しかしながら、腐食を防止するために、材料が電池の化学的性質に適合している限りにおいて、電池ケース72は、アルミニウム及びステンレス鋼等のほとんどいかなるタイプの材料でできていてもよいことが考えられる。さらに、電池ケース72は、機械加工、鋳造、熱成形、又は射出成形を含むが、それに限定しないほとんどいかなるプロセスから製造されてもよいことが考えられる。
【0036】
図6の実施形態では、1つの電極74は、連続しており、ケース72に接続される。代替の電極は、2つの別個の部分76及び77にある。各部分76及び77は、ケース72から電気的に絶縁される、それぞれ、フィードスルー84及び82を通る別個の電気リード線78及び80を有する。電池54は、ケースが負である(アノードがケースに接続される)か、又は、ケースが正である(カソードがケースに接続される)可能性があることが考えられる。図示するように、2重セル電池54は、セパレータ86によって分離される、第1セル室88及び第2セル室90によって利用される、1つのアノード74を有する。セル88と90間の気密封止は必要ない。部品はこうして設計される可能性があるが、不必要に複雑になり、容積効率の低下がもたらされるであろう。セパレータ86は、アノード74と、カソード76/77との間の直接の電気接触を防止するのに使用される。電解質イオンの輸送を可能にするのは多孔性材料である。Li/SVO電池は、通常、多孔性ポリプロピレン又はポリエチレンから成るセパレータを使用するが、他の電池化学物質のために使用される多くの他の材料が存在する。それでも、セパレータ86は、本発明には必要なく、電源54は、セパレータ無しで動作する可能性がある。さらに、アノード/カソードの関係は逆であってもよいことが留意される。たとえば、アノード74は、カソード76及び77がアノードに切り換わる限りにおいて、カソードと置き換えられる可能性がある。アノード及びカソードの向きは、本発明の重要な局面ではないことが理解される。本実施形態について、ヘキサフルオロひ酸リチウムは、好ましくは、セル88と90の両方において使用されるが、セル室88又は90のいずれについても、本発明の精神から逸脱することなく、ほとんどいかなる化学電解質が使用されてもよいことが考えられる。カソード76及び77は、それぞれ、セル88及び90内に配置され、それぞれ、外部リード線78及び80に接続され、外部リード線78及び80は、フィードスルー84及び82を通って電池ケース72から出る。電源54は、2つのフィードスルーを有するように示されるが、両方のリード線78及び80を収容するのに、電池ケース72が1つのフィードスルーを有する可能性があることが十分に考えられる。最後に、抵抗負荷92は、リード線78と80の間で接続されるように示される。先に説明したように、負荷92は、未短絡セルから短絡セルへ送出される電力量を制限するように機能する。図7を参照すると、別の高レート2重セル電池の概略図が示される。図6の2重セルの実施形態と対照的に、連続した電極74はケース72に接続されない。代わりに、電気リード線79が、ケース72を中性にするために、フィードスルー89を通して延びる。
【0037】
図8を参照すると、別の高レート2重セル電池の概略図が示される。図6の2重セルの実施形態と対照的に、アノードは連続しておらず、各部分74及び75がケース72に接続される。これは、2つの完全に別個のセルを使用し、それらを同じ電池ケース内に設置することと等価であることになる。
【0038】
図9を参照すると、別の高レート2重セル電池の概略図が示される。この設計は、電気リード線96及び98が、ケースを中性の設計にするために、フィードスルー92及び94を通して横切ることを除いて、図8の実施形態と同じである。電池が電解質を共有する(すなわち、共通電極である)場合、セルは、セルのうちの一方が内部短絡してもただちには短絡しない。その理由は、こうした内部短絡が起こるには、2つの条件が必要とされるためである。第1に、アノードとカソードとが直接の電気的に接続されなければならない。第2に、完全な回路となるために、電気的に接続されたアノートとカソード間にイオン経路が存在しなければならない。本発明の例では、第2の条件は存在するが、第1の条件は存在しない。2つの全く別個のセルを直列に接続する従来の方法の場合、本発明は、第1の条件を有するが、第2の条件は有さない。したがって、両方の条件が合わず、セルが短絡することになるため、2つのセルを(共通電解質によって)同じ格納容器内に直列に設置することが不可能であることになる。しかしながら、並列構成では、アノードとカソードの間に電気経路が存在しないため、2つのセルを同じ電解質で閉囲することが可能である。
【0039】
本発明が、多くの形態及び実施形態をとる可能性があることが理解されるであろう。本発明の真の本質及び精神は、添付の特許請求の範囲に規定され、本明細書で提示された本発明の実施形態が特許請求の範囲を制限すべきであることは意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明による電源を組み込んだ埋め込み可能医療デバイス(IMD)の一実施形態の概略図である。
【図2】図1のIMDとともに使用するための本発明による電源の概略回路図である。
【図3】本発明による第1実施形態の電源の概略図である。
【図4】本発明による別の実施形態の電源の概略図である。
【図5】本発明による別の実施形態の電源の概略図である。
【図6】本発明による高レート2重セル電池の実施形態の概略図である。
【図7】本発明による別の高レート2重セル電池の実施形態の概略図である。
【図8】本発明による別の高レート2重セル電池の実施形態の概略図である。
【図9】本発明による別の高レート2重セル電池の実施形態の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み可能医療デバイスであって、
密閉格納容器と、
該格納容器内に配置される低電力制御回路と、
電気パルス治療を送出するための、前記格納容器内に配置される高電力出力回路と、
前記低電力制御回路及び前記高電力出力回路を駆動するための、前記格納容器内に配置される電源及び回路要素であって、第1の高レートセルと、第2の高レートセルとをさらに備え、前記第1の高レートセル及び前記第2の高レートセルは、前記低電力制御回路及び前記高電力出力回路に並列に電気的に接続される、前記電源及び回路要素と、
前記第1の高レートセルと前記第2の高レートセルの間で電気的に接続される少なくとも1つの抵抗負荷であって、前記第1の高レートセルが内部短絡する場合に、前記内部短絡した第1の高レートセルが前記第2の高レートセルに流れ込むレートを制限するための抵抗値を有する、少なくとも1つの抵抗負荷と、
を備える埋め込み可能医療デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの抵抗負荷値は10オーム〜100オームである請求項1に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項3】
前記第1の高レートセル及び前記第2の高レートセルは、それぞれ、90cmまでの電極表面積を有する請求項1に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項4】
前記電極表面積は65cm〜90cmである請求項3に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項5】
前記第1の高レートセル及び前記第2の高レートセルは、単一ケース内に維持される請求項1に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項6】
前記第1の高レートセル及び前記第2の高レートセルはカソードを含み、さらに、前記第1の高レートセルと前記第2の高レートセルは共通アノードを共有する請求項1に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項7】
前記第1の高レートセル及び前記第2の高レートセルはアノードを含み、さらに、前記第1の高レートセルと前記第2の高レートセルは共通カソードを共有する請求項1に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項8】
前記カソードは、酸化銀、酸化バナジウム、酸化バナジウム銀、二酸化マンガン、酸化銅、酸化バナジウム銀銅、酸化鉛、カーボンモノフルオリド、酸化クロミウム、ビスマス含有酸化物、硫酸銅、及びそれらの混合物から成る群から選択される請求項7に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項9】
前記第1の高レートセルの前記アノード及び前記第2の高レートセルの前記アノードはリチウムから形成される請求項8に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項10】
前記高電力出力回路の作動によって、前記第1の高レートセルを前記第2の高レートセルに選択的に結合するための、前記第1の高レートセルと前記第2の高レートセルの間で電気的に接続される切り換え回路をさらに備える請求項1に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項11】
電気化学電池であって、
a)第1の高レート電気化学セルであって、
i)第1アノードと、
ii)該第1アノードを第1外部リード線に接続する第1端子と、
iii)前記第1アノードと動作可能に連結する第1電解質と、
を備える、第1の高レート電気化学セルと、
b)第2の高レート電気化学セルであって、
i)第2アノードと、
ii)該第2アノードを第2外部リード線に接続する第2端子と、
iii)前記第2アノードと動作可能に連結する第2電解質と、
を備える、第2の高レート電気化学セルと、
c)前記第1電解質及び前記第2電解質と電気的に連結するカソードであって、前記第1の高レート電気化学セルは前記第2の高レート電気化学セルに並列に接続される、カソードと、
d)前記第1外部リード線と前記第2外部リード線の間で電気的に接続される少なくとも1つの抵抗負荷とを備える電気化学電池。
【請求項12】
前記第1の高レート電気化学セル及び前記第2の高レート電気化学セルは、ほぼ同じレートで放電する請求項11に記載の電気化学電池。
【請求項13】
前記第1の高レート電気化学セル及び前記第2の高レート電気化学セルは、1つのケーシング内に収容される請求項11に記載の電気化学電池。
【請求項14】
前記第1電解質及び前記第2電解質は同じ電解質である請求項11に記載の電気化学電池。
【請求項15】
前記少なくとも1つの抵抗負荷は、前記高レート電気化学セルのうちの一方が内部短絡する場合に、前記短絡した高レート電気化学セルが、他方の高レート電気化学セルに流れ込むレートを減らすための抵抗値を有する請求項11に記載の電気化学電池。
【請求項16】
いずれの高レート電気化学セルも、他方の高レート電気化学セルが短絡する場合に、回路に電力を供給することができる請求項15に記載の電気化学電池。
【請求項17】
前記少なくとも1つの抵抗負荷値は10オーム〜100オームである請求項15に記載の電気化学電池。
【請求項18】
前記第1の高レート電気化学セル及び前記第2の高レート電気化学セルは、180cmまでのアノードとカソードを組み合わせた表面積を有する請求項11に記載の電気化学電池。
【請求項19】
前記アノードとカソードを組み合わせた表面積は130cm〜180cmである請求項18に記載の電気化学電池。
【請求項20】
前記第1端子及び前記第2端子は同じである請求項11に記載の電気化学電池。
【請求項21】
電気化学電池を製造する方法であって、
a)第1の高レート電気化学セルを設けるステップであって、
i)第1カソードを設けるステップと、
ii)第1外部リード線を前記第1カソードに接続するステップと、
iii)前記第1カソードと動作可能に連結する電解質溶液によって、前記第1の高レート電気化学セルを活性化するステップと、
を含む、第1の高レート電気化学セルを設けるステップと、
b)第2の高レート電気化学セルを設けるステップであって、
i)第2カソードを設けるステップと、
ii)第2外部リード線を前記第2カソードに接続するステップと、
iii)前記第2カソードと動作可能に連結する電解質溶液によって、前記第2電気化学セルを活性化するステップと、
を含む、第2の高レート電気化学セルを設けるステップと、
c)アノードを、前記第1の高レート電気化学セル及び前記第2の高レート電気化学セル内の前記電解質と電気的に連結させるステップであって、前記第1の高レート電気化学セルは、前記第2の高レート電気化学セルに並列に接続される、連結させるステップと、
d)前記第1外部リード線と前記第2外部リード線の間で少なくとも1つの抵抗負荷を電気的に接続するステップとを含む電気化学電池を製造する方法。
【請求項22】
前記第1の高レート電気化学セル及び前記第2の高レート電気化学セルは、ほぼ同じレートで放電する請求項21に記載の電気化学電池を製造する方法。
【請求項23】
前記ケーシング上に負電荷を提供するために、前記アノードを電池ケーシングに電気的に接続するステップをさらに含む請求項21に記載の電気化学電池を製造する方法。
【請求項24】
前記第1の高レートセル及び前記第2の高レートセルの前記カソードは、酸化銀、酸化バナジウム、酸化バナジウム銀、二酸化マンガン、酸化銅、酸化バナジウム銀銅、酸化鉛、カーボンモノフルオリド、酸化クロミウム、ビスマス含有酸化物、硫酸銅、及びそれらの混合物から成る群から選択される請求項21に記載の電気化学電池を製造する方法。
【請求項25】
前記アノードはリチウムから形成される請求項21に記載の電気化学電池を製造する方法。
【請求項26】
埋め込み可能医療デバイスを製造する方法であって、
a)密閉格納容器を設けるステップと、
b)該格納容器内に低電力制御回路を設けるステップと、
c)電気パルス治療を送出するために、前記格納容器内に高電力出力回路を設けるステップと、
d)前記低電力制御回路及び前記高電力出力回路を駆動するために、前記格納容器内に電源及び回路要素を設けるステップであって、
i)第1の高レートセルを設けるステップと、
ii)第2の高レートセルを設けるステップと、
iii)前記第1の高レートセル及び前記第2の高レートセルを、前記低電力制御回路及び前記高電力出力回路に並列に接続するステップと、
iv)前記第1の高レートセルと前記第2の高レートセルの間に少なくとも1つの抵抗負荷を電気的に接続するステップと、
を含む、電源及び回路要素を設けるステップと、
を含む埋め込み可能医療デバイスを製造する方法。
【請求項27】
少なくとも1つの抵抗負荷は、前記高レートセルのうちの一方が内部短絡する場合に、前記短絡した高レートセルが他方の高レートセルに流れ込むレートを制限するための抵抗値を有する請求項26に記載の埋め込み可能医療デバイスを製造する方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つの抵抗負荷値は10オーム〜100オームである請求項26に記載の埋め込み可能医療デバイスを製造する方法。
【請求項29】
前記第1の高レートセル及び前記第2の高レートセルは、それぞれ、90cmまでの電極表面積を有する請求項26に記載の埋め込み可能医療デバイスを製造する方法。
【請求項30】
前記電極表面積は65cm〜90cmである請求項29に記載の埋め込み可能医療デバイスを製造する方法。
【請求項31】
前記第1の高レートセル及び前記第2の高レートセルは、単一ケース内に維持される請求項26に記載の埋め込み可能医療デバイスを製造する方法。
【請求項32】
前記高電力出力回路の作動によって、前記第1の高レートセルを前記第2の高レートセルに選択的に結合するために、前記第1の高レートセルと前記第2の高レートセルの間で切り換え回路を電気的に接続するステップをさらに含む請求項26に記載の埋め込み可能医療デバイスを製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−523134(P2006−523134A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509602(P2006−509602)
【出願日】平成16年3月31日(2004.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2004/010103
【国際公開番号】WO2004/091021
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(591007804)メドトロニック・インコーポレーテッド (243)
【Fターム(参考)】