説明

安定な水中油型エマルション及び水/油/水型複合エマルション、並びにそれらを含む毛髪処理組成物

本発明は、次の構成成分:
(A)ポリエーテル鎖で架橋したオルガノポリシロキサンエラストマーと、
(B)ポリアクリルアミドホモ−もしくはコポリマー、セルロースエーテル、非シリコーンカチオン性ポリマー、又は増粘系であって、該増粘系の約60〜約67%の2−プロペン酸と2−プロペンアミドとのコポリマー、該増粘系の27〜約32%の2−メチル−1−プロペンのホモポリマー、及び該増粘系の約5〜約7%のポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)−ソルビタン−モノドデカノエートを含む増粘系から成る群より選択される少なくとも1つの増粘剤とを含む水中油型エマルションもしくは水/油/水型複合エマルション、又はこれらの混合物、並びにこのエマルションを含む化粧用組成物類を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定な水中油(O/W)型エマルションもしくは水/油/水(W/O/W)型複合エマルション、又はこれらの混合物、及び好ましくは化粧用分野におけるその使用に関する。エマルションは、より好ましくはケラチン性繊維類を処理するために、最も好ましくは毛髪をコンディショニングするための組成物のために使用されてよい。
【背景技術】
【0002】
特に化粧用及び皮膚科学技術分野では、局所適用組成物類をエマルションの形態で使用することが知られている。これらエマルション類は、一般に水中油(O/W)型もしくは油中水(W/O)型エマルション類である。これら組成物類はまた、水/油/水(W/O/W)型もしくは油/水/油(O/W/O)型の複合エマルションであってもよい。好ましくは、複合エマルション類のうち、外部水相を有するエマルション類(すなわち、W/O/Wエマルション類)が使用され、これらは、外部水相中に存在する水に起因する適用時の新鮮さと、比較的大量の油に起因する快適さといった利点を併せ持つ。
【0003】
ただし、複合エマルション類は、それらが経時的な安定性の問題を示すことがよくあるため、ほとんど利用されない。
【0004】
毛髪をコンディショニングする組成物類に安定なエマルション類を提供するための様々なアプローチが開発されてきた。
【0005】
米国特許出願公開2002/0159963A1には、外部水相とW/O一次エマルションとを含むW/O/W三重エマルションであって、一次エマルションが油相と内部水性とを含み、三重エマルションが、ポリオキシエチレン化及び/又はポリオキシプロピレン化された鎖を含む部分的又は完全に架橋したオルガノポリシロキサンエラストマーを少なくとも1つ含む、W/O/W三重エマルションが記載されている。しかしながら、これらのエマルション類は更に、十分に安定ではなく、製造が困難である。W/O/WあるいはO/W/O型の三重エマルション類は更に、化粧品又は皮膚科学においても使用される。しかしながら、かかるエマルション類は、それらの製造中に多数の問題に晒されるか、あるいは経時的に、そして特に、調製したエマルション類を不安定にする傾向を有する場合がある活性物質類がこれらエマルション類に導入される時に、安定性の問題に晒される。エマルションが他の原材料と相溶し得ることも非常に重要である。エマルションは更に、脂肪族アルコール及びカチオン性界面活性剤類に関して安定でなければならない。更に、エマルションのもう一つの要件は、平易な製造手順である。好ましくは、複合エマルションは、構成成分類それ(the components it)を1段階プロセスで攪拌又は均質化するだけで形成されるべきである。それは、攪拌又は均質化することによって調製される一方で、それは、剪断応力に対して感度を示してはならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それ故に、既知のエマルション類の不利益を有さず、そして特に、毛髪もしくは皮膚上での付け心地が良いと同時に、例えば、外部水相を有するエマルションの利点を与える、安定なO/WエマルションもしくはW/O/W複合エマルション、又はこれらの混合物がまだ必要とされている。このエマルション、並びにそれを含む化粧用組成物類は、皮膚又は毛髪上では良好な保湿効果のために高い水分含有量を示すべきであるが、毛髪上ではコーティング効果を示さない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、ここで、予期せぬことに、(A)ポリエーテル鎖、好ましくはポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、及び/又はポリグリセリン鎖で架橋したオルガノポリシロキサンエラストマーを、(B)ポリアクリルアミドホモ−もしくはコポリマー、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロースエーテル、カチオン性ポリマー、又は
約60〜約67%の2−プロペノン酸と2−プロペンアミドとのコポリマー(CAS 26100−47−0)と、約27〜約32%の2−メチル−1−プロペンのホモポリマー(CAS 9003−27−4;CTFA:ポリイソブテン)と、約5〜約7%のポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)−ソルビタン−モノドデカノエート(CAS 9005−64−5;CTFA:ポリソルベート−20)との混合物を含む増粘系から成る群より選択される増粘剤と組み合わせて、水中油型(O/W)又は水/油/水型(W/O/W)エマルションに導入することにより、従来技術のエマルションでは達成されない利点を有するエマルションを安定化することが可能であることを見出した。
【0008】
これにより、本出願人は、請求項1に記載のエマルション、及びこのエマルションを含む請求項13〜21に記載の化粧用組成物類を主張する。好ましい実施形態は従属項に開示されている。
【0009】
本発明の別の態様は、油中水型エマルション又は水/油/水型複合エマルションを安定化するために、(A)ポリエーテル鎖、好ましくはポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、及び/又はポリグリセリン鎖で架橋したオルガノポリシロキサンエラストマーを、(B)ポリアクリルアミドホモ−もしくはコポリマー、セルロースエーテル、カチオン性ポリマー、又は約60〜約67%の2−プロペノン酸と2−プロペンアミドとのコポリマー(CAS 26100−47−0)と、約27〜約32%の2−メチル−1−プロペンのホモポリマー(CAS 9003−27−4;CTFA:ポリイソブテン)と、約5〜約7%ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)−ソルビタン−モノドデカノエート(CAS 9005−64−5;CTFA:ポリソルベート−20)との混合物を含む増粘系から成る群より選択される増粘剤と組み合わせて使用することである。局所適用のために、本発明のエマルションは、局所的に容認できる媒体、すなわち、皮膚、粘膜、及び/又は毛髪などのケラチン性繊維類と相溶し得る媒体を含有してもよい。
【0010】
本発明によるエマルションは、安定であることと、特に、それらが、皮膚、粘膜、及び/又は毛髪への組成物の適用中に放出されるところの、水性の内部相中に存在する活性薬剤類の活性を保持することができることという利点を有する。エマルションは、液体−結晶−網状組織を部分的に形成し得る、脂肪アルコール類及びカチオン性界面活性剤類などの他の原材料と相溶し得ることもまた極めて重要である。本発明のエマルションの別の利点は、平易な製造手順である。複合エマルションは、油相を水相と攪拌もしくは均質化するだけで形成され、この方法は、極めて高い剪断速度でも複合エマルション類を達成する。
【0011】
本発明のより徹底した認識、及びそれに付随して得られる利点の多くは、それが以下の発明を実施するための最良の形態を参照してより一層理解されるように、容易に達成されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書に記載され得るか、当業者にすでに自明であり得るか、又は後に当業者に自明と成り得るような本発明のこれら及び他の目的及び利点は、本明細書に記載の本発明により提供することができる。
【0013】
本発明は、本明細書に記載されている必須成分並びに本明細書に記載されている好ましい又は他の任意成分を、含むか、それらから成るか、あるいはそれらから本質的に成ることが可能である。
【0014】
特に指示がない限り、本明細書中の百分率は全て、組成物の重量基準である。特に指示がない限り、比率は全て、重量比である。本明細書で言及される成分の百分率、比率及び濃度いずれも、特に指示がない限り、成分の実際の量に基づくものであって、市販品の中に混入されている場合がある溶媒類、充填剤類、又はその他の物質類を包含しない。全ての特許、全ての特許出願、及び全ての論文を包含する、本明細書で言及される全ての文書は、それらの内容全体を参考として本明細書に組み込まれる。
【0015】
本発明は更に、有効量の本明細書の組成物類を毛髪に適用して毛髪の光沢を増強させることによる、毛髪のコンディショニング方法も提供する。
【0016】
好ましくはヘアコンディショニング組成物である、毛髪処理組成物の必須成分類、並びに好ましい成分及び任意成分の様々な(ただし、非排他的な)リストを下記に示す。
【0017】
架橋したオルガノポリシロキサンエラストマー
ポリエーテル鎖で架橋したオルガノポリシロキサンエラストマーのうち、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、及び/又はポリグリセリン鎖で架橋したものが好ましく、それにより、ポリグリセリン鎖で架橋したものが最も好ましい。
【0018】
本発明の組成物のオルガノポリシロキサン類は、1つ以上のオキシアルキレン化基、特にポリグリセリン基(例えば、ポリオキシアルキレン鎖を形成することができる1〜40個のオキシアルキレン化単位、より好ましくは1〜20個のオキシアルキレン化単位)を含む。これらの基は、シリコーン構造の2つの部分を接続することを意図する。
【0019】
オルガノシロキサン類は、オキシエチレン化鎖又はオキシプロピレン化鎖で架橋されてもよいが、本発明は、より好ましくはポリグリセリン鎖で架橋したオルガノポリシロキサン類に関する。オルガノポリシロキサン類は、更に同時に、ポリグリセリン鎖、オキシエチレン化(OE)鎖(例えば、1〜20)及びオキシプロピレン(OP)鎖(例えば、0〜20)を含むこともできる。
【0020】
好ましくは、ポリグリセリン鎖で架橋したオルガノポリシロキサン類は、日本国東京の信越化学工業株式会社(Shin-Etsu Chemical Co. Ltd.)からKSG−210、KSG−710、KSG−310、KSG−320、KSG−330、KSG−340、KSG−810、KSG−820、KSG−830、及びKSG−840として販売されている製品を使用してよい。本発明のオルガノポリシロキサン類は、米国特許第6,784,271B2号(これは参考として本明細書に組み込まれる)の手順に従って入手してもよい。
【0021】
架橋したオルガノポリシロキサンエラストマーは、本発明のエマルション中のみならず、本発明の毛髪処理組成物中にも、組成物の約0.1重量%〜約10重量%まで、好ましくは約0.5重量%〜約6重量%まで、より好ましくは約1重量%〜約5重量%まで、最も好ましくは約2重量%〜約4重量%までの濃度で含有することができる。
【0022】
増粘剤類
ポリアクリレートホモ−もしくはコポリマー増粘剤類
本発明による好ましい増粘剤は、アクリルアミドのホモ重合物である。より好ましくは、ポリアクリルアミドと、C13〜14−イソパラフィンと、ポリオキシエチレン(7)ラウリルエーテルとの混合物である。最も好ましくは、ポリアクリルアミドの混合物35〜45重量%と、C13〜14−イソパラフィンの混合物15〜25重量%と、ポリオキシエチレン(7)ラウリルエーテルの混合物3〜8重量%との混合物であり、これらは所望により、水を100%まで含有する。好適な増粘剤製品は、米国セピック社(Seppic Inc.)から商標名セピゲル(SEPIGEL)305として販売されている。更に好適なポリマーは、ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム塩コポリマー(シマルゲル(Simulgel)(登録商標)NS)である。
【0023】
請求項1に記載の増粘系は、好ましくは、
(a)約60〜約67%の2−プロペン酸と2−プロペンアミドとのコポリマー(CAS 26100−47−0)と;
(b)約27〜約32%の2−メチル−1−プロペンのホモポリマー(CAS 9003−27−4;CTFA:ポリイソブテン)と;
(c)約5〜約7%のポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)−ソルビタン−モノドデカノエート(CAS 9005−64−5;CTFA:ポリソルベート−20)と
(d)約0〜約22重量%の水との混合物を含む。
【0024】
本発明による増粘系は、商標名セピプラス(Sepiplus)(登録商標)265として米国セピック社(SEPPIC Inc.)から販売されており;他の(ただし、あまり有利ではない)増粘剤は、米国セピック社のセピプラス(登録商標)400である。
【0025】
カチオン性ポリマー増粘剤類
本発明の組成物は更に、増粘剤として、1つ以上のカチオン性非シリコーンポリマーを含むことも可能である。カチオン性非シリコーンポリマー増粘剤は、好ましくは水溶性である。
【0026】
「水溶性の」カチオン性非シリコーン有機ポリマーとは、水に十分に溶解して、25℃において水中0.1%の濃度(蒸留されたもの又は同等物)で裸眼では実質的に透明な溶液を形成するポリマーを表す。好ましくは、このポリマーは、0.5%の濃度において、より好ましくは1.0%の濃度において実質的に透明な溶液を形成するのに十分に可溶性である。本明細書で使用するとき、「ポリマー」という用語は、1種類のモノマーの重合によって製造されるか、又は2種類(即ち、コポリマー)若しくはそれより多くのモノマー類によって製造される物質を包含すべきである。
【0027】
本明細書のカチオン性ポリマーは、一般に、少なくとも約5,000、典型的に少なくとも約10,000でかつ約10,000,000未満の重量平均分子量を有する。好ましくは、前記分子量は約100,000〜約2,000,000である。カチオン性ポリマー類は、一般に、第四級アンモニウム部分もしくはカチオン性アミノ部分、又はこれらの混合物のような、カチオン性窒素含有部分を有する。
【0028】
カチオン電荷密度は、好ましくは少なくとも約0.1meq/グラム、より好ましくは少なくとも約1.5meq/グラム、更により好ましくは少なくとも約(abut)1.1meq/グラム、最も好ましくは少なくとも約1.2meq/グラムである。カチオン性ポリマーのカチオン電荷密度は、ネルダール(Neldahl)法に従って求めることができる。当業者には、アミノ含有ポリマー類の電荷密度がpH及びアミノ基の等電点に応じて変化し得ることが自明である。電荷密度は、意図される用途のpHでは上記限度内であるべきである。水溶性基準が満たされる限り、いかなるアニオン性対イオンもカチオン性ポリマー類に使用することができる。好適な対イオンとしては、ハロゲン化物(例えばCl、Br、I、又はF、好ましくはCl、Br、又はI)、硫酸塩、及びメチル硫酸塩が挙げられる。このリストは排他的ではないので、他のものを使用することもできる。カチオン性窒素含有部分は、一般に、カチオン性ヘアコンディショニングポリマー類のモノマー単位全体の一部に置換基として存在する。従って、このカチオン性ポリマーは、第四級アンモニウム単位又はカチオン性アミン置換モノマー単位と、本明細書ではスペーサーモノマー単位と呼ばれる他の非カチオン性単位とのコポリマー類、ターポリマー類等を含むことができる。
【0029】
好適なカチオン性ポリマー類としては、例えば、カチオン性アミン官能基又は四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマー類と、アクリルアミド、メタクリルアミド、アルキル及びジアルキルアクリルアミド類、アルキル及びジアルキルメタクリルアミド類、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ビニルカプロラクトン、並びにビニルピロリドンのような水溶性スペーサーモノマー類とのコポリマー類が挙げられる。アルキル及びジアルキル置換モノマー類は、好ましくはC1〜C7アルキル基類、より好ましくはC1〜C3アルキル基類を有する。
【0030】
他の好適なスペーサーモノマー類としては、ビニルエステル類、ビニルアルコール(vinyl, alcohol)(ポリ酢酸ビニルの加水分解によって作製されるもの)、無水マレイン酸、プロピレングリコール、及びエチレングリコールが挙げられる。
【0031】
カチオン性アミン類は、組成物の特定の種及びpHに依存して、第一級、第二級又は第三級アミンであることができる。一般に、第二級及び第三級アミン類、特に第三級のアミン類(tertiary, amines)が好ましい。アミン置換ビニルモノマー類は、アミン形態で重合することができ、そしてその後、所望により、四級化反応によってアンモニウムに変換することが可能である。アミン類は更に、ポリマー形成後にも同様に四級化することも可能である。例えば、第三級アミン官能基は、式R’Xの塩と反応させることによって四級化することができ、ここで、R’は、短鎖アルキル、好ましくはC1〜C7アルキル、より好ましくはC1〜C3アルキルであり、そしてXは、四級化アンモニウムと合わせて水溶性の塩を形成するアニオンである。
【0032】
好適なカチオン性アミノモノマー及び第四級アンモニウムモノマーとしては、例えば、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、モノアルキルアミノアルキルアクリレート、モノアルキルアミノアルキルメタクリレート、トリアルキルメタクリルオキシアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアクリルオキシアルキルアンモニウム塩、ジアリル第四級アンモニウム塩類で置換されたビニル化合物類、並びにピリジニウム、イミダゾリウム及び四級化ピロリドンなどの環状カチオン性窒素含有環類を有するビニル第四級アンモニウムモノマー類、例えば、アルキルビニルイミダゾリウム塩、アルキルビニルピリジニウム塩、アルキルビニルピロリドン塩が挙げられる。これらのモノマー類のアルキル部分は、好ましくは、C1〜C3アルキル類、より好ましくはC1アルキル及びC2アルキルなどの低級アルキルである。本明細書で使用するのに好適なアミン置換ビニルモノマー類としては、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、及びジアルキルアミノアルキルメタクリルアミドが挙げられ、この場合、アルキル基は、好ましくはC1〜C7ヒドロカルビル類、より好ましくはC1〜C3アルキル類である。
【0033】
本明細書のカチオン性ポリマー類は、アミン置換モノマー及び/若しくは第四級アンモニウム置換モノマー、並びに/又は相溶性スペーサーモノマー類に由来するモノマー単位の混合物を含むことができる。好適なカチオン性ヘアコンディショニングポリマー類としては、例えば、1−ビニル−2−ピロリドンと1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム塩(例えば、塩化物)とのコポリマー類(米国化粧品工業会(Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association)、「CTFA」によって当業界ではポリクオタニウム−16と呼ばれるもの)であって、例えば、BASFワイアンドット社(BASF Wyandotte Corp.)(米国、ニュージャージー州パーシッパニー(Parsippany))から商品名ルビクアット(LUVIQUAT)(例えば、ルビクアットFC370)として市販されているもの;1−ビニル−2−ピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー類(CTFAによって当業界ではポリクオタニウム−11と呼ばれるもの)であって、例えば、ガフ・コーポレーション(Gaf Corporation)(米国、ニュージャージー州ウェイン(Wayne))から商品名ガフクアット(GAFQUAT)(例えば、ガフクアット755N)として市販されているもの;例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー、及びアクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウムクロライドとのコポリマー類を包含する、カチオン性ジアリル第四級アンモニウム含有ポリマー類であって、当業界(CTFA)ではそれぞれポリクオタニウム−6及びポリクオタニウム−7と呼ばれるもの;並びに、米国特許第4,009,256号に記載されているような炭素原子数3〜5の不飽和カルボン酸類のホモポリマー及びコポリマーのアミノ−アルキルエステル類の鉱酸塩類が挙げられ、前記特許を本明細書に参考として組み込む。用いることのできる他のカチオン性ポリマー類としては、カチオン性セルロース誘導体類及びカチオン性デンプン誘導体類などの多糖類ポリマー類が挙げられる。本明細書での使用に好適なカチオン性多糖類ポリマー物質類としては、次の式(II)のものが挙げられる:
【0034】
【化1】

式中、Aは、デンプン又はセルロース無水グルコース残基のような無水グルコース残基であり、Rは、アルキレン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、若しくはヒドロキシアルキレン基、又はそれらの組み合わせであり、R5、R6、及びR7は、独立して、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基、又はアルコキシアリール基であり、この基はそれぞれ、1〜約18個の炭素原子を含有し、そして各カチオン部分の炭素原子の総数(即ち、R5とR6とR7の中の炭素原子数の和)は、好ましくは約20以下であり、並びにYは、前述のようなアニオン性対イオンである。
【0035】
カチオン性セルロースは、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースの塩類としての、アマコール社(Amerchol Corp.)(米国ニュージャージー州エディソン(Edison))からポリマー(Polymer)JR(登録商標)及びLR(登録商標)シリーズのポリマー類で入手可能であり、当業界(CTFA)ではポリクオタニウム−10と呼ばれている。
【0036】
別の種類のカチオン性セルロースとしては、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースのポリマー性四級アンモニウム塩類が挙げられ、当業界(CTFA)ではポリクオタニウム−24と呼ばれている。これらの物質は、アマコール社(Amerchol Corp.)(米国、ニュージャージー州エディソン(Edison))から商品名ポリマー(Polymer)LM−200として入手可能である。
【0037】
使用可能な他のカチオン性ポリマー類としては、カチオン性グアーガム誘導体類、例えば、CTFA:グアーヒドロキシプロピル塩化トリモニウム(セラネーゼ社(Celanese Corp.)からジャガーR(JaguarR)(登録商標)シリーズで市販されているもの)が挙げられる。
【0038】
他の物質としては、四級窒素含有セルロースエーテル類(例えば、米国特許第3,962,418号(これを本明細書に参考として組み込む)に記載されているようなもの)、及びエーテル化セルロースとデンプンとのコポリマー類(例えば、米国特許第3,958,581号(これを本明細書に参考として組み込む)に記載されているようなもの)が挙げられる。
【0039】
上述のように、本明細書のカチオン性ポリマーは水溶性である。ただし、このことは、組成物に可溶性でなければならないことを意味するものではない。しかしながら、好ましくは、カチオン性ポリマーは、組成物に可溶性であるか、又はカチオン性ポリマーとアニオン性物質とから形成される、組成物中の複合コアセルベート相に可溶性である。カチオン性ポリマーの複合コアセルベートは、所望により本明細書の組成物に添加することができるアニオン性界面活性剤類又はアニオン性ポリマー類(例えば、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム)から形成することができる。
【0040】
好ましいカチオン性ポリマー類は、CTFA:クオタニウム−10及びグアーヒドロキシプロピル塩化トリモニウムである。
【0041】
増粘剤は、好ましくは、本発明のエマルション中並びに毛髪処理組成物中において、組成物の約0.1重量%〜約10重量%まで、好ましくは約0.3重量%〜約5重量%まで、より好ましくは約0.3重量%〜約3重量%まで、最も好ましくは約0.5重量%〜約1.5重量%までの濃度で使用することが可能である。
【0042】
架橋したオルガノポリシロキサンエラストマーと増粘剤との重量比は、好ましくは約1:1〜約3:1、より好ましくは約2:1〜約2.5:1、そして最も好ましくは約1.5:1〜約2:1であり、それ故に、約1.8が最適である。
【0043】

本発明のエマルションは、好ましくはエマルションの約70重量%〜約98重量%までの水、より好ましくは、エマルションの全重量の約80重量%〜約95重量%までの水、そして最も好ましくは約85重量%〜約95重量%までの水を含有する。
【0044】
他の溶媒類
エマルション並びに毛髪処理組成物は所望により、フェノキシエタノール、低級アルキルアルコール類(例えば、C1〜C5アルキル一価アルコール類、好ましくはC2〜C3アルキルアルコール類、最も好ましくはエタノール又はイソプロパノール)のような他の液体、水混和性溶媒又は水溶性溶媒を包含してもよい。
【0045】
本発明で使用可能な水溶性多価アルコール類は、分子中に2つ以上のヒドロキシル基を有する多価アルコール類でもある。このような多価アルコール類の典型的な例は、二価アルコール類、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール;三価アルコール類、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等;四価アルコール類、例えばペンタエリスリトール;五価アルコール類、例えばキシリトール等;六価アルコール類、例えばソルビトール、マンニトール;多価アルコールポリマー類、例えばジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン;二価アルコールアルキルエーテル類、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル;二価アルコールアルキルエーテル類、例えばジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル;二価アルコールエーテルエステル類、例えばエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジパート、エチレングリコールジスクシナート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート;グリセリンモノアルキルエーテル類、例えばキシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール;糖アルコール類、例えばソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、スクロース、エリスリトール、グルコース、フルクトース、デンプン糖、マルトース、キシリトース、デンプン糖還元アルコール、グリソリッド(glysolid)、テトラヒドロフルフリルアルコール、POEテトラヒドロフルフリルアルコール、POPブチルエーテル、POP POE ブチルエーテル、トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル、POPグリセリンエーテル、POPグリセリンエーテルリン酸、POP POE ペンタンエリスリトール(pentanerythritol)エーテルである。
【0046】
毛髪処理組成物は、所望により好ましくは、約0.5〜約12重量%、より好ましくは約0.8〜約10重量%、そして最も好ましくは約2.0〜約8重量%の他の溶媒を含有する。
【0047】
ヘアコンディショニング剤は、カチオン性界面活性剤類、カチオン性もしくは非イオン性シリコーン化合物類、及び以下に指定するような他のコンディショニング剤類又はこれらの混合物から成る群より選択される。
【0048】
カチオン性界面活性剤コンディショニング剤類
本発明の化粧用組成物中で好ましくは使用可能なカチオン性界面活性剤類は、アミノ部分もしくは第四級アンモニウム部分を含有する。
【0049】
第四級アンモニウム含有カチオン性界面活性剤の中でも、本明細書で有用な物質は、次の一般式(I)のものである:
[NR1、R2、R3、R4]+・X-
式中、R1〜R4は独立して、炭素原子約1〜約22個の脂肪族基、又は炭素原子約1〜約22個の芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基であり、X-は、ハロゲン(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、及びアルキル硫酸塩ラジカルから選択されるものなどの塩生成アニオンである。
【0050】
脂肪族基は、炭素原子と水素原子に加えて、エーテル結合、及びアミノ基のような他の基を含有していてもよい。より長鎖の脂肪族基類(例えば、炭素原子数が約12以上のもの)は、飽和であるか又は不飽和であることができる。ジ−長鎖(例えば、ジC12〜C22、好ましくはジC16〜C18の、脂肪族、好ましくはアルキル)アンモニウム塩、ジ−短鎖(例えば、C1〜C3アルキル、好ましくはC1〜C2アルキル)アンモニウム塩が特に好ましい。第一級、第二級及び第三級脂肪族アミン類の塩も、好適なカチオン性界面活性剤物質類である。このようなアミン類のアルキル基は、好ましくは約12〜約22の炭素原子を有し、置換されていても非置換であってもよい。本明細書で有用なこのようなアミン類としては、ステアルアミドプロピルジメチルアミン、ジエチルアミノエチルステアルアミド、ジメチルステアラミン、ジメチル大豆アミン、大豆アミン、ミリスチルアミン、トリデシルアミン、エチルステアリルアミン、N−タロープロパンジアミン、エトキシル化(5モルE.O.)ステアリルアミン、ジヒドルキシエチルステアリルアミン、及びアラキジルベヘニルアミンが挙げられる。好適なアミン塩類としては、ハロゲン、酢酸塩、リン酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、及びアルキル硫酸塩が挙げられる。このような塩類としては、ステアリルアミン塩酸塩、大豆アミンクロライド、ステアリルアミンホルメート、N−タロープロパンジアミンジクロライド、及びステアルアミドプロピルジメチルアミンシトレートが挙げられる。好ましいカチオン性界面活性剤類は、セチルトリメチルアンモニウム塩類、例えば、ゲナミン(Genamin)(登録商標)CTAC、即ち、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウム塩類、例えば、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライドのようなもの;ジメチルジタローアンモニウム塩類;ステアリルアミドプロピルジメチルアミン;エステルクワット類、例えば、テトラデシルベタインエステルクロライドのようなもの、ジエステルクワット類、例えば、ジパルミチルエチルジメチルアンモニウムクロライド(ドイツ国のアクゾ(Akzo)のアルモケア(Armocare)(登録商標)VGH70)、又はジステアロイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェートとセテアリルアルコール(Cetearyl Alkohol)との混合物(ドイツ国のヘンケル(Henkel)のデヒコート(Dehyquart)(登録商標)F−75)である。
【0051】
カチオン性界面活性剤類は、好ましくは組成物の約0.1重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約1.5重量%、最も好ましくは約0.4重量%〜約0.8重量%の濃度で含有される。しかしながら、これらのカチオン性界面活性剤類は好ましくは、脂肪族アルコールが存在していなければ、本発明の組成物中に存在してはいけないが、不都合が無ければ約0.1重量%の濃度まで含有される場合がある。
【0052】
シリコーンコンディショニング剤類
本明細書の化粧用組成物類は更に、コンディショニング剤類として、揮発性もしくは不揮発性の、可溶性もしくは不溶性シリコーン類を包含することも可能である。可溶性とは、シリコーンコンディショニング剤が組成物の水性キャリアと、同一相の一部を形成するように混和性であることを意味する。不溶性とは、シリコーンが、例えば、シリコーン液滴のエマルション又は懸濁液の形態でのように、水性キャリアとは別個の不連続相を形成することを意味する。
【0053】
可溶性シリコーン類としては、ジメチコンコポリオール類などのシリコーンコポリオール類、例えば、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド修飾ポリジメチルシロキサンのようなポリエーテルシロキサン修飾ポリマー類が挙げられ、この場合、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの濃度は、組成物に溶解させるのに十分である。
【0054】
しかしながら、好ましいのは不溶性シリコーン類である。本明細書で使用するための不溶性シリコーンヘアコンディショニング剤の粘度は、25℃で、好ましくは約1,000〜約2,000,000mPa.s、より好ましくは約10,000〜約1,800,000、更により好ましくは25℃で約100,000〜約1,500,000mPa.sである。粘度は、ダウ・コーニング社(Dow Corning Corporate)の試験方法CTM0004(Test Method CTM0004)、1970年7月20日に記載されているようなガラスキャピラリー粘度計を用いて測定することができる。
【0055】
好適な不溶性の不揮発性シリコーン流体類としては、ポリアルキルシロキサン類、ポリアリールシロキサン類、ポリアルキルアリールシロキサン類、ポリエーテルシロキサンコポリマー類、末端ヒドロキシル基含有ジメチルポリシロキサン、末端ヒドロキシル基含有メチルフェニルポリシロキサン、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの具体例としては、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、及びヘキサデカメチルヘプタシロキサンが挙げられる。
【0056】
ヘアコンディショニング特性を有する他の不溶性の不揮発性シリコーン流体類を使用することもできる。本明細書で使用するとき、「不揮発性」という用語は、シリコーンの沸点が少なくとも約260℃、好ましくは少なくとも約275℃、より好ましくは少なくとも約300℃であることを意味する。このような物質は、周囲条件下で非常に低いか又はあまり重要でない蒸気圧を示す。用語「シリコーン流体」は、25℃で1,000,000mPa.s未満の粘度を有する流動性シリコーン物質を意味するべきである。一般的に、流体の粘度は25℃で約5〜1,000,000mPa.s、好ましくは25℃で約10〜約300,000mPa.sである。
【0057】
好ましいシリコーン類は、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、及びポリメチルフェニルシロキサンである。ポリジメチルシロキサンがとりわけ好ましい。使用され得る不揮発性ポリアルキルシロキサン流体類としては、例えば、ポリジメチルシロキサン類が挙げられる。これらのシロキサン類は、例えば、ビスカシル(Viscasil)R及びSF96シリーズでゼネラル・エレクトリック社(General Electric Company)から、及びダウ・コーニング(Dow Corning)200(登録商標)シリーズでダウ・コーニング(Dow Corning)から入手可能である。
【0058】
使用され得るポリアルキルアリールシロキサン流体類としては、また、例えば、ポリメチルフェニルシロキサン類も挙げられる。これらのシロキサン類は、例えば、ゼネラル・エレクトリック社(General Electric Company)から、ダウ・コーニング(Dow Corning)から556化粧品級流体(Cosmetic Grade Fluid)として入手可能であるか、又は例えば、CTFA:クオタニウム−80(例えば、ドイツ国のTh.ゴールドシュミットAG(Th. Goldschmidt AG)のエイビル(Abil)(登録商標)クワット(Quat)3272又はエイビル(登録商標)クワット3270)のようにSF1075メチルフェニル流体又はジ四級シリコーン類(silikones)として入手可能である。
【0059】
好適な不溶性の揮発性シリコーン流体類としては、25℃で10mPa.s以下の粘度を有し、そして大気圧下の沸点が250℃以下である、低分子量オリゴマー性ポリジメチルシロキサン又は環状ポリジメチルシロキサンが挙げられる。直鎖オルガノポリシロキサン類における揮発性は、例えば、25℃で約0.65〜約2mPa.sの粘度を有する、オルガノポリシロキサン類の主鎖中に多くとも6〜10個のシリコーン原子(silicone atoms)を有するオリゴマー性オルガノポリシロキサン類、例えばダウ・コーニング(Dow Corning)のDC200流体を選択することによって達成することができる。好ましくは、ケイ素原子数3〜6の環状オルガノポリシロキサン類、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(例えば、ダウ・コーニング(Dow Corning)のDC244、DC245、DC345)を利用する。
【0060】
毛髪の光沢特性を増強するために特に好ましいのは、高度にアリール化したシリコーン類であって、例えば、約1.46以上、特に約1.52以上の屈折率を有する高度にフェニル化したポリエチルシリコーンである。これら高屈折率のシリコーン類を使用する場合、これらは、以下に記載するような展着剤(例えば、界面活性剤又はシリコーン樹脂)と混合して表面張力を低下させ、そしてこの物質の膜形成能を高めなければならない。
【0061】
使用され得るポリエーテルシロキサンコポリマー類としては、例えば、ポリプロピレンオキシド修飾ポリジメチルシロキサン(例えば、ダウ・コーニング(Dow Corning)DC−1248(登録商標))が挙げられるが、エチレンオキシド、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの混合物も使用してよい。エチレンオキシドとポリプロピレンオキシドの濃度は、本明細書の組成物へ溶解させないように十分に低くすべきである。
【0062】
シリコーンコンディショニング剤類において特に有用であり得る別のシリコーンヘアコンディショニング物質は、不溶性シリコーンガムである。用語「シリコーンガム」は、本明細書で使用するとき、25℃で1,000,000mPa.s以上の粘度を有するポリオルガノシロキサン物質類を意味する。シリコーンガム類は、ペトラルカ(Petrarch)、及び米国特許第4,152,416号を包含する他のものに記載されている。これらの記載した参考文献類を、参考として本明細書に組み込む。「シリコーンガム類」は、典型的に、約200,000を超え、一般に約200,000〜約1,000,000の質量分子量(mass molecular weight)を有する。具体例としては、ポリジメチルシロキサン、(ポリジメチルシロキサン)(メチルビニルシロキサン)コポリマー、ポリ(ジメチルシロキサン)(ジフェニルシロキサン)(メチルビニルシロキサン)コポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、シリコーン毛髪処理剤は、25℃において、約1,000,000mPa.s超の粘度を有するポリジメチルシロキサンガムと、約10mPa.s〜約100,000mPa.sの粘度を有するポリジメチルシロキサン流体との混合物を含み、この場合、ガムと流体との比率は約30:70〜約70:30、好ましくは約40:60〜約60:40である。
【0063】
本明細書で用いるための、好ましい更なるシリコーン類は、次の一般式(III)に準じるアミノ官能性シロキサン類である。
【0064】
【化2】

前記式中、R8は、OH又はCH3であり、そしてZは、プロピル基、イソプロピル基、又はイソブチル基を表す。
【0065】
これらのシリコーン類、例えば、アミノエチルアミノプロピルシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマーは、ダウ・コーニング(Dow Corning)から入手可能であって、商標名ダウ・コーニング2−8566アミノ流体(Dow Corning 2-8566 Amino Fluid)(登録商標)として販売されており、又はトリデシルアルコールのポリエチレングリコールエーテルとセチルトリメチルアンモニウムクロライドとの混合物のように、ダウ・コーニング929カチオン性エマルション(Dow Corning 929 Cationic Emulsion)(登録商標)として販売されている。
【0066】
特に好ましいシリコーンポリマー類は、CTFA:クオタニウム−80及びアモジメチコンである。CTFA:ジメチコン及びシクロメチコンなどの揮発性シリコーン類もまた好ましい。
【0067】
シリコーンヘアコンディショニング剤は、本明細書の組成物類中で、前記組成物の約0.1重量%〜約20重量%まで、好ましくは約0.5重量%〜約15重量%まで、より好ましくは約1重量%〜約10重量%まで、そして最も好ましくは約3重量%〜約8重量%までの濃度で使用することが可能である。
【0068】
本発明による高分子量シリコーンは、高分子量シリコーンの薄膜で毛髪表面の損傷部分をコーティングすることにより、枝毛や裂けた毛髪(torn hair)などの損傷を予防及び修復する。
【0069】
追加のコンディショニング剤類
本発明の化粧用組成物類は、更に、液体油類及び脂肪類、例えば、アボカド油、椿油、カメ油、マカデミアナッツ油、コーン油、ミンク油、オリーブ油、菜種油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油(parsic oil)、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、亜麻仁油、ベニバナヒマワリ油、綿実油、シソ油、大豆油、ピーナッツ油、茶油、カヤ油、米糠油、中国桐油(Chinese tung oil)、桐油(Japanese tung oil)、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン;固体脂肪類、例えば、カカオ脂肪、ココナツ油、馬脂、硬化ココナツ脂肪、パーム油、獣脂、羊油、硬化獣脂、パーム核油、ホホバ油、ラード、牛骨脂、ウッドワックス核油、硬化ヒマシ油;ワックス類、例えば、蜜蝋、リンゴワックス、キャンデリラ蝋、綿蝋、カルナウバ蝋、ヤマモモ蝋、虫白蝋、鯨蝋、モンタン蝋、米糠蝋、ラノリン、カポック蝋、酢酸ラノリン、液体ラノリン、サトウキビ蝋、イソプロピルラノリン脂肪酸、ヘキシルラウレート、還元ラノリン、ホホバ蝋、硬質ラノリン、シェラック蝋、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水添ラノリンアルコールエーテル;炭化水素類、不揮発性炭化水素類、及び炭化水素エステル類、例えば、流動パラフィン、固体パラフィン、ワセリン、オゾケライト、スクアラン、プリスタン、セレシン、スクアラン、ペトロラタム、イソドデカン、微結晶ワックス;脂肪酸油類、エステル油類、例えば、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル;ベタイン、カルニチン、カルニチンエステル類、クレアチン、アミノ酸類、ペプチド類、タンパク質類、ビタミン類、リン脂質、例えば、レシチン類、又はセラミド類から成る群より選択されるものなどの追加のコンディショニング剤類を1つ以上含むことができる。例えば(CTFA)クオタニウム−87(ドイツ国のウィトコ(Witco)のレオクワット(Rewoquat)(登録商標)W575)のようなイミダゾリジニル誘導体類もまた有用である。脂肪物質の量は、好ましくは化粧用組成物の全重量の約2〜30重量%まで、更により好ましくは約5〜15重量%、そして最も好ましくは約7〜10重量%までの範囲である。これらの範囲には、特別な値、及びその間の部分範囲を包含し、3重量%、8重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、及び30重量%を包含する。
【0070】
脂肪族アルコール類
本発明の化粧用組成物類は更に、不揮発性低融点脂肪族アルコールも含んでよい。本明細書の脂肪族アルコール類は、30℃以下、好ましくは約25℃以下、より好ましくは約22℃以下の融点を有する。本明細書の不飽和脂肪族アルコール類はまた、不揮発性でもある。不揮発性とは、0.1MPa(1.0気圧)にて、少なくとも約260℃、好ましくは少なくとも約275℃、より好ましくは少なくとも約300℃の沸点を有することを意味する。好適な脂肪族アルコール類としては、不飽和一価直鎖脂肪族アルコール類、飽和分枝鎖脂肪族アルコール類、飽和C8〜C12直鎖脂肪族アルコール類、及びこれらの混合物が挙げられる。不飽和直鎖脂肪族アルコール類は、通常、不飽和度が1である。ジ−及びトリ−不飽和アルケニル鎖は、低濃度、好ましくは不飽和直鎖脂肪族アルコールの全重量の約5%未満、より好ましくは約2%未満、最も好ましくは約1%未満で存在してもよい。好ましくは、不飽和直鎖脂肪族アルコール類の脂肪族鎖の大きさは、C12〜C22、より好ましくはC12〜C18、最も好ましくはC16〜C18であろう。この種の代表的なアルコール類としては、オレイルアルコール、及びパルミトレイン酸アルコールが挙げられる。分枝鎖アルコール類の脂肪族鎖の大きさは、通常、C12〜C22、好ましくはC14〜C20、より好ましくはC16〜C18である。
【0071】
本明細書で使用するための代表的な分枝鎖アルコール類としては、ステアリルアルコール、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、及びオクチルデカノールが挙げられる。
【0072】
飽和C8〜C12直鎖アルコール類の例としては、オクチルアルコール、カプリル酸アルコール、デシルアルコール、及びラウリルアルコールが挙げられる。本明細書の低融点脂肪族アルコール類は、組成物の約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約5重量%、最も好ましくは約0.5重量%〜約3重量%の濃度で使用される。
【0073】
本発明の化粧用組成物類は、好ましくは、一価の飽和直鎖脂肪族アルコール類、例えば、セチルアルコール及びステアリルアルコール、並びに約45℃超の融点を有する他のワックス状の脂肪族アルコール類の濃度を、かかるワックス状の脂肪族アルコール類の存在が本発明の光沢効果に悪影響を及ぼす可能性があるため、組成物の約5重量%以下、好ましくは約4重量%以下に制限する。
【0074】
ただし、それらのコンディショニング効果のためにワックス状の脂肪族アルコール類を使用するのが望ましい場合がある。このような飽和脂肪族アルコール類が存在する場合は、液体脂肪族アルコールとワックス状の脂肪族アルコールとの重量比は、好ましくは約0.25以下、より好ましくは約0.15以下、更に好ましくは約0.10以下である。
【0075】
組成物中の脂肪族アルコール類の総量は、好ましくは約0.5〜約5.0重量%、より好ましくは約1.0〜約4.0重量%、及び最も好ましくは約1.5〜約3.0重量%である。
【0076】
その他の成分
本明細書の化粧用組成物類は、かかる組成物類をより化粧上もしくは審美的に容認させるのに好適な、又はそれらに追加の利用効果を与える、様々な他の任意構成成分を含有することが可能である。このような従来の任意成分は、当業者に周知である。本発明の組成物は、そのため、化粧品もしくは皮膚科学分野では標準的な親油性もしくは親水性の補助剤類、例えば、界面活性剤類、特に発泡性界面活性剤類、防腐剤類、酸化防止剤類、金属イオン封鎖剤類、溶媒類、芳香剤類、充填剤類、スクリーニング剤類、臭気吸収剤類、着色物質類、及び脂質小胞類を含む場合がある。
【0077】
広く様々な追加成分を、本発明の化粧用組成物に処方することができる。これらには、次のものが挙げられる:ヘアホールドポリマー類、洗浄性界面活性剤類、例えば、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び双極性界面活性剤;追加の増粘剤類及び懸濁剤類、例えば、キサンタンガム、グアーガム、デンプン及びデンプン誘導体類、粘度調整剤類、例えば、長鎖脂肪酸類のメタノールアミド類、ココモノエタノールアミド、塩類、例えば、塩化ナトリウムカリウム(sodium potassium)及び硫酸ナトリウムカリウム(sodium potassium)、及び結晶性懸濁剤類、並びに真珠光沢助剤類、例えば、ジステアリン酸エチレングリコール;UV−フィルター類及び日焼け止め剤類、例えば、p−メトキシケイ皮酸イソアミルエステル、親油性ケイ皮酸エステル類、サリチル酸エステル類、4−アミノ安息香酸誘導体類、又はベンゾフェノン類又は3−ベンジリデンカンファーの親水性スルホン酸誘導体類のようなもの;酸化防止剤類、例えば、トコフェロール類;遊離基と闘う薬剤類;防腐剤類、例えば、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、及びイミダゾリジニル尿素;ポリビニルアルコール;pH調整剤類、例えば、クエン酸、蟻酸、グリオキシル酸、酢酸、乳酸、ピルビン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、リン酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム;一般に、酢酸カリウム及び塩化ナトリウムなどの塩類;着色剤類、例えば、FD&C又はD&C染料類のいずれか;毛髪酸化(脱色)剤類、例えば、過酸化水素、過ホウ酸塩及び過硫酸塩;毛髪還元剤類、例えば、チオグリコレート類;香料類、金属イオン封鎖剤類、例えば、エチレンジアミン四酢酸ジナトリウム、並びに高分子可塑剤類、例えば、グリセリン、アジピン酸ジイソブチル、ステアリン酸ブチル、及びプロピレングリコール。
【0078】
所望により使用される非イオン性界面活性剤類のうち、HLB(親水性−親油性バランス)が12超のものが好ましく、そして一次エマルションは、HLBが8未満の非イオン性界面活性剤を少なくとも1つ含む。所望によりエマルション中に存在する、HLB>12の非イオン性界面活性剤は、例えば、炭素原子を12〜22個含む脂肪鎖を有するエトキシル化もしくはエトキシル化/プロポキシル化脂肪族アルコール、エトキシル化ステロール類、例えば、ステアリル−もしくはラウリルアルコール(EO−7);PEG−16大豆ステロール又はPEG−10大豆ステロール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー類(ポロキサマー類)、並びにこれらの混合物であってよい。エトキシル化ステロール類及び(and of)ポロキサマー類が好ましい。HLB<8の非イオン性界面活性剤は、特に、グリセリルエステル類、例えば、モノ−、ジ−、もしくはトリイソステアリン酸又は−オレイン酸モノ−、ジ−、もしくはトリグリセリル、糖エステル類、例えば、モノ−もしくはジイソステアリン酸又は−オレイン酸スクロースもしくはメチルグルコース、アルキルポリグリコシドエーテル類、例えば、イソステアリン酸ソルビタン、オレイル−もしくはイソステアリルポリグルコシド;モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(CTFA:ポリソルベート−60)、並びにこれらの混合物から選択することができる。糖エステル類及びアルキルポリグリコシドエーテル類が好ましい。
【0079】
エマルション及び化粧用組成物中の非イオン性界面活性剤の量は、好ましくは、エマルションの全重量の約0.1〜約5重量%まで、そしてより好ましくは約1〜約3重量%までの範囲であり得る。
【0080】
本発明のエマルション及び化粧用組成物は、好ましくは、アニオン性界面活性剤又は両性界面活性剤を含まない。ただし、かかるアニオン性界面活性剤又は両性界面活性剤は、不都合が無いならば、化粧用組成物の約0.2重量%までの量でエマルション中に存在してもよい。
【0081】
他の任意成分及び前述のものは、一般に、独立して、化粧用組成物の約0.01%〜約10.0%まで、好ましくは約0.05%〜約5.0%までの濃度で使用される。
【0082】
これら補助剤類は、それらの性質に依存して、油相に、又は水相の一つに、導入することが可能である。
【0083】
粘度
本発明の毛髪処理組成物の25℃での粘度は、好ましくは、少なくとも約10mPa.s、好ましくは約50mPa.s〜約10,000mPa.s、より好ましくは約500mPa.s〜約6,000mPa.s、更により好ましくは約1,500mPa.s〜約4,500mPa.sである。粘度は、(特に明記されていなければ)DIN 53019(MV−DIN、SV−DIN)に従って冷却/加熱容器及びセンサーシステムを用いたハーケ(HAAKE)回転粘度計VT 550で測定され、剪断速度は12.9秒-1である。
【0084】
本発明による化粧用組成物は、更に、例えば、顔用、手用、もしくは脚用の保護、処理もしくはケアクリーム、保護もしくはケアボディミルク類、皮膚、粘膜、毛髪及び頭皮をケアするためのローション類、ジェル類、又はフォーム類の形態であってもよい。
【0085】
使用方法
本発明のエマルション類は、様々な局所用途に、特に化粧用及び/又は皮膚科学用途に使用することが可能である。このエマルション系の組成物は、特に、皮膚用、粘膜用、及び/又は毛髪用の、特に顔用、首用、手用、毛髪用、頭皮用、もしくはボディ用、並びにまつげ用の、洗浄、保護、処理、及び/又はケアのための組成物を構成することができる。有効量のエマルション又はエマルションを含有する組成物が、処理しようとする皮膚、粘膜、及び/又は毛髪に適用され得る。
【0086】
本発明のエマルションは本発明の更なる対象であってよく、それは結果として、皮膚及び/又は粘膜及び/又はケラチン性繊維類、すなわち、毛髪及び/又はまつげを洗浄及び/又は処理及び/又は保護するための、本発明による組成物の化粧用途である。
【0087】
皮膚及び/又は粘膜及び/又はケラチン性繊維類、すなわち、毛髪及び/又はまつげを洗浄及び/又は処理及び/又は保護することを意図する組成物を調製するために本発明による組成物を使用することは、本発明に包含される。
【0088】
本発明のもう一つの様相は、皮膚、粘膜、及び/又はケラチン性繊維類の洗浄方法及び/又は処理方法及び/又は保護方法であって、これは、上記で定義されたような組成物を皮膚、粘膜、及び/又はケラチン性繊維類に適用することから成ることを特徴とする。
【0089】
本発明のヘアケア組成物類は、従来の方法で使用されて、本発明のコンディショニング効果及び光沢効果を提供する。このような使用方法は、用いられる組成物の種類にもよるが、一般的には、有効量の製品を毛髪に適用することを伴い、その後、(ヘアリンス類の場合と同様に)毛髪から洗い流されるか、あるいは(ジェル類、ローション類、及びクリーム類の場合と同様に)毛髪に残されてもよい。「有効量」とは、毛髪に光沢効果をもたらすのに足るだけの十分な量を意味する。一般に、約1g〜約50gが頭皮上の毛髪に適用される。組成物は、典型的に、自分の手又は他人の手によって毛髪と頭皮に擦り込む又はそれらをマッサージすることによって、毛髪全体に分配される。好ましくは、組成物は、毛髪を乾燥させる前の濡れているか又は湿った毛髪に適用される。かかる組成物を毛髪に適用した後、毛髪を乾燥させ、ユーザーの好みに従って、ユーザーのいつもの方法でスタイルを整える。あるいは、乾燥した毛髪に組成物を適用した後、毛髪を櫛で梳くか又はユーザーの好みに従ってスタイルを整える。
【0090】
エマルションの製造方法
O/Wエマルション及び/又はW/O/W複合エマルション、又はこれらの混合物は、次の2つの方法に従って調製されてよい:
方法1:攪拌
(a)ポリエーテル鎖で架橋したオルガノポリシロキサンを包含する油性構成成分類を、油相が均質化するまで攪拌することによって混合する、
(b)増粘剤を包含する水相を、ジェルが透明になるまで混合物を攪拌することによって調製する、そして
(c)水相を油相に、全体が均質になるまで混合物を攪拌することによって徐々に添加する。
方法2:均質化
(a)構成成分全てを容器に用意して、(b)混合物を均質化する。
【0091】
均質化は、好ましくは、約20〜約90℃まで、より好ましくは約25〜約80℃までの温度において、約4,000〜約20,000rpmまで、より好ましくは約6,000〜約14,000rpmまでの好ましい攪拌速度を用いて行うことができる。均質化時間は、好ましくは約1〜約6分、より好ましくは約2〜約4分であってよい。
【0092】
均質化に最も好ましい方法では、ローターステーターホモジナイザー(Rotor-Stator-Homogenizer)(例えば、ウルトラ・チュラックス(Ultra Turrax))を使用し;他の好適な方法では、高圧ギャップホモジナイザー(High Pressure Gap Homogenizer)又は超音波ホモジナイザー(Ultrasonic Homogenizer)を使用する。均質化温度は、原材料に依存する。均質化サイクルの時間及びサイクル数もまた原材料に依存し、冷/冷プロセスでは、1サイクルは、約4,000〜約20,000rpmを用いることが好ましく、約6,000〜約14,000rpmがより好ましい。冷/冷プロセスに適用可能な温度範囲は、約20℃〜約40℃までである。更に適用可能な温/温プロセスの場合、温度は、約60〜約90℃まで、好ましくは約70〜約80℃までの範囲である。温/温プロセス中、
2サイクルが好ましく、1サイクルは約60〜75℃で約3〜約6分、そして第2サイクルは、約20〜約40℃で約2〜約4分である(毎分回転数(rpm)は、冷/冷プロセスの場合と同じである)。
【0093】
方法2(均質化)が好ましい。
【0094】
表2、及び実施例2を除く全実施例においてエマルションに使用される均質化方法は、原材料全てが室温で液体であるか又は可溶性であるため、冷/冷(冷たい油相/冷たい水相)プロセスであった。そのため、乳化は、25℃の温度で行った。構成成分はいずれも、容器内で計量し、そしてローターステーターホモジナイザー(Rotor-Stator-Homogenizer)(例えば、ウルトラ・チュラックス(Ultra Turrax))を用いて10,000rpmにおいて2分間均質化した。
【0095】
実施例2では、セチルトリメチル塩化アンモニウムを温水(80℃)に溶解して、セチルステアリルアルコールを80℃で溶融した。温かい水相を温かいワックス相に計量して、100rpmで5分間攪拌した。40℃まで冷却した後、他の成分を全て容器に計量して、その温度において10,000rpmで2分間均質化した。
【0096】
結果として得られたエマルション類を、以下の表2及び実施例に示す。
【実施例】
【0097】
以下の実施例によって、本発明を例示する。ヘアケア製剤分野の当業者の技術範囲内での本発明のその他の修正は、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく行うことができることが分かるであろう。
【0098】
本明細書における部、百分率、及び比率は全て、特に指定しない限り重量基準である。ある成分は、供給元から希釈溶液として入手される場合がある。記載した濃度は、別段の指定がない限り、活性物質の重量百分率を表す。
【0099】
【表1】

【0100】
【表2】

【0101】
【表3】

【0102】
方法1によれば、シリコーンクロスポリマー(KSG−種)とジメチコンとフェノキシエタノールとを有する油相が、全体が均質になるまで攪拌することによって調製された。攪拌は、25℃において500rpmで行った。攪拌時間は6分であった。これ以外に、水とポリアクリルアミドとC13〜C14イソパラフィンとラウリルアルコール(EO−7)とPHBメチルエステルとを有する水相を提供して、ゲルが均質化するまで攪拌した;攪拌は、25℃において500rpmで行った。攪拌時間は10分であった。これ以外に、水相を油相に、全体が均質化するまで混合物を攪拌することによって徐々に添加した。
【0103】
得られたエマルション類を以下の表2に示す:
【0104】
【表4】

【0105】
【表5】

【0106】
化粧用組成物に関する実施例
(実施例1)
【0107】
【表6】

【0108】
(実施例2)
【0109】
【表7】

【0110】
(実施例3)
【0111】
【表8】

【0112】
(実施例4)
【0113】
【表9】

【0114】
(実施例5)
【0115】
【表10】

【0116】
(実施例6)
【0117】
【表11】

【0118】
(実施例7)
【0119】
【表12】

【0120】
(実施例8)
【0121】
【表13】

【0122】
(実施例9)
【0123】
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリエーテル鎖で架橋したオルガノポリシロキサンエラストマーと、
(B)(a)ポリアクリルアミドホモ−もしくはコポリマー、(b)セルロースエーテル、(c)非シリコーンカチオン性ポリマー、又は(d)増粘系であって、前記増粘系の約60〜約67%の2−プロペン酸と2−プロペンアミドとのコポリマー、前記増粘系の約27〜約32%の2−メチル−1−プロペンのホモポリマー、及び前記増粘系の約5〜約7%のポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)−ソルビタン−モノドデカノエートの混合物を含む増粘系から成る群より選択される少なくとも1つの増粘剤と
を含む、水中油型エマルション及び/又は水/油/水型複合エマルション。
【請求項2】
前記ポリエーテル鎖がポリグリセリン鎖であることを特徴とする、請求項1に記載のエマルション。
【請求項3】
前記架橋したオルガノポリシロキサンエラストマーが、炭素原子1〜20個のアルキル鎖を少なくとも1つ示すことを特徴とする、請求項1又は2に記載のエマルション。
【請求項4】
前記アルキル鎖が炭素原子2〜6個を有することを特徴とする、請求項3に記載のエマルション。
【請求項5】
前記増粘剤がポリアクリルアミドホモポリマーであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項6】
前記エマルションが、動物性油類、植物性油類、鉱油類、合成油類、ワックス類から選択される少なくとも1つの油を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項7】
前記エマルションが、前記架橋したオルガノポリシロキサンエラストマーを約0.5重量%〜約10重量%まで含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項8】
前記エマルションが、前記架橋したオルガノポリシロキサンエラストマーを約0.5重量%〜約10重量%まで含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項9】
前記エマルションが、前記架橋したオルガノポリシロキサンエラストマーを約1重量%〜約5重量%まで含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項10】
前記エマルションが、前記増粘剤を約0.1重量%〜約3重量%まで含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項11】
前記エマルションが、水を約70重量%〜約98重量%まで含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項12】
前記エマルションが、水を約80重量%〜約95重量%まで含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載のエマルション。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に定義されたエマルションを含む、皮膚に又は毛髪に適用される化粧用組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に定義されたエマルションと、ヘアコンディショニング剤とを含む、ヘアコンディショニング組成物。
【請求項15】
ヘアコンディショニング剤としてカチオン性界面活性剤を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記カチオン性界面活性剤が、セチルトリメチルアンモニウム塩類、ベヘニルトリメチルアンモニウム塩類、ジメチルジタローアンモニウム塩類、及びステアリルアミドプロピルジメチルアミンから成る群より選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
活性薬剤を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
前記活性薬剤が、ポリオール類、ビタミン類、スクリーニング剤類、保湿剤類、酵素類、天然抽出物類、プロシアニドールオリゴマー類、カロテノイド類、多価不飽和脂肪酸類、α−ヒドロキシ酸類、β−ヒドロキシ酸類、かかる酸を含む植物抽出物類、及びこれらの混合物から成る群より選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記活性薬剤が、レチノイン酸、ビタミンC、ビタミンA(レチノール)、尿素、ルチン、アスコルビン酸、サリチル酸、乳酸、メチル乳酸、クエン酸、コウジ酸、コーヒー酸、マンデル酸、グルクロン酸、グリコール酸、ピルビン酸、2−ヒドロキシブタン酸、2−ヒドロキシペンタン酸、2−ヒドロキシへキサン酸、2−ヒドロキシヘプタン酸、2−ヒドロキシオクタン酸、2−ヒドロキシノナン酸、2−ヒドロキシデカン酸、2−ヒドロキシウンデカン酸、2−ヒドロキシドデカン酸、2−ヒドロキシテトラデカン酸、2−ヒドロキシヘキサデカン酸、2−ヒドロキシオクタデカン酸、2−ヒドロキシテトラエコサン酸、2−ヒドロキシエイコサン酸、ベンジル酸、ベンゼン−1,4−ジ(3−メチリデン−10−カンファースルホン酸)フェニル乳酸、グルコン酸、ガラクツロン酸、アレウリチン酸、リボン酸、タルトロン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、これらの誘導体類、ベタイン、クレアチン、又はこれらの混合物から成る群より選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記活性薬剤が、前記組成物の全重量の0.01〜20%までの範囲の濃度で存在する、請求項17〜19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
防腐剤類、酸化防止剤類、金属イオン封鎖剤類、溶媒類、芳香剤類、充填剤類、スクリーニング剤類、臭気吸収剤類、着色材料類、及び脂質小胞類から成る群より選択される少なくとも1つの親油性又は親水性補助剤を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
有効量の、請求項13〜21のいずれか1項に記載の前記組成物を、皮膚及び/又は粘膜類及び/又はケラチン性繊維類に適用することを含む、皮膚及び/又は粘膜類及び/又はケラチン性繊維類の処理方法。
【請求項23】
毛髪にヘアケア効果を提供するために有効な量の、請求項13〜21のいずれか1項に記載の前記組成物を、前記毛髪に適用することを含む、毛髪のコンディショニング方法。
【請求項24】
(a)構成成分全てを容器に供給することと、(b)混合物を約20℃〜約90℃までの温度において約4,000〜約20,000rpmで約1〜約6分間均質化することとを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載のエマルションの調製方法。

【公表番号】特表2009−523166(P2009−523166A)
【公表日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549969(P2008−549969)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【国際出願番号】PCT/IB2007/050102
【国際公開番号】WO2007/083256
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】