説明

安心表示システム

【課題】離れて暮らす家族どうしの活動状況を表示させることで、家族としての一体感を得るシステムにおいて、各家族が思うところの親密度を反映させた表示が可能なシステムを提供する。
【解決手段】家族が暮らす建物に設置された安心表示ユニット2に、他の家族に対する親密度を表す重みを入力できる重み設定操作部76を備え、他の複数の建物から受信した、他の家族の活動の度合いを表す活動指数に重みを乗算して合算して表示制御量を求める。表示装置6には、当該表示制御量に基づいて表示内容を異ならせるので、親密度を反映した一体感を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、離れて暮らす家族等の様子を離れた場所でも感じることを可能にする安心表示システムに関し、特に複数の場所に分かれて暮らす家族等の様子を適切に検出し、家族間の親密度を反映して表示する安心表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、相手の存在情報を知る場合に、人の思考が中断されず、また、相手の存在感をリアルタイムで抱くことができ、しかも、相手の存在情報を知る場合に、人の手を煩わすことがないつながり感を伝える通信端末が提案されている(特許文献1)。
かかる従来の通信端末は、人の存在、動き、環境にかかる情報を各種センサにて検出し、検出したセンサ情報を遠隔地に所在する家族へ送信する。また、センサ情報を受信すると、センサ情報に基づいて照明・光ファイバの動作などの制御をするものである。通信端末は、センサが検出すると人の動き速度など単一の情報をそのまま、即座に先方へ送信している。
【特許文献1】特開2002−314707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、人の存在感は、人が所在していること、人が動いていること、電灯を点灯していること、物音の強弱など種々の情報が組み合わされて、表現されるものである。また、家族間で人の存在感を表現し合うにあたり、自分が知りたい存在感は、家族間でもその相手により異なるものである。例えば、親元から離れて暮らす子供が複数いる家族の場合、各子供にとっては親の健康状態が常に気になるので、重要視して知りたい。一方、兄弟姉妹間では、親を心配するほどには心配にはならない。また孫が生まれたばかりであれば、その孫が元気に育っているかを特に知りたいのは当然の心理である。すなわち、親密さの度合いにより、その相手について知りたい度合いが異なる。
【0004】
従来の通信端末では、単に人の動いている速度が変化すればそのセンサ情報を送信して、照明等を制御することしかできず、お互いに離れて暮らす家族間で異なる親密さを反映しつつ、人どうしのつながり感を適切に表示ができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、遠隔地に住む家族等の活動状況を適切に検出し、家族間の親密さを加味しつつ、検出した活動状況を先方にてさりげなく表現できる安心表示システムの実現を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するため、本発明にかかる安心表示システムは、建物内に設置され利用者の活動を検出して検出信号を出力するセンサと、センサからの検出信号から利用者の活動の活発さを表す活動指数を算出し、ネットワークを介して遠隔地の受信側制御装置に送信する複数の送信側制御装置と、複数の送信側制御装置から活動指数を受信すると活動指数に応じた表示を行う表示装置を制御する受信側制御装置と、を具備する安心表示システムであって、受信側制御装置は、複数の送信側制御装置から活動指数を受信する通信制御手段と、通信制御手段により受信された送信側制御装置ごとの活動指数および該送信側制御装置ごとに設定された重みを記憶している記憶部と、所定時間ごとに、記憶部に記憶されている各送信側制御装置の活動指数および該送信側制御装置に対応付けられた重みから表示制御量を算出する表示制御量算出手段と、表示制御量を用いて表示装置を制御する表示制御手段と、を有することを特徴としている。
【0007】
本発明により、遠隔地に住む家族等の活動状況を適切に検出し、家族間の親密さを加味しつつ、検出した活動状況を先方にてさりげなく表現できる効果がある。
【0008】
さらに本発明にかかる安心表示システムの表示装置は、色温度が異なる複数の表示パターンにて発光可能な発光部を具備し、表示制御手段は、表示制御量に応じて発光部の色温度を制御するようにしてもよい。
【0009】
本発明により、他の家族の活動状況を総合して色分けすることで、他の家族の親密度を加味した表示が可能となり、人どうしのつながり感をさらに適切に表示できる。
【0010】
さらに本発明にかかる安心表示システムの表示装置は光量が異なる複数の表示パターンにて発光可能な発光部を具備し、表示制御手段は、表示制御量に応じて照明器の光量を制御するようにしてもよい。
【0011】
本発明により、他の家族の活動状況を総合して光量を調節することで、他の家族の親密度を加味した表示が可能となり、人どうしのつながり感をさらに適切に表示できる。
【0012】
さらに本発明にかかる安心表示システムの表示装置は、利用者が送信側制御装置ごとの重みを設定操作する重み設定操作部を有し、記憶部は重み設定操作部から設定された重みを記憶するようにしてもよい。
【0013】
本発明により、利用者が思う親密度が変化した場合にも、それを反映した表示が可能となり、人どうしのつながり感をさらに適切に表示できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、各種センサからの情報を組み合わせて算出した活動指数を伝達し、自分が思うところの親密度を反映させて表示するので、互いに離れて暮らす者の間で、親密度が高い家族に重点を置いて適確に感じることのできる安心表示システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図1を参照して、本発明の実施形態の一例である安心表示システム1について説明する。また、図2を参照して安心表示システム1の各部の配置例を説明する。
【0016】
安心表示システム1は、複数の安心表示ユニット2がネットワーク3を介して接続されてなる。
【0017】
安心表示ユニット2は、互いに離れて暮らしている家族が住む建物内にそれぞれ設置される。互いに離れて暮らす場合とは例えば、子供が独立した両親、独り暮らしの学生やОL、又は単身赴任者等と、その家族である。図1では、3つの安心ユニット2が用いられた場合を示しているので、3箇所、例えば両親の家に安心表示ユニット2a、単身赴任者の兄の赴任先のアパートに安心表示ユニット2b、一人暮らしの妹のマンションに安心表示ユニット2cが設置できる場合を示している。
【0018】
ネットワーク3は、インターネット等の広域通信網である。
【0019】
安心表示ユニット2の1つが建物内の人の活動を検出し、検出結果を基に活動状況を表す活動指数を算出して他の安心表示ユニット2へそれぞれ送信し、活動指数を受信した安心表示ユニット2が当該活動指数に基づいた表示を行う。これにより互いに離れて暮らす者の間に、相手の生活を妨害することなく、空間を超えた「つながり感」を提供する。
【0020】
活動指数は、人の活動が活発であるほど高く算出される。本実施形態においては、活動がない場合の活動指数を0(基準値)、最も活発な場合の活動指数を5とし、6段階の活動指数が算出される。
【0021】
安心表示ユニット2は、切替部4と、各種センサ5と、表示装置6とが制御装置7に接続されてなり、制御装置7はさらにネットワーク3に接続される。切替部4と制御装置7の接続形態、各種センサ5と制御装置7の接続形態は、それぞれ有線、無線のどちらでも良い。
【0022】
切替部4(図1中の「B」)は、建物内が有人状態であるか無人状態であるかを入力操作するスイッチである。切替部4は、建物の利用者により外出時及び帰宅時に操作され、有人状態に切り替わると有人信号を出力し、無人状態に切り替わると無人信号を出力する。図2に示す設置例では、切替部4が建物の玄関付近に設置されている。
尚、警備モード(無人状態)と警備解除モード(有人状態)を切り替えるモードスイッチを備えた警備装置を切替部4として利用することもできる。
【0023】
各種センサ5は、建物内での人の活動を検出して検出信号を出力するセンサである。各種センサ5は、各部屋に設置されて、人の活動の有無や人の居場所といった人の活動状況を検出する。また、各種センサ5には予め安全表示ユニット2内で個々を識別可能なセンサIDが付与されており、各種センサ5は検出信号に自己のセンサIDを含ませて出力する。
図中「M」は人の動きを検出する動きセンサである。各動きセンサは赤外線センサ又はマイクロ波センサなどで構成され、人の動きを検出すると検出信号を出力する。
図中「L」は建物内に設置されている照明装置の点消灯を検出する照明センサである。各照明センサは照度センサ又は電流検出器などで構成され、照明装置の点灯及び消灯を検出したときに検出信号を出力する。
図2の例では、動きセンサが玄関、寝室、居間、脱衣所に設置され、照明センサが玄関、寝室、居間、風呂に設置されている。
【0024】
図1に戻り、表示装置6は、遠隔地の建物における家族の活動の様子を認知可能に表示する装置である。表示装置6は、複数のLED(Light Emitting Diode)からなる発光部が透過性のカバーに覆われて構成される。
発光部は赤色5個、緑色7個、青色7個の計19個のLEDで構成される。LEDの点灯数を制御することにより光量が調整され、点灯させるLEDの色の割合を制御することにより色温度が調整される。
カバーは、複数のLEDからの光が混ざって拡散するように和紙、すりガラス、乳白色のプラスチックなどで構成する。
尚、発光部はLEDに限らず、白熱灯、蛍光灯などで構成してもよい。白熱灯の場合は点灯数に代えて電圧を制御することによっても光量を調整することができる。
【0025】
制御装置7は、切替部4及び各種センサ5からの信号を基に活動指数を算出して他の制御装置7へ送信する。また、制御装置7は、他の制御装置7からの活動指数を受信し、活動指数に基づいた表示装置6を制御するための表示制御量を算出して、表示制御量に応じた表示を行わせる。
【0026】
図3を参照して、制御装置7の構成を説明する。
【0027】
制御装置7は、切替部I/F71と、センサI/F72と、ネットワークI/F73と、記憶部74、重み設定操作部76とが、制御部75に接続されてなる。
【0028】
切替部I/F71は、切替部4と接続され、有人信号及び無人信号を制御部75へ入力するインターフェース回路である。
【0029】
センサI/F72は、各種センサ5と接続され、検出信号を制御部75へ入力するインターフェース回路である。
【0030】
ネットワークI/F73は、ネットワーク3と接続され、活動指数等を送受信するインターフェース回路である。
【0031】
記憶部74は、ROM、RAM等のメモリ装置であり、各種プログラムや各種データを記憶し、制御部75との間でこれらを入出力する。各種データには表示用テーブル741、重みテーブル742が含まれる。
【0032】
表示用テーブル741は、表示制御量と表示装置による表示パターンとを対応付けたテーブルであり、予め設定される。表示パターンは、LEDの点灯数及び点灯させるLEDの色の割合で表される。表示制御量は、後述のように、表示制御量算出手段753により算出される。
図4は、表示用テーブル741を例示したものである。表示制御量0に対しては全消灯の表示パターンが設定されている。以降、表示制御量が高いほど点灯数の多い表示パターン、すなわち光量(単位;lx(ルクス))の高い表示パターンが設定されている。また、表示制御量が高いほど緑色と青色の点灯割合が多く赤色の点灯割合が少ない表示パターン、すなわち色温度(単位;K(ケルビン))の高い表示パターンが設定されている。例えば、活動指数が5のときは19個のLEDが点灯し、そのうち赤色が5個(28%)、緑色が7個(36%)、青色が7個(36%)の表示パターンとなる
【0033】
重みテーブル742は、動き得点テーブル7421と、居場所得点テーブル7422と、建物重みテーブル7423から構成される。
動き得点テーブル7421は、各種センサ5により検出された人の活動と活動指数の基礎となる得点とを対応付けたテーブルであり、予め設定される。
居場所得点テーブル7422は、各種センサ5により検出された、建物内での人の居場所と活動指数の基礎となる得点とを対応付けたテーブルであり、予め設定される。
建物重みテーブル7423は、ある家族が他の家族が住む建物を特定して、どれだけ重要視して表示させたいかの重みのテーブルであり、利用者が適宜、後述するように重み設定操作部76にて設定し、記憶させる。
【0034】
活動指数は活動指数算出手段751により得点が集計されて算出される。得点には、人の動きに着目した動き得点と、人の活動場所に着目した居場所得点の2種類が設定されている。
【0035】
図5(a)は動き得点テーブル7421であり、最後に動きセンサから検出信号を受信してからの経過時間と、動き得点とを対応付けたテーブルである。動き得点は、経過時間が5分未満であれば3点、以降5分、7分が経過した時点で1点ずつ下がり、経過時間が10分以上なら0点と設定されている。
動き得点は、経過時間が長くなるほど低くなるよう重み付けされている点に特徴がある。
【0036】
図5(b)は居場所得点テーブル7422であり、各照明センサからの検出信号の受信により判定される人の居場所と、居場所得点を対応付けたテーブルである。寝室に設置された照明センサから照明装置の点灯が検出された場合の居場所得点は1点、同様に風呂なら2点、居間なら3点、廊下なら1点が設定されている。また、照明装置の消灯が検出された場合の居場所得点は、人の活動が無いとして部屋によらず0点が設定されている。
居場所得点は、部屋で専ら行われる活動の活発さを勘案して設定されている。例えば、寝室で行われる睡眠等は活発さが低いため最低点、居間で行われる趣味活動等は活発さが高いため最高点が設定されている。このように居場所得点は、部屋の役割に応じて重み付けされている点に特徴がある。
【0037】
図5(c)乃至(e)は建物重みテーブル7423であり、ある建物を基準にして、他の建物に住む家族との親密度に応じて建物ごとに設定される。設定される重みは、最小0から最大5までの6段階として設定される。
【0038】
例えば図5(c)は、両親の家に設置された安心表示ユニット(図1における符号2a)に記憶されている建物重みテーブル7423の例である。建物bは、前述のように、単身赴任先の兄のアパート、建物cは一人暮らしの妹のマンションを表している場合を例示している。
図5(c)に例示するように、両親にとっては、既に就職して独立した息子ではあるものの、単身赴任していると栄養状態等に基づく活動状況に不安を持つため、関心がそれほど低い数字ではない「3」が建物bに対して設定されている。一方、一人暮らしをしている妹については、常に大きな関心を寄せるので、最高の「5」が建物cに設定されている。
【0039】
図5(d)は、単身赴任先の兄のアパートに設置された安心表示ユニット(図1における符号2b)に記憶されている建物重みテーブル7423の例である。
図5(d)に例示するように、息子にとっては、年齢的なものもあり両親の健康状態に基づく活動状況は気になるので、高い関心度である「4」が建物aに対して設定されている。また、一人暮らしをしている妹についても高い関心度である「4」が建物cに対して設定されている。図5(d)に示す例では、兄は両親と妹の活動状況に対して同等の関心があることを示している。
【0040】
図5(e)は、一人暮らしの妹のマンションに設置された安心表示ユニット(図1における符号2c)に記憶されている建物重みテーブル7423の例である。
図5(e)に例示するように、娘にとっても、両親の健康状態に基づく活動状況は気になるので、関心度として「3」が建物aに対して設定されている。一方、単身赴任をしている兄に対しては、ほぼ無関心である「0」が建物bに対して設定されている。
【0041】
以上の図5(c)乃至(e)の例示を用いて説明したように、ある建物に住む家族は、他の建物に住む家族に対する関心度を反映した重みの値を設定して、記憶させ、後述のように、表示装置6の表示の具合に反映させることができる。
【0042】
図3に戻り、各制御装置7には、ネットワーク3において当該制御装置7を識別可能なIPアドレスが予め付与されている。記憶部74には通信相手の制御装置7のIPアドレスが予め設定されている。通信相手の制御装置7とは離れて暮らす相手が生活する建物内に設置されている制御装置7である。このIPアドレスは、利用者である家族ごとに図5(c)ないし(e)の「建物a」「建物b」「建物c」と1対1対応している。即ち、利用者にとっては建物ごとに対応して建物重みテーブル7423が定義されているように見えるが、記憶部74には制御装置7のIPアドレスと建物ごとの重みが対応するように記憶されている。
また、記憶部74には、各種センサ5のセンサIDとセンサの種別との対応関係、さらに照明センサについてはセンサIDと設置場所(人の居場所に相当)との対応関係が予めテーブル化されて設定されている。以下、このテーブルをセンサテーブル(不図示)と称する。
【0043】
制御部75は、DSP、MCU等の演算装置であり、活動指数算出手段751、通信制御手段752、表示制御量算出手段753、表示制御手段754等の動作を記述したプログラムを記憶部74から読み出して実行することにより各手段として機能する。
また、制御部は不図示の計時手段を備え、現在時刻を取得したり、タイマーを利用したりすることができる。
【0044】
活動指数算出手段751は、各種センサ5及び切替部4からの信号に基づいて建物内での人の活動状況を活動指数として算出し、算出した活動指数を通信制御手段752へ出力する。
具体的には、活動指数算出手段751は、切替部4から有人信号を受けているときは各種センサ5からの検出信号に基づいて活動指数を算出し、切替部4から無人信号を受けているときは活動指数を基準値(=0)とする。
このように建物内が無人状態のときに活動指数を基準値とするので、照明装置を点灯したまま外出してしまったときなどに基準値を超える活動指数が算出されない。そのため、建物内における人の活動の実態に合致した活動指数を算出、伝達できる。
【0045】
各種センサ5からの検出信号に基づく活動指数の算出は、重みテーブル742の各テーブルから各検出信号に対応する得点を選択し、選択された得点を合算することで行われる。検出信号が動きセンサによるものか否かは、受信した検出信号に含まれるセンサIDと対応する種別をセンサテーブルから選択することで判定できる。
【0046】
動きセンサからの検出信号に対応する動き得点の選択について説明する。
活動指数算出手段751は、動きセンサから検出信号を受信したときに受信時刻を記憶部74に記憶させておき、現在時刻と受信時刻との差を経過時間として求め、経過時間に対応する動き得点を動き得点テーブル7421から選択する。検出信号が照明センサによるものか否か、及び照明センサが点灯を検出した人の居場所は、受信した検出信号に含まれるセンサIDと対応する種別、及び設置場所をセンサテーブルから選択することで判定できる。
【0047】
上述したように動き得点は経過時間が長いほど低く設定されているので、活動指数は人の動きの有を示す検出信号が受信されてからの時間経過とともに低くなるように算出される。逆に、短い時間間隔で検出信号が受信され続ける場合は高い動き得点が選択され続けるため、活動指数は高く維持される。
動きセンサが人の動きを検出しなくなっても、多くの場合、当該人は静止してその場で活動を続け、動きは断続的に検出される。そのため、人の動きを検出されなくなると直ちに活動指数を下げるのではなく、時間経過とともに緩やかに活動指数を下げることで、建物内における人の活動の実態に合致した活動指数を算出、伝達できる。
【0048】
照明センサからの検出信号に対応する居場所得点の選択について説明する。
活動指数算出手段751は、照明センサから検出信号を受信したときに検出信号が表す照明装置の点灯状態を照明センサごとに記憶部74に記憶させておき、各照明装置の点灯状態に対応する居場所得点を居場所得点テーブル7422から選択する。
【0049】
上述したように居場所得点テーブル7422には居場所ごとの活発さに応じた居場所得点が設定されているので、活動指数は、人の活動が活発なほど高く、活発でないほど低く算出される。
そのため、建物内における居場所に応じて人の活動の実態に合致した活動指数を算出、伝達できる。
【0050】
通信制御手段752は、活動指数算出手段751により新たに活動指数が算出されたときに、算出された活動指数をネットワーク3経由にて遠隔地に設置されている通信相手の制御装置7へ送信する。すなわち通信制御手段752は、通信相手の制御装置7のIPアドレスを宛先とし算出された活動指数を同梱したパケットをネットワークI/F73へ出力する。
また、通信制御手段752は、通信相手の制御装置7からの活動指数を受信して表示制御手段754へ出力する。すなわち通信制御手段752は、ネットワークI/F73が受信したパケットを開梱して通信相手の制御装置7からのパケットと確認されれば、パケットから取得した活動指数を表示制御手段754へ出力する。
【0051】
表示制御量算出手段753は、表示制御手段754が表示装置6に表示させる表示パターンを決定するための表示制御量を算出する。
即ち、表示制御量算出手段753は、通信制御手段752から入力された、他の建物の活動指数から、建物重みテーブル7423を参照して表示制御量を算出する。
【0052】
建物aの場合について具体的に説明する。建物bから活動指数として2、建物cから活動指数として1が送信されてきたとする。表示制御量算出手段753は、建物重みテーブル7423aを参照し、建物bに対応する重みである3を読み出し、建物cに対応する重みとして5を読み出し、送信されてきた活動指数とそれぞれ乗算し、線形和を求める。
ただし、そのままでは表示制御量の最大値である5を容易に超えてしまうので、最大の重みの和である5+5=10で割り、0〜5の範囲に収まるように正規化して表示制御量とする。即ち、(2×3+1×5)/10=1.1が表示制御量となる。
【0053】
また別の例として、建物bの場合について具体的に説明する。建物aから活動指数として5、建物3から活動指数として4が送信されてきたとする。表示制御量算出手段753は、建物重みテーブル7423bを参照し、建物aに対応する重みである4を読み出し、建物cに対応する重みとして4を読み出し、送信されてきた活動指数とそれぞれ乗算し、線形和を求め、最大の重みの和である10で割り、0〜5の範囲に収まるように正規化して表示制御量とする。即ち、(5×4+4×4)/10=3.6が表示制御量となる。
建物cの場合も同様に、建物重みテーブル7423cを参照して表示制御量を求めることができる。
【0054】
表示制御手段754は、表示装置6を制御して、表示制御量算出手段753が算出した表示制御量に応じた表示を行わせる。すなわち表示制御手段754は、表示制御量算出手段753が算出した表示制御量に対応する表示パターンを表示用テーブル741から選択し、選択した表示パターンに応じた制御信号を表示装置6へ出力する。
【0055】
重み設定操作部76は、タッチパネルにより実現される入力部である。テンキーと液晶画面の組み合わせでもよい。
各建物に備え付けられた安心表示ユニット2を操作する家族が、他の建物に住む家族に対する親密度に基づいた重みを入力する。入力にあたっては、例えば建物aの家族は「建物bに対する重みを入力してください」という表示メッセージに従い、重みを入力し、制御部75は、入力された重みを建物重みテーブル7423に記憶する。他の全ての建物について入力し終わったら、設定終了となる。
【0056】
なお、建物重みテーブル7423の設定を自分が思う親密度に基づいて設定する代わりに、他の建物について、その建物に住む家族の人数を反映して設定してもよい。例えば、6人家族のうち3人が住む建物に5、2人が住む建物に3、1人が住む建物に1を設定することができる。これは安全表示システム1の設置時に、初期設定のひとつとして入力しておけばよい。これにより、人数が多く住む建物の情報を重視した表示が出来る効果がある。
【0057】
また人数に応じて建物重みテーブル7423を設定する場合、上記のように手動での初期設定をする代わりに自動的に設定してもよい。例えば、各種センサ5の出力を参照し、日々の出力量の平均から自動的に人数を計数し、人数に応じて建物重みテーブル7423に設定することもできる。これにより、機械操作が苦手な高齢者などが煩雑な設定操作なしに、人数が多く住む建物の情報を重視した表示が出来る効果がある。
【0058】
表示装置6は他の家族の活動状態の程度を、設定した重みを反映させて光量や色温度の違いで表示するので、光の明滅や音、映像とは異なり過度に注意を惹きつけたり生活を妨害したり相手のプライバシーを侵害したりせず、遠隔地の建物における家族の活動の様子をさりげなく表示できる。
【0059】
また、表示装置6は3以上の段階で表示するので、人の活動による変化を視認させることができ、遠隔地の建物において家族が活動していることを実感させることができる。
更に、表示装置6にて表示される表示パターンは、それを視認する家族が思うところに従って設定した他の家族に対する親密度を反映しているので、特に活動状況を表示させたい家族に重点をおいたものとして表示され、上記の実感をよりいっそう高めることができる。
【0060】
次に、図6を参照して安心表示システム1の動作を説明する。
【0061】
制御装置7の制御部75は、起動されるとまず各部、各手段を初期化する(S1)。活動指数は0に初期化される。また、活動指数の更新周期(例えば1分間)をセットしてタイマーをスタートさせる。初期化後、制御部75はS2〜S10の処理を繰り返し行う。
【0062】
S2〜S7の処理が実行されるとき、制御装置7は送信側制御装置として動作し、当該制御装置が設置された建物内における家族の活動指数を定期的に算出して送信する。
【0063】
まず、制御部75の活動指数算出手段751は、各種センサ5からの検出信号を受信しているか確認し(S2)、受信していればその受信記録を生成する(S3)。すなわち動きセンサのいずれかからの検出信号であれば受信時刻(動きセンサの別を問わない共通の記録)を記憶部74に記憶させ、照明センサからの検出信号であれば検出された状態が点灯か消灯かを照明センサごとに記憶部74に記憶させる。
【0064】
次に、活動指数算出手段751は、タイマーを参照して更新時刻の到来を確認し(S4)、到来していれば活動指数の算出を行う(S5)。
【0065】
図7を参照して活動指数算出処理の詳細を説明する。
【0066】
まず、活動指数算出手段751は切替部4からの信号を確認し(S50)、信号が無人状態を表す無人信号であれば活動指数を基準値の0とする(S51)。
一方、信号が有人状態を表す有人信号であれば、活動指数算出手段751はS52〜S63の処理を実行して各種センサ5からの検出信号に応じた活動指数を算出する。
【0067】
S52〜S55では、動きセンサからの検出信号に応じた活動指数が算出される。
すなわち、活動指数算出手段751は、図6のS3にて生成された受信記録の中に動きセンサの受信記録があるか確認し(S52)、受信記録があれば現在時刻と受信時刻の差を経過時間として算出し(S53)、経過時間に対応した動き得点を動き得点テーブル7421から選択する(S54)。一方、受信記録がない場合、活動指数算出手段751は動き得点を0とする(S55)。
【0068】
S56〜S60では、照明センサからの検出信号に応じた活動指数が算出される。
すなわち、活動指数算出手段751は、照明センサについてのループ処理を設定し(S56,S60)、各照明センサについて図6のS3にて生成された受信記録を参照して対応する部屋の照明装置が点灯しているか消灯しているかを判定し(S57)、判定結果に対応した居場所得点を居場所得点テーブル7422から選択して(S58)、選択した居場所得点を順次累積する(S59)。
【0069】
こうして全てのセンサ5について処理を終えると、活動指数算出手段751はS54にて選択された動き得点とS59にて算出された居場所得点の累積値を合算して活動指数を算出する(S61)。このとき算出された活動指数が最大値の5を超えていれば(S62−はい)、活動指数を5に修正する(S63)。
【0070】
図6に戻り、制御部75の活動指数算出手段751は算出された活動指数を記憶部74に記憶させ(S6)、制御部75の通信制御手段752は算出された活動指数を、他の建物に設置された他の制御装置7へ送信する(S7)。活動指数はネットワーク3により通信相手の制御装置7に伝送される。
【0071】
S8〜S11の処理が実行されるとき、制御装置7は受信側制御装置として動作し、遠隔地にて算出された活動指数を受信して表示を行う。
【0072】
すなわち、制御部75の表示制御量算出手段753は通信相手の制御装置7から活動指数を受信しているか確認し(S8)、受信していれば受信した活動指数に応じて表示制御量を算出する(S9)。
次に、表示制御手段754は、表示制御量算出手段753が算出した表示制御量に従い、表示パターンを表示用テーブル741から選択して(S10)、選択した表示パターンに応じた制御信号を表示装置6へ出力する(S11)。表示装置6は発光部を制御信号に対応する表示パターンにて点灯させる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態である安心表示システム1の構成例を示す図
【図2】安心表示システム1の各部の配置の一例を示す図
【図3】制御装置7の構成例を示す図
【図4】表示用テーブル741の一例を示す図
【図5】重みテーブル742の一例を示す図
【図6】安心表示システム1の動作例を示すフローチャート
【図7】活動指数算出手段751の動作例を示すフローチャート
【符号の説明】
【0074】
1・・・安心表示システム、
2・・・安心表示ユニット、
3・・・ネットワーク、
4・・・切替部、
5・・・各種センサ、
6・・・表示装置、
7・・・制御装置、
74・・・記憶部、
741・・・表示用テーブル、
742・・・重みテーブル、
751・・・活動指数算出手段、
752・・・通信制御手段、
753・・・表示制御手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内に設置され利用者の活動を検出して検出信号を出力するセンサと、
前記センサからの検出信号から前記利用者の活動の活発さを表す活動指数を算出し、ネットワークを介して遠隔地の受信側制御装置に送信する複数の送信側制御装置と、
前記複数の送信側制御装置から前記活動指数を受信すると当該活動指数に応じた表示を行う表示装置を制御する受信側制御装置と、
を具備する安心表示システムであって、
前記受信側制御装置は、
前記複数の送信側制御装置から前記活動指数を受信する通信制御手段と、
前記通信制御手段により受信された前記送信側制御装置ごとの活動指数および該送信側制御装置ごとに設定された重みを記憶している記憶部と、
所定時間ごとに、前記記憶部に記憶されている各送信側制御装置の活動指数および該送信側制御装置に対応付けられた重みから表示制御量を算出する表示制御量算出手段と、
前記表示制御量を用いて前記表示装置を制御する表示制御手段と、
を有することを特徴とした安心表示システム。
【請求項2】
前記表示装置は色温度が異なる複数の表示パターンにて発光可能な発光部を具備し、
前記表示制御手段は、前記表示制御量に応じて前記発光部の色温度を制御する請求項1に記載の安心表示システム。
【請求項3】
前記表示装置は光量が異なる複数の表示パターンにて発光可能な発光部を具備し、
前記表示制御手段は、前記表示制御量に応じて前記発光部の光量を制御する請求項1または請求項2に記載の安心表示システム。
【請求項4】
更に、前記受信側制御装置は、利用者が前記送信側制御装置ごとの重みを設定操作する重み設定操作部を有し、
前記記憶部は前記重み設定操作部から設定された重みを記憶する請求項1乃至請求項3に記載の安心表示システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−122914(P2010−122914A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296099(P2008−296099)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】