説明

定抵抗負荷を用いるバッテリテスタを模擬(シミュレート)するための装置及び方法

【課題】日本工業規格(JIS)に基づいて分類される日本の電池の強度を評価する、広く用いられている日本の負荷テスタ等の定抵抗負荷を用いるバッテリテスタを模擬するための方法及び装置を提供する。
【解決手段】本発明は、大きな電流負荷を掛けることなく該装置を模擬し、通常のよくある結果を出し、既存のデータベースを利用し、より確実なテストを提供する。この方法は、測定したバッテリの動的パラメータ、開放電圧、負荷テスタの負荷抵抗値、およびバッテリの温度の関数として、バッテリの負荷テスト電圧を推定することを含む。該バッテリのバウンスバック電圧(BBV)も予測する。該BBV、負荷電圧及びバッテリ温度を用いて、該バッテリの強度を評価する。さらに、1つの実施例では、完全に放電されたバッテリのテスト結果をより正確にするために、実際には再充電することなく放電されたバッテリを再充電する結果を予測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓄電池のテストに関する。より詳しくは、本発明は、日本工業規格(JIS)に基づいて分類される日本の電池の強度を評価するために広く用いられている日本の負荷テスタ等の定抵抗負荷を用いるバッテリテスタの模擬(simulating)に関する。本発明は、大きな電流負荷を掛けることなく該装置を模擬し、通常のよくある結果を出し、既存のデータベースを利用し、より確実なテストを提供する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、バッテリの健全性の判断はバッテリの評価規格に基づいて行われる。日本のバッテリ製造業者は日本工業規格(JIS)に従ってバッテリの設計及び製造を行う。自動車の始動、点灯及び点火等の目的で用いられる鉛酸蓄電池はJIS規格D5301で規定されている。この規格は、JIS規格のバッテリの性能、試験、構造及び尺度のラベリングを定めるものである。
【0003】
日本のバッテリテスタの1つのタイプとして、抵抗型負荷下でのバッテリ電圧およびその後の回復電圧を測定し、JIS規格のバッテリとしてのサービスの実行可能性を見るものがある。該テスタは、JIS規格番号で区分されるバッテリ寸法の幾つかの範囲、および複数の温度範囲に対応できる。バッテリは、その応答に応じて「良」、「まもなく交換」、「交換」等と判断される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このテスタは、相当な速さでバッテリを放電する定負荷抵抗器であるため(例えば150アンペアで5〜6秒)、かなり大型であり、またテストを繰り返すと熱くなる場合がある。さらに、負荷および回復時間が完了するのを待つのに適度な時間がかかり、またバッテリの充電量が消耗する。さらに、このテスタはバッテリと直接接続されない電圧検出リードを有するため、バッテリ端末で電圧を正確に読み取るには、ケーブルがオーム的(ohmically)に完璧で電流が正確にわからなければならない。また、テスタがテストするバッテリから電力を供給される場合、高負荷によって弱いまたは放電されたバッテリは消耗され、テスタは制御回路の動作を維持するための十分な電力を失い、リセットされる。
【0005】
従って、より制御しやすいテスト技術を用いる、上述の日本の負荷テスタ及び他の同様の負荷テスタが提供されることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
日本工業規格(JIS)に基づいて分類される日本の電池の強度を評価する、広範に用いられている日本の負荷テスタ等の定抵抗負荷を用いるバッテリテスタを模擬するための方法及び装置を提供する。
【0007】
本発明は、大きな電力負荷を掛けることなく前述のような装置を模擬し、通用のよくある結果を出し、既存のデータベースを利用して、より確実なテストを提供する。この方法は、測定したバッテリの動的パラメータ、開放電圧、負荷テスタの負荷抵抗値、およびバッテリの温度の関数として、バッテリの負荷テスト電圧を推定することを含む。該バッテリのバウンスバック電圧(BBV:bounceback voltage)も予測する。バウンスバック電圧、負荷電圧及びバッテリ温度を用いて、該バッテリの強度を評価する。さらに、実質的に放電されたバッテリのテスト結果をより正確にするために、実際には再充電せずに、放電されたバッテリを再充電する結果を予測する。
さらに、本発明の装置及び方法は、各寸法区分の基準CCA(Cold Cranking Amps)の範囲を用いることで、JIS規格外のバッテリに用いることも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、日本工業規格(JIS)に基づいて分類される日本のバッテリの強度を評価する日本の負荷テスタ等の、定抵抗負荷を用いるバッテリテスタを模擬する装置及び方法を提供する。本発明のバッテリテスタは、日本工業規格(JIS)に従って評価されるバッテリの、コンダクタンス等の動的パラメータを評価し、模擬されるテスタの負荷の抵抗、JIS規格のバッテリの開放電圧(open circuit voltage)及び温度と共に、JIS寸法区分番号の分類に従ってJIS規格のバッテリの強度を評価するために用いられる算出値を出力する。さらに、該テスタは、各寸法区分の基準CCA(Cold Cranking Amps)範囲を用いることによりJIS規格外のバッテリにも用いることができる。
【0009】
図1は、本発明の1つの実施形態に係るバッテリテスト回路16の簡略化されたブロック図である。図1において、装置16は、正端子22及び負端子24を有するバッテリ12と連結されている。バッテリ12は、JIS規格のバッテリでも、またはCCA規格のバッテリ等、JIS規格外のバッテリでもよい。
【0010】
好ましい実施例では、回路16は、以下に述べられるような例外および追加を含む、チャンプリン博士(Dr. Champlin)およびミッドトロニクス インコーポレイテッド(Midtronics, Inc.)などによって取得されている米国特許の1つまたは複数に述べられているバッテリテスト方法によって作動する。
【0011】
回路16は、本発明の1つの実施形態に従って作動し、バッテリ12のコンダクタンス(G)、バッテリ12の端子22、24間の開放電圧(OCV)、およびバッテリ12のバウンスバック電圧(bounceback voltage)(バッテリが負荷から開放された時から一定時間(例えば3秒)が経過するまでの電圧の変化)を測定する。回路16は、電流源50、差動増幅器52、A/D変換器54、及びマイクロプロセッサ56を備える。増幅器52は、コンデンサC、Cを介してバッテリ12に容量結合される。増幅器52は、A/D変換器54の入力と接続される出力を有する。マイクロプロセッサ56は、システムクロック58、メモリ60、及びA/D変換器54と接続されている。また、マイクロプロセッサ56は、入力装置66、68からの入力を受け取ることもできる。さらに、マイクロプロセッサ56は出力装置72にも接続されている。
【0012】
作動すると、電流源50はマイクロプロセッサ56によって制御され、図1の矢印で示される方向に電流Iを供給する。1つの実施形態において、これは方形波またはパルスである。差動増幅器52は、各コンデンサC、Cを介してバッテリ12の各端子22、24とそれぞれ接続され、端子22、24間の電圧電位差に関する出力を提供する。1つの好適な実施形態において、増幅器52は高い入力インピーダンスを有する。回路16は、各端子24、22にそれぞれ接続される反転および非反転入力を有する差動増幅器70を備える。増幅器70は、端子22、24間におけるバッテリ12のOCVを測定するよう接続される。増幅器70の出力はA/D変換器54に供給され、端子22、24間の電圧がマイクロプロセッサ56で測定される。
【0013】
回路16は、ケルビン接続として周知の4点接続技術によってバッテリ12へ接続されている。このケルビン接続により、電流Iが第1の対の端子を介してバッテリ12に注入され、端子22、24間の電圧Vが第2の対の接続によって測定される。増幅器52を流れる電流がほんのわずかであるため、増幅器52への入力間の電圧降下は、バッテリ12の端子22、24間の電圧降下と実質的に同じである。差動増幅器52の出力はディジタル形式に変換され、マイクロプロセッサ56に提供される。マイクロプロセッサ56は、システムクロック58で決定された周波数で、メモリ60に格納されるプログラムの指示に従って作動する。
【0014】
マイクロプロセッサ56は、電流源50を用いて電流パルスIを印加することによって、バッテリ12のコンダクタンスを測定する。マイクロプロセッサ56は、増幅器52及びA/D変換器54を用いて電流パルスIによるバッテリ電圧の変化を測定する。電流源50によって生成される電流Iの値は既知であり、メモリ60内に格納されている。マイクロプロセッサ56は次の式を用いてバッテリ12のコンダクタンスを算出する。

Conductance=G=ΔI/ΔV (式1)
【0015】
ここで、ΔIは電流源50によりバッテリ12を流れる電流の変化、ΔVは印加される電流ΔIによるバッテリ電圧の変化を示す。本発明の1つの好適な実施形態において、バッテリ12の温度は、例えばテスタ使用者によって入力装置66から入力される。別の実施形態では、バッテリ12と温度的に結合可能な、マイクロプロセッサ56と結合される温度センサ74を回路16に備えることにより、バッテリ12の温度を測定して、該バッテリ温度の測定値をマイクロプロセッサ56に提供する。1つの実施形態では、バッテリの温度は、バッテリの外部からの赤外線信号を用いて測定される。また、マイクロプロセッサ56は、例えば操作者が入力装置66から提供する他の入力情報を用いることもできる。この情報には、バッテリの具体的な種類、位置、時間、操作者名、バッテリの寸法区分番号、バッテリ温度などが含まれる。
【0016】
マイクロプロセッサ56の制御の下で、バッテリテスタ16は、バッテリ12の負荷電圧を、バッテリのコンダクタンスG(式1)、OCV、模擬されるテスタ負荷の抵抗、及びバッテリ温度の関数として推定する。さらに、バッテリテスタ16は、上述の通り、バッテリのバウンスバック電圧を予測する。バッテリテスタ16のマイクロプロセッサ56は、バウンスバック電圧、負荷電圧、及びバッテリ温度を用いて、JIS寸法区分番号の分類に従ってバッテリの強度を評価する。バッテリ12のバウンスバック電圧および負荷電圧を推定するためにバッテリテスタ16が用いるアルゴリズムの一例の導出について、以下に詳述する。以下に示すアルゴリズムは、一般的な日本のバッテリ負荷テスタの分析により導出されたものである。
【0017】
日本の負荷テスタの分析
日本の負荷テスタでは、使用者はケーブルクランプをバッテリに接続した後、バッテリの寸法及び温度を入力する必要がある。そして、使用者がスタートボタンを押すと、テスタは5〜6秒間、バッテリに負荷を与え、その後、負荷電圧(LV)を記録する。そして、テスタは2.5秒後にバウンスバック電圧または回復電圧を見て、該バッテリに関する判断を行う。
【0018】
上記のように、使用者は、バッテリの寸法を入力する。具体的には、クランキング電力幅が徐々に増加する10段階の寸法区分(0〜9)をバッテリに入力する。ただし、各区分はテスタにプリントされる様々なJISバッテリ番号と厳密に結び付いている。下記の表1は様々な寸法区分の範囲を示す。
【0019】
【表1】

【0020】
上記のように、使用者は寸法区分に加えて温度も入力する。温度は、4区分で使用者により入力される(表2参照)。
【0021】
【表2】

【0022】
バッテリが負荷を受けている間にテスタを作動する十分な電圧を供給するなら、テスタは、回復後に、低電圧と報告される11.5ボルト(V)まで降下させたバッテリのテストを可能にする。実際に電圧が非常に低くなった場合、負荷テスタはリセットするだけであり、何も報告しない。
【0023】
このタイプのテスタに関する寸法区分(0〜9)と温度(℃)との基本的な関係は、次の関係を有する。
【0024】
良好な電圧の場合(Vgボルト):

Vg=8.8+0.1×GroupSize+0.02×TempC (式2)

ここで、GroupSize=バッテリの寸法区分(上記表1)、TempC=バッテリの摂氏温度(上記表2)である。
【0025】
電圧を交換する場合(Vrボルト):

Vr=Vg−0.3 (式3)

ただし、バッテリは放電または他の問題を伴う場合があるため、測定された回復電圧またはバウンスバック電圧(BBV)を評価し、寸法区分の基準及び温度と組み合わせて次のような結果を出す(下記表3を参照)。
【0026】
【表3】

【0027】
本発明によるバッテリテスタのアルゴリズム例
上記のように、本発明のバッテリテスタは、バッテリのOCV、コンダクタンス、及び温度(測定または使用者が入力)の測定値を用いて負荷電圧(LV)を予測することによって機能する。
負荷電圧をボルトで予測するために、次の関係が用いられる。

LV=Vact−I×R (式4)

ここで、Vact=活性化電圧、I=負荷電流、R=バッテリ抵抗である。

Vact=K1×OCV2+K2×OCV+K3×TempC−K4 (式5)

ここで、K1、K2、K3及びK4は定数であり、その値は模擬されるバッテリテスタの種類に基づいて選択される。
【0028】
バッテリのコンダクタンス(G)は、式1を用いて前記の通り測定される。バッテリの抵抗は、100Hzで測定されたコンダクタンスを用いて、次の式により推定される。

R=K5/G+K6 (式6)

ここで、K5及びK6は定数である。ただし、日本のテスタは定負荷抵抗を用いるため、電流はバッテリの抵抗によって変動する。従って、負荷電流は最初に推定する必要がある。
これは、次の関係を用いて行うことができる。

I=Vact/(R+R1) (式7)

ここで、R1は負荷テスタの抵抗をオームで推定したものである。
【0029】
一般的に、負荷は110〜160アンペアの間で変動することがわかっている。110アンペアより低い場合、負荷テスタはリセットされる。従って、負荷電圧を推定して、これをバッテリ強度の評価に用いることができる。
【0030】
さらに、開放電圧及び温度を用いて、二次方程式によって回復電圧またはバウンスバック電圧(BBV)を推定できることがわかっている。

BBV=K7×OCV+K8×OCV−K9+K10×(TempC−K11)
(式8)

ここで、K7、K8、K9、K10及びK11は定数である。
【0031】
従って、これらの計算(式1及び4〜8)を用いることにより、高負荷を掛けることなく、日本の負荷テスタによって得られる値を予測することができる。
【0032】
図2は、本発明の1つの実施形態に従ってバッテリテスタ16をプログラムする方法のステップを示すフローチャート100である。フローチャート100に示すように、ステップ102で、バッテリのコンダクタンス、温度、及びOCVから負荷電圧を推定するための数学的関係が確立される(上記式1及び4〜7)。ステップ104で、バッテリのバウンスバック電圧を推定するための数学的関係が確立される(式8)。ステップ106で、これらの数学的関係がバッテリテスタ16のメモリ60にプログラムされる。この時点で、バッテリテスタ16は、バッテリの負荷電圧及びバウンスバック電圧を推定し、該推定したバウンスバック電圧、負荷電圧、及びバッテリ温度を用いてJIS寸法区分番号の分類に従ってバッテリの強度を評価する用意が整う。
【0033】
図3は、本発明の1つの実施形態に従ってバッテリをテストする方法のステップを示すフローチャート150である。ステップ152で、バッテリの動的パラメータを測定する。ステップ154で、バッテリの開放電圧を得る。ステップ156で、バッテリの温度を得る。ステップ157で、テスタの負荷抵抗値を設定する。これは、模擬する負荷テスタに適当な所定の負荷抵抗値である。ステップ158で、バッテリの負荷電圧を、測定したバッテリの動的パラメータ、バッテリの開放電圧、負荷抵抗及びバッテリ温度の関数として推定する。ステップ160で、バッテリのバウンスバック電圧を予測する。ステップ162で、バウンスバック電圧、負荷電圧、及びバッテリ温度を用いてJIS寸法区分番号の分類に従ってバッテリの強度を評価する。本発明の範囲及び精神を逸脱することなく、実質的に同様の機能を維持しながら、異なる技術を用いて図3のフローチャートに示すステップを実行することも可能であり、その幾つかは上述されている。
【0034】
さらに、本発明のテスタからは負荷が掛からないため、該テスタは、標準的な負荷テスタであればリセットされるエリアにおいても判定を行うことができ、標準的な負荷テスタより改良されている。特に、バウンスバック電圧が11.5V以上で、負荷電圧が極めて低い(<7V)場合、該バッテリが「不良/交換」の要因になることは確実である。バウンスバック電圧が11.5Vより低く、OCVが11Vを超え、負荷電圧がVrより低く推定された場合、判断は延期され、該バッテリは「充電して再テスト」のカテゴリーに入れられる。さらに、テスタは、OCVが11Vより低い場合、重要なコンダクタンスを見つけることによってショートする可能性のあるバッテリを検出することができる。これらは「不良/交換」のカテゴリに入れられる。電圧が極めて低い場合でコンダクタンスがほとんど存在しない場合、該バッテリは「充電して再テスト」のカテゴリーに入れられる。改良された、より具体的な比較及び結果を下記の表4に示す。
【0035】
【表4】

【0036】
前記の本発明による実施形態の例はバッテリのコンダクタンスの測定値に基づく負荷電圧の推定に関するものだが、本発明の精神及び範囲を逸脱することなくバッテリのコンダクタンス以外の動的パラメータを用いることも可能である。他の動的パラメータの例としては、動的抵抗、アドミタンス、インピーダンス、リアクタンス、サセプタンス、またはこれらの組み合わせ等がある。本発明の好適な実施形態において、バッテリテスタ16は比較的小型で携帯できるものである。
【0037】
前記の本発明による実施形態は主に、日本の負荷テスタの模擬に関して説明したものである。しかし、本発明の意義は必ずしも日本のテスタを模倣することではなく、一般的に、定抵抗負荷を用いるあらゆるテスタを模倣することである。一般的に、定抵抗負荷を用いるテスタの模擬には、(1)バッテリからどれ位の電流が流れるかを測定し(上記式7)、(2)かかる負荷の下でバッテリがどれ位の電圧に達するかを測定する(上記式4)、2段階のプロセスがある。従来技術のアルゴリズムの多くは、負荷電流を規定して電圧を予測ことを前提としている。
【0038】
追加の実施例
前述の電子バッテリテスタの実施例は、日本のバッテリテスト市場において一般的に使用されている負荷テスタを模擬することができる。前述のように、これらのバッテリテスタの実施例は、実際の負荷を掛けることなく負荷テストの結果を極めて良好に複製することができる。
【0039】
負荷テスタおよび前述の模擬負荷テスタの実施例のどちらにおいても、バッテリが実質的に放電されていると、テスト結果は、不都合な影響を受けることがある。したがって、さらに以下に図4に関して述べる実施例においては、前述の負荷テスト模擬装置の実施例が、実際には放電されたバッテリを再充電することなく、再充電後の結果を予測できるように変更されている。
【0040】
この変更は、バッテリの開放電圧および温度(f(OCV,Temp))に基づいてバッテリのコンダクタンスを補償するための関数を使用することによりなされる。放電されたバッテリは、通常は、低いコンダクタンス値を有するので、この関数は、完全に充電されたバッテリのコンダクタンス値まで上昇させたコンダクタンス値を予測する。(いくつかの実施例では約12.8Vである)完全に充電されたバッテリの電圧に接続された、この予測値は、完全に充電された時の負荷電圧の予測値を生成するために、前述のアルゴリズムの中に入れられる。それから、回復またはバウンスバック電圧を、完全充電時のパラメータを用いて計算する。これらの2つの電圧が、バッテリカテゴリの基準を順次通過すると、バッテリは、適切に再充電された後に、良好であると判断されることができる。
【0041】
図4は、本発明の実施例による放電補償を備えた負荷テスタ模擬方法のフローチャート400である。ステップ402で、バッテリの動的パラメータを測定する。ステップ404で、バッテリの開放電圧を取得する。ステップ406で、バッテリの温度を取得する。ステップ410で、バッテリの完全充電動的パラメータおよび完全充電OCVを推定する。ステップ412で、推定した充電されたバッテリの動的パラメータ、充電されたバッテリの開放電圧、テスタの負荷抵抗、およびバッテリの温度の関数として、バッテリの負荷電圧を推定する。その後、ステップ414で、バッテリの完全充電バウンスバック電圧を予測する。ステップ416で、完全充電バウンスバック電圧および第2の負荷電圧を用いて、バッテリの強度を評価する。
【0042】
図4に関連して説明された前述の実施例は、図1に示されたものと類似のバッテリテスタを用いて実行することができる。しかしながら、図4の実施例を実行するために、マイクロプロセッサ56は、メモリ60に記憶されたプログラミング命令で作動するように構成されており、それらは、図4の方法を実施するように変更されている。
【0043】
本発明は好適な実施形態を参照して説明したが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく形式及び詳細の変更が可能であることは認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係るバッテリテスト回路を示す簡略化された模式図である。
【図2】本発明に係るバッテリテスタをプログラムする方法のステップを示す簡略化されたブロック図である。
【図3】本発明に係るバッテリをテストする方法のステップを示す簡略化されたブロック図である。
【図4】本発明の実施例による放電補償を備えた負荷テスタ模擬方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
12……バッテリ、16……バッテリテスト回路、22……正端子、24……負端子、50……電流源、52……差動増幅器、54……A/D変換器、56……マイクロプロセッサ、58……システムクロック、60……メモリ、66,68……入力装置、70……増幅器、72……出力装置、74……、バッテリ12と温度的に結合可能な、マイクロプロセッサ56と結合される、C、C……コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ評価規格を用いてバッテリをテストする方法であって、
(a)バッテリの動的パラメータを測定するステップと、
(b)前記バッテリの開放電圧を得るステップと、
(c)前記バッテリの温度を得るステップと、
(d)所定の負荷抵抗値を設定するステップと、
(e)前記バッテリの完全充電動的パラメータおよび完全充電開放電圧を推定するステップと、
(f)前記推定した充電されたバッテリの動的パラメータ、前記充電されたバッテリの開放電圧、負荷抵抗値及びバッテリ温度の関数として、前記バッテリの負荷電圧を推定するステップと、
(g)前記完全充電バッテリのバウンスバック(bounceback)電圧を予測するステップと、
(h)前記完全充電バウンスバック電圧、負荷電圧を用いて、前記バッテリの強度を評価するステップとを含む方法。
【請求項2】
ステップ(d)における前記所定の負荷抵抗値の設定が、模擬される負荷テスタにとって適当な負荷抵抗値を設定することを含む請求項1の方法。
【請求項3】
ステップ(a)における前記動的パラメータの測定が、印加される電流パルスに対するバッテリの応答を測定することを含む請求項1の方法。
【請求項4】
前記測定されるバッテリの動的パラメータ値がバッテリのコンダクタンスである請求項1の方法。
【請求項5】
前記測定されるバッテリの動的パラメータ値がバッテリの抵抗値である請求項1の方法。
【請求項6】
電子バッテリテスタであって、
バッテリの正端子に結合するように構成された正コネクタと、
前記バッテリの負端子に結合するように構成された負コネクタと、
前記バッテリの開放電圧を測定するよう構成される電圧センサと
前記バッテリの温度を得るよう構成される入力と、
バッテリテスト回路とを具備し、
該バッテリテスト回路が、
(a)第1及び第2のコネクタを用いて前記バッテリの動的パラメータを測定し、
(b)前記バッテリの完全充電動的パラメータおよび完全充電開放電圧を推定し、
(c)前記推定した充電されたバッテリの動的パラメータ、前記充電されたバッテリの開放電圧、負荷抵抗値及びバッテリ温度の関数として、前記バッテリの負荷電圧を推定し、
(d)前記バッテリの完全充電バウンスバック電圧を予測し、
(d)前記完全充電バウンスバック電圧および前記負荷電圧を用いて前記バッテリの強度を評価するよう構成された電子バッテリテスタ。
【請求項7】
前記入力が使用者から前記バッテリ温度を得るよう構成された請求項6の装置。
【請求項8】
前記入力が温度センサから前記バッテリ温度を得るよう構成された請求項6の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−80814(P2007−80814A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−233566(P2006−233566)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(501397528)ミッドトロニクス インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】