説明

定着装置および画像形成装置

【課題】
本発明は、定着装置に組み込まれた、加熱および加圧された直後の用紙の通過を検出する用紙検出器における雑音の低減を目的とする。
【解決手段】
一対の定着ロールの間を通過してきた用紙と干渉する第1の姿勢と第1の姿勢から回転した第2の姿勢との間で姿勢を変える第1の部材と、第3の姿勢と第4の姿勢との間で姿勢を変える第2の部材と、第2の部材の姿勢を検出するセンサと、第1の部材と第2の部材とを連結する連結軸と、第1の部材が第2の姿勢から第1の姿勢に変化させる向きに連結軸を付勢する付勢部材と、筐体の内面から定着ロールの回転軸方向に片持ち梁形状に突出した形状を有し、第2の部材を受け止めて、連結軸を介して第1の部材を第1の姿勢に静止させる受け部材とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
定着装置に組み込まれ、あるいは画像形成装置を構成する定着装置に組み込まれ、加熱および加圧された直後の用紙の通過を検出する用紙検出器が知られている。
【0003】
搬送中の用紙の通過を検出する用紙検出器としては、例えば以下のような検出器が知られている。
【0004】
例えば、搬送経路を通過する用紙によって押されて姿勢が変わる検出レバーを備え、その検出レバーの姿勢の変化を光センサで検出することで用紙の通過を検出する検出部が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、検出レバーにおける、画像形成装置の分解等の際に他部品とぶつかり易い部分が、この検出レバーの途中から折れ曲がって動けるように構成されることが記載されている。
【0005】
また、例えば、2つの用紙トレイそれぞれから延びた2つの搬送経路それぞれに、通過中の用紙によって押されて姿勢が変わる検出レバーを備えた検出部が知られている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2には、これら2つの検出レバーを互いに連動するように構成し、一方の検出レバーの姿勢の変化のみを光センサで検出することで2つの搬送経路双方での用紙の通過を検出することが記載されている。
【0006】
また、例えば、定着器から用紙の排出口へと向かう搬送経路に、通過中の用紙によって押されて姿勢が変わる検出レバーを備え、その検出レバーの姿勢の変化を光センサで検出することで用紙の通過を検出する検出部が知られている(例えば、特許文献3参照。)。特許文献3には、紙詰まりの際に、詰まった用紙の除去のためにユーザによって定着器のカバーが開けられると、検出レバーがそのカバーと一緒に移動することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−343048号公報
【特許文献2】特開2002−154695号公報
【特許文献3】特開2007−297141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、定着装置に組み込まれ、あるいは画像形成装置を構成する定着装置に組み込まれ、加熱および加圧された直後の用紙の通過を検出する用紙検出器における雑音の低減を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1は、
トナー像が形成されて搬送されてきた用紙を間に挟んで回転しながら加熱および加圧することによりトナー像を用紙上に定着する一対の定着ロールと、
用紙の通過を検出する用紙検出器と、
用紙搬入口および用紙搬出口を形成して一対の定着ロールの周囲を取り巻く周囲壁と一対の定着ロールの回転軸方向端部を覆う端壁とを有し、一対の定着ロールと用紙検出器を収容する筐体とを備え、
上記用紙検出器が、
一対の定着ロールの用紙出口側に配置され一対の定着ロールの間を通過してきた用紙と干渉する第1の姿勢と用紙に押されて第1の姿勢から回転した第2の姿勢との間で姿勢を変える第1の部材と、
端壁近傍に配置され端壁に沿って回転することにより、第1の姿勢に対応する第3の姿勢と第2の姿勢に対応する第4の姿勢との間で姿勢を変える第2の部材と、
第2の部材が第3の姿勢にあるか第4の姿勢にあるかを検出するセンサと、
回転軸方向に延びて第1の部材と第2の部材とを連結し、第1の部材の第1の姿勢と第2の姿勢との間の姿勢変化に伴って回転して第2の部材の姿勢を第3の姿勢と第4の姿勢との間で変化させる連結軸と、
第1の部材を第2の姿勢から第1の姿勢に変化させる向きに連結軸を付勢する付勢部材とを備え、
筐体が、端壁内面から回転軸方向に片持ち梁形状に突出した形状を有し、第4の姿勢から第3の姿勢に変化してきた第2の部材を受け止めて、連結軸を介して第1の部材を第1の姿勢に静止させる受け部材を有する定着装置である。
【0010】
請求項2は、請求項1において、上記受け部材が、その受け部材を第2の部材の回転面で断面したときに第2の部材の回転方向に相対的に長く回転半径方向に相対的に短い断面形状を有する部材である定着装置である。
【0011】
請求項3は、請求項1又は2において、上記センサが、第2の部材の、センサの検出領域内への進退を検出する光電センサであり、上記筐体が樹脂成型品であって、上記周囲壁の受け部材と対面する部分に、受け部材成型に起因して形成された開口を有し、その開口の、少なくとも一部領域が塞がれている定着装置である。
【0012】
請求項4は、搬送中の用紙上にトナー像を形成するトナー像形成装置と、トナー像形成装置を経由して搬送されてきた用紙上のトナー像を該用紙上に定着する定着装置とを備え、上記定着装置が、
トナー像が形成されて搬送されてきた用紙を間に挟んで回転しながら加熱および加圧することによりトナー像を用紙上に定着する一対の定着ロールと、
用紙の通過を検出する用紙検出器と、
用紙搬入口および用紙搬出口を形成して一対の定着ロールの周囲を取り巻く周囲壁と一対の定着ロールの回転軸方向端部を覆う端壁とを有し、一対の定着ロールと用紙検出器を収容する筐体とを備え、
上記用紙検出器が、
一対の定着ロールの用紙出口側に配置され一対の定着ロールの間を通過してきた用紙と干渉する第1の姿勢と用紙に押されて第1の姿勢から回転した第2の姿勢との間で姿勢を変える第1の部材と、
端壁近傍に配置され端壁に沿って回転することにより、第1の姿勢に対応する第3の姿勢と第2の姿勢に対応する第4の姿勢との間で姿勢を変える第2の部材と、
第2の部材が第3の姿勢にあるか第4の姿勢にあるかを検出するセンサと、
回転軸方向に延びて第1の部材と第2の部材とを連結し、第1の部材の第1の姿勢と第2の姿勢との間の姿勢変化に伴って回転して第2の部材の姿勢を第3の姿勢と第4の姿勢との間で変化させる連結軸と、
第1の部材を第2の姿勢から第1の姿勢に変化させる向きに連結軸を付勢する付勢部材とを備え、
筐体が、端壁内面から回転軸方向に片持ち梁形状に突出した形状を有し、第4の姿勢から第3の姿勢に変化してきた第2の部材を受け止めて、連結軸を介して第1の部材を第1の姿勢に静止させる受け部材を有する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の定着装置および請求項4の画像形成装置によれば、本発明を有しない場合と比べ、第2の部材が受け部材に当たるときの雑音が低減される。
【0014】
請求項2の定着装置によれば、雑音の低減と第1の部材の第1の姿勢への位置決めとが両立する。
【0015】
請求項3の定着装置によれば、上記開口が塞がれていない場合と比較し、第2の部材の姿勢検出精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態としてのプリンタの概略構成図である。
【図2】図1に示すプリンタに備えられた定着器の拡大断面図である。
【図3】図2に示す定着器の筐体を構成する前カバーの、定着ロールの回転軸方向端部の断面図である。
【図4】定着器筐体の前カバーの内面を上に向けて示した斜視図である。
【図5】遮光部材が受け部材に突き当たる際の雑音を示した図である。
【図6】定着器と開閉カバーの配置関係を示した図である。
【図7】光電センサと開口と塞ぎ部材の位置関係を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0018】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態としてのプリンタの概略構成図である。
【0019】
このプリンタ10には例えばコンピュータや図示しないスキャナ等から画像信号が入力され、このプリンタ10では、制御部11による制御の下で、以下のようにして、入力されてきた画像信号に基づく画像が形成される。
【0020】
このプリンタ10の下部には、2台の用紙トレイ21が収容されている。
【0021】
これらの用紙トレイ21には、各用紙トレイ21ごとに例えば寸法の異なる用紙Pが積み重なった状態に収容されている。各用紙トレイ21は、用紙Pの補給のために、引出し自在に構成されている。
【0022】
それら2台の用紙トレイ21のうちの、例えば原稿の寸法に適合した寸法の用紙P、あるいは、設定されている寸法の用紙Pが収容されている用紙トレイから、用紙Pがピックアップロール22により送り出される。送り出された用紙Pは、さばきロール23により1枚ずつに分離され、その分離された1枚の用紙Pが上方に搬送されてその用紙Pの先端が待機ロール24に至る。待機ロール24は、それ以降の搬送のタイミングを調整して用紙Pを送り出す役割りを担っており、この待機ロール24に到達した用紙Pは、その待機ロール24によりそれ以降の搬送のタイミングが調整されてさらに搬送される。
【0023】
このプリンタ10には、待機ロール24の上方に矢印Aで示す向きに回転する感光体12が備えられている。そして、この感光体12の周囲に、帯電器13、露光器14、現像器15、転写器16、およびクリーナ17が配備されている。
【0024】
感光体12は円筒形状を有し、帯電により電荷を保持し露光によりその電荷を放出してその表面に静電潜像が形成される。
【0025】
帯電器13は、感光体12の表面をある帯電電位に帯電する。
【0026】
また、露光器14には画像信号が入力され、露光器14からはその画像信号に応じて変調された露光光が出力される。感光体12は、この露光光による露光を受け、感光体12の表面に静電潜像が形成される。
【0027】
さらに感光体12は、露光光による露光を受けて表面に静電潜像が形成された後、現像器15により現像される。現像器15にはトナーとキャリアとを有する現像剤が収容されており、その現像剤はオーガ15aによって撹拌され、現像ロール15bによってその現像剤中のトナーが感光体12に供給されることで現像が行われて、感光体12の表面にトナー像が形成される。また、このプリンタ10は、トナーが収容されたトナータンク18を有し、現像器15内のトナーが消費されて減ってくると、そのトナータンク18内のトナーがトナー供給部19を通って現像器15に補充される。
【0028】
ここで、上記の待機ロール24は、感光体12上のトナー像が、転写器16に対面した位置に達するタイミングに合わせてその位置に到達するように用紙Pを送り出す。そして、感光体12上のトナー像は、転写器16の作用を受け、その送り出されてきた用紙P上に転写される。
【0029】
トナー像の転写後に感光体12上に残存するトナーは、クリーナ17により、感光体12から取り除かれる。
【0030】
トナー像の転写を受けた用紙Pは、さらに搬送され、定着器30による加熱および加圧を受けてその用紙P上に定着トナー像からなる画像が形成される。
【0031】
この定着器は、本発明にいう定着装置の一例に相当する。
【0032】
感光体12、帯電器13、露光器14、現像器15、転写器16、クリーナ17、トナータンク18、およびトナー供給部19等を合わせたものが、本発明にいうトナー像形成装置の一例に相当する。
【0033】
定着器30を通過した用紙Pは、さらに搬送されて排紙台26上に排出される。
【0034】
また、このプリンタ10の、図2の左側面には、2つの開閉カバー41,42が配置されている。これらの開閉カバー41,42は、搬送中の用紙が何らかの原因で搬送されずに詰まったときに、開けて、その詰まった用紙を取り除くためのものである。
【0035】
図2は、図1に示すプリンタに備えられた定着器の拡大断面図である。
【0036】
この定着器30には、加熱ロール311と加圧ロール312とからなる一対の定着ロール31と、用紙の通過を検出する用紙検出器32と、それら一対の定着ロール31と用紙検出器32を収容する筐体33が備えられている。さらにここには、搬送されてきた用紙を定着器30内に導く案内板34が下部に備えられ、上部には一対の排紙ロール35と案内部材36が備えられている。
【0037】
一対の定着ロール31の一方である加熱ロール311は内部が空洞に形成された円筒状のロール部材311aと、その空洞の内部に配置された熱源311bとを有する。円筒状のロール部材311aは、熱源311bによりその内側から熱せられながら矢印B方向に回転する。
【0038】
一対の定着ロール31のもう一方である加圧ロール312は、矢印C方向に回転し、搬送されてきた用紙を加熱ロール311との間に挟む役割りを担っている。
【0039】
また筐体33は、前カバー331と後カバー332とを有し、それら前カバー331と後カバー332との間に、この定着器30に用紙が搬入される用紙搬入口33a(下部)とこの定着器30から用紙が搬出される用紙搬出口33b(上部)が形成されている。
【0040】
この筐体33は、一対の定着ロール31の周囲を図2の断面上に示されているように取り巻く周囲壁33cと、一対の定着ロール31の回転軸方向端部を覆う端壁33d(図3,図4参照)とを有する。
【0041】
用紙検出器32は、定着ロール31の回転軸と平行(図2の紙面に垂直な方向)に延びる連結軸321を有し、さらにこの用紙検出器32は、この図2には、連結軸321に支持されたアクチュエータ322と、バネ323を備えている。アクチュエータ322は、一対の定着ロール31の用紙出口側に配置されている。またバネ323は、アクチュエータ322を矢印G方向に回転させる向きに連結軸321を付勢している。この用紙検出器32の全体構成については後述する。
【0042】
図1に示す転写器16の作用によりトナー像の転写を受けた用紙は、案内板34に案内されながら矢印D方向に進み用紙搬入口33aを通過して定着器30の内部に進入する。そして、この定着器30の内部では、加熱ロール311と加圧ロール312とに挟まれて加熱および加圧を受け、用紙上のトナー像がその用紙に定着される。加熱ロール311と加圧ロール312との間を通過した用紙は矢印E方向に進んで用紙検出器32のアクチュエータ322を矢印H方向に回転させる。すると、アクチュエータ322の回転に伴って連結軸321も同方向に回転し、この連結軸321の回転が、後述する光電センサ325(図3,図4参照)により検出される。詳細は後述する。この用紙検出器32は、用紙の通過を検出することでその用紙が定着器30を正常に通過したことを確認するものである。上述の通り、定着器30は熱源311bを有し、用紙が熱せられるため、何らかの原因でこの定着器30内で用紙の搬送が停止した場合は、熱源311bへの通電を直ちに遮断することなどの処置が採られる。
【0043】
加熱ロール311と加圧ロール312との間を通過し用紙検出器32のアクチュエータ322を矢印H方向に押し退けた用紙は、さらに排紙ロール35により矢印F方向に搬送され、案内部材36に案内されて、図1に示す排紙台26上に排出される。
【0044】
ここで、用紙検出器32は本発明にいう用紙検出器の一例に相当し、その用紙検出器32を構成する連結軸321、アクチュエータ322、およびバネ323は、それぞれ、本発明にいう連結軸、第1の部材、および付勢部材の各一例に相当する。されに本発明では、アクチュエータ322の姿勢に関し、図2に示す姿勢、すなわち、一対の定着ロール31の間を通過してきた用紙と干渉する姿勢を第1の姿勢と称し、搬送される用紙に押されてその第1の姿勢から矢印H方向に回転した姿勢を第2の姿勢と称している。
【0045】
図3は、図2に示す定着器30の筐体33を構成する前カバー331の、定着ロール31の回転軸方向端部の断面図である。
【0046】
また、図4は、定着器筐体の前カバーの内面を上に向けて示した斜視図である。
【0047】
用紙検出器32を構成する連結軸321は、図4に示すように、用紙の、搬送方向に交わる幅方向、すなわち定着ロール31(図2参照)の回転軸方向について用紙通過領域のほぼ中央から、定着ロール31の回転軸方向の一方の端部を覆う端壁33dの近傍にまで延びている。そして、その連結軸321の、端壁33dの近傍には、断面L字形状の遮光部材324が支持されている。すなわち、この連結軸321は、アクチュエータ322と遮光部材324とを連結する役割りを担っている。この遮光部材324は、連結軸321の回転に伴って、端壁33dに沿って、図3に示す矢印I方向およびJ方向に回転することにより、アクチュエータ322の第1の姿勢と第2の姿勢にそれぞれ対応する第3の姿勢と第4の姿勢との間で姿勢を変化させる。
すなわち、アクチュエータ322が、図2に示す、一対の定着ロール31の間を通過してきた用紙を干渉する第1の姿勢にあるときは、遮光部材324は、図3,図4に示す受け部材333(後述する)に接触した第3の姿勢にある。また、アクチュエータ322が、用紙に押されて第1の姿勢から矢印H方向(図2参照)に向けて第2の姿勢にまで回転する間、遮光部材324は、図3に示す矢印I方向に第4の姿勢にまで回転する。用紙がアクチュエータ322を通過し終わると、連結軸321はバネ323の付勢力により回転し、アクチュエータ322を矢印G方向(図2参照)に回転させるとともに遮光部材324を矢印J方向(図3参照)に回転させる。遮光部材324は、矢印J方向に回転して受け部材333に突き当たることで、アクチュエータ322もそれに対応した第1の姿勢で停止する。
【0048】
前カバー331の端壁33dには光電センサ325が支持されている。この光電センサ325はすき間を空けて互いに対面した投光部と受光部とからなり、そのすき間には、図3,図4に示す第3の姿勢にある遮光部材324が入り込んでいる。遮光部材324が第4の姿勢に回転すると、その遮光部材324は投光部と受光部との間から外れる。これにより遮光部材324が第3の姿勢にあるか第4の姿勢にあるかが検出される。
【0049】
遮光部材324が第3の姿勢にあるか第4の姿勢にあるかの検出は、すなわち、アクチュエータ322が第1の姿勢にあるか第2の姿勢にあるかの検出を意味し、さらに換言すると、そのアクチュエータ322の箇所を用紙が通過中であるか否かの検出を意味している。
【0050】
光電センサ325をアクチュエータ322の近傍に配置せずに端壁33dの位置に配置したのは、定着器30の熱を少しでも避けるためである。ここで、遮光部材324および光電センサ325は、本発明にいう、それぞれ第2の部材およびセンサの各一例に相当する。
【0051】
尚、ここでは、光電センサ325を構成する投光部と受光部との間のすき間に、遮光部材324が第3の姿勢にあるときに入り込むように遮光部材324および光電センサ325を配置しているが、遮光部材324が第4の姿勢にあるときにすき間に入り込み、第3の姿勢では投光部からの光が受光部で受光されるようにそのすき間から退避するよう、配置してもよい。
【0052】
また、ここでは光電センサを採用しているが、本発明にいう第2の部材の姿勢の変化を検出できるセンサであればよく、その第2の部材をどのような原理に基づいて検出するセンサであってもよい。
【0053】
ここで、受け部材333は、上述の通り、図3に示す矢印J方向に回転してきた遮光部材324を受け止める部材である。この受け部材333は、筐体を構成する前カバー331の端壁33dの内面から連結軸321の延びる方向に片持ち梁形状に突出した形状を有している。本実施形態では、受け部材333はをこのような片持ち梁形状としたことにより、単純なブロック形状の受け部材と比べ、遮光部材324が矢印J方向に回転してきて受け部材333と突き当たったときの雑音が大きく低減されている。雑音のデータについては後述する。これは、片持ち梁形状としたことにより、遮光部材324が矢印J方向に回転してきて受け部材333に突き当たったとき受け部材333が適度なバネ性を持ち、すなわち適度に弾性変形して、雑音の発生を抑えるためと考えられる。
【0054】
ここで、この受け部材333は、その受け部材333を遮光部材324の回転面で断面したときに、その遮光部材324の回転方向の寸法d1が相対的に長く、回転半径方向の寸法d2が相対的に短い断面形状を有する。この断面形状とすることで、騒音を低減しつつ、遮光部材324が受け部材333に突き当たった第3の姿勢の安定性、すなわちアクチュエータ322の第1の姿勢の安定性が確保され、用紙検出タイミングのばらつきが抑えられる。
【0055】
ここで、この前カバー331は、樹脂成型品であり、このため、この前カバー331には、樹脂成型の制約上、片持ち梁形状の受け部材333を成型するために、その受け部材333と対面する部分に、受け部材333の成型に起因して形成された開口334(図4参照)を有する。
【0056】
光電センサ325も必然的にその開口334の近傍に配置されており、この開口334から光が入り込むと光電センサ325が検出不能となったり誤検出が生じるおそれがある。そのため、図4では開口334をそのまま示しているが、光電センサ325による用紙検出が確実に行われるように、開口334はその一部が塞がれている。詳細は後述する。
【0057】
図5は、遮光部材が受け部材に突き当たる際の雑音を示した図である。
【0058】
「導入前」は、図3,図4に示すような片持ち梁形状の受け部材ではなく、前カバー331の内面に単純に置かれたブロック形状の受け部材を採用したときのものであり、「導入後」は、図3,図4に示す片持ち梁形状の受け部材を採用したときのものである。
【0059】
この図5の横軸は周波数、縦軸はその周波数の騒音の振幅をあらわしている。
【0060】
以下の表1は「導入前」と「導入後」における遮光部材が突き当たるときの雑音(衝撃音)の強さ[dBA]を表した表である。
【0061】
【表1】

【0062】
図1に示すプリンタを動作させたときには、遮光部材324が受け部材333に突き当たったときの音以外にも様々な動作音があり、図5に示す「動作時の周波数帯」は、プリンタの主要な動作音の周波数帯域を示している。
【0063】
片持ち梁形状の受け部材の「導入前」は、遮光部材324が受け部材に突き当たるとき「動作時の周波数帯」よりもかなり高い周波数帯域に大きな音が発生している。すなわち、かなり甲高い衝撃音となっている。プリンタは、さまざまな箇所での騒音対策が進み、従来と比べ全体としてかなり静かな動作音となっている。このため、この遮光部材が突き当たるときの甲高い音がかなり耳障りな音となっている。
【0064】
これに対し、片持ち梁形状の受け部材の「導入後」は、甲高い衝撃音が大きく下がっている。その衝撃音のうちの「動作時の周波数帯域」の音は残っているが、このプリンタの他の箇所の動作音に紛れ、衝撃音としてはほとんど認識されないレベルの音となっている。
【0065】
図6は、定着器30と開閉カバー41(図1参照)の配置関係を示した図である。
【0066】
開閉カバー41には、プリンタ内部の熱を放散させるために多数の穴411が設けられており、そのプリンタに当たる外光や照明によってはそれらの穴411からプリンタ内部に光が入り込む。
【0067】
一方、定着器30は、この図6にはあらわれていないが、図4に示す開口334はこの定着器30の前カバー311の配置の向きからして、開閉カバー41の方向を向いている。このため開口334を塞がないでおくと穴411から入り込んだ光が開口334から入り込んで光電センサ325に悪影響を及ぼすことがある。
【0068】
図7は、光電センサと、開口と、その開口を塞ぐ塞ぎ部材の位置関係を示した模式図である。
【0069】
また、以下の表2は、塞ぎ部材による開口の塞ぎ量を変えたときの光電センサによる遮光部材の検出動作の良否を示した表である。
【0070】
【表2】

【0071】
ここでは、開閉カバー41の穴411から規格上の最大光量の光を開口334に当たるように入射して実験を行っている。
【0072】
光電センサ325はその受光域が3mmであり、塞ぎ部材335による開口334の塞ぎ量を変えていったとき、開口334の、センサ受光域全域に対応する領域を塞ぐと正常に検出される状態となる。
【0073】
定着器30の内部の熱はむやみには外に洩れないようにすることが好ましく、この開口334を全部塞いでもよいが、この光電センサ325の部分については、光電センサ325が熱くなり過ぎないよう、この開口334を利用し、光電センサ325が正常に動作する範囲内において、完全には塞がないことが好ましい。
【0074】
この開口334の一部を塞ぎ部材335で塞いた状態においても、光電センサ325の正常な動作の確保が図られる。
【0075】
尚、ここでは、図1に示す構造のプリンタに本発明を適用した例について説明したが、本発明にいう画像形成装置は、定着器を用いる構成のものであればよく、本発明はここで説明した構成のものには限られず、複写機、ファクシミリ、等、様々な形態の画像形成装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
10 プリンタ
11 制御部
12 感光体
13 帯電器
14 露光器
15 現像器
16 転写器
17 クリーナ
21 用紙トレイ
26 排紙台
30 定着器
31 定着ロール
32 用紙検出器
33 筐体
33a 用紙搬入口
33b 用紙搬出口
33c 周囲壁
33d 端壁
34 案内板
35 排紙ロール
36 案内部材
41,42 開閉カバー
311 加熱ロール
312 加圧ロール
311a ロール部材
311b 熱源
321 連結軸
322 アクチュエータ
323 バネ
333 受け部材
324 遮光部材
325 光電センサ
331 前カバー
332 後カバー




【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が形成されて搬送されてきた用紙を間に挟んで回転しながら加熱および加圧することにより該トナー像を該用紙上に定着する一対の定着ロールと、
用紙の通過を検出する用紙検出器と、
用紙搬入口および用紙搬出口を形成して該一対の定着ロールの周囲を取り巻く周囲壁と該一対の定着ロールの回転軸方向端部を覆う端壁とを有し、前記一対の定着ロールと前記用紙検出器を収容する筐体とを備え、
前記用紙検出器が、
前記一対の定着ロールの用紙出口側に配置され該一対の定着ロールの間を通過してきた用紙と干渉する第1の姿勢と該用紙に押されて該第1の姿勢から回転した第2の姿勢との間で姿勢を変える第1の部材と、
前記端壁近傍に配置され該端壁に沿って回転することにより、前記第1の姿勢に対応する第3の姿勢と前記第2の姿勢に対応する第4の姿勢との間で姿勢を変える第2の部材と、
前記第2の部材が前記第3の姿勢にあるか前記第4の姿勢にあるかを検出するセンサと、
前記回転軸方向に延びて前記第1の部材と前記第2の部材とを連結し、該第1の部材の前記第1の姿勢と前記第2の姿勢との間の姿勢変化に伴って回転して該第2の部材の姿勢を前記第3の姿勢と前記第4の姿勢との間で変化させる連結軸と、
前記第1の部材を前記第2の姿勢から前記第1の姿勢に変化させる向きに前記連結軸を付勢する付勢部材とを備え、
前記筐体が、前記端壁内面から前記回転軸方向に片持ち梁形状に突出した形状を有し、前記第4の姿勢から前記第3の姿勢に変化してきた前記第2の部材を受け止めて、前記連結軸を介して前記第1の部材を前記第1の姿勢に静止させる受け部材を有することを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記受け部材が、該受け部材を前記第2の部材の回転面で断面したときに該第2の部材の回転方向に相対的に長く回転半径方向に相対的に短い断面形状を有する部材であることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
【請求項3】
前記センサが、前記第2の部材の、該センサの検出領域内への進退を検出する光電センサであり、
前記筐体が樹脂成型品であって、前記周囲壁の前記受け部材と対面する部分に、該受け部材成型に起因して形成された開口を有し、該開口の、少なくとも一部領域が塞がれていることを特徴とする請求項1又は2記載の定着装置。
【請求項4】
搬送中の用紙上にトナー像を形成するトナー像形成装置と、
前記トナー像形成装置を経由して搬送されてきた用紙上のトナー像を該用紙上に定着する定着装置とを備え、
前記定着装置が、
トナー像が形成されて搬送されてきた用紙を間に挟んで回転しながら加熱および加圧することにより該トナー像を該用紙上に定着する一対の定着ロールと、
用紙の通過を検出する用紙検出器と、
用紙搬入口および用紙搬出口を形成して該一対の定着ロールの周囲を取り巻く周囲壁と該一対の定着ロールの回転軸方向端部を覆う端壁とを有し、前記一対の定着ロールと前記用紙検出器を収容する筐体とを備え、
前記用紙検出器が、
前記一対の定着ロールの用紙出口側に配置され該一対の定着ロールの間を通過してきた用紙と干渉する第1の姿勢と該用紙に押されて該第1の姿勢から回転した第2の姿勢との間で姿勢を変える第1の部材と、
前記端壁近傍に配置され該端壁に沿って回転することにより、前記第1の姿勢に対応する第3の姿勢と前記第2の姿勢に対応する第4の姿勢との間で姿勢を変える第2の部材と、
前記第2の部材が前記第3の姿勢にあるか前記第4の姿勢にあるかを検出するセンサと、
前記回転軸方向に延びて前記第1の部材と前記第2の部材とを連結し、該第1の部材の前記第1の姿勢と前記第2の姿勢との間の姿勢変化に伴って回転して該第2の部材の姿勢を前記第3の姿勢と前記第4の姿勢との間で変化させる連結軸と、
前記第1の部材を前記第2の姿勢から前記第1の姿勢に変化させる向きに前記連結軸を付勢する付勢部材とを備え、
前記筐体が、前記端壁内面から前記回転軸方向に片持ち梁形状に突出した形状を有し、前記第4の姿勢から前記第3の姿勢に変化してきた前記第2の部材を受け止めて、前記連結軸を介して前記第1の部材を前記第1の姿勢に静止させる受け部材を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−29752(P2013−29752A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167033(P2011−167033)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】