説明

実質的に半球状の粒子をベースとする化粧料組成物

本発明は、化粧料上許容できる媒体中に、(a)十分な量の、コーティングされていない実質的に半球状のPMMA粒子および(b)十分な量の、処理されていてもよい金属酸化物でコーティングされた実質的に半球状のPMMA粒子の組合せを含む化粧料組成物に関する。本発明は、皮膚のケアまたはメーキャップにおけるその使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料上許容できる媒体中に、(a)コーティングされていない実質的に半球状のPMMA粒子;(b)実質的に金属の酸化物の組合せを含む化粧料組成物に関する。本発明は、皮膚のケアまたはメーキャップにおけるその使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧品には、有機および/または無機材料からなる、様々な形状の、特に球状、層状またはポテト様の粉末が使用されている。
【0003】
これらの粉末の主な役割は、皮膚または唇の上での化粧料組成物の滑りを向上させること、油の吸収によって、皮膚上の脂っぽさの感覚を低減させること、または皮膚もしくは唇に滑らかさを付与することである。加えて、層状の粉末は、光の鏡面反射を向上させて唇の光沢を向上させるが、球状のまたはポテト様の粉末は、光を散乱させ、それによって皮膚をよりマットにするより強い傾向を有する。
【0004】
加えて、これらの粉末は、その不透明性に応じて、多かれ少なかれ皮膚を際立たせることができる。したがって、カバーリングパウダーは、色の均一性の欠陥を修正するために使用できるが、メーキャップにかなり不自然なマスク作用をもたらす。中でも、顔料はさらに、光を吸収して、皮膚の明度を低減させる欠点を有する。この欠点を克服するために、カバーリング力がより低く、表面の凹凸のより微妙な修正を可能にする、干渉タイプの修正顔料を使用するという提案がなされている。特に、ピンク色またはオレンジ色の反射色を有する干渉顔料は、見栄えの良さおよび輝きの印象を与えることができる。しかし、これらの顔料は、一般に、層状構造を有し、そのため、皮膚の起伏における欠点(毛穴、シワおよび小ジワ)の修正に適さないてかり作用を皮膚にもたらす。さらに、光沢のあるメーキャップは、一般に、それが脂性肌によって生じる望ましくない作用であると見なす化粧品消費者には望まれない。
【0005】
皮膚の起伏における凹凸を修正するために、変形として、光を散乱させることによって、「ソフトフォーカス」の名称で知られる効果を生じさせる、すなわち、毛穴ならびにシワおよび小ジワなどの顔の不完全性を、光学的効果によって滑らかにする、透明な粉末に頼っていた。これらの粉末は、皮膚をマット化し、それによって皮膚の明度の低下により皮膚の輝きの低下を引き起こす傾向を有することがある。さらに、これらの透明性は、色の均一性の欠陥を修正することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、皮膚のケアまたはメーキャップのための組成物において、色および皮膚の起伏の修正を改善しながら輝きを付与することができる手段を提供する必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実際に、本出願企業は、この目的のために、化粧料組成物中に特定の形状および特定の組成を有する2種の粉末の組合せを使用することが可能であることを、今や発見した。
【0008】
したがって、本発明の主題は、化粧料上許容できる媒体中に、
(a)コーティングされていない実質的に半球状のPMMA粒子;
(b)処理されていてもよい金属酸化物でコーティングされた実質的に半球状のPMMA粒子
の組合せを含む化粧料組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
「PMMA」は、本発明が意図する範囲内で、メタクリル酸メチルホモポリマーを意味するものと理解される。
【0010】
加えて、「実質的に半球状の」は、その粒子が、半球の形状、またはより一般には、直径/高さの比が2/1.2から2/0.5の間(両端を含む)の固体球の一部分の形状を表し得ることを意味するものと理解される。また、これらの半球の表面は、横断面図において、完全な円でなくてもよいが、但し、最大径(「直径」と見なす)と最小径との比は1.2/1から1/1の間(両端を含む)のままであるものと理解される。より一般には、本発明の実質的に半球状の粒子の調製のための定義および方法に関して、参照により本明細書に組み込まれるJP2004−027008の開示を参照することができる。
【0011】
本発明に使用するコーティングされていない半球状のPMMA粒子(a)は、例えば、3D Tech Plain(登録商標)の名称でDaito Kaseiによって、または商標LMX(登録商標)でSekisui Plastics Co.によって販売されているものとすることができる。
【0012】
半球状PMMA粒子(b)は、少なくとも1種の金属酸化物でコーティングされている。このような金属酸化物の例は、JP2006−348266、JP2008−031137およびJP2008−031138で見ることができる。好ましい金属酸化物は、ルチル形態であってよく、好ましくは一次粒子径が10〜50nm、より好ましくは15〜40nm、より良くは30〜40nmである二酸化チタンである。その比表面積は、20〜120m/g、好ましくは30〜50m/gの範囲とすることができる。このような二酸化チタン粒子の例は、商標MT−500SA(登録商標)でPRESPERSE LLCによって市販されている製品である。
【0013】
コーティングされた半球状のPMMA粒子(b)は:
−上述の、コーティングされていない半球状のPMMA粒子(a);および
−一次粒子径が1nmから100nmの間(限界値を含む)の金属酸化物
から出発して、当業者に知られる機械的混合方法によって調製することができる。
【0014】
PMMA粒子を少なくとも部分的に、好ましくは完全に被覆する金属酸化物層は、処理されていてもされていなくてもよい。本発明の好ましい実施形態によれば、金属酸化物は、光触媒の現象を予防するために処理される。使用できる処理は、例えば:
−特に、SA(登録商標)の名称でMaprecosによって販売されている、ジメチコンなどのシリコーン誘導体、
−特に、参照番号OTS(登録商標)でDaitoによって、または11S2(登録商標)でKoboによって販売されている、トリエトキシカプリリルシラン、
−特に、例えば参照番号I2(登録商標)でKoboによって販売され、特許US−4877604に記載されているトリイソステアリン酸イソプロピルチタンを使用して得られる、チタン酸エステル、
−特に、参照番号HS(登録商標)でMiyoshiによって販売されている、セバシン酸イソステアリルなどのエステル、
−参照番号PF(登録商標)でDaitoによって販売されている、パーフルオロアルキルエチルホスフェートなどのフッ化化合物
−またはこれらの混合物
に基づく。
【0015】
好ましくは、トリエトキシカプリリルシラン、特にDaitoからのOTS(登録商標)処理を用いて処理した金属酸化物、特に二酸化チタンが使用される。
【0016】
PMMAをコーティングする金属酸化物は、PMMA/金属酸化物の複合体の総重量に対して、10〜40重量%を占めることができる。好ましくは、金属酸化物は、PMMA/金属酸化物の複合体の総重量に対して、25〜35重量%、より好ましくは約30重量%を占める。
【0017】
上で示したように、金属酸化物(複数可)でコーティングされた実質的に半球状のPMMA粒子の調製のための方法は、金属酸化物をPMMA粒子全体に均質に沈着させるための、PMMA粒子および金属酸化物(複数可)の機械的混合の方法である。特に、この方法は、参照によって組み込まれる、Daito Kaseiの文献JP2006−348266に記載のとおりの方法とすることができる。特に、この文献の実施例5に記載の方法を挙げることができる。
【0018】
本発明による組成物において、(a)および(b)の粒子は、好ましくは(a)と(b)との重量比((a)/(b))が20/80から80/20の間、より好ましくは(a)と(b)との重量比が25/75から75/25の間、さらに良いのは、(a)と(b)との重量比が約50/50で組み合わされる。
【0019】
さらに、これらの実質的に半球状の粒子(a)および(b)の組合せは、これらを含む組成物の総重量に対して、1〜60重量%、好ましくは2〜25%重量%、より好ましくは2〜10重量%を占めることができる。
【0020】
この組成物は、上述のとおり、化粧料上許容できる媒体を追加的に含む。「化粧料上許容できる媒体」は、生理的に許容できる媒体、すなわち、皮膚に適合し、皮膚への適用後に、使用者に受け入れられない不快な感覚(赤み、つっぱり、ヒリヒリ感など)を生じさせない媒体を意味するものと理解される。
【0021】
本発明による組成物は、水中油型(O/W)エマルション、シリコーン中水型(W/Si)エマルションなどの油中水型(W/O)エマルション、または複合エマルション(W/O/W、O/W/Oなど)の形態で提供することができる。本発明による組成物は、無水とすることもできる、すなわち、水、または最大でも組成物中に存在する成分中に自然に含有される水、すなわち、組成物の重量に対して、多くても3重量%の水、実際には、さらに言えば多くても1重量%の水を含まない。
【0022】
この組成物は、特に、液体製品の形態、ゲルの形態、またはクリームなどの半固形製品の形態で提供することができる。組成物は、ルースパウダー、コンパクトパウダーまたはスティックなどの固形製品の形態でも提供することができる。
【0023】
本発明による組成物は、この列挙に限定するものではないが、揮発性または不揮発性の油;脂肪相構造化または親油性ゲル化剤;水相構造化または親水性ゲル化剤;ペースト状化合物;薄膜形成ポリマー;感圧接着剤(PSA)ポリマー;乳化剤;充填剤;場合によって干渉または角度彩色性タイプの顔料、水溶性または脂溶性染料、レーキおよび真珠光沢剤などの着色材料を含有する、光学的効果を有する化合物;引締め剤;皮膚をケアするための活性剤、特に保湿剤(ポリオールなど)、抗酸化剤、脱色老化防止剤および/または痩身剤;UV遮断剤;EDTA塩などの金属イオン封鎖剤;pH調整剤;保存料;香料;およびこれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物などの様々な補助剤を追加的に含むことができる。
【0024】
油は、直鎖シリコーン、環状シリコーン、炭化水素、合成(ポリ)エステルおよび(ポリ)エーテル、分枝および/または不飽和脂肪アルコール(オクチルドデカノールまたはヘキシルデカノールなど)、分枝および/または不飽和脂肪酸(リノール酸およびリノレン酸など)、フッ化油、植物油およびこれらの混合物から選択することができる。
【0025】
特に、直鎖シリコーンの中では、揮発性および不揮発性ポリジメチルシロキサン、特に以下の式のもの:
(CH−Si−O−[Si(CH−O]−Si−(CH
(式中、nは0〜7、好ましくは0〜5の整数である)
を挙げることができる。
【0026】
特に、環状シリコーンの中では、以下の式のもの:
−(Si(CH−O)
(式中、nは3〜6の整数である)
を挙げることができる。
【0027】
直鎖および環状シリコーンは、特に、Dow Corning Corporation、Shin−Etsu、Siltech Corp.およびMomentive Performance Materials(以前はGE Siliconesであった)などの多くの企業によって販売されている。特に、商標がDow Corning 244(登録商標)、245(登録商標)、344(登録商標)および200(登録商標)Fluidsのシリコーンを挙げることができる。本発明に従って使用できるシリコーン油の例は、特に、INCI名がジメチコン、メチルトリメチコン、フェニルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンおよびカプリリルメチコンで知られるものである。
【0028】
特に、炭化水素の中では、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トリデカンなどの5〜40個の炭素原子、好ましくは8〜20個の炭素原子を含む直鎖または分枝の炭化水素、ならびにイソドデカン、イソヘキサデカン、水添ポリイソブテンおよび特許US−3439088およびUS−3818105に記載されている炭化水素などの、8〜20個の炭素原子を含むイソパラフィンを挙げることができる。
【0029】
特に好ましい炭化水素は、以下の物理化学的性質を有する:
−約70から約225g/モルの間、好ましくは160から190g/モルの間の分子量、
−約30℃から約320℃、好ましくは約60℃から約260℃の間の沸点、および
−25℃で約10−5/s(10センチストーク)未満の粘度。
【0030】
例えば、Isopars(登録商標)ブランドでExxon Mobilによって販売されている炭化水素、およびPermethyl(登録商標)99AブランドでPermethyl Corporationによって販売されているC12イソパラフィンを挙げることができる。
【0031】
特に、合成(ポリ)エステルおよび(ポリ)エーテルとして、イソノナン酸イソノニルまたはネオペンタン酸イソステアリルなどの、有利に分枝しているC〜C20の酸およびC〜C20のアルコールの(ポリ)エステル、さらにリンゴ酸ジイソステアリルなどのヒドロキシ酸のエステル、ならびにポリオールのポリエステルを挙げることができる。
【0032】
植物油の例は、小麦胚芽、ヒマワリ、グレープシード、ゴマ、トウモロコシ、アンズ、ヒマシ、シア、アボカド、オリーブ、大豆、スイートアーモンド、ヤシ、菜種、綿実、ヘーゼルナッツ、マカダミア、ホホバ、アルファルファ、ケシ、カボチャ種子、キュウリ、ブラックカラント、月見草、アワ、大麦、キノア、ライ麦、ベニバナ、ククイナッツ、トケイソウ、ジャコウバラまたはティーシードの油、およびこれらの混合物を含む。
【0033】
上で示したように、本発明による組成物は、脂肪相構造化剤、特に動物ワックス、植物ワックス、エステルなどの、極性基を含有する合成ワックス、およびエステル基などの極性基を含有するシリコーンワックスから選択される、少なくとも1種の極性ワックスを追加的に含有することができる。したがって、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、蜜蝋(白蝋)、シナ蝋(Chinese insect(イボタロウカイガラムシ(Ericerus pela)wax)、C〜C20の酸およびグリセロールのトリエステル、例えばトリベヘン酸グリセリル、特に商標Cetacene(登録商標)でVevyによって販売されているアセチル化ステアリン酸グリコール、およびこれらの混合物を挙げることができる。変形としてまたは追加して、本発明による組成物は、パラフィン、ポリメチレン、ポリエチレンまたはポリブテンのワックス、微結晶ワックス、オゾケライト、シリコーンワックスなどの非極性ワックス、およびこれらの混合物を含むことができる。その他の脂肪相構造化剤は、ショ糖ポリエステルおよびオレフィンコポリマーである。
【0034】
親油性ゲル化剤の例は、特に改質粘土、さらにシリコーンポリマー、より特定すればオルガノポリシロキサンエラストマーである。これらの中で、鎖の末端または中央に、好ましくはそのケイ素原子上に位置したビニルまたはアリル基などの不飽和基を有するオルガノポリシロキサンと、オルガノヒドロポリシロキサンなどの別の反応性シリコーン化合物との反応から生じる、非環式および少なくとも部分的に架橋したポリマーを挙げることができる。これらのポリマーは、通常、揮発性もしくは不揮発性シリコーン溶媒中または炭化水素溶媒中のゲルの形態で入手可能である。これらのエラストマーの例は、特に商標KSG−6(登録商標)、KSG−16(登録商標)、KSG−31(登録商標)、KSG−32(登録商標)、KSG−41(登録商標)、KSG−42(登録商標)、KSG−43(登録商標)およびKSG−44(登録商標)でShin−Etsuによって、商標DC 9040(登録商標)、DC 9041(登録商標)、EL 8050 ID(登録商標)およびEL 8051 IN(登録商標)でDow Corningによって、ならびに商標Gransil(登録商標)でGrant Inc.によって販売されている。これらのエラストマーは、粉末もしくはゲルまたは適切な溶媒中の予備分散液の形態とすることができる。また、粉末の形態のエラストマーの例として、特に参照番号EP 9215、EP 9261 Ti(二酸化チタンでコーティングされている)、EP 9289 LL(ラウロイルリシンでコーティングされている)、およびEP 9293 AL(アルミニウムでコーティングされている)でDow Corningによって販売されているものを挙げることができる。
【0035】
親水性ゲル化剤の中では、粘土およびAMPS(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)コポリマーを挙げることができる。
【0036】
本発明による組成物は、ワックスの様に液体/固体の状態の可逆変化することが可能であり、固体状態では異方性の結晶配置を有するが、23℃の温度で、液体画分および固体画分を含有する点でワックスとは異なる、1つまたは複数のペースト状化合物、すなわち親油性脂肪性物質を含有することもできる。
【0037】
組成物は、少なくとも1種の感圧接着剤(PSA)を追加的に含むことができる。これらは、加圧下で広がり、これらが塗付された表面を完全に湿らせる接着剤である。次いで、支持体との非常に多くの相互作用が起こり、それにより良好な接着をもたらす。しかし、引き起こされるこの相互作用は、弱く、機械的にかなり容易に克服できる。このような分子は、特に、ヘプタンなどの溶媒中で、OH末端を有するPDMSとMQシリケート樹脂との縮合によって得られる。この樹脂/PDMSの比は、製品の粘着力を調節する。これらの製品は、例えば、PSA(登録商標)およびBio PSA(登録商標)の名称で、Dow Corningによって販売されている。好ましい参照番号は、Dow Corningによって販売されている、DC 7−4505(登録商標)、DC 7−4405(登録商標)およびDC 7−4411(登録商標)である。
【0038】
本発明による組成物は、維持力および/または非移行性を組成物によってもたらされるメーキャップに付与することが可能な少なくとも1種の薄膜形成ポリマーを追加的に含むことができる。薄膜形成ポリマーは、特に、商標Jeesilc(登録商標)PS(PS−VH、PS−VHLV、PS−CM、PS−CMLVおよびPS−DMLVも含める)で、JEENによって販売されているもの、商標KP−545(登録商標)、KP−561(登録商標)およびKP−562(登録商標)でShin−Etsuによって販売されている(メタ)アクリル酸シリコーン、または商標DC FA 4002 ID(登録商標)およびDC FA 4001 CM(登録商標)でDow Corningによって販売されているポリマーなどの、ウレタンまたはフッ素またはアクリレートによって場合によって変性された環状シリコーンコポリマーとすることができる。
【0039】
薄膜形成ポリマーのその他の例は、シリコーン樹脂、特にトリメチルシロキシシリケートなどのMQ樹脂、およびシルセスキオキサン誘導体などのMT樹脂、特にShin−Etsuによって販売されているポリメチルシルセスキオキサン、さらに商標DC 670(登録商標)でDow Corningによって販売されているポリプロピルシルセスキオキサン、または商標Belsil(登録商標)SPR 45 VPでWackerによって販売されているフェニルプロピルポリシルセスキオキサンである。別の例は、商標XS66−B8226(登録商標)でMomentiveによって販売されているものなど、INCI名がトリフルオロプロピルジメチルシロキシトリエチルシロキシシリケートで識別されるフルオロシリコーンポリマーからなる。薄膜形成ポリマーのその他の例は、ポリシクロペンタジエン、特に商標Koboguard(登録商標)5400でKOBOによって販売されているポリシクロペンタジエン、またはポリジシクロペンタジエンなどのポリ(環状オレフィン)である。薄膜形成ポリマーのさらなるその他の例は、ISPからのAntaron(登録商標)V216およびAntaron(登録商標)V220を含めたVP/ヘキサデセンおよびVP/エイコセンコポリマーなどのビニルピロリドン(VP)および直鎖状オレフィンのコポリマー、またはさらにBaerlocherからのAC(登録商標)400などのエチレン/酢酸ビニルコポリマーからなる。本発明で使用することが可能なその他の薄膜形成ポリマーは、特に商標Creasil(登録商標)7 IDでCreations Couleursによって販売されているポリ(アクリル酸エチル)などのポリアクリル酸エステルである。
【0040】
組成物がエマルションの形態で提供される場合、本発明による組成物は、ポリオールポリエステル、特に、商標Arlacel(登録商標)P135でUniqemaによって特に販売されている、ポリエトキシル化(30EO)ジポリヒドロキシステアレート、またはジイソステアリン酸ポリグリセリル−4;1種または複数のアルキル基を場合によって有するポリエーテルで修飾されたポリシロキサン、例えば参照番号KF 6017(登録商標)でShin−Etsuによって販売されているPEG−10ジメチコン、セチルPEG/PPG−10/1ジメチコンまたはラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンなどの非イオン性界面活性剤から好ましくは選択される1種または複数の油中水型乳化剤;および/または場合によってポリエトキシル化ソルビタンエステル、脂肪酸およびグリセロールのエステル、脂肪酸およびスクロースのエステル、脂肪酸およびポリエチレングリコールのエステル、ブランドKF 6011(登録商標)でShin−Etsuによって販売されているPEG−11メチルエーテルジメチコン、または参照番号DC 5329(登録商標)でDow Corningによって販売されているPEG−12ジメチコンなどの、ポリエーテルで修飾されたポリシロキサン、ポリエステルによって修飾されたシリコーンエラストマー、脂肪アルコールおよびポリエチレングリコールのエーテル、アルキルポリグリコシドおよび水添レシチンなどの非イオン性界面活性剤から選択される1種または複数の水中油型乳化剤、ならびにこれらの混合物を含むこともできることが、はっきりと理解される。
【0041】
「充填剤」は、組成物に粘りまたは硬さを与え、および/または適用するとすぐに滑らかさ、マット性および均一性を与えることを意図する、無色または白色の、無機または合成で層状または非層状の粒子を意味するものとして理解されるべきである。特に、充填剤として、タルク、雲母、シリカ、カオリン、例えばArkemaによってブランドOrgasol(登録商標)で販売されているNylon−12粉末などのNylon(登録商標)粉末、ポリエチレン粉末、ポリウレタン粉末、ポリスチレン粉末、ポリエステル粉末、ブランドExcel Mica JP2(登録商標)でMiyoshi Kaseiによって販売されている水酸化アルミニウムでコーティングされた雲母から形成された粉末などの複合粉末、場合によって加工デンプン、例えば、Tospearl(登録商標)の名称でToshibaによって販売されているものなどのシリコーン樹脂ミクロビーズ、例えば、MaprecosによってブランドSilica Beads(登録商標)で、SACI−CFPAによってSpherica(登録商標)で、Warwick AdrissによってSunsil(登録商標)で、IMCDによってSunsphere(登録商標)で、またはCosmo ChemによってCreaspheres SIL ML9(登録商標)で販売されている、ヒドロキシアパタイトおよびシリカミクロスフィアを挙げることができる。
【0042】
着色材料は、水溶性または脂溶性の染料、無機顔料、真珠光沢剤、レーキおよびこれらの混合物から選択することができる。これらの着色材料は、シラン、シリコーン、脂肪酸石鹸、フルオロ(C9〜15)アルコールホスフェート、アクリレート/ジメチコンコポリマー、混合フルオロ(C9〜15)アルコールホスフェート/シリコーンコポリマー、レシチンまたは水添レシチン、カルナウバワックス、ポリエチレン、キトサン、ならびに場合によって、ラウロイルリシン、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウムおよびアシルグルタミン酸アルミニウムなどの、アクリル化アミノ酸などの疎水性剤を用いて場合によって表面処理することができる。
【0043】
「顔料」は、組成物を着色および/または不透明化することを意図し、従来のまたはナノメートルのサイズを有する、媒体中で不溶性の、白色または着色された、無機または有機の粒子を意味するものとして理解されるべきである。無機顔料の中では、二酸化チタン、二酸化ジルコニウムまたは二酸化セリウム、さらに酸化亜鉛、酸化鉄または酸化クロムを挙げることができる。組成物は、無機または有機顔料でコーティングされたPMMA半球である、Daito Kaseiによって販売されている3D Tech(登録商標)複合顔料を含むことができる。「真珠光沢剤または干渉顔料」としては、光を反射する虹色粒子を使用することができる。想定され得る真珠光沢剤の中では、天然真珠貝、二酸化チタン、酸化鉄、天然顔料またはオキシ塩化ビスマスで被覆した雲母、さらに酸化チタンでコーティングした着色雲母を挙げることができる。その支持体が天然雲母でなく、合成雲母(合成フッ素金雲母)またはガラス(ホウケイ酸)である真珠光沢剤も使用することができる。
【0044】
組成物は、「引締め剤」、すなわち、引締め効果を有することが可能な化合物、すなわち皮膚に張りを与え、この引締め効果によって皮膚を滑らかにし、シワおよび小ジワをすぐに減少させ、実際に消滅さえさせることができる化合物を含有することもできる。引締め剤としては、タンパク質およびタンパク質加水分解物などの、天然由来、特に植物由来のポリマー、より特定すれば、トウモロコシ、ライ麦、小麦、ソバ、ゴマ、スペルト小麦、エンドウ、ソラマメ、レンズマメ、大豆およびルピナスの抽出物などの、穀類、マメ科および油質の抽出物を挙げることができる。PVP/ジメチコニルアクリレート(dimethiconylacrylate)および親水性ポリウレタンのコポリマーなどの、例えば、HydromerによってブランドAquamere(登録商標)S−2011で販売されているラテックスまたは疑似ラテックスの形態で一般に提供される合成ポリマーも挙げることができる。
【0045】
本発明による組成物は、有機および無機遮断剤、ならびにこれらの混合物から選択される、少なくとも1種のUV遮断剤を追加的に含むことができる。特に、有機遮断剤としては、ジベンゾイルメタン誘導体(ブチルメトキシジベンゾイルメタンを含める)、桂皮酸誘導体(メトキシ桂皮酸エチルヘキシルを含める)、サリチレート、パラ−アミノ安息香酸、β,β−ジフェニルアクリレート、ベンゾフェノン、ベンジリデンカンファー誘導体、フェニルベンズイミダゾール、トリアジン、フェニルベンゾトリアゾールおよびアントラニル酸誘導体を挙げることができる。特に、無機遮断剤としては、コーティングされていてもいなくてもよく、特に二酸化チタンまたは酸化亜鉛をベースとする顔料またはナノ顔料の形態の無機酸化物をベースとする遮断剤を挙げることができる。
【0046】
上述の補助剤の例は、特にCTFA辞典(The Cosmetic, Toiletry and Fragrance Associationによって出版された、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,11th Edition, 2006)において言及されている。
【0047】
本発明の組成物は、皮膚をメーキャップするための製品として使用することができる。「皮膚をメーキャップするための製品」は、皮膚を着色するのに十分な量の少なくとも1種の着色材料を生理的に許容できる媒体中に含む化粧料組成物を意味するものと理解される。特に、ツーウェイケーキなどの、ファンデーション、コンプレクションコレクター、コンシーラーおよびルースパウダーまたはコンパクトパウダーを特に挙げることができる。
【0048】
本発明の組成物は、皮膚をケアするための製品としても使用することができる。「皮膚をケアするための製品」は、着色材料を含まず、一般にある種の生物学的メカニズムを活性化することによって、少なくとも1種の美的な利点を皮膚にもたらす化粧料組成物を意味するものと理解される。特に、保湿ケア製品、アンチエイジングケア製品、特に抗シワおよび/または張り付与製品、脱色製品、痩身製品または日焼け防止製品を挙げることができる。
【0049】
したがって、本発明の別の主題は、上述の組成物の上記の使用である。
【0050】
本発明のさらなる主題は、皮膚への、特に顔、首、肩、手および/または足への、上述の組成物の局所適用を含む、皮膚をメーキャップまたはケアするための美容法である。
【0051】
ここで、本発明は、例示の目的のためだけに与えられ、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定する意図を有さない以下の非限定的な実施例によって、例示される。
【実施例】
【0052】
[実施例1]PMMAベースの組成物の調製
A−ファンデーションの調製
本発明によるファンデーション(実施例1)を、下の表1に示す組成を有するシリコーン中水型エマルションの形態で調製した。表1中では、成分の割合を重量%で表す。
【0053】
下の表1に示す組成を有するファンデーションの3つの比較例1A、1Bおよび1Cファンデーションも調製した。表1中ではまた、成分の割合を重量百分率で表す。
【0054】
【表1】

【0055】
B−無水ゲルの調製
下の表2で(重量百分率として)示す組成を有する、本発明による無水ゲル(実施例2)を調製した。
【0056】
【表2】

【0057】
C−無水ファンデーションの調製
それぞれが下の表3に(重量百分率として)示す組成を有する、半球状粒子(a)および(b)を含有する本発明による無水ファンデーション(実施例3)、さらにPMMA球体(比較例3)を含有するファンデーションを調製した。
【0058】
これを行うために、全ての成分を量りとり、次いでワックスが溶けるまで、85〜90℃で加熱した。続いて、混合物を、ロールミルに3回通過させ、次いで85℃に再加熱して、皿で成型した。
【0059】
【表3】

【0060】
D−保湿製品の調製
半球状粒子(a)および(b)を含有する、O/Eエマルションの形態の本発明による保湿ケア製品(実施例4)を調製した。組成物は、下の表4に(重量百分率として)示す組成を有した。
【0061】
【表4】

【0062】
E−W/Siファンデーションの調製
半球状粒子(a)および(b)を含有する、W/Siエマルションの形態の本発明によるファンデーション(実施例5)を調製した。組成物は、下の表5に(重量百分率として)示す組成を有した。
【0063】
【表5】

【0064】
[実施例2]官能分析
本発明による実施例1ならびに比較例1A、1Bおよび1Cの組成物を、訓練された審査員による官能分析で評価した。
【0065】
使用した試験プロトコルは以下のとおりであった。
【0066】
16〜18人の判定員が、特定の明度条件下(ハロゲンライトと組み合わせた昼光)で、配合物を試験した。判定員らは、以下の項目を評価した。これらの項目の考えられる評価を、括弧中に示す。
・明度:光を反射する領域の存在(明るくない、非常に明るい)。
・肌色の均質性:顔全体にわたる肌色の均一性(均一でない〜非常に均一)
・毛穴のサイズ(小さい〜大きい)
・オリーブ色、ベージュ色、赤色。
【0067】
評価を、顔の半分で実施した。各試料に関して、手順は以下のとおりであった。製品0.15mlを、首の端を含めた顔の半分に適用した。次いで、製品を、5分間乾燥させた。
【0068】
続けて、肌色の輝きに対する製品の有効性を、SpinControlによって開発されたCLCT(商標)法に従って、評価した。この方法は、C. Musnier et al., Skin Research and Tech., Vol. 10, pp. 50-56 (2004)、「Visual Evaluation in vivo of Complexion Radiance Using the CLBT Sensory Method」というタイトルの文献において公開されている。
【0069】
この方法によれば、輝きの増加は、
−赤色のわずかな減少(ファンデーションの場合)あるいは増加さえも(スキンケア製品の場合);
−最適条件の0までのオリーブ色の低減;
−不十分なベージュ色の増加(ファンデーションの場合);
−最適条件の10までの明度の増加;
−最適条件の10までの均質性の増加;
−最適条件の0までの毛穴のサイズの低減
によって、(素肌と比較して)示される。
【0070】
下の表6で、得られた結果を組み合わせる。示した数字は、皮膚への組成物の適用前および後で評価される項目の評価の違いに相当する。
【0071】
【表6】

【0072】
得られた結果は、2種の半球状粉末(a)および(b)の組合せを含む実施例1の組成物が、比較例1A、1Bおよび1Cの各組成物によって修正されない欠陥を修正することが可能であることを示している。具体的に、得られた結果は、6のうち5の項目に対して輝きが改善したことに相当する。
【0073】
したがって、本発明の実施例1は、皮膚に適用される時、
−明るい(+0.3);
−ソフトフォーカス効果の改善(毛穴のサイズが−0.3低減している);
−皮膚の均質性の改善(+1.1);
−ベージュ色が低減しないこと;
−オリーブ色が増加しないこと
と評価される、評価したものの中で唯一の組成物である。
【0074】
比較例1Aは、明度が増加せず、オリーブ色が増加するので、輝きに対する効果は低い。
比較例1Bは、明度が増加せず、毛穴のサイズが低減しないので、輝きに対する効果は低い。
比較例1Cは、明度が増加せず、オリーブ色が増加するので、輝きに対する効果は低い。
【0075】
したがって、表6に示した結果は、(a)コーティングされていない半球状PMMA粒子および(b)二酸化チタンでコーティングされた半球状PMMA粒子の組合せによって、本発明の実施例1の組成物は、皮膚にさらに著しい輝きを付与することをはっきりと示している。
【0076】
さらに、官能分析は、実施例3および比較例3の組成物に対して、訓練された審査員によって実行され、実施例3がより良い皮膚のつやおよび滑らかさをもたらしたことを示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)コーティングされていない半球状のPMMA粒子
(b)処理されていてもよい金属酸化物でコーティングされた半球状のPMMA粒子
の組合せを含む、化粧料組成物。
【請求項2】
金属酸化物の一次粒子径が、1nmから100nmの間であることを特徴とする、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
金属酸化物が、ジメチコンなどのシリコーン誘導体、トリエトキシカプリリルシラン、トリイソステアリン酸イソプロピルチタンなどのチタン酸エステル、セバシン酸イソステアリルなどのエステル、パーフルオロアルキルエチルリン酸などのフッ化化合物、およびこれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物で処理されることを特徴とする、請求項1および2のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
金属酸化物が二酸化チタンであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
金属酸化物が、トリエトキシカプリリルシランで処理されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
PMMAの金属酸化物コーティングが、PMMA/金属酸化物の複合体の総重量に対して、10〜40重量%、好ましくは25〜35重量%、より好ましくは約30重量%を占めることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
(a)および(b)の粒子が、(a)と(b)との重量比((a)/(b))20/80から80/20の間、より好ましくは(a)と(b)との重量比25/75から75/25の間、さらに良いのは、(a)と(b)との重量比約50/50で組み合わされることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
これらの実質的に半球状の粒子(a)および(b)の組合せが、これらを含む組成物の総重量に対して、1〜60重量%、好ましくは2〜25%重量%、より好ましくは2〜10重量%を占めることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
皮膚をメーキャップするための製品として、特にファンデーション、コンプレクションコレクター、コンシーラーもしくはルースパウダーまたはコンパクトパウダーとしての、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項10】
皮膚をケアするための製品として、特に保湿ケア製品、アンチエイジングケア製品、特に抗シワおよび/または張り付与製品、脱色製品、痩身製品または日焼け防止製品としての、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項11】
皮膚への、特に顔、首、肩、手および/または足への、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物の局所適用を含む、皮膚をメーキャップまたはケアするための美容法。

【公表番号】特表2013−501042(P2013−501042A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523396(P2012−523396)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【国際出願番号】PCT/IB2009/054054
【国際公開番号】WO2011/015907
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(508283406)シャネル パフュームズ ビューテ (23)
【Fターム(参考)】