説明

家電製品の状態伝達装置、方法、プログラムおよび該プログラムを記録した記録媒体

【課題】 例えば留守中のようにユーザが家電製品から遠く離れていても家電製品の状態を知ることができるようにする。
【解決手段】 ビデオデッキ30をUSBカメラ22により撮影して作動状態を状態伝達装置10が取得し、所定の状態になれば、携帯通信機器60が状態伝達装置10から所定値thを超える地点にあることを条件として、ビデオデッキ30の作動状態を携帯通信機器60に伝達する。これにより、ユーザ70はビデオデッキ30の作動状態を知ることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遠隔地からの家電製品の状態の取得に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、家電製品の内にはタイマ等を備えて、所定の時刻になると自動的に作動するものがある。例えば、ビデオデッキにより予約録画を行なうことは一般的に行なわれている。
【0003】このような家電製品は、たとえユーザが家を離れて外出していても自動的に作動する。よって、ユーザが留守中に家電製品の状態が変化していく。例えば、ユーザが留守中に、ビデオデッキは予約録画を開始しビデオテープの残量が減少していく。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ユーザは留守中に家電製品の状態の変化を知ることができない。そこで、家電製品が予期した動作を行なわず、あるいは予期しない動作を行なうことがあっても、ユーザはそれらを知ることができない。よって、ユーザが留守中のこのような家電製品の誤動作に対して、ユーザは対処できない。
【0005】そこで、本発明は、例えば留守中のようにユーザが家電製品から遠く離れていても家電製品の作動状態を知ることができるようにすることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、家電製品の状態伝達装置に関する。本発明にかかる家電製品の状態伝達装置は、自動的に作動する家電製品の作動状態を家電製品から遠く離れた携帯通信機器に伝達する。
【0007】本発明にかかる家電製品の状態伝達装置は、状態取得手段、状態伝達手段を備える。状態取得手段は、家電製品の作動状態を取得する。状態伝達手段は、作動状態が所定の状態である場合に作動状態を携帯通信機器に伝達する。
【0008】上記のように構成された発明によれば、家電製品が自動的に作動して状態が変化し所定の状態になった場合には、携帯通信機器のユーザに作動状態が伝達される。よって、ユーザが家電製品の状態を直接目視等により確認できない程、家電製品から遠く離れていても、ユーザは家電製品の作動状態が所定の状態になったことを知ることができる。
【0009】また、本発明は、伝達許可手段を備えることが好ましい。伝達許可手段は、状態取得装置と携帯通信機器との距離に基づき作動状態の伝達の可否を決定するものである。
【0010】状態取得装置と携帯通信機器との距離によっては、ユーザに家電製品の作動状態を伝達するまでもない場合があり、そのような状況に対応できる。例えば、距離が小さい場合は、ユーザはすぐに帰宅等することが考えられ、家電製品の作動状態を伝達するまでもないことがある。そこで、伝達許可手段によって、状態取得装置と携帯通信機器との距離が所定値よりも大きい場合に作動状態の伝達を許可するようにすることが好ましい。
【0011】なお、所定値は伝達すべき作動状態に応じて定めることが好ましい。ユーザが家電製品の下へ行き、直接に家電製品を操作する等といった対応を行なうべき緊急度は、伝達すべき作動状態に応じて異なるからである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0013】図1は、本発明の実施形態にかかる状態伝達装置10の使用環境を示す概念図である。家40の内部には、状態伝達装置10、USBカメラ22、赤外線リモコン24、ビデオデッキ30が配置されている。状態伝達装置10、USBカメラ22、赤外線リモコン24、ビデオデッキ30は互いに近くに配置されているものとする。
【0014】図2は、状態伝達装置10、USBカメラ22、赤外線リモコン24、ビデオデッキ30の配置を示す斜視図である。ビデオデッキ30の正面には作動状態を示す表示部30aが設けられており、ビデオデッキ30の下方に配置されたUSBカメラ22が表示部30aを撮影する。赤外線リモコン24は、ビデオデッキ30の正面からやや離れた所に位置する。USBカメラ22および赤外線リモコン24は、状態伝達装置10に接続されている。
【0015】図1に戻り、状態伝達装置10は、ビデオデッキ30の作動状態を携帯通信機器60に伝達し、携帯通信機器60からのコマンドに応じてビデオデッキ30を制御する。また、状態伝達装置10は、図示省略したGPS(Global Positioning System)により、状態伝達装置10と携帯通信機器60との距離Lの計測を行う。なお、距離Lと所定値thとの大小関係により状態伝達装置10の動作が異なる。なお、状態伝達装置10としてはインターネットに接続可能なパーソナルコンピュータを使用することができる。また、状態伝達装置10としてはHAVi(Home Audio Visual Interoperability)をインストールしたHAViデバイスを使用することができる。
【0016】図3は、状態伝達装置10としてHAViデバイスを使用した場合の機能ブロック図である。状態伝達装置10は、アプリケーション部12、HAVi部14を有する。
【0017】アプリケーション部12は、Java(商標)によるアプリケーションであり、Simple Mail サーバ12a、Simple HTTP サーバ12b、FCMインタフェース12cを有する。Simple Mail サーバ12aは、メールサーバでありインターネット52に接続される。なお、Simple Mail サーバ12aは、POPを用いて、設定されたメールアカウントを定期的にチェックすることで、Simple Mail サーバ12aへのアクセスを可能とする。Simple HTTP サーバ12bは、HTTPメールサーバでありインターネット52に接続される。FCMインタフェース12cは、SimpleMail サーバ12aおよびSimple HTTP サーバ12bと、HAVi部14とのインタフェースである。
【0018】HAVi部14は、いわばOS(Operating System)にあたる部分であり、FCM14a、CMM14b、DCM14cを有する。FCM(Function Component Module)14aは、ビデオデッキ30の作動状態の伝達や制御に必要なAPI(ApplicationProtocol Interface)を有し、FCMインタフェース12cからの要求に応じてAPIを作動させる。CMM14bは、HAVi部14と、USBカメラ22および赤外線リモコン24とのインタフェースである。FCMインタフェース12cからは、CMM14bを介してAV/Cコマンドを送る。なお、CMM14bと、USBカメラ22および赤外線リモコン24とはiLINK(商品名)というバスにより接続される。DCM(Device Control Module)14cは、USBカメラ22および赤外線リモコン24がCMM14bを介して送る信号をFCM14aに戻す。なお、FCM14aに戻された信号は、FCMインタフェース12c介してSimple Mail サーバ12aおよびSimple HTTP サーバ12bによりインターネット52に送信される。
【0019】図1に戻り、USBカメラ22は、状態伝達装置10に接続されておりビデオデッキ30を撮影する。この撮影結果に基づき、状態伝達装置10はビデオデッキ30の作動状態(ビデオテープの残量減少、予約録画の開始など)を取得する。ビデオデッキ30には、通常、作動状態を示す表示部30aが設けられているため、USBカメラ22により、かかる表示部30aを撮影することでビデオデッキ30の作動状態を取得する。
【0020】赤外線リモコン24は、状態伝達装置10に接続されており、ビデオデッキ30の動作を、赤外線信号をビデオデッキ30に送ることにより制御する。例えば、ビデオデッキ30に録画を開始させたり、録画モードを3倍モードに変更させたりする。
【0021】ビデオデッキ30は、自動的に作動する家電製品である。例えば、予約録画を行なえば、ユーザの操作がなくても自動的に動作を行なう。ユーザの操作がなくても、ビデオデッキ30は状態が変化する。状態変化の例としては、ビデオデッキ30は予約録画を行なうことができ、設定された時刻になると自動的に録画を開始するものとする。また、録画をするにつれて、ビデオテープの残量が減少していくものとする。
【0022】インターネット52は、状態伝達装置10と基地局54と接続する。基地局54は、ユーザ70が携帯する携帯通信機器60と通信を行なう。携帯通信機器60は、ビデオデッキ30から遠く離れている。よって、ユーザ70もまたビデオデッキ30から遠く離れている。なお、「遠く離れている」とは、ユーザ70がビデオデッキ30の作動状態(ビデオテープの残量減少、予約録画の開始など)を直接目視等により確認できない程、ビデオデッキ30から離れていることをいう。なお、携帯通信機器60は状態伝達装置10からビデオデッキ30の作動状態の伝達をe-mail等により受信する。また、携帯通信機器60は状態伝達装置10を介してビデオデッキ30にコマンドを送りビデオデッキ30の作動状態を制御する。例えば、ビデオデッキ30に録画を開始させたり、録画モードを3倍モードに変更させたりする。
【0023】図4は、状態伝達装置10の構成を示す機能ブロック図である。状態伝達装置10は、状態取得部102、状態伝達部104、距離計測部106、伝達許可部108、メッセージ記録部110、コマンド受信部112を備える。
【0024】状態取得部102は、USBカメラ22に接続され、USBカメラ22の撮影画像に基づきビデオデッキ30の作動状態を取得する。
【0025】状態伝達部104は、状態取得部102により取得された作動状態がユーザ70に伝達すべき所定の状態か否かを判定する。そして伝達すべき所定の状態であれば、さらに伝達許可部108の許可があることを条件として、作動状態をインターネット52、基地局54を介して携帯通信機器60に伝達する。伝達の際には作動状態に応じたメッセージを、メッセージ記録部110から読み出して、e-mail等により伝達する。なお、伝達すべき所定の状態としては、「ビデオテープの残量の減少」、「録画の開始」などがある。
【0026】距離計測部106は、図示省略したGPSにより、状態伝達装置10と携帯通信機器60との距離Lの計測を行う。
【0027】伝達許可部108は、状態伝達装置10と携帯通信機器60との距離Lに基づき作動状態の伝達の可否を決定する。例えば、伝達許可部108は、距離Lと所定値th(例えば1km、30m)とを比較する。そして、距離Lが所定値thよりも大きい場合に、作動状態の伝達を許可する。所定値thよりも小さい距離しか状態伝達装置10と携帯通信機器60とが離れていない場合は、ユーザ70はすぐに帰宅等することが考えられ、ビデオデッキ30の作動状態を伝達するまでもないことがあるからである。なお、所定値thは、伝達すべきビデオデッキ30の作動状態に応じて定められる。伝達すべき作動状態がビデオテープの残量の減少である場合は、所定値thを1kmとする。所定値thが大きめなのは、ビデオテープの残量は減少していても、ただちに録画が停止するわけではなく、さほど緊急な対応を要しないからである。一方、伝達すべき作動状態が録画の開始である場合は、所定値thを30mとする。所定値thが小さめなのは、録画が開始していない場合、ただちに録画を開始させなければ録画しそこねてしまうので、緊急な対応を要するからである。なお、ユーザ70は、録画が開始した旨の通知を受けないことから、録画が開始していないことを間接的に知ることができる。
【0028】なお、伝達許可部108は、距離Lと所定値thとの大小関係が判定できるようになっているならば、距離Lを取得せずともよい。
【0029】メッセージ記録部110は、ビデオデッキ30の作動状態を伝達するためのメッセージを記録する。メッセージは伝達すべき作動状態に応じて用意されている。伝達すべき作動状態がビデオテープの残量の減少である場合は、メッセージとして「録画中のテープの残量が不足しています。 録画モードを(1)3倍モードに変更、(2)そのまま、のいずれかをご選択ください。」を用意しておく。伝達すべき作動状態が録画の開始である場合は、メッセージとして「録画を開始します。」を用意しておく。
【0030】コマンド受信部112は、携帯通信機器60から送信されたコマンドを受信して、赤外線リモコン24に送り、赤外線リモコン24の動作を制御する。
【0031】次に、本発明の実施形態の動作を図5のフローチャートを参照して説明する。
【0032】まず、状態取得部102がUSBカメラ22の撮影画像に基づきビデオデッキ30の作動状態を取得する(S10)。次に、状態伝達部104は、ビデオデッキ30の作動状態が、伝達すべき所定の状態か否かを判定する(S12)。ここで、作動状態が伝達すべき所定の状態でなければ(S12、No)、作動状態の取得(S10)に戻る。作動状態が伝達すべき所定の状態であれば(S12、Yes)、距離計測部106により状態伝達装置10と携帯通信機器60との距離Lの計測を行う(S14)。そして、伝達許可部108は、距離Lが所定値thよりも大きいか否かを判定する(S16)。距離Lが所定値th以下ならば(S16、No)、所定時間だけ待機し(S18)、距離Lの計測(S14)に戻る。距離Lが所定値thを超えるならば(S16、Yes)、伝達許可部108は状態伝達部104に対して伝達を許可する。状態伝達部104は、作動状態に応じたメッセージを、メッセージ記録部110から読み出して、e-mail等により、インターネット52、基地局54を介して携帯通信機器60に伝達する(S20)。そして、ユーザは、適宜、携帯通信機器60からコマンドを送信し、状態伝達装置10を介してビデオデッキ30を遠隔制御する(S22)。
【0033】本発明の実施形態によれば、ビデオデッキ30が自動的に作動して状態が変化し所定の状態(ビデオテープの残量の減少、録画開始)になった場合には、携帯通信機器60のユーザ70に作動状態が伝達される。よって、ユーザ70がビデオデッキ30の状態を直接目視等により確認できない程、ビデオデッキ30から遠く離れていても、ユーザ70はビデオデッキ30の作動状態が所定の状態になったことを知ることができる。
【0034】また、伝達許可部108が状態伝達装置10と携帯通信機器60との距離Lが所定値thよりも大きい場合には作動状態の伝達を許可する。距離Lが小さい場合は、ユーザ70はすぐに帰宅等することが考えられ、ビデオデッキ30の作動状態を伝達するまでもないことがあることに対応できる。
【0035】なお、所定値thを伝達すべき作動状態に応じて定めている。これにより、ユーザがビデオデッキ30の下へ行き、直接にビデオデッキ30を操作する等といった対応を行なうべき緊急度が伝達すべき作動状態に応じて異なることに対応できる。
【0036】また、上記の実施形態は、以下のようにして実現できる。CPU、ハードディスク、フラッシュメモリ、メディア(フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、メモリスティックなど)読み取り装置を備えたコンピュータのメディア読み取り装置に、状態伝達装置10等の各部分を実現するプログラムを記録したメディアを読み取らせて、ハードディスク、フラッシュメモリなどにインストールする。このような方法でも、上記の機能を実現できる。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、家電製品が自動的に作動して状態が変化し所定の状態になった場合には、携帯通信機器のユーザに作動状態が伝達される。よって、ユーザが家電製品の状態を直接目視等により確認できない程、家電製品から遠く離れていても、ユーザは家電製品の作動状態が所定の状態になったことを知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる状態伝達装置10の使用環境を示す概念図である。
【図2】状態伝達装置10、USBカメラ22、赤外線リモコン24、ビデオデッキ30の配置を示す斜視図である。
【図3】状態伝達装置10としてHAViデバイスを使用した場合の機能ブロック図である。
【図4】状態伝達装置10の構成を示す機能ブロック図である。
【図5】本発明の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 状態伝達装置
102 状態取得部
104 状態伝達部
106 距離計測部
108 伝達許可部
110 メッセージ記録部
30 ビデオデッキ
60 携帯通信機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】自動的に作動する家電製品の作動状態を前記家電製品から遠く離れた携帯通信機器に伝達する家電製品の状態伝達装置であって、前記家電製品の作動状態を取得する状態取得手段と、前記作動状態が所定の状態である場合に前記作動状態を前記携帯通信機器に伝達する状態伝達手段と、を備えた家電製品の状態伝達装置。
【請求項2】請求項1に記載の状態伝達装置であって、前記状態取得装置と前記携帯通信機器との距離に基づき前記作動状態の伝達の可否を決定する伝達許可手段を備えた家電製品の状態伝達装置。
【請求項3】請求項2に記載の状態伝達装置であって、前記伝達許可手段は、前記状態取得装置と前記携帯通信機器との距離が所定値よりも大きい場合に前記作動状態の伝達を許可する家電製品の状態伝達装置。
【請求項4】請求項3に記載の状態伝達装置であって、前記所定値は、伝達する作動状態に応じて定められる家電製品の状態伝達装置。
【請求項5】自動的に作動する家電製品の作動状態を前記家電製品から遠く離れた携帯通信機器に伝達する家電製品の状態伝達方法であって、前記家電製品の作動状態を取得する状態取得工程と、前記作動状態が所定の状態である場合に前記作動状態を前記携帯通信機器に伝達する状態伝達工程と、を備えた家電製品の状態伝達方法。
【請求項6】自動的に作動する家電製品の作動状態を前記家電製品から遠く離れた携帯通信機器に伝達する家電製品の状態伝達処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記家電製品の作動状態を取得する状態取得処理と、前記作動状態が所定の状態である場合に前記作動状態を前記携帯通信機器に伝達する状態伝達処理と、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項7】自動的に作動する家電製品の作動状態を前記家電製品から遠く離れた携帯通信機器に伝達する家電製品の状態伝達処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体であって、前記家電製品の作動状態を取得する状態取得処理と、前記作動状態が所定の状態である場合に前記作動状態を前記携帯通信機器に伝達する状態伝達処理と、をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2003−70077(P2003−70077A)
【公開日】平成15年3月7日(2003.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−251881(P2001−251881)
【出願日】平成13年8月22日(2001.8.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】