説明

容器、該容器に流動体を封入してなるポーションパック、該ポーションパックの製造方法、及び開封方法

【課題】ポーションパックの容器への流動体の充填を容易とし、シール部材による注入口の封止を確実に行う。
【解決手段】容器1は、筒状をなし、一方の端は開放され、他方の端には底4が設けられた容器本体2と、前記容器本体の開放端7の端面に接合され、この開放端を封止する第1シール部材3と、を備え、前記底4に注入口5が形成されている。ポーションパックは、注入口5を介して容器1に流動体12を注入し、前記底4の外面に第2シール部材11を接合して前記注入口5を封止して製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体やゲル状体など流動体を収容する容器、該容器に流動体を封入してなるポーションパック、該ポーションパックの製造方法及び開封方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体やゲル状体など流動体を内容物とし、それを容器に封入してなるポーションパックが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1に記載されたポーションパックの容器は、一方の端が開放され、他方の端には底が設けられた筒状の容器本体を備えている。容器本体の底には、収容した流動体を吐出する吐出口が形成されている。そして、容器本体の開放端は、この開放端に嵌着するシール部材で封止され、また、底に形成された吐出口は、底を覆う蓋部材で封止される。流動体は、吐出口が蓋部材で封止された状態で容器本体の開放端から注入され、そして、開放端にシール部材が嵌着され、容器に封入される。
【0004】
特許文献2に記載されたポーションパックの容器は、両端が開放された筒状の容器本体を備えている。そして、容器本体の両開放端は、フィルム状のシール部材を端面に溶着して封止される。流動体は、一方の開放端がシール部材で封止された状態で他方の開放端から注入され、そして、他方の開放端の端面にシール部材が溶着され、容器に封入される。
【0005】
特許文献1、2に記載されたポーションパックは、いずれも、容器本体の開放端が流動体の注入口とされている。かかる構成では、容器一杯に流動体を注入することが困難となる。
【0006】
容器に注入された流動体は、典型的には、流動体の表面の縁部が、流動体の表面張力に起因して中央部に比べて盛り上がる。流動体の表面縁部が開放端の縁に達していても、流動体の表面中央部は開放端の縁より下に位置する。そのため、容器への流動体の注入量が不足する。開放端を注入口とすると注入口が必然的に大きく、注入口が大きいほど、流動体の表面の縁部の盛り上がりによる流動体の注入量の不足が顕著となる。そして、これより多い流動体が注入されると、流動体の表面縁部が、開放端の縁を越えて、端面に濡れ広がることがある。端面は、その面積が比較的小さく、濡れ広がる流動体で容易に覆われる。注入口となる開放端の端面にシール部材を溶着して開放端を封止するものにあっては、シール部材と開放端の端面との接合が阻害され、シール部材による開放端の封止が不完全となることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭56−141173号公報
【特許文献2】特表2003−512107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、その目的は、ポーションパックの容器への流動体の充填を容易とし、シール部材による注入口の封止を確実に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)筒状をなし、一方の端は開放され、他方の端には底が設けられた容器本体と、前記容器本体の開放端の端面に接合され、この開放端を封止する第1シール部材と、を備え、前記底の一部の領域に、注入口が形成されている容器。
(2)上記(1)の容器に流動体を収容し、前記底の外面に第2シール部材を接合して、前記注入口を封止してなるポーションパック
(3)筒状をなし、一方の開放された端が第1シール部材で封止され、他方の端に設けられた底に注入口が形成されている容器に、前記注入口を介して、流動体を注入し、前記流動体が注入された前記容器の底の外面に第2シール部材を接合し、前記注入口を封止するポーションパックの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容器本体の一方の端に底を設け、その底の一部の領域に注入口を形成しており、注入される流動体の表面は、底で平らにならされる。それにより、容器に流動体を充填することが容易となる。
【0011】
そして、容器本体の開放端を封止する第1シール部材は、容器に流動体が注入される前に開放端の端面に接合されており、注入される流動体が両者の接合を阻害することはない。注入口を封止する第2シール部材は、流動体が注入された後に注入口が形成された底の外面に接合されるが、底の外面は、この底が設けられた容器本体の端を開放端としたときの端面に比べて大きい。そこで、流動体が注入口の周囲に濡れ広がったとしても、その外側で注入口を囲むようにして、底の外面に接合領域を設けることができる。それにより、第2シール部材による注入口の封止を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態を説明するための、容器の一例を示す図。
【図2】図1の容器を、図1とは見る方向を変えて示す図。
【図3】本発明の実施形態を説明するための、ポーションパックの一例であって、図1の容器に流動体を封入してなるポーションパックを示す図。
【図4】図3のポーションパックの製造工程を示す図。
【図5】図4における点線円Vで囲まれる部分を拡大して示す図。
【図6】図3のポーションパックの開封具の一例を示す図。
【図7】本発明の実施形態を説明するための、容器封止装置の一例を示す図。
【図8】図7の容器封止装置の容器の移送手段及びシール材の送り手段を詳細に示す図。
【図9】図7の容器封止装置を用いて図1の容器を封止する工程を示す図。
【図10】本発明の実施形態を説明するための、容器の他の例を示す図。
【図11】図10の容器に流動体を封入してなるポーションパックを示す図。
【図12】図11における点線円XIIで囲まれる部分を拡大して示す図。
【図13】図10の容器の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び図2は、容器の一例を示す。
【0014】
容器1は、容器本体2と、第1シール部材3とを備えている。
【0015】
容器本体2は、筒状をなし、一方の端は開放され、他方の端には底4が設けられている。そして、底4には、開口5が形成されている。図示の例では、容器本体2は、平面視略矩形の筒状に形成されており、開口5は、底4の4つの角部にそれぞれ設けられ、各々平面視略円形状に形成されている。これらの開口5のうち一部の開口5は、容器1に流動体を注入する際の注入口とされ、その余の開口5は、容器1に流動体を注入する際に容器内の空気を排気する排気口とされる場合もある。
【0016】
更に、底4の外面4aには、環状のリブ6が複数形成されている。これらのリブ6の各々は、開口5の縁との間に距離をおいて開口5を囲うように設けられ、また、その全周にわたって底4の外面4aの縁との間にも距離をおいている。リブ6と開口5の縁との間の距離は、ディスペンサ等を用いて容器1に流動体12を注入する際の流動体12の注入量のばらつきを考慮し、容器4の内容積を超えて溢れる流動体12を内側に収容し得る距離とされる。
【0017】
第1シール部材3は、容器本体2の開放端7の端面7aに接合され、この開放端7を封止している。第1シール部材3としては、例えば、熱可塑性樹脂からなるフィルムの表面にアルミニウムなどの金属箔がラミネートされたものを用いることができ、第1シール部材3は、溶着により開放端7の端面7aに接合されている。なお、第1シール部材3と開放端7の端面7aとの接合は溶着に限定されるものではない。例えば開放端7の端面7aに接着剤を塗布し、接着剤によって第1シール部材3と開放端7の端面7aとを接合するようにしてもよく、よって、第1シール部材3についても、溶着可能なものに限定されるものではない。
【0018】
図3は、容器1に流動体12を封入してなるポーションパックの一例を示す。
【0019】
ポーションパック10は、流動体12が注入された容器1の底4の外面4aに第2シール部材11が接合され、底4の開口5がいずれも封止されて構成されている。流動体12は、実質的に容器1の容量一杯に容器1に注入され、容器1に封入されている。
【0020】
第2シール部材11としては、例えば、第1シール部材3と同様に、熱可塑性樹脂からなるフィルムの表面にアルミニウムなどの金属箔がラミネートされたものを用いることができ、溶着により容器1の底4の外面4aに接合されている。なお、第2シール部材11と底4の外面4aとの接合は溶着に限定されるものではない。例えば底4の外面4aに接着剤を塗布し、接着剤によって第2シール部材11と底4の外面4aとを接合するようにしてもよく、よって、第2シール部材11についても、溶着可能なものに限定されるものではない。
【0021】
図4は、ポーションパック10の製造工程を示す。
【0022】
開放端7が第1シール部材3で封止されている容器1に、その底4に形成された開口5を介して流動体12が注入される。流動体12は、例えばディスペンサを用いて略一定量が注入される。容器1に注入された流動体12の表面の形状は、流動体12の表面張力に起因して、容器1の側壁の内面に接触する縁部12aが中央部12bに比べて盛り上がった凹形状を呈する。(FIG.4A)
【0023】
流動体12の表面縁部12aが、容器1の底4の内面4bに達すると、流動体12の表面縁部12aは底4の内面4bに押し止められ、さらなる流動体12の注入によってもその位置にとどまる。一方、流動体12の表面中央部12bと底4の内面4bとの間には空間が残されており、さらなる流動体12の注入に伴って表面中央部12bが次第に膨隆し、底4の内面4bに接触する。即ち、凹形状を呈する流動体12の表面は、底4の内面4bによって平らにならされる。それにより、容器1に流動体12が充填される。(FIG.4B〜FIG.4C)
【0024】
底4の外面4aに第2シール部材11が接合される。第2シール部材11により、底4の開口5はいずれも封止され、流動体12は容器1に封入される。(FIG.4D)
【0025】
図5は、開口5の周囲における容器1と第2シール部材11との接合状態を詳細に示す。
【0026】
ディスペンサによる流動体12の注入量のばらつきなどによって、容器1の内容積を越えて溢れた流動体12が、底4の外面4a上で開口5の周囲に濡れ広がることがある。図には、開口5の周囲に流動体12が濡れ広がった状態が示されている。
【0027】
第2シール部材11は、開口5の周囲に流動体12が濡れ広がった状態で底4の外面4aに接合される。底4の外面4aは、この底4が設けられた容器1の端を開放端としたときの端面に比べて大きいので、流動体12が開口5の周囲に濡れ広がったとしても、その外側で開口5を囲むようにして、底4の外面4aに第2シール部材との接合領域を設けることができる。
【0028】
特に、底4の外面4aには、環状のリブ6が複数形成されおり、これらのリブ6の各々は、開口5の縁との間に距離をおいて開口5を囲っている。そして、リブ6の各々は、その全周にわたって底4の外面4aの縁との間に間隔をおいている。流動体12の濡れ広がりは、リブ6によって堰き止められ、その外側に、開口5を囲む接合領域が確保される。
【0029】
以上により、第2シール部材11が底4の外面4aに接合されると、開口5の各々は、第2シール部材11と底4の外面4aとの接合部位で囲まれる。それにより、第2シール部材11による開口5の封止が確実になされる。
【0030】
図6は、上述のポーションパック10の開封具、及びこの開封具を用いてポーションパック10を開封する工程の一例を示す。
【0031】
開封具20は、基板部21と、基板部21の上面中央部に設けられた凸部22と、凸部22の上面の縁の一部に突設された先鋭な爪部23と、を備えている。凸部22は、ポーションパック10の容器1の開放端7側から容器1内に挿入可能であり、容器1の内部に遊嵌する。
【0032】
ポーションパック10の容器1の開放端7を封止する第1シール部材3を、開封具20の凸部22に押し当て、凸部22の上面の爪部23によって第1シール部材3を穿孔する。(FIG.6A)
【0033】
第1シール部材3を開封具20の凸部22に更に押し当て、爪部23によって生じた孔を基点に第1シール部材3を破断し、ポーションパック10を開封する。そして、凸部22を容器1内に挿入する。ポーションパック10に封入されていた流動体は、凸部22によって押し出される。押し出される流動体を基板部21で受け、これを回収する。(FIG.6B)
【0034】
容器1内に凸部22を完全に挿入すると、容器1の内部は凸部22で置換され、それにより、ポーションパック10に封入されていた流動体を実質的に全量回収することができる。(FIG.6C)
【0035】
図7及び図8は、容器1の開口5を封止する容器封止装置の一例を示す。
【0036】
封止装置100は、容器1の底4の外面に第2シール部材11を接合し、容器1の開口5を封止する。パレット108に複数の容器1が配置され、封止装置100には、このパレット単位で容器1が供給される。なお、図には、簡略して、パレット108毎に1つの容器1のみ示している。
【0037】
封止装置100は、容器1が配置されたパレット108を移送する移送手段101と、第2シール部材11の素材となるシール材120を供給する供給する供給手段102と、供給手段102から供給されるシール材120を送る送り手段103と、容器1に流動体を注入する注入手段104と、シール材120をパレット108の容器1に接合する接合手段105と、パレット108の容器1に接合された接合部分(第2シール部材11)をシール材120から切り抜く切り抜き手段106と、切り抜かれた接合部分(第2シール部材11)をその余のシール材120から分離する分離手段107とを備えている。
【0038】
移送手段101は、パレット108の移送経路に沿って延びるガイドレール110と、ガイドレール110上に載置された複数のパレット108に係脱可能に係合する係合部材111と、係合部材111を駆動する駆動機構112とを含んでいる。
【0039】
係合部材111は、ガイドレール110の下にあってガイドレール110と平行に延びる基体113と、基体113に所定のピッチで立設された複数のピン114とを有している。
【0040】
駆動機構112は、係合部材111を支持し、これを昇降駆動するシリンダピストン等の昇降駆動機構115と、昇降駆動機構115をパレット108の移送経路に沿って往復駆動するリニアモータ等の並進駆動機構116とを有している。
【0041】
昇降駆動機構115によって駆動されて係合部材111が上昇し、係合部材111は、ガイドレール110上に載置された複数のパレット108にピン114を係合させる。次いで、並進駆動機構116によって駆動されて昇降駆動機構115及びこれに支持された係合部材111が移送経路に沿って前進し、ピン114が係合している複数のパレット108は、係合部材111と共にガイドレール110上を前進する。次いで、昇降駆動機構115によって駆動されて係合部材111が下降し、係合部材111は、複数のパレット108からピン114を係脱させる。次いで、並進駆動機構116によって駆動されて昇降駆動機構115及びこれに支持された係合部材111が移送経路に沿って後退し、係合部材111が初期位置に復帰する。以上のサイクルが繰り返されることで、複数のパレット108は、移送経路に沿って間欠的に移送される。
【0042】
シール材120は、熱可塑性樹脂からなる長尺フィルムであって、供給部102は、シール材120が巻き付けられた原反ロール121と、原反ロール121からシール材120を巻き取る巻き取りロール122と、複数の補助ロール123とを含んでいる。
【0043】
原反ロール121及び巻き取りロール122は、それぞれ図示しないモータによって駆動される。これは、シール材120の送りを制御するためではなく、シール材120に一定のテンションをかけて、シール材120の弛みを取り除くためである。
【0044】
複数の補助ロール123は、原反ロール121と巻き取りロール122との間の区間に適宜配置され、シール材120の送り経路を規定する。シール材120の送り経路は、その一部の区間においてパレット108の移送経路に沿っており、その区間において、シール材120は、パレット108の容器1の底4の外面に重なる。
【0045】
注入手段104は、パレット108の移送経路においてシール材120の送り経路が沿う区間よりも上流側に配置されている。注入手段104は、ディスペンサ140と、図示しないセンサを含んでいる。移送されるパレット108が注入手段104の下に配置された際に、注入手段104は、これをセンサで検出し、センサの検出信号に基づいてディスペンサ140を動作させ、このパレット108の容器1に流動体12を注入する。
【0046】
接合手段105は、パレット108の移送経路においてシール材120の送り経路が沿う区間に配置されている。接合手段105は、昇降駆動される熱溶着ヘッド150と、図示しないセンサとを含んでいる。
【0047】
移送されるパレット108が接合手段105の下に配置された際に、接合手段105は、これをセンサで検出し、センサの検出信号に基づいて熱溶着ヘッド150を降下させる。シール材120は、降下する熱溶着ヘッド150によって、パレット108の容器1に押し付けられ、容器1の底4の外面に溶着される。それにより、容器1は、その開口5を封止される。なお、シール材120と底4の外面との接合は溶着に限定されるものではない。例えば底4の外面に接着剤を塗布し、接着剤によってシール材120と底4の外面とを接合するようにしてもよい。その場合には、例えば、パレット108の移送経路においてシール材120の送り経路が沿う区間よりも上流において、容器1の底4の外面に接着剤が塗布される。
【0048】
切り抜き手段106は、パレット108の移送経路においてシール材120の送り経路が沿う区間で、接合手段105の下流側に配置されている。切り抜き手段106は、レーザーマーカー160と、図示しないセンサとを含んでいる。
【0049】
移送されるパレット108が切り抜き手段106の下に配置された際に、切り抜き手段106は、これをセンサで検出し、センサの検出信号に基づいてレーザーマーカー160を動作させる。レーザーマーカー160は、パレット108の容器1に溶着されているシール材120にレーザーを照射する。レーザーは、容器1の底4の外面の縁に沿って照射される。それにより、第2シール部材11が、容器1の底4の外面に接合された状態で、シール材120から切り抜かれる。なお、パレットをダイとし、これにパンチを押し当ててシール材120から第2シール部材11を打ち抜くようにしてもよい。
【0050】
分離手段107は、切り抜き手段106の下流側に配置されており、シール材120の送り経路においてパレット108の移送経路に沿う区間の下流端を規定している。分離手段107は、シール材120に摺接するヘラ状の摺接部材170と、摺接部材170の下流でシール材120を上方に案内するローラ171とを含んでいる。
【0051】
シール材120は、摺接部材170の直後で屈曲して上方に送られ移送経路から離反するが、シール材120から切り抜かれた第2シール部材11は、容器1に接合されており、パレット108の移送経路に沿って移動する。それにより、第2シール部材11と、その余のシール材120とで相対移動が生じ、第2シール部材11は、その余のシール材120から分離される。
【0052】
送り手段103は、パレット108の移送経路において接合手段105と切り抜き手段106との間の区間に配置されている。送り手段103は、シール材120の両側に設けられ、それぞれシール材120の縁部を把持し、またこれを解放する一組の把持機構130を含んでいる。これらの把持機構130は、移送手段101において、並進駆動機構116によって移送経路に沿って往復駆動される昇降駆動機構115に締結されており、昇降駆動機構115と一体に移動する。
【0053】
送り手段103は、パレット108を移送する上述の移送手段101のサイクルのなかで、パレット108に係合した係合部材111及びこれを支持する昇降駆動機構115が前進してパレット108を移送する際に、把持機構130でシール材120を把持する。把持機構130が昇降駆動機構115と一体に前進するのに伴い、把持機構130に把持されたシール材120は、その送り経路に沿って送られる。そして、送り手段103は、パレット108から係脱した係合部材111及びこれを支持する昇降駆動機構115が後退して初期位置に復帰する際には、把持機構103によるシール材120の把持を解放する。把持機構130は昇降駆動機構115と一体に後退し、初期位置に復帰する。以上のサイクルが繰り返されることで、シール材120は、その送り経路に沿って間欠的に送られる。このように、送り手段103は、シール材120を送る際には、シール材120を保持して移送手段101と一体に移動する。それにより、シール材120がパレット108の容器1に接合され、接合部分(第2シール部材11)が分離されるまでの間に、シール材120の送りとパレット108の移送との同期を容易にとることができる。
【0054】
また、送り手段103は、パレット108移送経路において接合手段105と切り抜き手段106との間の区間でシール材120を保持しており、接合手段105と切り抜き手段106との間の区間でシール材120の送りとパレット108の移送との同期をとるうえで、シール材120の伸びに起因する両者の同期ずれを防止することができる。
【0055】
また、ベルトコンベアを用いてパレット108を移送することもできるが、ベルトは循環して初期位置に戻るため、複数のパレット108を間断なく移送し、これに同期してシール材120を送るには、送り手段103の把持機構130は、ベルトに沿って複数組必要となる。これに対して、移送手段101が、パレット108に係脱可能に係合する係合部材111及びこれを支持する昇降駆動機構115を移送経路に沿って往復駆動してパレット108を移送する構成では、把持機構130は上述のとおり一組で足り、装置の構成を簡素化することができる。
【0056】
そして、送り手段103は、パレット108の移送経路において接合手段105と切り抜き手段106との間の区間にパレット108があるときにのみ、把持機構130でシール材120を把持する。接合手段105と切り抜き手段106との間の区間にパレット108が有るか否かの判定は、例えば、接合手段105及び切り抜き手段106にそれぞれ設けられたセンサを用いて、接合手段105を通過したパレットの数、及び切り抜き手段106を通過したパレットの数を計数し、両者を比較することでなされる。
【0057】
図9は、以上のように構成された容器封止装置100を用いて、複数の容器1を順次封止する工程を示す。
【0058】
図9には、移送される複数のパレットうちの2つのパレット108a、108bの間隔が大きくあいた状態が示されており、その間隔Pは、パレット108の移送経路に沿って接合手段105から切り抜き手段106までの距離Lよりも大きい。そのような状態は、例えば容器封止装置100へのパレット108の供給が手作業で行われる場合などに起こり得る。なお、図には、簡略して、間隔Pがあいている2つのパレット108a、108bのみ示している。
【0059】
先行するパレット108aが接合手段105の下に配置され、パレット108aの容器1にシール材120が溶着される。それにより、容器1は、その開口5を封止される。(FIG.9A)
【0060】
次いで、パレット108a、108bは、上述のサイクルで動作する移送手段101によって移送される。ここで、パレット108の移送経路における接合手段105と切り抜き手段106との間の区間にはパレット108aがある。そこで、送り手段103は、パレット108を移送する上述の移送手段101のサイクルのなかで、パレット108に係合した係合部材111及びこれを支持する昇降駆動機構115が前進してパレット108を移送する際に、把持機構130でシール材120を把持する。把持機構130が昇降駆動機構115と一体に前進するのに伴い、把持機構130に把持されたシール材120は、その送り経路に沿って送られる。シール材120を把持する把持機構130が、パレット108aを移送する昇降駆動機構115と一体に移動することで、シール材120の送りは、パレット108aの移送に対して確実に同期する。それにより、パレット108aの容器1とシール材120との接合に剥離が生じることが防止される。(FIG.9B)
【0061】
移送手段101が上述のサイクルを繰り返し、先行するパレット108aが切り抜き手段106の下に配置される。第2シール部材11が、パレット108aの容器1に溶着された状態で、シール材120から切り抜かれる。それにより、パレット108aの容器1の封止が完了する。ここで、パレット108a、108bの間隔Pは、パレット108の移送経路に沿って接合手段105から切り抜き手段106までの距離Lよりも大きい。よって、先行するパレット108aが切り抜き手段106の下に配置され時点では、後続するパレット108bは移送経路に沿って接合手段105よりも上流側に位置している。(FIG.9C)
【0062】
移送手段101が上述のサイクルを更に繰り返すことで、パレット108bは接合手段105の下に移送されるが、その間、パレット108の移送経路における接合手段105と切り抜き手段106との間の区間にはパレットが存在しない。そこで、送り手段103は、パレット108を移送する上述の移送手段101のサイクルのなかで、パレット108に係合した係合部材111及びこれを支持する昇降駆動機構115が前進してパレット108を移送する際に、把持機構130でシール材120を把持することなく、シール材120を解放している。把持機構130が昇降駆動機構115と一体に前進しても、シール材120は、その送り経路に沿って送られることはなく、パレット108a、108bのみが移送される。それにより、シール材120が節約される。(FIG.9D)
【0063】
図10は、容器の他の例を示す。なお、上述した容器1と共通する要素には、共通の符号を付し、説明を簡略ないし省略する。
【0064】
容器31は、容器本体32と、第1シール部材3とを備えている。
【0065】
容器本体32は、筒状をなし、一方の端は開放され、他方の端には底34が設けられている。そして、底34には、開口35が形成されている。図示の例では、容器本体32は、平面視略矩形の筒状に形成されており、開口35は、底34の対角をなす角部にそれぞれ設けられ、各々平面視略円形状に形成されている。2つの開口35のうち一方の開口35は、容器31に流動体を注入する際の注入口とされ、他方の開口35は、容器31に流動体を注入する際に容器内の空気を排気する排気口とされる。
【0066】
開口35は、底34の内面34bに接続する第1の端部35aの開口径φ1に比べて、底34の外面34aに接続する第2の端部35bの開口径φ2が大きい段形状に形成されている。第1の端部35aと第2の端部35bとの接続箇所には、段差面38が形成されている。第2端部35bの開口径φ2は、ディスペンサ等を用いて容器31に流動体12を注入する際の流動体12の注入量のばらつきを考慮し、容器31の内容積を超えて溢れる流動体12を内側に収容し得る径とされる。
【0067】
第1シール部材3は、容器本体32の開放端37の端面37aに接合され、この開放端37を封止している。
【0068】
図11は、容器31に流動体12を封入してなるポーションパックの一例を示す。
【0069】
ポーションパック40は、流動体12が注入された容器31の底34の外面34aに第2シール部材11が接合され、底34の開口35がいずれも封止されて構成されている。流動体12は、実質的に容器31の容量一杯に容器31に注入され、容器31に封入されている。第2シール部材11は、溶着により容器31の底34の外面34aに接合されている。
【0070】
図12は、開口35の周囲における容器31と第2シール部材11との接合状態を詳細に示す。
【0071】
ディスペンサによる流動体12の注入量のばらつきなどによって、容器31の内容積を超えて溢れた流動体12が、開口35内に浸入する場合がある。図には、開口35内に流動体12が浸入した状態が示されている。
【0072】
上述の通り、開口35は、底34の内面に接続する第1の端部35aの開口径φ1に比べて、底34の外面34aに接続する第2の端部35bの開口径φ2が大きい段形状に形成されており、第1の端部35aと第2の端部35bとの接続箇所には、段差面38が形成されている。開口35内に浸入した流動体12は、段差面38を濡れ広がるのみで、容器31の底34の外面34aに濡れ広がることはなく、外面34aに開口35を囲む接合領域が確保される。
【0073】
上述した容器1においては、溢れた流動体12の濡れ広がり領域が底4の外面4aに設けられており、第2シール部材11の接合領域と流動体12の濡れ広がり領域とが同一面上にあるが、本例の容器31においては、溢れた流動体12の濡れ広がり領域が開口35内の段差面38とされており、第2シール部材11との接合領域が設けられる底34の外面34aとは異なる面上にある。それにより、底34の外面34aへの第2シール部材11の接合をより確実に行うことができる。
【0074】
図13は、容器31の変形例を示す。
【0075】
図13に示す容器31は、底34の外面34aに、環状のリブ36が複数形成されている。これらのリブ36の各々は、開口35の縁に沿って開口35を囲うように設けられている。これらのリブ36は、上述の容器1におけるリブ6のように流動体12の濡れ広がりを堰き止める機能を有しかつ、第2シール部材11が溶着されて容器31が封止される際の潰し代として用いられ、第2シール部材11は各リブ36の先端部に溶着される。
【0076】
潰し代としてのリブ36が設けられることによって、底34に複数の開口35を有する容器31の各部の成形誤差を吸収し、各開口35の封止を確実に行うことができる。更に、上述の封止装置100によって複数の容器31を一度に封止する場合に、容器31毎の成形誤差を吸収し、各容器31の封止を確実に行うことができる。
【0077】
第2シール部材11が溶着されるリブ36の先端部は平坦面とされていることが好ましい。それによれば、溶着における接合面積を十分に確保して封止性を高めることができる。更に、第2シール部材11として、熱可塑性樹脂からなるフィルムの表面にアルミニウムなどの金属箔がラミネートされたものを用いる場合には、フィルムの突き破りを防止することができ、それにより、ラミネートされた金属箔が流動体12に晒されて腐食することを防止することができる。
【0078】
以上説明したように、本明細書には、下記(1)〜(6)の容器が開示されている。
【0079】
(1) 筒状をなし、一方の端は開放され、他方の端には底が設けられた容器本体と、前記容器本体の開放端の端面に接合され、この開放端を封止する第1シール部材と、を備え、前記底の一部の領域に注入口が形成されている容器。
(2) 上記(1)の容器であって、前記注入口は、前記底の内面に接続する第1の端部の開口面積に比べて前記底の外面に接続する第2の端部の開口面積が大きい段形状に形成されている容器。
(3) 上記(2)の容器であって、前記底の外面に、前記注入口の縁に沿って前記注入口を囲むリブが形成されている容器。
(4) 上記(3)の容器であって、前記リブの先端部が平坦面とされている。
(5) 上記(1)の容器であって、前記底の外面に、前記注入口の縁との間に距離をおいて前記注入口を囲むリブが形成されている容器。
(6) 上記(1)〜(5)のいずれか一つの容器であって、前記第1シール部材が押圧により破断可能である容器。
【0080】
また、本明細書には、下記(7)及び(8)のポーションパックが開示されている。
【0081】
(7) 上記(1)〜(6)のいずれか一つの容器に流動体を収容し、前記底の外面に第2シール部材を接合し、前記注入口を封止してなるポーションパック。
(8) 上記(3)又は(4)の容器に流動体を収容し、前記底の外面に第2シール部材が接合されて前記注入口が封止されてなるポーションパックであって、前記第2のシール部材は、前記リブの先端部と溶着されて前記底の外面に接合されているポーションパック。
【0082】
また、本明細書には、筒状をなし、一方の開放された端が第1シール部材で封止され、他方の端に設けられた底に注入口が形成されている容器に、前記注入口を介して流動体を注入し、前記流動体が注入された前記容器の底の外面に第2シール部材を接合し、前記注入口を封止するポーションパックの製造方法が開示されている。
【0083】
また、本明細書には、前記第1シール部材を破断し、前記容器内に嵌る詰物を、前記開放端を通して前記容器内に挿入し、前記容器に収容された流動体を押し出すポーションパックの開封方法が開示されている。
【0084】
また、本明細書に開示されたポーションパックの開封方法は、前記第1シール部材を、前記容器内への挿入方向に向く前記詰物の前面に押し付けて破断する。
【符号の説明】
【0085】
1 容器
2 容器本体
3 シール部材
4 底
4a 外面
4b 内面
5 開口(注入口)
6 リブ
7 開放端
7a 端面
10 ポーションパック
11 シール部材
12 流動体
20 開封具
21 基板部
22 凸部
23 爪部
100 封止装置
100 容器封止装置
101 移送手段
102 供給手段
102 供給部
103 送り手段
104 注入手段
105 接合手段
106 切り抜き手段
107 分離手段
108 パレット
110 ガイドレール
111 係合部材
112 駆動機構
113 基体
114 ピン
115 昇降駆動機構
116 並進駆動機構
120 シール材
121 原反ロール
122 ロール
123 補助ロール
130 把持機構
140 ディスペンサ
150 熱溶着ヘッド
160 レーザーマーカー
170 摺接部材
171 ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状をなし、一方の端は開放され、他方の端には底が設けられた容器本体と、
前記容器本体の開放端の端面に接合され、この開放端を封止する第1シール部材と、
を備え、
前記底に注入口が形成されている容器。
【請求項2】
請求項1に記載の容器であって、
前記注入口は、前記底の内面に接続する第1の端部の開口面積に比べて前記底の外面に接続する第2の端部の開口面積が大きい段形状に形成されている容器。
【請求項3】
請求項2に記載の容器であって、
前記底の外面に、前記注入口の縁に沿って前記注入口を囲むリブが形成されている容器。
【請求項4】
請求項3に記載の容器であって、
前記リブの先端部は平坦面とされている容器。
【請求項5】
請求項1に記載の容器であって、
前記底の外面に、前記注入口の縁との間に距離をおいて前記注入口を囲むリブが形成されている容器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の容器であって、
前記第1シール部材が押圧により破断可能である容器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の容器に流動体を収容し、前記底の外面に第2シール部材が接合されて前記注入口が封止されてなるポーションパック。
【請求項8】
請求項3又は4に記載の容器に流動体を収容し、前記底の外面に第2シール部材が接合されて前記注入口が封止されてなるポーションパックであって、
前記第2のシール部材は、前記リブの先端部と溶着されて前記底の外面に接合されているポーションパック。
【請求項9】
筒状をなし、一方の開放された端が第1シール部材で封止され、他方の端に設けられた底に注入口が形成されている容器に、前記注入口を介して流動体を注入し、
前記流動体が注入された前記容器の底の外面に第2シール部材を接合し、前記注入口を封止するポーションパックの製造方法。
【請求項10】
請求項7に記載のポーションパックの開封方法であって、
前記第1シール部材を破断し、
前記容器内に嵌る詰物を、前記開放端を通して前記容器内に挿入し、前記容器に収容された流動体を押し出すポーションパックの開封方法。
【請求項11】
請求項7に記載のポーションパックの開封方法であって、
前記第1シール部材を、前記容器内への挿入方向に向く前記詰物の前面に押し付けて破断するポーションパックの開封方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−71892(P2012−71892A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35225(P2011−35225)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】