説明

容器および容器の成膜方法

【課題】容器に有色の飲食物を注入しても色素が付着し難く、たとえ色素が付着した場合であっても容易に落とすことができる防汚効果に優れた容器を提供することを課題とする。
【解決手段】上部に開口部15を有し表面にガラス質の膜5が形成される容器1であって、前記容器1の表面粗さの大きさより厚い膜厚のガラス質の膜5が形成されることを特徴とする容器1により、上記の課題を解決する。また、容器1の表面を電解研磨もしくは酸洗いした後、又は梨地状態のまま、前記容器1の表面に表面粗さの大きさより厚い膜厚のガラス質の膜5を形成することを特徴とする容器の成膜方法により、上記の課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面にガラス質の膜が形成される容器および容器の成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食物を収容する容器の中でも、内容器と外容器とを空間を隔てて配設し、前記空間内を負圧状態に保持した断熱容器は、断熱性能が優れることから魔法瓶等、各種の保温容器として普及している。そして、飲食物の保温に用いられる断熱容器には、内容器および外容器ともステンレス鋼等の金属材料が用いられる場合が多い。
【0003】
商品としての断熱容器の場合には保温性能のみならず、長期間に亘って清潔感を維持できる防汚性、耐食性、耐傷性に優れることも重要である。そして、耐食性や耐傷性を向上させるため、断熱容器の材料にはステンレス鋼等の金属材料が用いられ、その内容器の内面または外容器の外面には、各種の表面処理が施されている。例えば、内容器の内面には電解研磨、ブラスト研磨、酸洗い、フッ素樹脂塗装等の表面加工が施され、外容器の外面にはサテン研磨、鏡面研磨、ヘアライン研磨、アクリル樹脂塗装等の表面加工が施されている。
【0004】
さらに、断熱容器ではないが金属製の容器の壁面に付着させたポリシラザンの有機溶媒溶液を加湿及び酸化処理することで形成されるシリカ製の被膜を備える耐食性容器も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−217278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ステンレス鋼からなる断熱容器の内容器の内面または外容器の外面を各種研磨仕上げすることは、ステンレス鋼板を絞り加工する際の異物や加熱処理時に形成される不必要な酸化被膜を除去できる作用はあるものの、研磨後の表面に不動態被膜が形成されるだけであって、それ以上の効果は期待できない。すなわち、不動態被膜の存在により容器表面の耐食性は向上するものの、容器表面に各種の汚れが付着するのを防止する効果は期待し得ない。たとえば容器の内部にコーヒー、紅茶、お茶等の飲料物を注入すると、これらの飲料物は有色であることから、容器の内面には飲料物の色素が付着してしまう。これらの飲料物による容器内面への色素の付着は強固であり、市販されている洗剤で洗浄する程度では落とすことができない。また、容器内面にフッ素樹脂等をコーティングすると、飲料物の色素が容器内面に付着するのを防止できるという点では比較的効果はある。しかし、フッ素樹脂がコーティングされた面は分子的に観察するとポーラスであり、そのポーラス面に小さな分子が入り込んでしまい、表面の変色や臭い発生の元凶となるという問題があった。ポーラス面に入り込んでしまった小さな分子は除去が困難であり、いったん付着するとステンレス鋼の表面に付着した場合に比較しても洗浄に多くの時間がかかるという問題があった。
【0006】
また、研磨仕上げされたステンレス鋼製の容器の外面を素手で触ると指紋が付いてしまい、布巾で拭き取っても指紋の油脂が研磨目の奥に入り込んでしまって拭き取ることは困難であった。そのため、洗浄によって指紋を洗い落とさないと、研磨目の奥に残った油脂が原因となって外観が悪くなる。
【0007】
さらに、容器の表面にアクリル樹脂をコーティングすることは、着色も自在にでき非常に簡便ではあるが、内容器の内面にアクリル樹脂コーティングを施すと、アクリル樹脂の溶出等、衛生的に解決困難な問題があり、未だ実施できる段階には至っていない。
【0008】
また、金属製の容器の壁面に付着させたポリシラザンの有機溶媒溶液を加湿及び酸化処理することで形成されるシリカ製の被膜を備える耐食性容器においては、耐食性は向上するものの、被膜に容易にクラックが入って剥離してしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、容器に有色の飲食物を注入しても色素が付着し難く、たとえ色素が付着した場合であっても容易に落とすことができる防汚効果に優れた容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、上部に開口部を有し表面にガラス質の膜が形成される容器であって、前記容器の表面粗さの大きさより厚い膜厚のガラス質の膜が形成されることを特徴とする容器である。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の容器において、前記容器が、内容器と外容器とを空間を隔てて配設し、端部を接合することにより一体化された断熱性を有する容器であることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の容器において、前記膜がパーヒドロポリシラザンから転化した膜であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の容器において、前記膜の線膨張係数が 3×10−6/℃ 〜 30×10−6/℃ であることを特徴とするものである。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項3または4記載の容器において、前記膜の厚さが 0.2μm〜 2μm であることを特徴とするものである。
【0015】
請求項6記載の発明は、容器の表面を電解研磨もしくは酸洗いした後、又は梨地状態のまま、前記容器の表面に表面粗さの大きさより厚い膜厚のガラス質の膜を形成することを特徴とする容器の成膜方法である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1〜5記載の容器によれば、容器の内面または外面に色素が付着し難くなる。また、色素が付着した場合であっても、中性洗剤等を用いて洗浄することにより容易に色素を洗い落とすことができる。また、比較的簡易な方法で高い硬度の膜を形成することができ、汚れ難く傷付き難い容器を実現できる。さらに、破損し難く、しかも剥離し難いガラス質の膜を有する容器を実現できる。また、表面状態が滑らかで、しかも製作コストが安価なガラス質の膜を有する容器を実現できる。
【0017】
請求項6記載の容器の成膜方法によれば、容器表面への付着力が強く、容器表面から剥離し難いガラス質の膜を形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施例について説明するに先立って、本発明に適用する膜の物質であるパーヒドロポリシラザンについて簡単に説明する。パーヒドロポリシラザンは、特許文献1に開示されているポリシラザンの一種であり、SiHNH で表される物質である。パーヒドロポリシラザンは、有機溶媒および少量の触媒と混合されたものがスプレー缶に充填された状態または缶容器に充填された状態で市販されている。したがって、スプレーガンやウェスによる手塗りなどで、容易に基材に塗布することができる。そして、常温状態で塗布後5分程度放置するだけで有機溶剤が揮発し、パーヒドロポリシラザンの有する自己架橋性の強さから、即指触乾燥状態になる。
【0019】
図1は、AZマテリアルズ社の技術資料によるものであり、パーヒドロポリシラザンを基材に塗布した後の放置日数と膜密度の関係を示す。横軸は放置日数を、縦軸は密度を示している。塗布後数分で即指触乾燥状態になった膜は、放置日数の経過とともに次第に密度が高くなる。パーヒドロポリシラザンは、大気中に含まれる水分と急速に反応してシリカガラスに転化する性質があり、膜密度の変化と放置日数とは大気中に含まれる水分、すなわち湿度による影響を受ける。湿度が高いほど膜の密度も高くなるが、平均的な環境下では約2週間で密度2.0程度の緻密なガラス膜になる。なお、理想的な石英ガラスの密度は約2.2である。
【0020】
図2は、AZマテリアルズ社の技術資料によるものであり、パーヒドロポリシラザンを基材に塗布後5分程度経過して即指触乾燥状態になった膜の赤外線吸収スペクトル結果と、塗布後2週間程度経過してシリカガラスに転化した膜の赤外線吸収スペクトル結果を示す。図2(a)は、塗布後5分程度経過した膜の赤外線吸収スペクトル結果であり、図2(b)は、塗布後2週間程度経過した膜の赤外線吸収スペクトル結果である。珪素Si,窒素N,水素Hのみから構成されるパーヒドロポリシラザンが、塗布2週間後には珪素Si,酸素O から構成されるシリカガラスSiOへと変化している様子がわかる。メチルなどの有機成分が存在しない完全な無機質膜が形成でき、このガラス質の膜は硬度が高く耐久性、親水性に優れている。このことにより、基材上に成膜された膜は、優れた防汚機能、防食機能、防傷機能を発揮する。
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。図3は、本発明の第1実施例としての容器たる断熱容器1を示す断面図である。この断熱容器1は主として冷たいスポーツドリンク等が外気温により温められるのを抑制したり、暖かい紅茶等が冷却されるのを抑制するための魔法瓶として使用されるものである。
【0022】
断熱容器1は、金属板材から絞り加工により、内容器2と外容器3とが別々に製作される。その後、両容器は空間4を隔てて配設され、端部同士2a,3aを接合することで一体化される。本実施例では内容器2と外容器3の上端部で接合しているが、内容器2や外容器3の形状によっては下端部または側面部で接合する場合もある。
【0023】
内容器2と外容器3との間に形成される空間4内は真空排気により負圧状態にした後、密封される。このことにより空間4を隔てた内容器2と外容器3との間の熱伝導が抑制され、高い断熱性能を確保することができる。
【0024】
断熱容器1の内容器2や外容器3は、加工容易性や商品性等を総合的に考慮してステンレス鋼板から絞り加工により製作される。内容器2と外容器3は接合により一体化した後、それらの表面には電解研磨または酸洗いが施される。これらの表面処理加工により内容器2の内面および外容器3の外面は、滑らかな平滑面に仕上げられる。なお、外容器3の外面に関しては、梨地状態のままのステンレス鋼板の表面をそのまま使用することもある。
【0025】
従来、金属の表面にフッ素樹脂膜等をコーティングする場合には、金属表面からの膜の剥離を防止するため、金属表面には適度な凹凸を付与していた。例えば金属表面にはヘアライン研磨、サテン研磨、ブラスト研磨等の研磨仕上げを施し、2〜3μm程度の大きさの凹凸を設けていた。このような表面加工を施すことにより、金属表面への膜の付着力を大きくして膜の剥離を予防している。
【0026】
一方、本発明においては断熱容器1の内容器2および外容器3の表面を滑らかな状態に仕上げることを特徴としている。このことは従来技術のように接合面に比較的大きな凹凸を設け、物理的なアンカー効果によりコーティングの密着性能を高めるという通念からすると逆行している。しかし、従来技術のように断熱容器の内容器および外容器の表面にヘアライン研磨等を施した後でガラス質の膜を形成すると、粗い研磨目の影響によりコーティングされた膜厚が局部的に不均一になる。さらに、研磨目の尖った先端には熱変形等による歪み応力が発生し、硬いが故に弾力性に劣るガラス質の膜にクラックが発生する原因になる。
【0027】
図4は、金属表面6をヘアライン研磨仕上げした後でガラス質の膜5を形成した状態を示す拡大断面図であり、ヘアライン研磨目に対し直角方向断面を示している。ヘアライン研磨目は粗く、凸部の先端7は鋭く尖っている。凸部の先端7と凹部の底8との寸法差は、通常2〜3μm程度になる。このような金属表面6にガラス質の膜5を形成すると、膜5は支障なく付着するものの金属表面6の凹凸の差が大き過ぎ、結果的に凸部の膜厚が薄くなり過ぎる。ここで、膜厚が均一に薄い場合には膜厚が薄いことは膜5の剥離に対して悪影響を及ぼすものではないが、表面の凸部の先端7と凹部の底8との寸法差が通常2〜3μmにも達する不均一な膜厚となる場合には、凸部の先端7の薄い膜において温度変化等の外因により簡単にクラックが生じてしまう。そして、凸部の先端7の薄い膜を起点にして徐々に膜5の剥離が大きくなってゆく現象が見られる。このような膜5の剥離を生ずる金属表面6は、本発明の地肌処理として適切でないことが分かる。
【0028】
図5は、金属表面9を電解研磨もしくは酸洗いした後、又は梨地状態のまま、ガラス質の膜5を形成した状態を示す拡大断面図であり、断面は方向性のない等方性断面である。ヘアライン研磨仕上げとは異なり、金属表面9に目立った凹凸はない。全域にわたって観察すると、波長の長いうねりは認められるものの狭い範囲では平滑な表面に仕上げられている。表面に極端な凹凸は認められないが、隣接する凹凸間には1μm程度以下の寸法差は存在している。ここで、波長の長いうねりはコーティングされる膜厚の変動に影響を及ぼすことはなく、このような表面においては全域にわたって略均一な厚さの膜5が形成される。したがって、このような表面に表面粗さの大きさより厚い膜厚のガラス質の膜を形成すると、全域にわたって略均一な厚さの膜5が得られ、膜の剥離の原因となるクラックが生じなくなる。
【0029】
ところで、本実施例によって成膜された膜5の表面は密度が緻密で、ガラス質であることから膜5の表面粗さは極めて小さい。さらに、ガラス質の膜5の硬度は高く、耐摩耗性にも優れる。そのため、コーヒー等の色素を含む飲料が膜5の表面に存在しても、飲料中の色素分子がガラス質の膜5に付着し難くなる。また、たとえ色素分子がガラス質の膜5の表面に付着した場合であっても付着力は弱く、市販されている洗剤を用いて洗浄することにより容易に洗い落とすことができる。
【0030】
また、金属製の内容器2や外容器3の表面にガラス質の膜5を形成する場合、被膜される金属の線膨張係数と膜の材料であるガラスとの線膨張係数が大きく異なると、周囲温度の変動に伴い両材料の変形量が大きくなってクラックが発生する原因となる。ここで、鉄鋼材料の線膨張係数は12×10−6/℃ 程度であることから、膜材料の線膨張係数は 3×10−6/℃ 〜 30×10−6/℃ の範囲にあることが好ましい。発明者らの実験結果によると、この範囲内の膜材料であれば基材の線膨張率係数と膜材料の線膨張係数に極端な違いがなく、膜の剥離等の問題が生じるリスクは少ない。一方、この範囲外の線膨張係数を有する膜材料では、金属表面に膜を形成してもクラックの発生率や剥離の発生率が高くなり、耐久性に劣ることになって好ましくない。
【0031】
発明者らの実験結果によると、金属の表面に塗布する膜の厚さは薄い方が乾燥後においてクラックの発生率が少なくなるが、膜厚が0.2μm 以下になると、膜の耐摩耗性が低下するので好ましくない。 一方、2μm以上の膜厚になると高価なガラス質の膜材料の消費量が多くなり好ましくない。したがって、本実施例では膜の厚さを0.2μm 〜 2μm としているが、0.5μm〜 1μm の範囲とするのが一層好ましい。
【0032】
図6は、本発明の第2実施例としての断熱容器11を示す断面図である。この断熱容器11はコーヒーや紅茶を注入して飲む際に用いられるマグカップに適用したものである。断熱容器11の外面には必要に応じて取手(図示省略)が取り付けられる。断熱容器11は金属板材から絞り加工により、内容器12と外容器13とは別々に製作される。その後、両容器は空間14を隔てて配設され、上端部を接合することで一体化される。本実施例では上端部での接合に際し、上端開口部15に蓋体を取り付け易いように容器上端縁は極力薄肉となるよう構成されている。内容器12と外容器13との間に形成される空間14内は真空排気により負圧状態にした後、密封して熱伝導を抑制することにより高い断熱性能を確保している点は第1実施例と同様である。
【0033】
断熱容器11の内容器12や外容器13の表面には、電解研磨もしくは酸洗い加工が施される、又は梨地加工のままになっている。これらの表面処理加工により内容器12の内面および外容器13の外面は、滑らかな平滑面に仕上げられ、その後、容器の表面には表面粗さの大きさより厚い膜厚のガラス質の膜5が形成される。具体的には、スプレー缶に充填された状態または缶容器に充填された状態で市販されているパーヒドロポリシラザンと有機溶媒および少量の触媒と混合された液体を断熱容器11の内容器12および外容器13の表面にスプレーガンなどで塗布する。その後、約100℃の雰囲気下に30分程度の期間放置して加熱し、続いて200℃ 〜 400℃ の雰囲気下に30分〜60分程度の期間放置して膜5の硬度を高める。このような工程を経て断熱容器11の内容器12および外容器13の表面にガラス質の膜5が形成される。なお、断熱容器11の内容器12や外容器13の表面は電解研磨もしくは酸洗いした後、又は梨地状態のままにしておく点は第1実施例の断熱容器と同様である。
【0034】
上述した実施例によれば、断熱容器11の内容器12の内面または外容器13の外面に色素が付着し難くなり、仮に色素が付着した場合であっても、中性洗剤等を用いて洗浄することにより容易に色素を洗い落とすことができる。また、比較的簡易な方法で高い硬度の膜を形成することができ、汚れ難く傷付き難い断熱容器を実現できる。さらに、破損し難く、しかも剥離し難く、表面状態が滑らかで、製作コストが安価なガラス質の膜を有する断熱容器を実現できる。
【0035】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は種々の変形実施をすることができる。たとえば上記実施例においては、断熱容器の内容器や外容器としてステンレス鋼からなるものについて説明をしたが、内容器や外容器の材質はステンレス鋼に限定されるものではなく、アルミニウムやチタン材料等、他の金属材料からなるものについても適用可能である。さらに、断熱容器の内容器や外容器としてプラスチックからなるものにガラス質の膜を直接コーティングすることは、プラスチックとガラスとでは線膨張係数が大きく異なることから適切とは言えないが、周囲温度の変化が少ない条件下であれば適用することも可能である。また、容器にも種々の用途のものがあるが、上記実施例に挙げた魔法瓶やマグカップ等の断熱容器に限定されるものではなく、他の用途の容器に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の成膜物質であるパーヒドロポリシラザンを基材に塗布した後の放置日数と膜密度の関係を示す特性図である。
【図2】ガラス質の膜の赤外線吸収スペクトル結果を示す特性図であり、(a)は塗布5分程度経過後を、(b)は塗布後2週間程度経過後を示す。
【図3】本発明の第1実施例としての断熱容器を示す断面図である。
【図4】へアライン研磨仕上げ後の金属表面にガラス質の膜を形成した状態を示す拡大断面図である。
【図5】金属表面を電解研磨もしくは酸洗いした後、又は梨地状態のまま、ガラス質の膜を形成した状態を示す拡大断面図である。
【図6】本発明の第2実施例としての断熱容器を示す断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1,11 容器(断熱容器)
2,12 内容器
3,13 外容器
2a,3a 端部
4 空間
5 膜
15 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口部を有し表面にガラス質の膜が形成される容器であって、前記容器の表面粗さの大きさより厚い膜厚のガラス質の膜が形成されることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記容器が、内容器と外容器とを空間を隔てて配設し、端部を接合することにより一体化された断熱性を有する容器であることを特徴とする請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記膜がパーヒドロポリシラザンから転化した膜であることを特徴とする請求項1または2記載の容器。
【請求項4】
前記膜の線膨張係数が 3×10−6/℃ 〜 30×10−6/℃であることを特徴とする請求項3記載の容器。
【請求項5】
前記膜の厚さが 0.2μm 〜 2μm であることを特徴とする請求項3または4記載の容器。
【請求項6】
容器の表面を電解研磨もしくは酸洗いした後、又は梨地状態のまま、前記容器の表面に表面粗さの大きさより厚い膜厚のガラス質の膜を形成することを特徴とする容器の成膜方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−81153(P2008−81153A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262608(P2006−262608)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(591261602)サーモス株式会社 (76)
【Fターム(参考)】