説明

容器の搬送装置及びこれを用いた充填装置

【課題】予め設定した特定のポケットから容器の供給を開始することが可能な容器の搬送装置を提供する。
【解決手段】スターホイール式搬送装置10と、その搬送装置10のスターホイール11のポケット12が所定の供給位置Psにあるときにそのポケット12に飲料缶Cを供給すべくスターホイール11と同期して動作する供給装置20とを備えた容器の搬送装置において、供給装置20への飲料缶Cの搬入を許可する許可状態及び供給装置20への飲料缶Cの搬入を禁止する禁止状態に切り替え可能なストッパ30を備え、搬送装置10への飲料缶Cの供給を開始する場合、予め設定した供給対象ポケットが供給位置Psに到達するポケット到達時期が推定され、その後ストッパ30を許可状態に切り替えた後にストッパ30を最初に通過した飲料缶Cが推定したポケット到達時期に供給位置Psに到達するようにストッパ30を許可状態に切り替える時期が制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のポケットを有するスターホイールを回転させてポケット内に取り込んだ容器を搬送する搬送手段と、その搬送手段のスターホイールと同期して動作する供給手段とを備えた容器の搬送装置及びこれを用いた充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スターホイールで容器を搬送しつつ複数の充填バルブにて複数のエアゾール容器に充填を行うエアゾール製品の生産装置に設けられ、特定の充填バルブにて充填されたエアゾール容器を選択的に抽出する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、スターホイールで容器を搬送しつつ複数の充填バルブで複数の容器に液体を充填するフィラで液体が充填された容器を容器処理ラインから選別して抜き出す装置において、抜き出した容器がどの充填バルブで処理されたかを認識し、印字装置により抜き出した容器にその容器を処理した充填バルブを特定する番号を印字するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開昭56−161220号公報
【特許文献2】特開2000−219294号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に示されているような充填装置では、スターホイールの各ポケットに対応付けられて複数の充填バルブが設けられており、容器への充填作業を開始する場合には一般にスターホイールのポケットのうち供給機構から最初に容器が供給されたポケットから内容物の充填が開始される。そのため、予め設定した特定の充填バルブで内容物が充填された容器のみをサンプリングしたい場合でも特定の充填バルブに対応するポケットと供給機構から最初に容器が供給されたポケットとが異なる場合は容器や内容物を無駄に消費することになる。また、予め設定した特定の充填バルブで内容物が充填された容器以外にも充填装置で製品が生産されるので、それらから目的の容器を選り分ける作業が必要となるなど作業に手間がかかる。
【0005】
そこで、本発明は、予め設定した特定のポケットから容器の供給を開始することが可能な容器の搬送装置及びこれを用いた充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の容器の搬送装置は、容器(C)が取り込まれる複数のポケット(12)が外周に設けられたスターホイール(11)を有し、前記スターホイールをその中心軸線(CL)の回りに回転させて前記ポケット内の容器を搬送する搬送手段(10)と、回転している前記スターホイールの各ポケットに容器を供給すべく前記ポケットが移動する移動経路上に設定された所定の供給位置(Ps)を前記ポケットが通過する時期に前記所定の供給位置に容器が送られるように前記スターホイールと同期して動作する供給手段(20)と、を備えた容器の搬送装置において、前記供給手段への容器の搬入を許可する許可状態及び前記供給手段への容器の搬入を禁止する禁止状態に切り替え可能なストッパ手段(30)と、前記スターホイールの複数のポケットのうち予め設定した供給対象ポケットが前記所定の供給位置に到達するポケット到達時期を推定するポケット到達時期推定手段(40)と、前記ストッパ手段が前記禁止状態であり、かつ前記供給対象ポケットへの容器の供給を開始する所定の供給開始条件が成立した場合、前記ストッパ手段を前記禁止状態から前記許可状態に切り替えた後に前記ストッパ手段を最初に通過した容器が前記ポケット到達時期に前記所定の供給位置に到達するように前記ストッパ手段を前記許可状態に切り替える時期を制御する動作制御手段(40)と、を備えていることにより、上述した課題を解決する。
【0007】
本発明の容器の搬送装置によれば、予め設定した供給対象ポケットが所定の供給位置に到達するポケット到達時期が推定され、動作制御手段がストッパ手段を許可状態に切り替えた後にストッパ手段を最初に通過した容器がそのポケット到達時期に所定の供給位置に到達するようにストッパ手段を許可状態に切り替える時期を制御するので、スターホイールへの容器の供給を供給対象ポケットから開始することができる。
【0008】
本発明の容器の搬送装置の一形態においては、前記移動経路上に設定された所定の検出位置(Pd)を前記スターホイールの複数のポケットのうち基準となる基準ポケットが通過したか否か検出する基準位置検出手段(14)と、前記スターホイールが所定角度回転する毎に信号を出力する回転角検出手段(13)と、をさらに備え、前記スターホイールの外周には複数のポケットが等間隔に設けられており、前記ポケット到達時期推定手段は、前記基準位置検出手段の検出結果及び前記回転角検出手段の出力信号に基づいて前記ポケット到達時期を推定してもよい。この場合、基準位置検出手段が基準ポケットが通過したことを検出した以降に回転角検出手段から出力された信号の数をカウントすることにより、基準ポケットからスターホイールの回転方向に何個目のポケットが所定位置を通過しているか判断することができる。基準ポケットと供給対象ポケットとの間にあるポケットの数は、基準ポケット及び供給対象ポケットのスターホイールにおける位置がそれぞれ定まれば決まるので、供給対象ポケットが所定位置を通過する時期が推定できる。そして、所定位置と所定の供給位置との間の距離は一定であるため、この距離をスターホイールの回転速度で割ることにより、供給対象ポケットが所定の供給位置に到達する時期を推定することができる。
【0009】
本発明の容器の搬送装置の一形態においては、前記ストッパ手段を通過した容器の個数を取得する容器数取得手段(23、40)をさらに備え、前記供給対象ポケットとして、所定の先頭ポケットから前記スターホイールの回転方向に沿って並ぶ複数個のポケットが設定されるとともに、前記ポケット到達時期推定手段は前記先頭ポケットが前記所定の供給位置に到達する時期を前記ポケット到達時期として推定し、前記動作制御手段は、前記ストッパ手段が前記禁止状態であり、かつ前記所定の供給開始条件が成立した場合、前記ストッパ手段を前記禁止状態から前記許可状態に切り替えた後に前記ストッパ手段を最初に通過した容器が前記ポケット到達時期に前記所定の供給位置に到達するように前記ストッパ手段を前記許可状態に切り替える時期を制御し、その後前記容器数取得手段により取得された容器の個数が前記供給対象ポケットとして設定されたポケットの数と一致した場合に前記ストッパ手段を前記禁止状態に切り替えてもよい。この場合、先頭ポケットからスターホイールの回転方向に沿って並ぶ複数のポケットにのみ容器を供給することができる。
【0010】
本発明の容器の搬送装置の一形態においては、前記スターホイールの複数のポケットのうち予め設定した供給終了ポケットが前記所定の供給位置に到達する終了ポケット到達時期を推定する終了ポケット到達時期推定手段(40)をさらに備え、前記動作制御手段は、前記ストッパ手段が前記許可状態であり、かつ前記スターホイールの各ポケットへの容器の供給を停止する所定の供給停止条件が成立した場合、前記ストッパ手段を前記許可状態から前記禁止状態に切り替える前に前記ストッパ手段を最後に通過した容器が前記終了ポケット到達時期に前記所定の供給位置に到達するように前記ストッパ手段を前記禁止状態に切り替える時期を制御してもよい。このようにストッパ手段の動作を制御することにより、スターホイールへの容器の供給を予め設定した供給終了ポケットで終了することができる。
【0011】
本発明の充填装置(1)は、上述した容器の搬送装置と、前記スターホイールの各ポケットにそれぞれ設けられて前記ポケットに取り込まれている容器に内容物を充填する複数の充填バルブ(2)と、を備えていることにより、上述した課題を解決する。
【0012】
本発明の充填装置によれば、上述した容器の搬送装置を備えているので、容器への内容物の充填を供給対象ポケットに設けられた充填バルブから開始することができる。この場合、この供給対象ポケットよりも前に所定の供給位置を通過したポケットへの容器の供給を防止できるので、無駄な容器や内容物の消費を抑制することができる。また、このように容器への無駄な内容物の充填を抑制することにより、特定の充填バルブで内容物が充填された容器のみをサンプリングする際の手間を軽減できる。さらに、搬送手段の下流に設けたコンベア等にスターホイール(11)中の全部、又は一部の充填バルブで充填された容器を貯留する場合には、先頭の充填バルブと終了の充填バルブを指定することにより、重複無く複数回に分けてサンプリングすることが可能になるため、容器を貯留するコンベア等の設備を小さくすることができる。
【0013】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0014】
以上に説明したように、本発明によれば、ストッパ手段を許可状態に切り替えた後にストッパ手段を最初に通過した容器がポケット到達時期に所定の供給位置に到達するようにストッパ手段を許可状態に切り替える時期が制御されるので、スターホイールへの容器の供給を供給対象ポケットから開始することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の一形態に係る搬送装置が組み込まれた充填装置の概略を示している。充填装置1は、容器としての飲料缶Cに内容物として飲料を充填するものであり、搬送手段としてスターホイール式搬送装置10と、スターホイール式搬送装置10に空の飲料缶Cを供給する供給手段としての供給装置20と、供給装置20への飲料缶Cの搬入を許可する許可状態及び供給装置20への飲料缶Cの搬入を禁止する禁止状態に切り替え可能なストッパ手段としてのストッパ30と、スターホイール式搬送装置10で搬送されている飲料缶Cに飲料を充填する複数の充填バルブ2とを備えている。図2は、充填バルブ2を拡大して示している。図2に示したように充填バルブ2は、各充填バルブ2に飲料を供給する飲料供給源としてのフィラーボール3と接続されている。また、各充填バルブ2には、充填バルブ2を上下方向に駆動するためのシリンダ装置4がそれぞれ設けられている。充填バルブ2とフィラーボール3との間にはフィラーボール3から充填バルブ2に送られた飲料の量を計測するための流量計5が設けられている。なお、これらの部分は、飲料缶Cに飲料を充填する充填装置に設けられる周知のものと同じでよいため、詳細な説明は省略する。
【0016】
スターホイール式搬送装置10は、飲料缶Cが取り込まれる複数のポケット12(図2参照)が外周に設けられたスターホイール11と、スターホイール11をその中心軸線CLの回りに回転駆動する不図示の駆動モータと、スターホイール11が所定角度回転する毎に信号を出力する回転角検出手段としてのロータリーエンコーダ13とを備えている。図1に示したスターホイール11の外周には、N個のポケット12が等間隔で設けられている。スターホイール11は、図1に矢印Rで示したように右回りに回転駆動される。スターホイール式搬送装置10は、ポケット12が移動する移動経路上に設定された所定の供給位置Psにてポケット12内に飲料缶Cを取り込み、その後図1の右回りに飲料缶Cを搬送する。駆動モータは、起動時や停止時を除きスターホイール11が一定の速度で回転するようにスターホイール11を回転駆動する。
【0017】
複数の充填バルブ2は、スターホイール11と一体に回転し、かつ上下方向に駆動可能に設けられている。また、充填バルブ2は、各ポケット12の上方にそれぞれ設けられている。そのため、充填バルブ2の個数はポケット12と同数のN個であり、充填バルブ2とポケット12とは一対一で対応している。充填バルブ2には、1番からN番までのバルブ番号がスターホイール12の回転方向に沿って付されている。そして、図1に示したようにスターホイール式搬送装置10には、基準となるバルブ番号(例えば1番)の充填バルブ2が所定の検出位置Pdに達すると検出信号を出力する定値センサ14が設けられている。上述したように充填バルブ2とポケット12とは一対一で対応しているため、この定値センサ14が本発明の基準位置検出手段として機能する。
【0018】
供給装置20は、飲料缶Cの搬送方向上流側から順にスクリューコンベア21、及び供給スターホイール22を備えている。供給スターホイール22の外周には、複数のポケット22aがスターホイール式搬送装置10の複数のポケット12と同じ間隔で設けられている。供給スターホイール22は、供給位置Psにてスターホイール式搬送装置10の複数のポケット12に飲料缶Cが供給されるように、これらポケット12が供給位置Psに達するタイミングでポケット22aが供給位置Psに移動するようにスターホイール11と同期して回転駆動される。スクリューコンベア21は、スクリュー21aによって飲料缶C同士の間隔を下流の供給スターホイール22のポケット間のピッチに揃える周知のものである。スクリュー21aは、供給スターホイール22の各ポケット22aに順に飲料缶Cが搬入されるように供給スターホイール22と同期して駆動される。すなわち、スクリューコンベア21及び供給スターホイール22は、スターホイール式搬送装置10のスターホイール11と同期して動作する。スクリューコンベア21及び供給スターホイール22は、スターホイール式搬送装置10の駆動モータで駆動してもよいし、この駆動モータとは異なる駆動手段で駆動してもよい。また、供給装置20は、スクリューコンベア21の入口に設けられ、この入口に飲料缶Cが有る場合に信号を出力する缶有センサ23を備えている。
【0019】
ストッパ30は、飲料缶Cをスクリューコンベア21に搬入する搬入経路の途中に設けられるロータリーホイール31を備えている。図1に示したようにロータリーホイール31は搬入経路を移動する飲料缶Cと接するようにこの搬入経路の側方に設けられている。ストッパ30においてはロータリーホイール31の自転の許可及び禁止を切り替えることができる。ロータリーホイール31の自転が許可されるとスクリューコンベア21への飲料缶Cの供給が許可されるので、この状態が許可状態である。一方、ロータリーホイール31の自転が禁止されると飲料缶Cの流れがロータリーホイール31で阻止されるので、スクリューコンベア21への飲料缶Cの供給が禁止される。そのため、この状態が禁止状態である。
【0020】
この充填装置1では、ストッパ30が禁止状態から許可状態に切り替えられると空の飲料缶Cがスクリューコンベア21及び供給スターホイール22を介してスターホイール11の各ポケット12に順次供給される。ポケット12に空の飲料缶Cが取り込まれるとその飲料缶Cに向けて充填バルブ2が下方に駆動され、その後充填バルブ2の下端が飲料缶Cの口部に密着すると充填バルブ2から飲料缶Cに飲料が充填される。これにより、スターホイール11で飲料缶Cを搬送しつつその飲料缶Cに飲料を充填することができる。充填バルブ2から飲料缶Cに所定量の飲料が充填されると、充填バルブ2は上方に駆動される。飲料充填後の飲料缶Cは、次工程に搬送される。次工程では、飲料缶Cに対する缶蓋の取り付け、巻締等が行われる。
【0021】
ストッパ30など充填装置1に設けられている機器の動作は、動作制御手段としての制御装置40にて制御される。制御装置40は、コンピュータユニットとしての演算処理部41と、その演算処理部41の指示に従ってストッパ30等充填装置1に設けられている機器の動作を制御する動作制御部42と、流量計5、ロータリーエンコーダ13、定値センサ14、及び缶有センサ23等充填装置1に設けられている各種センサからの出力信号に対して所定の処理を実行する信号処理部43と、演算処理部41に対してユーザが指示を入力するための入力部44と、演算処理部41が処理した検査結果等をユーザに提示するための出力部45と、演算処理部41にて実行すべきコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムで使用するデータ等を記憶する記憶部46とを備えている。記憶部46には、ハードディスク記憶装置、あるいは記憶保持が可能な半導体記憶素子等の記憶装置が用いられる。動作制御部42及び信号処理部43はハードウエア制御回路によって実現されてもよいし、コンピュータユニットによって実現されてもよい。入力部44には、ユーザから充填装置1による充填作業の開始及びその充填作業の終了などが指示される。
【0022】
図1に示した充填装置1においては、各充填バルブ2から目標量の飲料が飲料缶Cに充填されているか否か定期的に検査が行われている。この検査は、実際に検査対象の充填バルブ2に飲料の充填を行わせ、その際に製造された飲料缶Cの中身を計測することにより行われる。この場合、N個の充填バルブ2のうちの特定の充填バルブ、例えば10番から30番までの充填バルブのみについて検査を行うことがある。本発明の充填装置1では、このような場合に予め設定したバルブ番号の充填バルブ2から飲料缶Cへの飲料の充填が開始されるように、すなわちその充填バルブ2に対応するポケット12から飲料缶Cの供給が開始されるように制御装置40がストッパ30の動作を制御する。以下、具体的にその制御方法を説明する。なお、この制御を開始する前の状態としては、スターホイール式搬送装置10及び供給装置20が停止し、ストッパ30は禁止状態に切り替えられている。また、ストッパ30より下流には飲料缶Cは無い、すなわちスターホイール式搬送装置10及び供給装置20には飲料缶Cが無い状態とする。
【0023】
飲料の充填が開始される充填バルブ(以下、充填開始バルブと称することがある。)2のバルブ番号は、スターホイール式搬送装置10及び供給装置20が起動される前にユーザが入力部44にそのバルブ番号を入力することにより設定される。以下では、10番の充填バルブ2から充填を開始する場合について説明する。なお、充填バルブ2とポケット12とは一対一で対応しているため、このバルブ番号が入力された充填バルブ2に対応するポケット12が本発明の供給対象ポケットに相当する。充填開始バルブの設定が終了した後、ユーザが入力部44を介して制御装置40に充填装置1による充填作業の開始を指示すると、制御装置40は、まずスターホイール式搬送装置10及び供給装置20を起動する。その後、制御装置40は、ロータリーエンコーダ13の出力信号、及び定値センサ14の検出結果に基づいて10番の充填バルブ2が供給位置Psに到達する到達時期Taを推定する。
【0024】
上述したように定値センサ14からは、基準となるバルブ番号(この説明では1番とする)の充填バルブ2が所定の検出位置Pdに達すると検出信号が出力される。そのため、この検出信号により1番の充填バルブ2が検出位置Pdを通過した時期(以下、基準時点と称することがある。)が特定できる。そして、このように1番の充填バルブ2の位置が特定できることにより、基準時点で供給位置Psにある充填バルブ2のバルブ番号を特定することができる。検出位置Pdと供給位置Psとの間の角度αは一定である。そのため、基準時点においては、1番の充填バルブ2よりもこの角度α分回転方向前方にあるバルブ番号の充填バルブ2が供給位置Psにあることが特定できる。そして、ロータリーエンコーダ13からはスターホイール11が所定角度回転する毎に検出信号が出力されるので、基準時点以降にロータリーエンコーダ13から出力された信号をカウントすることにより到達時期Taを推定した時点における各充填バルブ2の位置をそれぞれ特定することができる。スターホイール11は一定の速度で回転しているため、例えば所定の位置にある充填バルブ2が次に供給位置Psに達するまでの時間を特定することができる。そのため、到達時期Taを推定した時点における各充填バルブ2の位置を特定することができれば、その推定した時点から何秒後に10番目の充填バルブ2が供給位置Psに到達するか特定することができる。このように到達時期Taを推定することにより、制御装置40が本発明のポケット到達時期推定手段として機能する。
【0025】
到達時期Taの推定後、制御装置40はストッパ30を禁止状態から許可状態に切り替えた場合にストッパ30を最初に通過した飲料缶Cが推定した到達時期Taに供給位置Psに到達するようにストッパ30を許可状態に切り替える時期Txを制御する。スクリューコンベア21及び供給スターホイール22はスターホイール11と同期して動作するので、これらも一定の速度で動作する。そのため、スクリュー21aの回転速度及び供給スターホイール22の回転速度に基づいてスクリューコンベア21の入口から供給位置Psまで飲料缶Cが移動するために要する時間(以下、第1移動時間と称することがある。)Tbを特定できる。ロータリーホイール31を通過してからスクリューコンベア21の入口に到達するまでの時間(以下、第2移動時間と称することがある。)Tcは、この区間における飲料缶Cの搬送方法によって特定できる。この区間をコンベアなどで搬送する場合はこのコンベアの搬送速度に基づいて第2移動時間Tcを特定することができる。一方、この区間が傾斜しており、この傾斜によって飲料缶Cを搬送する場合は、予め実験や数値計算などを行って第2移動時間Tcを求めておくことができる。
【0026】
そして、これら移動時間Tb、Tcを加算することによりストッパ30から供給位置Psまで移動するために要する移動時間Td(=Tb+Tc)を特定することができる。そして、ストッパ30を禁止状態から許可状態に切り替えた場合にストッパ30を最初に通過した飲料缶Cを推定した到達時期Taに供給位置Psに到達させるためには、到達時間Taよりも移動時間Td前にストッパ30を許可状態に切り替えればよい。そこで、制御装置40は、この到達時間Taよりも移動時間Td前の時期Txにストッパ30を許可状態に切り替える。なお、このように算出した到達時間Taよりも移動時間Td前の時期Txが現時点よりも前の時点である場合は、算出した時期Txにスターホイール11が一周するために要する時間を足した時期Tx’にストッパ30を許可状態に切り替えればよい。このような時期Tx’にストッパ30を許可状態に切り替えることにより、10番の充填バルブ2が設けられているポケット12が2回目に供給位置Psに到達したときにこのポケット12に飲料缶Cを供給することができる。
【0027】
本発明の充填装置1によれば、このようにストッパ30の動作を制御することにより、予め設定したバルブ番号の充填バルブ2から飲料缶Cへの飲料の充填を開始することができる。そのため、検査時などに飲料や飲料缶Cを無駄に消費することを抑制できる。
【0028】
上述したストッパ30の制御方法では、ユーザから制御装置40に充填装置1による充填作業の開始が指示されると到達時期Taが推定され、その後供給装置20に飲料缶Cが搬入されるので、ユーザから制御装置40に充填装置1による充填作業の開始が指示された場合が本発明の所定の供給開始条件が成立した場合に相当する。
【0029】
また、制御装置40は、検査対象の充填バルブ2として所定の充填バルブからスターホイール11の回転方向に沿って並ぶ複数個の充填バルブ、例えば10番〜30番の充填バルブ2が設定されている場合、10番の充填バルブ2から飲料缶Cへの飲料の充填を開始させた後、30番の充填バルブ2で飲料缶Cへの飲料の充填が終了するようにストッパ30を禁止状態に切り替える時期を制御する。すなわち、10番〜30番の充填バルブ2に対応したポケット12にのみ飲料缶Cが供給されるようにストッパ30の動作を制御する。この場合、制御装置40には、充填開始バルブのバルブ番号及び検査対象の充填バルブの個数が入力される。充填開始バルブから充填を開始する制御方法は、上述した制御方法と同じであるため、説明を省略する。なお、このように複数個の充填バルブ2を設定する場合、これら全ての充填バルブ2に対応するポケット12が本発明の供給対象ポケットに相当し、充填開始バルブに対応するポケット12が本発明の先頭ポケットに相当する。
【0030】
充填開始バルブ、例えば10番の充填バルブ2から充填を開始すべくストッパ30を許可状態に切り替えた後、制御装置40は缶有センサ23から出力された信号の数をカウントする。そして、このカウントした数に基づいてストッパ30を禁止状態に切り替える時期を制御する。図1に示したように缶有センサ23はスクリューコンベア21の入口に設けられている。ストッパ30と缶有センサ23との間にはこれらの間の長さに対応する数の飲料缶Cが搬入される。なお、この飲料缶Cの数は、飲料缶Cの直径でこの区間の長さを割ることにより算出できる。そのため、ストッパ30を許可状態にしてからストッパ30を通過した飲料缶Cの個数は、缶有センサ23から出力された信号の数とこの区間にある飲料缶Cの数とを足した値となる。このようにストッパ30を通過した飲料缶Cの個数を取得することにより、缶有センサ23及び制御装置40が本発明の容器数取得手段として機能する。
【0031】
制御装置40は、缶有センサ23から出力された信号の数が、検査対象の充填バルブ2の数からストッパ30と缶有センサ23との間にある飲料缶Cの数を引いた値に達した時点でストッパ30を許可状態から禁止状態に切り替える。例えば、検査対象の充填バルブとして10番〜30番の充填バルブが設定され、ストッパ30と缶有りセンサ23との間には3個の飲料缶Cが入る場合、制御装置40は、缶有センサ23から出力された信号の数が検査対象の充填バルブの個数である21から3を引いた18に達した時点でストッパ30を禁止状態に切り替える。ストッパ30を禁止状態に切り替える時期をこのように制御することにより、30番の充填バルブ2で飲料缶Cへの飲料の充填を終了することができる。
【0032】
このようにストッパ30の動作を制御することにより、検査対象の充填バルブ2に対応したポケット12にのみ飲料缶Cを供給することができる。そのため、検査時などに飲料や飲料缶Cを無駄に消費することをさらに抑制することができる。
【0033】
この他、制御装置40は、予め設定されたバルブ番号の充填バルブ(以下、充填終了バルブと称することがある。)2で飲料缶Cへの飲料の充填が終了するようにストッパ30を禁止状態に切り替える時期を制御する。なお、充填終了バルブのバルブ番号は、充填装置1を停止させる前にユーザが入力部44にそのバルブ番号を入力することにより設定される。充填終了バルブのバルブ番号が設定された後、ユーザから入力部44を介して制御装置40に充填装置1の停止が指示されるなど所定の供給停止条件が成立した場合、制御装置40は充填終了バルブが供給位置Psに到達する時期を推定する。この推定は、上述した充填開始バルブ供給位置Psに到達する時期を推定する方法と同じ方法で推定すればよい。なお、このように充填終了バルブの到達する時期を推定することにより、制御装置40が本発明の終了ポケット到達時期推定手段として機能する。その後、制御装置40は、充填終了バルブが次に供給位置Psに到達するまでにスターホイール11に供給すべき飲料缶Cの個数を算出する。充填終了バルブが供給位置Psに到達する時期を推定した推定時点に供給位置Psにある充填バルブ2のバルブ番号は特定できる。そこで、この推定時点に供給位置Psにある充填バルブ2と充填終了バルブとに基づいて充填終了バルブが次に供給位置Psに到達するまでにスターホイール11に供給すべき飲料缶Cの個数を算出する。
【0034】
制御装置40は、推定時点から算出した個数の飲料缶Cがストッパ30を通過した時点でストッパ30を禁止状態に切り替える。ストッパ30を通過した飲料缶Cの個数は、缶有センサ23の出力信号に基づいて上述した方法で特定することができる。すなわち、推定時点以降に缶有センサ23から出力された信号の数にストッパ30と缶有センサ23との間にある飲料缶Cの数を足した値が推定時点以降にストッパ30を通過した飲料缶Cの個数である。そこで、制御装置40は、推定時点以降に缶有センサ23から出力された信号の数が、算出した飲料缶Cの個数から缶有センサ23から出力された信号の数にストッパ30と缶有センサ23との間にある飲料缶Cの数を引いた値に達した時点でストッパ30を許可状態から禁止状態に切り替える。このような時期にストッパ30を禁止状態に切り替えることにより、ストッパ30を許可状態から禁止状態に切り替える前にストッパ30を最後に通過した飲料缶Cを推定した到達時期に供給位置Psに到達させることができる。
【0035】
このようにストッパ30の動作を制御することにより、予め設定した充填終了バルブで飲料缶Cへの充填を終了することができる。また、例えばストッパ30の直後に缶有センサ23を配置してストッパ30を通過した飲料缶Cの数と缶有センサ23から出力される信号の数とを一致させ、充填開始バルブと充填終了バルブに同じバルブ番号を設定することにより、そのバルブ番号の充填バルブ2のみに飲料缶Cへの飲料の充填を行わせることができる。
【0036】
図3は、停止しているスターホイール11が一定の速度に達するまでのスターホイール11の回転速度の時間変化の一例を示している。充填バルブ2から飲料缶Cに充填される飲料の量(以下、充填量と称することがある。)はスターホイール11の回転速度に応じて変化し、スターホイール11の回転速度が低いと充填量が少なくなり、回転速度が高くなると充填量も多くなる。そのため、例えばスターホイール11の回転速度が所定の回転速度、例えば図3の速度V未満の場合には、充填バルブ2が正常に動作しても目標量の飲料が飲料缶Cに充填できないことがある。一方、周知のようにスターホイール11への飲料缶Cの供給は、スターホイール11の回転速度が低い時点から行う必要がある。そこで、スターホイール11の回転速度が速度V以上に上昇した時点(図3の時刻Tv)以降に充填開始バルブに対応するポケット12に飲料缶Cが供給されるようにストッパ30を許可状態に切り替える時期を制御してもよい。
【0037】
具体的には、図3に示したスターホイール11の回転速度の時間変化をマップとして記憶部46に記憶させておく。そして、制御装置40は、充填開始バルブが設定されるとこのマップを基づいてスターホイール11の回転速度が速度V以上に上昇するまでに供給位置Psを通過する充填バルブ2の個数を算出する。その後、制御装置40は、充填開始バルブのバルブ番号よりも算出した充填バルブ2の個数分前のバルブ番号の充填バルブ2から飲料缶Cが供給されるようにストッパ30を許可状態に切り替える時期を制御する。
【0038】
このようにストッパ30を許可状態に切り替える時期を制御することにより、スターホイール11の回転速度が所定速度以上に上昇した時点Tv以降に充填開始バルブに飲料缶Cを供給することができる。
【0039】
本発明は上述した形態に限定されることなく種々の形態にて実施してよい。例えば、本発明の搬送装置が組み込まれる装置は充填装置に限定されない。例えば、スターホイール式搬送装置で容器を搬送しつつその容器を検査する容器の検査装置に本発明の搬送装置を組み込んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一形態に係る搬送装置が組み込まれた充填装置の概略を示す図。
【図2】充填バルブを拡大して示す図。
【図3】停止しているスターホイールが一定の速度に達するまでのスターホイールの回転速度の時間変化の一例を示す図。
【符号の説明】
【0041】
1 充填装置
2 充填バルブ
10 スターホイール式搬送装置(搬送手段)
11 スターホイール
12 ポケット
13 ロータリーエンコーダ(回転角検出手段)
14 定値センサ(基準位置検出手段)
20 供給装置(供給手段)
23 缶有センサ(容器数取得手段)
30 ストッパ(ストッパ手段)
40 制御装置(ポケット到達時期推定手段、動作制御手段、容器数取得手段、終了ポケット到達時期推定手段)
C 飲料缶(容器)
Ps 供給位置
Pd 検出位置
CL 中心軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器が取り込まれる複数のポケットが外周に設けられたスターホイールを有し、前記スターホイールをその中心軸線の回りに回転させて前記ポケット内の容器を搬送する搬送手段と、回転している前記スターホイールの各ポケットに容器を供給すべく前記ポケットが移動する移動経路上に設定された所定の供給位置を前記ポケットが通過する時期に前記所定の供給位置に容器が送られるように前記スターホイールと同期して動作する供給手段と、を備えた容器の搬送装置において、
前記供給手段への容器の搬入を許可する許可状態及び前記供給手段への容器の搬入を禁止する禁止状態に切り替え可能なストッパ手段と、前記スターホイールの複数のポケットのうち予め設定した供給対象ポケットが前記所定の供給位置に到達するポケット到達時期を推定するポケット到達時期推定手段と、前記ストッパ手段が前記禁止状態であり、かつ前記供給対象ポケットへの容器の供給を開始する所定の供給開始条件が成立した場合、前記ストッパ手段を前記禁止状態から前記許可状態に切り替えた後に前記ストッパ手段を最初に通過した容器が前記ポケット到達時期に前記所定の供給位置に到達するように前記ストッパ手段を前記許可状態に切り替える時期を制御する動作制御手段と、を備えていることを特徴とする容器の搬送装置。
【請求項2】
前記移動経路上に設定された所定の検出位置を前記スターホイールの複数のポケットのうち基準となる基準ポケットが通過したか否か検出する基準位置検出手段と、前記スターホイールが所定角度回転する毎に信号を出力する回転角検出手段と、をさらに備え、
前記スターホイールの外周には複数のポケットが等間隔に設けられており、
前記ポケット到達時期推定手段は、前記基準位置検出手段の検出結果及び前記回転角検出手段の出力信号に基づいて前記ポケット到達時期を推定することを特徴とする請求項1に記載の容器の搬送装置。
【請求項3】
前記ストッパ手段を通過した容器の個数を取得する容器数取得手段をさらに備え、
前記供給対象ポケットとして、所定の先頭ポケットから前記スターホイールの回転方向に沿って並ぶ複数個のポケットが設定されるとともに、前記ポケット到達時期推定手段は前記先頭ポケットが前記所定の供給位置に到達する時期を前記ポケット到達時期として推定し、
前記動作制御手段は、前記ストッパ手段が前記禁止状態であり、かつ前記所定の供給開始条件が成立した場合、前記ストッパ手段を前記禁止状態から前記許可状態に切り替えた後に前記ストッパ手段を最初に通過した容器が前記ポケット到達時期に前記所定の供給位置に到達するように前記ストッパ手段を前記許可状態に切り替える時期を制御し、その後前記容器数取得手段により取得された容器の個数が前記供給対象ポケットとして設定されたポケットの数と一致した場合に前記ストッパ手段を前記禁止状態に切り替えることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器の搬送装置。
【請求項4】
前記スターホイールの複数のポケットのうち予め設定した供給終了ポケットが前記所定の供給位置に到達する終了ポケット到達時期を推定する終了ポケット到達時期推定手段をさらに備え、
前記動作制御手段は、前記ストッパ手段が前記許可状態であり、かつ前記スターホイールの各ポケットへの容器の供給を停止する所定の供給停止条件が成立した場合、前記ストッパ手段を前記許可状態から前記禁止状態に切り替える前に前記ストッパ手段を最後に通過した容器が前記終了ポケット到達時期に前記所定の供給位置に到達するように前記ストッパ手段を前記禁止状態に切り替える時期を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の容器の搬送装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の容器の搬送装置と、前記スターホイールの各ポケットにそれぞれ設けられて前記ポケットに取り込まれている容器に内容物を充填する複数の充填バルブと、を備えていることを特徴とする充填装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−36904(P2010−36904A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198008(P2008−198008)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【Fターム(参考)】