説明

容器の連続洗浄装置

【課題】 連続的に搬送されてくる個々の容器内部を衛生的かつ有効に洗浄し、引き続き水切り乾燥まで連続的に行なうことができる容器の連続洗浄装置の提供。
【解決手段】 容器を洗浄室内へ受け入れる受け入れコンベアと、該受け入れコンベアにより洗浄室内で受け入れられた容器を、その受け入れコンベアと共に洗浄位置まで上昇させ、さらには洗浄後の容器を受け入れコンベアと共に初期位置へ降下させる昇降機構と、該昇降機構の動作で上記コンベアと共に洗浄位置まで上昇された容器を、その両側方から挟持しながら、天地逆に反転するクランプ反転機構と、該クランプ反転機構により反転された容器の内外面を湯洗及びリンス洗浄する洗浄機構と、該洗浄機構による洗浄が終了された容器の内面及び外面の水切りを行なうエアブロー機構を有する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばガラス、磁器、陶器、樹脂、金属等で形成された食品用容器の多数個を洗浄する容器洗浄装置であって、特に連続的に搬送されてくる個々の容器内部を衛生的かつ有効に洗浄し、引き続き水切り乾燥まで連続的に行なうことができる容器の連続洗浄装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】食品用容器等の洗浄装置として、従来では多種多様のものが知られている。その中で連続的に移送されてくる容器を連続的に洗浄することができる一般的な連続洗浄装置は、洗浄すべき容器を載置移送するネットコンベアー等の移送手段と、この移送手段上に載置されている容器に対して洗浄液を射出する洗浄手段とを有し、その容器の洗浄に際しては、ネットコンベアー等の上に載置されているままの状態で、その容器の外側面及び内側面に洗浄液を吹きつけて洗浄を行なっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このようにコンベア等の移送手段上に載置されている容器に対し、その容器の外側に配設されているノズルから洗浄液を吹き付けた場合、コンベアによる洗浄死角が生じ、またその容器の外部より容器の開口部を経て容器内部へ洗浄液が吹き付けられる場合にも、上記容器の開口縁による洗浄死角が生じて洗浄すべき容器の外側面及び内側面のいずれもが効率よく洗浄され難いという不具合があった。
【0004】また洗浄すべき容器の開口面をコンベア上に伏せた状態で、その容器に対し洗浄液を吹き付けた場合、その洗浄液の吹き付けによる振動が容器に作用し、この容器の振動が原因でコンベアに直接接触される容器の開口縁に傷が発生しやすいという不具合もあった。
【0005】さらに従来の洗浄装置のように、容器をコンベア等の移送手段上に載置したままの状態で洗浄、水切りする手段では、例えばその容器の上面に向って窪みがあるような場合に該容器の水切りが悪く、このために洗浄処理後の容器の乾燥効率も悪くなるといった不具合もあった。
【0006】本発明はかかる従来の連続洗浄装置におけるそれぞれの不具合を解消するためになされたもので、移送手段によって搬送されてきた容器の外面及び内面の双方を洗浄死角を生じさせることなく、有効に洗浄することができると共に、その洗浄後の容器のリンス洗浄をも可能ならしめ、さらにはコンパクトな装置にして容器の連続洗浄を行なうことが可能である連続洗浄装置の提供を第1の目的とする。
【0007】また本発明では、洗浄処理された容器の水切り乾燥を連続的して行なうことができる連続洗浄装置の提供を第2の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の請求項1では、搬送されてきた洗浄すべき容器を洗浄室内へ受け入れる受け入れコンベアと、該受け入れコンベアにより洗浄室内で受け入れられた容器を、その受け入れコンベアと共に洗浄位置まで上昇させ、さらには洗浄後の容器を受け入れコンベアと共に初期位置へ降下させる昇降機構と、該昇降機構の動作で上記コンベアと共に洗浄位置まで上昇された容器を、その両側方から挟持しながら、天地逆に反転するクランプ反転機構と、該クランプ反転機構により反転された容器の内部に挿入されて容器内面に洗浄水を吹きつける内面洗浄ノズル、その容器の外周面に洗浄水を吹きつける外面洗浄ノズル及び上記内面洗浄ノズル、外面洗浄ノズルにより洗浄された後の容器の内部に挿入されて該容器の内面をリンス洗浄する内面リンスノズル、該容器の外面をリンス洗浄する外面リンスノズルとからなる洗浄機構と、該洗浄機構による洗浄が終了された容器の内面及び外面の水切りを行なうエアブロー機構を有せしめた容器の連続洗浄装置であることを特徴としている。
【0009】また上記第2の目的を達成するために、本発明の請求項2では、請求項1に記載の連続洗浄装置の洗浄室外に、該洗浄室内で洗浄水切りされた後の容器を熱風乾燥する熱風乾燥室を隣設した容器の連続洗浄装置であることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明を図面に示す実施の形態に基いて詳細に説明するが、先ずは本発明の第1の形態を図1乃至図5に基いて説明する。
【0011】図1は連続洗浄装置の全体構造を示し、1は洗浄室であって、この洗浄室1の外部には、洗浄すべき例えば缶、ビン、陶器又は磁器等からなる食器等の容器2をその洗浄室1内へ供給するための導入コンベア3と、洗浄室1内で洗浄された容器を導出する導出コンベア4が近設されている。洗浄室1の内底部には、上記導入コンベア3により運ばれてきた容器2を洗浄室1内へ受け入れる受け入れコンベア5が設けられている。
【0012】この受け入れコンベア5は、昇降機構6により、その洗浄室1内で水平を保ったままで上下移動し得るように構成されているが、この昇降機構6の構成は、受け入れコンベア5の前後方向両端部を吊持するそれぞれの吊持ねじ杆7と、これら吊持ねじ杆7を垂直状態で支持する支持体8と、上記吊持ねじ杆7を正方向又は逆方向に回転せしめるための正転又は逆転可能な駆動モータ9を有し、該駆動モータ9による回転力は、チェーン10、チェーンホイール11を介して吊持ねじ杆7を回転させることができる。
【0013】上記洗浄室1の内部対向位置には、容器2の左右対称位置を挟持する一対のクランプ反転機構12が対設されており、これらクランプ反転機構12の構成は、容器押圧板13と、該容器押圧板13を容器2方向へ往動又はそれとは逆方向へ復動せしめるためのシリンダー14と、上記容器押圧板13を回転させることができるモータ15とで構成されている。
【0014】上記洗浄室1の内底部には、起伏可能に支持されている内面洗浄ノズル16と内面リンスノズル17とが配置されており、これらの内面洗浄ノズル16及び内面リンスノズル17は受け入れコンベア5のフレーム(図示せず)と一体に支持されていて、受け入れコンベア5の昇降動作に伴なって上下動される。また内面洗浄ノズル16及び内面リンスノズル17のそれぞれには、それらノズル16,17を起伏動作せしめるためのシリンダー18が連結されている。
【0015】上記洗浄室1の内部適所には、外面洗浄ノズル19及び外面リンスノズル20が配設されており、上記の内面洗浄ノズル16及び外面洗浄ノズル19のそれぞれは洗浄ポンプ21を経て、温水タンク22に通じている。また上記の内面リンスノズル17及び外面リンスノズル20のそれぞれは、弁23を介して純水容器24に通じている。なお図1において、25は熱交換機、26はミストコレクタを示す。
【0016】以上が第1の実施形態である連続洗浄装置の構成であるが、次にその作用について述べると、先ずは容器2の洗浄を行なうために使用される温水を温水タンク22内に蓄えると共にリンス洗浄(仕上げ洗浄)するための純水を純水容器24内に用意する。そこで導入コンベア3により運ばれてきた容器2の洗浄を開始するが、この容器洗浄の手順を図5(イ)〜(オ)に基いて説明する。
【0017】導入コンベア3により運ばれてきた洗浄すべき容器2が受け入れコンベア5により洗浄室1内の中央部に供給されると、昇降機構6の駆動モータ9が正転し、その受け入れコンベア5が上昇して受け入れコンベア5上の容器2が上昇位置される。容器2が洗浄室1内で上昇位置されるとクランプ反転機構12のシリンダ14が動作して、双方の容器押圧板13で容器2の対称位置を挟持する。
【0018】かくして容器2が挟持されると受け入れコンベア5は降下し復元された後、上記クランプ反転機構12は反転動作が開始され、該クランプ反転機構12により挟持されている容器が180度反転して容器2の開口部が下向きとなる((ニ)図参照)。これに続いて内面洗浄ノズル16がシリンダー18の動作で起立した後、受け入れコンベア5の上昇に伴なってその内面洗浄ノズル16が上昇し、内面洗浄ノズル16の先端部が容器2の内部中央に位置される((ホ)図参照)。
【0019】そこで洗浄ポンプ21が駆動されて内面洗浄ノズル16及び外面洗浄ノズル19のそれぞれから洗浄水(湯)が容器2の内外両面に向けて吹きつけられ容器2の内面及び開口部近傍で洗浄死角を生じることがなく有効に洗浄される。
【0020】かくして容器2の洗浄が完了されると洗浄ポンプ21は停止し洗浄水の噴出が止められると内面洗浄ノズル16は受け入れコンベア5と共に降下し、さらに該内面洗浄ノズル16は水平方向へ倒される。
【0021】次いで内面リンスノズル17がシリンダの動作で起立されると受け入れるコンベア5は再度上昇し、該受け入れコンベア5と上昇に伴なって内面リンスノズル17の先端部が容器2の内部中央に位置される。そこで弁23を開くと純水容器24内の純水が内面リンスノズル17及び外面リンスノズル20のそれぞれから容器2の内外両面に向けて吹きつけられ、この結果容器2の仕上げ(すすぎ)洗浄が有効になされる。
【0022】かくして容器2のリンス洗浄が完了すると弁23を閉じて純水噴出を停止させ、その後内面リンスノズル17を受け入れコンベア5と共に降下させ、さらに該内面リンスノズル17は水平方向へ倒置される。この後、上記容器2を挟持したままのクランプ反転機構12は、そのモータ15が回転されるために、容器押圧板13と共に容器2が回転し、これによって容器2に付着されていた水分の水切りがなされる。
【0023】かくして水切り処理がなされた容器2は、その回転を緩和させるか、もしくは間欠的回転を行ないながらその洗浄室1内に熱風を供給し、容器の熱風乾燥を行なう。この熱風乾燥終了後、受け入れコンベア5を上昇して容器2を受け入れコンベア5上で受け止めて上記容器押圧板13による容器2のクランプ力を解放する。これによって受け入れコンベア5の降下と共に洗浄処理された容器2を洗浄室1の内底部へ降下させ、そこでこの受け入れコンベア5を水平方向へ動作すればその洗浄処理された容器2は洗浄室1より室外へ導出され、導出コンベア4により適宜位置へ搬送される。
【0024】以上の説明で明らかなように、上記実施の形態では洗浄室1内に運ばれた容器2は、その同一の洗浄室1内で洗浄、リンス洗浄、水切り及び乾燥のそれぞれを行なうことができ、従って連続洗浄装置の全体構造をコンパクト化することが可能である。また洗浄室1内に運ばれた容器2は、その外側面がクランプされて受け入れコンベア5の上から隔設位置され、しかもその容器2の内部中央部に、内面洗浄ノズル16及び内面リンスノズル17を挿入位置させることができるので、上記容器に洗浄死角を生じさせることがなく、極めて有効な洗浄ができると共に、洗浄時において、その容器12とコンベア5との接触がないために洗浄時の振動等によって容器2に傷を付けてしまう等の不具合を未然に防止することができ、さらには衛生的な容器洗浄が実施できる。
【0025】図6は本発明の第2の実施の形態を示すもので、この第2の実施の形態では、第1の実施の形態で示した洗浄室1の容器導出側に隣設して熱風乾燥室27を増設し、この熱風乾燥室27内には熱風乾燥室27内から吸引されたエアーに含まれる湿分がフィルタ28により除去され、低湿度となった熱風を再度熱風乾燥室27内へ循環供給するものである。
【0026】また洗浄室1内に設備される受け入れコンベア5はシリンダ29の動作で容器2が供給される基準位置よりも下方へ降下し得るように構成されているものである。
【0027】従ってこの第2の実施の形態によれば、洗浄室1に続いて熱風乾燥室27が設けられていることから、この熱風乾燥室27を用いることで、洗浄処理された容器の乾燥の確実性と迅速性を一層高めることができると共に、熱風乾燥室27に送り込まれる熱風を、循環方式による熱風供給となしているので、熱エネルギーの消費量が少なく経済性に優れた容器の熱風乾燥が可能となる。
【0028】さらにこの第2の実施の形態では、受け入れコンベア5の昇降駆動機構がシリンダ29であることから、この昇降駆動機構は、上記第1の実施形態で示されている昇降機構6と比して、その構成を極めて簡素化することができ、これによっても連続洗浄装置の設備経済性を高めることができる。
【0029】また上記第1及び第2の実施形態におけるクランプ反転機構の容器押圧板等の位置調整を行なうことで各種形態の容器洗浄が可能となる。
【0030】
【発明の効果】以上のように本発明の容器連続洗浄装置によれば、洗浄すべき容器の内部中央に、内面洗浄ノズルが挿入されることから、容器の内面において洗浄死角を生じることがなく、さらに洗浄時における容器はコンベアに接触支持されることなく、コンベア上部に浮上されているために、容器とコンベアとの接触による洗浄死角が解消され、しかも水洗後の水切りが容易であることから、精度の高い容器洗浄が迅速かつ確実に行なわれる。
【0031】また上記の如く容器の洗浄時において、該容器は、コンベアに対し無接触状態で保持されているので容器洗浄時における振動等で容器とコンベアとの間で摩擦を生じることがなく、これにより容器の損傷が未然に防止できる。
【0032】さらに本発明によれば、そのクランプ反転機構の特に容器押圧板等の位置調整を行なうことで、各種形状、大きさの容器の洗浄に対応させることができる。
【0033】さらに本発明によれば、水洗(湯洗)洗浄に次いでリンス洗浄を行なっているので、衛生的な洗浄が可能となり、特に食品等の洗浄に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明よりなる容器連続洗浄装置の第1の実施の形態を示した説明図。
【図2】本発明よりなる容器連続洗浄装置の第1の実施の形態を示した昇降機構の平面説明図。
【図3】本発明よりなる容器連続洗浄装置の第1の実施の形態を示した洗浄室内部のコンベア及びノズルの動作説明図。
【図4】本発明よりなる容器連続洗浄装置の第1の実施の形態を示した洗浄室内部の平面説明図。
【図5】本発明よりなる第1の実施の形態による容器洗浄工程を示した説明図。
【図6】本発明よりなる容器連続洗浄装置の第2の実施形態を示した説明図。
【符号の説明】
1…洗浄室
2…容器
3…導入コンベア
4…導出コンベア
5…受け入れコンベア
6…昇降機構
7…吊持ねじ杆
8…支持体
9…駆動モータ
10…チェーン
11…チェーンホイール
12…クランプ反転機構
13…容器押圧板
14…シリンダー
15…モータ
16…内面洗浄ノズル
17…内面リンスノズル
18…シリンダー
19…外面洗浄ノズル
20…外面リンスノズル
21…洗浄ポンプ
22…温水タンク
23…弁
24…純水容器
25…熱交換機
26…ミストコレクタ
27…熱風乾燥室
28…フィルタ
29…シリンダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】 搬送されてきた洗浄すべき容器を洗浄室内へ受け入れる受け入れコンベアと、該受け入れコンベアにより洗浄室内で受け入れられた容器を、その受け入れコンベアと共に洗浄位置まで上昇させ、さらには洗浄後の容器を受け入れコンベアと共に初期位置へ降下させる昇降機構と、該昇降機構の動作で上記コンベアと共に洗浄位置まで上昇された容器を、その両側方から挟持しながら、天地逆に反転するクランプ反転機構と、該クランプ反転機構により反転された容器の内部に挿入されて容器内面に洗浄水を吹きつける内面洗浄ノズル、その容器の外周面に洗浄水を吹きつける外面洗浄ノズル及び上記内面洗浄ノズル、外面洗浄ノズルにより洗浄された後の容器の内部に挿入されて該容器の内面をリンス洗浄する内面リンスノズル、該容器の外面をリンス洗浄する外面リンスノズルとからなる洗浄機構と、該洗浄機構による洗浄が終了された容器の内面及び外面の水切りを行なうエアブロー機構を有せしめたことを特徴とする容器の連続洗浄装置。
【請求項2】 請求項1に記載の連続洗浄装置の洗浄室外に、該洗浄室内で洗浄水切りされた後の容器を熱風乾燥する熱風乾燥室を隣設したことを特徴とする容器の連続洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2001−70897(P2001−70897A)
【公開日】平成13年3月21日(2001.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−253043
【出願日】平成11年9月7日(1999.9.7)
【出願人】(390018924)東光技研工業株式会社 (3)
【出願人】(599126682)明治エンジニアリング株式会社 (1)
【Fターム(参考)】