説明

容器入り液体漂白剤物品

【課題】 本発明の課題は、過酸化水素の分解によって発生する酸素ガスによる容器破損を防止する容器入り液体漂白剤物品の提供。
【解決手段】 (a)過酸化水素、(b)一般式(I)で表される非イオン性化合物及び(c)水を特定割合で含有し、JIS K3362:1998記載の界面活性剤相当分が10〜50質量%で、JIS K3362:1998記載の20℃で測定するpHが4〜8である液体漂白剤組成物を容器に充填した容器入り液体漂白剤物品であって、容器が少なくとも2層のプラスチック製フィルムを積層した複合フィルム基材からなる袋状容器である、容器入り液体漂白剤物品。
Y−(R2−O)m−R3 (I)
〔式中、YはH又はR1−O−、R1及びR3はH又はC1-20のアルキル基等、R2はC2-6のアルキレン基、mは2〜500の数を示す。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等の繊維製品の漂白や除菌等に用いることができる、過酸化水素を含有する液体漂白剤組成物を容器に充填した、容器入り液体漂白剤物品に関する。
【背景技術】
【0002】
漂白剤組成物は塩素系漂白剤組成物と酸素系漂白剤組成物に分けられるが、塩素系漂白剤組成物は使用できる繊維に制限があり、さらには色柄ものには使用できないことや特有の刺激臭を有していることから、これらの欠点のない酸素系漂白剤組成物が最近著しく普及している。この酸素系漂白剤組成物のうち、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウムが粉末酸素系漂白剤組成物として使用されており、過酸化水素が液体酸素系漂白剤組成物として使用されている。
【0003】
この液体酸素系漂白剤は、漂白活性種として使用される過酸化水素の安定性が悪いため、貯蔵中に分解して酸素ガスを発生する。このため液体漂白剤の容器としては、通常、厚手の強固な構造のものが採用されている。しかし、省資源化やゴミの減量化の要請から、より薄いプラスチック製の小袋に詰めた詰替用の液体漂白剤が求められている。このような詰め替え用のプラスチック製の袋状の包装容器としては、特許文献1及び特許文献2に開示されているものがある。しかし、これらの容器を使用すると、発生する酸素ガスにより、貯蔵中に容器が著しく膨れたり、破裂したりするという問題がある。
【0004】
過酸化水素の安定性の観点から、組成物のpHを3以下の酸性にし、洗浄力を犠牲にした組成物が一般的であり、このため、衣料用として用いる場合は、アルカリ成分を有する洗剤等と同時に使用することが一般的であった。
【0005】
また、酸素ガスの発生による容器破損の防止方法として、金属イオン封鎖剤を配合して過酸化水素の分解を抑制する試み(例えば、特許文献3参照)や、特定の波長の光透過率を制限することで過酸化水素の分解を抑制する試み(例えば、特許文献4参照)、特定の二酸化炭素透過度を有する容器を用いることで過酸化水素の分解を抑制する試み(例えば、特許文献5参照)等がなされているが、これらは過酸化水素の分解をある程度抑制はするが、完全に分解を防止することはできないため、保存により容器が膨れるまでの期間を延ばしたものの、完全ではなかった。
【特許文献1】特表平3−505322号公報
【特許文献2】実開平3−123847号公報
【特許文献3】特開平11−335695号公報
【特許文献4】特開2000−265200号公報
【特許文献5】特開平11−140493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、過酸化水素の分解によって発生する酸素ガスによる容器破損を防止する容器入り液体漂白剤物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有し、組成物中の(a)成分の含有量が0.1〜10質量%、(b)成分の含有量が1〜40質量%、(c)成分の含有量が30〜95質量%、(a)成分と(b)成分の質量比(b)/(a)が1〜30、JIS K3362:1998記載の界面活性剤相当分が10〜50質量%で、JIS K3362:1998記載の20℃で測定するpHが4〜8である液体漂白剤組成物を容器に充填した容器入り液体漂白剤物品であって、容器が少なくとも2層のプラスチック製フィルムを積層した複合フィルム基材からなる袋状容器である、容器入り液体漂白剤物品を提供する。
(a)過酸化水素、
(b)一般式(I)で表される非イオン性化合物(以下非イオン性化合物(I)という)から選ばれる少なくとも1種、
Y−(R2−O)m−R3 (I)
〔式中、Yは水素原子又はR1−O−で示される基、R1及びR3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、R2は炭素数2〜6のアルキレン基、mは2〜500の数を示す。〕
(c)水
また本発明は液体漂白剤組成物が、更に(d)成分としてホスホン酸系金属捕捉剤を含有する上記容器入り液体漂白剤物品を提供する。
【0008】
また本発明は液体漂白剤組成物が、更に(e)成分としてフェノール系ラジカルトラップ剤を含有する上記容器入り液体漂白剤物品を提供する。
【0009】
また本発明は液体漂白剤組成物が、更に(f)成分として漂白活性化剤を含有する上記容器入り液体漂白剤物品を提供する。
【0010】
また本発明は液体漂白剤組成物が、更に(g)成分としてホウ素化合物を含有する上記容器入り液体漂白剤物品を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の容器入り液体漂白剤物品により、過酸化水素の分解によって発生する酸素ガスによる容器破損を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[(a)成分]
本発明に係わる液体漂白剤組成物は(a)成分として過酸化水素を含有する。
【0013】
[(b)成分]
本発明に係わる液体漂白剤組成物は(b)成分として、非イオン性化合物(I)を含有する。安定性、酸素ガス発生防止性の観点から、一般式(I)中のR2は炭素数2〜3のアルキレン基が好ましい。また、一般式(I)中、−(R2−O)m−はアルキレンオキサイドがランダム付加したものでもブロック付加したものでも良く、中でもエチレンオキサイド(以下、EOと表記する)及び/又はプロピレンオキサイド(以下、POと表記する)がランダム付加したものやブロック付加したものが好ましい。−(R2−O)m−は、EOを付加したものが最も好ましい。
【0014】
安定性、酸素ガス発生防止性の観点から、一般式(I)において、mは4〜400が好ましく、6〜300がより好ましい。また、安定性、酸素ガス発生防止性、洗浄性能の観点から、一般式(I)において、mが2〜9(好ましくは4〜8)のものの(b)成分中の含有量が、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。
【0015】
非イオン性化合物(I)としては、ポリオキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜3、オキシアルキレン基の付加モル数2〜500)アルキル(アルキル基の炭素数1〜20)エーテル、ポリアルキレングリコール(オキシアルキレン基の付加モル数2〜500)、ポリアルキレングリコール(オキシアルキレン基の付加モル数2〜500)ジアルキル(アルキル基の炭素数1〜20)エーテル等が挙げられ、直鎖又は分岐鎖の炭素数8〜20のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(特にエチレンオキサイド付加モル数2〜15、好ましくは2〜9、更に好ましくは4〜8、アルキル基の炭素数10〜18、好ましくは12〜14)が特に好ましい。
【0016】
[液体漂白剤組成物]
本発明に係わる液体漂白剤組成物は、必須成分として、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有する。
【0017】
本発明の組成物中の(a)成分の含有量は、洗浄性能、安定性の観点から0.1〜10質量%であり、0.5〜6質量%が好ましく、1〜4質量%がより好ましく、1.5〜3質量%が更に好ましい。(b)成分の含有量は、安定性、酸素ガス発生防止性の観点から1〜40質量%であり、5〜38質量%が好ましく、10〜36質量%がより好ましく、15〜34質量%が更に好ましく、20〜32質量%が特に好ましい。(c)成分の含有量は、安定性の観点から30〜95質量%であり、35〜90質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましい。
【0018】
本発明の組成物中の(a)成分と(b)成分の質量比(b)/(a)は、安定性、酸素ガス発生防止性の観点から1〜30であり、2〜28が好ましく、3〜26がより好ましく、4〜24が更に好ましく、5〜22が特に好ましく、6〜20が最も好ましい。
【0019】
本発明の液体漂白剤組成物は、更に、安定性、液体物性の観点から、(d)成分としてホスホン酸系金属捕捉剤を含有することが好ましい。本発明の組成物中の(d)成分の含有量は、0.01〜1質量%が好ましく、0.05〜0.8質量%がより好ましく、0.1〜0.5質量%が更に好ましい。
【0020】
ホスホン酸系金属捕捉剤としては、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、ヒドロキシエタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、ヒドロキシメタンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ニトリロトリ(メチレンホスホン酸)、2−ヒドロキシエチルイミノジ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等の有機ホスホン酸誘導体やその塩を挙げることができる。これらの中でも1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸やその塩が好ましい。
【0021】
本発明の液体漂白剤組成物は、更に、安定性、液体物性の観点から、(e)成分としてフェノール系ラジカルトラップ剤を含有することが好ましい。本発明の組成物中の(e)成分の含有量は0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましく、0.5〜2質量%が更に好ましい。
【0022】
フェノール系ラジカルトラップ剤としては、フェノール性水酸基を有する化合物又はフェノール性水酸基のエステル誘導体、エーテル誘導体等が挙げられる。このような化合物として、より具体的には、クレゾール、チモール、クロロフェノール、ブロモフェノール、メトキシフェノール、ニトロフェノール、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ジ−t−ブチル−ヒドロキシトルエン、ナフトール、ヒドロキノン、カテコール、ピロガロール、フェノキシエタノール、フェノールなどが挙げられる。これらの中でも4−メトキシフェノール、4−ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノン、カテコールがより好ましく、更にラジカルトラップ剤の安定性を考慮すれば、これらの中でも4−メトキシフェノール、4−ヒドロキシ安息香酸が更に好ましく、4−メトキシフェノールが特に好ましい。
【0023】
本発明の液体漂白剤組成物は、更に、洗浄性能、安定性の観点から、(f)成分として漂白活性化剤を含有することが好ましい。本発明の組成物中の(f)成分の含有量は0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、0.2〜3質量%が更に好ましく、0.4〜1質量%が特に好ましい。
【0024】
漂白活性化剤としては、アルカノイルオキシベンゼン型漂白活性化剤が好ましく、特に炭素数8〜14、好ましくは8〜13のアルカノイル基を有するアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸、もしくは炭素数8〜14、好ましくは8〜13のアルカノイル基を有するアルカノイルオキシベンゼンカルボン酸又はこれらの塩が好ましい。より具体的に好ましい例としては、オクタノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、ノナノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、デカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、ドデカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、オクタノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、ノナノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、デカノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、ドデカノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、及びこれらの塩が挙げられる。塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩が好ましく、特にナトリウム塩が溶解性の点から好ましい。これらの中でも特にノナノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、デカノイルオキシ−p−ベンゼンカルボン酸、ドデカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸及びこれらの塩が漂白効果の点から好ましい。
【0025】
本発明の液体漂白剤組成物は、更に、洗浄性能、安定性の観点から(g)成分として、ホウ素化合物を含有することが好ましい。本発明の組成物中の(g)成分の含有量は0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜15質量%がより好ましく、0.1〜10質量%が更に好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましい。
【0026】
ホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、4ホウ酸ナトリウム、4ホウ酸カリウム、4ホウ酸アンモニウム等、分子中にホウ素を含有する化合物が挙げられ、特に4ホウ酸ナトリウムが好適である。
【0027】
本発明に係わる液体漂白剤組成物は、洗浄性能、安定性の観点から、JIS K3362:1998記載の界面活性剤相当分が10〜50質量%であり、12〜48質量%が好ましく、14〜46質量%がより好ましく、16〜44質量%が更に好ましく、18〜42質量%が特に好ましく、20〜40質量%が最も好ましい。
【0028】
本発明に係わる液体漂白剤組成物は、洗浄性能、安定性の観点から、JIS K3362:1998記載の20℃で測定するpHが4〜8であり、4.2〜7.5が好ましく、4.4〜7がより好ましく、4.6〜6.5が更に好ましく、4.8〜6が特に好ましい。また洗浄性能の観点から、0.1質量%に希釈することによりpHが0.5以上上昇することが好ましく、1以上がより好ましく、1.5以上が更に好ましく、2以上が特に好ましい。
【0029】
また、本発明に係わる液体漂白剤組成物は、洗浄性能、液体物性の観点から、JIS K3362:1998記載の測定による0.1質量%水溶液の20℃におけるpHが、好ましくは7〜10、より好ましくは7.2〜9.5、更に好ましくは7.5〜9である。
【0030】
このようなpHに調整するためのpH調整剤としては塩酸、硫酸等の無機酸、もしくはクエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸等の有機酸などの酸剤、又は水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニア及びその誘導体、アミン塩(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を、単独もしくは複合して用いることが好ましく、特に塩酸、硫酸から選ばれる酸剤、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選ばれるアルカリ剤を用いることが好ましい。
【0031】
また、本発明に係わる液体漂白剤組成物の20℃における粘度は、洗浄性能、液体物性の観点から、好ましくは50〜200mPa・s、より好ましくは60〜150mPa・s、更に好ましくは70〜100mPa・sである。
本発明の液体漂白剤組成物の粘度は、B型粘度計〔(株)東京計器製、VISCOMETER MODEL DVM−B〕を用い、使用するローターは1、回転数60r/min、測定時間60秒の条件で測定されたものである。
【0032】
本発明に係わる液体漂白剤組成物は、安定性向上、洗浄性能を高める目的から、(h)成分としてポリオール化合物を含有することが好ましく、組成物中の(h)成分の含有量は0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜25質量%がより好ましく、1〜20質量%が更に好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。
【0033】
ポリオール化合物としては、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、リボース、エリトロース、キシルロース、グルコン酸、ガラクトン酸、マンノン酸、グルクロン酸、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール等及びそれらの誘導体としてアルキルグルコシド等の糖又は糖誘導体、グリセリン、グリセリンモノアルキルエーテル等のグリセリン誘導体、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール等のアルキルジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、へキシレングリコール等のジオール化合物を挙げることができる。特に、(g)成分のホウ素化合物と(h)成分のポリオール化合物とを同時に用いることで、希釈時のpHを上昇させることができ、洗浄効果を高めることができる。
【0034】
本発明に係わる液体漂白剤組成物は、優れた洗浄性能を得る観点から、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を含有することができ、陰イオン界面活性剤が好ましい。組成物中のこれらの界面活性剤の含有量は0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
【0035】
陰イオン界面活性剤としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1個有する陰イオン界面活性剤、又は炭素数8〜24のアルキル基で置換されたアリール基を少なくとも1個有する陰イオン界面活性剤が挙げられ、その例として、アルキルベンゼンスルホン酸塩、石鹸、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、脂肪族α−スルホメチルエステル、α−オレフィンスルホン酸塩等を挙げることができる。これらの中でもアルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩が好ましい。
【0036】
陽イオン界面活性剤としては、モノまたはジアルキルアミン及びそのポリオキシエチレン付加物、モノまたはジ長鎖アルキル第4級アンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、カルボベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系の両性界面活性剤が挙げられる。
【0037】
本発明に係わる液体漂白剤組成物は、漂白効果を高める目的から分散剤を含有することが好ましく、組成物中の分散剤の含有量は0.05〜14質量%が好ましく、0.1〜8質量%がより好ましい。分散剤としては、特に、重量平均分子量5千〜4万、好ましくは5千〜1万のポリアクリル酸もしくはその塩又はポリメタクリル酸もしくはその塩、重量平均分子量1万〜10万、好ましくは3万〜7万のアクリル酸とマレイン酸とのコポリマーもしくはその塩から選ばれるカルボン酸系ポリマーが好ましい。
【0038】
本発明に係わる液体漂白剤組成物は、漂白繊維に対する漂白効果を増すために蛍光増白剤として、チノパールCBS(チバ・ガイギー社製)、チノパールSWN(チバ・ガイギー社製)や、カラー・インデックス蛍光増白剤28、40、61、71等のような蛍光増白剤や、漂白性能を向上させるために酵素(セルラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ)を配合することができる。また染料や顔料のような着色剤、香料、シリコーン類、殺菌剤、紫外線吸収剤等の種々の微量添加物を適量配合してもよい。
【0039】
[容器入り液体漂白剤物品]
本発明に係わる液体漂白剤組成物を充填する容器は、少なくとも2層のプラスチック製フィルムを積層した複合フィルム基材からなる袋状容器である。
【0040】
本発明に用いられる容器は、その内面側最内層が直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(以下、最内層ということがある)であることが、製造時のヒートシールの容易性、内容物の保持性の観点から好ましい。容器の内面側最内層の厚みは、製造時のヒートシールの容易性、内容物の保持性の観点から50〜300μmが好ましく、90〜150μmがより好ましく、130〜150μmが更に好ましい。
【0041】
また本発明に用いられる容器は、その内面側最内層の外面側に少なくとも1層の補強用プラスチックフィルム(以下、補強フィルム層ということがある)が積層されていることが容器強度の観点から好ましい。補強フィルム層は、機械的強度が大きい補強用プラスチックフィルムからなり、補強用プラスチックフィルムの材料としては、例えばナイロン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の合成樹脂からなるフィルムが挙げられる。補強フィルム層の厚さは、直立性を維持し、落下時の衝撃破損などに耐えるフィルム強度と、内容物の減少を防止する保存安定性の点で、一層分の厚みとして、好ましくは10〜30μm、より好ましくは15〜20μmである。
【0042】
容器を形成する複合フィルム基材は、これらのフィルム各層が積層されたものである。フィルム各層の積層は、一般的に、ポリウレタン系、エステル系等の接着剤や、カゼインなどの水溶性接着剤などの糊材を用いて行われる。
【0043】
複合フィルム基材の具体的な例としては、例えば以下の複合フィルム基材(1)〜(8)のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
・複合フィルム基材(1):(補強フィルム層)延伸ナイロン(15μm)/(最内層)直鎖状低密度ポリエチレン(130μm)
・複合フィルム基材(2):(補強フィルム層1)延伸ナイロン(15μm)/(補強フィルム層2)延伸ナイロン(15μm)/(最内層)直鎖状低密度ポリエチレン(130μm)
・複合フィルム基材(3):(補強フィルム層1)延伸ナイロン(15μm)/(補強フィルム層2)延伸ポリプロピレン(20μm)/(最内層)直鎖状低密度ポリエチレン(130μm)
・複合フィルム基材(4):(補強フィルム層)延伸ポリエチレンテレフタレート(20μm)/(最内層)直鎖状低密度ポリエチレン(130μm)
・複合フィルム基材(5):(補強フィルム層1)延伸ポリプロピレン(20μm)/(補強フィルム層2)エチレン−ビニルアルコールコポリマー(16μm)/(最内層)直鎖状低密度ポリエチレン(130μm)
・複合フィルム基材(6):(補強フィルム層)延伸ポリビニルアルコール(20μm)/(最内層)直鎖状低密度ポリエチレン(130μm)
・複合フィルム基材(7):(補強フィルム層1)延伸ナイロン(15μm)/(補強フィルム層2)アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート(15μm)/(最内層)直鎖状低密度ポリエチレン(100μm)
・複合フィルム基材(8):(補強フィルム層1)延伸ナイロン(15μm)/(補強フィルム層2)アルミ(7μm)/(最内層)直鎖状低密度ポリエチレン(100μm)
なお、上記記載において、括弧内はフィルムの厚さを示す。また、エチレン−ビニルアルコールコポリマーは、補強フィルム層を2層以上設けた場合の、補強フィルム層の最外層と、最内層との間の中間層にのみ使用される。
【0044】
本発明に用いられる容器は、上述のような複合フィルム基材を、前記最内層を内側にして重ね合わせ、その周縁部を、ヒートシール等により接着して袋状に成形して得られる。
【0045】
また、本発明の容器入り液体漂白剤物品に収容されている液体漂白剤組成物をハードボトル等に詰替えを行い使用することができる。
【実施例】
【0046】
実施例1〜9及び比較例1〜3
下記成分を用い、表1に示す組成の液体漂白剤組成物を調製した。得られた液体漂白剤組成物を、下記袋状容器A〜Dに充填し、容器入り液体漂白剤物品を得た。これらの液体漂白剤物品について、下記方法で保存安定性試験を行った。その結果を表1に示す。
【0047】
<配合成分>
(a)成分
a−1;過酸化水素
(b)成分
b−1;CH3(CH2)11-O-(C24O)6-H
b−2;CH3(CH2)11-O-(C24O)10-H
b−3;CH3(CH2)11-O-(C24O)12-H
b−4;CH3(CH2)17-O-(C24O)130-H
b−5;ポリエチレングリコール(分子量8000)
(d)成分
d−1;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(ディクエスト2010、ソルーシア社製)
(e)成分
e−1;4−メトキシフェノール
(f)成分
f−1;ドデカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸
f−2;3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸
(g)成分
g−1;オルトホウ酸
(h)成分
h−1;ソルビトール
その他成分
LAS−Na;炭素数10〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
ES;C1225−O(CH2CH2O)nSO3Na(エチレンオキサイド平均付加モル数n=3)
AOS−Na:炭素数14〜18のα−オレフィンスルホン酸ナトリウム
APAO;アルキル(炭素数12)アミドプロピルジメチルアミンオキシド
<容器>
以下の合成樹脂フィルムを積層した複合フィルム基材(括弧内はフィルムの厚さを示す)を用い、最内層を内側にして重ね合わせ、その周縁部をヒートシールして袋状容器A〜D(容積600mL)を作製した。
・容器A
複合フィルム基材:(補強フィルム層)延伸ナイロン(15μm)/(最内層)直鎖状低密度ポリエチレン(130μm)
・容器B
複合フィルム基材:(補強フィルム層1)延伸ナイロン(15μm)/(補強フィルム層2)延伸ポリプロピレン(20μm)/(最内層)直鎖状低密度ポリエチレン(130μm)
・容器C
複合フィルム基材:(補強フィルム層)延伸ポリエチレンテレフタレート(20μm)/(最内層)直鎖状低密度ポリエチレン(130μm)
・容器D
複合フィルム基材:(補強フィルム層1)延伸ポリプロピレン(20μm)/(補強フィルム層2)エチレン−ビニルアルコールコポリマー(16μm)/(最内層)直鎖状低密度ポリエチレン(130μm)
<保存安定性試験>
各容器入り液体漂白剤物品を40℃に40日間保存し、容器の状態を観察し、以下の基準で評価した。
○:容器の膨れが全く見られない
△:容器の膨れが僅かに見られる
×:容器の膨れが明らかに見られる
【0048】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有し、組成物中の(a)成分の含有量が0.1〜10質量%、(b)成分の含有量が1〜40質量%、(c)成分の含有量が30〜95質量%、(a)成分と(b)成分の質量比(b)/(a)が1〜30、JIS K3362:1998記載の界面活性剤相当分が10〜50質量%で、JIS K3362:1998記載の20℃で測定するpHが4〜8である液体漂白剤組成物を容器に充填した容器入り液体漂白剤物品であって、容器が少なくとも2層のプラスチック製フィルムを積層した複合フィルム基材からなる袋状容器である、容器入り液体漂白剤物品。
(a)過酸化水素、
(b)一般式(I)で表される非イオン性化合物から選ばれる少なくとも1種、
Y−(R2−O)m−R3 (I)
〔式中、Yは水素原子又はR1−O−で示される基、R1及びR3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、R2は炭素数2〜6のアルキレン基、mは2〜500の数を示す。〕
(c)水
【請求項2】
前記袋状容器が、その内面側最内層が直鎖状低密度ポリエチレンフィルムで、該内面側最内層の外面側に少なくとも1層の補強用プラスチックフィルムが積層された複合フィルム基材からなる請求項1記載の容器入り液体漂白剤物品。
【請求項3】
液体漂白剤組成物が、更に(d)成分としてホスホン酸系金属捕捉剤を含有する請求項1又は2記載の容器入り液体漂白剤物品。
【請求項4】
液体漂白剤組成物が、更に(e)成分としてフェノール系ラジカルトラップ剤を含有する請求項1〜3何れか記載の容器入り液体漂白剤物品。
【請求項5】
液体漂白剤組成物が、更に(f)成分として漂白活性化剤を含有する請求項1〜4何れか記載の容器入り液体漂白剤物品。
【請求項6】
液体漂白剤組成物が、更に(g)成分としてホウ素化合物を含有する請求項1〜5何れか記載の容器入り液体漂白剤物品。

【公開番号】特開2007−39599(P2007−39599A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−227369(P2005−227369)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】