容器内洗浄装置
【課題】少ない工程数で、必要十分な洗浄を行うことができる容器内洗浄装置を提供する。
【解決手段】容器内洗浄装置1は、開口部を下にした状態で被洗浄容器2を収納可能な受け容器3と、受け容器3から被洗浄容器2の開口部を通って上方に伸びる洗浄管4と、この洗浄管4に取付けられて被洗浄容器2の内壁に向かって高圧の液剤を噴射する噴射部5と、受け容器3の底面または側面に取付けられる廃液ダクト6と、被洗浄容器2を受け容器3内で回転させる回転機構7とを備えている。受け容器3内の溝8aに被洗浄容器2の開口部の端部を嵌合させて被洗浄容器2を回転させた状態で、被洗浄容器2の内壁に高圧の液剤を噴射し、洗浄後の廃液は受け容器3から廃液ダクト6に流すようにすることで、被洗浄容器2の内壁に塗料等がへばりついている場合でも、一回の洗浄できれいに除去することができる。
【解決手段】容器内洗浄装置1は、開口部を下にした状態で被洗浄容器2を収納可能な受け容器3と、受け容器3から被洗浄容器2の開口部を通って上方に伸びる洗浄管4と、この洗浄管4に取付けられて被洗浄容器2の内壁に向かって高圧の液剤を噴射する噴射部5と、受け容器3の底面または側面に取付けられる廃液ダクト6と、被洗浄容器2を受け容器3内で回転させる回転機構7とを備えている。受け容器3内の溝8aに被洗浄容器2の開口部の端部を嵌合させて被洗浄容器2を回転させた状態で、被洗浄容器2の内壁に高圧の液剤を噴射し、洗浄後の廃液は受け容器3から廃液ダクト6に流すようにすることで、被洗浄容器2の内壁に塗料等がへばりついている場合でも、一回の洗浄できれいに除去することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被洗浄容器の内部を洗浄する容器内洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塗料用金属容器の内部の洗浄は、図7に示すように、粗洗浄工程S11、洗浄液排出工程S12、仕上げ洗浄工程S13、および乾燥工程S14の順に行われていた。
【0003】
粗洗浄工程S11では、図8に示すように、パレット31に開口部を上にして固着された被洗浄容器32の内部に、回転軸33回りに回動可能なスクレーパ装置34を挿入して、スクレーパ装置34を回転させて、被洗浄容器32の内部に固着した塗料を削り落とす仕組みを採用している。このとき、塗料を効率よく削り落とせるように、回転軸33からスクレーパ装置34を介して、被洗浄容器32の内部に洗浄液(例えば、酢酸エチル、トルエン等)を供給して粗洗浄を行う。
【0004】
次に、洗浄液排出工程S12では、図9に示すように、被洗浄容器32の底面に固着されたパレット31の底面を支持する支持板35と、この支持板35の端部を支持して支持板35を回転させる回転軸36と、回転軸36の軸受37と、回転軸36と一体に回転するピニオンギア38と、このピニオンギア38を上下に移動させるガイドラック39とを設ける。軸受37には、油圧シリンダ40とシリンダロッド41が設けられ、油圧シリンダ40によりシリンダロッド41が上下に伸縮し、それと共に、ピニオンギア38が回転しながらガイドラック39に沿って上下に往復運動し、ピニオンギア38の回転により、回転軸36および被洗浄容器32も回転し、被洗浄容器32内の洗浄液が下方に排出されるようになっている。
次に、仕上げ洗浄工程S13では、図10に示すように、洗浄ブラシ42と洗浄水スプレーノズル43が取付けられた複数の洗浄部材44を有するテーブル45を被洗浄容器32の内部に収納した状態で、支持板35の裏面中央部に取り付けられた回転軸46回りに被洗浄容器32を回転させて、洗浄水スプレーノズル43から洗浄水を被洗浄容器32の内壁に噴射させながら、洗浄ブラシ42で被洗浄容器32の内壁にこびりついた塗料を削り落とす。次に、図11に示すように、洗浄スプレーノズル47が取付けられたタンク48を被洗浄容器32内に収納して、被洗浄容器32内部を洗浄する。
【0005】
最後の乾燥工程S14では、図12に示すように、被洗浄容器32を回転させながら、エアノズル49からエアを噴射して被洗浄容器32内部を乾燥させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5‐169041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図7〜図12に示すように、従来の容器内洗浄は、工程数と洗浄に用いる装置類の種類が多く、煩雑で作業性が悪いという問題があった。
【0008】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、少ない工程数で、必要十分な洗浄を行うことができる容器内洗浄装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様では、一端に開口部を有する被洗浄容器の内部を洗浄する容器内洗浄装置において、
前記被洗浄容器の開口部を下にして前記被洗浄容器を収納可能な受け容器と、
前記受け容器から前記被洗浄容器の開口部を通って上方に配置される洗浄管と、
前記洗浄管に取付けられ、前記被洗浄容器の内壁に向かって高圧の液剤を噴射する噴射装置と、
前記被洗浄容器を把持して、前記開口部の端部を前記受け容器内で支持しつつ前記被洗浄容器を前記受け容器内で回転させる回転機構と、を備えることを特徴とする容器内洗浄装置が提供される。
また、本発明の一態様では、前記受け容器の底面から所定高さに設けられ、前記被洗浄容器の開口部の端部を嵌合可能な溝が形成された環状部材を備え、
前記環状部材の外縁部は前記受け容器の内壁に接合され、
前記回転機構は、前記溝に前記被洗浄容器の開口部の端部を嵌合させた状態で前記被洗浄容器を回転させるものでもよい。
また、本発明の一態様では、前記溝の、前記被洗浄容器の開口部の端部との接触面は、弾性材料で形成されるものでもよい。
また、本発明の一態様の前記回転機構は、
前記被洗浄容器の開口部と反対側の外側面を把持可能な把持具と、
前記把持具を回転させる回転軸と、
前記回転軸を回転駆動する回転駆動部と、
前記把持具に把持動作を行わせるか否かを切替可能で、前記回転軸の側面に取付けられる操作部材と、を有し、
前記把持具は、前記操作部材が前記回転軸の外周面から突き出すように操作されるか否かにより、前記被洗浄容器の把持動作を行うか否かを切り替えるものでもよい。
また、本発明の一態様の前記回転機構は、
前記把持具の基端部に接続され、前記回転軸に沿って上下に移動可能な把持具接続部と、
前記把持具接続部を前記回転軸の軸方向に上下させる付勢力を発生する第1の付勢部材と、を有し、
前記把持具接続部は、前記操作部材が前記回転軸の外周面から突き出さないように操作された場合は、前記操作部材の移動を規制する高さまで前記第1の付勢部材の付勢力により上方に移動し、前記操作部材が前記回転軸の外周面から突き出ている場合は、前記操作部材により上方への移動が規制され、
前記把持具は、前記把持具接続部が前記操作部材の移動を規制する高さまで移動した場合は、前記被洗浄容器の把持動作を行い、前記操作部材が前記回転軸の外周面から突き出ている場合は、前記被洗浄容器の把持動作を解除するものでもよい。
また、本発明の一態様の前記回転機構は、
前記把持具の中間部に接続される補助具と、
前記補助具の基端部に接続され、前記回転軸に固定される補助具接続部と、
前記操作部材が前記回転軸の外周面から突き出す方向に前記操作部材を付勢する第2の付勢部材と、を有し、
前記操作部材は、前記把持具接続部が前記操作部材の移動を規制する高さよりも低い位置に移動した場合は、前記第2の付勢部材の付勢力により前記回転軸の外周面から突き出すように移動し、
前記回転軸の回転力は、前記補助具接続部から前記補助具、前記把持具および前記把持具接続部に順に伝達され、前記補助具接続部、前記補助具、前記把持具および前記把持具接続部は前記回転軸と一体に回転するものでもよい。
また、本発明の一態様の前記受け容器は、前記噴射装置から噴射されて前記被洗浄容器内を洗浄した前記液剤を排出する排出口を有するものでもよい。
また、本発明の一態様の前記噴射装置は、前記被洗浄容器の底面および内側側面の少なくとも一方に向かって前記高圧の液剤を噴射する複数のノズルを有するものでもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、わずか一回の洗浄工程で、必要十分な洗浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る容器内洗浄装置の洗浄工程図。
【図2】容器内洗浄装置1の外観図。
【図3】被洗浄容器2を把持する前の状態を示す平面図。
【図4】被洗浄容器2を把持して回転した状態を示す平面図。
【図5】回転機構の動作を示す平面図。
【図6】操作部材周辺の斜視図。
【図7】従来の塗料用金属容器の洗浄工程図。
【図8】図7の粗洗浄工程S11を説明する図。
【図9】図7の洗浄液排出工程S12を説明する図。
【図10】図7の仕上げ洗浄工程S13を説明する図。
【図11】図7の仕上げ洗浄工程S13を説明する図。
【図12】図7の乾燥工程S14を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係る容器内洗浄装置の洗浄工程図である。図示のように、図1の容器内洗浄装置は、一回のみの洗浄工程S1と乾燥工程S2との二工程のみを行うものであり、図7〜図12に示した従来の洗浄装置よりも工程数を大幅に削減できることを特徴とする。なお、後述するように、本実施形態では、洗浄工程S1に並行して洗浄液の排出も行うため、図7と異なり、洗浄工程S1とは別個に洗浄液排出工程を設ける必要はない。
【0014】
図2〜図6は本発明の一実施形態に係る容器内洗浄装置の構造を示す図であり、これらの図に基づいて、本実施形態を説明する。これらの図では、構造をわかりやすくするために、被洗浄容器2と受け容器3を透明色で図示している。
【0015】
図2は容器内洗浄装置1の外観図、図3は被洗浄容器2を把持する前の状態を示す平面図、図4は被洗浄容器2を把持して回転した状態を示す平面図、図5は後述する回転機構7の動作を示す平面図、図6は後述する操作部材17周辺の斜視図である。
【0016】
これらの図に示すように、容器内洗浄装置1は、開口部を下にした状態で被洗浄容器2を収納可能な受け容器3と、受け容器3から被洗浄容器2の開口部を通って上方に伸びる洗浄管4と、この洗浄管4に取付けられて被洗浄容器2の内壁に向かって高圧の液剤を噴射する噴射部5と、受け容器3の底面または側面に取付けられる廃液ダクト6と、被洗浄容器2を受け容器3内で回転させる回転機構7とを備えている。
【0017】
受け容器3の内部には、底面よりも高い位置に環状部材8が取付けられている。環状部材8の外周部は受け容器3の内壁に接合されており、環状部材8の表面には、受け容器3の内周面よりも径の小さい円形の溝8aが形成されている。溝8aには、被洗浄容器2の開口部の端部が嵌合可能とされている。被洗浄容器2は、その開口部の端部を溝8aに嵌合させた状態で回転される。このため、被洗浄容器2と溝8aの材料によっては、摩擦により、被洗浄容器2の開口部が損傷するおそれがある。そこで、溝8aの表面をゴム等の弾性材料で覆ってもよい。
【0018】
上述したように、溝8aに被洗浄容器2の開口部の端部を嵌合させることから、溝8aの径と同じ開口部を持つ被洗浄容器2しか洗浄できないことになる。そこで、環状部材8に、予め径の異なる複数の溝8aを形成してもよい。あるいは、径の異なる溝8aがそれぞれ形成された複数の環状部材8を用意しておき、被洗浄容器3の開口部の径に合わせて、対応する環状部材8を受け容器3に取付けてもよい。
【0019】
環状部材8は、受け容器3の底面よりも上方に取付けられているため、被洗浄容器2内の洗浄に使用した液剤は、受け容器3内の環状部材8よりも下方に流れ、廃液ダクト6を通って外部に排出される。このため、環状部材8は、廃液ダクト6よりも上方に設ける必要がある。
【0020】
洗浄管4は、例えば、受け容器3の底面から環状部材8と被洗浄容器2の開口部を通って上方に伸び、その先端部は、逆さまに配置された被洗浄容器2の底面(最上部)近くに位置する。洗浄管4の複数箇所に噴射部5が取付けられ、各噴射部5は、多数のノズル5aを備えており、各ノズル5aから高圧の液剤(例えば水)が被洗浄容器2の内壁に向かって噴射される。このように、洗浄管4を通って下方から上方に高圧の液剤を送り込むために、洗浄管4の基端部には不図示の高圧ポンプが設けられる。
【0021】
後述するように、本実施形態では、被洗浄容器2を回転させながら噴射部5から高圧の液剤を噴射するため、噴射部5は、被洗浄容器2の内壁面に対して必ずしも均等に配置されている必要はない。ただし、被洗浄容器2を回転させても、被洗浄容器2の底面の位置は変化しないため、被洗浄容器2の底面に高圧の液剤が噴射されるように、噴射部5の上方にも噴射部5を配置するのが望ましい。
【0022】
回転機構7は、被洗浄容器2を把持する把持具11と、把持具11の基端部に接続される把持具接続部12と、把持具11の中間部を支持する補助具13と、補助具13の基端部に接続される補助具接続部14と、把持具11、把持具接続部12、補助具13および補助具接続部14を回転させる回転軸15と、回転軸15を回転駆動する回転駆動部16と、把持具11の把持動作を制御する操作部材17とを有する。
【0023】
把持具11は、操作部材17の操作により、被洗浄容器2を把持可能とされている。把持具接続部12は、回転軸15に嵌挿されており、操作部材17の操作に応じて、回転軸15に沿って上下する。補助具接続部14は回転軸15に固着されており、回転軸15と共に回転する。補助具接続部14には補助具13が接続されているため、補助具接続部14が回転すると、補助具13も回転する。また、補助具13は把持具11にも接続されているため、補助具13が回転すると、把持具11も回転する。さらに、把持具11は把持具接続部12に接続されているため、結局、回転軸15が回転すると、それに合わせて、把持具11、把持具接続部12、補助具13および補助具接続部14が一体に回転することになる。
【0024】
把持具11の先端部は、被洗浄容器2を把持したときに被洗浄容器2を損傷しないように、例えば弾性材料で覆われている。
【0025】
把持具接続部12の底面から下側には、回転軸15の軸方向に沿って第1の付勢部材18が設けられている。この第1の付勢部材18の付勢力により、把持具接続部12は、回転軸15に沿って上下に移動する。より具体的には、把持具接続部12は、第1の付勢部材18が付勢されている状態の長さから、付勢が解除された状態の長さまで上方に移動する。結果として、付勢が解除された場合は、把持具接続部12は、操作部材17と対向配置される位置まで上昇して停止する。これにより、操作部材17は、把持具接続部12に当接されて回転軸15の外周面から突き出さなくなる。すなわち、操作部材17が回転軸15の外周面から突き出す動きが把持具接続部12により規制される。
【0026】
操作部材17は、回転軸15の径方向2箇所に取付けられており、これら操作部材17の間には第2の付勢部材19が設けられている。作業者が両方の操作部材17を手で押しつけると、第2の付勢部材19が収縮して、操作部材17は回転軸15の外周面よりも内側に移動する。
【0027】
上述したように、把持具接続部12は、第1の付勢部材18の付勢力によって、回転軸15に沿って上下に移動するが、操作部材17が回転軸15の外周面から突き出している場合は、操作部材17により上方への移動が規制される。これを示したのが図5(a)と図5(b)である。この場合、第1の付勢部材18は付勢された状態になり、第2の付勢部材19は付勢が解除された状態になる。
【0028】
図5(a)の状態から、作業者が操作部材17を押し付けて、操作部材17が回転軸15の外周面から突き出さなくなると、把持具接続部12の上方への移動規制が解除され、把持具接続部12は第1の付勢部材18の付勢力により、上方に移動する。これにより、把持具11は把持方向に移動する。これを示したのが図5(c)と図5(d)である。
【0029】
以下、本実施形態による容器内洗浄装置1の洗浄および乾燥工程S2をより詳細に説明する。
【0030】
(洗浄工程S1)
まず、被洗浄容器2を逆さまにした状態で回転機構7の下方に位置決めする。このとき、回転機構7の操作部材17は、回転軸15の外周面から突き出した状態(図5(a)と図5(b))にあり、把持具接続部12は操作部材17により上方への移動が規制され、把持具11は開いたままであり、把持動作は行われない。
【0031】
次に、作業者は、操作部材17が回転軸15の外周面から突き出なくなるまで、操作部材17を指で押し付ける。これにより、把持具接続部12の上方への移動規制が解除され、把持具接続部12は第1の付勢部材18の付勢力により上方に移動し、操作部材17と対向配置される位置で停止する(図5(c)と図5(d))。把持具接続部12が上方に移動すると、補助具13は把持具11を内側方向に押し付ける。これにより、把持具11は被洗浄容器2の開口部とは反対側の外側面を把持する。
【0032】
把持具11が被洗浄容器2を把持した状態で、回転駆動部16により回転軸15を回転させると、回転軸15に固定された補助具接続部14が回転軸15と共に回転し、それに合わせて、補助具接続部14に接続された補助具13と、補助具13に接続された把持具11と、把持具11に接続された把持具接続部12が共に回転し、結果として、被洗浄容器2が回転軸15回りに回転することになる。
【0033】
被洗浄容器2の回転に合わせて、洗浄管4から高圧の液剤を送り込んで、この液剤を噴射部5から被洗浄容器2の内壁に向かって噴射する。これにより、液剤が単なる水であっても、被洗浄容器2の回転と噴射する水の圧力により、被洗浄容器2の内壁にへばりついた付着物も、きれいに除去することができる。
【0034】
噴射部5から噴射した高圧の液剤は、環状部材8の中央部を通って廃液ダクト6に自動的に流れるため、上述した洗浄工程S1に並行して洗浄液排出が行われる。
【0035】
以上により、洗浄工程S1は終了するが、洗浄時間をどの程度継続するかは、過去の経験により決めればよい。あるいは、最初は短時間の洗浄を行い、容器内の洗浄状態を作業者が目視で確認して、継続して洗浄を行うべきか否かを判断してもよい。
【0036】
(乾燥工程S2)
洗浄が終わると、把持具接続部12を作業者が下方に押すことにより、操作部材17が回転軸15の外周面から突き出し、これにより、把持具接続部12は操作部材17により上方への移動が規制され、把持具11は把持動作を解除する。この状態で、作業者は被洗浄容器2を取り出して、その内部の洗浄状態を目視で確認した後、図12と同様に、パレット31と支持板35を被洗浄容器2の底面側に取付けて、さらに、支持板35の中心部に回転軸46を取付ける。そして、被洗浄容器2の内部にエアノズル49を設置して、エアノズル49からのエアにより被洗浄容器2の内壁を乾燥する。
【0037】
このように、本実施形態では、洗浄工程S1を複数の工程に分けることなく、一つの工程で済ませるようにしたため、洗浄工程S1を単純化でき、作業性を向上できる。また、洗浄工程S1では、洗浄に並行して洗浄液の排出を行うため、洗浄液の排出工程を別個に設ける必要がない。さらに、洗浄工程S1に用いる容器内洗浄装置1も1種類だけで済むため、コスト削減を図ることができ、保守性も向上する。
【0038】
また、本実施形態では、被洗浄容器2を回転させながら、噴射部5により高圧の液剤を被洗浄容器2の内壁に噴射させて洗浄を行うため、洗浄作用にすぐれた特別な洗浄液を液剤として用いる必要はなく、単なる水でも必要十分な洗浄力が得られる。このため、洗浄コストを削減できる。
【0039】
上述した本実施形態の効果は、容器内洗浄装置1の特有の構成により得られる。すなわち、受け容器3内の溝8aに被洗浄容器2の開口部の端部を嵌合させて被洗浄容器2を回転させた状態で、被洗浄容器2の内壁に高圧の液剤を噴射し、洗浄後の廃液は受け容器3から廃液ダクト6に流すようにすることで、被洗浄容器2の内壁に塗料等がへばりついている場合でも、一回の洗浄できれいに除去することができる。
【0040】
上述した実施形態では、塗料用容器の洗浄を念頭に置いて説明したが、被洗浄容器2は塗料用に限定されない。本発明は、種々の材料を収納する容器内の洗浄に幅広く適用可能である。容器内の収納物の種類に応じて、洗浄用の液剤の種類や、液剤の噴出時の圧力、上述した洗浄工程S1における洗浄時間の長さ、被洗浄容器2の洗浄時の回転速度、噴出装置内のノズル5aの数や配置、などを種々調整して、最適な状態で洗浄を行うことが望ましい。
【0041】
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 容器内洗浄装置
2 被洗浄容器
3 受け容器
4 洗浄管
5 噴射部
6 廃液ダクト
7 回転機構
8 環状部材
8a 溝
11 把持具
12 把持具接続部
13 補助具
14 補助具接続部
15 回転軸
16 回転駆動部
17 操作部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、被洗浄容器の内部を洗浄する容器内洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塗料用金属容器の内部の洗浄は、図7に示すように、粗洗浄工程S11、洗浄液排出工程S12、仕上げ洗浄工程S13、および乾燥工程S14の順に行われていた。
【0003】
粗洗浄工程S11では、図8に示すように、パレット31に開口部を上にして固着された被洗浄容器32の内部に、回転軸33回りに回動可能なスクレーパ装置34を挿入して、スクレーパ装置34を回転させて、被洗浄容器32の内部に固着した塗料を削り落とす仕組みを採用している。このとき、塗料を効率よく削り落とせるように、回転軸33からスクレーパ装置34を介して、被洗浄容器32の内部に洗浄液(例えば、酢酸エチル、トルエン等)を供給して粗洗浄を行う。
【0004】
次に、洗浄液排出工程S12では、図9に示すように、被洗浄容器32の底面に固着されたパレット31の底面を支持する支持板35と、この支持板35の端部を支持して支持板35を回転させる回転軸36と、回転軸36の軸受37と、回転軸36と一体に回転するピニオンギア38と、このピニオンギア38を上下に移動させるガイドラック39とを設ける。軸受37には、油圧シリンダ40とシリンダロッド41が設けられ、油圧シリンダ40によりシリンダロッド41が上下に伸縮し、それと共に、ピニオンギア38が回転しながらガイドラック39に沿って上下に往復運動し、ピニオンギア38の回転により、回転軸36および被洗浄容器32も回転し、被洗浄容器32内の洗浄液が下方に排出されるようになっている。
次に、仕上げ洗浄工程S13では、図10に示すように、洗浄ブラシ42と洗浄水スプレーノズル43が取付けられた複数の洗浄部材44を有するテーブル45を被洗浄容器32の内部に収納した状態で、支持板35の裏面中央部に取り付けられた回転軸46回りに被洗浄容器32を回転させて、洗浄水スプレーノズル43から洗浄水を被洗浄容器32の内壁に噴射させながら、洗浄ブラシ42で被洗浄容器32の内壁にこびりついた塗料を削り落とす。次に、図11に示すように、洗浄スプレーノズル47が取付けられたタンク48を被洗浄容器32内に収納して、被洗浄容器32内部を洗浄する。
【0005】
最後の乾燥工程S14では、図12に示すように、被洗浄容器32を回転させながら、エアノズル49からエアを噴射して被洗浄容器32内部を乾燥させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5‐169041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図7〜図12に示すように、従来の容器内洗浄は、工程数と洗浄に用いる装置類の種類が多く、煩雑で作業性が悪いという問題があった。
【0008】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、少ない工程数で、必要十分な洗浄を行うことができる容器内洗浄装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様では、一端に開口部を有する被洗浄容器の内部を洗浄する容器内洗浄装置において、
前記被洗浄容器の開口部を下にして前記被洗浄容器を収納可能な受け容器と、
前記受け容器から前記被洗浄容器の開口部を通って上方に配置される洗浄管と、
前記洗浄管に取付けられ、前記被洗浄容器の内壁に向かって高圧の液剤を噴射する噴射装置と、
前記被洗浄容器を把持して、前記開口部の端部を前記受け容器内で支持しつつ前記被洗浄容器を前記受け容器内で回転させる回転機構と、を備えることを特徴とする容器内洗浄装置が提供される。
また、本発明の一態様では、前記受け容器の底面から所定高さに設けられ、前記被洗浄容器の開口部の端部を嵌合可能な溝が形成された環状部材を備え、
前記環状部材の外縁部は前記受け容器の内壁に接合され、
前記回転機構は、前記溝に前記被洗浄容器の開口部の端部を嵌合させた状態で前記被洗浄容器を回転させるものでもよい。
また、本発明の一態様では、前記溝の、前記被洗浄容器の開口部の端部との接触面は、弾性材料で形成されるものでもよい。
また、本発明の一態様の前記回転機構は、
前記被洗浄容器の開口部と反対側の外側面を把持可能な把持具と、
前記把持具を回転させる回転軸と、
前記回転軸を回転駆動する回転駆動部と、
前記把持具に把持動作を行わせるか否かを切替可能で、前記回転軸の側面に取付けられる操作部材と、を有し、
前記把持具は、前記操作部材が前記回転軸の外周面から突き出すように操作されるか否かにより、前記被洗浄容器の把持動作を行うか否かを切り替えるものでもよい。
また、本発明の一態様の前記回転機構は、
前記把持具の基端部に接続され、前記回転軸に沿って上下に移動可能な把持具接続部と、
前記把持具接続部を前記回転軸の軸方向に上下させる付勢力を発生する第1の付勢部材と、を有し、
前記把持具接続部は、前記操作部材が前記回転軸の外周面から突き出さないように操作された場合は、前記操作部材の移動を規制する高さまで前記第1の付勢部材の付勢力により上方に移動し、前記操作部材が前記回転軸の外周面から突き出ている場合は、前記操作部材により上方への移動が規制され、
前記把持具は、前記把持具接続部が前記操作部材の移動を規制する高さまで移動した場合は、前記被洗浄容器の把持動作を行い、前記操作部材が前記回転軸の外周面から突き出ている場合は、前記被洗浄容器の把持動作を解除するものでもよい。
また、本発明の一態様の前記回転機構は、
前記把持具の中間部に接続される補助具と、
前記補助具の基端部に接続され、前記回転軸に固定される補助具接続部と、
前記操作部材が前記回転軸の外周面から突き出す方向に前記操作部材を付勢する第2の付勢部材と、を有し、
前記操作部材は、前記把持具接続部が前記操作部材の移動を規制する高さよりも低い位置に移動した場合は、前記第2の付勢部材の付勢力により前記回転軸の外周面から突き出すように移動し、
前記回転軸の回転力は、前記補助具接続部から前記補助具、前記把持具および前記把持具接続部に順に伝達され、前記補助具接続部、前記補助具、前記把持具および前記把持具接続部は前記回転軸と一体に回転するものでもよい。
また、本発明の一態様の前記受け容器は、前記噴射装置から噴射されて前記被洗浄容器内を洗浄した前記液剤を排出する排出口を有するものでもよい。
また、本発明の一態様の前記噴射装置は、前記被洗浄容器の底面および内側側面の少なくとも一方に向かって前記高圧の液剤を噴射する複数のノズルを有するものでもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、わずか一回の洗浄工程で、必要十分な洗浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る容器内洗浄装置の洗浄工程図。
【図2】容器内洗浄装置1の外観図。
【図3】被洗浄容器2を把持する前の状態を示す平面図。
【図4】被洗浄容器2を把持して回転した状態を示す平面図。
【図5】回転機構の動作を示す平面図。
【図6】操作部材周辺の斜視図。
【図7】従来の塗料用金属容器の洗浄工程図。
【図8】図7の粗洗浄工程S11を説明する図。
【図9】図7の洗浄液排出工程S12を説明する図。
【図10】図7の仕上げ洗浄工程S13を説明する図。
【図11】図7の仕上げ洗浄工程S13を説明する図。
【図12】図7の乾燥工程S14を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係る容器内洗浄装置の洗浄工程図である。図示のように、図1の容器内洗浄装置は、一回のみの洗浄工程S1と乾燥工程S2との二工程のみを行うものであり、図7〜図12に示した従来の洗浄装置よりも工程数を大幅に削減できることを特徴とする。なお、後述するように、本実施形態では、洗浄工程S1に並行して洗浄液の排出も行うため、図7と異なり、洗浄工程S1とは別個に洗浄液排出工程を設ける必要はない。
【0014】
図2〜図6は本発明の一実施形態に係る容器内洗浄装置の構造を示す図であり、これらの図に基づいて、本実施形態を説明する。これらの図では、構造をわかりやすくするために、被洗浄容器2と受け容器3を透明色で図示している。
【0015】
図2は容器内洗浄装置1の外観図、図3は被洗浄容器2を把持する前の状態を示す平面図、図4は被洗浄容器2を把持して回転した状態を示す平面図、図5は後述する回転機構7の動作を示す平面図、図6は後述する操作部材17周辺の斜視図である。
【0016】
これらの図に示すように、容器内洗浄装置1は、開口部を下にした状態で被洗浄容器2を収納可能な受け容器3と、受け容器3から被洗浄容器2の開口部を通って上方に伸びる洗浄管4と、この洗浄管4に取付けられて被洗浄容器2の内壁に向かって高圧の液剤を噴射する噴射部5と、受け容器3の底面または側面に取付けられる廃液ダクト6と、被洗浄容器2を受け容器3内で回転させる回転機構7とを備えている。
【0017】
受け容器3の内部には、底面よりも高い位置に環状部材8が取付けられている。環状部材8の外周部は受け容器3の内壁に接合されており、環状部材8の表面には、受け容器3の内周面よりも径の小さい円形の溝8aが形成されている。溝8aには、被洗浄容器2の開口部の端部が嵌合可能とされている。被洗浄容器2は、その開口部の端部を溝8aに嵌合させた状態で回転される。このため、被洗浄容器2と溝8aの材料によっては、摩擦により、被洗浄容器2の開口部が損傷するおそれがある。そこで、溝8aの表面をゴム等の弾性材料で覆ってもよい。
【0018】
上述したように、溝8aに被洗浄容器2の開口部の端部を嵌合させることから、溝8aの径と同じ開口部を持つ被洗浄容器2しか洗浄できないことになる。そこで、環状部材8に、予め径の異なる複数の溝8aを形成してもよい。あるいは、径の異なる溝8aがそれぞれ形成された複数の環状部材8を用意しておき、被洗浄容器3の開口部の径に合わせて、対応する環状部材8を受け容器3に取付けてもよい。
【0019】
環状部材8は、受け容器3の底面よりも上方に取付けられているため、被洗浄容器2内の洗浄に使用した液剤は、受け容器3内の環状部材8よりも下方に流れ、廃液ダクト6を通って外部に排出される。このため、環状部材8は、廃液ダクト6よりも上方に設ける必要がある。
【0020】
洗浄管4は、例えば、受け容器3の底面から環状部材8と被洗浄容器2の開口部を通って上方に伸び、その先端部は、逆さまに配置された被洗浄容器2の底面(最上部)近くに位置する。洗浄管4の複数箇所に噴射部5が取付けられ、各噴射部5は、多数のノズル5aを備えており、各ノズル5aから高圧の液剤(例えば水)が被洗浄容器2の内壁に向かって噴射される。このように、洗浄管4を通って下方から上方に高圧の液剤を送り込むために、洗浄管4の基端部には不図示の高圧ポンプが設けられる。
【0021】
後述するように、本実施形態では、被洗浄容器2を回転させながら噴射部5から高圧の液剤を噴射するため、噴射部5は、被洗浄容器2の内壁面に対して必ずしも均等に配置されている必要はない。ただし、被洗浄容器2を回転させても、被洗浄容器2の底面の位置は変化しないため、被洗浄容器2の底面に高圧の液剤が噴射されるように、噴射部5の上方にも噴射部5を配置するのが望ましい。
【0022】
回転機構7は、被洗浄容器2を把持する把持具11と、把持具11の基端部に接続される把持具接続部12と、把持具11の中間部を支持する補助具13と、補助具13の基端部に接続される補助具接続部14と、把持具11、把持具接続部12、補助具13および補助具接続部14を回転させる回転軸15と、回転軸15を回転駆動する回転駆動部16と、把持具11の把持動作を制御する操作部材17とを有する。
【0023】
把持具11は、操作部材17の操作により、被洗浄容器2を把持可能とされている。把持具接続部12は、回転軸15に嵌挿されており、操作部材17の操作に応じて、回転軸15に沿って上下する。補助具接続部14は回転軸15に固着されており、回転軸15と共に回転する。補助具接続部14には補助具13が接続されているため、補助具接続部14が回転すると、補助具13も回転する。また、補助具13は把持具11にも接続されているため、補助具13が回転すると、把持具11も回転する。さらに、把持具11は把持具接続部12に接続されているため、結局、回転軸15が回転すると、それに合わせて、把持具11、把持具接続部12、補助具13および補助具接続部14が一体に回転することになる。
【0024】
把持具11の先端部は、被洗浄容器2を把持したときに被洗浄容器2を損傷しないように、例えば弾性材料で覆われている。
【0025】
把持具接続部12の底面から下側には、回転軸15の軸方向に沿って第1の付勢部材18が設けられている。この第1の付勢部材18の付勢力により、把持具接続部12は、回転軸15に沿って上下に移動する。より具体的には、把持具接続部12は、第1の付勢部材18が付勢されている状態の長さから、付勢が解除された状態の長さまで上方に移動する。結果として、付勢が解除された場合は、把持具接続部12は、操作部材17と対向配置される位置まで上昇して停止する。これにより、操作部材17は、把持具接続部12に当接されて回転軸15の外周面から突き出さなくなる。すなわち、操作部材17が回転軸15の外周面から突き出す動きが把持具接続部12により規制される。
【0026】
操作部材17は、回転軸15の径方向2箇所に取付けられており、これら操作部材17の間には第2の付勢部材19が設けられている。作業者が両方の操作部材17を手で押しつけると、第2の付勢部材19が収縮して、操作部材17は回転軸15の外周面よりも内側に移動する。
【0027】
上述したように、把持具接続部12は、第1の付勢部材18の付勢力によって、回転軸15に沿って上下に移動するが、操作部材17が回転軸15の外周面から突き出している場合は、操作部材17により上方への移動が規制される。これを示したのが図5(a)と図5(b)である。この場合、第1の付勢部材18は付勢された状態になり、第2の付勢部材19は付勢が解除された状態になる。
【0028】
図5(a)の状態から、作業者が操作部材17を押し付けて、操作部材17が回転軸15の外周面から突き出さなくなると、把持具接続部12の上方への移動規制が解除され、把持具接続部12は第1の付勢部材18の付勢力により、上方に移動する。これにより、把持具11は把持方向に移動する。これを示したのが図5(c)と図5(d)である。
【0029】
以下、本実施形態による容器内洗浄装置1の洗浄および乾燥工程S2をより詳細に説明する。
【0030】
(洗浄工程S1)
まず、被洗浄容器2を逆さまにした状態で回転機構7の下方に位置決めする。このとき、回転機構7の操作部材17は、回転軸15の外周面から突き出した状態(図5(a)と図5(b))にあり、把持具接続部12は操作部材17により上方への移動が規制され、把持具11は開いたままであり、把持動作は行われない。
【0031】
次に、作業者は、操作部材17が回転軸15の外周面から突き出なくなるまで、操作部材17を指で押し付ける。これにより、把持具接続部12の上方への移動規制が解除され、把持具接続部12は第1の付勢部材18の付勢力により上方に移動し、操作部材17と対向配置される位置で停止する(図5(c)と図5(d))。把持具接続部12が上方に移動すると、補助具13は把持具11を内側方向に押し付ける。これにより、把持具11は被洗浄容器2の開口部とは反対側の外側面を把持する。
【0032】
把持具11が被洗浄容器2を把持した状態で、回転駆動部16により回転軸15を回転させると、回転軸15に固定された補助具接続部14が回転軸15と共に回転し、それに合わせて、補助具接続部14に接続された補助具13と、補助具13に接続された把持具11と、把持具11に接続された把持具接続部12が共に回転し、結果として、被洗浄容器2が回転軸15回りに回転することになる。
【0033】
被洗浄容器2の回転に合わせて、洗浄管4から高圧の液剤を送り込んで、この液剤を噴射部5から被洗浄容器2の内壁に向かって噴射する。これにより、液剤が単なる水であっても、被洗浄容器2の回転と噴射する水の圧力により、被洗浄容器2の内壁にへばりついた付着物も、きれいに除去することができる。
【0034】
噴射部5から噴射した高圧の液剤は、環状部材8の中央部を通って廃液ダクト6に自動的に流れるため、上述した洗浄工程S1に並行して洗浄液排出が行われる。
【0035】
以上により、洗浄工程S1は終了するが、洗浄時間をどの程度継続するかは、過去の経験により決めればよい。あるいは、最初は短時間の洗浄を行い、容器内の洗浄状態を作業者が目視で確認して、継続して洗浄を行うべきか否かを判断してもよい。
【0036】
(乾燥工程S2)
洗浄が終わると、把持具接続部12を作業者が下方に押すことにより、操作部材17が回転軸15の外周面から突き出し、これにより、把持具接続部12は操作部材17により上方への移動が規制され、把持具11は把持動作を解除する。この状態で、作業者は被洗浄容器2を取り出して、その内部の洗浄状態を目視で確認した後、図12と同様に、パレット31と支持板35を被洗浄容器2の底面側に取付けて、さらに、支持板35の中心部に回転軸46を取付ける。そして、被洗浄容器2の内部にエアノズル49を設置して、エアノズル49からのエアにより被洗浄容器2の内壁を乾燥する。
【0037】
このように、本実施形態では、洗浄工程S1を複数の工程に分けることなく、一つの工程で済ませるようにしたため、洗浄工程S1を単純化でき、作業性を向上できる。また、洗浄工程S1では、洗浄に並行して洗浄液の排出を行うため、洗浄液の排出工程を別個に設ける必要がない。さらに、洗浄工程S1に用いる容器内洗浄装置1も1種類だけで済むため、コスト削減を図ることができ、保守性も向上する。
【0038】
また、本実施形態では、被洗浄容器2を回転させながら、噴射部5により高圧の液剤を被洗浄容器2の内壁に噴射させて洗浄を行うため、洗浄作用にすぐれた特別な洗浄液を液剤として用いる必要はなく、単なる水でも必要十分な洗浄力が得られる。このため、洗浄コストを削減できる。
【0039】
上述した本実施形態の効果は、容器内洗浄装置1の特有の構成により得られる。すなわち、受け容器3内の溝8aに被洗浄容器2の開口部の端部を嵌合させて被洗浄容器2を回転させた状態で、被洗浄容器2の内壁に高圧の液剤を噴射し、洗浄後の廃液は受け容器3から廃液ダクト6に流すようにすることで、被洗浄容器2の内壁に塗料等がへばりついている場合でも、一回の洗浄できれいに除去することができる。
【0040】
上述した実施形態では、塗料用容器の洗浄を念頭に置いて説明したが、被洗浄容器2は塗料用に限定されない。本発明は、種々の材料を収納する容器内の洗浄に幅広く適用可能である。容器内の収納物の種類に応じて、洗浄用の液剤の種類や、液剤の噴出時の圧力、上述した洗浄工程S1における洗浄時間の長さ、被洗浄容器2の洗浄時の回転速度、噴出装置内のノズル5aの数や配置、などを種々調整して、最適な状態で洗浄を行うことが望ましい。
【0041】
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 容器内洗浄装置
2 被洗浄容器
3 受け容器
4 洗浄管
5 噴射部
6 廃液ダクト
7 回転機構
8 環状部材
8a 溝
11 把持具
12 把持具接続部
13 補助具
14 補助具接続部
15 回転軸
16 回転駆動部
17 操作部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に開口部を有する被洗浄容器の内部を洗浄する容器内洗浄装置において、
前記被洗浄容器の開口部を下にして前記被洗浄容器を収納可能な受け容器と、
前記受け容器から前記被洗浄容器の開口部を通って上方に配置される洗浄管と、
前記洗浄管に取付けられ、前記被洗浄容器の内壁に向かって高圧の液剤を噴射する噴射装置と、
前記被洗浄容器を把持して、前記開口部の端部を前記受け容器内で支持しつつ前記被洗浄容器を前記受け容器内で回転させる回転機構と、を備えることを特徴とする容器内洗浄装置。
【請求項2】
前記受け容器の底面から所定高さに設けられ、前記被洗浄容器の開口部の端部を嵌合可能な溝が形成された環状部材を備え、
前記環状部材の外縁部は前記受け容器の内壁に接合され、
前記回転機構は、前記溝に前記被洗浄容器の開口部の端部を嵌合させた状態で前記被洗浄容器を回転させることを特徴とする請求項1に記載の容器内洗浄装置。
【請求項3】
前記溝の、前記被洗浄容器の開口部の端部との接触面は、弾性材料で形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の容器内洗浄装置。
【請求項4】
前記回転機構は、
前記被洗浄容器の開口部と反対側の外側面を把持可能な把持具と、
前記把持具を回転させる回転軸と、
前記回転軸を回転駆動する回転駆動部と、
前記把持具に把持動作を行わせるか否かを切替可能で、前記回転軸の側面に取付けられる操作部材と、を有し、
前記把持具は、前記操作部材が前記回転軸の外周面から突き出すように操作されるか否かにより、前記被洗浄容器の把持動作を行うか否かを切り替えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の容器内洗浄装置。
【請求項5】
前記回転機構は、
前記把持具の基端部に接続され、前記回転軸に沿って上下に移動可能な把持具接続部と、
前記把持具接続部を前記回転軸の軸方向に上下させる付勢力を発生する第1の付勢部材と、を有し、
前記把持具接続部は、前記操作部材が前記回転軸の外周面から突き出さないように操作された場合は、前記操作部材の移動を規制する高さまで前記第1の付勢部材の付勢力により上方に移動し、前記操作部材が前記回転軸の外周面から突き出ている場合は、前記操作部材により上方への移動が規制され、
前記把持具は、前記把持具接続部が前記操作部材の移動を規制する高さまで移動した場合は、前記被洗浄容器の把持動作を行い、前記操作部材が前記回転軸の外周面から突き出ている場合は、前記被洗浄容器の把持動作を解除することを特徴とする請求項4に記載の容器内洗浄装置。
【請求項6】
前記回転機構は、
前記把持具の中間部に接続される補助具と、
前記補助具の基端部に接続され、前記回転軸に固定される補助具接続部と、
前記操作部材が前記回転軸の外周面から突き出す方向に前記操作部材を付勢する第2の付勢部材と、を有し、
前記操作部材は、前記把持具接続部が前記操作部材の移動を規制する高さよりも低い位置に移動した場合は、前記第2の付勢部材の付勢力により前記回転軸の外周面から突き出すように移動し、
前記回転軸の回転力は、前記補助具接続部から前記補助具、前記把持具および前記把持具接続部に順に伝達され、前記補助具接続部、前記補助具、前記把持具および前記把持具接続部は前記回転軸と一体に回転することを特徴とする請求項5に記載の容器内洗浄装置。
【請求項7】
前記受け容器は、前記噴射装置から噴射されて前記被洗浄容器内を洗浄した前記液剤を排出する排出口を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の容器内洗浄装置。
【請求項8】
前記噴射装置は、前記被洗浄容器の底面および内側側面の少なくとも一方に向かって前記高圧の液剤を噴射する複数のノズルを有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の容器内洗浄装置。
【請求項1】
一端に開口部を有する被洗浄容器の内部を洗浄する容器内洗浄装置において、
前記被洗浄容器の開口部を下にして前記被洗浄容器を収納可能な受け容器と、
前記受け容器から前記被洗浄容器の開口部を通って上方に配置される洗浄管と、
前記洗浄管に取付けられ、前記被洗浄容器の内壁に向かって高圧の液剤を噴射する噴射装置と、
前記被洗浄容器を把持して、前記開口部の端部を前記受け容器内で支持しつつ前記被洗浄容器を前記受け容器内で回転させる回転機構と、を備えることを特徴とする容器内洗浄装置。
【請求項2】
前記受け容器の底面から所定高さに設けられ、前記被洗浄容器の開口部の端部を嵌合可能な溝が形成された環状部材を備え、
前記環状部材の外縁部は前記受け容器の内壁に接合され、
前記回転機構は、前記溝に前記被洗浄容器の開口部の端部を嵌合させた状態で前記被洗浄容器を回転させることを特徴とする請求項1に記載の容器内洗浄装置。
【請求項3】
前記溝の、前記被洗浄容器の開口部の端部との接触面は、弾性材料で形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の容器内洗浄装置。
【請求項4】
前記回転機構は、
前記被洗浄容器の開口部と反対側の外側面を把持可能な把持具と、
前記把持具を回転させる回転軸と、
前記回転軸を回転駆動する回転駆動部と、
前記把持具に把持動作を行わせるか否かを切替可能で、前記回転軸の側面に取付けられる操作部材と、を有し、
前記把持具は、前記操作部材が前記回転軸の外周面から突き出すように操作されるか否かにより、前記被洗浄容器の把持動作を行うか否かを切り替えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の容器内洗浄装置。
【請求項5】
前記回転機構は、
前記把持具の基端部に接続され、前記回転軸に沿って上下に移動可能な把持具接続部と、
前記把持具接続部を前記回転軸の軸方向に上下させる付勢力を発生する第1の付勢部材と、を有し、
前記把持具接続部は、前記操作部材が前記回転軸の外周面から突き出さないように操作された場合は、前記操作部材の移動を規制する高さまで前記第1の付勢部材の付勢力により上方に移動し、前記操作部材が前記回転軸の外周面から突き出ている場合は、前記操作部材により上方への移動が規制され、
前記把持具は、前記把持具接続部が前記操作部材の移動を規制する高さまで移動した場合は、前記被洗浄容器の把持動作を行い、前記操作部材が前記回転軸の外周面から突き出ている場合は、前記被洗浄容器の把持動作を解除することを特徴とする請求項4に記載の容器内洗浄装置。
【請求項6】
前記回転機構は、
前記把持具の中間部に接続される補助具と、
前記補助具の基端部に接続され、前記回転軸に固定される補助具接続部と、
前記操作部材が前記回転軸の外周面から突き出す方向に前記操作部材を付勢する第2の付勢部材と、を有し、
前記操作部材は、前記把持具接続部が前記操作部材の移動を規制する高さよりも低い位置に移動した場合は、前記第2の付勢部材の付勢力により前記回転軸の外周面から突き出すように移動し、
前記回転軸の回転力は、前記補助具接続部から前記補助具、前記把持具および前記把持具接続部に順に伝達され、前記補助具接続部、前記補助具、前記把持具および前記把持具接続部は前記回転軸と一体に回転することを特徴とする請求項5に記載の容器内洗浄装置。
【請求項7】
前記受け容器は、前記噴射装置から噴射されて前記被洗浄容器内を洗浄した前記液剤を排出する排出口を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の容器内洗浄装置。
【請求項8】
前記噴射装置は、前記被洗浄容器の底面および内側側面の少なくとも一方に向かって前記高圧の液剤を噴射する複数のノズルを有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の容器内洗浄装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−135706(P2012−135706A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288210(P2010−288210)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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