説明

容器受渡し装置

【課題】旋回経路の受取り部と送出し部で、ネック部を把持するグリップアームの高さを変更でき、ネック部の高さ異なる容器の型替えをスムーズに行う。
【解決手段】旋回テーブル24の外周部に、ボトルB1のネック部N1を保持可能な一対のグリップアーム28を有するネック把持装置25が一定間隔ごとに配設され、搬入コンベヤと充填装置の間で容器を受渡しする旋回式の搬入ホイール装置11であって、グリップアーム28を昇降可能なスライド筒34を設け、旋回経路の所定位置に、スライド筒34に設けられた昇降カムローラ35が当接される上限規制カム42と下限規制カム41とを設け、ネック把持装置25に、スライド筒34を昇降させて昇降カムローラ35を上限規制カム42または下限規制カム41に当接させる昇降用シリンダ54を設け、下限規制カム41を昇降して高さ調整可能な把持位置調整装置46を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送機器間や処理機器間、搬送機器と処理機器の間で、ネック部を介して容器を保持し受渡しする旋回式の容器受渡し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の「クランプ式物品搬送装置」は、回転体の外周部に、開閉可能に連動されて容器の首部を把持する一対のクランプアームを一定間隔ごとに設け、クランプアームの基端側にクランプアームを開閉するカムフォロワを設け、このカムフォロワを作動してクランプアームを開閉するとともに、クランプアームを昇降自在に支持するカム部材を昇降自在に配置し、前記カム部材をねじ軸を介して昇降させる昇降機構を設けた把持装置が開示されている。この搬送装置では、昇降機構によりねじ軸を回転させてカム部材を昇降させることにより、カムフォロワを介してすべてのクランプアームを昇降させて、クランプアームの高さを容器のネック部に対応させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−129921号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来発明では、容器の受入れ位置と送出し位置のクランプアームの高さは同一であり、全体としてねじ軸により、クランプアームの高さを変更して容器の首部に対応させるものである。この構成では、型替えにより、両方の機器にそれぞれ保持される容器の首部の高さが一定距離変化する場合に有効である。しかしながら、たとえば一方が首部を保持するネック部基準の機器であり、他方が容器の底部を保持する底面基準の機器であり、型替えにより容器の高さ(首部の高さ)が変化する場合に、受取り部と送出し部とで容器の高さを変更する必要があり、上記従来構成では対応することができない。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決して、容器の受取り部と送出し部とで容器を把持するグリップアームの高さを変化させて受け渡すことができ、誤差の発生が少なく確実に容器を受渡しでき、またネック部の高さの異なる容器の型替えも容易に行える容器受渡し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、旋回テーブルの外周部に、ネック部を介して容器を保持可能な一対の開閉自在なグリップアームを有するネック把持装置が一定間隔ごとに配設されて、搬送機器間または処理機器間、あるいは搬送機器と処理機器の間で容器を受渡しする旋回式の容器受渡し装置であって、前記グリップアームを昇降自在に支持するスライド軸に、昇降カムローラを設け、旋回テーブルの旋回経路上の所定位置に、前記昇降カムローラの上面が当接されて高さを規制する上限規制カムと、前記昇降カムローラの下面が当接されて高さを規制する下限規制カムとをそれぞれ設け、前記各ネック把持装置に、前記スライド軸を介してグリップアームを昇降させて前記昇降カムローラを前記上限規制カムまたは前記下限規制カムに当接させる昇降用シリンダを設け、前記上限規制カムおよび前記下限規制カムの少なくとも一方の高さを調整可能な把持位置調整装置を設けたものである。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成において、ネック把持装置に、グリップアーム間に配置されてグリップアームを開閉可能な開閉カムと、当該開閉カムを回動させる開閉カムローラとを設け、底面を支持して容器を送り出す搬送機器または処理機器に接続された旋回経路上の容器受取り部に、前記開閉カムローラを案内して前記グリップアームを開閉する受取り開閉カム部材を設け、ネック部を支持して容器を受け入れる搬送機器または処理機器に接続された旋回経路上の容器送出し部に、前記開閉カムローラを案内して前記グリップアームを開閉する送出し開閉カム部材を設け、下限規制カムと前記受取り開閉カム部材を一体に設けて、把持位置調整装置により高さを調整可能に構成したものである。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の構成において、スライド軸を、開閉カム軸が回転自在に内嵌されるスライド筒により構成したものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の構成によれば、各ネック把持装置では、昇降用シリンダによりスライド軸を介してグリップアームをそれぞれ昇降させて、スライド軸に設けられた昇降カムローラを上限規制カムまたは下限規制カムに当接させることにより、容器の受取り部と送出し部でグリップアームの高さを変位させて容器の受渡しを行うことができる。またグリップアームの高さを、カムとカムローラによる機械的に制御するので、信頼性が高く、かつグリップアームの高さを高精度で安定して制御することができ、確実に容器を把持して受渡しすることができる。さらに把持位置調整装置により、上限規制カムまたは下限規制カムの少なくとも一方を昇降させて高さを調整することにより、ネック部の高さの異なる容器に対応して、グリップアームの高さを容易かつ高精度で調整することができ、容器の型替えをスムーズにかつ短時間で行うことができる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、容器受取り部で、受け取る容器の高さを調整可能として、底面基準で容器を支持するたとえば搬送機器から容器を受け取り、送り出す容器の高さを一定として、ネック部基準で容器を支持するたとえば処理機器に容器を送り出すように構成したので、ネック部の高さの異なる容器の型替えに確実に対応することができる。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、スライド筒内に開閉カム軸を内挿することにより、装置のコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る容器受渡し装置の実施例を示す縦断面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】容器受渡し装置を具備した充填設備を示す概略平面図である。
【図4】容器受渡し装置の説明図で、(a)はカム部材の配置を示す平面図、(b)はタイミングチャートを示す。
【図5】ネック把持装置を示す平面図である。
【図6】開閉カムとセンタリング機構の動作を説明する平面図で、(a)は小径のネック部の把持状態を示し、(b)はグリップアームの開放状態を示し、(c)は大径のネック部の把持状態を示す。
【図7】ネック把持装置の一部を切り欠いた縦断面図である。
【図8】図5に示すA−A断面図である。
【図9】開放状態のネック把持装置を示す平面図である。
【図10】小径のネック部の把持状態を示すネック把持装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0013】
以下、本発明に係る容器受渡し装置の実施例を図面に基づいて説明する。
(概要)
たとえば図3に示す充填設備において、搬入コンベヤ(搬送機器)10により順次搬入されたボトルは、本発明に係る搬入ホイール装置(旋回式の容器受渡し装置)11から充填装置(処理機器)12に搬入され、ボトル内に内容液が充填される。充填されたボトルは、充填装置12から中間搬送装置13を介してキャッパー(処理機器)14に送られてボトルにキャップが装着される。さらにキャッピングされたボトルは、キャッパー14から本発明に係る搬出ホイール装置(旋回式の容器受渡し装置)15を介して排出コンベヤ(搬送機器)16に排出される。
【0014】
この充填設備は、ネック部の外径と高さが異なる複数種のボトルに充填可能なものである。充填装置12およびキャッパー14において、ボトルはネック部を介してネック部基準の基準レベルSL(図1)で受渡しおよび保持されて充填またはキャッピングされる。また搬入コンベヤ10および搬出コンベヤ16において、ボトルは底部を介して底面基準の搬送レベルCL(図1)で搬送される。
【0015】
ところで、従来では、ネック部の高さが変更されるボトルの型替え(を含む)に際して、搬入コンベヤ10側の出口部および搬出コンベヤ16の入口部の搬出レベルCLを変更してネック部の位置を一定とすることが多い。この場合、搬送レベルCLを変更するために、コンベヤの搬送面に傾斜部を形成するので、ボトルが倒れる危険が大きく、またコンベヤの出口部や入口部で傾斜部を確保するために、搬送距離が長く必要で、装置の大型化を招くという問題があった。このため、発明者等は、本実施例において、ネック部基準でボトルを保持する処理機器の基準レベルSLを上位で一定とするとともに、搬送機器の搬送レベルCLを下位で高さ調整可能とし、容器を昇降させることで安定して受渡し可能に構成した容器受渡し装置を提案する。
【0016】
(容器受渡し装置)
容器受渡し装置である搬入ホイール装置11と搬出ホイール装置15とは、同一構造であるため、搬入ホイール装置11のみを説明する。
【0017】
図1,図2に示すように、搬入ホイール装置11は、旋回テーブル24の外周部にを一定間隔ごとにネック把持装置25を昇降自在に配置したものである。すなわち、搬入ホイール装置11は、基板21を貫通して立設された軸受筒22内に、軸受を介して主軸23が旋回軸心O周りに回転自在に支持され、主軸23の上端部に旋回テーブル24が取り付けられている。主軸23の下端部には、受動部材(ギヤまたはタイミングプーリ)23aが装着されており、この受動部材23aがギヤやタイミングベルトなどの連動部材を介して主動用電動モータ(図示せず)の出力軸に連結され、主軸23および旋回テーブル24が所定方向に所定速度で回転駆動される。
【0018】
ネック把持装置25は、図2,図5、図7に示すように、受け台26に立設された1本の支軸27を介して開閉自在に設けられた左右一対のグリップアーム28と、左右のグリップアーム28に連結されて閉動側に付勢する閉動用コイルばね(アーム閉動付勢部材)29と、左右のグリップアーム28間に回動自在に配置されてグリップアーム28を開閉する開閉カム30と、上端部が開閉カム30に連結された開閉カム軸31と、開閉カム30を回動させるために開閉カム軸31の下端部に開閉レバー32を介して設けられた開閉カムローラ33とを具備している。
【0019】
また開閉カム軸31は、上端部に開閉カム30が取り付けられるとともに、旋回テーブル24にスライドシューを介して昇降のみ自在に貫通されたスライド筒34内に回転のみ自在に嵌合されている。さらにスライド筒34の下端部には、スライド筒34を昇降させるために、半径方向の受動アーム36を介して昇降カムローラ35が半径方向の軸心周りに回転自在に支持されている。
【0020】
旋回テーブル24の下方には、図2,図4(a)に示すように、容器受取り部Biに対応して昇降カムローラ35の下面が当接される下限規制カム41が高さ調整可能に設けられ、容器送出し部Boを含む旋回経路に沿って昇降カムローラ35の上面が当接される上限規制カム42が固定して設けられている。これら下限規制カム41と上限規制カム42は、上下方向に始終端部が所定距離だけ互いに重複するオーバーラップ部OLが設けられている。
【0021】
また容器受取り部Biに対応して、軸受筒22に開閉カムローラ30が係合離脱自在なカム溝43aが形成された受取り開閉カム(受取り開閉カム部材)43が設けられている。また容器送出し部Boに対応して、開閉カムローラ30が係合離脱自在なカム溝44aが形成された送出し開閉カム(送出し開閉カム部材)44が軸受筒22に固定されている。
【0022】
さらに各ネック把持装置25には、スライド筒34を介してグリップアーム28を昇降駆動する昇降用シリンダ54が旋回テーブル24に垂設されており、ピストンロッドが受動アーム36に連結されている。したがって、昇降用シリンダ54を進展することにより、スライド筒34を下降させて昇降カムローラ35の下面を下限規制カム41に当接させ、ネック把持装置25のグリップアーム28を精度良く搬送レベルCLに配置することができる。また昇降用シリンダ54を収縮することにより、スライド筒34を上昇させて昇降カムローラ35の上面を上限規制カム42に当接させ、ネック把持装置25のグリップアーム28を精度良く基準レベルSLに配置することができる。55は、旋回テーブル24の上部で主軸23に連結された昇降用カム板で、昇降用シリンダ54に駆動源(たとえば高圧エア)を給排出する昇降用バルブ56を操作レバーを介して操作する昇降用カムローラ57が当接されており、昇降用カム板55と昇降用カムローラ57とにより旋回経路の所定位置で昇降用シリンダ54に高圧エアを給排出することができる。
【0023】
前記下限規制カム41と受取り開閉カム43は昇降部材45に一体に設けられるとともに、この昇降部材45は把持位置調整装置46により高さ調整自在に支持されており、この把持位置調整装置46により下限規制カム41と受取り開閉カム43の高さを調整して、グリップアーム28の高さを容器受取り部BiにおけるボトルB1,B2のネック部N1,N2に対応させることができる。この把持位置調整装置46は、図1に示すように、上端部が昇降部材45に連結されて垂下されたねじ軸49と、基板21の貫通穴に軸受47を介して回転自在に支持されてねじ軸49が螺合された雌ねじ筒48と、この雌ねじ筒48に取り付けられた受動タイミングプーリ50と、調整用サーボモータ51の出力軸に取り付けられた駆動タイミングプーリ52と、受動タイミングプーリ50と駆動タイミングプーリ52とに巻回されたタイミングベルト53とを具備している。したがって、数値制御された調整用サーボモータ51により、雌ねじ筒48を介してねじ軸49を回転させて昇降部材45を昇降させ、下限規制カム41と受取り開閉カム43の高さを調整することができる。
【0024】
(ネック把持装置の詳細)
ネック把持装置25の詳細を、図5〜図17を参照して説明する。
左右のグリップアーム28は、平面視で互いに突設された基端部28aが1本の支軸27により受け台26上に回動自在に支持されており、先端側の対向面にボトルB1,B2のネック部N1,N2を把持可能な複数の凸部を有する把持部28bが設けられている。また左右のグリップアーム28の先端寄りに、上下一対の閉動付勢用ピン62がそれぞれ突設され、左右の閉動付勢用ピン62間に閉動用コイルばね29が連結されている。さらにグリップアーム28の中間部に、その上面側で支軸27を中心とする円弧の接線方向に伸びるガイド板64が、受け台26に立設された支柱部材63を介して設置されている。さらにまたグリップアーム28の基端寄りの対向面に、開閉カム30に圧接される受圧面65が形成されている。
【0025】
このネック把持装置25には、型替えによりネック部N1の外径が変化しても、ネック部N1の保持位置を、旋回テーブル24の支軸27を通る半径方向の軸線Ls上に保持するセンタリング機構61が設けられている。
【0026】
(センタリング機構)
図5〜図10に示すように、このセンタリング機構61は、位置決め部材として、グリップアーム28の上面の上方に突出された開閉カム30が兼用されている。この開閉カム30は、図6(a)〜(c)に示すように、円柱体の左右側面を半径方向の軸線Lsに平行に削除して形成された一対の削除平面30aと、残り一対の円弧面30bとで形成され、平面視が回転カム30の回転軸心を中心とした点対称(線対称でもある)の断面に形成されている。したがって、図9に示すように、開閉カム30を所定角度回動することにより、回転カム30の回転軸心に点対称の当接面である対角位置のコーナー部30cにより受圧面65を押圧してグリップアーム28を押し開き開動させることができる。
【0027】
また右のグリップアーム28の上面で開閉カム軸30の側方から基端側に少しずれた位置に支持ピン66Rが立設され、この支持ピン66Rに基端側に伸びて開閉カム30に当接可能な挟圧レバー67Rが回動自在に支持されている。さらに左のグリップアーム28の上面で開閉カム30の側方から先端側に少しずれた位置に支持ピン66Lが立設され、この支持ピン66Lに先端側に伸びて開閉カム30に当接可能な挟圧レバー67Lが回動自在に支持されている。そしてこれら挟圧レバー67R,67Lの先端部間に、挟圧レバー67R,67Lを閉動方向に付勢する位置決め用コイルばね(位置決め付勢部材)68が連結ピン69を介して連結されている。もちろん、位置決め用コイルばね68に替えて、支持ピン66R,66Lに介装され挟圧レバー67R,67Lを閉動付勢するつるまきばねなどの他の付勢部材であってもよい。なお、ここで開閉カム30の削除平面30a間の開閉カム30の幅は、把持部28bで小径のネック部N1を把持した時に受圧面65が削除平面30aの全面に密に接するように設定されている。
【0028】
したがって、図5、図6(a)に示すように、グリップアーム28により小径D1のネック部N1を把持する場合は、開閉カム30の削除平面30aと、グリップアーム28の受圧面65とが密に接することで、一対のグリップアーム28が軸線Lsの対称位置に保持されてボトルB1が軸線Ls上にセンタリングされる。また図6(b)、図9に示すように、開閉カム30が所定角度回動されてグリップアーム28が開放されると、支持ピン66R,66Lも互いに離間する方向に回動されるが、位置決め用コイルばね68により閉動付勢されている挟圧レバー67R,67Lは、それぞれの先端円弧部が開閉カム30の削除平面30aにそれぞれ当接されて挟圧する。さらに、図6(c)、図10に示すように、グリップアーム28により大径D2のネック部N2を把持する場合、開閉カム30が把持位置まで閉動されると、開閉カム30とグリップアーム28の受圧面65との間にそれぞれ隙間が生じるが、位置決め用コイルばね68により均等な力で閉動付勢された挟圧レバー67R,67Lが、開閉カム30のコーナー部30cをそれぞれ均等に挟圧することにより、左右のグリップアーム28が軸線Lsの対称位置に保持されてボトルB1を軸線Ls上にセンタリングすることができる。
【0029】
(搬送動作)
図4を参照してボトルの受渡し動作を説明する。
主動用電動モータにより主軸23を介して旋回テーブル24が所定速度で矢印方向に回転駆動され、ネック把持装置25が旋回経路に沿って移動される。戻り工程から受取り工程に接近すると、昇降用シリンダ54が進展され、昇降カムローラ35が上限規制カム42から離間して下降され下限規制カム41に当接されるとともに、スライド筒34を介してグリップアーム28が基準レベルSLから搬送レベルCLに下降される。さらに受取り工程になると、開閉カムローラ33が受取り開閉カム43のカム溝43aに係合され、カム溝43aの作用により開閉カム軸31を介して開閉カム30が回動されグリップアーム28が開動される。次いで容器受取り部Biで、搬入コンベヤ10から送り出されたボトルB1のネック部N1がグリップアーム28の把持部28b間に受け取られ、さらに受取り開閉カム43のカム溝43aの作用により開閉カムローラ33、開閉カム軸31、開閉カム30を介してグリップアーム28が閉動されてボトルB1のネック部N1が把持される。
【0030】
送り工程に入ると、昇降用シリンダ54が収縮されると、昇降カムローラ35が下限規制カム41から離間されて上昇され上限規制カム42に当接されるとともに、グリップアーム28が上昇されてボトルB1を持ち上げ、ネック部N1を基準レベルSLまで上昇させる。
【0031】
送り工程でボトルB1が旋回経路に沿って搬送され、送出し工程に入ると、開閉カムローラ33が送出し開閉カム44のカム溝44aに係合され、カム溝44aの作用により、開閉カムローラ33、開閉カム軸31および開閉カム30を介してグリップアーム28を開動させる。これにより、把持部28bに把持されたネック部N1が解放されて、容器送出し部BoでボトルB1が充填装置12の容器保持部に送り出され、ネックホルダー12aに保持される。そして送出し開閉カム44のカム溝44aの作用により、開閉カムローラ33、開閉カム軸31および開閉カム30を介してグリップアーム28が閉動される。さらに戻り工程に入り、ネック把持装置25が旋回経路に沿って移動されて容器受取り部Biに戻される。
【0032】
(実施例の効果)
上記搬入ホイール装置10によれば、昇降用シリンダ54によりスライド筒34を介してグリップアーム28を昇降させ、スライド筒34に設けられた上限規制カム42と下限規制カム41とに昇降カムローラ35を当接させてグリップアーム28の高さを制御するように構成したので、ボトルB1,B2のネック部N1,N2に対応するグリップアーム28の高さを高精度で制御することができ、誤差の発生を少なくして、ボトルB1,B2のネック部N1,N2の高さ位置の異なる搬入コンベヤ10と充填装置12との間でボトルB1,B2を確実に受渡しすることができる。またグリップアーム28の高さの制御を下限規制カム41および上限規制カム42と昇降カムローラ35とにより機械的に行うので信頼性が高い。
【0033】
さらに把持位置調整装置46により、上限規制カム42および下限規制カム41の少なくとも一方を昇降させてその高さを調整することにより、ネック部N1,N2の高さの異なる容器の型替えを容易かつ短時間で行うことができる。
【0034】
またネック把持装置25で、スライド筒34内に開閉カム軸31を内挿することにより、搬入ホイール装置11のコンパクト化を図ることができる。
ネック把持装置25において、1本の支軸27により一対のグリップアーム28が開閉自在に支持され、ネック部N2の外径D2が大きくて、開閉カム30とグリップアーム28の受圧面65との間に隙間が生じた状態でグリップアーム28の把持部28bでネック部N2を把持することがあっても、各グリップアーム28に設けられた挟圧レバー67R,67L,74,84が、開閉カム30、位置決めピン72、位置決めブロック82をそれぞれ挟圧することにより、両グリップアーム28が軸線Lsの対称位置に保持されてボトルB2が軸線Ls上にセンタリングされる。これにより、ネック部N1,N2の外径の異なるボトルB1,B2を安定して保持し、搬入コンベヤ10と充填装置12との間でボトルB1,B2をスムーズに受渡しすることができる。
【0035】
なお、上記実施例では、底面を保持して搬送するために型替えによりネック部N1,N2の高さが変動する底面基準の搬入コンベヤ10から、ネック部N1,N2を保持するために型替えではネック部N1,N2の高さが変化しないネック部基準の充填装置12にボトルBを搬送する搬入ホイール装置11を示したが、型替えによりネック部の高さがそれぞれ変動する底面基準の機器間でボトルを受渡しする容器の受渡し装置であってもよい。この場合には、下限規制カム41と上限規制カム42とをそれぞれ昇降自在に配設するとともに、下限規制カム41と上限規制カム42を昇降して高さを調整可能な位置調整装置を設置することにより、ネック部の高さの異なる型替えに容易に対応することができる。
【0036】
また上記ネック把持装置25において、同一軸心上に配置したスライド筒34と開閉カム軸31とを別々に配置することもできる。
【符号の説明】
【0037】
B1,B2 ボトル(容器)
N1,N2 ネック部
Bi 容器受取り部
Bo 容器送出し部
SL 基準レベル
CL 搬送レベル
Ls 軸線
10 搬入コンベヤ(搬送機器)
11 搬入ホイール装置(容器受渡し装置)
12 充填装置(処理機器)
15 排出ホイール装置(容器受渡し装置)
23 主軸
24 旋回テーブル
25 ネック把持装置
26 受け台
27 支軸
28 グリップアーム
29 閉動用コイルばね
30 開閉カム(位置決め部材)
31 開閉カム軸
32 開閉レバー
33 開閉カムローラ
34 スライド筒(スライド軸)
35 昇降カムローラ
41 下限規制カム
42 上限規制カム
43 受取り開閉カム
43a カム溝
44 送出し開閉カム
44a カム溝
45 昇降部材
46 把持位置調整装置
49 ねじ軸
51 調整用サーボモータ
61,71,81 センタリング機構
62 閉動付勢用ピン
63 支柱部材
64 ガイド板
65 受圧面
66R,66L 支持ピン
67R,67L 挟圧レバー(挟圧レバー)
68 位置決め用コイルばね(位置決め付勢部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回テーブルの外周部に、ネック部を介して容器を保持可能な一対の開閉自在なグリップアームを有するネック把持装置が一定間隔ごとに配設されて、搬送機器間または処理機器間、あるいは搬送機器と処理機器の間で容器を受渡しする旋回式の容器受渡し装置であって、
前記グリップアームを昇降自在に支持するスライド軸に、昇降カムローラを設け、
旋回テーブルの旋回経路上の所定位置に、前記昇降カムローラの上面が当接されて高さを規制する上限規制カムと、前記昇降カムローラの下面が当接されて高さを規制する下限規制カムとをそれぞれ設け、
前記各ネック把持装置に、前記スライド軸を介してグリップアームを昇降させて前記昇降カムローラを前記上限規制カムまたは前記下限規制カムに当接させる昇降用シリンダを設け、
前記上限規制カムおよび前記下限規制カムの少なくとも一方の高さを調整可能な把持位置調整装置を設けた
ことを特徴とする容器受渡し装置。
【請求項2】
ネック把持装置に、グリップアーム間に配置されてグリップアームを開閉可能な開閉カムと、当該開閉カムを回動させる開閉カムローラとを設け、
底面を支持して容器を送り出す搬送機器または処理機器に接続された旋回経路上の容器受取り部に、前記開閉カムローラを案内して前記グリップアームを開閉する受取り開閉カム部材を設け、
ネック部を支持して容器を受け入れる搬送機器または処理機器に接続された旋回経路上の容器送出し部に、前記開閉カムローラを案内して前記グリップアームを開閉する送出し開閉カム部材を設け、
下限規制カムと前記受取り開閉カム部材を一体に設けて、把持位置調整装置により高さを調整可能に構成した
ことを特徴とする請求項1記載の容器受渡し装置。
【請求項3】
スライド軸を、開閉カム軸が回転自在に内嵌されるスライド筒により構成した
ことを特徴とする請求項1または2記載の容器受渡し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−168048(P2010−168048A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9409(P2009−9409)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【Fターム(参考)】