説明

密封袋

【課題】 密封袋のチャックの溝に内容物が詰まるのを防いで密封力を維持し、内容物の取り出しを容易にする密封袋を提供する。
【解決手段】 密封袋1の内部のチャック3より内側に、外側に展開されることでチャック3の溝を覆い、溝の中に内容物が詰まるのを防ぐシート4を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密封袋の密封性に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の密封袋は、袋の口付近内側両面に密封を可能とするために合成樹脂製のチャックが対向して備え付けられており、両面を重ねて指でチャックを押さえてかみ合わせることによって、袋内への空気の出入りを遮断し、密封を可能としていた。そして、内容物が粉状の物の場合はスプーンですくうか、袋を傾けて内容物を取り出していた。
【0003】
例えば、上述した技術は特許文献1〜4に示されている。
【特許文献1】特許2699217号公報
【特許文献2】特開2003−175945号公報
【特許文献3】実開平06−059237号公報
【特許文献4】特開平06−286759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
密封袋のチャックは溝を有し、これらのかみ合わせで密封を可能としていた。しかし、密封袋を傾けて内容物を取り出そうとすると内容物は密封袋の内部を滑りながら移動する。この時、チャック溝部上を内容物が通過することになる。その際、内容物が粉状のものであった場合は、チャック溝部に内容物がつまってしまっていた。そして、内容物がつまったままチャックをかみ合わせてもチャック溝部に隙間が生じてしまい、密封袋の気密性の低下を招いていた。
【0005】
さらに、内容物がチャックの溝につまったままでのチャック部のかみ合わせを繰り返すと、溝に詰まる内容物の量が増加すると同時にチャックをかみ合わせる際の圧力により溝に詰まった内容物が圧縮されて硬くなってしまう。そして、硬くなった内容物はチャック溝部を埋めてしまうので、チャックのかみ合わせができなくなり、密封袋を閉じることもできなくなっていた。
【0006】
また、チャック部より外側についた内容物は袋の中に戻らず、拭き取らなければそのままになる。これは衛生的にも悪く内容物の損失も増えてしまう。
【0007】
本発明はこのような従来の問題を解決しようとするもので、内容物がチャックの溝部に詰まるのを防止し、同時に内容物の取り出しを容易にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は密封袋のチャックより内側にチャックの溝を覆うためのシートを密封袋の内部に取り付けることによって上記課題を解決したものである。また、シートには展開を容易にするつまみ部も設けたものがある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば密封袋を開封後に中のシートを取り出し、内容物をそのシートの上を通過させてとりだすことによりチャック部に内容物が付着しないので良い密封状態が保たれる。
【0010】
またシートが開口部より外側にでていれば、密封後にチャック部より開口部側に内容物が残らないので内容物の損失を抑えることができ、さらに衛生的にも安全性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る密封袋について詳細に説明する。本実施形態の密封袋1は、図1に示されるように、合成樹脂製の袋本体2、袋本体2の開口部付近に設けられた合成樹脂製のチャック3、袋本体2の内部であってチャック3よりさらに内側に設けられたシート4で構成されている。
【0012】
チャック3はかみ合わせるための溝を有し、チャックの一端から他端までを密封袋の外側から指で押さえることによって、袋本体2の内部を密封することができる。また、袋本体2は合成樹脂製の2枚のシートの三辺を貼り合わせて袋状とした形状をしている。シート4は袋本体2との接着のための接着面6、シート4を袋本体2から外側に展開しやすくするためのつまみ7、シート4の展開をスムーズにするためのヒンジ部8を持つ。
【0013】
シート4は、五角形状に形成され、その幅は、袋本体2の横幅よりも若干短く、縦は、シート4が外側に展開された際に、袋本体2の開口部よりも外側に出るように長さを有している。接着面6は、袋本体2の横幅よりも若干短い長さで、シート4の幅方向全体にわたって設けられている。また、接着面6は、チャック3の内側に隣接して袋本体2の内面に接着される部分であり、シート4を外側に展開したときに、シート4によりチャック3のほぼ全体を覆うことができる。
【0014】
つまみ7は厚さ1mm以下で1辺1cm程度の四角形状をしており、シート4の接着面と反対側の面の中央部分に、その一辺が接着されて固定されている。ヒンジ部8は共蓋PSP容器と呼ばれる納豆用の容器等にも使われている開封を容易にするものと同型であり、接着面6に隣接する形で設けられている。そこを軸としてシート4を180度折り曲げることによって、シート4を袋本体2の開口部より外側に展開、袋本体2内部に収納するのが容易となる。図1の状態はシート4を収納した状態である。
【0015】
シート4の材質は展開時に一定の形を保てる強度のあるものが好ましい。例えば、軟質プラスチック等である。
【0016】
次に、本実施形態に係る密封袋2の製造方法について説明する。まず、チャック3を有する袋本体2とシート4を個別に製作する。そして先に示したシート4の接着面6を袋本体2のチャック3より内側に熱溶着、接着剤等の方法で接着することで本発明の実施形態が完成する。
【0017】
続いて、本実施形態に係る密封袋2の使用方法について説明する。ここでは、既に袋本体2内に粉状内容物が入っているとする。密封袋1の使用者は、図2に示すように、まず袋本体2を開封後、シート4に付属のつまみ7を指でつまみ、ヒンジ部8を軸としてシート4を密封袋1の開口部より外側に展開する。そして、内容物を取り出したい受皿などの上にそのシート4の先端が来るように密封袋を移動させ、密封袋を傾け、または同時に振動させる。
【0018】
すると、内容物はシート4の中央が凹むことによって形成されるガイド5に沿って安定して取り出される。ガイド5は袋本体2の開口部を楕円形〜円形状に開口することで使用時に適した深さに形成される。そして、シート4がチャック1を覆う形で展開しているので、チャック1の溝部に内容物が付着しない。そのためチャック1の機能を害せず、密封袋の気密性が保たれる。また、シート4が、袋本体2の開口部よりも外側に出るような大きさを有しており、チャック3よりも外側の袋本体2内面に内容物が付着することも防止できる。
【0019】
以上、本実施形について詳細に説明したが、本発明の実施形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、本発明の変形例を以下に示す。
変形例1を図3に示す。変形例1は密封袋の片面に取り付けられていたシート4を両面に取り付けたものである。これによりどちらのシート4も使えるので、使用時に密封袋の向きを確認する必要がなくなる。
【0020】
変形例2を図4に示す。変形例2はシート4の形状を筒型にし、接着面6を密封袋の内部に周回状に取り付けたものである。シート4が筒型になったことにより、内容物はシート4の先端からでるまではシート4に包まれている状態になる。これによって、さらに安定して内容物を取り出すことができる。また、変形例1の効果も持っている。
【産業上の利用可能性】
【0021】
上述の発明はきなこ、ココア等の粉末食品等を保存する場合に特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態の密封袋の構成を示す図である。
【図2】実施形態の密封袋の使用時の展開図である。
【図3】本実施形態の変形例1を示す図である。
【図4】本実施形態の変形例2を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
1 密封袋
2 袋本体
3 チャック
4 シート
5 ガイド部
6 接着面
7 つまみ
8 ヒンジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を密封するためのチャックを備えた袋本体と、
前記袋本体内部のチャックより内側に接着固定され、内容物を取り出す際に外側に展開されることで前記チャックの溝を覆うシートと、を備えた密封袋。
【請求項2】
前記シートは、接着面の反対側の面に、シートの展開する際のつまみをさらに備えた請求項1記載の密封袋。
【請求項3】
前記シートは、展開時に袋本体の開口部より外側に出るような大きさを有している請求項1記載の密封袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−174286(P2008−174286A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10372(P2007−10372)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(306048719)
【Fターム(参考)】