説明

密封装置の製造方法

【課題】 ピストンシール及びキャンセルプレートの必要強度を確保しつつ、加工工数を削減することができる密封装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 密封装置は、油圧によりハウジング内を軸方向に移動することで多板クラッチを押圧作動させるピストンシールと、このピストンシールに対向配置された環状のキャンセルプレートとを備えている。この密封装置の製造方法は、環状の金属材料からなる前記ピストンシール及び前記キャンセルプレートの中間素材を鍛造することによって、それぞれ前記ピストンシール及び前記キャンセルプレートの粗成形品を得る鍛造工程と、前記粗成形品に対して、前記鍛造工程における加工精度よりも高い加工精度が必要な部分を切削加工により形成することで、前記ピストンシール及び前記キャンセルプレートを得る切削工程とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車等の自動変速機用のクラッチピストンとして用いられる密封装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の自動変速機は、変速比を決定するための複数の遊星ギヤセットごとに、多板クラッチを備えた動力断続機構を有しており、この動力断続機構それぞれには、当該多板クラッチを作動させるためのクラッチピストンの機能を備えた密封装置が組み込まれている。
前記密封装置は、前記動力接続部に設けられたハウジングとの間で油圧室を構成し、油圧により当該ハウジング内を軸方向に移動可能なピストンシールと、このピストンシールの内周側に配置された環状のキャンセルプレートと、前記ピストンシール及び前記キャンセルプレートとの間に当接介在し両者を軸方向に離間する方向に付勢するリターンスプリングとを備えている。前記ピストンシール及び前記キャンセルプレートは、熱間圧延鋼板や高張力鋼板等を用いて板金プレス加工を行うことにより形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−256056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ピストンシール及びキャンセルプレートは、前記油圧室内の油圧によってハウジング内を軸方向に移動するピストンを構成しているので、その形状が複雑であるとともに、比較的高い精度が要求される。加えて、上記ピストンシール及びキャンセルプレートは、前記リターンスプリングによって離間する方向に付勢された状態で、油圧が作用するため、適度な強度も要求される。
これに対して、上記従来例のように、ピストンシール及びキャンセルプレートを板金プレス加工で形成しようとすると、形状が複雑なため、最終的な形状に形成するために多数のプレス加工工程が必要となる。このため、ピストンシール及びキャンセルプレートを形成するために多大な工数を必要としていた。
さらに、ピストンシール及びキャンセルプレートを板金プレス加工で形成する場合、強度を要する部分の肉厚を安定して形成するが困難であったり、多数のプレス加工を行う過程で繰り返して作用する応力や塑性変形によって素材である熱延鋼板等の疲労強度が低下したりするという問題も有しており、ピストンシール及びキャンセルプレートとして求められる強度を満足させることが困難となる場合もあった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ピストンシール及びキャンセルプレートの必要強度を確保しつつ、加工工数を削減することができる密封装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明は、油圧によりハウジング内を軸方向に移動することでクラッチ機構を押圧作動させる環状のピストンシールと、このピストンシールに対向配置された環状のキャンセルプレートとを備えた自動変速機用の密封装置の製造方法であって、環状の金属材料からなる前記ピストンシールの中間素材、及び環状の金属材料からなる前記キャンセルプレートの中間素材を鍛造することによって、それぞれ前記ピストンシールの粗成形素材及び前記キャンセルプレートの粗成形素材を得る鍛造工程と、前記粗成形素材に、前記鍛造工程における加工精度よりも高い加工精度が必要な部分を切削加工により形成することで、前記ピストンシール及び前記キャンセルプレートを得る切削工程と、を備えていることを特徴としている。
【0006】
上記のように構成された自動変速機用の密封装置の製造方法によれば、環状の金属材料からなる中間素材を鍛造することによって粗成型素材を得るので、複雑な形状であるピストンシール及びキャンセルプレートを形成するために必要な加工工数を、上記従来例の板金プレス加工よりも少なくすることができる。
さらに、鍛造加工よりも高い加工精度が必要な部分については、鍛造工程後の切削加工により形成するので、所定の強度が安定的に要求される部分については、切削加工によってその強度を確保するために要する肉厚や形状に精度よく形成することができる。この結果、ピストンシール及びキャンセルプレート全体として、必要な強度を確保することができる。
【0007】
上記密封装置の製造方法において、前記密封装置が前記ピストンシール及び前記キャンセルプレートの間に当接介在し両者を軸方向に離間する方向に付勢するリターンスプリングをさらに備えており、前記切削工程において切削加工により形成される部分には、前記ピストンシールにおける前記クラッチ機構を押圧する押圧面、前記ピストンシール及び前記キャンセルプレートそれぞれにおける前記リターンスプリングが当接する当接部分が含まれているものであることが好ましい。
【0008】
この場合、クラッチ機構を押圧し、あるいはリターンスプリングによる付勢力が作用するために、他の部位よりも比較的強度が求められる、前記押圧面及び前記当接部分を、鍛造工程の後に切削加工によって形成するので、当該部分において必要強度を確保するために要する肉厚や形状に精度よく形成することができる。
【0009】
上記密封装置の製造方法において、前記ピストンシールには、当該ピストンシールと前記ハウジングとの間を密封する環状の第一シール部材が固着されており、前記キャンセルプレートには、当該キャンセルプレートと前記ピストンシールの内周壁との間を密封する環状の第二シール部材が固着されており、前記切削工程において切削加工により形成される部分には、前記ピストンシールにおける第一シール部材が固着される第一の固着部分、及び前記キャンセルプレートにおける第二シール部材が固着される第二の固着部分が含まれていることが好ましい。
【0010】
この場合、密封性を確保するために寸法精度が必要とされる第一及び第二シール部材が固着される固着部分についても、鍛造工程の後に切削加工によって形成するので、当該密封装置としての密封性を高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の密封装置の製造方法によれば、ピストンシール及びキャンセルプレートの必要強度を確保しつつ、加工工数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明により製造される密封装置が用いられている自動車用自動変速機の動力断続機構を示す断面図である。
【図2】密封装置のピストンシール及びキャンセルプレートの製造工程を示した図である。
【図3】鍛造工程で得られる粗成形品の断面図であり、(a)は、ピストンシールの粗成形品の断面図、(b)は、キャンセルプレートの粗成形品の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明により製造される密封装置が用いられている自動車用自動変速機の動力断続機構を示す断面図である。
図1中、動力伝達機構1は、遊星ギヤセット(図示せず)に対する動力の伝達を断続するための多板クラッチCと、この多板クラッチCを作動させるためのクラッチピストンの機能を備えた密封装置10と、これらを内部に収納しているハウジング20とを備えている。
ハウジング20は、例えば、熱間圧延鋼板等を用いて板金プレス成型等によって軸方向一方側に開口する断面凹型に形成された環状の部材であり、環状の密封装置10が挿入されたシリンダ部21と、このシリンダ部21における外周壁21aの軸方向一方側の端部から延びて多板クラッチCを収納している外側円筒部22とを備えている。シリンダ部21の内部には、上記密封装置10が配置されている。
【0014】
密封装置10は、シリンダ部21の内部に挿入され、シリンダ部21との間で第一油室R1を画定している環状のピストンシール11と、このピストンシール11に軸方向に対向配置された環状のキャンセルプレート12と、ピストンシール11及びキャンセルプレート12の間に当接介在しているリターンスプリング13とを備えている。
【0015】
ピストンシール11は、例えば、機械構造用鋼を用いて熱間型鍛造加工及び切削加工により形成された断面凹型の環状の部材であり、シリンダ部21の底壁21bに対向している環状部11aと、環状部11aの内周縁からシリンダ部21の内周壁21cに沿って軸方向一方側に延びる内円筒部11bと、環状部11aの外周縁からシリンダ部21の外周壁21aに沿って軸方向一方側に延びる外円筒部11cとを備えている。
【0016】
ピストンシール11には、当該ピストンシール11と、シリンダ部21との間を密封する環状の第一シール部材14が固着されている。第一シール部材14は、合成ゴム等の弾性部材を用いて環状部11aの第一油室R1側の側面に加硫接着されており、環状部11aの側面を覆うように形成されている基部14aと、環状部11aの外周側端部から外周側へ延びることで外周壁21aの内周面に摺接する外周側シールリップ14bと、内円筒部11bの先端部から内周側へ延びることで内周壁21cの外周面に摺接する内周側シールリップ14cを有している。
第一シール部材14は、ピストンシール11とシリンダ部21との間を密封することで、第一油室R1を密封している。
【0017】
シリンダ部21の内周壁21cには、第一油室R1に作動油を供給するための供給口21c1が設けられている。ピストンシール11は、この供給口21c1から第一油室R1に供給される作動油の油圧を制御することによって、シリンダ部21内を軸方向に往復移動させることができる。
【0018】
ピストンシール11の外円筒部11cの先端部には、多板クラッチCを押圧するための折曲部11dが形成されている。ピストンシール11は、前記作動油の油圧によってシリンダ部21内を軸方向に往復移動することで、折曲部11dの押圧面11d1で多板クラッチCを押圧、もしくはその押圧を解除し、当該多板クラッチCを作動させる。
【0019】
キャンセルプレート12は、ピストンシール11と同様、機械構造用鋼を用いて型鍛造加工及び切削加工により形成された環状の部材であり、ピストンシール11及びハウジング20との間で第二油室R2を画定している。キャンセルプレート12は、ピストンシール11の内周側に位置する大径環状部12aと、大径環状部12aよりも軸方向一端側に位置する小径環状部12bと、これらを軸方向に繋ぐ円筒部12cとを備えている。
【0020】
小径環状部12bは、その内周端がハウジング20の内側円筒部23に外嵌固定されており、さらに、内側円筒部23に固定されたストッパ15によって、軸方向一方側への移動が規制されている。
大径環状部12aの外周端部には、キャンセルプレート12と、ピストンシール11との間を密封する環状の第二シール部材16が固着されている。第二シール部材16は、合成ゴム等の弾性部材を用いて大径環状部12aの外周端部に加硫接着されており、外周側へ延びることでピストンシール11の外円筒部11cの内周面に摺接するシールリップ16aを有している。
第二シール部材16は、キャンセルプレート12とピストンシール11との間を密封することで、第二油室R2を密封している。
【0021】
リターンスプリング13は、ピストンシール11の環状部11aに形成された当接部11eと、キャンセルプレート12の小径環状部12bに形成された当接部12dとに当接することで、ピストンシール11及びキャンセルプレート12の間に介在しており、両者を軸方向に離間する方向に付勢している。リターンスプリング13は、ピストンシール11が軸方向一方側へ移動して多板クラッチCを押圧している状態から押圧を解除する際に、その付勢力によって、ピストンシール11を軸方向他方側へ速やかに移動させる。
【0022】
多板クラッチCは、多数のフリクションプレートC1を重ね合わせて構成されており、ピストンシール11によって押圧されることで、これらフリクションプレートC1が圧着され、前記遊星ギヤセットに対して動力を伝達する。一方、押圧が解除されると、動力伝達を切断する。すなわち、密封装置10は、ピストンシール11の軸方向への往復移動によって、多板クラッチCを作動させ当該多板クラッチCによる動力の伝達を断続することができ、動力伝達機構1におけるクラッチピストンとしての機能を有している。
【0023】
次に上記密封装置10の製造方法について説明する。
図2は、密封装置10のピストンシール11及びキャンセルプレート12の製造工程を示した図である。図2において、まず、機械構造用鋼を所定寸法の環状に形成した中間素材を熱間型鍛造することによって粗成形を行い、ピストンシール11(キャンセルプレート12)の粗成形品を得る(ステップS1、鍛造工程)。
【0024】
図3は、鍛造工程で得られる粗成形品の断面図であり、図3(a)は、ピストンシール11の粗成形品の断面図、図3(b)は、キャンセルプレート12の粗成形品の断面図である。
図において、ピストンシール11の粗成形品111は、上記型鍛造における加工精度よりも高い加工精度が必要な部分について、後の工程によって切削加工するための削りしろを確保するために、完成品であるピストンシール11としての所定寸法に対して厚肉に形成されており、その他の部分については、完成品としての寸法に形成されている。
具体的に、上記型鍛造における加工精度よりも高い加工精度が必要な部分としては、リターンスプリング13が当接する当接部11e、多板クラッチCを押圧する押圧面11d1、第一シール部材14が固着される固着部分の内、外周側シールリップ14bが形成される環状部11aの外周側端部と、内周側シールリップ14cが形成される内円筒部11bの先端部がある。
【0025】
当接部11eは、リターンスプリング13が当接するので、所定の平面度が要求されるとともに、所定の強度を安定して確保するために安定した肉厚寸法が要求される。このため、高い加工精度が要求される。押圧面11dも、多板クラッチCを押圧するので、所定の平面度及び安定した肉厚が要求され、高い加工精度が要求される。第一シール部材14の固着部分は、ハウジング20に摺接する両シールリップ14b、14cについて所定の寸法精度が要求されるため、高い加工精度が要求される。
【0026】
図3(a)に示す、ピストンシール11の粗成形品111は、リターンスプリング13が当接する当接部11eに相当する部分(図中、破線H3で示す部分)、多板クラッチCを押圧する押圧面11d1に相当する部分(図中、破線H4で示す部分)、さらに、第一シール部材14が固着される固着部分の内、外周側シールリップ14bが形成される環状部11aの外周側端部に相当する部分(図中、破線H1で示す部分)と、内周側シールリップ14cが形成される内円筒部11bの先端部に相当する部分(図中、破線H2で示す部分)部分について、削りしろが確保されている。
【0027】
また、図3(b)に示すキャンセルプレート12の粗形品112もピストンシール11の粗形品111と同様に、上記型鍛造における加工精度よりも高い加工精度が必要な部分について、後の工程によって切削加工するための削りしろが確保されている。
具体的に、上記型鍛造における加工精度よりも高い加工精度が必要な部分としては、リターンスプリング13が当接する当接部12d、第二シール部材16が固着される固着部分、及び、ハウジング20の内側円筒部23に外嵌される小径環状部12bの内周面がある。
【0028】
当接部12d、及び第二シール部材16が固着される固着部分は、上記ピストンシール11と同様の理由で高い加工精度が要求される。小径環状部12bの内周面は、ハウジング20の内側円筒部23に外嵌するために、高い加工精度が要求される。
【0029】
図3(b)に示す、キャンセルプレート12の粗成形品112は、リターンスプリング13が当接する当接部12dに相当する部分(図中、破線H5で示す部分)、第二シール部材16が固着される固着部分に相当する部分(図中、破線H6で示す部分)、及び、ハウジング20の内側円筒部23に外嵌される小径環状部12bの内周面に相当する部分(図中、破線H7で示す部分)について、削りしろが確保されている。
【0030】
図2に戻って、鍛造工程により粗成形品を得た後、この粗成形品に対して切削加工を行う(ステップS2、切削工程)。
切削工程では、粗成形品に対して切削加工を行うことで、上述の高い加工精度が必要な各部分を形成する。これによって、ピストンシール11及びキャンセルプレート12を得ることができる。
【0031】
上記のように構成された自動変速機用の密封装置の製造方法によれば、環状の金属材料からなる中間素材を鍛造することによって粗成型品111、112を得るので、複雑な形状であるピストンシール11及びキャンセルプレート12を形成するために必要な加工工数を、上記従来例の板金プレス加工よりも少なくすることができる。
【0032】
さらに、鍛造加工よりも高い加工精度が必要な部分については、鍛造工程後の切削加工により形成するので、所定の強度が安定的に要求される部分については、切削加工によってその強度を確保するために要する肉厚や形状に精度よく形成することができ、その結果、ピストンシール及びキャンセルプレート全体として、必要な強度を確保することができる。
具体的には、本実施形態では、多板クラッチCを押圧し、あるいはリターンスプリング13による付勢力が作用するために、他の部位よりも比較的強度が求められる、押圧面11d1及び当接部分11e、12dを、鍛造工程の後に切削加工によって形成するので、当該部分において必要強度を確保するために要する肉厚や形状に精度よく形成することができる。
【0033】
また、本実施形態では、密封性を確保するために寸法精度が必要とされる第一及び第二シール部材14、16が固着される固着部分についても、鍛造工程の後に切削加工によって形成するので、これらシール部材14、16が有するシールリップ14b、14c、16aの寸法精度を高めることができ、当該密封装置としての密封性を高めることができる。
【0034】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、鍛造工程において、熱間型鍛造によって粗成形する場合を示したが、温間型鍛造、又は冷間型鍛造によって粗成形するように構成することもできる。
また、中間素材としては、鍛造工程において採用される加工に応じて好適な材料(熱間鍛造材、冷間鍛造材)を選択することができ、上記実施形態では、機械構造用鋼を環状に形成したものを用いたが、アルミニウム合金を中間素材として用いることもできる。
さらに、所定の原料金属粉末を焼結することで形成した焼結体を、中間素材とすることもできる。
【符号の説明】
【0035】
10 密封装置
11 ピストンシール
11d1 押圧面
11e 当接部
12 キャンセルプレート
12d 当接部
13 リターンスプリング
C 多板クラッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧によりハウジング内を軸方向に移動することでクラッチ機構を押圧作動させる環状のピストンシールと、このピストンシールに対向配置された環状のキャンセルプレートとを備えた自動変速機用の密封装置の製造方法であって、
環状の金属材料からなる前記ピストンシールの中間素材、及び環状の金属材料からなる前記キャンセルプレートの中間素材を鍛造することによって、それぞれ前記ピストンシールの粗成形素材及び前記キャンセルプレートの粗成形素材を得る鍛造工程と、
前記粗成形素材に、前記鍛造工程における加工精度よりも高い加工精度が必要な部分を切削加工により形成することで、前記ピストンシール及び前記キャンセルプレートを得る切削工程と、を備えていることを特徴とする自動変速機用の密封装置の製造方法。
【請求項2】
前記密封装置が前記ピストンシール及び前記キャンセルプレートの間に当接介在し両者を軸方向に離間する方向に付勢するリターンスプリングをさらに備えており、
前記切削工程において切削加工により形成される部分には、前記ピストンシールにおける前記クラッチ機構を押圧する押圧面、前記ピストンシール及び前記キャンセルプレートそれぞれにおける前記リターンスプリングが当接する当接部分が含まれている請求項1に記載の自動変速機用の密封装置の製造方法。
【請求項3】
前記ピストンシールには、当該ピストンシールと前記ハウジングとの間を密封する環状の第一シール部材が固着されており、前記キャンセルプレートには、当該キャンセルプレートと前記ピストンシールの内周壁との間を密封する環状の第二シール部材が固着されており、
前記切削工程において切削加工により形成される部分には、前記ピストンシールにおける第一シール部材が固着される第一の固着部分、及び前記キャンセルプレートにおける第二シール部材が固着される第二の固着部分が含まれている請求項1又は2に記載の自動変速機用の密封装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−276187(P2010−276187A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132302(P2009−132302)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000167196)光洋シーリングテクノ株式会社 (57)
【Fターム(参考)】