説明

対流発生装置

【課題】 養殖池や湖沼のような静水域の水質保全に横軸水車や噴水で水を跳ね上げる方法がとられているが、これでは表面の流れを起こすだけで、静水域全体に大きな対流を発生させることができず、溶存酸素を水底まで到達させることができないため、ヘドロの堆積に伴う水質劣化に対応できない。
【解決手段】 本発明では、水面上で自己浮遊式の水平回転翼を、低速で回転させるとともに、その水平回転翼の真下の散気ヘッダーパイプの多数の微細な穴から、1〜20テラヘルツの共鳴電磁波を発振するフィルターを吸気側に取り付けた送風機からの供給空気を放出することにより、エアーリフト効果で水底部の水を水面部まで上昇させ、大きな対流を発生させるとともに、活性化された空気や酸素を、高濃度で水に溶存させ、水質を保全する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦軸水平回転翼による対流発生装置に、ブロワーや空気圧縮機のようなエアーリフト効果のある送風機を組み合わせ、高い溶存酸素量の水の対流を発生させ、養殖池や湖や沼やダムの静水域の水質を保全する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、養殖池のような静水域の水質を保全するために、横軸の水車を高速で回転させることにより水を跳ね上げ、曝気する方法や噴水を利用して水流を起こす方法がほとんどであった。
【0003】
また、水面で、縦軸の水平回転翼を低速で回転させ、静水域全体に大きく対流を発生させる方法も提案されているが、養殖池の曝気用として使用する場合は、水草や藻などの光合成の停止する夜間の溶存酸素量の低下が問題となる。
【特許文献1】 第3360075号参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の横軸の水車や噴水による曝気方法では、大きな動力を使用しても、養殖池や湖や沼のような静水域の表面に流れを起こすだけで、水底まで酸素や養分を運ぶような大きな対流を起こすことはできず、水底部で好気性微生物が減少し、水底に堆積するヘドロを分解処理できなくなり、結果として静水域全体の水質汚濁を招いている。
【0005】
また、上記の欠点を解決するために、縦軸の水平回転翼を低速で回転させ、小さい動力で。静水域全体に、大きく対流を発生させることにより、水底に酸素や養分を運び、植物性プランクトンのような好気性微生物を活性化し、当該微生物にヘドロ等堆積物を消化分解させ、水質を保全する装置も提案されているが、夜間の水草や藻の光合成が停止した時に水中の溶存酸素量低下がエビや養殖魚の育成に問題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために本発明者は、遠赤外線領域の共鳴電磁波を発振する物体から発振される電磁波で、空気、特に空気中の水蒸気が活性化され、その空気で水を曝気することにより、水が活性化され、溶存酸素量が増加することを見出し、本発明をなすに至った。
【0007】
すなわち、上記課題を解決するために本発明では、1〜20テラヘルツの遠赤外線領域の電磁波を発振するフィルターを曝気兼エアーリフト用の送風機の吸気側に取り付け、送風機から供給される空気を水底に設置された散気ヘッダーパイプから水に送り込むことにより、エアーリフト効果で水底部の水を水面部まで上昇させながら、同時に1〜20テラヘルツの共鳴電磁波で活性化された空気を水に高濃度で安定して溶存させる。
【0008】
1〜20テラヘルツの共鳴電磁波で活性化された空気は、同じ固有振動数を有する水中の水分子の回転運動を励起し、水分子同士の水素結合を分離させ、水分子間の間隙が小さくなり、テラヘルツ波により活性化された空気や酸素が安定して溶存される。
【0009】
また、活性化された空気が、送風機により、本発明の対流発生装置の真下の水底部に配置された散気ヘッダーパイプから放出されるため、エアーリフト効果による上昇流が発生し、水面部まで到達した溶存酸素を多く含んだ水が、水平回転翼で放射状に拡散され、それがエアーリフトで生じた負圧により水底部に吸引され、結果として大きな対流を、静水域に発生させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の対流発生装置によれば、小さな動力で、効果的に水を対流させ、水底部に溶存酸素や養分を送り込むことで、植物性プランクトンのような好気性微生物を活性化させ、その消化分解作用で、水質を保全することができる。
【0011】
また本発明の対流発生装置の送風機で活性化した空気を水中に放射することにより、その空気に接触した1〜20テラヘルツの固有振動数を有する水の水素結合が共振励起され分離し、水分子の回転運動が励起されるため、水のクラスターが微細化され、弱アルカリ性で、還元電位の大きい、溶存酸素を多く含んだ活性化された水になる。
【0012】
水素結合から放出された電子は、空気中の窒素の外郭に突入し、取り込まれ、窒素Nが活性化したN−となり、水素結合から放出された水素H+と結合しアミノ基を形成し、エビ等の養殖魚の成育効果、生産性への効果、味の向上への効果が得られる。
【0013】
送風機を駆動用のギヤモーターのカバーの上部に設置して、ギヤモーターのカバーの下部から新鮮空気を吸気することで駆動用ギヤモーターの冷却を効果的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の対流発生装置の立面図を示す。
図2は、本発明の対流発生装置のA矢視を示す。
【0015】
図1に示すように、ギヤモーター1が、固定ロープ8により水底17または陸上部に係留固定された固定支持フレーム6の固定フランジ3に固定設置されている。
【0016】
ギヤモーター1の回転軸2がキー4により、自己浮遊式の浮体付の水平回転翼7を取り付けたボス9に接続されていて、ギヤモーター1を駆動すると、浮体付の水平回転翼7が、スラスト軸受5を介して、4RPM〜10RPMの低速で回転し、当該水平回転翼7の先端の水位が、動圧で若干上昇し、水平回転翼7の下部に負圧が生じ、対流15を発生させる。
【0017】
また、ギヤモーター1の上に送風機10が設置され、エアーホース12を介して、水平回転翼7の真下に設置された散気ヘッダーパイプ13の多数の小口径の穴から空気を放出し、エアーリフト14の効果で上昇流を発生させ、水平回転翼7による対流との相乗効果でより広い範囲で、速い対流を発生させる。
【0018】
送風機10の吸気側には1〜20テラヘルツの共鳴電磁波を発振するフィルター11が取り付けられていて、ここを通過することにより活性化された空気を、散気ヘッダーパイプ13から水中に放出することにより、水中の溶存酸素量を増加させる。
【0019】
また活性化された空気に接した水は、水素結合が切り離されたクラスターの微細な水となり、水素結合が分離して小さくなった水分子間のスペースに、酸素を安定して大量に溶存し、アミノ基とともに植物性プランクトンを増殖させ、水底に堆積する有機汚泥を炭酸ガスと水に分解消化し、水質を浄化する。
【実施例】
【0020】
本発明をエビの養殖池に実施し、下記の効果が証明されている。
(1)養殖エビの成長速度が速い。
(2)養殖エビの生存率が高くなる。
(3)ヘドロの堆積がなく、連続的な栽培が可能になる。
(4)養殖エビの味が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、養殖池、浄水場、公園の景観池等の水質保全に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】は、本発明の立面図を示す。
【図2】は、本発明のA矢視を示す。
【符号の説明】
【0023】
1 ギヤモータ
2 軸
3 固定フランジ
4 キー
5 スラスト軸受
6 固定支持フレーム
7 水平回転翼
8 固定ロープ
9 ボス
10 送風機
11 吸気フィルター
12 エアーホース
13 散気ヘッダーパイプ
14 エアーリフト
15 対流
16 水面
17 水底

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静水域の水面で駆動する縦軸水平回転翼と当該水平回転翼の真下の水底に設置された散気ヘッダーパイプ及び、当該散気ヘッダーパイプに空気を供給し放出するエアーリフト用の送風機とを組み合わせることを特徴とした静水域の対流発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の送風機の吸気側に1〜20テラヘルツの共鳴電磁波を放射するネットフィルターを取り付けることを特徴とした静水域の対流発生装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−71117(P2013−71117A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226236(P2011−226236)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(591164532)
【Fターム(参考)】