説明

対象物に流体を噴射するための装置

対象物に流体を噴射するための装置、例えば自動車の窓に洗浄流体を噴射するための装置が、流体管構成体に接続可能な保持体(1)と、ノズル体(12)とによって構成される。ノズル体(12)はシリンダ状に構成されて、保持体(1)の収容空間に嵌め込み可能であり、そこで回転可能に支承される。ノズル体(12)をシリンダ軸を中心に回転することにより、ノズル体(12)内に構成された吐出端部(18)と、保持体(1)内に構成された吐出切欠部(7)とを通って噴射される流体噴射流または流体ファンの噴射角度を調整することができる。シリンダ状の構成によって長寿命が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部(前置部)による、対象物に流体を噴射するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置はGB 2121318 Aから公知である。この公知の装置は、流体管系に接続することのできる保持体を有する。さらにノズル体が設けられており、このノズル体はボール−カップ接続体を介して回転可能に支承されており、流体力学的に前記保持体と接続されている。全方向に回転可能であることにより、ノズル体の作用方向は所定の限界内で調整することができる。
【特許文献1】GB 2121318 A
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、冒頭に述べた形式の装置を改善し、構造が簡単であり、ノズル体と保持体との間の長寿命の接続を特徴とする装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は冒頭に述べた形式の装置において、請求項1の特徴部分の構成によって解決される。
【0005】
ノズル体と、保持体の収容空間とが相互に適合したシリンダ状に構成されていることによって、厳しい環境条件と使用条件に対しても耐久性のある接続部がノズル体と保持体との間で達成される。この接続部によって、ノズル体の作用方向をシリンダ軸を中心にした回転によって調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明のさらなる有利な構成は従属請求項の対象である。
【0007】
図面を参照した、本発明の有利な実施例の以下の説明から、さらなる有利な構成および利点が明らかとなる。
【実施例】
【0008】
図1は、本発明の、対象物に流体を噴射するための装置、例えば添加物の添加された水のような洗浄流体を自動車の窓に噴射する装置の実施例の斜視図である。この本発明の装置は、プラスチック製の保持体(ないしリテイナ)1を有し、この保持体は接続短管2を介して、図1には図示しない流体管系と接続することができる。保持体1は供給チャネル構成体3により構成されており、この供給チャネル構成体を介して流体を流体管系から保持体1を通して通流させることができる。接続短管2はブロック状の中央部材4に配設されている。さらにこの中央部材4は、補強のために面取された中間部分5を介して、中空シリンダ状に構成された支承(受け)部材6と接続されている。
【0009】
支承部材6は、吐出(噴射)切欠部7を除いて閉鎖された外(周)壁を以て、シリンダ状の収容空間8を包囲している。支承部材6は、開放した端面9、並びに閉鎖壁により閉鎖された端面11を有する。
【0010】
さらに図1による本発明の実施例はノズル体(ボディ)12を有し、このノズル体は実質的にシリンダ状の形態を有し、収容空間8の大きさに(嵌合するよう)適合されている。ノズル体12は面取り(ベベル状化)ないし角取りした(チャンファ、angephast)偏平な第1の端面13、この第1の端面13に対向しており、窪み構成部14と共に調整手段として構成された第2の端面15、および第1の端面13と第2の端面15の間に配置された中央部材16を有する。この実施例では、窪み構成部14はスリットとして構成されており、このスリットは調整工具としての平坦な刃を有するスクリュードライバと係合するために備えられている。
【0011】
図示しない変形例では、窪み構成部14が相互に直角に配向された2つのスリットにより構成されており、これらのスリットは調整工具としてのプラススクリュードライバと係合するために備えられている。
【0012】
中央部材16はノズルチャネル構造17を収容する。このノズルチャネル構造は、ノズル体12が保持体1内で所定のように配置されるときに供給チャネル構成体3と流体力学的に接続する。ここで所定のように配置されている場合、ノズルチャネル構造17の吐出端部18は少なくとも部分的に、支承部材6の吐出切欠部7内にあるよう配置されている。
【0013】
最後に図1から、吐出端部18と第2の端面15との間には、環状の隆起した係止隆起部19が存在することが分かる。この係止隆起部は中央部材16の周囲からわずかに突出している。
【0014】
図2は、図1の実施例の、吐出切欠部を見る方向での斜視図であり、ここではノズル体12が保持体1の支承部材6内に所定のように配置されている。図2から、吐出切欠部7は、かなりの部分がある程度の角度領域にわたって伸長していることが分かる。この角度領域は、ノズル体12とひいては吐出端部18が、本発明の装置から放水される流体または噴出流体ファン(扇状噴射流)を所定のように配向することができるよう十分に選定されている。さらに図2から、ノズルチャネル構造17が供給チャネル構成体3への流体接続部を形成することが分かる。なぜならノズルチャネル構造17は、中間部分5により包囲された供給チャネル構成体3の領域と流体力学的に接続しているからである。
【0015】
図3は、図2の構成で説明した前記実施例の断面図である。図3から1つには、ノズルチャネル構造17が、チャンバを備える直線のチャネルとして構成されており、このチャネルはノズル体12を中央で横断して延在することが分かる。さらに図3から、吐出端部18に対向する側では、ノズル体12が流入凹部20により構成されていることが分かる。この流入凹部20へは、一方で流入端部21でノズルチャネル構造17が合流し、他方で接続短管2とは反対側の供給チャネル構成体3の端部が合流する。ここで流入凹部20は、吐出切欠部7の角度領域に実質的に相応する角度領域に渡って伸長している。これにより吐出端部18が吐出切欠部7内に配置される場合、供給チャネル構成体3とノズルチャネル構造17との間の流体力学的接続が確保される。
【0016】
図4は、図2の構成で説明した実施例の縦断面図である。図4から、係止隆起部19が、支承部材6内に形成され、同様に周回する(対応)係止溝22と係合することが分かる。これによりノズル体12は、支承部材6からの意図しない脱落に対して確保される。
【0017】
図5は、本発明の装置の別の実施例の斜視図である。ここで図1から図4に基づいて説明した実施例と、後で説明する別の実施例で相応するエレメントには同じ参照符合が付してあり、場合により詳しく説明しない。図5の実施例では、支承部材(Lagerstueck)6が、複数の係止ラッチおよびウェブを有する係止(固定)機構23と接続されており、これによりノズル体12は図5に図示しない支持部材に固定され、所定の配置に保持される。さらに図5から、この実施例では調整手段が、底部領域24を越えて突出する複数のウェブ状の隆起部25により形成されていることが分かる。この隆起部25は手によるノズル体12の回転を可能にする。
【0018】
図6は、図5の実施例の断面図である。図6から、ノズル体12にはノズルはめ込み部材(インサート)26が嵌め込まれており、このノズルはめ込み部材は自動的に往復動ないし振動する噴射流を形成するために扇状噴出チップとして構成されている。
【0019】
図7は、図5の実施例をノズル体12の縦断面で示す図である。図7では、支承部材6とノズル体12との間にパッキンとして環状のパッキンリング27が配置されていることが分かる。このパッキンリングはこの実施例では、ノズル体12に形成された収容溝28内に配置されている。
【0020】
最後に図7から、ノズル体12に形成された隆起部25の中央には同様にスリットが窪み構成部14として形成されていることが分かる。これによりノズル体12は1つの刃により構成されたスクリュードライバによっても調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、保持体と、保持体に嵌め込む前のノズル体とを有する本発明の装置の実施例の斜視図である。
【図2】図2は、ノズル体が保持体に嵌め込まれた、図1の実施例の斜視図である。
【図3】図3は、図2の実施例の断面図である。
【図4】図4は、図2の実施例の部分的斜視図である。
【図5】図5は、ノズル体が戻り止め構造体から取り出された本発明の装置の別の実施例の斜視図である。
【図6】図6は、図5の実施例の断面図である。
【図7】図7は、図5の実施例をノズル体の縦断面で示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に流体を噴射するための装置であって、流体管構成体に接続可能な保持体(1)と、ノズル体(12)とを有し、
前記ノズル体(12)は前記保持体(1)内に回転可能に支承されており、流体力学的に該保持体(1)と接続されている形式の装置において、
前記ノズル体(12)はシリンダ状の形態を有し、
前記保持体(1)はシリンダ状の収容空間(8)を有し、該収容空間に前記ノズル体(1)が嵌め込まれている、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記収容空間(8)は、吐出切欠部(7)を除いて外周面が閉鎖された支承部材(6)内に形成されており、
該支承部材(6)は開放した端部(9)と、閉鎖された端部(11)を有する、ことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
前記支承部材(6)と前記ノズル体(12)には、係止隆起部(19)と係止溝(22)との相互に係合する構成体が形成されている、ことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置において、
前記支承部材(6)とノズル体(12)との間の流体力学的接続部には、前記開放した端部(9)の領域に周りに延在するパッキン(27)が配置されている、ことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項2から4までのいずれか一項記載の装置において、
前記ノズル体(12)は一方の端部(15)に、前記ノズル体(12)を回転するための調整手段(14)を有する、ことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5記載の装置において、
前記調整手段は窪み構成部(14)を有し、該窪み構成部は調整工具と相補的に構成されている、ことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項6記載の装置において、
前記窪み構成部(14)は、それぞれの調整工具としてのマイナススクリュードライバまたはプラススクリュードライバを嵌め込むように構成されている、ことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項5から7までのいずれか一項記載の装置において、
前記調整手段はウェブ状の隆起部(25)を有する、ことを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−504390(P2009−504390A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526388(P2008−526388)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006839
【国際公開番号】WO2007/019919
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(507046288)アー ライモント エ カンパニュイ (71)
【Fターム(参考)】